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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047202
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】弾性波装置
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/25 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
H03H9/25 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152695
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山根 毅
【テーマコード(参考)】
5J097
【Fターム(参考)】
5J097AA14
5J097BB02
5J097BB11
5J097EE08
5J097EE09
5J097EE10
5J097FF04
5J097FF05
5J097GG03
5J097GG04
5J097GG07
5J097KK03
5J097KK06
5J097KK09
(57)【要約】
【課題】メインモード付近に高次モードが生じることを効果的に抑制することができる、弾性波装置を提供する。
【解決手段】アルミン酸マグネシウム単結晶により構成されている単結晶スピネル基板3と、単結晶スピネル基板3上に設けられている圧電体層5と、圧電体層5上に設けられているIDT電極7とを備える。単結晶スピネル基板3を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφ、θ及びψが、図5図41におけるいずれかの領域Aの範囲内の角度である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミン酸マグネシウム単結晶により構成されている単結晶スピネル基板と、
前記単結晶スピネル基板上に設けられている圧電体層と、
前記圧電体層上に設けられているIDT電極と、
を備え、
前記単結晶スピネル基板を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφ、θ及びψが、図5図41におけるいずれかの領域Aの範囲内の角度である、弾性波装置。
【請求項2】
前記圧電体層がタンタル酸リチウム層またはニオブ酸リチウム層である、請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項3】
前記単結晶スピネル基板及び前記圧電体層の間に、誘電体膜が設けられている、請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項4】
前記圧電体層及び前記IDT電極の間に、誘電体膜が設けられている、請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項5】
前記IDT電極の電極指ピッチにより規定される波長をλとしたときに、前記圧電体層の厚みが2λ以下である、請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項6】
前記圧電体層の厚みが1λ以下である、請求項5に記載の弾性波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弾性波装置は、携帯電話機のフィルタなどとして広く用いられている。下記の特許文献1には、弾性波デバイスの一例が開示されている。この弾性波デバイスにおいては、多結晶スピネル層上に圧電層が設けられている。圧電層上にIDT(Interdigital Transducer)電極が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-216414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の弾性波デバイスにおいては、メインモード付近に生じる高次モードを十分に抑制することができないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、メインモード付近に高次モードが生じることを効果的に抑制することができる、弾性波装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る弾性波装置は、アルミン酸マグネシウム単結晶により構成されている単結晶スピネル基板と、前記単結晶スピネル基板上に設けられている圧電体層と、前記圧電体層上に設けられているIDT電極とを備え、前記単結晶スピネル基板を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφ、θ及びψが、図5図41におけるいずれかの領域Aの範囲内の角度である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る弾性波装置によれば、メインモード付近に高次モードが生じることを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波装置の平面図である。
図2図1中のI-I線に沿う断面図である。
図3】アルミン酸マグネシウム単結晶の結晶方位の定義を説明するための模式図である。
図4】アルミン酸マグネシウム単結晶の結晶方位としてのオイラー角(φ,θ,ψ)が(0°,0°,0°)のときの、アルミン酸マグネシウム単結晶のX軸と、IDT電極の電極指延伸方向との関係を示す模式的平面図である。
