(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047153
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】電極板加工装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20240329BHJP
B26F 1/20 20060101ALI20240329BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20240329BHJP
B21D 22/02 20060101ALI20240329BHJP
B21D 53/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
B26F1/20
H01G13/00 381
B21D22/02 A
B21D53/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152610
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000139687
【氏名又は名称】株式会社安永
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 健二
【テーマコード(参考)】
3C060
4E137
5E082
5H050
【Fターム(参考)】
3C060AA16
3C060AB01
3C060BA06
3C060BC04
3C060BD03
3C060BE08
3C060BG06
3C060BG13
3C060BG17
3C060BH01
4E137AA10
4E137BA04
4E137BA05
4E137BB01
4E137BC04
4E137CA02
4E137EA14
4E137FA12
4E137FA22
4E137GA17
4E137GB20
4E137HA10
5E082BC38
5E082EE02
5E082EE03
5E082EE14
5E082EE15
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB07
5H050GA03
5H050GA04
5H050GA09
5H050GA29
5H050HA04
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】電極板への穴加工を出来る限り高い精度で行うことができる電極板加工装置を提供する。
【解決手段】電極板100の幅よりも狭い幅をそれぞれ有しかつ電極板100の加工面に穴部103を形成する複数の加工ローラ32と、各加工ローラ32をそれぞれ独立して支持する複数の支持機構34と、を備え、各加工ローラ32は、円筒状のローラ本体32aの表面に貼り付けられかつ穴部103を形成するための複数の突起33aが設けられた金属板33をそれぞれ有し、各金属板33は、各加工ローラ32の各軸方向においては1枚だけ設けられており、バックアップローラ40の周方向から見て、電極板100の幅方向に隣り合う加工ローラ32同士は、バックアップローラ40の周方向に位置をずらして配置されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極板に有底の穴部を形成するための電極板加工装置であって、
加工前の前記電極板が巻回されかつ該電極板を送り出す巻き出しローラと、
前記電極板の幅よりも狭い幅をそれぞれ有しかつ前記電極板の加工面に前記穴部を形成する複数の加工ローラと、
前記各加工ローラをそれぞれ独立して支持する複数の支持機構と、
前記各加工ローラと共に前記電極板を挟持するバックアップローラと、
加工後の前記電極板を巻き取る巻き取りローラと、を備え、
前記各加工ローラは、
円筒状のローラ本体と、
前記ローラ本体の表面に貼り付けられかつ前記穴部を形成するための複数の突起が設けられた金属板と、
をそれぞれ有し、
前記各金属板は、前記各加工ローラの各軸方向においては1枚だけ設けられており、
前記バックアップローラの周方向から見て、前記電極板の幅方向に隣り合う前記加工ローラ同士は、前記バックアップローラの周方向に位置をずらして配置されていることを特徴とする電極板加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電極板加工装置において、
前記バックアップローラは1つであり、
前記電極板は、前記バックアップローラの表面に沿って搬送方向が変わるように、該バックアップローラに掛けられており、
前記各加工ローラは、前記電極板における前記バックアップローラに掛けられた部分と接触するようにそれぞれ配置されていることを特徴とする電極板加工装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電極板加工装置において、
前記各加工ローラは、駆動源が設けられていないフリーローラであり、
前記バックアップローラは、駆動源により回転駆動する駆動ローラであることを特徴とする電極板加工装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の電極板加工装置において、
前記加工ローラ毎に設けられ、該各加工ローラを前記バックアップローラに向かってそれぞれ押し付ける複数の押付装置と、
前記各押付装置を作動制御するコントローラと、を更に備え、
