(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047133
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】制御装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0482 20130101AFI20240329BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
G06F3/0482
B60R16/02 630J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152580
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 尚文
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA16
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC01
5E555CA13
5E555CA17
5E555CB12
5E555DB20
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】スイッチにより物理的に占有される空間の増加を抑制しつつ、制御可能な機能の多様化を図る。
【解決手段】入力インタフェース11は、第一スイッチ31の操作に基づいて生成される第一信号S1を受け付ける。プロセッサ12は、入力インタフェース11が第一信号S1を受け付けると、制御信号CTを第一の態様で出力することにより、開閉装置41に開閉体42を第一の方法で開閉させる。プロセッサ12は、表示装置に表示された第二スイッチ32に対する操作入力に基づいて生成される第二信号S2を入力インタフェース11が受け付けると、制御信号CTを第一の態様と異なる第二の態様で出力することにより、開閉装置41に開閉体42を第一の方法と異なる第二の方法で開閉させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一スイッチの操作に基づいて生成される第一信号を受け付けるインタフェースと、
前記インタフェースが前記第一信号を受け付けると、制御信号を第一の態様で出力することにより、開閉装置に開閉体を第一の方法で開閉させるプロセッサと、
を備えており、
前記プロセッサは、表示装置に表示された第二スイッチに対する操作入力に基づいて生成される第二信号を前記インタフェースが受け付けると、前記制御信号を前記第一の態様と異なる第二の態様で出力することにより、前記開閉装置に前記開閉体を前記第一の方法と異なる第二の方法で開閉させる、
制御装置。
【請求項2】
第一スイッチの操作または第二スイッチの第一操作に基づいて生成される第一信号を受け付けるインタフェースと、
前記インタフェースが前記第一信号を受け付けると、制御信号を第一の態様で出力することにより、開閉装置に開閉体を第一の方法で開閉させるプロセッサと、
を備えており、
前記プロセッサは、前記第二スイッチの第二操作に基づいて生成される第二信号を前記インタフェースが受け付けると、前記制御信号を前記第一の態様と異なる第二の態様で出力することにより、前記開閉装置に前記開閉体を前記第一の方法と異なる第二の方法で開閉させる、
制御装置。
【請求項3】
前記開閉体と前記開閉装置は、複数の座席を有する移動体に搭載されており、
前記開閉体と前記第一スイッチは、第一の座席に対応付けられており、
前記第二スイッチの操作は、前記第一の座席と異なる第二の座席において行なわれる、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記開閉体は、移動体の後部に設置されたドアであり、
前記第二スイッチの操作は、前記移動体の前部に設置された座席において行なわれる、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項5】
制御装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、
第一スイッチの操作に基づいて生成される第一信号を受け付けると、制御信号を第一の態様で出力することにより、開閉装置に開閉体を第一の方法で開閉させ、
表示装置に表示された第二スイッチの操作に基づいて生成される第二信号を受け付けると、前記制御信号を前記第一の態様と異なる第二の態様で出力することにより、前記開閉装置に前記開閉体を前記第一の方法と異なる第二の方法で開閉させる、
