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特開2024-47145作業機械の制御システム、作業機械、及び作業機械の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047145
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】作業機械の制御システム、作業機械、及び作業機械の制御方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20240329BHJP
   E02F 3/43 20060101ALI20240329BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
E02F9/26 A
E02F3/43 B
E02F9/20 N
E02F9/20 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152594
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山脇 柾
(72)【発明者】
【氏名】市川 安曇
(72)【発明者】
【氏名】横尾 貴史
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 祥人
(72)【発明者】
【氏名】上原 康史
(72)【発明者】
【氏名】角田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】有松 大毅
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003BA02
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB03
2D003DB04
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】複数の設計面のそれぞれを垂直方向に簡便にオフセットすること。
【解決手段】作業機械の制御システムは、作業機械の施工対象に設定される複数の設計面を記憶する施工データ記憶部と、複数の設計面の中から設計面の垂直方向にオフセットさせる少なくとも2つの設計面を選択する選択部と、選択された設計面を加工して、垂直方向にオフセットさせるオフセット制御部と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の施工対象に設定される複数の設計面を記憶する施工データ記憶部と、
複数の前記設計面の中から前記設計面の垂直方向にオフセットさせる少なくとも2つの設計面を選択する選択部と、
選択された設計面を加工して、前記垂直方向にオフセットさせるオフセット制御部と、を備える、
作業機械の制御システム。
【請求項2】
前記加工及び前記オフセットされた後の前記設計面に基づいて、前記作業機械が有する作業機を制御する作業機制御部を備える、
請求項1に記載の作業機械の制御システム。
【請求項3】
前記設計面を表示装置に表示させる表示制御部を備える、
請求項1に記載の作業機械の制御システム。
【請求項4】
前記選択部は、第1設計面と、前記第1設計面に隣接する第2設計面と、前記第1設計面及び前記第2設計面の少なくとも一方に隣接する第3設計面とを選択する、
請求項1に記載の作業機械の制御システム。
【請求項5】
前記設計面の加工は、オフセットされる前の設計面の頂点に基づいて、オフセットされた後の設計面を4角形にすることを含む、
請求項1に記載の作業機械の制御システム。
【請求項6】
前記第3設計面は、前記第1設計面に隣接し、
前記加工及び前記オフセットされた後の第2設計面と第3設計面とが相互に交差する場合、前記オフセット制御部は、前記加工及び前記オフセットされた後の前記第1設計面、前記第2設計面、及び前記第3設計面を更に加工する、
請求項4に記載の作業機械の制御システム。
【請求項7】
請求項1に記載の作業機械の制御システムを備える、
作業機械。
【請求項8】
作業機械の施工対象に設定される複数の設計面を記憶することと、
複数の前記設計面の中から前記設計面の垂直方向にオフセットさせる少なくとも2つの設計面を選択することと、
選択された設計面を加工して、前記垂直方向にオフセットさせることと、を含む、
作業機械の制御方法。
【請求項9】
前記加工及び前記オフセットされた後の前記設計面に基づいて、前記作業機械が有する作業機を制御することを含む、
請求項8に記載の作業機械の制御方法。
【請求項10】
前記設計面を表示装置に表示させることを含む、
請求項8に記載の作業機械の制御方法。
【請求項11】
第1設計面と、前記第1設計面に隣接する第2設計面と、前記第1設計面及び前記第2設計面の少なくとも一方に隣接する第3設計面とが選択される、
請求項8に記載の作業機械の制御方法。
【請求項12】
前記設計面の加工は、前記設計面の頂点に基づいて前記設計面を4角形にすることを含む、
請求項8に記載の作業機械の制御方法。
【請求項13】
前記第3設計面は、前記第1設計面に隣接し、
前記加工及び前記オフセットされた後の第2設計面と第3設計面とが相互に交差する場合、前記加工及び前記オフセットされた後の前記第1設計面、前記第2設計面、及び前記第3設計面を更に加工する、
