(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047156
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】債権回収装置、債権回収方法、及び、債権回収プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/14 20120101AFI20240329BHJP
【FI】
G06Q20/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152614
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 志文
(72)【発明者】
【氏名】牛山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】森 詠斗
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA33
(57)【要約】
【課題】約定日(引落日)に所定の金額の引落ができなかった場合でも、約定日中における再引落を可能とする。
【解決手段】引落請求部が、各債務者の預金口座を管理する預金管理装置に対して、予め定められた引落日に、予め定められた所定金額の引落請求を行う。取得部は、預金管理装置から引落請求による引落の成否を取得する。再引落制御部は、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた場合、引落日中において、預金管理装置に対して、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた債務者の預金口座に対する引落請求を、予め設定されたタイミングで繰り返し行うように引落請求部を制御する。そして、データ生成部は、債務者を特定する情報、引落日、引落回数、請求額及び引落結果を含み、引落請求部による引落日中の引落請求が行われる毎に、引落回数をインクリメントした引落データを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各債務者の預金口座を管理する預金管理装置に対して、予め定められた引落日に、予め定められた所定金額の引落請求を行う引落請求部と、
前記預金管理装置から前記引落請求による引落の成否を取得する取得部と、
所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた場合、前記引落日中において、前記預金管理装置に対して、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた債務者の預金口座に対する引落請求を、予め設定されたタイミングで繰り返し行うように前記引落請求部を制御する再引落制御部と、
前記債務者を特定する情報、引落日、引落回数、請求額及び引落結果を含み、前記引落請求部による前記引落日中の引落請求が行われる毎に、前記引落回数をインクリメントした引落データを生成するデータ生成部と、
を有する債権回収装置。
【請求項2】
前記データ生成部は、前記引落日中の引落請求が行われる毎に、前記債務者を特定する情報、引落日、引落回数、請求額及び引落結果を含む引落履歴データを順次生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の債権回収装置。
【請求項3】
所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた場合、少なくとも前記引落日において、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた債務者の端末装置に対して、預金残高の増額を求める通知を行う通知処理部を、さらに備えること、
を特徴とする請求項2に記載の債権回収装置。
【請求項4】
前記再引落制御部は、前記引落日中に前記所定金額の引落を行うことができなかった場合、前記引落日以降の日付に対応する金額となる延滞金を、前記所定金額に加算して引落請求を行うように、前記引落請求部を制御すること、
を特徴とする請求項1から請求項3のうち、いずれか一項に記載の債権回収装置。
【請求項5】
引落請求部が、各債務者の預金口座を管理する預金管理装置に対して、予め定められた引落日に、予め定められた所定金額の引落請求を行う引落請求ステップと、
取得部が、前記預金管理装置から前記引落請求による引落の成否を取得する取得ステップと、
再引落制御部が、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた場合、前記引落日中において、前記預金管理装置に対して、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた債務者の預金口座に対する引落請求を、予め設定されたタイミングで繰り返し行うように前記引落請求部を制御する再引落制御ステップと、
データ生成部が、前記債務者を特定する情報、引落日、引落回数、請求額及び引落結果を含み、前記引落請求部による前記引落日中の引落請求が行われる毎に、前記引落回数をインクリメントした引落データを生成するデータ生成ステップと、
を有する債権回収方法。
【請求項6】
コンピュータを、
各債務者の預金口座を管理する預金管理装置に対して、予め定められた引落日に、予め定められた所定金額の引落請求を行う引落請求部と、
前記預金管理装置から前記引落請求による引落の成否を取得する取得部と、
所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた場合、前記引落日中において、前記預金管理装置に対して、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた債務者の預金口座に対する引落請求を、予め設定されたタイミングで繰り返し行うように前記引落請求部を制御する再引落制御部と、
前記債務者を特定する情報、引落日、引落回数、請求額及び引落結果を含み、前記引落請求部による前記引落日中の引落請求が行われる毎に、前記引落回数をインクリメントした引落データを生成するデータ生成部として機能させること、