コンピュータプログラム。
【請求項6】
制御装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、
第一スイッチの操作または第二スイッチの第一操作に基づいて生成される第一信号を受け付けると、制御信号を第一の態様で出力することにより、開閉装置に開閉体を第一の方法で開閉させ、
前記第二スイッチの第二操作に基づいて生成される第二信号を受け付けると、前記制御信号を前記第一の態様と異なる第二の態様で出力することにより、前記開閉装置に前記開閉体を前記第一の方法と異なる第二の方法で開閉させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチに入力される操作に基づいて開閉体の動作制御を行なう制御装置に関連する。本開示は、当該制御装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の運転席に搭載されるスイッチ装置を開示している。当該スイッチ装置は、複数のノブを備えている。複数のノブの各々は、車両に搭載された複数の窓の一つに対応付けられている。運転者が特定の窓の開閉を希望する場合、当該窓に対応付けられた複数のノブの一つを操作する。スイッチ装置は、ノブの操作に応じた制御信号を出力する。ウインドウレギュレータは、当該制御信号に基づいて窓を開閉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチにより物理的に占有される空間の増加を抑制しつつ、制御可能な機能の多様化を図ることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により提供される第一の態様例は、制御装置であって、
第一スイッチの操作に基づいて生成される第一信号を受け付けるインタフェースと、
前記インタフェースが前記第一信号を受け付けると、制御信号を第一の態様で出力することにより、開閉装置に開閉体を第一の方法で開閉させるプロセッサと、
を備えており、
前記プロセッサは、表示装置に表示された第二スイッチに対する操作入力に基づいて生成される第二信号を前記インタフェースが受け付けると、前記制御信号を前記第一の態様と異なる第二の態様で出力することにより、前記開閉装置に前記開閉体を前記第一の方法と異なる第二の方法で開閉させる。
【0006】
本開示により提供される第二の態様例は、制御装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、
第一スイッチの操作に基づいて生成される第一信号を受け付けると、制御信号を第一の態様で出力することにより、開閉装置に開閉体を第一の方法で開閉させ、
表示装置に表示された第二スイッチの操作に基づいて生成される第二信号を受け付けると、前記制御信号を前記第一の態様と異なる第二の態様で出力することにより、前記開閉装置に前記開閉体を前記第一の方法と異なる第二の方法で開閉させる。
【0007】
第一態様例と第二態様例に係る構成においては、制御装置から開閉装置へ出力される制御信号の出力態様を変更することによって開閉装置に開閉体を第二の方法で開閉させる新たな機能を発現させている。すなわち、当該機能を有していない既存の第一スイッチの物理的な構成を変更したり、新たな制御信号の伝達経路を設けたりすることなく、当該機能を発現させることができる。加えて、第二スイッチは表示装置に表示される画像として提供されるので、永続的に占有される物理的スペースを、第二スイッチのために確保する必要がない。したがって、スイッチにより物理的に占有される空間の増加を抑制しつつ、制御可能な機能の多様化を図ることができる。
【0008】
本開示により提供される第三の態様例は、制御装置であって、
第一スイッチの操作または第二スイッチの第一操作に基づいて生成される第一信号を受け付けるインタフェースと、
前記インタフェースが前記第一信号を受け付けると、制御信号を第一の態様で出力することにより、開閉装置に開閉体を第一の方法で開閉させるプロセッサと、
を備えており、
前記プロセッサは、前記第二スイッチの第二操作に基づいて生成される第二信号を前記インタフェースが受け付けると、前記制御信号を前記第一の態様と異なる第二の態様で出力することにより、前記開閉装置に前記開閉体を前記第一の方法と異なる第二の方法で開閉させる。
【0009】
本開示により提供される第四の態様例は、制御装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、
第一スイッチの操作または第二スイッチの第一操作に基づいて生成される第一信号を受け付けると、制御信号を第一の態様で出力することにより、開閉装置に開閉体を第一の方法で開閉させ、
