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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047183
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/00 20060101AFI20240329BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A01C11/00 302
A01C11/02 303C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152662
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】米田 彩美
(72)【発明者】
【氏名】原 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】川崎 優太
(72)【発明者】
【氏名】周防 僚太
(72)【発明者】
【氏名】清家 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】村並 昌実
(72)【発明者】
【氏名】山根 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】東 幸太
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘喜
【テーマコード(参考)】
2B060
【Fターム(参考)】
2B060AA10
2B060AC01
2B060AD05
2B060AE01
2B060BA03
2B060BB09
2B060CC05
(57)【要約】
【課題】 苗を苗ポットから取出す苗取出し装置と、取出された苗を圃場へ植付ける苗植付け装置と、を有する、走行しながら苗を植付ける移植機のような作業車両が、知られている。しかしながら、従来の作業車両については、植付けられた苗における肥料不足が発生することがある。
【解決手段】 走行しながら苗700を植付ける移植機であって、苗700を苗ポット610から取出す苗取出し装置200と、取出された苗700を圃場900へ植付ける苗植付け装置300と、植付けられる苗700へ供給される肥料800を貯留する肥料貯留部500と、を備えており、肥料800は、苗700が苗ポット610から取出される苗取出し位置の近傍において苗700へ供給される移植機である。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行しながら苗(700)を植付ける作業車両であって、
前記苗(700)を苗ポット(610)から取出す苗取出し装置(200)と、
前記取出された苗(700)を圃場(900)へ植付ける苗植付け装置(300)と、
前記植付けられる苗(700)へ供給される肥料(800)を貯留する肥料貯留部(500)と、
を備えており、
前記肥料(800)は、前記苗(700)が前記苗ポット(610)から取出される苗取出し位置の近傍において前記苗(700)へ供給されることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記肥料貯留部(500)は、液状の前記肥料(800)を貯留する肥料貯留タンク(510)を有し、
肥料供給注射針(530)が、前記肥料貯留タンク(510)へ接続された肥料供給ホース(520)の先端部へ取付けられており、
前記肥料(800)の前記苗(700)への供給は、前記肥料供給注射針(530)からのプランジャー押出し操作を利用することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記肥料供給注射針(530)は、前記苗取出し装置(200)の苗取出し具(210)へ取付けられていることを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記苗取出し具(210)は、前記苗ポット(610)が収容する育苗土(620)へ突刺さって前記苗(700)を前記苗ポット(610)から取出す、二股分岐形状を有する爪状の苗取出し具であり、
前記苗(700)が前記苗ポット(610)から取出されるとき、前記肥料供給注射針(530)は前記苗取出し具(210)とともに前記育苗土(620)へ突刺さり、
前記肥料供給注射針(530)は、前記苗取出し具(210)の前記二股分岐形状の間に配置されており、
前記肥料供給注射針(530)の排出孔(531)は、前記肥料供給注射針(530)の側面へ設けられた横孔であることを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記肥料貯留部(500)は、液状の前記肥料(800)を貯留する肥料貯留タンク(510)を有し、
前記肥料貯留タンク(510)は、前記苗取出し位置の上方に配置されており、
肥料供給ノズル(540)が、前記肥料貯留タンク(510)へ接続された肥料供給ホース(520)の先端部へ取付けられており、
前記肥料(800)の前記苗(700)への供給は、前記肥料供給ノズル(540)からの自重による落下現象を利用することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項6】
前記肥料貯留部(500)は、相異なる粒径を有する粒状の前記肥料(800)を貯留する肥料貯留タンク(510)を有し、
前記肥料貯留タンク(510)は、前記苗取出し位置の上方に配置されており、
前記相異なる粒径に応じたサイズを有する肥料供給孔(551)または肥料供給切欠き(552)が設けられている回転プレート(550)が、前記肥料貯留タンク(510)の底部へ回転可能に取付けられており、
