(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004719
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ロール組立体およびスクリーン装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/56 20060101AFI20240110BHJP
E06B 9/58 20060101ALI20240110BHJP
E06B 9/40 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E06B9/56 A
E06B9/58 A
E06B9/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104485
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】紫藤 隆一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 章
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA06
2E042BA03
2E042CA04
(57)【要約】
【課題】スクリーンの側縁部が軸方向に位置ずれすることなく当該スクリーンを巻き取ることができるロール組立体およびスクリーン装置を提供すること。
【解決手段】ロール組立体は、シャフト31と、シャフト31に繰り出し可能に巻き取られる開閉体50とを備える。シャフト31の端部には、第1ガイド部品60、第2ガイド部品70が取り付けられる。開閉体50は、スクリーンであるネット51と、ネット51の繰り出し方向に沿った側縁部に設けられてネット51よりも厚さ寸法の大きい抜け止め部であるファスナーエレメント522とを有する。各ガイド部品60、70は、シャフト31の直径よりも小さい直径の小径部63、722を有する。ネット51の繰り出し方向の基端部は、シャフト31に固定され、ファスナーエレメント522の繰り出し方向の基端部は、小径部63、722に固定されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、前記シャフトに繰り出し可能に巻き取られる開閉体とを備えるロール組立体であって、
前記シャフトの少なくとも一方の端部には、ガイド部品が取り付けられ、
前記開閉体は、スクリーンと、前記スクリーンの繰り出し方向に沿った側縁部に設けられて前記スクリーンよりも厚さ寸法の大きい抜け止め部とを有し、
前記ガイド部品は、前記シャフトの直径よりも小さい直径の小径部を有し、
前記スクリーンの繰り出し方向の基端部は、前記シャフトに固定され、
前記抜け止め部の繰り出し方向の基端部は、前記小径部に固定されているロール組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のロール組立体において、
前記ガイド部品は、前記シャフトに挿入される挿入部品と、前記小径部を有する当接部品と、前記シャフトの直径よりも径の大きな円盤部品とを備え、
前記挿入部品、前記当接部品、前記円盤部品の順番に配置されて連結されているロール組立体。
【請求項3】
請求項2に記載のロール組立体において、
前記当接部品は、
前記シャフトの直径よりも小さい直径の小径部と、前記シャフトの直径と同じ直径の大径部とを有し、
前記大径部が前記挿入部品側に位置し、前記小径部が前記円盤部品側に位置する第1の向きと、前記小径部が前記挿入部品側に位置し、前記大径部が前記円盤部品側に位置する第2の向きとのいずれの向きでも前記挿入部品および前記円盤部品に連結可能であるロール組立体。
【請求項4】
請求項1に記載のロール組立体において、
前記ガイド部品は、前記シャフトに挿入される挿入部と、前記小径部と、前記シャフトの直径よりも径の大きな円盤部とを備え、
前記小径部は、前記挿入部および前記円盤部間に形成されているロール組立体。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のロール組立体において、
前記ガイド部品は、前記シャフトの両端部にそれぞれ取り付けられているロール組立体。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のロール組立体と、
前記スクリーンを繰出し方向に案内するガイドレールとを備え、
前記ガイドレールには、前記抜け止め部が前記ガイドレールの長手方向に沿って移動可能かつ前記長手方向に直交する方向に抜け止め可能に配置されるガイド溝が形成されている