前記第二スイッチの第二操作に基づいて生成される第二信号を受け付けると、前記制御信号を前記第一の態様と異なる第二の態様で出力することにより、前記開閉装置に前記開閉体を前記第一の方法と異なる第二の方法で開閉させる。
【0010】
第三態様例と第四態様例に係る構成においては、制御装置から開閉装置へ出力される制御信号の出力態様を変更することによって開閉装置に開閉体を第二の方法で開閉させる新たな機能を発現させている。すなわち、当該機能を有していない既存の第一スイッチの物理的な構成を変更したり、新たな制御信号の伝達経路を設けたりすることなく、当該機能を発現させることができる。加えて、既存の第二スイッチに異なる操作を入力することで当該機能が提供されるので、永続的に占有される物理的スペースを、当該機能のために新たに確保する必要がない。したがって、スイッチにより物理的に占有される空間の増加を抑制しつつ、制御可能な機能の多様化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る制御装置の機能構成を例示している。
【
図2】
図1の装置が搭載される車両を例示している。
【
図4】
図2の車両に搭載されるスイッチの構成を例示している。
【
図5】
図3の表示装置に表示されるスイッチ画像を例示している。
【
図6】
図1の制御信号の第一の出力態様を例示している。
【
図7】
図1の制御信号の第二の出力態様を例示している。
【
図8】
図2の車両に搭載されるスイッチの構成を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面を参照しつつ、実施形態例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いられる各図面においては、各要素を認識可能な大きさとするために縮尺が適宜変更されている。
【0013】
図1は、一実施形態に係る制御装置10の機能構成を例示している。制御装置10は、
図2に例示される車両20における適宜の位置に搭載される。
【0014】
図1に例示されるように、制御装置10は、入力インタフェース11を備えている。入力インタフェース11は、車両20に搭載された第一スイッチ31から出力される第一信号S1を受け付けるハードウェアインタフェースとして構成されている。
【0015】
第一信号S1は、第一スイッチ31の仕様に応じてデジタル信号であってもよいし、アナログ信号であってもよい。第一信号S1がアナログ信号である場合、入力インタフェース11は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0016】
制御装置10は、プロセッサ12と出力インタフェース13を備えている。プロセッサ12は、入力インタフェース11が第一信号S1を受け付けると、出力インタフェース13から第一の態様で制御信号CTを出力するように構成されている。第一の態様で出力される制御信号CTは、車両20に搭載された開閉装置41に開閉体42を第一の方法で開閉させるように構成されている。
【0017】
出力インタフェース13は、ハードウェアインタフェースとして構成されている。制御信号CTは、デジタル信号であってもよいし、アナログ信号であってもよい。制御信号CTがアナログ信号である場合、出力インタフェース13は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0018】
入力インタフェース11は、車両20に搭載された第二スイッチ32から出力される第二信号S2を受け付けるハードウェアインタフェースとしても構成されている。
【0019】
第二信号S2は、第二スイッチ32の仕様に応じてデジタル信号であってもよいし、アナログ信号であってもよい。第二信号S2がアナログ信号である場合、入力インタフェース11は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0020】
プロセッサ12は、入力インタフェース11が第二信号S2を受け付けると、出力インタフェース13から第二の態様で制御信号CTを出力するように構成されている。第一態様と第二態様は相違している。第二の態様で出力される制御信号CTは、車両20に搭載された開閉装置41に開閉体42を第二の方法で開閉させるように構成されている。第一の方法と第二の方法は相違している。
【0021】
換言すると、プロセッサ12は、入力インタフェース11が第二信号S2を受け付けると、出力インタフェース13から出力される制御信号CTの態様を変化させることにより、開閉装置41による開閉体42の動作のさせ方を変更するように構成されている。
