(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047147
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】金属粉末製造装置
(51)【国際特許分類】
B22F 9/08 20060101AFI20240329BHJP
B01J 2/02 20060101ALN20240329BHJP
【FI】
B22F9/08 A
B01J2/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152597
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】芝山 隆史
(72)【発明者】
【氏名】今野 晋也
【テーマコード(参考)】
4G004
4K017
【Fターム(参考)】
4G004CA03
4K017CA01
4K017EB17
4K017EB25
4K017EB27
4K017FA15
(57)【要約】
【課題】ガス噴射器から噴射されるアトマイズガスによって、金属粉末や液状粒子が飛散することを抑制する。
【解決手段】金属粉末製造装置は、溶融金属にアトマイズガスを衝突させることにより金属粉末を製造する金属粉末製造装置であって、溶融金属を貯留する貯留部と、貯留部から流出した溶融金属に対してアトマイズガスを噴射することにより、溶融金属を液状粒子として噴霧するガス噴射器と、ガス噴射器によって液状粒子が噴霧される噴霧槽と、を備え、噴霧槽は、有底円筒状であり、底部と、底部から立ち上がる筒部と、筒部の内部に噴霧された液状粒子が凝固することにより生成される金属粉末をアトマイズガスとともに筒部から排出する排出部と、を有し、排出部は、筒部の径方向に延びる直線に沿うように、かつ、直線に対してオフセットして設けられた排出管を有している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属にアトマイズガスを衝突させることにより金属粉末を製造する金属粉末製造装置であって、
溶融金属を貯留する貯留部と、
前記貯留部から流出した溶融金属に対してアトマイズガスを噴射することにより、溶融金属を液状粒子として噴霧するガス噴射器と、
前記ガス噴射器によって液状粒子が噴霧される噴霧槽と、を備え、
前記噴霧槽は、有底円筒状であり、底部と、前記底部から立ち上がる筒部と、前記筒部の内部に噴霧された液状粒子が凝固することにより生成される金属粉末をアトマイズガスとともに前記筒部から排出する排出部と、を有し、
前記排出部は、前記筒部の径方向に延びる直線に沿うように、かつ、前記直線に対してオフセットして設けられた排出管を有している
金属粉末製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の金属粉末製造装置において、
前記排出部は、前記筒部の所定位置に接続され、
前記排出管は、前記所定位置での前記筒部の内周面の接線方向に沿って延在している
金属粉末製造装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の金属粉末製造装置において、
前記排出部は、前記筒部に接続され前記筒部から導入されるアトマイズガスの下流側に向かって先細りに形成されたテーパ部と、前記テーパ部の先端に接続される前記排出管と、を有している
金属粉末製造装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の金属粉末製造装置において、
前記底部の内面は、前記筒部の中心軸を中心とする螺旋状に形成された螺旋斜面とされ、
前記螺旋斜面の上端部と下端部との間に、前記筒部から前記排出部にアトマイズガスを導く排出口が形成される
金属粉末製造装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の金属粉末製造装置において、
前記筒部の内部に設けられ前記筒部の中心軸を中心に回転する回転板と、
前記筒部の外部に設けられ前記回転板を駆動する駆動装置と、をさらに備える
金属粉末製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載の金属粉末製造装置において、
前記回転板の上面は、平坦な面である
金属粉末製造装置。
【請求項7】
請求項5に記載の金属粉末製造装置において、
前記回転板には、前記回転板の回転により旋回流を発生させる複数の羽根部が形成されている
金属粉末製造装置。
【請求項8】
請求項5に記載の金属粉末製造装置において、
前記噴霧槽は、前記ガス噴射器が取り付けられる上部槽と、前記排出部が取り付けられる下部槽とに分割されており、
前記上部槽と前記下部槽とは着脱自在である
金属粉末製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属にアトマイズガスを衝突させることにより金属粉末を製造する金属粉末製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属粉末製造装置には、高温の溶融金属を流下させ、噴霧槽内で溶融金属に対して高い流速でアトマイズガスを衝突させて溶融金属を微粒化することにより、金属粉末を製造するガスアトマイザ(ガスアトマイズ装置)がある。
【0003】