前記肥料供給孔(551)または前記肥料供給切欠き(552)は、前記回転プレート(550)の回転で選択可能であり、
前記肥料(800)の前記苗(700)への供給は、選択された前記肥料供給孔(551)または前記肥料供給切欠き(552)を通っての自重による落下現象を利用することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項7】
前記肥料貯留部(500)は、複数の種類の前記肥料(800)をそれぞれ貯留する複数の肥料貯留タンク(510)を有し、
前記複数の種類の前記肥料(800)は、あらかじめ定められた成分比率に基づいて前記複数の肥料貯留タンク(510)からそれぞれ排出され、
前記肥料(800)の前記苗(700)への供給は、前記複数の肥料貯留タンク(510)から前記それぞれ排出された前記複数の種類の肥料(800)の混合操作を利用することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植機などのような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
苗を苗ポットから取出す苗取出し装置と、取出された苗を圃場へ植付ける苗植付け装置と、を有する、走行しながら苗を植付ける移植機のような作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-146529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述された従来の作業車両については、植付けられた苗における肥料不足が発生することがある。
【0005】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、植付けられた苗における肥料不足の発生を抑制することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、走行しながら苗(700)を植付ける作業車両であって、
前記苗(700)を苗ポット(610)から取出す苗取出し装置(200)と、
前記取出された苗(700)を圃場(900)へ植付ける苗植付け装置(300)と、
前記植付けられる苗(700)へ供給される肥料(800)を貯留する肥料貯留部(500)と、
を備えており、
前記肥料(800)は、前記苗(700)が前記苗ポット(610)から取出される苗取出し位置の近傍において前記苗(700)へ供給されることを特徴とする作業車両である。
【0007】
第2の本発明は、前記肥料貯留部(500)は、液状の前記肥料(800)を貯留する肥料貯留タンク(510)を有し、
肥料供給注射針(530)が、前記肥料貯留タンク(510)へ接続された肥料供給ホース(520)の先端部へ取付けられており、
前記肥料(800)の前記苗(700)への供給は、前記肥料供給注射針(530)からのプランジャー押出し操作を利用することにより行われることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0008】
第3の本発明は、前記肥料供給注射針(530)は、前記苗取出し装置(200)の苗取出し具(210)へ取付けられていることを特徴とする第2の本発明の作業車両である。
【0009】
第4の本発明は、前記苗取出し具(210)は、前記苗ポット(610)が収容する育苗土(620)へ突刺さって前記苗(700)を前記苗ポット(610)から取出す、二股分岐形状を有する爪状の苗取出し具であり、
前記苗(700)が前記苗ポット(610)から取出されるとき、前記肥料供給注射針(530)は前記苗取出し具(210)とともに前記育苗土(620)へ突刺さり、
前記肥料供給注射針(530)は、前記苗取出し具(210)の前記二股分岐形状の間に配置されており、
前記肥料供給注射針(530)の排出孔(531)は、前記肥料供給注射針(530)の側面へ設けられた横孔であることを特徴とする第3の本発明の作業車両である。
【0010】
第5の本発明は、前記肥料貯留部(500)は、液状の前記肥料(800)を貯留する肥料貯留タンク(510)を有し、
前記肥料貯留タンク(510)は、前記苗取出し位置の上方に配置されており、
肥料供給ノズル(540)が、前記肥料貯留タンク(510)へ接続された肥料供給ホース(520)の先端部へ取付けられており、
前記肥料(800)の前記苗(700)への供給は、前記肥料供給ノズル(540)からの自重による落下現象を利用することにより行われることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0011】
第6の本発明は、前記肥料貯留部(500)は、相異なる粒径を有する粒状の前記肥料(800)を貯留する肥料貯留タンク(510)を有し、
前記肥料貯留タンク(510)は、前記苗取出し位置の上方に配置されており、
前記相異なる粒径に応じたサイズを有する肥料供給孔(551)または肥料供給切欠き(552)が設けられている回転プレート(550)が、前記肥料貯留タンク(510)の底部へ回転可能に取付けられており、
前記肥料供給孔(551)または前記肥料供給切欠き(552)は、前記回転プレート(550)の回転で選択可能であり、
前記肥料(800)の前記苗(700)への供給は、選択された前記肥料供給孔(551)または前記肥料供給切欠き(552)を通っての自重による落下現象を利用することにより行われることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0012】
第7の本発明は、前記肥料貯留部(500)は、複数の種類の前記肥料(800)をそれぞれ貯留する複数の肥料貯留タンク(510)を有し、
前記複数の種類の前記肥料(800)は、あらかじめ定められた成分比率に基づいて前記複数の肥料貯留タンク(510)からそれぞれ排出され、