【0022】
図2に例示されるように、車両20は、複数の座席を備えている。複数の座席は、右前座席211、左前座席221、右後座席231、および左後座席241を含んでいる。
【0023】
右前座席211は、車両20の右前部に設置されている。本明細書においては、「車両20の右部」という表現は、車両20の左右方向における中央よりも右方に位置する車両20の一部を意味する。「車両20の前部」という表現は、車両20の前後方向における中央よりも前方に位置する車両20の一部を意味する。「車両20の右前部」という表現は、車両20の右部でありかつ前部である部分を意味する。ある要素が「車両20の右前部に設置されている」と記載される場合、当該要素の少なくとも一部(好ましくは大半の部分)が車両20の右前部に設置されていることを意味する。
【0024】
左前座席221は、車両20の左前部に設置されている。本明細書においては、「車両20の左部」という表現は、車両20の左右方向における中央よりも左方に位置する車両20の一部を意味する。「車両20の左前部」という表現は、車両20の左部でありかつ前部である部分を意味する。ある要素が「車両20の左前部に設置されている」と記載される場合、当該要素の少なくとも一部(好ましくは大半の部分)が車両20の左前部に設置されていることを意味する。
【0025】
右後座席231は、車両20の右後部に設置されている。本明細書においては、「車両20の後部」という表現は、車両20の前後方向における中央よりも後方に位置する車両20の一部を意味する。「車両20の右後部」という表現は、車両20の右部でありかつ後部である部分を意味する。ある要素が「車両20の右後部に設置されている」と記載される場合、当該要素の少なくとも一部(好ましくは大半の部分)が車両20の右後部に設置されていることを意味する。
【0026】
左後座席241は、車両20の左後部に設置されている。本明細書においては、「車両20の左後部」という表現は、車両20の左部でありかつ後部である部分を意味する。ある要素が「車両20の左後部に設置されている」と記載される場合、当該要素の少なくとも一部(好ましくは大半の部分)が車両20の左後部に設置されていることを意味する。
【0027】
車両20は、右前スイッチ212と右前窓213を備えている。右前スイッチ212と右前窓213は、車両20の右前部に設置されている。右前スイッチ212は、右前窓213を開閉するために操作されるように構成されている。右前窓213の開閉は、車両20の右前部に設置された不図示の開閉装置によりなされる。右前窓213は、開閉体の一例である。
【0028】
車両20は、左前スイッチ222と左前窓223を備えている。左前スイッチ222と左前窓223は、車両20の左前部に設置されている。左前スイッチ222は、左前窓223を開閉するために操作されるように構成されている。左前窓223の開閉は、車両20の左前部に設置された不図示の開閉装置によりなされる。左前窓223は、開閉体の一例である。
【0029】
車両20は、右後スイッチ232と右後窓233を備えている。右後スイッチ232と右後窓233は、車両20の右後部に設置されている。右後スイッチ232は、右後窓233を開閉するために操作されるように構成されている。右後窓233の開閉は、車両20の右後部に設置された不図示の開閉装置によりなされる。右後窓233は、開閉体の一例である。
【0030】
車両20は、左後スイッチ242と左後窓243を備えている。左後スイッチ242と左後窓243は、車両20の左後部に設置されている。左後スイッチ242は、左後窓243を開閉するために操作されるように構成されている。左後窓243の開閉は、車両20の左後部に設置された不図示の開閉装置によりなされる。左後窓243は、開閉体の一例である。
【0031】
右前スイッチ212、左前スイッチ222、右後スイッチ232、および左後スイッチ242の各々は、
図4に例示されるように、ノブKを備えている。ノブKは、乗員の手指により操作可能に構成されている。具体的には、ノブKは、軸Aを中心として
図4における時計回り方向と反時計回り方向へ回動可能に構成されている。以降の説明においては、
図4における時計回り方向を第一方向D1と称し、
図4における反時計回り方向を第二方向D2と称する。
【0032】
乗員が特定の窓を開けることを希望する場合、当該窓に対応付けられたスイッチのノブKが第一方向D1へ回動される。乗員が特定の窓を閉じることを希望する場合、当該窓に対応付けられたスイッチのノブKが第二方向D2へ回動される。ノブKは、乗員がノブKから指を離すと中立位置に戻るように構成されている。