ことを特徴とするスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール組立体およびこのロール組立体を備えるスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、巻取軸に対して防虫ネットを繰出しおよび巻取自在に構成された巻取式の防虫網戸が知られている(特許文献1参照)。
この防虫網戸は、前記巻取軸を内蔵した巻取りボックスと、巻取ボックスの両端部から延びた一対のスクリーンガイドと、防虫ネットの左右の側縁部に取り付けられた係合用小突起とを備えており、係合用小突起は、スクリーンガイドに沿って移動可能であるとともに、スクリーンガイドに設けられたスリットの内縁に抜止状態に係合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の巻取式の防虫網戸では、防虫ネットの基端部を巻取軸に両面テープなどで貼り付けて固定する場合に、係合用小突起と防虫ネットとの間に段差が生じるため、防虫ネットは両面テープと密着しない部分が生じ、防虫ネットの巻取軸への貼付状態にムラが生じ、防虫ネット端部がずれやすく、巻き取り時に巻きずれが生じやすい。
このような問題は、防虫ネットに限らず、遮光スクリーンなどのシート状のスクリーンを巻取軸に巻き取る場合にも発生する。
【0005】
本発明の目的は、スクリーンの側縁部が軸方向に位置ずれすることなく当該スクリーンを巻き取ることができるロール組立体およびスクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロール組立体は、シャフトと、前記シャフトに繰り出し可能に巻き取られる開閉体とを備えるロール組立体であって、前記シャフトの少なくとも一方の端部には、ガイド部品が取り付けられ、前記開閉体は、スクリーンと、前記スクリーンの繰り出し方向に沿った側縁部に設けられて前記スクリーンよりも厚さ寸法の大きい抜け止め部とを有し、前記ガイド部品は、前記シャフトの直径よりも小さい直径の小径部を有し、前記スクリーンの繰り出し方向の基端部は、前記シャフトに固定され、前記抜け止め部の繰り出し方向の基端部は、前記小径部に固定されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のスクリーン装置は、前記ロール組立体と、前記スクリーンを繰出し方向に案内するガイドレールとを備え、前記ガイドレールには、前記抜け止め部が前記ガイドレールの長手方向に沿って移動可能かつ前記長手方向に直交する方向に抜け止め可能に配置されるガイド溝が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シャフトの少なくとも一方の端部にガイド部品を取り付け、このガイド部品にシャフトの直径よりも小さい小径部を設けたので、開閉体のスクリーンの基端部をシャフトに密着して固定でき、抜け止め部の基端部を小径部に密着して固定できる。このため、開閉体の基端部に、シャフトやガイド部品と密着せずに固定されない箇所が発生することを防止でき、スクリーンの側縁部が軸方向に位置ずれすることも防止でき、スクリーンの巻き取り時の巻きずれも抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態のスクリーン装置を示す分解斜視図である。
【
図2】第1実施形態の開閉体を示す図であり、(A)は上面図、(B)は正面図である。
【
図3】第1実施形態の巻取軸を示す分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態のロール組立体を示す正面図である。
【
図5】第1実施形態のロール組立体の他の例を示す正面図である。
【
図6】第2実施形態のロール組立体を示す正面図である。
【
図7】第3実施形態のロール組立体を示す正面図である。
【
図8】第4実施形態の巻取軸を示す分解斜視図である。
【
図9】第4実施形態のロール組立体を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、第1実施形態に係るロール組立体を備えるスクリーン装置としてのロール網戸1が示されている。ロール網戸1は、建物の外壁開口部に固定される窓の室内側に配置される上げ下げロール網戸である。ロール網戸1は、窓枠に固定されるケース10およびガイドレール20と、ケース10内に配置される巻取軸30と、巻取軸30に繰り出し可能に巻き取られる開閉体50とを備えている。
【0011】