前記肥料(800)の前記苗(700)への供給は、前記複数の肥料貯留タンク(510)から前記それぞれ排出された前記複数の種類の肥料(800)の混合操作を利用することにより行われることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【発明の効果】
【0013】
第1の本発明により、植付けられた苗における肥料不足の発生を抑制することが可能である。
【0014】
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、利便性を向上することが可能である。
【0015】
第3の本発明により、第2の本発明の効果に加えて、構成を簡素化することが可能である。
【0016】
第4の本発明により、第3の本発明の効果に加えて、使い勝手を向上することが可能である。
【0017】
第5の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、簡素な構成で利便性を向上することが可能である。
【0018】
第6の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、簡素な構成で利便性を向上することが可能である。
【0019】
第7の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、簡素な構成で利便性を向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明における実施の形態の移植機の左側面図
図2】(a)本発明における実施の形態の移植機の苗移植時に施肥可能な機構の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の移植機の苗移植時に施肥可能な機構の説明図(その二)、(c)本発明における実施の形態の移植機の苗移植時に施肥可能な機構の説明図(その三)、(d)本発明における実施の形態の移植機の苗移植時に施肥可能な機構の説明図(その四)、(e)本発明における実施の形態の移植機の苗移植時に施肥可能な機構の説明図(その五)
図3】(a)本発明における実施の形態の移植機の苗移植時に施肥可能な機構の説明図(その六)、(b)本発明における実施の形態の移植機の苗移植時に施肥可能な機構の説明図(その七)、(c)本発明における実施の形態の移植機の苗移植時に施肥可能な機構の説明図(その八)、(d)本発明における実施の形態の移植機の苗移植時に施肥可能な機構の説明図(その九)
図4】(a)本発明における実施の形態の野菜移植機苗枠の構成の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の野菜移植機苗枠の構成の説明図(その二)
図5】(a)本発明における実施の形態の野菜移植機苗枠の構成の説明図(その三)、(b)本発明における実施の形態の野菜移植機苗枠の構成の説明図(その四)
図6】(a)本発明における実施の形態の野菜移植機のスタンド部の構成の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の野菜移植機のスタンド部の構成の説明図(その二)、(c)本発明における実施の形態の野菜移植機のスタンド部の構成の説明図(その三)、(d)本発明における実施の形態の野菜移植機のスタンド部の構成の説明図(その四)
図7】(a)本発明における実施の形態の野菜移植機のスタンド部の構成の説明図(その五)、(b)本発明における実施の形態の野菜移植機のスタンド部の構成の説明図(その六)
図8】(a)本発明における実施の形態の野菜移植機のスタンド部の構成の説明図(その七)、(b)本発明における実施の形態の野菜移植機のスタンド部の構成の説明図(その八)
図9】(a)本発明における実施の形態の野菜移植機の鎮圧輪構成の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の野菜移植機の鎮圧輪構成の説明図(その二)、(c)本発明における実施の形態の野菜移植機の鎮圧輪構成の説明図(その三)
図10】本発明における実施の形態の移植機の二段階クラッチの説明図(その一)
図11】(a)本発明における実施の形態の移植機の二段階クラッチの説明図(その二)、(b)本発明における実施の形態の移植機の二段階クラッチの説明図(その三)
図12】(a)本発明における実施の形態の移植機の二段階クラッチの説明図(その四)、(b)本発明における実施の形態の移植機の二段階クラッチの説明図(その五)、(c)本発明における実施の形態の移植機の二段階クラッチの説明図(その六)
図13】(a)本発明における実施の形態の移植機の二段階クラッチの説明図(その七)、(b)本発明における実施の形態の移植機の二段階クラッチの説明図(その八)
図14】(a)本発明における実施の形態の移植機の二段階クラッチの説明図(その九)、(b)本発明における実施の形態の移植機の二段階クラッチの説明図(その十)
図15】(a)本発明における実施の形態の移植機の二段階クラッチの説明図(その十一)、(b)本発明における実施の形態の移植機の二段階クラッチの説明図(その十二)
図16】(a)本発明における実施の形態の移植機の畝追従装置の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の移植機の畝追従装置の説明図(その二)、(c)本発明における実施の形態の移植機の畝追従装置の説明図(その三)
図17】(a)本発明における実施の形態の移植機の畝追従装置の説明図(その四)、(b)本発明における実施の形態の移植機の畝追従装置の説明図(その五)
図18】(a)本発明における実施の形態の移植機の畝追従装置の説明図(その六)、(b)本発明における実施の形態の移植機の畝追従装置の説明図(その七)