【0033】
右前スイッチ212、左前スイッチ222、右後スイッチ232、および左後スイッチ242の各々は、
図1を参照して説明した第一スイッチ31として機能しうる。
【0034】
具体的には、右前スイッチ212、左前スイッチ222、右後スイッチ232、および左後スイッチ242の各々は、ノブKが乗員により第一方向D1に回動されている間、ノブKが第一方向D1に回動されていることを表す第一信号S1を出力するように構成されている。したがって、制御装置10は、乗員が特定のスイッチのノブKを第一方向D1に回動させている間、当該スイッチに対応付けられた窓を開閉装置に開かせる制御信号CTを出力する。
【0035】
同様に、右前スイッチ212、左前スイッチ222、右後スイッチ232、および左後スイッチ242の各々は、ノブKが乗員により第二方向D2に回動されている間、ノブKが第二方向D2に回動されていることを表す第一信号S1を出力するように構成されている。したがって、制御装置10は、乗員が特定のスイッチのノブKを第二方向D2に回動させている間、当該スイッチに対応付けられた窓を開閉装置に閉じさせる制御信号CTを出力する。
【0036】
すなわち、乗員が特定のスイッチのノブKを回動させている間に当該スイッチに対応付けられた窓を開閉させる方法は、第一の方法の一例である。この開閉動作を実現するための制御信号CTの出力態様は、第一の態様の一例である。
【0037】
車両20の運転者により操作されるスイッチは、対応する窓のオート開閉動作を実行できるように構成されることが一般的である。本明細書で用いられる「窓のオート開閉動作」という語は、操作入力に応答して窓を自動的に全開状態または全閉状態に至らせる動作を意味する。オート開閉動作を実行するためには、前述した操作とは異なる操作をノブKに対して行なう必要がある。本例においては、右前スイッチ212が右前窓213のオート開閉動作を実行できるように構成されている。
【0038】
図3に例示されるように、車両20は、表示装置25を備えている。表示装置25は、スイッチ画像251を表示可能に構成されている。表示装置25は、様々な画像を表示しうる汎用の表示装置でありうる。したがって、スイッチ画像251は常時あるいは永続的に表示されていることを要しない。表示装置25は、静電型あるいは感圧型のタッチパネルディスプレイとして構成されている。すなわち、ユーザは、表示装置25に表示されたスイッチ画像251に手指などの身体の一部を接近または接触させることにより、操作を入力できる。
【0039】
本例においては、表示装置25は、右前座席211の前方に配置されている。したがって、スイッチ画像251は、右前座席211に着座した乗員により操作される。しかしながら、表示装置25は、車両20の前部中央に位置するセンタクラスタに設置されてもよい。この場合、スイッチ画像251は、右前座席211に着座した乗員と左前座席221に着座した乗員のいずれかにより操作されうる。
【0040】
図5は、スイッチ画像251の一例を示している。スイッチ画像251は、第一サブスイッチ画像2511、第二サブスイッチ画像2512、第三サブスイッチ画像2513、および第四サブスイッチ画像2514を含んでいる。
【0041】
第一サブスイッチ画像2511は、右前窓213のオート開閉動作を実行するために所定の操作を受け付けるように構成されている。例えば、右前窓213を自動的に全開状態にする動作を希望する乗員は、第一サブスイッチ画像2511における上向きの矢印に触れる操作または第一サブスイッチ画像2511を上向きになぞる操作を行ないうる。右前窓213を自動的に全閉状態にする動作を希望する乗員は、第一サブスイッチ画像2511における下向きの矢印に触れる操作または第一サブスイッチ画像2511を下向きになぞる操作を行ないうる。
【0042】
同様に、第二サブスイッチ画像2512は、左前窓223のオート開閉動作を実行するために所定の操作を受け付けるように構成されている。第三サブスイッチ画像2513は、右後窓233のオート開閉動作を実行するために所定の操作を受け付けるように構成されている。第四サブスイッチ画像2514は、左後窓243のオート開閉動作を実行するために所定の操作を受け付けるように構成されている。
【0043】
第一サブスイッチ画像2511、第二サブスイッチ画像2512、第三サブスイッチ画像2513、および第四サブスイッチ画像2514の各々は、
図1を参照して説明した第二スイッチ32として機能しうる。
【0044】