を特徴とする債権回収プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、債権回収装置、債権回収方法、及び、債権回収プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許第6989882号公報)において、校納金の効率的な回収を支援可能とした校納金回収支援装置が開示されている。この校納金回収支援装置は、校納金を納める保護者の有する保護者端末装置との対話を制御する対話制御部と、校納金の決済を制御する決済制御部と、保護者端末装置から校納金の再引落希望日を取得して再引落日を決定する再引落日決定部と、を備える。
【0003】
決済制御部は、金融機関端末装置に校納金の引落を要求し、要求への応答として金融機関が校納金の引落に成功したか否かを示す情報を受け付ける。また、対話制御部は、所定の引落日に金融機関が校納金の引落に失敗した場合に、対話を用いて保護者端末装置に引落不能を通知し、保護者端末装置から再引落希望日を受信する。これにより、校納金の効率的な回収を支援可能とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来は、債務者の預金口座の残高不足により、約定日(引落日)に所定の金額の引落ができなかった場合、翌約定日までは、再度の引落を行うことが困難であった。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、約定日(引落日)に所定の金額の引落ができなかった場合でも、約定日中における再引落を可能とした債権回収装置、債権回収方法、及び、債権回収プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る債権回収装置は、各債務者の預金口座を管理する預金管理装置に対して、予め定められた引落日に、予め定められた所定金額の引落請求を行う引落請求部と、預金管理装置から引落請求による引落の成否を取得する取得部と、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた場合、引落日中において、預金管理装置に対して、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた債務者の預金口座に対する引落請求を、予め設定されたタイミングで繰り返し行うように引落請求部を制御する再引落制御部と、債務者を特定する情報、引落日、引落回数、請求額及び引落結果を含み、引落請求部による引落日中の引落請求が行われる毎に、引落回数をインクリメントした引落データを生成するデータ生成部と、を有する。
【0008】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る債権回収方法は、引落請求部が、各債務者の預金口座を管理する預金管理装置に対して、予め定められた引落日に、予め定められた所定金額の引落請求を行う引落請求ステップと、取得部が、預金管理装置から引落請求による引落の成否を取得する取得ステップと、再引落制御部が、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた場合、引落日中において、預金管理装置に対して、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた債務者の預金口座に対する引落請求を、予め設定されたタイミングで繰り返し行うように引落請求部を制御する再引落制御ステップと、データ生成部が、債務者を特定する情報、引落日、引落回数、請求額及び引落結果を含み、引落請求部による引落日中の引落請求が行われる毎に、引落回数をインクリメントした引落データを生成するデータ生成ステップと、を有する。
【0009】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る債権回収プログラムは、コンピュータを、各債務者の預金口座を管理する預金管理装置に対して、予め定められた引落日に、予め定められた所定金額の引落請求を行う引落請求部と、預金管理装置から引落請求による引落の成否を取得する取得部と、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた場合、引落日中において、預金管理装置に対して、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた債務者の預金口座に対する引落請求を、予め設定されたタイミングで繰り返し行うように引落請求部を制御する再引落制御部と、債務者を特定する情報、引落日、引落回数、請求額及び引落結果を含み、引落請求部による引落日中の引落請求が行われる毎に、引落回数をインクリメントした引落データを生成するデータ生成部として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、約定日(引落日)に所定の金額の引落ができなかった場合でも、約定日中における再引落を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態の債権回収装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、参考例となる債権回収動作の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、参考例で取り扱われる引落データの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、参考例において、引落ができない場合に取引データが延滞状態となることを説明するための図である。
【
図5】
図5は、約定日に引落を行うことができない場合に、翌月の約定日まで債権の回収が持ち越しとなる様子を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態の債権回収装置における債権回収動作の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、自行引落依頼データ作成処理画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の債権回収装置で取り扱われる引落データの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の債権回収装置において、引落ができない場合に取引データが延滞状態となることを説明するための図である。
【
図10】