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあり、透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0023】
(1)はじめに、図1を主として参照しながら、本発明における実施の形態の移植機の構成および動作について具体的に説明する。
【0024】
ここに、図1は、本発明における実施の形態の移植機の左側面図である。
【0025】
本実施の形態の移植機の動作について説明しながら、制御機構などにより実現される、本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法についても説明する。
【0026】
本実施の形態の移植機は、エンジン110から伝達されてくる駆動力を利用して、左右一対の従動前車輪121および駆動後車輪122を有する走行装置120で走行しながら、苗植付け具310を有する苗植付け装置300により苗700の植付けを行う、野菜苗移植機などのような移植機である。
【0027】
本実施の形態の移植機は、苗700を苗ポット610から取出す苗取出し装置200と、取出された苗700を圃場900へ植付ける苗植付け装置300と、を有する、走行しながら苗700を植付ける移植機であって、本発明における作業車両の具体的な例である。
【0028】
移植機は、苗トレイ600を積載して左右に移動するとともに、苗トレイ600を前後に動かす苗搬送装置としての苗トレイ搬送装置400と、苗トレイ600から苗700を取出す苗取出し装置200と、苗取出し装置200から苗700を受けて圃場900に植付ける苗植付け装置300が設けられている。苗トレイ搬送装置400がリードカム軸に沿って左右方向に移動することにより、苗トレイ600の左右列である横列に並ぶ苗700が一つずつ取り出され、苗トレイ搬送装置400が左右方向の端部に到達すると、苗トレイ600は縦方向に一列分送り出され、つぎの左右列の苗700を取り出せる状態とする。そして、走行車体の上部には、機体左右中央部および左右両側に複数の予備苗載せ台を備える予備苗枠を設けており、苗トレイ搬送装置400に積載した苗トレイ600から苗が取出されても、つぎの苗トレイ600をすぐにセットして植付け動作させることが可能である。
【0029】
(2)つぎに、本発明における実施の形態の移植機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0030】
図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)および2(e)、ならびに3(a)、3(b)、3(c)および3(d)を主として参照しながら、移植機の苗移植時に施肥可能な機構について説明する。
【0031】
ここに、図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)および2(e)、ならびに3(a)、3(b)、3(c)および3(d)は、本発明における実施の形態の移植機の苗移植時に施肥可能な機構の説明図(その一から九)である。
【0032】
肥料不足を防止するには、移植用の苗700を育てる育苗の段階で土中の肥料成分を多めにしてもよいが、肥料成分が多過ぎると苗700が早く伸びて徒長苗となり、植付け作業を妨げるとともに、風雨によって肥料成分が圃場900の外および周囲の水路に入り込み、環境を汚染することがある。苗トレイ600から苗700を取って植付ける方式の移植機において、苗700の植付けの直前または直後において肥料800を供給する施肥装置としての肥料貯留部500を設けることにより、生育途中で土中の養分が使い果たされても、生育が遅くなりにくく、収穫する作物の品質が低下しにくい。
【0033】
肥料貯留部500は、植付けられる苗700へ供給される肥料800を貯留する貯留部である。肥料800は、苗700が苗ポット610から取出される苗取出し位置の近傍において苗700へ供給される。
【0034】
このように、苗トレイ600を上下および左右方向に搬送する苗トレイ搬送装置400、苗トレイ搬送装置400で搬送中の苗700を取出す苗取出し装置200、および苗取出し装置200から苗700を受けて植付ける苗植付け装置300が走行車体へ設けられているのみならず、肥料800を貯留する肥料貯留タンク510から肥料800を放出する貯留供給部材としての肥料貯留部500も設けられており、肥料貯留部500から放出される肥料は、苗取出し装置200が苗トレイ600から苗700を取出す位置に供給される。苗トレイ600への植付け前の施肥により植付け前の苗700の根鉢などに肥料を供給することができるので、圃場900に植付けられた苗700が肥料不足で生育不良を起こすことを防止できる。
【0035】
肥料貯留部500は、液状の肥料800を貯留する肥料貯留タンク510を有する(図2(a)参照)。肥料供給注射針530が、肥料貯留タンク510へ接続された肥料供給ホース520の先端部へ取付けられている(図2(b)参照)。肥料800の苗700への供給は、肥料供給注射針530からのプランジャー押出し操作を利用することにより行われる(図2(c)参照)。
【0036】
肥料供給注射針530は、苗取出し装置200の苗取出し具210へ取付けられている。
【0037】
苗取出し具210は、苗ポット610が収容する育苗土620へ突刺さって苗700を苗ポット610から取出す、二股分岐形状を有する爪状の苗取出し具である(図2(d)参照)。苗700が苗ポット610から取出されるとき、肥料供給注射針530は苗取出し具210とともに育苗土620へ突刺さる。肥料供給注射針530は、苗取出し具210の二股分岐形状の間に配置されている。肥料供給注射針530の排出孔531は、肥料供給注射針530の側面へ設けられた横孔である(図2(e)参照)。