ケース10は、ケース本体11と、ケースカバー12と、プーリーボックス13と、ケースキャップ14とを備えて構成されている。
ケース本体11は、窓枠の上枠に固定された上部アタッチメントに係合固定される。
プーリーボックス13は、プーリーおよび巻取り軸ギアを内蔵し、プーリーに装着されたボールチェーン15を手動操作してプーリーを回転すると、プーリーの内歯歯車に噛み合っている巻取り軸ギアが回転するように構成されている。
プーリーボックス13は、ケース本体11の一方の端部にタッピングねじ16によって固定されている。
ケースキャップ14は、ケース本体11の他方の端部にタッピングねじ16によって固定されている。
ケースカバー12は、ケース本体11の前端縁に設けられた断面円弧状の支持部111に回動自在に載置され、プーリーボックス13、ケースキャップ14にタッピングねじ17で回動自在に取り付けられている。
【0012】
ガイドレール20は、開閉体50の左右の端縁をガイドするものであり、上端がプーリーボックス13、ケースキャップ14に嵌合固定されている。ガイドレール20の下端開口はキャップ21が取り付けられて塞がれている。また、ガイドレール20は、裏面に貼られた両面テープ22によって窓枠に固定される。
ガイドレール20には、長手方向に連続するガイド溝25が形成されている。ガイド溝25は、一対のガイドレール20において互いに対向する面に形成されている。
【0013】
巻取軸30は、シャフト31と、第1ガイド部品60と、第2ガイド部品70とを備えて構成されている。巻取軸30の詳細は後述する。
【0014】
開閉体50は、
図2に示すように、スクリーンであるネット51と、ネット51の繰り出し方向に沿った側縁部である左右両端に取り付けられる縦ガイドファスナー52と、ネット51の繰り出し方向の先端縁である下端に取り付けられる横ガイドファスナー53とを備えて構成されている。
ネット51は、経糸と緯糸とが格子状に交差され、これらの交差部が融着されて構成された一般的な防虫ネットで構成されている。
縦ガイドファスナー52は、洋服などに用いられるファスナーと同様の構成であり、ファスナーテープ521と、ファスナーテープ521の端縁に沿って固定されたファスナーエレメント522とを備えている。
ファスナーテープ521は、テープ状に織ったポリエステルテープなどによって構成されており、ネット51の側縁部に溶着等によって接続されている。
ファスナーエレメント522は、コイルファスナーなどの樹脂製のエレメント(務歯)であり、ファスナーテープ521やネット51よりも厚さ寸法が大きい抜け止め部として用いられている。
横ガイドファスナー53は、縦ガイドファスナー52と同一の構成であり、ファスナーテープ531と、ファスナーエレメント532とで構成されている。
【0015】
開閉体50の下端には、
図1に示すように、ガイド55、ボトムバー56、左右のキャップ57、AT材58が取り付けられている。
ガイド55は、横ガイドファスナー53のファスナーエレメント532が挿入されるガイド溝を備えており、横ガイドファスナー53の端部からスライドさせてファスナーエレメント532にガイド溝を係合させることで横ガイドファスナー53に取り付けられている。
ボトムバー56は、ガイド55が挿入される溝を備えており、この溝にガイド55を挿入することでガイド55に取り付けられている。
キャップ57は、ボトムバー56の中空部に挿入され、ボトムバー56の左右の小口を塞いでいる。
AT材58は、ボトムバー56の下面に形成された保持溝にスライド挿入されている。
【0016】
[巻取軸]
巻取軸30のシャフト31は、
図3にも示すように、略円筒状に形成され、内周面には軸方向に沿って連続して形成された係合溝311が複数形成されている。
第1ガイド部品60は、シャフト31のプーリーボックス13側の端部に取り付けられる部品であり、
図3および
図4に示すように、シャフト31内に挿入される挿入部61と、シャフト31と同じ直径の大径部62と、シャフト31の直径よりも小径の小径部63と、シャフト31よりも大径の円盤部64とを備えた合成樹脂製の一体成形品である。
第1ガイド部品60には、プーリーボックス13から突出する巻取り軸ギアが嵌合される。また、挿入部61の外周面には、シャフト31の係合溝311に係合される突条部611が形成されている。突条部611を係合溝311に係合することで、巻取り軸ギアと、第1ガイド部品60と、シャフト31とは一体に回転する。
【0017】
大径部62は、シャフト31の小口に当接して小口を塞いでいる。この大径部62は、シャフト31と同じ直径の円柱状に形成されているため、大径部62の外周面とシャフト31の外周面とは段差無く連続して設けられている。