図10は、実施の形態の債権回収装置において、約定日中に、再度の引落請求が行われる様子を示す図である。
【
図11】
図11は、実施の形態の債権回収装置で生成される引落履歴データの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、約定日中に引落できなかった場合に、延滞請求扱いとなる引落データを示す図である。
【
図13】
図13は、約定日中に引落できなかった場合における引落履歴データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した実施の形態となる債権回収装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、このような実施の形態に本発明が限定されるものではない。
【0013】
(ハードウェア構成)
図1は、実施の形態の債権回収装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。この
図1に示す債権回収装置1は、記憶部2、制御部3、通信インターフェース部4及び入出力インターフェース部5を備えている。入出力インターフェース部5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。出力装置7としては、モニタ装置(家庭用テレビを含む)等の表示部を用いることができる。入力装置6としては、キーボード装置、マウス装置及びマイクロホン装置等の他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置等を用いることができる。
【0014】
通信インターフェース部4は、例えばインターネット等の広域網又はLAN(Local Area Network)等のプライベート網であるネットワーク30を介して、預金管理装置40及び債権者端末装置50に接続される。預金管理装置40は、債務者の預金口座を管理している銀行のサーバ装置等である。債務者端末装置50は、例えば携帯端末装置、タブレット端末装置、パーソナルコンピュータ装置等の債務者が所有している端末装置である。
【0015】
記憶部2としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いることができる。記憶部2には、例えば毎月10日等の、所定の約定日(引落日)に所定の金額を、債務者の預金口座から引き落とすための債権回収プログラムが記憶されている。また、記憶部2には、後述する引落データ、取引データ及び引落履歴データが記憶されている。
【0016】
また、記憶部2には、債務者マスタ11が記憶されている。この債務者マスタ11には、各債務者の引落を行う銀行名、預金口座番号、引落金額、約定日(引落日)等の債務者情報が記憶されている。後述する制御部3の引落請求部22は、この債務者マスタ11を参照して、各債務者の預金口座から引落金額の引落処理を行う。
【0017】
(債権回収装置の機能構成)
次に、制御部3は、記憶部2に記憶されている債権回収プログラムを実行することで、
図1に示すように、表示制御部21、引落請求部22、取得部23、再引落制御部24、データ生成部25、通知処理部26、及び、通信制御部27として機能する。
【0018】
表示制御部21は、引落依頼日(=約定日)を入力して、各債務者の預金口座から引落金額の引落を行うための自行引落依頼データ作成処理画面を、表示部の一例である出力装置7を介して表示する。
【0019】
引落請求部22は、債務者の預金口座を管理する預金管理装置40に対して、予め定められた引落日に、予め定められた所定金額の引落請求を行う。取得部23は、預金管理装置40から引落請求による引落の成否を取得する。
【0020】
再引落制御部24は、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた場合、引落日中(約定日中)において、預金管理装置40に対して、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた債務者の預金口座に対する引落請求を、予め設定されたタイミングで繰り返し行うように引落請求部22を制御する。
【0021】
また、再引落制御部24は、引落日中に所定金額の引落を行うことができなかった場合、引落日以降の日付に対応する金額となる延滞金を、所定金額に加算して引落請求を行うように、引落請求部22を制御する。
【0022】
データ生成部25は、債務者を特定する情報、引落日、引落回数、請求額及び引落結果を含み、引落請求部による引落日中の引落請求が行われる毎に、引落回数をインクリメントした引落データを生成する。
【0023】
また、データ生成部25は、引落日中の引落請求が行われる毎に、債務者を特定する情報、引落日、引落回数、請求額及び引落結果を含む引落履歴データを順次生成する。
【0024】
通知処理部26は、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた場合、少なくとも引落日において、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた債務者の端末装置に対して、預金残高の増額を求める通知を行う。
【0025】
通信制御部27は、通信インターフェース部4及びネットワーク30を介して、預金管理装置40との間の通信、及び、債務者端末装置50との間の通信を制御する。
【0026】
(参考例となる通常の債権回収動作)
ここで、参考例となる通常の債権回収動作を説明する。
図2は、通常の債権回収動作の流れを示すフローチャートである。この
図2に示す例は、毎月1日が約定日(引落日)で、6月分の引落を行う場合の例である。この場合、業務オペレータは、例えば6月28日頃に、債務者の預金口座を管理している預金管理装置に対して引落要求を行う(ステップS1)。
図3は、契約番号が「100000001-0」、「100000002-0」、「100000003-0」の3名の債務者に、それぞれ「2022年7月(=6月分)」の引落を行った場合の引落データである。預金管理装置で各債務者の預金口座から引落が行われるまでは、引落データの引落結果は、「Z:依頼中」となる。
【0027】
次に、この引落要求により、預金管理装置は、例えば7月1日の約定日に、各債務者の預金口座から、例えば「1万円」、「2万円」、「3万円」等の請求金額の引落を行う。これにより、業務オペレータは、預金管理装置にアクセスすることで、例えば7月3日頃から引落結果の確認が可能となり、