【0038】
たとえば、苗取出し具210の爪の間に肥料供給注射針530または注射針のような細い管などを設け、爪とともに育苗土620へ突刺さった肥料供給注射針530から液肥である肥料800を苗700である育苗土620に注入する構成が考えられる。シリンダー535のプランジャー押出し力を利用する仕組みの原理で、施肥量は調節可能である。確実に一つ一つの苗700に施肥することができる。
【0039】
左右2本の爪の間に肥料供給注射針530または注射針のような細い管などを設け、苗700の上から育苗土620の上に載るくらいの高さで施肥を行ってもよい。
【0040】
肥料供給注射針530が苗取出し具210の二股分岐形状の間に配置されているので、苗取出し具メンテナンス作業などが行われるとき、肥料供給注射針530による作業者の損傷の心配はほとんどない。肥料供給注射針530の排出孔531が肥料供給注射針530の側面へ設けられた横孔であるので、肥料供給注射針530が育苗土620へ突刺さっても、育苗土620による排出孔531の閉塞の心配はほとんどない。
【0041】
このように、肥料貯留部500は、肥料貯留タンク510から肥料800を放出する肥料供給ホース520の端部に、苗700の下部の根鉢に進入して肥料800を供給する供給シリンジなどを設けて構成されている。供給シリンジの注射針状の放出部である肥料供給注射針530は苗取出し装置200に設け、苗取出し装置200が苗植付け装置300に苗700を運んで供給する動作に連動して肥料供給ホース520から根鉢内に肥料800を注入させる。供給シリンジの肥料供給注射針530が苗700の根鉢内に入っている間に肥料800を注入させることにより、苗700の根部付近に肥料800を蓄えることができるので、根部が肥料800を吸収しやすく、苗700の生育不良の発生が防止される。苗取出し装置200の動作に合わせて供給シリンジを作動させることにより、供給シリンジを動作させる機構を別途設ける必要がなく、構成の簡略化や部品数の削減が図られる。たとえば、供給シリンジはポンプ機構であり、引き動作で液剤である肥料800を肥料貯留タンク510から経路に引込み、押し動作で排出口に押出す構成が利用される。
【0042】
肥料貯留部500は、液状の肥料800を貯留する肥料貯留タンク510を有する。肥料貯留タンク510は、苗取出し位置の上方に配置されている。肥料供給ノズル540が、肥料貯留タンク510へ接続された肥料供給ホース520の先端部へ取付けられている。肥料800の苗700への供給は、肥料供給ノズル540からの自重による落下現象を利用することにより行われる。
【0043】
たとえば、苗ポット610の苗700を苗取出し具210の爪で刺して、移植する際に、一つ一つの苗700に液肥である肥料800を注入する機構を備えた野菜移植機の構成が考えられる。移植後の施肥労力および時間が削減される。野菜の成長が促進される。
【0044】
混合肥料である肥料800を入れる小型の肥料貯留タンク510を設ける構成も考えられる。肥料貯留タンク510の下部に肥料供給ホース520を接続し、先端部にコック525と、口をすぼませた形状の肥料供給ノズル540を備える。肥料貯留タンク510を苗取出し具210の爪部より高い位置に設置し、開閉可能であるコック525を開くと自重で数滴の肥料800が一滴ずつ落下する。電気制御なしで、一定の量の液肥を滴下し続けることができる。
【0045】
肥料貯留タンク510を苗取出し具210の爪部より低い位置に備える場合などにおいては、または滴下量を可変にするために、ポンプ515を肥料供給ホース520に接続して、液肥である肥料800を流し、苗700の上から施肥を行ってもよい。肥料貯留タンク510を苗取出し具210の爪部より低い位置に備える場合でも、適用可能である。肥料800の滴下量を変えることができる。
【0046】
このように、肥料貯留部500は、苗トレイ搬送装置400の上方に配置する肥料貯留タンク510から肥料800を放出する肥料供給ホース520の端部から、所定間隔ごとに肥料800を一定量ずつ、肥料800の自重で落下させる、滴下による肥料供給ノズル540で構成されている。肥料供給ノズル540は、苗取出し装置200が苗700を取り出す位置の上方に配置される。肥料貯留タンク510を苗トレイ搬送装置400よりも上方に設け、肥料供給ノズル540から肥料800が自重で一定量ずつ落下する構成としたことにより、伝動機構を設けたり、電源を設けたりする必要がなく、構成の簡略化および部品数の削減が図られる。
【0047】
肥料貯留部500は、相異なる粒径を有する粒状の肥料800を貯留する肥料貯留タンク510を有する(図3(a)参照)。肥料貯留タンク510は、苗取出し位置の上方に配置されている(図3(b)参照)。相異なる粒径に応じたサイズを有する肥料供給孔551または肥料供給切欠き552が設けられている回転プレート550が、肥料貯留タンク510の底部へ回転可能に取付けられている(図3(c)参照)。肥料供給孔551または肥料供給切欠き552は、回転プレート550の回転で選択可能である(図3(d)参照)。肥料800の苗700への供給は、選択された肥料供給孔551または肥料供給切欠き552を通っての自重による落下現象を利用することにより行われる。
【0048】
たとえば、粒状の混合肥料である肥料800を入れる肥料貯留タンク510を設ける構成が考えられる。肥料排出口方向に、肥料貯留タンク510の底は傾斜させ、排出口に一粒の肥料800が通る肥料供給孔551を設ける。たとえば、数粒の肥料800が傾斜により自然に転がって排出口に向かう。
【0049】
肥料供給切欠き552および肥料供給孔551が形成されている、円盤状の回転プレート550を排出口に設けてもよい。肥料供給孔551は肥料800の粒径に合わせていくつかあけ、回転プレート550を回転させることで、さまざまな種類の肥料800に対応できる。たとえば、さまざまな粒状肥料である肥料800に対応できる。
