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特開2024-47180シート体の搬送装置、並びに、シート体の検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047180
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】シート体の搬送装置、並びに、シート体の検査装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/02 20060101AFI20240329BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20240329BHJP
   G01N 21/892 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B25J9/02 A
G01N21/84 C
G01N21/892 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152656
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000209751
【氏名又は名称】池上通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伎
(72)【発明者】
【氏名】込谷 太一
【テーマコード(参考)】
2G051
3C707
【Fターム(参考)】
2G051AA32
2G051AB02
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB01
2G051CB02
2G051DA06
3C707AS01
3C707AS14
3C707BS03
3C707DS01
3C707FS01
3C707FT11
3C707FU01
3C707HS27
3C707KS01
3C707KT02
3C707KT06
3C707KV11
3C707MT05
3C707NS10
(57)【要約】
【課題】可撓性シート体の平面形状を維持する安定姿勢での搬送を実現して、シート体の両面側を解放する状態での搬送処理を実現する装置を提供すること。
【解決手段】可撓性を有するシート体Sを所望の高さに保持しつつ搬送する搬送装置であって、シート体の平面形状の平坦部を間に挟む当該シート体の少なくとも2つ以上の離隔領域で外部空気Aiを吸気して吸着保持する複数の保持部材21A、21Bと、シート体の平面形状を維持するように保持部材を離隔位置に維持しつつ搬送方向に案内可能する保持機構23と、保持機構に案内可能に維持される保持部材を搬送方向に移動させる移動機構25と、保持されて案内移動されるシート体の下方に位置して当該シート体に対面する搬送ステージ15と、を備えて、搬送ステージには、上方のシート体に向けて圧縮空気Asを噴出する噴出・吸気口が形成されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するシート体を所望の高さに保持しつつ搬送する搬送装置であって、
前記シート体の平面形状の平坦部を間に挟む当該シート体の少なくとも2つ以上の離隔領域を保持する複数の保持部と、
前記シート体の平面形状を維持するように前記保持部を離隔位置に維持しつつ搬送方向に案内可能にする案内部と、
前記案内部に案内可能に維持される前記保持部を搬送方向に移動させる移動部と、
保持されて案内移動される前記シート体の下方に位置して当該シート体に対面する対面部と、を備えて、
前記対面部には、上方に位置する前記シート体に向けて所定量の気体を噴出する噴出口が形成されていることを特徴とするシート体の搬送装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記シート体の上面側に吸着するように当該シート体に対面する対面箇所に空気を吸気する複数の吸気口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート体の搬送装置。
【請求項3】
前記対面部は、前記シート体の全面または一部に対面して当該シート体を載置する載置面と、前記保持部に保持されて搬送される前記シート体との離間間隔が規定される規定面と、を備えて、前記載置面および前記規定面に前記噴出口が配設されているとともに、少なくとも当該規定面には、前記保持部に保持されて搬送される前記シート体との間の所定量の空気を吸気する吸気口が形成され、