図5】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-180°以上、-175°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図6】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-175°以上、-165°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図7】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-165°以上、-155°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図8】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-155°以上、-145°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図9】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-145°以上、-135°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図10】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-135°以上、-125°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図11】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-125°以上、-115°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図12】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-115°以上、-105°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図13】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-105°以上、-95°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図14】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-95°以上、-85°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図15】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-85°以上、-75°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図16】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-75°以上、-65°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図17】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-65°以上、-55°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図18】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-55°以上、-45°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図19】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-45°以上、-35°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図20】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-35°以上、-25°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図21】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-25°以上、-15°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図22】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-15°以上、-5°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図23】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-5°以上、5°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図24】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが5°以上、15°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図25】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが15°以上、25°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図26】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが25°以上、35°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図27】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが35°以上、45°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図28】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが45°以上、55°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図29】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが55°以上、65°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図30】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが65°以上、75°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図31】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが75°以上、85°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図32】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが85°以上、95°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図33】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが95°以上、105°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図34】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが105°以上、115°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図35】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが115°以上、125°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図36】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが125°以上、135°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図37】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが135°以上、145°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図38】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが145°以上、155°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図39】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが155°以上、165°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図40】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが165°以上、175°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図41】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが175°以上、180°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
図42】アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(30°,40°,ψ)におけるψと、縦波、速い横波及び遅い横波の周波数との関係を示す図である。
図43】本発明の第1の実施形態において、単結晶スピネル基板を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)が(0°,0°,0°)であり、圧電体層を構成しているタンタル酸リチウムのカット角が42°Yである場合のインピーダンス周波数特性と、比較例のインピーダンス周波数特性とを示す図である。
図44】本発明の第1の実施形態において、単結晶スピネル基板を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)が(0°,0°,40°)であり、圧電体層を構成しているタンタル酸リチウムのカット角が42°Yである場合のインピーダンス周波数特性と、比較例のインピーダンス周波数特性とを示す図である。
図45】本発明の第1の実施形態において、単結晶スピネル基板を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)が(0°,0°,0°)であり、圧電体層を構成しているタンタル酸リチウムのカット角が152°Yである場合のインピーダンス周波数特性と、比較例のインピーダンス周波数特性とを示す図である。
図46】本発明の第1の実施形態において、単結晶スピネル基板を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)が(30°,40°,80°)であり、圧電体層を構成しているタンタル酸リチウムのカット角が95°Yである場合のインピーダンス周波数特性と、比較例のインピーダンス周波数特性とを示す図である。
図47】本発明の第2の実施形態に係る弾性波装置の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0010】
なお、本明細書に記載の各実施形態は、例示的なものであり、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることを指摘しておく。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波装置の平面図である。図2は、図1中のI-I線に沿う断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、弾性波装置1は圧電性基板2を有する。図2に示すように、圧電性基板2は、単結晶スピネル基板3と、圧電体層5とを有する。本実施形態においては、単結晶スピネル基板3上に、直接的に圧電体層5が設けられている。もっとも、単結晶スピネル基板3上に、他の層を介して間接的に圧電体層5が設けられていてもよい。