【0050】
肥料貯留タンク510から流出した粒状肥料のような肥料800は、肥料供給ホース520の管を通り、苗取出し具210の爪の間から排出される構成も考えられる。育苗土620などのような土で管が詰まり肥料800が排出されないことを防ぐために、土の上面に肥料800が落下するようにする。粒状肥料のような肥料800でも、一つ一つの苗700に施肥が可能である。
【0051】
このように、肥料貯留部500は、肥料貯留タンク510の排出口に設ける、大、中、小および極小の肥料供給孔551、ならびに余りを取出す際の大きな切欠き部のような肥料供給切欠き552が、複数の粒径に対応する通過孔として形成された排出ディスクである、回転プレート550を設けて構成されている。回転プレート550の通過孔を通過した肥料800を放出する供給パイプのような肥料供給ホース520は、苗取出し装置200が苗700を取出す位置の上方に終端部が臨む配置構成とする。回転プレート550により異なる径の肥料800の使用に対応できるので、さまざまな作業条件の適応性が向上する。苗700の上方から肥料800を落とすことにより、肥料800は苗ポット610の育苗土620および圃場900の地面に浸透してから使用され始めるので、生育途中で肥料不足が生じることが防止され、苗700の生育が安定する。
【0052】
肥料貯留部500は、複数の種類の肥料800をそれぞれ貯留する複数の肥料貯留タンク510を有する。複数の種類の肥料800は、あらかじめ定められた成分比率に基づいて複数の肥料貯留タンク510からそれぞれ排出される。肥料800の苗700への供給は、複数の肥料貯留タンク510からそれぞれ排出された複数の種類の肥料800の混合操作を利用することにより行われる。
【0053】
たとえば、粒状肥料のための三個の肥料貯留タンク510を設け、それぞれにチッソ、リンおよびカリウムなどのような異なる肥料800を入れて排出口を設ける構成が考えられる。三本の肥料供給ホース520の管からそれぞれ肥料800を排出し、野菜の状態に合わせた適切な配分で施肥可能である。複数の粒状肥料である肥料800が施肥可能である。
【0054】
肥料供給切欠き552および肥料供給孔551が形成されている、円盤状の回転プレート550を排出口に設けることで、排出量も調節可能であってもよい。
【0055】
このように、肥料貯留部500は、窒素、リンおよびカリウムのような複数の肥料成分の肥料800を個別に貯留する複数の肥料貯留タンク510を設けて構成されている。各々の肥料貯留タンク510の排出口には、貯留する肥料成分の各々について所定時間あたりの放出量を変更する放出量切替え機構が設けられている。排出口から排出された各肥料成分を混合させて貯留する混合槽に肥料供給ホース520の始端部を接続し、他端部を肥料供給ノズル540または供給シリンジの肥料供給注射針530に接続してもよいし、供給パイプのような肥料供給ホース520を混合槽に接続してもよい。各肥料成分を供給前に任意の比率で混合することにより、植付ける作物および圃場の土質に合わせて適切な肥料800を供給できるので、苗700の生育の安定および収穫物の品質向上が図られるとともに、圃場900に過剰な肥料成分が残留することが防止され、周辺の土壌および水系の汚染が防止される。
【0056】
(3)つぎに、本発明における実施の形態の移植機の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0057】
(3A)はじめに、図4(a)および4(b)、ならびに5(a)および5(b)を主として参照しながら、野菜移植機苗枠の構成について説明する。
【0058】
ここに、図4(a)および4(b)、ならびに5(a)および5(b)は、本発明における実施の形態の野菜移植機苗枠の構成の説明図(その一から四)である。
【0059】
苗枠フレーム1101を操作ハンドル側に回動させることができる構成が考えられる。作業性向上が実現される。
【0060】
苗枠フレーム1101の回動部である支点部1102には摩擦圧をかけた状態にし、好きな位置で作業できるようにする構成も考えられる。
【0061】
苗枠フレーム1101には引張りスプリングを設け、自動で指定位置に戻す構成も考えられる。
【0062】
(3B)つぎに、図6(a)、6(b)、6(c)および6(d)、7(a)および7(b)、ならびに8(a)および8(b)を主として参照しながら、野菜移植機のスタンド部の構成について説明する。
【0063】
ここに、図6(a)、6(b)、6(c)および6(d)、7(a)および7(b)、ならびに8(a)および8(b)は、本発明における実施の形態の野菜移植機のスタンド部の構成の説明図(その一から八)である。
【0064】
フロントスタンドとも呼ばれるスタンド1201に鋳物製の水平センサー1202を固定する部品を設ける構成が考えられる。スタンド1201を使用するとき、水平センサー1202をロックする。水平センサー1202を固定する、固定U型プレートまたは水平センサー固定プレート(U型)などとも呼ばれる固定プレート1203は、スタンド1201に溶接している。別体のレバーで水平センサー1202を固定する構成と比べて、使用するのを忘れる恐れがほとんどない。荷造り移動時の破損抑制が実現される。
【0065】
固定を行うための固定プレート1203は支点ピン1205に通して回動する構成も考えられる。さらに、スタンドスプリングとも呼ばれるスプリング1204を設けることにより、スタンド1201を収納する側に自動的に固定プレート1203が収納される構成も考えられる。
【0066】
このような構成において、固定プレート1203をワイヤーにて連結し、操作部から手動で水平センサー1202を固定できるようにする構成も考えられる。