小径部63は、大径部62よりも小径の円柱状に形成されている。このため、大径部62と円盤部64との間には円周状に連続する凹部631が形成されている。すなわち、凹部631は、小径部63の外周面を底面とし、大径部62および円盤部64を側面とする溝状の凹部である。
【0018】
第2ガイド部品70は、シャフト31のケースキャップ14側の端部に取り付けられる部品であり、シャフト31内に挿入される挿入部品71と、当接部品72と、円盤部品73との3つの部品で構成されている。
挿入部品71は、シャフト31内に挿入される挿入部711と、シャフト31の端縁に当接するフランジ部712と、フランジ部712から軸方向に延出された雄ねじ部713とを備える。挿入部711の外周面には、シャフト31の係合溝311に係合される突条部714が形成されている。突条部714を係合溝311に係合することで、挿入部品71とシャフト31とは一体に回転する。フランジ部712は、シャフト31と同じ直径である。
【0019】
当接部品72は、大径部721と、小径部722と、雌ねじ部723とを備える。大径部721は、シャフト31の直径と同じ直径とされた円柱部分である。小径部722は、シャフト31の直径よりも小径とされた円柱部分であり、小径部63と同じ直径とされている。本実施形態では、当接部品72は、大径部721が挿入部品71側に位置し、小径部722が円盤部品73側に位置する第1の向きに配置されている。このため、大径部721およびフランジ部712の外周面とシャフト31の外周面とは段差無く連続して設けられている。
小径部722は、小径部63と同様に大径部721よりも小径であるため、大径部721と円盤部731との間には、凹部631と同様に、円周状に連続する凹部724が形成されている。
雌ねじ部723は、当接部品72を軸方向に貫通して形成され、雄ねじ部713が螺合可能に構成されている。
【0020】
ここで、大径部62、721の直径をR1、小径部63、722の直径をR2とした場合、凹部631、724の段差寸法D=(R1-R2)/2である。この段差寸法Dは、縦ガイドファスナー52のファスナーエレメント522の厚さ寸法をSとすると、S/2≦D≦Sとされている。例えば、ファスナーエレメント522の厚さ寸法Sは1.0mm、段差寸法Dは0.5mmである。
また、小径部63、722の軸方向の厚さ寸法は、ファスナーエレメント522の幅寸法以上とされている。このため、
図4に示すように、ファスナーエレメント522は凹部631、724に配置可能に構成されている。
【0021】
円盤部品73は、シャフト31よりも大径の円盤部731と、ケースキャップ14に回動自在に支持される軸部732と、雌ねじ部733とを備えている。
雌ねじ部733は、円盤部品73を軸方向に貫通して形成され、雄ねじ部713が螺合可能に構成されている。
このため、第2ガイド部品70は、挿入部品71の雄ねじ部713に、当接部品72の雌ねじ部723を螺合し、当接部品72から突出する雄ねじ部713に円盤部品73の雌ねじ部733を螺合することで一体化されている。
【0022】
開閉体50の基端部つまりネット51および縦ガイドファスナー52の上端は、両面テープ32によって巻取軸30に接着されて固定されている。両面テープ32は、シャフト31の軸方向に沿って第1ガイド部品60の小径部63から第2ガイド部品70の小径部722まで貼られている。
このため、開閉体50の基端部において、ネット51と、縦ガイドファスナー52のファスナーテープ521とは、シャフト31と、第1ガイド部品60の大径部62と、第2ガイド部品70のフランジ部712、大径部721とに接着された両面テープ32に密着して接着され、ファスナーエレメント522は、第1ガイド部品60の小径部63、第2ガイド部品70の小径部722の各凹部631、724に接着された両面テープ32に密着して接着されている。これにより、シャフト31および第1ガイド部品60、第2ガイド部品70を備える巻取軸30と、この巻取軸30に両面テープ32で接着された開閉体50とで本発明のロール組立体が構成されている。
【0023】
開閉体50の左右の縦ガイドファスナー52は、ガイドレール20の上端縁からガイド溝25に挿入されている。ガイド溝25において、ガイドレール20の側面すなわち互いに対向する対向面の開口部分の幅寸法は、ファスナーエレメント522の厚さ寸法よりも小さく設定されており、ガイド溝25内に配置されたファスナーエレメント522がガイド溝25の対向面の開口部分から抜けないように構成されている。すなわち、ガイドレール20には、縦ガイドファスナー52のファスナーエレメント522が、ガイドレール20の長手方向に沿って移動可能であり、かつ、前記長手方向に直交する方向つまり巻取軸30の軸方向に抜け止め可能に配置されるガイド溝25が形成されている。