【0013】
単結晶スピネル基板3は、具体的には、アルミン酸マグネシウム単結晶基板である。弾性波装置1において、単結晶スピネル基板3を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶は、具体的には、MgAlOの単結晶である。
【0014】
圧電体層5は、本実施形態では、回転Yカットのタンタル酸リチウム層である。具体的には、圧電体層5は、回転YカットのLiTaO層である。圧電体層5のオイラー角を(φLT,θLT,ψLT)としたときに、φLTは0°±5°の範囲内の角度であり、θLTは-180°以上、180°以下の範囲内の角度であり、ψLTは0°±5°の範囲内の角度である。もっとも、圧電体層5は、例えば、LiNbO層などのニオブ酸リチウム層であってもよい。
【0015】
圧電体層5は、第1の主面5a及び第2の主面5bを有する。第1の主面5a及び第2の主面5bは互いに対向している。第1の主面5a及び第2の主面5bのうち、第2の主面5bが単結晶スピネル基板3側に位置している。圧電体層5の第1の主面5aには、IDT電極7と、1対の反射器8及び反射器9とが設けられている。
【0016】
図1に示すように、IDT電極7は、第1のバスバー16及び第2のバスバー17と、複数の第1の電極指18及び複数の第2の電極指19とを有する。第1のバスバー16及び第2のバスバー17は互いに対向している。第1のバスバー16に、複数の第1の電極指18の一端がそれぞれ接続されている。第2のバスバー17に、複数の第2の電極指19の一端がそれぞれ接続されている。複数の第1の電極指18及び複数の第2の電極指19は互いに間挿し合っている。IDT電極7に交流電圧を印加することにより、弾性波が励振される。なお、メインモードが励振されると共に、高次モードも励振される。本発明においては、高次モードはSHモードまたはSVモードである。
【0017】
以下においては、第1の電極指18及び第2の電極指19を、単に電極指と記載することがある。複数の電極指が延びる方向を電極指延伸方向としたときに、反射器8及び反射器9は、IDT電極7を挟み互いに対向している。弾性波装置1においては、IDT電極7及び1対の反射器の材料として、Alが用いられている。もっとも、IDT電極7及び1対の反射器の材料は上記に限定されない。IDT電極7及び1対の反射器は、単層の金属膜からなっていてもよく、積層金属膜からなっていてもよい。
【0018】
ところで、上記アルミン酸マグネシウム単結晶の結晶方位としてのオイラー角(φ,θ,ψ)を、図3を参照して説明する。
【0019】
図3は、アルミン酸マグネシウム単結晶の結晶方位の定義を説明するための模式図である。
【0020】
図3に示すように、アルミン酸マグネシウム単結晶の結晶構造は、X軸、Y軸及びZ軸を有する。ここで、アルミン酸マグネシウム単結晶の結晶構造において、右ネジの回転方向を正とした場合、Z-X-Zを回転軸とする。結晶方位としてのオイラー角(φ,θ,ψ)とは、以下のa)~c)を経た方位である。a)(X,Y,Z)をZ軸回りに「φ」回転し、(X1,Y1,Z1)とする。次に、b)(X1,Y1,Z1)をX1軸回りに「θ」回転し、(X2,Y2,Z2)とする。さらに、c)(X2,Y2,Z2)をZ2軸回りに「ψ」回転し、(X3,Y3,Z3)とした方位が、オイラー角(φ,θ,ψ)である。
【0021】
図4は、アルミン酸マグネシウム単結晶の結晶方位としてのオイラー角(φ,θ,ψ)が(0°,0°,0°)のときの、アルミン酸マグネシウム単結晶のX軸と、IDT電極の電極指延伸方向との関係を示す模式的平面図である。
【0022】
IDT電極7の電極指延伸方向と直交する方向を方向Xaとする。本実施形態においては、図4に示すように、アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)が(0°,0°,0°)のときに、X軸と、方向Xaとが同一の方向となる。
【0023】
弾性波装置1においては、図2に示す圧電体層5が単結晶スピネル基板3に積層されている方向は、単結晶スピネル基板3を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)が(0°,0°,0°)のときの、Z軸方向である。
【0024】
本実施形態の特徴は、以下の構成を有することにある。1)単結晶スピネル基板3上に圧電体層5が設けられていること。2)単結晶スピネル基板3を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφ、θ及びψが、図5図41におけるいずれかの領域Aの範囲内の角度であること。それによって、メインモード付近に高次モードが生じることを効果的に抑制することができる。この詳細を、以下において説明する。
【0025】
従来においては、多結晶スピネル基板及び圧電体層の積層基板が用いられることがあった。しかしながら、多結晶スピネル基板における横波バルク波の音速は5484m/sであり、ほぼ一定である。そのため、例えばカットオフ周波数を低く調整することにより、高次モードを抑制することは非常に困難である。なお、以下においては、横波バルク波を横波と記載する。横波には、速い横波及び遅い横波が含まれる。本明細書においては、特に断りのない場合には、横波とは遅い横波をいうものとする。
【0026】
従来の例とは異なり、本実施形態においては、単結晶スピネル基板3及び圧電体層5の積層基板が用いられている。この場合には、単結晶スピネル基板3を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶におけるオイラー角(φ,θ,ψ)を調整することにより、単結晶スピネル基板3における横波の音速を容易に調整することができる。単結晶スピネル基板3における横波の音速を、5484m/sよりも高く、または低くすることにより、従来よりも、メインモード付近に高次モードが生じることを抑制することができる。これを実現することができる構成が、弾性波装置1における、アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφ、θ及びψが、図5図41におけるいずれかの領域Aの範囲内の角度とされた構成である。