請求項11に記載の作業機械の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の制御システム、作業機械、及び作業機械の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、目標施工面に基づいて施工対象を施工する技術が知られている。目標施工面に基づいて施工対象を施工する技術として、目標施工面と作業機のバケットとの相対位置を示すガイダンス画像を作業機械のオペレータに提示するマシンガイダンス技術と、目標施工面に従って作業機のバケットが移動するようにオペレータの操作をアシスト制御するマシンコントロール技術とが知られている。特許文献1には、マシンガイダンス技術の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-074318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
相互に異なる勾配の複数の設計面によって目標施工面が規定される場合がある。また、複数の設計面のそれぞれを設計面の垂直方向(法線方向)にオフセットして新たな目標施工面を生成したい場合がある。複数の設計面を一度に垂直方向にオフセットすると、設計面が相互に交差したり離隔したりして、目標施工面が適正に生成されない可能性がある。しかし、無数の設計面同士の交差又は離隔を解消するように目標施工面の形状を変更する簡便な方法は確立されていない。さらに、目標施工面が多くの設計面から構成される場合、目標施工面全体を垂直方向にオフセットすることは多大な計算負荷がもたらされる。
【0005】
本開示は、複数の設計面のそれぞれを垂直方向に簡便にオフセットすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、作業機械の施工対象に設定される複数の設計面を記憶する施工データ記憶部と、複数の設計面の中から設計面の垂直方向にオフセットさせる少なくとも2つの設計面を選択する選択部と、選択された設計面を加工して、垂直方向にオフセットさせるオフセット制御部と、を備える、作業機械の制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、複数の設計面を垂直方向にオフセットした新たな目標施工面を簡便に生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る作業機械を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る作業機械を示す模式図である。
図3図3は、実施形態に係る作業機械の運転室を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る作業機械の制御システムを示すブロック図である。
図5図5は、目標施工面を模式的に示す図である。
図6図6は、実施形態に係る課題を説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係る作業機械の制御方法を示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係る選択部により選択された設計面を模式的に示す斜視図である。
図9図9は、実施形態に係るオフセット制御部によりオフセットされる前の設計面及びオフセットされた後の設計面を模式的に示す斜視図である。
図10図10は、実施形態に係るオフセット制御部によりオフセットされる前の設計面及びオフセットされた後の設計面を模式的に示す側面図である。
図11図11は、加工及びオフセットされた後の設計面を模式的に示す側面図である。
図12図12は、加工及びオフセットされた後の設計面を模式的に示す平面図である。
図13図13は、2つの設計面が交差する場合の処理方法の一例を模式的に示す図である。
図14図14は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[作業機械]
図1は、実施形態に係る作業機械1を示す斜視図である。図2は、実施形態に係る作業機械1を示す模式図である。図3は、実施形態に係る作業機械1の運転室2を示す図である。
【0011】
作業機械1は、作業現場において稼働する。実施形態において、作業機械1は、油圧ショベルである。以下の説明において、作業機械1を適宜、油圧ショベル1、と称する。
【0012】
油圧ショベル1は、走行体3と、旋回体4と、作業機5と、油圧シリンダ6と、操作装置7と、車載モニタ8と、位置センサ9と、傾斜センサ10と、姿勢センサ11と、制御装置12とを備える。
【0013】
図2に示すように、作業現場に3次元の現場座標系(Xg,Yg,Zg)が規定される。旋回体4に3次元の車体座標系(Xm,Ym,Zm)が規定される。
【0014】
現場座標系は、作業現場に規定された現場基準点Ogから南北に伸びるXg軸、現場基準点Ogから東西に伸びるYg軸、及び現場基準点Ogから鉛直に伸びるZg軸により構成される。
【0015】