【0024】
なお、第2ガイド部品70は、挿入部品71、当接部品72、円盤部品73が別体であるため、開閉体50の出来幅が
図4に比べて短い場合には、
図5に示すように、巻取軸30の第2ガイド部品70を、当接部品72の小径部722が挿入部品71側に位置し、大径部721が円盤部品73側に位置する第2の向きで挿入部品71および円盤部品73に連結すればよい。これにより、挿入部品71のフランジ部712と、当接部品72の大径部721との間に小径部722を配置でき、この小径部722の位置に凹部724を形成できるため、開閉体50の出来幅が短い場合でも、縦ガイドファスナー52のファスナーエレメント522を各凹部631、724に配置して両面テープ32で確実に接着することができる。
【0025】
[第1実施形態の効果]
本実施形態のロール網戸1によれば、第1ガイド部品60、第2ガイド部品70に小径部63、722を設け、ファスナーエレメント522が配置可能な凹部631、724を形成しているので、ネット51およびファスナーテープ521と、抜け止め部であるファスナーエレメント522とを、巻取軸30に両面テープ32を介して密着させて接着できる。このため、ネット51やファスナーテープ521、ファスナーエレメント522の一部が巻取軸30に接着されていない場合に比べて接着力を高めることができ、開閉体50の巻きずれも抑制できる。
開閉体50に巻きずれが起こると、ネット51がガイドレール20に引っ掛かったり、縦ガイドファスナー52がガイドレール20の内部に当接し、開閉体50を巻き取ったり、繰り出す際に開閉体50がスムーズに移動せず、操作性が低下するが、本実施形態によれば開閉体50の巻きずれを抑制でき、開閉体50をスムーズに移動できるので、操作性の低下も防止できる。
【0026】
凹部631、724は、各ガイド部品60、70の外周に連続して形成されているので、巻取軸30に巻き取られる1周目のファスナーエレメント522を凹部631、724でガイドすることができ、開閉体50の巻きずれを一層抑制できる。
また、シャフト31の両端部に取り付けられた各ガイド部品60、70に凹部631、724をそれぞれ形成しているので、開閉体50の左右両端のファスナーエレメント522をガイドでき、開閉体50の巻きずれをさらに抑制できる。
さらに、各ガイド部品60、70は、円盤部64、731を備えているので、開閉体50の繰り出し時や巻き取り時に、開閉体50の左右両端がヨーイングによって左右に蛇行した場合に、円盤部64、731にファスナーエレメント522が当接することで蛇行を戻すことができ、開閉体50の巻きずれをさらに抑制できる。
【0027】
第2ガイド部品70は、挿入部品71、当接部品72、円盤部品73が別部品であるため、開閉体50の幅寸法(出来幅)が公差によってばらついた場合でも、出来幅に応じて凹部724の位置を設定できるので、縦ガイドファスナー52のファスナーエレメント522を各凹部631、724に配置して両面テープ32で確実に接着することができる。
また、挿入部品71、当接部品72、円盤部品73は、雄ねじ部713を雌ねじ部723、733に螺合することで連結しているので、当接部品72の向きを変えて容易に連結でき、開閉体50の出来幅の公差のばらつきに容易に対応できる。
【0028】
[第2実施形態]
第2実施形態のロール組立体について
図6を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、第1実施形態と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
第2実施形態のロール組立体は、巻取軸30Bと、開閉体50とを備えて構成される。巻取軸30Bでは、シャフト31の左右の端部にそれぞれ第2ガイド部品70を取り付けている。このため、左右の第2ガイド部品70において、当接部品72の小径部722を各円盤部品73側に配置した
図6に示す第1の状態の他、一方の当接部品72の小径部722を円盤部品73側に配置し、他方の当接部品72の小径部722を挿入部品71側に配置した第2の状態と、両方の当接部品72の小径部722を挿入部品71側に配置した第3の状態とを選択できる。
【0029】