特許文献1には、金属粉末を迅速に冷却することを目的として、噴霧槽(アトマイズタンク)の下部に設けられた粉末回収容器の側壁に、側壁の接線方向に開口した冷却ガス吹き込み用のノズルが設けられた金属粉末製造装置が開示されている。この金属粉末製造装置では、粉末回収容器の側壁の接線方向から冷却用のガスが粉末回収容器内に吹き込まれ、粉末回収容器内に旋回流が生じる。粉末回収容器に堆積した金属粉末は、旋回流によって浮遊し、循環する。これにより、金属粉末が冷却される。なお、特許文献1には、粉末回収容器の上方に設けられたアトマイズガスタンクに、外部にガスを排出する排出部が設けられていることが開示されている(特許文献1の第1図参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の金属粉末製造装置では、高い流速で下方に噴射されるアトマイズガスの一部が、噴霧槽の下部において方向を転換して側壁に沿う上昇流となり、粉末回収容器に堆積されている金属粉末や微粒化された溶融金属である液状粒子を飛散させてしまうおそれがある。飛散した金属粉末が液状粒子に接触してしまうと、金属粉末が非球形状になったり、金属粉末の粒度が大きくなってしまったりするという問題が生じる。また、飛散した液状粒子が、アトマイズタンクの内面に付着してしまうと、清掃等のメンテナンス作業に手間がかかるという問題が生じる。このため、アトマイズガスによって金属粉末や液状粒子が飛散することを抑制する技術が要望されている。
【0006】
本発明は、ガス噴射器から噴射されるアトマイズガスによって金属粉末や液状粒子が飛散することを抑制可能な金属粉末製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による金属粉末製造装置は、溶融金属にアトマイズガスを衝突させることにより金属粉末を製造する金属粉末製造装置であって、溶融金属を貯留する貯留部と、前記貯留部から流出した溶融金属に対してアトマイズガスを噴射することにより、溶融金属を液状粒子として噴霧するガス噴射器と、前記ガス噴射器によって液状粒子が噴霧される噴霧槽と、を備え、前記噴霧槽は、有底円筒状であり、底部と、前記底部から立ち上がる筒部と、前記筒部の内部に噴霧された液状粒子が凝固することにより生成される金属粉末をアトマイズガスとともに前記筒部から排出する排出部と、を有し、前記排出部は、前記筒部の径方向に延びる直線に沿うように、かつ、前記直線に対してオフセットして設けられた排出管を有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ガス噴射器から噴射されるアトマイズガスによって金属粉末や液状粒子が飛散することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るガスアトマイズ装置の全体構成図である。
【
図3】
図3は、排出部の出口側から見た旋回流発生部の側面図である。
【
図6】
図6は、アトマイズガスの流れについて示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係るガスアトマイズ装置の噴霧槽を斜め下側から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、噴霧槽の底部の内面を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、噴霧槽を下方から見た底面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3実施形態に係るガスアトマイズ装置の全体構成図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態の変形例1及び変形例2に係るガスアトマイズ装置の底面模式図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態の変形例3に係るガスアトマイズ装置の全体構成図である。
【
図13】
図13は、
図12のXIII-XIII線断面模式図であり、回転板の回転方向を矢印Rで模式的に示し、アトマイズガスの流れ方向を矢印Fで模式的に示す。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態の変形例4に係るガスアトマイズ装置の噴霧槽の平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るガスアトマイズ装置(ガスアトマイザ)1の全体構成図である。
図1に示すガスアトマイズ装置1は、溶融金属にアトマイズガスを衝突させることにより金属粉末を製造する金属粉末製造装置である。ガスアトマイズ装置1は、溶解槽10と、溶解槽10の下方に設けられるガス噴射器20と、ガス噴射器20の下方に設けられる噴霧槽100とを備えている。
【0012】
-溶解槽-
溶解槽10は、その内部を不活性ガス雰囲気に保持する密閉容器である。溶解槽10の内部には、るつぼ11が収納されている。るつぼ11の周囲には、固体状の金属(溶解素材)を溶解するための加熱装置(不図示)が設けられている。加熱装置は、例えば、るつぼ11に巻き付けられる高周波加熱コイルである。るつぼ11に溶解素材が投入され、加熱装置によりるつぼ11が加熱されると、溶解素材が溶融し、液体状の金属である溶融金属(溶湯とも記す)が生成される。溶融金属は、るつぼ11に貯留される。つまり、るつぼ11は、溶融金属を貯留する貯留部として機能する。