車体座標系は、旋回体4に規定された代表点Omから旋回体4の前後方向に伸びるXm軸、代表点Omから旋回体4の左右方向に伸びるYm軸、及び代表点Omから旋回体4の上下方向に伸びるZm軸により構成される。旋回体4の代表点Omを基準として、+Xm方向は旋回体4の前方であり、-Xm方向は旋回体4の後方であり、+Ym方向は旋回体4の左方であり、-Ym方向は旋回体4の右方であり、+Zm方向は旋回体4の上方であり、-Zm方向は旋回体4の下方である。
【0016】
走行体3は、旋回体4を支持した状態で走行する。走行体3は、一対の履帯3Aを有する。履帯3Aの回転により、走行体3は、走行動作する。走行体3の走行動作は、前進動作及び後進動作を含む。油圧ショベル1は、走行体3により作業現場を移動することができる。
【0017】
旋回体4は、走行体3に支持される。旋回体4は、走行体3よりも上方に配置される。旋回体4は、走行体3に支持された状態で旋回軸RXを中心に旋回動作する。旋回軸RXは、Zm軸に平行である。旋回体4の旋回動作は、左旋回動作及び右旋回動作を含む。運転室2は、旋回体4に設けられる。
【0018】
作業機5は、旋回体4に支持される。作業機5は、作業を実施する。実施形態において、作業機5により実施される作業は、施工対象を掘削する掘削作業及び掘削物を積込対象に積み込む積込作業を含む。
【0019】
作業機5は、ブーム5Aと、アーム5Bと、バケット5Cとを含む。ブーム5Aの基端部は、旋回体4の前部に回動可能に連結される。アーム5Bの基端部は、ブーム5Aの先端部に回動可能に連結される。バケット5Cの基端部は、アーム5Bの先端部に回動可能に連結される。
【0020】
油圧シリンダ6は、作業機5を動作させる。油圧シリンダ6は、ブームシリンダ6Aと、アームシリンダ6Bと、バケットシリンダ6Cとを含む。ブームシリンダ6Aは、ブーム5Aを上げ動作及び下げ動作させる。アームシリンダ6Bは、アーム5Bを掘削動作及びダンプ動作させる。バケットシリンダ6Cは、バケット5Cを掘削動作及びダンプ動作させる。ブームシリンダ6Aの基端部は、旋回体4に連結される。ブームシリンダ6Aの先端部は、ブーム5Aに連結される。アームシリンダ6Bの基端部は、ブーム5Aに連結される。アームシリンダ6Bの先端部は、アーム5Bに連結される。バケットシリンダ6Cの基端部は、アーム5Bに連結される。バケットシリンダ6Cの先端部は、バケット5Cに連結される。
【0021】
図3に示すように、操作装置7は、運転室2に配置される。操作装置7は、走行体3、旋回体4、及び作業機5の少なくとも一つを動作させるために操作される。操作装置7は、運転室2に搭乗したオペレータに操作される。オペレータは、運転室2に配置された運転シート14に着座した状態で、操作装置7を操作することができる。
【0022】
操作装置7は、旋回体4及び作業機5の動作のために操作される左作業レバー7A及び右作業レバー7Bと、走行体3の動作のために操作される左走行レバー7C及び右走行レバー7Dと、左フットペダル7E及び右フットペダル7Fとを含む。
【0023】
左作業レバー7Aが前後方向に操作されることにより、アーム5Bがダンプ動作又は掘削動作する。左作業レバー7Aが左右方向に操作されることにより、旋回体4が左旋回動作又は右旋回操作する。右作業レバー7Bが左右方向に操作されることにより、バケット5Cが掘削動作又はダンプ動作する。右作業レバー7Bが前後方向に操作されることにより、ブーム5Aが下げ動作又は上げ動作する。なお、左作業レバー7Aが前後方向に操作されたときに旋回体4が右旋回動作又は左旋回動作し、左作業レバー7Aが左右方向に操作されたときにアーム5Bがダンプ動作又は掘削動作してもよい。
【0024】
左走行レバー7Cが前後方向に操作されることにより、走行体3の左側の履帯3Aが前進動作又は後進動作する。右走行レバー7Dが前後方向に操作されることにより、走行体3の右側の履帯3Aが前進動作又は後進動作する。
【0025】
左フットペダル7Eは、左走行レバー7Cと連動する。右フットペダル7Fは、右走行レバー7D連動する。左フットペダル7E及び右フットペダル7Fが操作されることにより、走行体3が前進動作又は後進動作されてもよい。
【0026】
車載モニタ8は、運転室2に配置される。車載モニタ8は、運転シート14の右前方に配置される。車載モニタ8は、表示装置8Aと、入力装置8Bと、警報装置8Cとを有する。
【0027】
表示装置8Aは、規定の表示データを表示する。表示装置8Aとして、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescence Display)のようなフラットパネルディスプレイが例示される。
【0028】
入力装置8Bは、オペレータに操作されることにより入力データを生成する。入力装置8Bとして、ボタンスイッチ、コンピュータ用キーボード、及びタッチパネルが例示される。
【0029】
警報装置8Cは、規定の警報を出力する。実施形態において、警報装置8Cは、警報音を出力する音声出力装置である。なお、警報装置8Cは、警報光を出力する発光装置でもよい。
【0030】