前記コントローラは、前記各加工ローラの前記電極板に対する押付力が一定になるように前記各押付装置を制御することを特徴とする電極板加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、電極板加工装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、リチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタ、全固体電池などの蓄電デバイスにおいて、電極を構成する活物質層に対して、多数の穴部を形成することで、電極への電解液の浸透を促進することが提案されている。このために、電極に穴部を形成するための装置が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、外周に突起を有するローラを活物質上で転動させることで孔部を形成することが提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、電極板に平行四辺形状の凹部(孔部)を形成する方法として、正極合材層を乾燥した後あるいは乾燥中のいずれかのタイミングで、表面に所定の凸部が形成された平板プレス機やローラを用いて凹部を形成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-130297号公報
【特許文献2】特開2013-69428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1や特許文献2に記載のように、加工装置としてローラを用いれば、効率良く穴部を加工することができる。このようなローラの作製方法として、金属板に穴部の形状に応じた突起を形成して、ローラの表面に貼り付ける方法がある。この方法では、突起を所望の形状に加工しやすいという利点がある。
【0007】
ここで、電極板の広さに対応した幅広のローラを作製する場合には、複数の金属板をローラの軸方向に並べて貼り付ける必要がある。この場合には、各金属板を張り付ける際の接着剤の塗布量に偏りが生じて、ローラの径が該ローラの軸方向においてばらつくおそれがある。また、接着剤の塗布量に偏りが生じないようにしたとしても、金属板の厚みのばらつきが原因で、ローラの径が該ローラの軸方向においてばらつくおそれがある。
【0008】
電極板に穴部を形成する場合、電解液の浸透を均一にするために、穴部の深さを均一にすることが好ましい。しかしながら、前述のようにローラの径が該ローラの軸方向においてばらつくと、ローラの軸方向において、ローラの一部(最も径が大きい部分)のみが電極と適切に接触して、ローラの他の部分は電極から離間した状態になる。このため、このようなローラを用いた加工装置では、穴部の深さが均一になるように加工することが困難になる。
【0009】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするとこは、電極板への穴加工の精度を向上させることができる電極板加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、電極板に有底の穴部を形成するための電極板加工装置を対象として、加工前の前記電極板が巻回されかつ該電極板を送り出す巻き出しローラと、前記電極板の幅よりも狭い幅をそれぞれ有しかつ前記電極板の加工面に前記穴部を形成する複数の加工ローラと、前記各加工ローラをそれぞれ独立して支持する複数の支持機構と、前記各加工ローラと共に前記電極板を挟持するバックアップローラと、加工後の前記電極板を巻き取る巻き取りローラと、を備え、前記各加工ローラは、円筒状のローラ本体と、前記ローラ本体の表面に貼り付けられかつ前記穴部を形成するための複数の突起が設けられた金属板と、をそれぞれ有し、前記各金属板は、前記各加工ローラの各軸方向においては1枚だけ設けられており、前記バックアップローラの周方向から見て、前記電極板の幅方向に隣り合う前記加工ローラ同士は、前記バックアップローラの周方向に位置をずらして配置されている、という構成とした。
【0011】
この構成によると、各加工ローラにおいて、ローラ本体に貼り付けられた金属板は、加工ローラの軸方向においては1枚だけ設けられている。このため、金属板を含めた各加工ローラの径が、軸方向でばらつくのを抑制することができる。また、各加工ローラは各支持機構に独立して支持されているため、各加工ローラの径がそれぞれ異なっていたとしても、電極板の加工面に各加工ローラの金属板が適切に接触するように各加工ローラの位置を調整することができる。これにより、突起により形成される穴部の深さを均一にすることができる。
【0012】
また、電極板の幅方向に隣り合う加工ローラ同士は、バックアップローラの周方向に位置をずらして配置されているため、各加工ローラの支持機構を大きくしたとしても、電極板の幅方向における加工ローラ間の隙間を出来る限り小さくすることができる。これにより、加工ローラを適切に支持できるとともに、電極板の加工面に穴加工されていない領域が線状に生じるのを抑制することができる。
【0013】
したがって、電極板への穴加工の精度を向上させることができる。
【0014】
前記電極板加工装置の一実施形態では、前記バックアップローラは1つであり、前記電極板は、前記バックアップローラの表面に沿って搬送方向が変わるように、該バックアップローラに掛けられており、前記各加工ローラは、前記電極板における前記バックアップローラに掛けられた部分と接触するようにそれぞれ配置されている。
【0015】
この構成によると、各加工ローラをできる限り互いに近い位置に配置にすることができるため、電極板の幅方向における各加工ローラの位置合わせを精度良く行うことができる。これにより、電極板への穴加工の精度をより向上させることができる。
【0016】
また、電極板加工装置をコンパクトな構成にすることができる。
【0017】
前記一実施形態において、前記各加工ローラは、駆動源が設けられていないフリーローラであり、前記バックアップローラは、駆動源により回転駆動する駆動ローラである、という構成でもよい。