具体的には、表示装置25は、第一サブスイッチ画像2511、第二サブスイッチ画像2512、第三サブスイッチ画像2513、および第四サブスイッチ画像2514の各々が対応する窓を全開または全閉状態にするための操作を受け付けると、当該操作に対応する第二信号S2を出力するように構成されている。したがって、制御装置10は、当該操作に応じたオート開閉動作を開閉装置41に実行させる制御信号CTを出力する。
【0045】
すなわち、表示装置25に表示された特定のサブスイッチ画像に対する乗員の操作に応じて当該画像に対応付けられた窓を全開または全閉状態にする方法は、第二の方法の一例である。この開閉動作を実現するための制御信号CTの出力態様は、第二の態様の一例である。
【0046】
図6は、左後スイッチ242の操作を通じて左後窓243を開く場合に制御装置10から出力される制御信号CTの態様を例示している。横軸は時間を表している。縦軸は信号レベルを表している。信号レベルL1は、開閉装置41が停止している状態に対応している。信号レベルL2は、開閉装置41が作動している状態に対応している。
【0047】
時点t1において左後スイッチ242のノブKが乗員の指により第一方向D1に回動されると、信号レベルL2の制御信号CTが制御装置10から出力され、開閉装置41により左後窓243を開く動作が実行される。
【0048】
時点t2において乗員の指が左後スイッチ242のノブKから離れると、制御信号CTの出力が停止(信号レベルL1に低下)し、左後窓243が開かれる動作が中断される。
【0049】
時点t3において左後スイッチ242のノブKが乗員の指により再び第一方向D1に回動されると、信号レベルL2の制御信号CTが制御装置10から出力され、開閉装置41により左後窓243を開く動作が再開される。時点t4において左後窓243が全開状態に達すると、制御信号CTの出力が自動的に停止される。
【0050】
図7は、第四サブスイッチ画像2514の操作を通じて左後窓243のオート開動作が実行される場合に制御装置10から出力される制御信号CTの態様を例示している。
【0051】
時点t5においてオート開動作を実行するための操作が第四サブスイッチ画像2514に入力されると、信号レベルL2の制御信号CTが制御装置10から出力され、開閉装置41により左後窓243を開く動作が実行される。制御信号CTの出力は、時点t6において左後窓243が全開状態に達するまで継続される。
【0052】
上記のような構成においては、制御装置10から開閉装置41へ出力される制御信号CTの出力態様を変更することによって開閉装置41に左後窓243のオート開閉動作を実行させる新たな機能を発現させている。すなわち、当該機能を有していない既存の左後スイッチ242の物理的な構成を変更したり、新たな制御信号の伝達経路を設けたりすることなく、当該機能を発現させることができる。加えて、当該機能実行のトリガとなる第二信号S2は、表示装置25に表示される第四サブスイッチ画像2514に対する操作に基づいて生成されるので、永続的に占有される物理的スペースを、第二信号S2を生成するために確保する必要がない。したがって、スイッチにより物理的に占有される空間の増加を抑制しつつ、制御可能な機能の多様化を図ることができる。
【0053】
上記の説明は、オート開閉動作を実行させる機能を有していない左前スイッチ222と右後スイッチ232に対する第二サブスイッチ画像2512と第三サブスイッチ画像2513の関係についても同様に適用されうる。
【0054】
図8に例示されるように、右前スイッチ212は、第一サブスイッチ2121、第二サブスイッチ2122、第三サブスイッチ2123、および第四サブスイッチ2124を備えうる。各スイッチは、
図4を参照して説明した構成を有しうる。
【0055】
第一サブスイッチ2121は、右前窓213を開閉するために操作されるように構成されている。第一サブスイッチ2121は、当該操作と異なる操作を入力することにより、右前窓213のオート開閉動作を実行できるように構成されている。
【0056】
第二サブスイッチ2122、第三サブスイッチ2123、および第四サブスイッチ2124の各々は、
図1を参照して説明した第二スイッチ32として機能しうる。第二サブスイッチ2122は、左前窓223を開閉するために操作されるように構成されている。第三サブスイッチ2123は、右後窓233を開閉するために操作されるように構成されている。第四サブスイッチ2124は、左後窓243を開閉するために操作されるように構成されている。
【0057】
すなわち、右前座席211に着座した乗員は、右前窓213に加えて左前窓223、右後窓233、および左後窓243の各々を開閉させることができる。各スイッチに入力される操作と制御装置10から出力される制御信号CTの関係は、