このような第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、当接部品72の向きを設定することで、左右の凹部724の間隔を3段階に調整することができる。このため、開閉体50の出来幅の公差のバラツキに対応して凹部724の位置を3段階で調整でき、縦ガイドファスナー52のファスナーエレメント522を各凹部724に配置して両面テープ32で確実に接着することができる。
【0030】
[第3実施形態]
第3実施形態のロール組立体について
図7を参照して説明する。
第3実施形態のロール組立体は、巻取軸30Cと、開閉体50とを備えて構成される。巻取軸30Cでは、シャフト31の左右の端部にそれぞれ第1ガイド部品60を取り付けている。
【0031】
このような第3実施形態によれば、凹部631を有する第1ガイド部品60をシャフト31の左右両端部に取り付けているので、前記第1実施形態と同様に、縦ガイドファスナー52のファスナーエレメント522を各凹部631に配置して両面テープ32で確実に接着することができる。
また、第1ガイド部品60は一体成形品であるため、3つの別部品で構成される第2ガイド部品70を用いる場合に比べてコストを低減できる。
【0032】
[第4実施形態]
第4実施形態のロール組立体について
図8および
図9を参照して説明する。
第4実施形態のロール組立体は、シャフト31のケースキャップ14側に第2ガイド部品70Bを取り付けた巻取軸30Dを用いている点が第1実施形態と相違する。
第2ガイド部品70Bは、挿入部品71と、第2当接部品74と、円盤部品73とを連結して構成されている。挿入部品71および円盤部品73は第1実施形態と同じ部品である。第2当接部品74は、第1ガイド部品60の小径部63と同じくシャフト31の直径よりも小径の小径部741で構成され、その軸中心には雌ねじ部743が形成されている。また、第2当接部品74の軸方向の厚さ寸法は、当接部品72と同じ、つまり当接部品72の大径部721および小径部722の合計の厚さ寸法と同一である。すなわち、第2当接部品74は、大径部を備えていない点で当接部品72と相違する。
このため、第2当接部品74が配置された部分、つまり挿入部品71のフランジ部712と円盤部品73との間に凹部744が形成されている。
【0033】
このような第4実施形態によれば、凹部744を有する第2ガイド部品70Bをシャフト31の一方の端部に取り付けているので、前記第1実施形態と同様に、縦ガイドファスナー52のファスナーエレメント522を各凹部631、744に配置して両面テープ32で確実に接着することができる。
また、第2当接部品74の厚さ寸法は、当接部品72と同じであり、凹部744の軸方向の幅寸法は、凹部724の幅寸法に比べて大きいため、開閉体50の出来幅の公差にバラツキがあっても、第2当接部品74の向きを調整することなくファスナーエレメント522を凹部744に配置して両面テープ32で接着することができる。
また、第2当接部品74は小径部741のみで構成されているため、当接部品72に比べて低コストで製造できる。
【0034】
[変形例]
第1ガイド部品60や第2ガイド部品70、70Bにおいて、小径部63、722、741と、大径部62、721やフランジ部712との段差部分をファスナーエレメント522の形状に合わせて傾斜面としてもよい。
第1ガイド部品60や第2ガイド部品70、70Bは、シャフト31の少なくとも一方の端部に取り付けられていればよい。また、各ガイド部品60、70、70Bは、円盤部64、731を備えない部品でもよい。
【0035】
第2ガイド部品70、70Bを構成する挿入部品71、当接部品72、第2当接部品74、円盤部品73は前記各実施形態に限定されない。例えば、当接部品72として、大径部721および小径部722の軸方向の厚さ寸法が異なる複数種類の当接部品72を用意し、開閉体50の出来幅の公差に応じて選択してもよい。また、第2当接部品74も軸方向の厚さ寸法が異なる複数種類の第2当接部品74を用意し、開閉体50の出来幅の公差に応じて選択してもよい。さらに、挿入部品71もフランジ部712の軸方向の厚さ寸法が異なる複数種類の挿入部品71を用意してもよい。
【0036】
スクリーン装置は、上げ下げロール網戸に限定されず、横引きのロール網戸でもよい。また、前記実施形態では、防虫等に用いられるネット51を有するロール網戸1をスクリーン装置として説明したが、遮光等に用いられるスクリーンを備えるロールスクリーン装置をスクリーン装置としてもよい。
また、開閉体の基端部、つまりスクリーンおよび抜け止め部の繰り出し方向の基端部を、シャフトおよびガイド部品の小径部に固定する方法としては両面テープを用いて接着する方法に限定されず、接着剤を用いて固定してもよいし、スクリーンやシャフトの材質によっては溶着で固定してもよい。さらには、スクリーンや抜き止め部の基端部をリベットやネジでシャフトやガイド部品に固定してもよく、開閉体の基端部の固定方法は適宜選択すればよい。