【0018】
すなわち、電極板を送る方法としては、各加工ローラを回転駆動させる方法と、バックアップローラを回転させる方法とがある。各加工ローラを回転駆動させる場合には、電極板にかかる張力を一定にするために各加工ローラの回転を同期させる必要がある。このとき、前述のように、各加工ローラの径が異なっていると、各加工ローラの回転速度をその径に応じて設定した上で制御する必要があるため、複雑な制御が必要となる。一方で、バックアップローラを回転させる場合には、このような複雑な制御をせずとも、電極板にかかる張力を一定にした状態で、電極板を送ることができる。
【0019】
また、各加工ローラを回転駆動させる場合には、突起で穴部を押し出すようになるため、穴部の側部に突起から荷重がかかることになる。この荷重がばらつくと、穴部の形状がばらつくおそれがある。バックアップローラを回転させる場合には、穴部の側部に荷重がかかりにくいため、穴部の形状がばらつきにくくなる。
【0020】
したがって、前記の構成により、電極板への穴加工の精度をより向上させることができる。
【0021】
前記電極板加工装置において、前記加工ローラ毎に設けられ、該各加工ローラを前記バックアップローラに向かってそれぞれ押し付ける複数の押付装置と、前記各押付装置を作動制御するコントローラと、を更に備え、前記コントローラは、前記各加工ローラの前記電極板に対する押付力が一定になるように前記各押付装置を制御する、という構成でもよい。
【0022】
この構成によると、各加工ローラの電極板に対する押付力が一定になることで、該加工面への突起の差込量を略一定にできる。これにより、電極板への穴加工の精度をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、電極板への穴加工の精度を向上させることができる電極板加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態で加工される電極板を示す図であり、(a)は電極板の平面図であり、(b)は、(a)のIb-Ib線相当の平面で切断した断面図である。
【
図3】
図3は、加工ローラを含む金型装置の正面図である。
【
図6】
図6は、加工ローラの配置を示す平面図である。
【
図7】
図7は、加工ローラとバックアップローラとの位置関係を示す側面図である。
【
図8】
図8は、加工ローラの配置の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
(電極板)
図1は、本実施形態に係る電極板加工装置1により加工された電極板100を示す。この電極板100は、リチウムイオン電池などの二次電池の正極及び負極の少なくとも一方に用いられる電極板である。
【0027】
電極板100は、
図1(b)に示すように、集電箔102に活物質層101が積層されて構成されている。リチウムイオン電池の場合は、正極の活物質層101は、マンガンリチウム複合酸化物(LiMn
2O
4)やニッケル・マンガン系のLiNi
xMn
1-xO
2(0<x<1)などのリチウムと少なくとも1種の遷移金属元素を含むリチウム含有複合酸化物が用いられ、負極の活物質層101は、カーボン粒子などの炭素材料が用いられる。集電箔102は、正極であればアルミニウムやアルミニウムを主体とする合金を用いることができ、負極であれば銅や銅を主体とする合金を用いることができる。
【0028】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、電極板100の活物質層101には、有底状の穴部103が設けられている。つまり、電極板100における活物質層101が形成された側の面が加工面に相当する。この穴部103は、活物質層101への電解液の浸透効率を向上させるための穴部である。本実施形態では、穴部103は、逆円錐状をなしている。穴部103の深さは、例えば、10μm程度である。
【0029】
(電極板加工装置)
次に、前述したような電極板100を形成するための電極板加工装置1について説明する。電極板100は、加工時には幅広な薄板であるが、加工後には、電池の形状に応じて適切な大きさにカットされて、
図1に示すような形状になる。
【0030】
図2は、電極板加工装置1(以下、単に加工装置1という)の構成を概略的に示す。加工装置1は、加工前の電極板100が巻回されかつ電極板100を送り出す巻き出しローラ10と、巻き出しローラ10から送り出された電極板100を案内する第1ガイドローラ11と、搬送中の加工前の電極板100にかかる張力を調整するための第1ダンサ部12と、第1ダンサ部12から送られた電極板100を下流の加工機構30に案内する第2ガイドローラ13と、電極板100の加工面(活物質層101が形成された面)に穴部103を形成する加工機構30と、搬送中の加工後の電極板100にかかる張力を調整するための第2ダンサ部14と、加工後の電極板100を巻き取りローラ20に案内する第3及び第4ガイドローラ15,16と、加工後の電極板100を巻き取る巻き取りローラ20と、を備える。
【0031】
巻き出しローラ10は、第1モータ10aにより回転駆動する駆動ローラとして構成されている。この
図2で示す加工装置1では、巻き出しローラ10は、電極板100の活物質層101が裏側になるように、該電極板100が巻回されている。図示は省略しているが、巻き出しローラ10の近傍には、巻き出しローラ10に巻回された電極板100の巻径を検出するための巻径センサが設けられている。
【0032】
第1ガイドローラ11は、巻き出しローラ10から送り出された電極板100を、適切な搬送方向になるようにして、下流の第1ダンサ部12に案内する。第1ガイドローラ11は、回転用の駆動源を有していないフリーローラで構成されている。