【0013】
-溶湯ノズル-
るつぼ11には溶湯ノズル12が取り付けられている。溶湯ノズル12は、るつぼ11の底部から噴霧槽100に向かって(すなわち、鉛直下方に向かって)延在している。溶湯ノズル12は、るつぼ11内の溶融金属を噴霧槽100内に流下させる。
【0014】
-ガス噴射器-
ガス噴射器20には、溶湯ノズル12が挿入される挿入孔が設けられている。ガス噴射器20は、るつぼ11から溶湯ノズル12を介して流出した溶融金属に対してアトマイズガス(本実施形態では、不活性ガス)を高圧で噴射する。ガス噴射器20は、アトマイズガスを溶融金属に衝突させ、溶融金属を多数の微細な液状粒子に粉砕することで、溶融金属を液状粒子として噴霧槽100内に噴霧する。ガス噴射器20の側部には、外部からガス噴射器20にアトマイズガスGaを供給するガス供給管31が取り付けられている。
【0015】
ガス噴射器20は、ガス供給管31から供給されたアトマイズガスGaを溶湯ノズル12の先端部に向かって噴射する複数の噴射ノズル(不図示)を備えている。複数の噴射ノズルは、溶湯ノズル12の周囲に環状に配置される。なお、複数の溶湯ノズル12が設けられる場合には、それぞれの溶湯ノズル12の周囲に、複数の噴射ノズルが環状に配置される。
【0016】
-噴霧槽-
噴霧槽100は、有底円筒状の容器であり、その内部は不活性ガス雰囲気に保持されている。噴霧槽100は、上端から下端に亘って同じ内径となるように形成されている。噴霧槽100は、円板状の底部103と、底部103の外縁部から立ち上がる円筒状の筒部101と、を有する。噴霧槽100の筒部101の内部には、ガス噴射器20によって液状粒子が噴霧される。筒部101の内部に噴霧された液状粒子は、重力によって落下する過程で凝固し、粉末状の固体金属(以下、金属粉末と記す)になる。なお、噴霧槽は
図10に示すように、ガス噴射器20が取り付けられる上部槽としての噴霧槽本体308と、排出部102が取り付けられる下部槽としての旋回流発生部309とに分割することもできる。噴霧槽本体308と旋回流発生部309とは着脱自在である。
【0017】
-旋回流発生部-
噴霧槽100の下部(底部103の近傍)には、金属粉末をアトマイズガスとともに筒部101から排出する排出部102が設けられている。本実施形態では、排出部102が筒部101の接線方向に沿って設けられているため(
図2~
図6参照)、筒部101の下部において旋回流が発生する。このため、噴霧槽100の下部を旋回流発生部109とも記す。旋回流発生部109に設けられる排出部102の取付位置及び構造の詳細については後述する。
【0018】
-回収装置-
噴霧槽100で生成された金属粉末は、回収装置900によって回収される。回収装置900は、排出部102に接続される粉体分離器(サイクロン)901と、粉体分離器901の下方に設けられるタンク902とを有する。
【0019】
アトマイズガスに金属粉末が混入した粉末混入ガスGbは、噴霧槽100の筒部101から排出部102を通じてサイクロン901に供給される。サイクロン901は、旋回流によって、アトマイズガスと金属粉末とを分離する。アトマイズガスは、図示しないフィルタ装置を通じて外部に排出される。分離された金属粉末は、タンク902に蓄積される。
【0020】
-排出部の取付位置及び構造-
本実施形態に係るガスアトマイズ装置1は、噴霧槽100の側部に上述した排出部102を設けることにより旋回流を発生させる。
図2~
図6を参照して、排出部102の取付位置及び構造について詳しく説明する。
【0021】
図2は旋回流発生部109の外観斜視図であり、
図3は排出部102の出口側から見た旋回流発生部109の側面図である。
図4は
図3のIV-IV線断面図であり、
図5は
図4のV-V線断面図である。
【0022】
図2~
図5に示すように、排出部102は、筒部101に接続され筒部101から導入されるアトマイズガスの下流側に向かって先細りに形成されたテーパ部121と、テーパ部121の先端に接続される排出管122と、排出管122の先端に接続される接続管123とを有している。テーパ部121は、筒部101から導入される粉末混入ガスを水平方向に流す導入流路を形成する。排出管122は、テーパ部121に接続される基端部から接続管123に接続される先端部に亘って、斜め上方に延在している。接続管123は、サイクロン901に接続される。
【0023】
テーパ部121は、矩形筒状の配管であり、矩形状断面の流路を形成する。排出管122及び接続管123は、円筒状の配管であり、円形状断面の流路を形成する。
【0024】
図5に示すように、テーパ部121は、筒部101の内周面101iの任意の位置である第1位置P1から、第1位置P1での筒部101の内周面101iの接線方向Dtに延在する第1側板121aと、第1位置P1から筒部101の周方向に所定距離だけ離れた第2位置P2から、第1側板121aとの間の距離が徐々に短くなるように延在する第2側板121bとを有する。また、テーパ部121は、第1側板121aの上端部と第2側板121bの上端部とを連結する上板121c(
図2、
図3参照)と、第1側板121aの下端部と第2側板121bの下端部とを連結する下板121d(
図3参照)とを有する。第1側板121a、第2側板121b、上板121c、及び下板121dのそれぞれの先端部(下流側の端部)は、排出管122の形状に倣った曲面形状に形成されていることが好ましい。