図4に例示する引落データを介して引落結果を確認する(ステップS2)。
【0028】
図4の例は、契約番号が「100000002-0」の債務者の預金口座の残高が不足しており、「2万円」の引落ができなかった例である。この場合、
図4(a)に示すように、契約番号が「100000002-0」の債務者の引落データの引落結果が、「1:資金不足」として表示される。引落ができなかった場合、
図4(b)に例示するように、契約番号が「100000002-0」の債務者の取引データの次回約定日として、引落ができなかった年月日である「2022年7月1日」の日付が維持され、延滞状態となる。
【0029】
引落ができなかった場合、例えば7月4日頃に、督促状等と共に、コンビニエンスストア等で使用可能な振込請求を発行し、債務者に対して延滞請求を行う(ステップS3)。
【0030】
この延滞請求を行っても、債務者から振込が無い場合、
図5に示すように、次回の約定日である「2022年8月」を引落年月として、「1000円」の遅延損害金を含めた「2万1000円」が請求額として引落依頼される(ステップS4)。
【0031】
(実施の形態の債権回収装置の債権回収動作)
次に、実施の形態の債権回収装置1の債権回収動作を説明する。
図6は、実施の形態の債権回収装置1の債権回収動作の流れを示すフローチャートである。この
図6に示す例は、毎月1日が約定日(引落日)で、6月分の引落を行う場合の例である。この場合、業務オペレータは、入力装置6を介して自行引落依頼データ作成画面の表示を指定する。これにより、表示制御部21は、
図7に例示する自行引落依頼データ作成画面を出力装置7に表示する。業務オペレータは、この自行引落依頼データ作成画面に対して、例えば2022年7月1日等の引落依頼日を入力する。
【0032】
この自行引落依頼データ作成画面に対する入力が行われると、引落請求部22は、債務者マスタ11を参照して各債務者の預金口座を管理する預金管理装置40を検出する。そして、引落請求項22は、約定日である7月1日に、債務者の預金口座を管理している預金管理装置40に対して引落要求を行う(ステップS11)。
図8は、契約番号が「100000001-0」、「100000002-0」、「100000003-0」の3名の債務者に、それぞれ「2022年7月1日」に6月分の引落請求を行った場合の引落データである。預金管理装置40で各債務者の預金口座から引落が行われるまでは、引落データの引落結果は、「Z:依頼中」となる。
【0033】
次に、この引落要求により、預金管理装置40は、7月1日の約定日に、各債務者の預金口座から、例えば「1万円」、「2万円」、「3万円」等の請求金額の引落を行う。これにより、業務オペレータは、預金管理装置40にアクセスすることで、例えば7月1日の当日に、引落結果の確認が可能となる。取得部22は、預金管理装置40にアクセスし、各債務者の引落結果を取得する(ステップS12)。データ生成部25は、
図9(a)に例示するように、取得部22により取得された引落結果を反映させた引落データを生成する。
【0034】
この
図9(a)の例は、契約番号が「100000002-0」の債務者の預金口座の残高が不足しており、「2万円」の引落ができなかった例である。この場合、データ生成部25は、
図9(a)に示すように、契約番号が「100000002-0」の債務者の引落結果を、「1:資金不足」とした引落データを生成する。
【0035】
また、データ生成部25は、引落結果が「1:資金不足」である場合、
図9(b)に例示するように、契約番号が「100000002-0」の債務者の取引データの次回約定日として、引落ができなかった年月日である「2022年7月1日」の日付を維持した取引データを生成する。これにより、契約番号が「100000002-0」の債務者の債務は、延滞状態となる。
【0036】
次に、引落ができなかった場合、通知処理部26は、債務者マスタ11を参照し、債務者に対する連絡先となっている電子メールアドレスを取得する。そして、通知処理部26は、残高不足により引落ができないため、預金口座に対する残高の増額を依頼する電子メールを作成し、通信制御部27を介して債務者端末装置50に送信する(ステップS13)。この催促の電子メールを受け取った債務者は、自分の預金口座に入金を行い残高を増額する。
【0037】
なお、この例では、預金口座に対する残高の増額を依頼する電子メールを送信することとしたが、通知処理部26が債務者マスタ11から債務者の電話番号を検出し、自動で音声メッセージを送信してもよいし、業務オペレータが、債務者の電話番号に電話を掛けてもよい。
【0038】
次に、再引落制御部24は、引落日である「2022年7月1日」中において、預金管理装置40に対して、所定金額の引落ができないことを示す取得結果が得られた債務者の預金口座に対する引落請求を、予め設定されたタイミングで繰り返し行うように引落請求部22を制御する(ステップS14)。
【0039】
具体的には、債権マスタ11には、引落ができない場合に、引落日中に繰り返し引落を行う回数、及び、引落時刻が債務者毎に取り決めされ記憶されている。すなわち、債権マスタ11には、引落日中に繰り返し引落を行う回数は、「3回」、引落時刻は、「午前9時00分」、「午後1時00分」、「午後17時00分」等のように、債務者毎に取り決めされている。
【0040】
再引落制御部24は、「午前9時00分」の引落により、「1:資金不足」の引落結果が得られた場合、次に、「午後1時00分」に、「1:資金不足」となっている債務者の預金口座に対する再度の引落請求を行うように、引落請求部22を制御する。また、「午後1時00分」の引落により、「1:資金不足」の引落結果が得られた場合、再引落制御部24は、「1:資金不足」となっている債務者の預金口座に対して、「午後17時00分」に再度の引落請求を行うように、引落請求部22を制御する。
【0041】
また、データ生成部25は、再度の引落請求が行われる毎に、
図10に示すように、その債務者の引落データのシーケンス(SEQ=引落回数)を、「1」→「2」→「3」等のように、一つずつ更新する。また、データ生成部25は、引落できない債務社の引落結果を「Z:依頼中」とする。
【0042】
さらに、データ生成部25は、