位置センサ9は、現場座標系における旋回体4の位置を検出する。位置センサ9は、全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して現場座標系における旋回体4の位置を検出する。全地球航法衛星システムは、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を含む。全地球航法衛星システムは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定される位置を検出する。位置センサ9は、GNSS衛星からGNSS電波を受信するGNSS受信機を含む。位置センサ9は、旋回体4に配置される。実施形態において、位置センサ9は、旋回体4のカウンタウエイトに配置される。
【0031】
位置センサ9は、第1位置センサ9Aと、第2位置センサ9Bとを含む。第1位置センサ9Aと第2位置センサ9Bとは、旋回体4の異なる位置に配置される。実施形態において、第1位置センサ9Aと第2位置センサ9Bとは、旋回体4において左右方向に間隔をあけて配置される。第1位置センサ9Aは、第1位置センサ9Aが配置されている位置を示す第1測位位置を検出する。第2位置センサ9Bは、第2位置センサ9Bが配置されている位置を示す第2測位位置を検出する。
【0032】
傾斜センサ10は、旋回体4の加速度及び角速度を検出する。傾斜センサ10は、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を含む。傾斜センサ10は、旋回体4に配置される。実施形態において、傾斜センサ10は、運転室2の下方に設置される。
【0033】
姿勢センサ11は、作業機5の姿勢を検出する。作業機5の姿勢は、作業機5の角度を含む。姿勢センサ11は、旋回体4に対するブーム5Aの角度を検出する第1姿勢センサ11Aと、ブーム5Aに対するアーム5Bの角度を検出する第2姿勢センサ11Bと、アーム5Bに対するバケット5Cの角度を検出する第3姿勢センサ11Cとを含む。姿勢センサ11は、油圧シリンダ6のストロークを検出するストロークセンサでもよいし、作業機5の角度を検出するポテンショメータでもよい。
【0034】
[制御システム]
図4は、実施形態に係る作業機械1の制御システム30を示すブロック図である。油圧ショベル1は、制御システム30を備える。制御システム30は、車載モニタ8と、位置センサ9と、傾斜センサ10と、姿勢センサ11と、制御装置12とを有する。制御装置12は、油圧ショベル1を制御する。制御装置12は、コンピュータシステムを含む。
【0035】
制御装置12は、施工データ記憶部15と、車体データ記憶部16と、操作データ取得部17と、入力データ取得部18と、センサデータ取得部19と、位置方位算出部20と、傾斜角算出部21と、作業機位置算出部22と、選択部23と、オフセット制御部24と、表示制御部25と、走行制御部26と、旋回制御部27と、作業機制御部28とを有する。
【0036】
施工データ記憶部15は、作業現場に設定される複数の設計面を記憶する。複数の設計面は、作業現場において油圧ショベル1の施工対象に設定される。設計面は、油圧ショベル1の外部に存在するコンピュータシステムにより作成される。設計面は、例えば設計室のような油圧ショベル1の外部施設において作成される。設計面は、現場座標系において規定される面である。複数の設計面により、施工対象の目標形状を示す目標施工面が規定される。油圧ショベル1は、目標施工面に基づいて、施工対象を掘削する。
【0037】
車体データ記憶部16は、油圧ショベル1の車体データを記憶する。油圧ショベル1の車体データは、作業機5の寸法を含む。作業機5の寸法は、ブーム5Aの長さ、アーム5Bの長さ、及びバケット5Cの長さを含む。また、油圧ショベル1の車体データは、走行体3の寸法及び旋回体4の寸法を含む。
【0038】
操作データ取得部17は、操作装置7が操作されることにより生成された操作データを取得する。
【0039】
入力データ取得部18は、入力装置8Bが操作されることにより生成された入力データを取得する。
【0040】
センサデータ取得部19は、位置センサ9の検出データ、傾斜センサ10の検出データ、及び姿勢センサ11の検出データを取得する。
【0041】
位置方位算出部20は、位置センサ9の検出データに基づいて、現場座標系における旋回体4の位置及び方位角を算出する。上述のように、位置センサ9は、GNSS電波を受信するGNSS受信機を含む。位置方位算出部20は、GNSS電波に基づいて、旋回体4の位置及び方位角を算出する。旋回体4の方位角は、例えばXg軸を基準とする旋回体4の方位角である。
【0042】
位置方位算出部20は、第1位置センサ9Aにより検出される第1測位位置及び第2位置センサ9Bにより検出される第2測位位置の少なくとも一方に基づいて、旋回体4の位置を算出する。位置方位算出部20は、第1位置センサ9Aにより検出される第1測位位置と第2位置センサ9Bにより検出される第2測位位置との相対位置に基づいて、旋回体4の方位角を算出する。
【0043】
傾斜角算出部21は、傾斜センサ10の検出データに基づいて、旋回体4の傾斜角を算出する。旋回体4の傾斜角は、旋回体4のロール角及びピッチ角を含む。ロール角とは、Xg軸を中心とする傾斜方向における旋回体4の傾斜角をいう。ピッチ角とは、Yg軸を中心とする傾斜方向における旋回体4の傾斜角をいう。傾斜角算出部21は、傾斜センサ10の検出データに基づいて、旋回体4のロール角及びピッチ角を算出する。
【0044】