図4と
図6を参照して説明した通りである。すなわち、乗員の指により特定のスイッチのノブKを回動させる操作が入力されている間、当該スイッチから第一信号S1が出力され、当該スイッチに対応付けられた窓の開閉がなされる。当該操作は、第一操作の一例である。
【0058】
具体的には、第二サブスイッチ2122は、左前窓223のオート開閉動作を実行するために上記の操作とは異なる所定の操作を受け付けるように構成されている。例えば、左前窓223を自動的に全開状態にする動作を希望する乗員は、第二サブスイッチ2122を第一方向D1へ複数回断続的に回動させる操作を行ないうる。右前窓213を自動的に全閉状態にする動作を希望する乗員は、第二サブスイッチ2122を第二方向D2へ複数回断続的に回動させる操作を行ないうる。オート開閉動作を実行するための操作は、第二操作の一例である。
【0059】
同様に、第三サブスイッチ2123は、右後窓233のオート開閉動作を実行するために第二操作を受け付けるように構成されている。第四サブスイッチ2124は、左後窓243のオート開閉動作を実行するために第二操作を受け付けるように構成されている。
【0060】
第二サブスイッチ2122、第三サブスイッチ2123、および第四サブスイッチ2124の各々が対応する窓を全開または全閉状態にするための操作を受け付けると、制御装置10は、当該操作に応じたオート開閉動作を開閉装置41に実行させる制御信号CTを出力する。オート開閉動作を開閉装置41に実行させるために出力される制御信号CTの態様は、
図7を参照して説明した通りである。
【0061】
上記のような構成によれば、制御装置10から開閉装置41へ出力される制御信号CTの出力態様を変更することによって開閉装置41に左前窓223、右後窓233、および左後窓243の各々のオート開閉動作を実行させる新たな機能を発現させている。すなわち、当該機能を有していない既存の左前スイッチ222、右後スイッチ232、および左後スイッチ242の各々の物理的な構成を変更したり、新たな制御信号の伝達経路を設けたりすることなく、当該機能を発現させることができる。加えて、当該機能実行のトリガとなる第二信号S2は、既存の第二サブスイッチ2122、第三サブスイッチ2123、および第四サブスイッチ2124の各々により生成されるので、永続的に占有される物理的スペースを、第二信号S2を生成するために確保する必要がない。したがって、スイッチにより物理的に占有される空間の増加を抑制しつつ、制御可能な機能の多様化を図ることができる。
【0062】
これまで説明した各種の機能を有する制御装置10のプロセッサ12は、当該機能を実現するためのコンピュータプログラムがプリインストールされた記憶素子を備えたマイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの専用集積回路によって実現されうる。この場合、当該記憶素子は、コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0063】
あるいは、プロセッサ12は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、当該機能を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されうる。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。この場合、当該汎用メモリは、コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。当該コンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、制御装置10が接続可能な無線通信ネットワークを介して外部サーバ装置からダウンロードされた後、汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、当該外部サーバ装置は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0064】
プロセッサ12は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによって実現されてもよい。
【0065】
これまで説明した各構成は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。例示された各構成は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や他の構成との組合せがされうる。