図11に示すように、各債務者の1回目の引落に対応する引落履歴データを生成する。この引落履歴データは、各債務者の契約番号、引落日、引落回数(SEQ)、請求額、及び、引落結果を含んで構成される。この
図11に例示するように、引落を行うことができた契約番号「100000001-0」及び「100000003-0」の債務者の引落結果は「0:振替済」とされ、引落を行うことができなかった契約番号「100000002-0」の債務者の引落結果は「1:資金不足」とされる。
【0043】
また、データ生成部25は、再度の引落を行う毎に、
図13に示すように、その債務者に対する引落履歴データのレコード(明細)を生成して追加する。
図13の例は、契約番号「100000002-0」の債務者に対する1回目の引落結果は「1:資金不足」とする引落履歴データのレコードが生成され、同日中における2回目の引落結果も口座残高が不足しており引落を行うことができなかったため、引落回数(SEQ)を「2」、請求項を「2万円」及び引落結果を「1:資金不足」とした新たなレコードを生成し、追加した例である。
【0044】
このように実施の形態の債権回収装置1は、同日中における複数回の引落が可能となっているため、債権者側は、延滞率の低下及び延滞債権管理コストの低減等の効果を得ることができる。また、債務者側は、例えばコンビニエンスストア等で振込手続を行う手間を軽減でき、また、遅延損害金の支払リスクも軽減できる。
【0045】
次に、このように同日中に複数回の引落を行っても、取得部23により預金管理装置40から「0:振替済」の引落結果を得ることができなかった場合、この例の翌日である「2022年7月2日」以降は、延滞請求となり、
図12に示すように遅延損害金が加算された請求額で「Z:依頼中」の引落結果とされた引落データがデータ生成部25により生成される。そして、「2022年8月1日」に、遅延損害金を含めた請求額で再度の引落が行われる。
【0046】
「2022年8月1日」に、再度の引落を行っても請求額の引落を行うことができない場合、上述と同様に再引落制御部24により、「2022年8月1日中」に複数回の引落請求が行われ、債務者の預金口座からの引落が行われることは、上述のとおりである(ステップS15)。
【0047】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態の債権回収装置1は、約定日に引落ができない場合でも、同日中に複数回の引落請求を行い、引落を試みることができる。このため、例えば電子メール又は電話連絡等により、翌回の請求までに、顧客の引落口座に対する預金残高の増額の対応が間に合えば、そのタイミングで債権回収を行うことができる。
【0048】
このため、債権者側は、延滞率の低下及び延滞債権管理コストの低減等の効果を得ることができる。また、債務者側は、例えばコンビニエンスストア等で振込手続を行う手間を軽減でき、また、遅延損害金の支払リスクも軽減できる。
【0049】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び目標9に貢献することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、目標13及び目標15に貢献することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0052】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0053】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0054】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0055】
また、債権回収装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも図示の如く物理的に構成されていることを要しない。
【0056】
例えば、債権回収装置1が備える処理機能、特に制御部3及び制御部3にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて債権回収装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD等の記憶部等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部3を構成する。
【0057】
また、この債権回収装置1の債権回収プログラムは、債権回収装置1に対して任意のネットワークを介して接続された他のサーバ装置に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0058】
また、本実施形態で説明した処理を実行するための債権回収プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0059】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した債権回収装置1において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0060】
記憶部2は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0061】
また、債権回収装置1は、既知のパーソナルコンピュータ装置又はワークステーション等の情報処理装置で構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された情報処理装置で構成してもよい。また、情報処理装置は、本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0062】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、金融業等の債権回収業務に適用して好適である。
【符号の説明】
【0064】
1 債権回収装置
2 記憶部
3 制御部
4 通信インターフェース部
5 入出力インターフェース部
6 入力装置
7 出力装置
11 債務者マスタ
21 表示制御部
22 引落請求部
23 取得部
24 再引落制御部
25 データ生成部
26 通知処理部
27 通信制御部
30 ネットワーク
40 預金管理装置
50 債務者端末装置