【0033】
第1ダンサ部12は、位置固定された第1支持ローラ12aと、第1支持ローラ12aの下流側に位置しかつ位置が変動可能に構成された第1ダンシングローラ12bと、第1ダンシングローラ12bを揺動させる第1ダンサ機構12cと、を有する。第1ダンサ機構12cは、一端が該第1ダンシングローラ12bに接続されかつ他端が支軸に取り付けられた第1連結棒と、該第1連結棒を前記支軸周りに回動させる第1ダンサ用シリンダと、を有する。電極板100は、第1支持ローラ12aに巻き掛けられた後、第1ダンシングローラ12bに巻き掛けられている。第1ダンサ部12は、前記第1ダンサ用シリンダが前記第1連結棒を押し引きして、第1ダンシングローラ12bを第1支持ローラ12aに対して相対移動させることで、電極板100に係る張力が一定になるように調整する。第1支持ローラ12a及び第1ダンシングローラ12bは、どちらも回転用の駆動源を有していないフリーローラで構成されている。前記第1ダンサ用シリンダは、エアシリンダで構成されている。図示は省略しているが、第1ガイドローラ11と第1支持ローラ12aとの間には、搬送される電極板100の幅方向の端部の位置を検出するEPC(Edge Position Control、登録商標)センサが設けられ、第1支持ローラ12aには、搬送中の電極板100の張力を検出する張力センサが設けられている。
【0034】
第2ガイドローラ13は、電極板100を適切な搬送方向になるようにして、下流の加工機構30に案内する。第2ガイドローラ13は、加工機構30のバックアップローラ40に対して、電極板100を該バックアップローラ40の周方向の1/3以上巻き掛けることができる位置に配置されている。第2ガイドローラ13は、回転用の駆動源を有していないフリーローラで構成されている。
【0035】
加工機構30は、電極板100の加工面に穴部103を形成する加工ローラ32をそれぞれ有する複数の金型装置31と、各加工ローラ32と共に電極板100を挟持するバックアップローラ40とを有する。各金型装置31は、加工ローラ32をバックアップローラ40に向かってそれぞれ押し付ける金型加圧用シリンダ38(
図3等参照)をそれぞれ有する。バックアップローラ40は、第3モータ42により回転駆動する駆動モータとして構成されている。加工機構30の詳細については後述する。
【0036】
第2ダンサ部14は、位置固定された第2支持ローラ14aと、第2支持ローラ14aの上流側に位置しかつ位置が変動可能に構成された第2ダンシングローラ14bと、第2ダンシングローラ14bを揺動させる第2ダンサ機構14cと、を有する。第2ダンサ機構14cは、一端が該第2ダンシングローラ14bに接続されかつ他端が支軸に取り付けられた第2連結棒と、該第2連結棒を前記支軸周りに回動させる第2ダンサ用シリンダと、を有する。電極板100は、第2ダンシングローラ14bに巻き掛けられた後、第2支持ローラ14aに巻き掛けられている。第2ダンサ部14は、前記第2ダンサ用シリンダが前記第2連結棒を押し引きして、第2ダンシングローラ14bを第2支持ローラ14aに対して相対移動させることで、電極板100に係る張力が一定になるように調整する。第2支持ローラ14a及び第2ダンシングローラ14bは、どちらも回転用の駆動源を有していないフリーローラで構成されている。前記第2ダンサ用シリンダは、エアシリンダで構成されている。図示は省略しているが、第2支持ローラ14aには、搬送中の電極板100の張力を検出する張力センサが設けられている。
【0037】
第3及び第4ガイドローラ15,16は、加工後の電極板100を、適切な搬送方向になるようにして、巻き取りローラ20に案内する。第3及び第4ガイドローラ15,16は、回転用の駆動源を有していないフリーローラで構成されている。図示は省略しているが、第2支持ローラ14aと第3ガイドローラ15との間には、搬送される電極板100の幅方向の端部の位置を検出するEPC(Edge Position Control、登録商標)センサが設けられている。
【0038】
巻き取りローラ20は、第2モータ20aにより回転駆動する駆動ローラとして構成されている。この
図2で示す加工装置1では、巻き取りローラ20は、電極板100の活物質層101が表側になるように、該電極板100が巻回されている。図示は省略しているが、巻き取りローラ20の近傍には、巻き取りローラ20に巻回された電極板100の巻径を検出するための巻径センサが設けられている。
【0039】
加工装置1は、コントローラ50により作動制御される。コントローラ50は、CPUを有するプロセッサ、複数のモジュールが格納されたメモリ等を有する。コントローラ50は、各巻径センサ、各張力センサ、及び各EPCセンサの検出結果に基づいて、第1モータ10a、第2モータ20a、第3モータ42、前記第1ダンサ用シリンダ、前記第2ダンサ用シリンダ、及び金型加圧用シリンダ38(
図3等参照)を作動させる。具体的には、コントローラ50は、各センサの検出結果に基づいて、搬送中の電極板100が撓んだり、蛇行したりしないように、第1モータ10a、第2モータ20a、及び第3モータ42を同期させたり、前記第1ダンサ用シリンダ及び前記第2ダンサ用シリンダに供給する空気量を調整したりする。また、詳しくは後述するが、コントローラ50は、各加工ローラ32の電極板100に対する押付力が一定になるように各金型加圧用シリンダ38に供給する空気量をそれぞれ制御する。このような機能は、メモリのモジュールにソフトウェアとして格納されている。プロセッサ及びメモリの数は1つに限定されず、コントローラ50が2つ以上のプロセッサ及びメモリを有していてもよい。
【0040】
(加工機構)
図3~