前記移動部は、前記載置面に載置されている前記シート体の離隔領域を吸気して該シート体を保持する前記保持部を搬送方向に移動させつつ当該シート体を前記対面部の前記規定面の上方を通過させるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のシート体の搬送装置。
【請求項4】
前記保持部は、少なくとも1つ以上が互いの間の離隔間隔を調整可能に当該離隔方向にスライド可能に前記移動部に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のシート体の搬送装置。
【請求項5】
前記保持部は、前記シート体の離隔領域を保持する保持領域が当該シート体の最大サイズを保持可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート体の搬送装置。
【請求項6】
上記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシート体の搬送装置を備えて、
前記対面部の上方を通過する前記シート体に向けて検査光を照射して当該シート体の品質を検査する検査部を有することを特徴とするシート体の検査装置。
【請求項7】
前記検査部は、前記シート体を透過する前記検査光を、あるいは、前記シート体に反射される前記検査光を受光して、当該シート体の検査処理を実行することを特徴とする請求項6に記載のシート体の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有するシート体を安定した姿勢で搬送する搬送装置、および当該搬送装置を備える検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性を有するシート体の検査をする場合には、検査対象のシート体を検査位置に搬送して撮影等することによって品質などの検査処理を行うことが多用されており、そのシート体は片持ち形態などで形状を維持しつつ搬送することができないことから、搬送ステージ上に載置して平面形状を維持する形態で検査位置に搬送して検査処理を行うようになる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-28600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなシート体の搬送にあっては、搬送ステージ上に載置するなどして検査位置に移送することから、片面側表面のみの撮影による検査になって、表裏を反転させて検査をするには往復移動などさせる必要があり、また、その両面側の検査をするにしても片面毎の検査になってしまう。
【0005】
そして、シート体の両面側を解放するために4隅を把持などするにしても搬送中に下方のフレームなどに擦ってしまい損傷させてしまうことを避ける必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、可撓性を有するシート体の平面形状を維持する安定姿勢での搬送を実現することにより、シート体の両面側を解放する状態での搬送処理や各種処理を実現可能な装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するシート体の搬送装置の発明の一態様は、可撓性を有するシート体を所望の高さに保持しつつ搬送する搬送装置であって、前記シート体の平面形状の平坦部を間に挟む当該シート体の少なくとも2つ以上の離隔領域を保持する複数の保持部と、前記シート体の平面形状を維持するように前記保持部を離隔位置に維持しつつ搬送方向に案内可能にする案内部と、前記案内部に案内可能に維持される前記保持部を搬送方向に移動させる移動部と、保持されて案内移動される前記シート体の下方に位置して当該シート体に対面する対面部と、を備えて、前記対面部には、上方に位置する前記シート体に向けて所定量の気体を噴出する噴出口が形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
上記課題を解決するシート体の検査装置の発明の一態様は、上記のシート体の搬送装置を備えて、前記対面部の前記規定面の上方を通過する前記シート体に向けて検査光を照射して当該シート体の品質を検査する検査部を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明の一態様によれば、可撓性を有するシート体の平面形状を維持するように、その平坦部を間に挟む離隔領域を保持しつつ搬送方向に案内することができ、そのシート体に対面する下方からは、所定量の気体が噴出されて、搬送するシート体が下方の部材に接触することを回避することができる。