作業機位置算出部22は、位置方位算出部20により算出された作業機械1の位置に基づいて、作業機5の位置を算出する。実施形態において、作業機位置算出部22は、車体データ記憶部16に記憶されている油圧ショベル1の車体データと、位置方位算出部20により算出された旋回体4の位置及び方位角と、傾斜角算出部21により算出された旋回体4の傾斜角と、姿勢センサ11の検出データとに基づいて、現場座標系における作業機5の位置を算出する。作業機5の位置は、バケット5Cの位置を含む。バケット5Cの位置は、バケット5Cの先端部に設けられている刃先の位置を含む。
【0045】
選択部23は、施工データ記憶部15に記憶されている複数の設計面の中から設計面の垂直方向にオフセットさせる少なくとも2つの設計面を選択する。オフセットさせる設計面は、オペレータによって指定される。オペレータは、入力装置8Bを操作して、オフセットさせる設計面を指定する。入力装置8Bからの入力データは、入力データ取得部18に取得される。選択部23は、入力データ取得部18により取得された入力データに基づいて、施工データ記憶部15に記憶されている複数の設計面の中から設計面の垂直方向にオフセットさせる少なくとも2つの設計面を選択する。
【0046】
オフセット制御部24は、選択部23により選択された少なくとも2つの設計面を加工して、垂直方向にオフセットさせる。
【0047】
表示制御部25は、車載モニタ8の表示装置8Aを制御する。表示制御部25は、規定の表示データを表示装置8Aに表示させる。表示制御部25は、オフセットされる前の設計面及びオフセットされた後の設計面のそれぞれを表示装置8Aに表示させることができる。
【0048】
走行制御部26は、操作データ取得部17により取得された操作装置7の操作データに基づいて、走行体3を制御する。
【0049】
旋回制御部27は、操作データ取得部17により取得された操作装置7の操作データに基づいて、旋回体4を制御する。
【0050】
作業機制御部28は、作業機5を制御する。作業機5を制御することは、油圧シリンダ6を制御することを含む。作業機制御部28は、オフセット制御部24により加工及びオフセットされた後の設計面に基づいて、作業機5を制御する。作業機制御部28は、操作データ取得部17により取得された操作装置7の操作データに基づいて、作業機5を制御する。また、作業機制御部28は、設計面に従って作業機5のバケット5Cが移動するようにオペレータの操作をアシスト制御する。作業機制御部28は、作業機位置算出部22により算出されたバケット5Cの刃先が例えばオフセット制御部24によりオフセットされた設計面に追従するように、作業機5をアシスト制御する。
【0051】
[設計面のオフセット]
図5は、目標施工面50を模式的に示す図である。図5に示すように、複数の設計面51,52,53により、施工対象の目標形状を示す目標施工面50が規定される。複数の設計面51,52,53のそれぞれは、平面である。設計面52は、設計面51に隣接する。設計面53は、設計面51及び設計面52の少なくとも一方に隣接する。図5に示す例において、設計面53は、設計面52に隣接する。目標施工面50は、相互に異なる勾配の複数の設計面51,52,53によって規定される。
【0052】
図5に示すように、複数の設計面51,52,53のそれぞれを設計面51,52,53の垂直方向(法線方向)にオフセットして、新たな目標施工面を生成したい場合がある。すなわち、設計面51を設計面51の垂直方向(法線方向)にオフセットし、設計面52を設計面52の垂直方向(法線方向)にオフセットし、設計面53を設計面53の垂直方向(法線方向)にオフセットしたい場合がある。
【0053】
図6は、実施形態に係る課題を説明するための図である。図6に示すように、設計面51の大きさ及び形状を維持したまま、設計面51を設計面51の垂直方向にオフセット量Dだけオフセットした場合、設計面510が生成される。設計面52の大きさ及び形状を維持したまま、設計面52を設計面52の垂直方向にオフセット量Dだけオフセットした場合、設計面520が生成される。設計面53の大きさ及び形状を維持したまま、設計面53を設計面53の垂直方向にオフセット量Dだけオフセットした場合、設計面530が生成される。複数の設計面51,52,53の大きさ及び形状を維持したまま、複数の設計面51,52,53を一度に垂直方向にオフセットすると、図6に示すように、オフセットされた後の設計面510と設計面520とが相互に交差したり、オフセットされた後の設計面520と設計面530とが離隔したりする可能性がある。オフセットされた後の設計面510,520,530が相互に交差したり離隔したりすると、目標施工面50が適正に生成されない可能性がある。設計面510,520,530の交差又は離隔を解消するために、設計面510,520,530のそれぞれを拡大したり縮小したりする対応が考えられる。しかしながら、設計面510,520,530は複数の三角形により構成される多角形面であり、単純に面を拡大・縮小することにより交差または離隔を解消することはできない。また、交差または離隔を解消するために設計面の形状を部分的に変更するには、変更後の形状を実現する三角形の構成を計算する必要があり、複雑な設計面形状においては多大な計算負荷がもたらされる可能性がある。
【0054】