【0025】
テーパ部121は、筒部101に形成される矩形状の排出口125を覆うように、筒部101の側面に接続される。排出口125は、筒部101から排出部102にアトマイズガスを導く開口である。テーパ部121の外郭は、四角錐台形状を呈している。テーパ部121により形成される流路の断面積は、排出口125から排出管122に向かって徐々に小さくなる。
【0026】
排出管122は、排出部102のうちで最も長い直線状の流路126を形成する部位(流路形成体)である。
図5に示すように、排出管122の中心軸CLは、上方から見たときに、筒部101の中心軸Oから筒部101の径方向に延びる一の直線Lrに対して平行であり、かつ直線Lrに直交する方向(水平方向)に直線Lrから所定距離(オフセット量)Dだけオフセットした位置に配置される。オフセット量Dは、例えば、筒部101の内径の1/2以上とすることが好ましい。本実施形態では、排出管122の中心軸CLは、上方から見たときに、第1位置P1での筒部101の内周面101iの接線方向Dtに平行である。別の言い方をすれば、排出管122の中心軸CLは、第1位置P1での筒部101の接平面に平行である。この接平面は、筒部101の中心軸Oの全体と第1位置P1とを含む仮想平面に直交する。
【0027】
-アトマイズガスの流れ-
図6は、アトマイズガスの流れについて示す図である。
図6では、アトマイズガスの流れを矢印Fで模式的に示している。
図5に示すように、排出管122は、筒部101の径方向に延びる直線Lrに沿うように、かつ直線Lrに重なることなく、直線Lrに対してオフセットして設けられている。これにより、
図6に示すように、筒部101内に螺旋状の気流(旋回流)が発生する。特に、本実施形態では、第1位置P1での筒部101の内周面101iの接線方向Dtに沿って排出管122が延在しており、十分なオフセット量Dが確保されている。第1位置P1での筒部101の内周面101iの接線を含む流路126が形成されているため、旋回流の周方向の速度を十分な速度とすることができる。
【0028】
ガス噴射器20から溶湯に向けて噴射され、溶湯に衝突したアトマイズガスは旋回流発生部109の底部103に向かって(すなわち下方に向かって)流れる。アトマイズガスは、旋回流発生部109で径方向に方向を転換しつつ周方向に沿って流れ、旋回流となる。旋回流は、液状粒子が噴霧槽100の内周面101iに衝突することを防止する。これにより、液状粒子が噴霧槽100の内周面101iに付着することが防止される。また、旋回流は、筒部101の水平面内における熱分布を均一化する作用を発揮するため、液状粒子や金属粉末が効果的に冷却される。
【0029】
径方向外側を流れるアトマイズガスの周速は、径方向内側を流れるアトマイズガスの周速よりも速い。筒部101の内周面101i近傍のアトマイズガスは、内周面101iに沿って流れ、排出口125からテーパ部121に導かれる。つまり、ガス噴射器20から下方に向かって流れるアトマイズガスは、旋回流に合流して排出口125に導かれるため、アトマイズガスの一部が上昇流となることが抑制される。したがって、本実施形態の構成では、アトマイズガスにより金属粉末や液状粒子が巻き上げられて飛散することを抑制できる。テーパ部121に導入された金属粉末を含むアトマイズガスである粉末混入ガスは、排出管122に導かれ、排出管122から接続管123を通じてサイクロン901に導入される。サイクロン901に導入された粉末混入ガスは、アトマイズガスと金属粉末に分離され、タンク902に金属粉末が蓄積される。
【0030】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0031】
(1)噴霧槽100は、筒部101の内部に噴霧された液状粒子が凝固することにより生成される金属粉末をアトマイズガスとともに筒部101から排出する排出部102を有している。排出部102は、筒部101の径方向に延びる直線Lrに沿うように、かつ、上記直線Lrに対してオフセットして設けられた排出管122を有している。つまり、排出部102は、筒部101の径方向に延びる直線Lrに対してオフセットした位置において、上記直線Lrに沿ってアトマイズガスを導く流路126を形成する。
【0032】
この構成では、ガス噴射器20から噴射され、下方に向かって流れるアトマイズガスは、噴霧槽100の下部において旋回し、金属粉末とともに排出部102から速やかに外部に排出される。したがって、ガス噴射器20から噴射されたアトマイズガスの一部が、噴霧槽100の下部において上昇流となることが抑制される。つまり、本実施形態によれば、ガス噴射器20から噴射されるアトマイズガスによって金属粉末や液状粒子が飛散することを抑制できる。これにより、噴霧された液状粒子と飛散した金属粉末との接触を防止できるので、金属粉末が非球形状になってしまったり、金属粉末の粒度が大きくなってしまったりすることを防止できる。また、噴霧槽100の内周面101iに液状粒子が付着することを防止できる。
【0033】
このため、本実施形態によれば、球形状かつ粒度の小さい金属粉末の製造効率が高く、かつ、清掃等のメンテナンス作業を容易に行うことのできるガスアトマイズ装置1を提供することができる。
【0034】