【0010】
したがって、シート体が下方の部材に擦れて損傷してしまうことを回避しつつ、例えば、規定の検査位置に高品質に搬送することができ、解放されている上方および下方の一方あるいは双方から検査光を照射して検査することができる。
【0011】
その結果、可撓性を有するシート体の平面形状を維持する安定姿勢でのシート体の搬送を実現するとともに、両面側の解放されているシート体を安定姿勢で搬送して高品質な検査等の各種処理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るシート体の搬送装置を搭載するシート体の検査装置を示す図であり、その概略外観を示す斜視図である。
図2図2は、その正面から見た立面概念図である。
図3図3は、その検査部を示す図であり、(a)はそのシート体の搬送方向から見た一部レイアウト図、(b)はそのシート体の搬送方向の直交方向から見た一部レイアウト図である。
図4図4は、その搬送装置のシート体を保持する保持部を示す図であり、(a)はそのシート体の保持状態を示す平面図、(b)はその保持部の要部を示す拡大下面図である。
図5図5は、その搬送装置の保持部を案内する案内部を示す斜視図である。
図6図6は、その搬送装置の案内部における一部の保持部の構造を示す立面図である。
図7図7は、その搬送装置の保持部によるシート体の保持を説明する図であり、(a)~(c)はシート体を保持するまでの状況を説明する立面図である。
図8図8は、その搬送装置の保持部によるシート体の保持開始から搬送時を説明する図であり、(a)~(c)はシート体を保持してから搬送開始するまでの状況を説明する立面概念図である。
図9図9は、その搬送装置によるシート体の搬送および検査装置によるシート体の検査の状況を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1図9は本発明に係るシート体の搬送装置を搭載するシート体の検査装置の一実施形態を示す図である。
【0014】
図1および図2において、シート体の検査装置100は、可撓性を有するシート状のシート体Sを検査対象として、例えば、光学的検査を行う検査部110の検査位置Cpに搬送する搬送装置10を備えている。検査装置100は、他の外部装置、例えば、シート体Sの前工程や後工程の処理装置に連携可能に連結などされて、シート体Sの一連の製造ラインに組み込まれており、備えるタッチパネル102からの入力指示や製造ラインの制御装置から受け取る制御信号に基づいて検査対象のシート体Sに関する所望の品質検査などを実行するようなっている。ここで、本実施形態の検査装置100としては、後述するフレーム107に検査部110および搬送装置10などと共にコントローラ(制御装置)を組み込んだ単独装置の形態で構築してもよいことは言うまでもない。なお、図1中の109は、検査装置100の稼働状況を報知する監視表示灯であり、この監視表示灯109は、待機中、運転中および異常発生中のいずれの状況であるかを適宜に点灯表示して作業員が認識可能に状況を報知する。
【0015】
検査部110は、通過するシート体Sの上面または下面に検査光を適宜に切り替えて照射することができるように、そのシート体Sの搬送経路Rの上下にLED照明111、113が配置されており、LED照明111、113からの出射光Liがシート体Sで反射される反射光Lr、またはそのシート体Sを透過する透過光Ltを受光してシート体S表面を撮像する2組のカメラ117、119(図2中には1つのカメラのみ図示)が配置されている。ここで、シート体Sの下方に設置されるLED照明113は、アクチューエータ115を備えて、シート体S下面からの離隔距離や搬送方向の設置位置などを変更可能に設置されており、そのシート体Sに照射する出射光Liの光強度や広がり幅や照射角度など品質検査に応じて調整することができるようになっている。なお、図2中には、反射光Lrおよび透過光Ltの光路を重ねて図示しているが、透過光LtはLED照明111からシート体Sを透過する直線状の光路を通ってカメラ117、119に入光されるが、反射光Lrはシート体S表面で反射されて屈曲する光路を通ってカメラ117、119に入光されることになる(図3(b)を参照)。この反射光Lrおよび透過光Ltの双方を利用してシート体Sの品質検査をする場合には、シート体Sを往復移動させて反射光Lrおよび透過光Ltを順次に受光するようにすればよい。また、本実施形態では、2組のカメラ117、119を設置する場合を一例に説明するが、これに限るものではなく、少なくとも1組(台)のカメラを設置するのでもよいことは言うまでもない。
【0016】