図5は、加工機構30に設けられた金型装置31を示す。金型装置31は複数(本実施形態では6つ)あるが、各金型装置31の構成は同じであるため、以下では、1つの金型装置31についてのみ詳細に説明する。
【0041】
図3及び
図4に示すように、金型装置31は、電極板100の加工面に穴部103を形成する金型としての加工ローラ32を有する。加工ローラ32の幅は、電極板100の幅よりも狭い。具体的には、本実施形態では、加工ローラ32の幅は、加工時における電極板100の幅の約1/6である。
【0042】
加工ローラ32は、
図5に示すように、円筒状のローラ本体32aを有する。加工ローラ32は、ローラ本体32aの外周面に、金属板33が1枚だけ接着剤で貼り付けられて形成されている。金属板33の幅はローラ本体32aの幅と同じあり、金属板33の長さはローラ本体32aの円周と同じ長さである。ローラ本体32aの貫通孔32bは、後述する支持軸35が挿入される部分である。ローラ本体32aは、例えば、アルミニウムやステンレス鋼などの金属製のものを採用することができる。
【0043】
金属板33は、ローラ本体32aとは反対側に位置する被加工面33bに複数の突起33aが所定のパターンで形成されている。各突起33aは、穴部103の形状に対応した円錐状をなしている。突起33aの被加工面33bからの高さは、穴部103の深さに応じて10μm程度に設定されている。各突起33aは金属板33の幅方向に等間隔に並んでいる。各突起33aのうち金属板33の幅方向の両端にある2つの突起33aと金属板33の幅方向の端との間の各間隔は、金属板33の幅方向に相隣接する各突起33aの間隔の半分に設定されている。突起33aは、活物質層101よりも硬い金属で形成されている。
【0044】
加工ローラ32は、回転用の駆動源を有していないフリーローラで構成されている。
【0045】
金型装置31は、加工ローラ32を支持する支持機構34を有する。支持機構34は、各金型装置31に1つずつ設けられており、各加工ローラ32をそれぞれ独立して支持する。支持機構34は、加工ローラ32に固定されかつ該加工ローラ32を支持する支持軸35と、支持軸35ごと加工ローラ32を保持する保持部36とを有する。
【0046】
支持軸35は、加工ローラ32と同軸になるように加工ローラ32に取付固定されている。支持軸35の軸方向の両側端部にはそれぞれベアリング37が取り付けられている。これにより、加工ローラ32は、その中心軸周りに支持軸35と共に回転可能になっている。
【0047】
保持部36は、
図3に示すように、正面視でU字状をなしている。具体的には、保持部36は、支持軸35の軸方向の一側に位置しかつ矩形板状をなす第1壁部36aと、第1壁部36aと前記軸方向に対向するように該軸方向の他側に位置しかつ矩形板状をなす第2壁部36bと、第1壁部36aの長手方向の一端部と第2壁部36bの長手方向の一端部とを前記軸方向に連結する連結壁部36cとを有する。第1壁部36a及び第2壁部36bにおける長手方向の他側の部分には、ベアリング37を収容しかつ固定する凹部が形成されている(
図4で第1壁部36aの凹部のみ示す)。凹部の開口部には、細長い板状をなす蓋体36dが配置されている。蓋体36dは、ボルトにより、第1壁部36a及び第2壁部36bにそれぞれ固定されている。尚、第1壁部36a及び第2壁部36bと連結壁部36cとは、一体であってもよいし、別体で構成されていてもよい。
【0048】
加工ローラ32は、
図3及び
図4に示すように、ベアリング37及び支持軸35が第1及び第2壁部36a,36bの凹部に収容された状態で、蓋体36dが第1及び第2壁部36a,36bに固定されることで、保持部36に保持されている。加工ローラ32は、第1壁部36aと第2壁部36bとの間の領域に配置されており、その一部が保持部36からはみ出すようになっている。
【0049】
金型装置31の金型加圧用シリンダ38は、そのシリンダロッド38aの先端が保持部36の連結壁部36cと接続されていて、保持部36ごと加工ローラ32をシリンダロッド38aの軸方向に進退させる。金型加圧用シリンダ38のシリンダロッド38aは、軸心線の延長線L上に加工ローラ32の中心軸C1(支持軸35の中心と一致)が位置するように配置されている。
【0050】
金型加圧用シリンダ38は、エアシリンダで構成されている。金型加圧用シリンダ38は、エア供給路38bを介してエア供給源(図示省略)と接続されている。エア供給路38bには、金型加圧用シリンダ38に供給する空気量を調整するためのレギュレータ38cが設けられている。レギュレータ38cはコントローラ50により制御されており、コントローラ50は、レギュレータ38cを制御して、金型加圧用シリンダ38に供給する空気量を調整することで、加工ローラ32の、バックアップローラ40に巻き付けられた電極板100に対する押付力を一定にするように調整する。金型加圧用シリンダ38は、加工ローラ32の電極板100に対する押付力を検出するための荷重センサを有する。該荷重センサは、例えばシリンダロッド38aに内蔵されていて、加工ローラ32、支持軸35、及び保持部36を介してシリンダロッド38aにかかる荷重を検出する。コントローラ50は、前記荷重センサの検出結果に基づいて、レギュレータ38cを制御する。このことから、金型加圧用シリンダ38及びレギュレータ38cは、押付装置を構成する。尚、「押付力を一定にする」とは、厳密に一定である必要はなく、加工ローラ32の金属板33の被加工面33bが、電極板100の活物質層101に押し付けられる程度の押付力でありかつ該押付力により活物質層101が圧縮変形しない程度(穴加工による変形を除く)の押付力であれば、多少増減してもよい。
【0051】
金型装置31は、金型加圧用シリンダ38により加工ローラ32を進退させる際のガイドとしてレール39を有する。レール39は、シリンダロッド38aの軸心線と平行に延びている。レール39は、保持部36の連結壁部36cと係合している。これにより、加工ローラ32は、その中心の軌道がレール39と平行になるように移動する。