【0037】
[本発明のまとめ]
本発明のロール組立体は、シャフトと、前記シャフトに繰り出し可能に巻き取られる開閉体とを備えるロール組立体であって、前記シャフトの少なくとも一方の端部には、ガイド部品が取り付けられ、前記開閉体は、スクリーンと、前記スクリーンの繰り出し方向に沿った側縁部に設けられて前記スクリーンよりも厚さ寸法の大きい抜け止め部とを有し、前記ガイド部品は、前記シャフトの直径よりも小さい直径の小径部を有し、前記スクリーンの繰り出し方向の基端部は、前記シャフトに固定され、前記抜け止め部の繰り出し方向の基端部は、前記小径部に固定されていることを特徴とする。
本発明によれば、シャフトの少なくとも一方の端部に取り付けたガイド部品に小径部を設け、開閉体の抜け止め部の基端部を小径部に固定しているので、スクリーンおよび抜け止め部を、シャフトおよびガイド部品に密着させて固定できる。このため、スクリーンや抜け止め部の一部がシャフトやガイド部品に固定されていない場合に比べて開閉体をシャフトなどに強固に固定でき、開閉体の巻きずれも抑制できる。
【0038】
本発明のロール組立体において、前記ガイド部品は、前記シャフトに挿入される挿入部品と、前記小径部を有する当接部品と、前記シャフトの直径よりも径の大きな円盤部品とを備え、前記挿入部品、前記当接部品、前記円盤部品の順番に配置されて連結されていることが好ましい。
本発明によれば、挿入部品、当接部品、円盤部品が別部品であるため、小径部を有する当接部品を複数種類用意することで、開閉体の出来幅が公差によってばらついた場合に、当接部品の向きを変更したり、当接部品の種類を選択することで、開閉体の出来幅に応じて小径部の位置を設定できるので、抜け止め部を小径部に配置して確実に固定することができる。
【0039】
本発明のロール組立体において、前記当接部品は、前記シャフトの直径よりも小さい直径の小径部と、前記シャフトの直径と同じ直径の大径部とを有し、前記大径部が前記挿入部品側に位置し、前記小径部が前記円盤部品側に位置する第1の向きと、前記小径部が前記挿入部品側に位置し、前記大径部が前記円盤部品側に位置する第2の向きとのいずれの向きでも前記挿入部品および前記円盤部品に連結可能であることが好ましい。
本発明によれば、当接部品の向きを変えて連結することで小径部の位置を変更できるので、開閉体の出来幅の公差のばらつきに容易に対応できる。
【0040】
本発明のロール組立体において、前記ガイド部品は、前記シャフトに挿入される挿入部と、前記小径部と、前記シャフトの直径よりも径の大きな円盤部とを備え、前記小径部は、前記挿入部および前記円盤部間に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、挿入部および円盤部間に小径部が設けられた一体成形のガイド部品を用いているので、別体の部品を連結してガイド部品を構成する場合に比べてコストを低減できる。
【0041】
本発明のロール組立体において、前記ガイド部品は、前記シャフトの両端部にそれぞれ取り付けられていることが好ましい。
本発明によれば、シャフトの両端部に各ガイド部品を取り付けているので、開閉体の両側縁部の抜き止め部を小径部に固定でき、開閉体の巻きずれ抑制効果をさらに向上できる。
【0042】
本発明のスクリーン装置は、前記ロール組立体と、前記スクリーンを繰出し方向に案内するガイドレールとを備え、前記ガイドレールには、前記抜け止め部が前記ガイドレールの長手方向に沿って移動可能かつ前記長手方向に直交する方向に抜け止め可能に配置されるガイド溝が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、前記ロール組立体を備えているので、開閉体の巻きずれを抑制でき、開閉体がガイドレールに引っ掛かったりすることも防止でき、開閉体をスムーズに移動できて操作性の低下も防止できる。
【符号の説明】
【0043】
1…ロール網戸、10…ケース、20…ガイドレール、25…ガイド溝、30…巻取軸、30B…巻取軸、30C…巻取軸、30D…巻取軸、31…シャフト、50…開閉体、51…ネット、52…縦ガイドファスナー、60…第1ガイド部品、61…挿入部、62…大径部、63…小径部、64…円盤部、70…第2ガイド部品、70B…第2ガイド部品、71…挿入部品、72…当接部品、73…円盤部品、74…第2当接部品、521…ファスナーテープ、522…ファスナーエレメント、631…凹部、721…大径部、722…小径部、724…凹部、741…小径部、744…凹部。