(2)排出部102は、筒部101の第1位置(所定位置)P1に接続され、排出管122は、第1位置P1での筒部101の内周面101iの接線方向Dtに沿って延在している。この構成では、排出部102内を流れる粉末混入ガスの流線が、排出口125が形成される筒部101の第1位置(所定位置)P1での筒部101の内周面101iの接線方向Dtと平行になる。この構成によれば、排出管122の中心軸CLと直線Lrとの間の距離(オフセット量D)を大きくとることができる。このため、排出管122が、上記実施形態で説明した例よりも直線Lrに近い位置に設けられる場合(例えば、
図14参照)に比べて、容易に旋回流を発生させることができる。
【0035】
なお、排出部102は、少なくとも噴霧槽100の筒部101から導入される粉末混入ガスの流れに、筒部101との接続部における所定位置(本実施形態では第1位置P1)での筒部101の内周面101iの接線方向Dtを向く速度ベクトルが含まれるように形成されていることが好ましい。これにより、噴霧槽100に、ガス噴射器20から噴射されるアトマイズガスとは別に、噴霧槽100の側部にガスを導入させることなく、容易に旋回流を発生させることができる。したがって、噴霧槽100の側部にガスを導入させる構成に比べて、ガスアトマイズ装置1の構成を簡素化できる。
【0036】
(3)排出部102は、筒部101に接続され筒部101から導入されるアトマイズガスの下流側に向かって先細りに形成されたテーパ部121を有している。この構成によれば、テーパ部121を設けずに、直接、排出管122を筒部101に接続する構成に比べて、排出部102を通じた外部への金属粉末の排出効率を向上することができる。
【0037】
(4)ここで、図示しないが、本実施形態の比較例として、噴霧槽の下部に下方に向かって先細りとなるホッパが設けられ、ホッパの下方に排出部を有する粉末回収部が設けられたガスアトマイズ装置で生じ得る問題点について説明する。比較例に係るガスアトマイズ装置では、ホッパが設けられているため、ガス噴射器から下方に向かって噴射されたアトマイズガスの全てを、粉末回収部の排出部を通じて外部に排出することが難しい。このため、比較例に係るガスアトマイズ装置では、ガス噴射器から下方に向かって噴射されたアトマイズガスの一部が、ホッパのテーパ面に沿って上方に逆流し、金属粉末や液状粒子が噴霧槽内で飛散するおそれがある。これに対して、本実施形態では、噴霧槽100が、その上端から下端に亘って同じ内径となるように形成されている。つまり、本実施形態に係る噴霧槽100は、下方に向かって先細りとなるホッパが設けられていない。このため、本実施形態によれば、比較例に比べて、金属粉末や液状粒子の飛散を効果的に抑制できる。
【0038】
<第2実施形態>
図7~
図9を参照して、本発明の第2実施形態に係るガスアトマイズ装置1Bについて説明する。なお、第1実施形態で説明した構成と同一の構成には同一の参照記号を付している。また、第2実施形態において、第1実施形態で説明した構成に相当する構成については、100番台の参照記号の下2桁を同じとした200番台の参照記号を付している。第2実施形態では、第1実施形態と同一または相当する構成についての説明を適宜省略し、相違点について詳しく説明する。
【0039】
図7は、第2実施形態に係るガスアトマイズ装置1Bの噴霧槽200を斜め下側から見た斜視図である。
図8は噴霧槽200の底部203の内面を示す斜視図であり、
図9は噴霧槽200を下方から見た底面図である。以下、説明の便宜上、図示するように、x軸、y軸及びz軸を定義する。x軸、y軸及びz軸は、互いに直交する。また、x軸に平行な方向をx軸方向、y軸に平行な方向をy軸方向、z軸に平行な方向をz軸方向と記す。z軸は、噴霧槽200の筒部201の中心軸Oと重なる鉛直方向の軸である。x軸及びy軸は、中心軸Oから水平方向に延びる軸である。x軸は、水平面内で中心軸Oから第1位置P1に向かう軸である。y軸は、直線Lrに平行な軸である。
【0040】
図7~
図9に示すように、第2実施形態に係る噴霧槽200の底部203の内面(底面)は、円筒状の筒部201の中心軸Oを中心とする螺旋状に形成されている。以下、底部203の内面(底面)を螺旋斜面203iと記す。本第2実施形態に係る旋回流発生部209の底部203は板状部材であり、底部203が螺旋状に形成されることにより、底部203の内面が螺旋斜面203iとされている。排出部202は、螺旋斜面203iの上端部203aから下端部203bに向かう周方向(
図9での反時計方向)に沿って延在している。
【0041】
排出部202のテーパ部221は、四角錐台形状であり、x軸方向に互いに対向して配置される第1側板221a及び第2側板221bと、z軸方向に互いに対向して配置される上板221c及び下板221dと、を有する。第1側板221aと第2側板221bとは、排出口225から排出管122に近づくほど第1側板221aと第2側板221bとの間のx軸方向の距離が小さくなるように形成されている。つまり、テーパ部221は、排出口225から排出されるアトマイズガスの上流側から下流側に向かって先細りとなるテーパ状に形成されている。
【0042】
排出口225は、矩形状に形成されている。
図9に示すように、排出口225は、筒部201の中心軸Oから第1位置P1まで延在している。排出口225は、筒部201の径方向に沿って設けられる。排出口225は、幅(x軸方向の長さ)が高さ(z軸方向の長さ)よりも長く形成されている。
【0043】
図7及び