そのため、オフセット制御部24は、設計面51,52,53を加工して、垂直方向にオフセットさせる。オフセット制御部24による設計面51,52,53の加工は、オフセットされる前の設計面51,52,53の頂点に基づいて、オフセットされた後の設計面510,520,530を4角形に変更することを含む。
【0055】
[制御方法]
図7は、実施形態に係る油圧ショベル1の制御方法を示すフローチャートである。施工データ記憶部15には、複数の設計面が記憶されている。表示制御部25は、施工データ記憶部15に記憶されている複数の設計面を表示装置8Aに表示させる(ステップS1)。
【0056】
油圧ショベル1のオペレータは、入力装置8Bを操作して、表示装置8Aに表示された複数の設計面の中から垂直方向にオフセットさせる少なくとも2つの設計面を選択する。入力装置8Bからの入力データは、入力データ取得部18に取得される。選択部23は、入力データ取得部18により取得された入力データに基づいて、施工データ記憶部15に記憶されている複数の設計面の中から垂直方向にオフセットさせる少なくとも2つの設計面を選択する(ステップS2)。
【0057】
図8は、実施形態に係る選択部23により選択された設計面51,52,53を模式的に示す斜視図である。実施形態において、選択部23は、設計面51と、設計面51に隣接する設計面52と、設計面51及び設計面52の少なくとも一方に隣接する設計面53とを選択する。図8に示す例において、設計面53は、設計面52に隣接する。
【0058】
設計面51、設計面52、及び設計面53のそれぞれは、平面である。なお、設計面51は、相互に隣接する6つの三角形により構成される。設計面51を構成する6つの三角形は、同一平面内に配置される。設計面52は、相互に隣接する5つの三角形により構成される。設計面52を構成する5つの三角形は、同一平面内に配置される。設計面53は、相互に隣接する4つの三角形により構成される。設計面53を構成する4つの三角形は、同一平面内に配置される。
【0059】
設計面51、設計面52、及び設計面53のそれぞれの外形は、多角形である。設計面51、設計面52、及び設計面53のそれぞれの頂点は、少なくとも5つである。すなわち、設計面51、設計面52、及び設計面53は、5角形以上である。実施形態において、設計面51の外形は、7角形である。設計面52の外形は、6角形である。設計面53の外形は、6角形である。設計面51の一辺と設計面52の一辺とが一致するように、設計面51と設計面52とが隣接する。設計面52の一辺と設計面53の一辺とが一致するように、設計面52と設計面53とが隣接する。設計面51と設計面52とは、辺61を共有する。設計面52と設計面53とは、辺62を共有する。辺61は、設計面51の2つの頂点及び設計面52の2つの頂点を結ぶ。辺62は、設計面52の2つの頂点及び設計面53の2つの頂点を結ぶ。
【0060】
オフセット制御部24は、ステップS2において選択された設計面51,52,53を加工して、垂直方向にオフセットさせる(ステップS3)。
【0061】
図9は、実施形態に係るオフセット制御部24によりオフセットされる前の設計面51,52,53及びオフセットされた後の設計面510,520,530を模式的に示す斜視図である。図10は、実施形態に係るオフセット制御部24によりオフセットされる前の設計面51,52,53及びオフセットされた後の設計面510,520,530を模式的に示す側面図である。
【0062】
オフセット制御部24による設計面51,52,53の加工は、オフセットされる前の設計面51,52,53の頂点に基づいて、オフセットされた後の設計面510,520,530を4角形にすることを含む。
【0063】
設計面510の外形は、4角形である。設計面510は、第1辺610と、第1辺610に対向する第2辺612と、第1辺610の一端部と第2辺612の一端部とを結ぶ第3辺613と、第1辺610の他端部と第2辺612の他端部とを結ぶ第4辺614とを有する。設計面510の第1辺610の寸法及び向きは、設計面51の辺61の寸法及び向きに等しい。設計面510の第1辺610と設計面51の辺61とは、平行である。第1辺610と第2辺612とは、平行である。第1辺610の寸法と第2辺612の寸法とは、等しい。第1辺610と第3辺613とは、直交する。第1辺610と第4辺614とは、直交する。第3辺613と第4辺614とは、平行である。設計面510の第3辺613の寸法及び設計面510の第4辺614の寸法は、図8に示す距離L1に等しい。距離L1は、設計面51に平行且つ辺61に直交する方向において辺61と設計面51の頂点51Fとの距離である。頂点51Fは、設計面51の7つの頂点のうち、設計面51に平行且つ辺61に直交する方向において辺61から最も遠い頂点である。
【0064】
設計面530の外形は、4角形である。設計面530は、第5辺620と、第5辺620に対向する第6辺632と、第5辺620の一端部と第6辺632の一端部とを結ぶ第7辺633と、第5辺620の他端部と第6辺632の他端部とを結ぶ第8辺634とを有する。設計面530の第5辺620の寸法及び向きは、設計面53の辺62の寸法及び向きに等しい。設計面530の第5辺620と設計面53の辺62とは、平行である。第5辺620と第6辺632とは、平行である。第5辺620の寸法と第6辺632の寸法とは、等しい。第5辺620と第7辺633とは、直交する。第5辺620と第8辺634とは、直交する。第7辺633と第8辺634とは、平行である。設計面530の第7辺633の寸法及び設計面530の第8辺634の寸法は、図8に示す距離L2に等しい。距離L2は、設計面53に平行且つ辺62に直交する方向において辺62と設計面53の頂点53Fとの距離である。頂点53Fは、設計面53の6つの頂点のうち、設計面53に平行且つ辺62に直交する方向において辺62から最も遠い頂点である。
