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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047222
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】面材
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/18 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
E04F13/18 B
E04F13/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152733
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】510114125
【氏名又は名称】株式会社エフコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】久光 大樹
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 幸矢
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110DC11
2E110DC12
2E110DC21
2E110DC23
2E110EA09
2E110GA33W
2E110GA42X
2E110GA43W
2E110GB01W
2E110GB01Y
2E110GB02W
2E110GB06W
2E110GB11W
2E110GB12W
2E110GB14W
2E110GB16X
2E110GB16Y
2E110GB18W
2E110GB23Y
2E110GB26W
2E110GB28W
2E110GB28Y
2E110GB32W
2E110GB32Y
2E110GB41W
2E110GB42W
2E110GB44W
2E110GB45W
2E110GB46W
2E110GB54W
2E110GB62Y
2E110GB63X
(57)【要約】
【課題】自然な斑点模様を有する美観性に優れた面材を提供する。
【解決手段】本発明面材は、斑点模様を有する面材であって、上記面材は、ベース部と斑点模様部を有し、上記ベース部は、樹脂成分及び骨材を含むベース組成物によって形成され、上記斑点模様部は、樹脂成分及び顔料を含む粒状組成物によって形成され、上記ベース部と斑点模様部の境界部は、上記ベース組成物と上記粒状組成物が入り混じった状態であり、上記ベース部と上記斑点模様部は面材の表面側において面一であることを特徴とする。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
斑点模様を有する面材であって、
上記面材は、ベース部と斑点模様部を有し、
上記ベース部は、樹脂成分及び骨材を含むベース組成物によって形成され、
上記斑点模様部は、樹脂成分及び顔料を含む粒状組成物によって形成され、
上記ベース部と斑点模様部の境界部は、上記ベース組成物と上記粒状組成物が入り混じった状態であり、
上記ベース部と上記斑点模様部は面材の表面側において面一であることを特徴とする面材。
【請求項2】
上記斑点模様部は、透明性を有することを特徴とする請求項1に記載の面材。
【請求項3】
斑点模様を有する面材の製造方法であって、
型枠の内面に、樹脂成分及び顔料を含む粒状組成物を散在させる第一工程、
上記粒状組成物が未硬化の状態で、その上に樹脂成分及び骨材を含むベース組成物を塗付する第二工程、
上記粒状組成物及び上記ベース組成物が硬化した後、脱型する第三工程、
により得られることを特徴とする面材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な面材に関する。本発明面材は、建築物、土木構造物等の表面被覆に適用することができ、具体的には建築物壁面の模様仕上げ等に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
建築物壁面等においては、景観上の観点から美観性が求められている。このような観点から、例えば天然石をイメージした模様仕上げ等が注目されている。このような模様仕上げ材として、例えば、特許文献1には、合成樹脂を結合材とし、これに天然石等を粉砕してなる細骨材状の骨材を混合して調整した混合材を使用して、天然石の風合いを表現した装飾シート等が使用されている。
【0003】
さらに、近年、天然石調等の意匠性を高めるために斑点模様が付与される場合がある。このような方法として、例えば、特許文献2には、基材上に下地塗膜を設け、その上に模様転写シートを押しつけて模様を転写する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-138731号公報
【特許文献2】特開平11-290769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2で得られる模様仕上げは、スパッタリングによって形成されたスポット状の塗膜であり、下地塗膜上に凸状の模様塗膜が形成されるものであるが、このような凸状模様が目立った意匠となりやすく、場合によっては人工的なイメージになりやすく、自然感の点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、自然な斑点模様を有する美観性に優れた面材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討の結果、特定のベース部と斑点模様部を有する面材に想到し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の特徴を有するものである。
1.斑点模様を有する面材であって、
上記面材は、ベース部と斑点模様部を有し、
上記ベース部は、樹脂成分及び骨材を含むベース組成物によって形成され、
上記斑点模様部は、樹脂成分及び顔料を含む粒状組成物によって形成され、
上記ベース部と斑点模様部の境界部は、上記ベース組成物と上記粒状組成物が入り混じった状態であり、
上記ベース部と上記斑点模様部は面材の表面側において面一であることを特徴とする面材。
2.上記斑点模様部は、透明性を有することを特徴とする1.に記載の面材。
3.斑点模様を有する面材の製造方法であって、
型枠の内面に、樹脂成分及び顔料を含む粒状組成物を散在させる第一工程、
上記粒状組成物が未硬化の状態で、その上に樹脂成分及び骨材を含むベース組成物を塗付する第二工程、
上記粒状組成物及び上記ベース組成物が硬化した後、脱型する第三工程、
により得られることを特徴とする面材の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
上記1.~2.に係る発明では、自然な斑点模様を有する美観性に優れた面材を得ることができる。特に、ベース部と斑点模様部の境界部において、ベース組成物と粒状組成物が入り混じった状態であるため、境界部が目立ち難く、ベース部に斑点模様部が自然に散りばめられたような自然感を有する優れた意匠を得ることができる。