【0027】
なお、本明細書においては、音速の差が、当該音速の1%以内である場合には、同じ音速であるとする。例えば、5484m/s±54.84m/sの範囲内の音速は同じ音速であるとする。よって、以下においては、5484m/s±54.84m/sの範囲内の音速は、5484m/sであるとする。アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが、φ±5°の範囲内の角度であれば、単結晶スピネル基板3における横波の音速は変わらないことがわかっている。
【0028】
図5図41は、アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφの範囲毎において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。例えば、図5は、アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφが-180°以上、-175°未満である場合において、単結晶スピネル基板における横波の音速が5484m/s以外となるθ及びψの範囲を示す図である。
【0029】
図5においては、領域A及び複数の領域Bが示されている。領域Aは、図5における白色により示す領域である。領域Bは、図5における黒色により示す領域である。図6図41においても同様である。オイラー角(φ,θ,ψ)におけるθ及びψが領域Aの範囲内の角度である場合、単結晶スピネル基板3における横波の音速は、5484m/sよりも高い音速、または低い音速である。他方、θ及びψが領域Bの範囲内の角度である場合、単結晶スピネル基板3における横波の音速は5484m/sである。本実施形態では、φが-180°以上、-175°未満である場合において、θ及びψは、図5における領域Aの範囲内の角度である。
【0030】
一方で、図6図40により、φの範囲を10°毎に分けて、それぞれのφの範囲の場合の領域A及び領域Bを示している。具体的には、図6図40においては、φの範囲として、-175°以上、175°未満を10°毎に分けて示している。そして、図41により、φが175°以上、180°未満である場合における領域A及び領域Bを示している。なお、図5図41の領域Aは、θ及びψだけでなく、φの範囲を示すともいえる。例えば、φが図5図41のうち、図5における領域Aの範囲内の角度である場合、φは-180°以上、-175°未満である。
【0031】
図5図41をより詳細に説明する。図5図41は、θ及びψを、各10°毎の範囲に分けたときの、各範囲の組合せをマトリクス状に示した図である。図5図41の各図における左側には、θの10°毎の各範囲における代表値が記載されている。言い換えれば、代表値は、10°毎の各範囲における、それぞれの中央の値である。各図における上側には、ψの10°毎の各範囲における代表値が記載されている。そして、各図においては、θ及びψの各10°毎の範囲同士が交叉する範囲がそれぞれ、破線のボックスとして示されている。これらのボックスにおいては、θの範囲は、「θの代表値-5°以上、θの代表値+5°未満」であり、ψの範囲は「ψの代表値-5°以上、ψの代表値+5°未満」である。
【0032】
よって、例えば、図5図41の各図においては、領域A及び領域Bの境界に、領域Aまたは領域Bの下限値が位置している場合には、該領域の角度が下限値以上であることを示す。他方、各図においては、領域A及び領域Bの境界に、領域Aまたは領域Bの上限値が位置している場合には、該領域の角度が上限値未満であることを示す。
【0033】
なお、本明細書においては、-180゜は+180゜と等価であるとする。すなわち、-185°以上、-180°以下は、+175°以上、+180°以下と同じ範囲を意味する。
【0034】
図5図41における領域A及び領域Bを導出した弾性波装置1の設計パラメータは、以下の通りである。なお、以下においては、図2に示した、IDT電極7の電極指ピッチにより規定される波長をλとする。電極指ピッチとは、隣り合う第1の電極指18及び第2の電極指19の中心間の、電極指延伸方向と直交する方向における距離である。電極指ピッチをpとしたときに、λ=2pである。
【0035】
単結晶スピネル基板3;材料…MgAlOの単結晶、厚み…10μm
圧電体層5;材料…LiTaO、厚み1μm
IDT電極7;材料…Al、厚み…0.1μm
波長λ;2μm
【0036】
単結晶スピネル基板3を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφ、θ及びψをそれぞれ、-180°以上、180°未満の範囲内において10°刻みで変化させた。上記のように、φ、θ及びψをそれぞれ変化させた場合において、単結晶スピネル基板3を伝搬する横波の音速を求めた。これにより、図5図41の領域A及び領域Bを導出した。この導出の一例を示す。
【0037】
図42は、アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(30°,40°,ψ)におけるψと、縦波、速い横波及び遅い横波の周波数との関係を示す図である。
【0038】
図42の関係を導出した際、波長λは2μmとされている。ここで、音速をv、周波数をfとすると、f=v/λの関係が成立する。よって、音速が5484m/sである場合、周波数としては2742MHzに相当する。そして、横波の周波数が2742MHzとなるψは-30°及び150°である。φが-25°以上、35°未満、及び145°以上、155°未満である場合においても、横波の周波数は2742MHzと変わらず、音速は5484m/sと変わらない。他方、φが-180°以上、-25°未満、35°以上、145°未満、及び155°以上、180°である場合においては、横波の周波数は2742MHzとは異なり、音速は5484m/sとは異なる。これらに基づき、図26の領域Aの一部、及び2つの領域Bを導出した。これと同様のことを繰り返すことにより、図5図41の領域A及び領域Bを導出した。
【0039】