【0052】
バックアップローラ40は、
図6に示すように、電極板100の幅よりも広い幅を有する1つのローラで構成されている。バックアップローラ40は、加工装置1のフレーム2に支持軸41を介して固定されている。支持軸41は、第3モータ42と接続されている。第3モータ42により支持軸41が回転することでバックアップローラ40がその中心軸周りに回転する。
図2及び
図7に示すように、バックアップローラ40には、電極板100が、バックアップローラ40の表面に沿って搬送方向が変わるように、バックアップローラ40の周方向の1/3以上巻き掛けられている。バックアップローラ40の軸方向は、巻き掛けられた電極板100の幅方向と一致している。バックアップローラ40は、例えば、金属製のローラである。
【0053】
図2に示すように、加工機構30には、加工ローラ32を清掃するための清掃ローラ43が設けられている。清掃ローラ43は、弱粘着性のローラと強粘着性のローラとを有し、弱粘着性のローラで加工ローラ32に付着した加工屑等を回収して、弱粘着性のローラが回収した加工屑等を強粘着性のローラで回収するようになっている。
【0054】
次に、各金型装置31及びバックアップローラ40の配置について
図6及び
図7を参照して説明する。尚、
図6において、各金型装置31のフレーム2に対する支持構造については、図を簡略化するために記載を省略している。
【0055】
図6に示すように、各金型装置31は、各加工ローラ32が、バックアップローラ40の周方向から見て電極板100の幅方向に並ぶように、かつ該幅方向に隣り合う加工ローラ32同士がバックアップローラ40の周方向に位置をずらして配置されるように、それぞれ配置されている。具体的には、各金型装置31は、各加工ローラ32が、バックアップローラ40の径方向から見て電極板100の幅方向に千鳥状に配置されるようにそれぞれ配置されている。より詳しくは、各金型装置31を、バックアップローラ40の軸方向(以下、バックアップ軸方向という)の一側(ここでは第3モータ42が配置された側)から他側に向かって順に、第1金型装置311、第2金型装置312、第3金型装置313、第4金型装置314、第5金型装置315、及び第6金型装置316としたときに、第1金型装置311、第3金型装置313、及び第5金型装置315が、バックアップローラ40の周方向の第1位置に、バックアップ軸方向に等間隔に並んで位置する一方、第2金型装置312、第4金型装置314、及び第6金型装置316が、バックアップローラ40の周方向における第1位置とは異なる第2位置に、バックアップ軸方向に等間隔に並んで位置する。第2金型装置312は、バックアップ軸方向において、第1金型装置311と第3金型装置313との間に位置する。第4金型装置314は、バックアップ軸方向において、第3金型装置313と第5金型装置315との間に位置する。第6金型装置316は、第5金型装置315よりもバックアップ軸方向の前記他側に位置する。
【0056】
第1金型装置311と第2金型装置312とは、第1金型装置311の加工ローラ32におけるバックアップ軸方向の最も前記他側の突起33aと、第2金型装置312の加工ローラ32におけるバックアップ軸方向の最も前記一側の突起33aとのバックアップ軸方向における間隔が、各加工ローラ32における幅方向に相隣接する突起33a同士の間隔と同じになるように配置されている。本実施形態では、各突起33aのうち加工ローラ32の幅方向の両端にある2つの突起33aと加工ローラ32の幅方向の端との間の各間隔が、加工ローラ32の幅方向に相隣接する各突起33aの間隔の半分になるため、第1金型装置311の加工ローラ32におけるバックアップ軸方向の前記他側の面と、第2金型装置312の加工ローラ32におけるバックアップ軸方向の前記一側の面とが同一平面上に位置するように配置すれば、前述のような配置になる。第2金型装置312と第3金型装置313、第3金型装置313と第4金型装置314、第4金型装置314と第5金型装置315、及び第5金型装置315と第6金型装置316についても、それぞれ前述のように配置されている。
【0057】
図7に示すように、前記第1位置と前記第2位置とは、バックアップローラ40の周方向に90°異なる位置である。具体的には、第1位置は、バックアップローラ40の鉛直上側の位置であり、第2位置は、水平方向における電極板100の搬送方向上流側の位置である。第1~第6金型装置311~316は、各加工ローラ32が電極板100におけるバックアップローラ40に掛けられた部分と接触するようにそれぞれ配置されている。第1~第6金型装置311~316は、各金型加圧用シリンダ38のシリンダロッド38aの軸心線の延長線L上にバックアップローラ40の中心軸C2が位置するようにそれぞれ配置されている。これにより、第1金型装置311、第3金型装置313、及び第5金型装置315の各加工ローラ32の各中心軸C1とバックアップローラ40の中心軸C2とは、同一の鉛直面内に位置する。また、第2金型装置312、第4金型装置314、及び第6金型装置316の各加工ローラ32の各中心軸C1とバックアップローラ40の中心軸C2とは、同一の水平面内に位置する。前記のように、第1~第6金型装置311~316が配置されていることで、各金型加圧用シリンダ38により発生する押付力を、ほとんど減少させることなく、加工ローラ32から電極板100に伝達することができる。各加工ローラ32をバックアップローラ40に巻き掛けられた電極板100に、より適切な押付力でもって押し付けることができる。
【0058】