この検査部110は、図3(b)に示すように、搬送経路Rを通過するシート体Sの搬送方向Cdに直交する幅方向の全幅を照明するようにLED照明111およびLED照明113がそれぞれ上下に配置されており、そのLED照明111、113のそれぞれがその幅方向に延長される形態に作製されている。これに対して、図3(a)に示すように、一対1組のカメラ117、119は、搬送経路Rを通過するシート体Sの幅方向の全幅からの反射光Lrや透過光Ltを受光可能にその幅方向に離隔して撮影幅Iwが重なるように配置されている。
【0017】
ここで、検査部110は、図3(b)に示すように、搬送経路Rの上方に位置するLED照明111から斜め方向へ照射される出射光Liがシート体Sで斜め方向に反射されて、その反射光Lrがカメラ117、119に入光されて受光撮影されるように配置されている。また、検査部110は、搬送経路Rの下方に位置するLED照明113から鉛直上方へ照射される出射光Liが通過するシート体Sをそのまま鉛直方向に透過して、その透過光Ltがカメラ117、119に入光されて受光撮影されるように配置されている。
【0018】
搬送装置10は、検査装置100の検査対象としてセットされるシート体Sを保持しつつ移動される搬送テーブル11と、その搬送テーブル11を検査前のシート体Sのセット位置Spから検査位置Cpを経由して検査後のシート体Sの回収位置Rpまで移動させた後にその回収位置Rpからセット位置Spに戻す往復移動(案内)を可能にするように搬送方向Cdに延長されている一対の搬送レール13と、その往復移動する搬送テーブル11の下方に位置して検査対象のシート体Sの搬送品質を向上させる搬送ステージ15と、を備えて構築されている。搬送装置10の搬送テーブル11や搬送レール13や搬送ステージ15は、検査部110と共に、フレーム107に操作しやすい高さに設置されている。
【0019】
そして、本実施形態の搬送テーブル11は、図4(a)に示すように、シート体Sの搬送方向Cdに延在し、そのシート体Sの大きさ以上(最大サイズ以上)の長尺に形成された一対の保持部材21を備えており、その保持部材21は、図4(b)に示すように、検査対象のシート体Sの上面側に対面する平面部21uに複数個の吸気口21iが分散位置に開口されている。この保持部材21は、検査装置100に内蔵あるいは外部接続されている不図示の吸気ポンプなどの吸気装置により吸気口21iから吸気されることによりシート体Sを吸引吸着して保持するようになっている。ここで、保持部材21の吸気口21iは、少なくともシート体Sの設置面側に気体を通過する部材、例えば、内部に連通する空孔の存在するスポンジのような硬質のポーラス材を設置して複数個所で開口するように分散配置されており、この吸気口21iは、ポーラス材のような通気部材に限らず、ドット状に開口する複数の連通孔、あるいは表面側のスリットで繋がる連通孔を形成して機能させるようにしてもよい。
【0020】
一対の保持部材21は、水平方向の平行姿勢で離隔する位置、例えば、検査対象のシート体Sの平面形状をほぼ維持して間に高品質検査の可能な平坦部Sfを形成する離隔位置に位置するように、それぞれ保持部材21A、21Bとして別個に機能するように配置されている。これら保持部材21A、21Bは、搬送レール13上を不図示のモータの動力で移動する図5に示す移動機構25に搭載されている保持機構23毎に取り付けられており、その移動機構25にシート体Sの搬送方向Cdの直交方向Crに移動(スライド)可能に搭載されている。
【0021】
これにより、これら保持機構23毎の保持部材21A、21Bは、それぞれ移動機構25に搭載されて、検査対象のシート体Sの両側辺Ss側を吸着保持しつつ検査位置Cpおよび回収位置Rpの間に安定して往復移動(案内)される。すなわち、本実施形態の搬送装置10は、一対の保持部材21が検査対象のシート体Sの両側辺Ssを吸着保持して、その間に位置するシート体Sの平坦部Sfを空中に浮いた状態で検査位置Cpを通過するように搬送する搬送テーブル11を備えている。ここで、保持機構23毎の保持部材21A、21Bは、一方のみをシート体Sの搬送方向Cdの直交方向Crにスライド自在に移動機構25に搭載されて、他方を移動不能に移動機構25に固定してもよい。
【0022】