【0065】
設計面520の外形は、4角形である。設計面520は、第1辺610と、第1辺610に対向する第5辺620と、第1辺610の一端部と第5辺620の一端部とを結ぶ第9辺623と、第1辺610の他端部と第5辺620の他端部とを結ぶ第10辺624とを有する。
【0066】
設計面510は、設計面51の垂直方向(法線方向)に所定のオフセット量だけオフセットさせた平面である。設計面510と設計面51とは、平行である。設計面520は、設計面52の垂直方向(法線方向)に所定のオフセット量だけオフセットさせた平面である。設計面520と設計面52とは、平行である。設計面530は、設計面53の垂直方向(法線方向)に所定のオフセット量だけオフセットさせた平面である。設計面530と設計面53とは、平行である。設計面510と設計面520とは、第1辺610を共有する。設計面520と設計面530とは、第5辺620を共有する。
【0067】
図10に示すように、設計面51に垂直な法線ベクトルを法線ベクトルV1とし、設計面52に垂直な法線ベクトルを法線ベクトルV2とし、設計面53に垂直な法線ベクトルを法線ベクトルV3とした場合、辺61から第1辺610へのオフセットベクトルは、法線ベクトルV1と法線ベクトルV2との合成ベクトルV12に相当する。合成ベクトルV12は、設計面51のオフセット量D1と、設計面52のオフセット量D2と、法線ベクトルV1と法線ベクトルV2とがなす角度θ12から、以下の(1)式に基づいて算出される。
【0068】
【数1】
【0069】
設計面51から設計面510へのオフセット量と設計面52から設計面520へのオフセット量とが等しい場合、水平面に対する辺61から第1辺610へのオフセット方向(水平面に対する合成ベクトルV12の方向)は、水平面に対する法線ベクトルV1と水平面に対する法線ベクトルV2のベクトルの和(V1+V2)の方向に相当する。また、辺62から第5辺620へのオフセットベクトルは、法線ベクトルV2と法線ベクトルV3との合成ベクトルV23に相当する。合成ベクトルV23は、設計面52のオフセット量D2と、設計面53のオフセット量D3と、法線ベクトルV2と法線ベクトルV3とがなす角度θ23から、以下の(2)式に基づいて算出される。
【0070】
【数2】
【0071】
設計面52から設計面520へのオフセット量と設計面53から設計面530へのオフセット量とが等しい場合、水平面に対する辺62から第5辺620へのオフセット方向(水平面に対する合成ベクトルV23の方向)は、水平面に対する法線ベクトルV2と水平面に対する法線ベクトルV3のベクトルの和(V2+V3)の方向に相当する。
【0072】
以上のように、実施形態によれば、複数の設計面51,52,53のそれぞれが所定のルールに基づいて加工されることにより、複数の設計面51,52,53のそれぞれが垂直方向に簡便にオフセットされる。複数の設計面510,520,530により、適正な目標施工面が生成される。
【0073】
設計面51,52,53のそれぞれが4角形に加工され、垂直方向にオフセットされた後、作業機制御部28は、加工及びオフセットされた後の設計面510,520,530に基づいて、作業機5を制御する。作業機制御部28は、バケット5Cの刃先が設計面510,520,530に追従するように、作業機5をアシスト制御する。
【0074】
[加工及びオフセット後の2つの設計面が交差する場合の処理]
図11は、加工及びオフセットされた後の設計面510,520,530を模式的に示す側面図である。図12は、加工及びオフセットされた後の設計面510,530を模式的に示す平面図である。図11及び図12に示すように、設計面510,520,530の相対角度及びオフセット量によっては、加工及びオフセットされた後の設計面510と設計面530とが相互に交差する場合がある。加工及びオフセットされた後の設計面510と設計面530とが交差すると、設計面520が適正な形状とならないため、適正な目標施工面を生成することができない。
【0075】
図13は、2つの設計面510,530が交差する場合の処理方法の一例を模式的に示す図である。図13に示すように、加工及びオフセットされた後の設計面510と設計面530とが相互に交差する場合、オフセット制御部24は、加工及びオフセットされた後の設計面510、設計面520、及び設計面530を更に加工する。例えば図13に示すように、オフセット制御部24は、加工及びオフセットされた後の設計面520を、図12に示した第1辺610と第5辺620との間に空白部分を埋めるような三角形状に加工する。この三角形状を設計面540とする。オフセット制御部24は、加工及びオフセットされた後の設計面510の1辺である辺610を、設計面540の1辺で設計面510上にあるものと一致するように縮小する。オフセット制御部24は、加工及びオフセットされた後の設計面530の1辺である辺620を、設計面540の1辺で設計面530上にあるものと一致するように縮小する。加工及びオフセットされた後の設計面510、設計面520、及び設計面530が更に加工されることにより、目標施工面が適正に生成される。