なお、例えば、圧電体層5を構成している圧電体のカット角や、アルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)によって、SH型の横波の音速がSV型の横波の音速よりも高いか、あるいは低いかが異なる。そのため、圧電体のカット角やアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角などの条件によって、遅い横波がSH型であるか、SV型であるかが異なる。
【0040】
以下において、第1の実施形態の効果をより詳細に説明する。図43図46を参照して、4種の効果を説明する。図43図46では、第1の実施形態において、単結晶スピネル基板3を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)、及び圧電体層5を構成しているタンタル酸リチウムのカット角がそれぞれ異なる例と、比較例とを比較した結果を示す。具体的には、第1の実施形態及び比較例において、インピーダンス周波数特性を比較した。比較例は、単結晶スピネル基板3ではなく、多結晶スピネル基板が用いられている点において、第1の実施形態と異なる。図43及び図44に示す場合には、遅い横波はSH型である。図45及び図46に示す場合には、遅い横波はSV型である。
【0041】
図43は、第1の実施形態において、単結晶スピネル基板を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)が(0°,0°,0°)であり、圧電体層を構成しているタンタル酸リチウムのカット角が42°Yである場合のインピーダンス周波数特性と、比較例のインピーダンス周波数特性とを示す図である。なお、図43中の一点鎖線は、第1の実施形態においての、単結晶スピネル基板3におけるSH型の横波の音速に相当する周波数を示す。図43中の二点鎖線は、比較例における横波の音速に相当する周波数を示す。これらは、図44においても同様である。
【0042】
図43に示す場合の第1の実施形態においては、単結晶スピネル基板3におけるSH型の横波の音速は5484m/sよりも高く、周波数は2742MHzよりも高い。この場合、弾性波装置1において、高次モードとしてのSHモードが生じる周波数も高くなる。それによって、矢印Cにより示すように、第1の実施形態においては、比較例よりも、高次モードが生じる周波数をメインモードの周波数から遠ざけることができる。すなわち、メインモード付近に高次モードが生じることを効果的に抑制することができる。
【0043】
図44は、第1の実施形態において、単結晶スピネル基板を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)が(0°,0°,40°)であり、圧電体層を構成しているタンタル酸リチウムのカット角が42°Yである場合のインピーダンス周波数特性と、比較例のインピーダンス周波数特性とを示す図である。
【0044】
図44に示す場合の第1の実施形態においては、単結晶スピネル基板3におけるSH型の横波の音速は5484m/sよりも低く、周波数は2742MHzよりも低い。この場合、弾性波装置1におけるSHモードのカットオフ周波数を、2742MHzよりも低くすることができる。これにより、弾性波装置1において、高次モードとしてのSHモードが生じることを抑制できる。
【0045】
図45は、第1の実施形態において、単結晶スピネル基板を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)が(0°,0°,0°)であり、圧電体層を構成しているタンタル酸リチウムのカット角が152°Yである場合のインピーダンス周波数特性と、比較例のインピーダンス周波数特性とを示す図である。なお、図45中の一点鎖線は、第1の実施形態においての、単結晶スピネル基板3におけるSV型の横波の音速に相当する周波数を示す。図45中の二点鎖線は、比較例における横波の音速に相当する周波数を示す。これらは、図46においても同様である。
【0046】
図45に示す場合の第1の実施形態においては、単結晶スピネル基板3におけるSV型の横波の音速は5484m/sよりも高く、周波数は2742MHzよりも高い。この場合、弾性波装置1において、高次モードとしてのSVモードが生じる周波数も高くなる。それによって、矢印Cにより示すように、第1の実施形態においては、比較例よりも、高次モードが生じる周波数をメインモードの周波数から遠ざけることができる。すなわち、メインモード付近に高次モードが生じることを効果的に抑制することができる。
【0047】
図46は、第1の実施形態において、単結晶スピネル基板を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)が(30°,40°,80°)であり、圧電体層を構成しているタンタル酸リチウムのカット角が95°Yである場合のインピーダンス周波数特性と、比較例のインピーダンス周波数特性とを示す図である。
【0048】
図46に示す場合の第1の実施形態においては、単結晶スピネル基板3におけるSV型の横波の音速は5484m/sよりも低く、周波数は2742MHzよりも低い。この場合、弾性波装置1におけるSVモードのカットオフ周波数を、2742MHzよりも低くすることができる。これにより、弾性波装置1において、高次モードとしてのSVモードが生じることを抑制できる。図43図46のいずれの場合でも、弾性波装置1をフィルタ装置に用いた場合において、フィルタ特性の劣化を抑制することができる。
【0049】
上記のように、第1の本実施形態では、単結晶スピネル基板3を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφ、θ及びψは、図5図41におけるいずれかの領域Aの範囲内の角度である。言い換えれば、本実施形態では、単結晶スピネル基板3を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφ、θ及びψが、表1~表45に示すいずれかの組み合わせである。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
【表7】
【0057】
【表8】
【0058】
【表9】
【0059】
【表10】
【0060】
【表11】
【0061】
【表12】
【0062】