すなわち、一対の保持部材21(21A、21B)がシート体Sの平面形状の平坦部Sfを間に挟む離隔領域の両側辺Ss側を吸着保持する保持部を構成し、保持機構23がシート体Sの平面形状を維持するように一対の保持部材21を移動機構25の離隔位置に維持するとともに搬送方向に案内する案内部を構成し、移動機構25がその保持機構23により案内可能に維持される一対の保持部材21を搬送方向に移動させる移動部を構成している。なお、本実施形態の搬送テーブル11では、一対の保持部材21(21A、21B)を備えて搬送方向Cdに延長されている2カ所のシート体Sの両側辺Ss側(離隔箇所)を吸着保持する場合を一例にして説明するが、これに限るものではなく、例えば、1つの保持部材21と共に搬送方向Cdの両端部などの狭い離隔箇所の3カ所以上(狭い箇所の4箇所以上でもよい)を吸着保持するように作製してもよい。また、この一対の保持部材21の吸気口21iは、下面側の平面部21uにドット状に複数個所に開口形成する場合を一例にして説明するが、これに限るものではなく、例えば、その長手方向に連続あるいは断続的に開口するスリット状に形成して、シート体Sを吸着保持するようにしてもよい。
【0023】
保持機構23は、図5および図6に示すように、一対の保持部材21(21A、21B)のそれぞれをベース31にパッド33を介して上下で平行になる姿勢で移動機構25の枠部材41に取り付けて支持される共通の構造(機構)に作製されている。保持機構23は、ベース31のシート体Sの搬送方向Cdの両端部が移動機構25の枠部材41のシート体Sの搬送方向Cdの直交方向Crに延在する一対の直交レール41rにスライド可能に設置されている。
【0024】
これにより、保持機構23は、例えば、一方の保持部材21Aを移動機構25の枠部材41に隣接する基準位置に位置決めしてシート体Sの一方の側辺Ssを吸着保持するとともに、他方の保持部材21Bをその保持部材21Aから離隔する直交方向Crにスライドさせてシート体Sの他方の側辺Ssを吸着保持可能に位置決めすることができる。
【0025】
この保持機構23は、移動機構25の枠部材41の直交レール41rに両端部をスライド可能に支持されているベース31に、パッド33および保持部材21を上下に位置する平行姿勢に支持させる構造に作製されており、パッド33はベース31に、また、保持部材21はパッド33に、その平行姿勢を維持したまま互いに近接離隔可能な吊り下げ状態になるようにガイド35により連結されている。そして、保持部材21は、下面側の平面部21uの背面側上面に立設されているエアチューブ接続部品36に不図示のエアチューブが接続されてチューブ逃げ溝33h内に収容されることにより、吸気口21iからシート体S側との間の空気を吸引して吸着することを実現している。また、ベース31は、パッド33の上面に回転自在に先端部を連結されているインジケータ37i付きのノブ37が回転可能に設置されており、そのノブ37がインジケータ37iを目安にして回転されることにより吊り下げ状態の保持部材21下面の平面部21uの位置を上下方向に調整することができるようになっている。
【0026】
さらに、図1および図2に戻って、本実施形態の搬送ステージ15は、搬送テーブル11が移動するシート体Sの検査位置Cpの中央付近を除く、セット位置Spおよび回収位置Rpの間において、その搬送テーブル11の下方に位置してシート体Sに対面するように敷設されている。搬送ステージ15は、シート体Sに対面してスリット15sが介在するように並列されている複数枚の平板部材により作製されており、その平板部材をスライドさせてスリット15sの間隔を調整することによりサイズの多種多様なシート体Sの全面あるいは一部を支持して載置可能なセット位置Spとして機能するようになっている。また、この搬送ステージ15は、保持部材21と同様に、ポーラス材を使用して作製されており、不図示の位置に接続されているチューブを介して上方に圧縮空気(他の不活性ガスなどの気体でもよい)を噴出あるいは上部外気を吸気可能な噴出・吸気口15a(図8図9を参照)を備えるように作製されている。ここで、搬送ステージ15の噴出・吸気口15aは、例えば、シート体Sの搬送方向Cdに断続的に噴出箇所と吸気箇所とが連続する形態で機能するように作製されており、予め接続される空気の圧送チューブが接続されて噴出箇所として機能するとともに、空気の吸気チューブが接続されて吸気箇所として機能するようになっている。すなわち、搬送ステージ15が対面部を構成し、噴出・吸気口15aが噴出口および吸気口として機能するようになっている。
【0027】