【0076】
[コンピュータシステム]
図14は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の制御装置12は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の制御装置12の機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0077】
コンピュータプログラム又はコンピュータシステム1000は、上述の実施形態に従って、油圧ショベル1の施工対象に設定される複数の設計面を記憶することと、複数の設計面の中から設計面の垂直方向にオフセットさせる少なくとも2つの設計面51,52,53を選択することと、選択された設計面51,52,53を加工して、垂直方向にオフセットさせることと、を実行することができる。
【0078】
[効果]
以上説明したように、実施形態に係る油圧ショベル1の制御システム30は、油圧ショベル1の施工対象に設定される複数の設計面を記憶する施工データ記憶部15と、複数の設計面の中から設計面の垂直方向にオフセットさせる少なくとも2つの設計面51,52,53を選択する選択部23と、選択された設計面51,52,53を加工して、垂直方向にオフセットさせるオフセット制御部24と、加工及びオフセットされた後の設計面510,520,530に基づいて、油圧ショベル1が有する作業機5を制御する作業機制御部28と、を備える。
【0079】
実施形態においては、計算負荷が抑制された状態で、複数の設計面51,52,53のそれぞれが垂直方向に簡便にオフセットされる。また、設計面51,52,53が所定のルールに基づいて加工及び垂直方向にオフセットされることにより、相互に交差又は離隔していない設計面510,520,530が生成される。設計面510,520,530が相互に交差又は離隔しないので、目標施工面が適正に生成される。
【0080】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、施工データ記憶部15、車体データ記憶部16、操作データ取得部17、入力データ取得部18、センサデータ取得部19、位置方位算出部20、傾斜角算出部21、作業機位置算出部22、選択部23、オフセット制御部24、表示制御部25、走行制御部26、旋回制御部27、及び作業機制御部28のそれぞれが、別々のハードウエアにより構成されてもよい。
【0081】
上述の実施形態において、作業機械1が走行体3及び旋回体4を有する油圧ショベルであることとした。作業機械1は走行体3及び旋回体4を有しなくてもよい。作業機械1は、作業機を有していればよく、例えばブルドーザでもよいしホイールローダでもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…油圧ショベル(作業機械)、2…運転室、3…走行体、3A…履帯、4…旋回体、5…作業機、5A…ブーム、5B…アーム、5C…バケット、6…油圧シリンダ、6A…ブームシリンダ、6B…アームシリンダ、6C…バケットシリンダ、7…操作装置、7A…左作業レバー、7B…右作業レバー、7C…左走行レバー、7D…右走行レバー、7E…左フットペダル、7F…右フットペダル、8…車載モニタ、8A…表示装置、8B…入力装置、8C…警報装置、9…位置センサ、9A…第1位置センサ、9B…第2位置センサ、10…傾斜センサ、11…姿勢センサ、11A…第1姿勢センサ、11B…第2姿勢センサ、11C…第3姿勢センサ、12…制御装置、14…運転シート、15…施工データ記憶部、16…車体データ記憶部、17…操作データ取得部、18…入力データ取得部、19…センサデータ取得部、20…位置方位算出部、21…傾斜角算出部、22…作業機位置算出部、23…選択部、24…オフセット制御部、25…表示制御部、26…走行制御部、27…旋回制御部、28…作業機制御部、30…制御システム、50…目標施工面、51…設計面(第1設計面)、51F…頂点、52…設計面(第2設計面)、53…設計面(第3設計面)、53F…頂点、61…辺、62…辺、510…設計面、520…設計面、530…設計面、540…設計面、610…第1辺、612…第2辺、613…第3辺、614…第4辺、620…第5辺、623…第9辺、624…第10辺、632…第6辺、633…第7辺、634…第8辺、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース、Og…現場基準点、Om…代表点、RX…旋回軸。
図1
図2
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図6
図7
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図9
図10
図11
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図14