【0066】
上記の実施形態においては、第二スイッチ32により生成される第二信号S2に基づいて車両20に搭載された窓のオート開閉動作が実行される。しかしながら、第一スイッチ31により生成される第一信号S1に基づいて実行される開閉動作と異なっていれば、第二信号S2に基づいて他の開閉動作が実行されてもよい。
【0067】
他の開閉動作の例としては、予め設定された特定の位置での開閉動作の停止、段階的な開閉動作、制御装置10により制御されうる他の車載装置と協働する開閉動作などが挙げられる。例えば、窓が開かれるのに伴って映像音響機器の音量を上げたり空調機器を停止させたりできる。
【0068】
制御装置10から出力される制御信号CTに基づいて開閉装置41により開閉される開閉体42は、車両20の窓に限られない。
図2に例示されるように、車両20は、バックドア26を備えている。バックドア26は、開閉スイッチ261を備えている。開閉スイッチ261は、第一スイッチ31として機能する。ユーザが開閉スイッチ261に所定の操作を入力すると、制御装置10は、不図示の開閉装置にバックドア26のオート開閉動作を実行させる制御信号CTを出力する。すなわち、開閉スイッチ261に対する操作に応じてバックドア26を全開または全閉状態にする方法は、第一の方法の一例である。この開閉動作を実現するための制御信号CTの出力態様は、第一の態様の一例である。
【0069】
図5に例示されるように、表示装置25に表示されるスイッチ画像251は、第五サブスイッチ画像2515を含みうる。第五サブスイッチ画像2515は、バックドア26にオート開閉動作と異なる開閉動作を行なわせるための操作を受け付けるように構成されうる。一例として、第五サブスイッチ画像2515における上向きの矢印または下向きの矢印に触れている間のみバックドア26が開閉する動作が実行されうる。別例として、第五サブスイッチ画像2515への操作入力に応じて予め設定された開位置にバックドア26を静止させる動作が実行されうる。
【0070】
すなわち、第五サブスイッチ画像2515は、第二スイッチ32として機能しうる。ユーザが第五サブスイッチ画像2515に所定の操作を入力すると、制御装置10は、当該操作が入力されている間のみ不図示の開閉装置にバックドア26の開閉動作を実行させる制御信号CTを出力する。オート開閉動作と異なる開閉動作は、第二の方法の一例である。この開閉動作を実現するための制御信号CTの出力態様は、第二の態様の一例である。
【0071】
車両20の前部に設置された既存のスイッチが第二スイッチ32として機能するように構成されてもよい。この場合、当該スイッチは、複数種の操作を受け付け可能に構成される。当該複数種の操作の一つが、オート開閉動作とは異なる方法でバックドア26を開閉させる機能に割り当てられる。
【0072】
バックドア26についてなされた上記の説明は、車両20に搭載された他の開閉体にも適用されうる。他の開閉体の例としては、右前ドア214、左前ドア224、右後ドア234、左後ドア244、サンルーフ、ボンネット、トランク、給油口などが挙げられる。開閉体の変位は、ヒンジ方式であってもよいし、スライド方式であってもよい。
【0073】
制御装置10は、車両20以外の移動体にも搭載されうる。そのような移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。当該移動体は、運転者を必要としなくてもよい。
【0074】
制御装置10は、移動体に搭載されることを要しない。制御装置10は、住宅や施設に設置される適宜の開閉体を開閉させるために使用されうる。そのような開閉体の例としては、門、扉、窓、シャッター、ブラインド、カーテン、スクリーンなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0075】
10:制御装置、11:入力インタフェース、12:プロセッサ、20:車両、211:右前座席、212:右前スイッチ、2122:第二サブスイッチ、2123:第三サブスイッチ、2124:第四サブスイッチ、213:右前窓、214:右前ドア、221:左前座席、222:左前スイッチ、223:左前窓、224:左前ドア、231:右後座席、232:右後スイッチ、233:右後窓、234:右後ドア、241:左後座席、242:左後スイッチ、243:左後窓、244:左後ドア、25:表示装置、251:スイッチ画像、26:バックドア、261:開閉スイッチ、31:第一スイッチ、32:第二スイッチ、41:開閉装置、42:開閉体、CT:制御信号、S1:第一信号、S2:第二信号