【0067】
(3C)つぎに、図9(a)、9(b)および9(c)を主として参照しながら、野菜移植機の鎮圧輪構成について説明する。
【0068】
ここに、図9(a)、9(b)および9(c)は、本発明における実施の形態の野菜移植機の鎮圧輪構成の説明図(その一から三)である。
【0069】
鎮圧輪の内外蓋に位置決めのガイドになるガイドピン1302を、たとえば、四か所に設け、畦の反対側の蓋には開孔部を設ける構成が考えられる。支点ピン1301については、ラジアル荷重およびアキシャル荷重の両方に対応可能であって支点ピン1301の軸受けとして機能する、ラジアルボールベアリングなどのようなベアリング1303を内外蓋に固定する。鎮圧輪の重量が大きいと、鎮圧する圧力の調節が難しいことがあるが、このような構成変更で重量が約半分になる。コスト低減が実現される。
【0070】
(3D)つぎに、図10、11(a)および11(b)、12(a)、12(b)および12(c)、13(a)および13(b)、14(a)および14(b)、ならびに15(a)および15(b)を主として参照しながら、移植機の二段階クラッチについて説明する。
【0071】
ここに、図10、11(a)および11(b)、12(a)、12(b)および12(c)、13(a)および13(b)、14(a)および14(b)、ならびに15(a)および15(b)は、本発明における実施の形態の移植機の二段階クラッチの説明図(その一から十二)である。
【0072】
第一のクラッチ操作部1402をハンドル1407の先端部に取付け、第二のクラッチ操作部1403をハンドル1407の折れ部に取付け、何れのクラッチを握っても、クラッチが切れるようにする構成が考えられる(図10参照)。両方のクラッチの場所には、第一のグリップ部1404および第二のグリップ部1405のようなグリップ部が取付けられている。旋回するとき、ハンドル1407の先端部のクラッチを握ってハンドル1407を押下げる構成も考えられるが、作業者は、肘を伸ばすことができずに腕の力に頼って機体を持上げなければならず、旋回するとき、ハンドル1407の先端部のクラッチを握ってハンドル1407を押下げるので、モーメントの観点からのデメリットがあり、体重がうまく印加されにくく、旋回時に機体を持上げるのが容易ではないことがあるのみならず、機体を十分に持上げられずに前側の車輪で畝を崩しながら旋回が行われることもある。
【0073】
旋回時に第二のクラッチ操作部1403のレバー1408でクラッチを切り、第一のクラッチ操作部1402のグリップ部を肘で押すことにより、作業者は、体幹を機体に近づけて胸筋および背筋のような大きな筋肉を使うことができるので、苦労なく機体の前輪を容易に持上げることができ、モーメントの観点からのメリットが有効に発揮される。肩から機体にわたって肘のような曲がる箇所がなく、肩と機体との間の距離が短くなるので、作業者は、旋回時に第二のクラッチ操作部1403のレバー1408でクラッチを切って第一のクラッチ操作部1402のグリップ部を肘で押すことにより、機体の前輪を容易に持上げることができる。作業者は、第一のクラッチ操作部1402のグリップ部から第二のクラッチ操作部1403まで腕を這わせることができるので、機体と密着しながら体重を容易に印加することができ、機体が安定する。
【0074】
このような構成において、肘受け1406を第一のクラッチ操作部1402の内側に取付ける構成も考えられる(図11(a)および11(b)参照)。作業者は、肘受け1406と第一のクラッチ操作部1402との間に肘を入れてハンドル1407を押しながら機体前側を持上げるので、機体前側を持上げやすく、肘受け1406が第一のクラッチ操作部1402の内側にあるので、作業者がハンドル1407を握るとき、手の甲が外側を向いて肘受け1406が邪魔にならないのみならず、機体が肘受け1406の取付けで大きくならず、省スペース化への弊害はほとんどない。
【0075】
第一のクラッチ操作部1402をハンドル1407の先端部に取付け、第二のクラッチ操作部1403をハンドル1407の折れ部の下側に取付け、何れのクラッチを握っても、クラッチが切れるようにするのみならず、第一のクラッチ操作部1402の内側の斜め下方に肘受け1406を取り付ける構成も考えられる(図12(a)、12(b)および12(c)参照)。肘受け1406が第一のクラッチ操作部1402の内側の斜め下方に取付けられており、作業者は、機体の旋回軸斜め下向きであるベクトルの向きに肘を用いて体重を印加しやすいのみならず、機体の後輪旋回の軸足に効率よく体重を印加しやすいので、機体を容易に旋回させることができる。
【0076】
第一のクラッチ操作部1402をハンドル1407の先端部に取り付け、第二のグリップ部1405をハンドル1407の途中でハンドル1407に対して上部に垂直に取付け、その裏にある、本機とも呼ばれる本体1401の側に第二のクラッチ操作部1403を取付け、何れのクラッチを握っても、クラッチが切れるようにする構成も考えられる(図13(a)および13(b)参照)。旋回時にハンドル1407を引きながら旋回を行うとき、やや大きな握力がグリップ把握のために必要になりやすいが、第二のグリップ部1405はハンドル1407の途中でハンドル1407に対して上部に垂直に取付けられているので、作業者は、第二のグリップ部1405をハンドル1407の側に小指が位置するように握ってそのまま肘から手までをハンドル1407の上部に沿わせて体重を印加しながらハンドル1407を押すことができるので、機体前側を容易に持上げることができる。ハンドル1407を引きながら旋回を行うことができるので、握力が小さい作業者でも、旋回を容易に行うことができる。
【0077】
このような構成において、肘受け1406を第一のクラッチ操作部1402の内側に取付ける構成も考えられる(図14(a)および14(b)参照)。