図8に示すように、螺旋斜面203iの上端部203aは、排出口225の上辺225a側に位置している。螺旋斜面203iの下端部203bは、排出口225の下辺225bを構成している。螺旋斜面203iの上端部(一端辺)203aと下端部(他端辺)203bとは、z軸方向から見たときに重なるように配置されている。螺旋斜面203iの上端部203aから下端部203bまでのz軸方向の距離(高さ)は、排出口225のz軸方向の高さ以上である。排出口225は、螺旋斜面203iの上端部203aと下端部203bとの間に形成される。排出管122は、z軸方向から見たときに、y軸方向に沿って延在している。
【0044】
このように、本第2実施形態では、底部203の内面が、筒部201の中心軸Oを中心とする螺旋状に形成された螺旋斜面203iとされ、螺旋斜面203iの上端部203aと下端部203bとの間に、筒部201から排出部202にアトマイズガスを導く排出口225が形成される。この構成では、ガス噴射器20側から底部203に向かって流れるアトマイズガスが、螺旋斜面203iの形状に倣って上端部203aから下端部203bに向かって旋回し、排出口225から排出部202に導入される。このような第2実施形態によれば、底部203の内面が、水平な平面とされている場合に比べて、旋回流をより容易に発生させることができる。
【0045】
<第3実施形態>
図10を参照して、本発明の第3実施形態に係るガスアトマイズ装置1Cについて説明する。なお、第1実施形態で説明した構成と同一の構成には同一の参照記号を付している。また、第3実施形態において、第1実施形態で説明した構成に相当する構成については、100番台の参照記号の下2桁を同じとした300番台の参照記号を付している。第3実施形態では、第1実施形態と同一または相当する構成についての説明を適宜省略し、相違点について詳しく説明する。
【0046】
図10は、第3実施形態に係るガスアトマイズ装置1Cの全体構成図である。
図10に示すように、第3実施形態に係るガスアトマイズ装置1Cは、噴霧槽300の筒部301の内部に設けられ筒部301の中心軸Oを中心に回転する回転板331と、筒部301の外部に設けられ回転板331を駆動する駆動装置330と、をさらに備える。駆動装置330は、例えば、電動機を有する。電動機の出力軸は、円板状の底部303を貫通し、回転板331に接続される。回転板331は、円板状の部材である。回転板331の上面は、平坦な面であり、凹凸がない。
【0047】
噴霧槽300は、ガス噴射器20が取り付けられる上部槽としての噴霧槽本体308と、排出部102が取り付けられる下部槽としての旋回流発生部309とに分割されている。噴霧槽本体308と旋回流発生部309とは着脱自在である。図示する例では、噴霧槽本体308の下端部のフランジと旋回流発生部309の上端部のフランジとが、ボルト、ナット等の締結部材により締結されている。噴霧槽300の筒部301は、噴霧槽本体308の筒部と旋回流発生部309の筒部とにより構成される。
【0048】
本第3実施形態によれば、回転板331を駆動装置330により回転させることにより、速やかに旋回流を発生させることができる。また、回転板331の回転速度を調整することにより、旋回流の速度を調整することができる。
【0049】
旋回流発生部309は、噴霧槽本体308から取り外すことができるため、作業者は、回転板331、駆動装置330、及び排出部102の清掃、点検等を容易に行うことができる。さらに、回転板331の上面が平坦であるため、回転板331の上面に凹凸がある場合に比べて、容易に回転板331の清掃を行うことができる。
【0050】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
【0051】
<変形例1>
上記実施形態では、旋回流発生部109,209,309が一つの排出部102,202を有している例について説明した。しかしながら、旋回流発生部109,209,309は、複数の排出部102,202を有していてもよい。例えば、
図11に示すガスアトマイズ装置1Dのように、二つの排出部402が噴霧槽400に設けられていてもよい。なお、複数の排出部402は、筒部101の中心軸Oに対して回転対称に配置されていることが好ましい。図示する例では、二つの排出部402を有する噴霧槽400は、2回対称形状とされている。すなわち、噴霧槽400は、中心軸Oを中心に180度回転させると重なる形状とされている。
【0052】
<変形例2>
上記実施形態では、筒部101に形成される排出口125,225にテーパ部121,221が取り付けられる例について説明した。しかしながら、テーパ部121,221は省略されていてもよい。つまり、
図11に示すガスアトマイズ装置1Dのように、円形状の流路断面を有する排出管122が筒部101に溶接等により直接接続されていてもよい。
【0053】
<変形例3>
第3実施形態では、回転板331の上面が平坦な面である例について説明した(
図10参照)。しかしながら、回転板331の上面には凹凸があってもよい。
図12は、変形例3(第3実施形態の変形例)に係るガスアトマイズ装置1Eの全体構成図である。
図13は、
図12のXIII-XIII線断面模式図であり、回転板531の回転方向を矢印Rで模式的に示し、アトマイズガスの流れ方向を矢印Fで模式的に示す。
【0054】
図12及び