尚、第1金型装置311、第3金型装置313、及び第5金型装置315の各加工ローラ32の各中心軸C1は、同一の鉛直面内には位置するが、互いに平行であるとは限らない。金属板33の厚みの分布や接着剤の分布により、加工ローラ32が円錐台状になったときには、当該加工ローラ32は、その中心軸C1が他の中心軸C1に対して若干斜めになるように配置されるためである。第2金型装置312、第4金型装置314、及び第6金型装置316の各加工ローラ32の各中心軸C1についても同様である。
【0059】
ここで、前述のように、幅広の電極板100に穴加工を行う場合、従来であれば、バックアップローラ40と同等の幅を有する加工ローラが用いられていた。このような加工ローラは、複数の金属板を加工ローラの軸方向に並べて貼り付けることで構成されていた。しかしながら、従来の加工ローラでは、金属板33の厚みのばらつきや接着剤の塗布量の違いにより、加工ローラの径が該加工ローラの軸方向でばらついてしまうという問題があった。加工ローラの径が該加工ローラの軸方向でばらついてしまうと、加工ローラの軸方向において、加工ローラの一部のみが電極板100と接触して、加工ローラの他の部分は電極板100から離間するため、当該加工ローラにより形成される穴部103は、深さにばらつきが生じてしまう。
【0060】
これに対して、本実施形態では、電極板100の幅よりも狭い幅の複数の加工ローラ32により、電極板100に対して穴加工を行う。各加工ローラ32は、ローラ本体32aに、電極板の幅よりも狭い幅でかつ突起を形成する金属板が1枚だけ貼り付けられてそれぞれ構成されている。つまり、各加工ローラ32において、金属板33は、加工ローラ32の軸方向においては1枚だけ設けられている。このため、金属板33を含めた各加工ローラ32の径がばらつくのを抑制することができる。また、各加工ローラ32は各支持機構34に独立して支持されているため、各加工ローラ32の径がそれぞれ異なっていたとしても、電極板100の加工面(活物質層101の面)に各加工ローラ32の金属板33の被加工面33bが適切に接触するように各加工ローラ32の位置を調整することができる。これにより、被加工面33bに形成された突起33aにより形成される穴部103の深さを均一にすることができる。
【0061】
また、各加工ローラ32を千鳥状に配置をしていることにより、各加工ローラ32の支持機構34を大きくしたとしても、電極板100の幅方向における加工ローラ32間の隙間を出来る限り小さくすることができる。これにより、加工ローラ32を適切に支持できるとともに、電極板100の加工面に、穴加工されていない領域が線状に生じるのを抑制することができる。
【0062】
したがって、電極板100への穴加工の精度を向上させることができる。
【0063】
さらに、本実施形態の前記構成は、各加工ローラ32に金属板33が1枚貼り付けられた構造であるため、金属板33の突起33aが摩耗により変形したときには、突起33aが変形した加工ローラ32の金属板33のみ交換すればよい。また、各加工ローラ32を千鳥状に配置をしていることにより、各加工ローラ32間の隙間を出来る限り大きくすることができるため、メンテナンス時に工具等が配置しやすくなる。このため、加工ローラ32のメンテナンス性を高くすることもできる。
【0064】
また、本実施形態では、各加工ローラ32と共に電極板100を挟持するバックアップローラ40は1つであり、電極板100は、バックアップローラ40の表面に沿って搬送方向が変わるように、該バックアップローラ40に掛けられており、各加工ローラ32は、電極板100におけるバックアップローラ40に掛けられた部分と接触するようにそれぞれ配置されている。これにより、各加工ローラ32をできる限り互いに近い位置に配置にすることができるため、電極板100の幅方向(バックアップ軸方向と一致)における各加工ローラ32の位置合わせを精度良く行うことができる。これにより、電極板100への穴加工の精度をより向上させることができる。
【0065】
また、各加工ローラ32、延いては各金型装置31を、バックアップローラ40の周方向において互いに近い位置に配置することで、電極板加工装置1をコンパクトな構成にすることができる。
【0066】
また、本実施形態では、各加工ローラ32は、駆動源が設けられていないフリーローラであり、バックアップローラ40は、第3モータ42により回転駆動する駆動ローラである。これにより、コントローラ50は、複雑な制御をせずに、電極板100にかかる張力を一定にした状態で、電極板100を送ることができる。
【0067】
また、仮に各加工ローラ32を回転駆動させる場合には、突起33aで穴部103を押し出すようになるため、穴部103の側部に突起から荷重がかかることになる。この荷重がばらつくと、穴部103の形状がばらつくおそれがある。バックアップローラ40を回転させる場合には、穴部103の側部に荷重がかかりにくいため、穴部103の形状がばらつきにくくなる。
【0068】
したがって、電極板100への穴加工の精度をより向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、加工ローラ32毎に設けられ、各加工ローラ32をバックアップローラ40に向かってそれぞれ押し付ける複数の金型加圧用シリンダ38を更に備え、コントローラ50は、各加工ローラ32の電極板100に対する押付力が一定になるように各金型加圧用シリンダ38を制御する。このように、各加工ローラ32の電極板100に対する押付力が一定になることで、電極板100の加工面への突起33aの差込量を略一定にできる。これにより、電極板100の穴加工の精度をより向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、各金型装置31は、各金型加圧用シリンダ38のシリンダロッド38aの軸心線の延長線L上に、加工ローラ32の中心軸C1とバックアップローラ40の中心軸C2とが位置するようにそれぞれ配置されている。