【0078】
第一のクラッチ操作部1402をハンドル1407の先端部に取り付け、地面に対して垂直になる状態を基準として本体1401の側へ向かって第二のグリップ部1405の角度を調節できるように、第二のグリップ部1405をハンドル1407の途中でハンドル1407に対して上部に取付け、その裏の本体1401の側に第二のクラッチ操作部1403を取付け、何れのクラッチを握っても、クラッチが切れるようにする構成も考えられる(図15(a)および15(b)参照)。旋回時に第二のグリップ部1405が地面に対して垂直になる状態を基準として操縦者側に傾いてしまうと、作業者は、手首を返さなくてはならないので、力を印加しにくいことがある。第二のグリップ部1405が固定されていると、ハンドル1407の高さで決まる、第二のグリップ部1405の地面に対する角度は、作業者の身長によっては、操縦が容易ではない角度になることがあるが、上述のように調節可能である第二のグリップ部1405の角度は、たとえば、複数のピン穴1409への選択的なピン抜差しで作業者が最も力を入れやすい角度へ容易に調節される。
【0079】
(3E)つぎに、図16(a)、16(b)および16(c)、17(a)および17(b)、ならびに18(a)および18(b)を主として参照しながら、移植機の畝追従装置について説明する。
【0080】
ここに、図16(a)、16(b)および16(c)、17(a)および17(b)、ならびに18(a)および18(b)は、本発明における実施の形態の移植機の畝追従装置の説明図(その一から七)である。
【0081】
畝の側面にセンサー板1501を当接させ、センサー板1501が畝から離れると、反対側の後輪の車輪のクラッチが切れるようにする構成が考えられる(図16(a)、16(b)および16(c)参照)。スプリング1505と連結されたセンサー板1501の畝当接部1502が畝から離れると、スプリング1505へ当接するセンサー板1501のスプリング当接部1503を介して、クラッチと連結されたワイヤー1504が牽引されることにより、反対側の後輪の車輪クラッチが自動的に切れる。走行中に畝に追従する、このような装置機能の市場ニーズはかなり高いと予想される。畝に追従することができるのみならず、センサー板1501の畝当接部1502が畝をなぞるように進むので、畝は傷つけられにくい。
【0082】
畝当接部1502の先端部を丸くする構成も考えられる(図17(a)および17(b)参照)。センサー板1501のクラッチ牽引部1506へ接続されている、センサー板1501の畝当接部1502の先端部は丸いので、畝当接部1502が畝に接触する面積は小さく、マルチングフィルム損傷などはほとんど発生しない。
【0083】
前輪の側面に畝当接部1502を取付けることにより、前輪が本機1507に対して自由に回転する構成も考えられる(図18(a)および18(b)参照)。畝当接部1502の前側は、外側に向けられる。センサーなどを用いないので、整備のための手間は少なく、センサーおよびクラッチを手動操作で切る必要はないので、誤作動はほとんど発生しない。
【0084】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0085】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0086】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0087】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0088】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0089】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0090】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0091】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明における作業車両は、植付けられた苗における肥料不足の発生を抑制することができ、移植機などのような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0093】
110 エンジン
120 走行装置
121 従動前車輪
122 駆動後車輪
200 苗取出し装置
210 苗取出し具
300 苗植付け装置
310 苗植付け具
400 苗トレイ搬送装置
500 肥料貯留部
510 肥料貯留タンク
515 ポンプ
520 肥料供給ホース
525 コック
530 肥料供給注射針
531 排出孔
535 シリンダー
540 肥料供給ノズル
550 回転プレート
551 肥料供給孔
552 肥料供給切欠き
600 苗トレイ
610 苗ポット
620 育苗土
700 苗
800 肥料
900 圃場
1101 苗枠フレーム
1102 支点部
1201 スタンド
1202 水平センサー
1203 固定プレート
1204 スプリング
1205 支点ピン
1301 支点ピン
1302 ガイドピン
1303 ベアリング
1401 本体
1402 第一のクラッチ操作部
1403 第二のクラッチ操作部
1404 第一のグリップ部
1405 第二のグリップ部
1406 肘受け
1407 ハンドル
1408 レバー
1409 ピン穴
1501 センサー板
1502 畝当接部
1503 スプリング当接部
1504 ワイヤー
1505 スプリング
1506 クラッチ牽引部
1507 本機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図18