図13に示すように、本変形例3に係るガスアトマイズ装置1Eの噴霧槽500の内部に設けられる回転板531には、回転板531の回転により旋回流を発生させる(促進させる)複数の羽根部532bが形成されている。回転板531は、円板状の回転基板532aと、回転基板532aの上面から突出する凸部である複数の羽根部532bとを有している。羽根部532bは、矩形断面を有し、筒部301の中心軸Oから回転基板532aの径方向外側に向かって直線状に延在している。複数の羽根部532bは、中心軸Oの周りに回転対称に配置されている。本実施形態では、8個の羽根部532bを有する回転板531が、中心軸Oに対して8回対称形状とされている。すなわち、回転板531は、中心軸Oを中心に45度回転させると重なる形状とされている。
【0055】
本変形例3によれば、第3実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、本変形例3によれば、第3実施形態に比べて、より容易に旋回流を発生させることができる。なお、
図13に示す例では、複数の羽根部532bが回転板531の径方向に沿って直線状に形成されているが、羽根部532bの形状はこれに限定されない。羽根部532bは、円弧状などの湾曲状に形成されていてもよい。
【0056】
また、羽根部532bがリブとして機能するため、回転板531の剛性を高めることができる。このため、回転板531の軽量化を図ることができる。
【0057】
<変形例4>
排出部102,202の形状は、上記実施形態で説明した例に限定されない。例えば、上記実施形態では、排出管122の流路断面の形状が円形状である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。排出管122の流路断面の形状は、矩形状、楕円形状等、種々の形状を採用することができる。
【0058】
また、上記実施形態では、第1位置(所定位置)P1において、排出部102,202が筒部101,201,301に接続される例について説明したが、
図14に示すガスアトマイズ装置1Fのように、噴霧槽600の内周面101iにおける第1位置P1よりも中心軸O側において、第1位置P1での内周面101iの接線方向Dtと平行に延在する排出部602(排出管122)が、筒部101に接続されていてもよい。つまり、排出部は、その位置及び形状によって噴霧槽内に旋回流を発生させることができるように構成されていればよい。
【0059】
<付記>
各実施形態及びその変形例に記載された金属粉末製造装置は、例えば以下のように把握される。
【0060】
(1)第1の態様に係る金属粉末製造装置(ガスアトマイズ装置1,1B,1C,1D,1E,1F)は、溶融金属にアトマイズガスを衝突させることにより金属粉末を製造する金属粉末製造装置であって、溶融金属を貯留する貯留部(るつぼ11)と、前記貯留部から流出した溶融金属に対してアトマイズガスを噴射することにより、溶融金属を液状粒子として噴霧するガス噴射器20と、前記ガス噴射器20によって液状粒子が噴霧される噴霧槽100,200,300,400,500,600と、を備え、前記噴霧槽100,200,300,400,500,600は、有底円筒状であり、底部103,203,303と、前記底部103,203,303から立ち上がる筒部101,201,301と、前記筒部101,201,301の内部に噴霧された液状粒子が凝固することにより生成される金属粉末をアトマイズガスとともに前記筒部101,201,301から排出する排出部102,202,402,602と、を有し、前記排出部102,202,402,602は、前記筒部101,201,301の径方向に延びる直線Lrに沿うように、かつ、前記直線Lrに対してオフセットして設けられた排出管122を有している。
【0061】
第1の態様に係る金属粉末製造装置(ガスアトマイズ装置1,1B,1C,1D,1E,1F)は、排出部102,202,402,602が、筒部101,201,301の径方向に延びる直線Lrに沿うように、かつ、直線Lrに対してオフセットして設けられた排出管122を有している。このため、排出管122を通じてアトマイズガスが排出されることにより、筒部101,201,301の周方向に沿って流れる旋回流が発生する。ガス噴射器20から噴射されたアトマイズガスは、金属粉末とともに旋回流により速やかに排出部102,202,402,602から外部に排出される。このため、ガス噴射器20から噴射されたアトマイズガスの一部が、噴霧槽100,200,300,400,500,600の底部103,203,303から上方に向かって流れるような上昇流の発生を抑制することができる。これにより、噴霧槽100,200,300,400,500,600内で生成された金属粉末が巻き上げられることが防止される。その結果、金属粉末が、噴霧槽100,200,300,400,500,600内に噴霧された液状粒子に付着することが防止され、非球形状の金属粉末や、目標とする粒度よりも大きい粒度の金属粉末が生成されることが防止される。また、液状粒子が、噴霧槽100,200,300,400,500,600の内面に付着することが防止されるため、噴霧槽100,200,300,400,500,600内の清掃等のメンテナンス作業の頻度を低減したり、メンテナンス作業の時間を低減したりすることができる。すなわち、メンテナンス作業の効率が向上する。
【0062】