すなわち、各金型加圧用シリンダ38のシリンダロッド38aの軸心線の延長線L上に、加工ローラ32の中心軸C1及びバックアップローラ40の中心軸C2の少なくとも一方が位置していないときには、金型加圧用シリンダの進退方向が加工ローラ及びバックアップローラの径方向からずれるため、金型加圧用シリンダ38により発生する押付力の一部だけが電極板100に伝達されるようになる。一方で、前記構成であれば、金型加圧用シリンダの進退方向が加工ローラ及びバックアップローラの径方向になるため、各金型加圧用シリンダ38により発生する押付力を、ほとんど減少させることなく、加工ローラ32から電極板100に伝達することができる。これにより、各加工ローラ32をバックアップローラ40に巻き掛けられた電極板100に、適切な押付力でもって押し付けることができる。これにより、電極板100の穴加工の精度をより向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態では、複数の金型装置31のうち一部の金型装置31(第1金型装置311、第3金型装置313、及び第5金型装置315)は、バックアップローラ40の鉛直上側にそれぞれ配置され、残りの金型装置31(第2金型装置312、第4金型装置314、及び第6金型装置316)は、水平方向における電極板100の搬送方向上流側の位置にそれぞれ配置されている。これにより、レール39を含む金型装置31の、加工装置1のフレーム2に対する支持構造を簡単にすることができる。
【0072】
特に、本実施形態では、前記一部の金型装置31の各加工ローラ32の各中心軸C1とバックアップローラ40の中心軸C2とは、同一の鉛直面内に位置し、前記残りの金型装置31の各加工ローラ32の各中心軸C1とバックアップローラ40の中心軸C2とは、同一の水平面内に位置する。これにより、前記一部の金型装置31の間で各加工ローラ32にかかる重力の影響がほぼ同じになり、前記残りの金型装置31の間でも各加工ローラ32にかかる重力の影響がほぼ同じになる。この結果、コントローラ50が重力の影響を考慮してレギュレータ38cを制御する際の制御を容易にすることができる。
【0073】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0074】
例えば、前述の実施形態では、電極板100の片面のみを加工する場合の加工装置1について説明した。これにかぎらず、加工機構30をもう1つ設けて、集電箔102の両面に活物質層101が形成された電極板100の両面を加工するようにしてもよい。
【0075】
また、前述の実施形態では、金型装置31の押付装置としてエアシリンダを採用していた。これに限らず、押付装置として圧縮コイルバネを用いてもよい。
【0076】
また、前述の実施形態では、突起33aは円錐状であるため、穴部103は逆縁錐状であった。これに限らず、突起33aは有底状の穴を形成できる構成であればよく、例えば、角錐状でも、円錐台状でも、角錐台状でもよい。
【0077】
また、前述の実施形態では、第1金型装置311、第3金型装置313、及び第5金型装置315が配置される第1位置と、第2金型装置312、第4金型装置314、及び第6金型装置316が配置される第2位置とは、バックアップローラ40の周方向に90°異なる位置であった。これに限らず、各金型装置31の支持機構34が互いに干渉しない範囲であれば、バックアップローラ40の周方向における第1位置と第2位置との間の角度は90°未満であってもよい。また、バックアップローラ40に対して電極板100を巻き掛ける範囲を広くすれば、バックアップローラ40の周方向における第1位置と第2位置との間の角度を90°よりも大きくすることも可能である。
【0078】
また、各加工ローラ32が、バックアップローラ40の周方向から見て電極板100の幅方向に隣り合うように配置されるのであれば、一部の金型装置31を、第1位置と第2位置との間の第3位置(例えば、バックアップローラの周方向に45°の位置)に配置してもよい。例えば、第1金型装置311と第4金型装置314とを第1位置に配置し、第2金型装置312と第5金型装置315とを第2位置に配置し、第3金型装置313と第6金型装置316とを第3位置に配置するようにしてもよい。
図8は、前記のように配置した場合をバックアップ軸方向から見た図である。第4~第6金型装置314~316は、バックアップ軸方向からみると各加工ローラ32の一部が重複しているが、実際には前記のようにバックアップ軸方向の位置がずれているため、互いに干渉はしていない。
【0079】
また、前述の実施形態では、加工ローラ32は金属板33が1枚だけ貼り付けられていたが、これに限らず、大径の加工ローラ32を作成する場合には、加工ローラ32の周方向においては複数枚の金属板33が貼り付けられて構成されていてもよい。この場合でも、加工ローラ32の軸方向においては、金属板33は1枚だけの状態になっている。
【0080】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0081】
ここに開示された技術は、電極板に有底の穴部を形成するための電極板加工装置として有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 電極板加工装置
10 巻き出しローラ
20 巻き取りローラ
32 加工ローラ
32a ローラ本体
33 金属板
33a 突起
34 支持機構
38 金型加圧用シリンダ(押付装置)
38c レギュレータ(押付装置)
40 バックアップローラ
42 第3モータ(駆動源)
50 コントローラ
100 電極板
103 穴部