これにより、搬送装置10の搬送テーブル11は、例えば、図7(a)に示すように、保持機構23のノブ37を一方向に回転させてパッド33を上面がベース31下面に接するまで上昇させることにより、図8(a)に示すように、一対の保持部材21(21A、21A)の下方の搬送ステージ15の上面(載置面)に検査対象のシート体Sを吸着保持可能に載置することを可能にする。この後に、保持機構23の一対の保持部材21が検査対象のシート体Sの両側辺Ss付近に位置するように、ベース31を移動機構25の枠部材41の直交レール41r上をスライドさせて位置決めした後に、図7(b)に示すように、保持機構23のノブ37を逆方向に回転させてパッド33を降下させて、図8(b)に示すように、保持部材21下面の平面部21uに吸気口21iの外部空気Aiの吸気によりシート体Sを密着させて吸着保持させることができる。この後に、保持機構23は、図7(c)および図8(c)に示すように、搬送ステージ15の噴出・吸気口15aから圧縮空気Asを保持部材21が吸着保持する検査対象のシート体S下面に吹き付けることにより、そのシート体Sと共に保持部材21をパッド33に接触させる方向に上昇させることができ、そのシート体Sを搬送ステージ15から離隔する方向に付勢して下方の部材に接触して損傷してしまうことを回避することができる。
【0028】
さらに、搬送装置10は、図9に示すように、搬送ステージ15におけるシート体Sのセット位置Spおよび回収位置Rpでは、保持部材21の平面部21uに吸着保持されているシート体Sに噴出・吸気口15aから圧縮空気Asを吹き付けて付勢力Fsを付与することによって検査対象のシート体Sを損傷させることなく検査位置Cpに搬送することができる(図7(c)および図8(c)も参照)。これに加えて、搬送装置10は、搬送ステージ15におけるシート体Sの検査位置Cpにおけるセット位置Spおよび回収位置Rpの近傍の隣接位置では、保持部材21の平面部21uに吸着保持されているシート体Sと搬送ステージ15との間の空気を噴出・吸気口15aで吸気して吸引力Fiを付与することによって付勢力Fsとバランスを取ることを実現し、検査対象のシート体Sを搬送ステージ15の上面(規定面)からの離隔間隔である規定の高さを高品質に維持して検査位置Cpに安定姿勢で通過(搬送)するようになっている。
【0029】
このため、検査装置100は、検査部110において、検査対象のシート体Sを搬送装置10の保持部材21の平面部21uに信頼性高く吸着保持させつつセット位置Spおよび回収位置Rpの間を搬送することができる。このとき、検査装置100は、セット位置Spおよび回収位置Rpに隣接する検査位置Cpでは、その検査対象のシート体Sを搬送ステージ15の噴出・吸気口15aによる圧縮空気の付勢力Fsおよび外気吸気の吸引力Fiを作用させて安定した高さに維持しつつ搬送することができ、そのシート体Sの反射光Lrや透過光Ltの撮影画像による品質検査を高精度に実行することができる。
【0030】
このように、本実施形態の搬送装置10を搭載する検査装置100においては、可撓性を有するシート体Sであっても平坦部Sfの平面形状を維持するように両側辺Ss側を保持しつつ搬送方向Cdに搬送してセット位置Spから検査位置Cpを経由して回収位置Rpに案内することができる。このとき、シート体Sは、対面する下方から圧縮空気Asが吹き付けられて付勢力Fsを付与されることによって、下方の搬送ステージ15に接触することを回避することができる。また、そのシート体Sは、検査位置Cp付近では搬送ステージ15との間の空気Aiが下方から吸気されて吸引力Fiを付与されることによって、上方への付勢力Fsと下方への吸引力Fiとでバランスを取ることができ、検査対象のシート体Sの高さが高精度に維持されつつ検査位置Cpに搬送されて通過させることができる。
【0031】
したがって、下方の搬送ステージ15に擦れて損傷してしまうことを回避しつつ、シート体Sを規定高さの検査位置に高品質に搬送することができ、解放されている上下から検査光を照射して検査することができる。
【0032】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により特定される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【符号の説明】
【0033】
10……搬送装置
11……搬送テーブル
13……搬送レール
15……搬送ステージ
15a……噴出・吸気口
21、21A、21B……保持部材
21i……吸気口
21u……平面部
23……保持機構
25……移動機構
41r……直交レール
100……検査装置
110……検査部
111、113……LED照明
117、119……カメラ
Ai……外部空気
As……圧縮空気
Cd……搬送方向
Cp……検査位置
Fi……吸引力
Fs……付勢力
Li……出射光
Lr……反射光
Lt……透過光
R……搬送経路
S……シート体
Sf……平坦部
Ss……側辺
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9