【表13】
【0063】
【表14】
【0064】
【表15】
【0065】
【表16】
【0066】
【表17】
【0067】
【表18】
【0068】
【表19】
【0069】
【表20】
【0070】
【表21】
【0071】
【表22】
【0072】
【表23】
【0073】
【表24】
【0074】
【表25】
【0075】
【表26】
【0076】
【表27】
【0077】
【表28】
【0078】
【表29】
【0079】
【表30】
【0080】
【表31】
【0081】
【表32】
【0082】
【表33】
【0083】
【表34】
【0084】
【表35】
【0085】
【表36】
【0086】
【表37】
【0087】
【表38】
【0088】
【表39】
【0089】
【表40】
【0090】
【表41】
【0091】
【表42】
【0092】
【表43】
【0093】
【表44】
【0094】
【表45】
【0095】
ところで、図2に示す圧電体層5の第1の主面5aには、IDT電極7を覆うように、保護膜が設けられていてもよい。この場合には、IDT電極7が破損し難い。保護膜の材料としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素または酸窒化ケイ素などを用いることができる。
【0096】
圧電体層5の厚みが2λ以下であることが好ましい。この場合には、弾性波装置1の周波数温度特性に対する、単結晶スピネル基板3の影響を相対的に大きくすることができる。それによって、弾性波装置1における周波数温度特性を良好にすることができる。
【0097】
圧電体層5の厚みが1λ以下であることがより好ましい。この場合には、メインモードの弾性波を効率的に励振させることができる。加えて、単結晶スピネル基板3によって、メインモードの弾性波を圧電体層5側に反射させることができる。よって、メインモードの弾性波のエネルギーを圧電体層5側に効果的に閉じ込めることができる。従って、Q値を良好にすることができる。
【0098】
図47は、第2の実施形態に係る弾性波装置の正面断面図である。
【0099】
本実施形態は、圧電体層5の第1の主面5a及びIDT電極7の間に、第1の誘電体膜26が設けられている点において、第1の実施形態と異なる。本実施形態は、圧電体層5の第2の主面5b及び単結晶スピネル基板3の間に、第2の誘電体膜24が設けられている点においても、第1の実施形態と異なる。上記の点以外においては、本実施形態の弾性波装置は第1の実施形態の弾性波装置1と同様の構成を有する。
【0100】
第1の誘電体膜26及び第2の誘電体膜24は、平面視において、IDT電極7と重なっている。本明細書において平面視とは、図2及び図47における上方に相当する方向から弾性波装置を見ることをいう。例えば、図2及び図47においては、圧電体層5側及び単結晶スピネル基板3側のうち、圧電体層5側が上方である。
【0101】
第1の誘電体膜26及び第2の誘電体膜24の材料としては、例えば、酸化ケイ素などを用いることができる。なお、第1の誘電体膜26及び第2の誘電体膜24の材料は上記に限定されない。
【0102】
本実施形態では、第1の誘電体膜26の厚みは、例えば、0.0025λである。第2の誘電体膜24の厚みは、例えば、0.25λである。もっとも、第1の誘電体膜26及び第2の誘電体膜24の厚みは上記に限定されない。
【0103】
第1の誘電体膜26及び第2の誘電体膜24の厚みを調整することにより、比帯域を容易に調整することができる。ここでいう比帯域は、共振周波数をfr、反共振周波数をfaとしたときに、|fa-fr|/fr×100[%]により表わされる。
【0104】
本実施形態では、第1の誘電体膜26及び第2の誘電体膜24のうち少なくとも一方が設けられていればよい。第1の誘電体膜26または第2の誘電体膜24の厚みを調整することにより、比帯域を容易に調整することができる。
【0105】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、単結晶スピネル基板3を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφ、θ及びψが、図5図41におけるいずれかの領域Aの範囲内の角度である。それによって、メインモード付近に高次モードが生じることを効果的に抑制することができる。
【0106】
以下において、本発明に係る弾性波装置の形態の例をまとめて記載する。
【0107】
<1>アルミン酸マグネシウム単結晶により構成されている単結晶スピネル基板と、前記単結晶スピネル基板上に設けられている圧電体層と、前記圧電体層上に設けられているIDT電極と、を備え、前記単結晶スピネル基板を構成しているアルミン酸マグネシウム単結晶のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるφ、θ及びψが、図5図41におけるいずれかの領域Aの範囲内の角度である、弾性波装置。
【0108】
<2>前記圧電体層がタンタル酸リチウム層またはニオブ酸リチウム層である、<1>に記載の弾性波装置。
【0109】
<3>前記単結晶スピネル基板及び前記圧電体層の間に、誘電体膜が設けられている、<1>または<2>に記載の弾性波装置。
【0110】
<4>前記圧電体層及び前記IDT電極の間に、誘電体膜が設けられている、<1>~<3>のいずれか1つに記載の弾性波装置。
【0111】
<5>前記IDT電極の電極指ピッチにより規定される波長をλとしたときに、前記圧電体層の厚みが2λ以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の弾性波装置。
【0112】
<6>前記圧電体層の厚みが1λ以下である、<5>に記載の弾性波装置。
【符号の説明】
【0113】
1…弾性波装置
2…圧電性基板
3…単結晶スピネル基板
5…圧電体層
5a,5b…第1,第2の主面
7…IDT電極
8,9…反射器
16,17…第1,第2のバスバー
18,19…第1,第2の電極指
24…第2の誘電体膜
26…第1の誘電体膜
図1
図2
図3
図4
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