(2)第2の態様に係る金属粉末製造装置(ガスアトマイズ装置1,1B,1C,1D,1E)は、第1の態様に係る金属粉末製造装置において、前記排出部102,202,402は、前記筒部101,201,301の所定位置(第1位置P1)に接続され、前記排出管122は、前記所定位置(第1位置P1)での前記筒部101,201,301の内周面の接線方向Dtに沿って延在している。これにより、筒部101,201,301の内周面に沿って流れるガスが、そのまま排出部102,202,402に導かれることになるため、より容易に旋回流を発生させることができる。
【0063】
(3)第3の態様に係る金属粉末製造装置(ガスアトマイズ装置1,1B,1C,1E)は、第1の態様または第2の態様に係る金属粉末製造装置において、前記排出部102,202は、前記筒部101,201,301に接続され前記筒部101,201,301から導入されるアトマイズガスの下流側に向かって先細りに形成されたテーパ部121,221と、前記テーパ部121,221の先端に接続される前記排出管122と、を有している。この構成によれば、排出部102,202を通じた外部への金属粉末の排出効率を向上することができる。
【0064】
(4)第4の態様に係る金属粉末製造装置(ガスアトマイズ装置1B)は、第1の態様から第3の態様までのいずれか一つに係る金属粉末製造装置において、前記底部203の内面は、前記筒部201の中心軸Oを中心とする螺旋状に形成された螺旋斜面203iとされ、前記螺旋斜面203iの上端部203aと下端部203bとの間に、前記筒部201から前記排出部202にアトマイズガスを導く排出口225が形成される。この構成では、ガス噴射器20側から底部203に向かって流れるアトマイズガスが、螺旋斜面203iの形状に倣って上端部203aから下端部203bに向かって旋回し、排出口225から排出部202に導入される。したがって、この構成によれば、底部203の内面が、水平な平面とされている場合に比べて、旋回流をより容易に発生させることができる。
【0065】
(5)第5の態様に係る金属粉末製造装置(ガスアトマイズ装置1C,1E)は、第1の態様から第3の態様までのいずれか一つに係る金属粉末製造装置において、前記筒部301の内部に設けられ前記筒部301の中心軸Oを中心に回転する回転板331,531と、前記筒部301の外部に設けられ前記回転板331,531を駆動する駆動装置330と、をさらに備える。この構成によれば、回転板331,531を駆動装置330により回転させることにより、速やかに旋回流を発生させることができる。また、回転板331,531の回転速度を調整することにより、旋回流の速度を調整することができる。
【0066】
(6)第6の態様に係る金属粉末製造装置(ガスアトマイズ装置1C)は、第5の態様に係る金属粉末製造装置において、前記回転板331の上面は、平坦な面である。この構成によれば、回転板331の上面に凹凸がある場合に比べて、容易に回転板331の清掃を行うことができる。
【0067】
(7)第7の態様に係る金属粉末製造装置(ガスアトマイズ装置1E)は、第5の態様に係る金属粉末製造装置において、前記回転板531には、前記回転板531の回転により旋回流を発生させる複数の羽根部532bが形成されている。この構成によれば、第6の態様に係る金属粉末製造装置に比べて、より容易に旋回流を発生させることができる。
【0068】
(8)第8の態様に係る金属粉末製造装置(ガスアトマイズ装置1C,1E)は、第1の態様から第7の態様までのいずれか一つに係る金属粉末製造装置において、前記噴霧槽300,500は、前記ガス噴射器20が取り付けられる上部槽(噴霧槽本体308)と、前記排出部102が取り付けられる下部槽(旋回流発生部309)とに分割されており、前記上部槽と前記下部槽とは着脱自在である。この構成では、下部槽(旋回流発生部309)を上部槽(噴霧槽本体308)から取り外すことができるため、作業者は、回転板331,531、駆動装置330、及び排出部102の清掃、点検等を容易に行うことができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0070】
1,1B,1C,1D,1E,1F…ガスアトマイズ装置(金属粉末製造装置)、10…溶解槽、11…るつぼ(貯留部)、12…溶湯ノズル、20…ガス噴射器、31…ガス供給管、100,200,300,400,500,600…噴霧槽、101,201,301…筒部、101i…内周面、102,202,402,602…排出部、103,203,303…底部、109,209…旋回流発生部、121,221…テーパ部、121a,221a…第1側板、121b,221b…第2側板、121c,221c…上板、121d,221d…下板、122…排出管、123…接続管、125,225…排出口、203a…上端部(一端辺)、203b…下端部(他端辺)、203i…螺旋斜面、225a…上辺、225b…下辺、308…噴霧槽本体(上部槽)、309…旋回流発生部(下部槽)、330…駆動装置、331,531…回転板、532a…回転基板、532b…羽根部、900…回収装置、901…粉体分離器(サイクロン)、902…タンク、CL…排出管の中心軸、D…オフセット量(所定距離)、Dt…接線方向、F…粉末混入ガスの流れ方向を表す矢印、Ga…アトマイズガス、Gb…粉末混入ガス、Lr…直線、O…筒部の中心軸(噴霧槽の中心軸)、P1…第1位置(所定位置)、P2…第2位置