【0010】
上記2.に係る発明では、上記斑点模様部が透明性を有することによって、本発明の意匠的効果を高めることができる。
【0011】
上記3.に係る発明では、ベース部に斑点模様部が自然に散りばめられたような優れた意匠性の斑点模様を有する面材を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明面材の一例を示す断面模式図、及びその拡大図である。
図2】本発明面材の一例を示す平面模式図である。
図3】本発明面材の一例を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0013】
(1)ベース部
(1a)骨材
(2)斑点模様部
(3)境界部
(4)補強材
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
(面材)
図1は、本発明面材の一例を示す断面模式図である。図1では、ベース部(1)と斑点模様部(2)を有し、ベース部(1)と斑点模様部(2)は面材の表面側において面一となるように形成されている。また、ベース部(1)と斑点模様部(2)には境界部(3)が形成されている。
なお、本発明において面一とは、ベース部(1)から斑点模様部(2)にわたる表面がほぼフラットな状態(ベース部(1)と斑点模様部(2)の表面が実質的に同一平面上に存在する状態)のことを指し、好ましくはベース部(1)から斑点模様部(2)の間の段差が、±0.5mm以内の範囲である。
【0016】
図2は、本発明面材の一例を示す平面模式図であり、本発明面材を表側から見た状態を示している。図2では、ベース部(1)の中に、非連続に斑点模様部(2)が複数散在しており、ベース部(1)と斑点模様部(2)には境界部(3)が形成されている。
【0017】
ベース部(1)は、樹脂成分及び骨材(1a)を含むベース組成物によって形成されている。このような組成物を用いることにより、骨材(1a)が樹脂により固定化された層が得られる。骨材(1a)の色調は、本発明面材のベースとなる色や模様に寄与するものである。骨材(1a)は、平坦な面材の表面に微細な凹凸を付与し、陰影感を有する立体的な意匠表現に寄与することもできる。ベース部(1)では、複数の粒状無機質粒子の組合せ等によって、意匠性を調整することもできる。
【0018】
本発明に好適な骨材(1a)としては、粒状無機質粒子が好ましい。この粒状無機質粒子は、母体の材質が無機質であれば、天然品、人工品のいずれも使用することができる。本発明では、少なくとも粒状着色無機質粒子を含む態様が好適である。このような粒状着色無機質粒子としては、特に、光透過率が3%未満の不透明なものが好適であり、光透過率が2%以下のものがより好適である。このよう粒状着色無機質粒子として、具体的には、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、砂岩、粘板岩、玄武岩、斑れい岩、閃緑岩、安山岩、石灰岩及びこれらの粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、金属粒等が挙げられる。また、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂、及びこれらの粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ等を、上記条件を満たすように着色したもの等も使用できる。
【0019】
上記光透過率とは、濁度計による全光線透過率の値である。この測定では、粒状無機質粒子の試料を内厚5mmの透明ガラス製セル中に充填し、次いで徐々に水を充填した後、セル中の気泡を振動によって取り除いたものを用いる。但し試料としては、粒子径が0.5~1.0mmのものを選別して用いる。
【0020】
ベース部(1)は、骨材(1a)として上記粒状着色無機質粒子に加えて、粒状透明性無機質粒子を含む形態とすることもできる。このような粒状透明性無機質粒子を使用すれば、より一層、天然石のような美観と奥行き感を高めることができる。粒状透明性無機質粒子としては、光透過率が3%以上(より好ましくは3~50%、さらに好ましくは10~30%)であるものが好適である。粒状透明性無機質粒子としては、例えばシリカ、寒水石、長石、珪石等及びこれらの粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ等が挙げられ、上記光透過率を満たすものであれば、無色、有色のいずれのタイプも使用できる。
【0021】
骨材(1a)の平均粒子径は、好ましくは、0.01mm~5mm、より好ましくは0.02mm~2mm、さらに好ましくは0.03~0.8mmである。粒子径が異なる骨材を種々組み合せることによって、意匠性の幅を広げることもできる。なお骨材の平均粒子径は、JIS Z8801-1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い、その重量分布の平均値を算出することによって得られる値である。
【0022】
ベース部(1)における樹脂成分は、上記骨材(1a)を固定化する役割を担う。このような樹脂成分としては、各種の樹脂成分が使用できる。樹脂成分としては、例えば、溶剤可溶型樹脂、非水分散型樹脂、無溶剤型樹脂、水分散型樹脂、水溶性樹脂等が挙げられる。樹脂の種類としては、有機質樹脂が好ましく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体等、あるいはこれらの複合物等が挙げられる。このような樹脂成分は、架橋反応を生じる性質を有するものであってもよい。
【0023】
樹脂成分の比率は、固形分換算で、骨材(1a)の合計量100重量部に対し、好ましくは3重量部以上50重量部以下、より好ましくは4重量部以上30重量部以下、さらに好ましくは5重量部以上20重量部未満、最も好ましくは6重量部以上19重量部以下である。このような比率であれば、骨材(1a)の連接による美観を活かした意匠性が付与される。
【0024】
ベース部(1)を構成する成分としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、必要に応じ、上記以外の成分を使用することができる。このような成分としては、例えば、可塑剤、防藻剤、抗菌剤、消臭剤、吸着剤、難燃剤、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、蓄光顔料、蛍光顔料、骨材、繊維、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。
【0025】
ベース部(1)の厚みは、目的に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは0.5mm~10mm、より好ましくは1mm~8mmである。
【0026】
本発明面材は、上記ベース部(1)の中に、非連続に斑点模様部(2)が複数散在しており、ベース部(1)と斑点模様部(2)には境界部(3)が形成されている。上記斑点模様部(2)は、樹脂成分及び顔料を含む粒状組成物によって形成されている。本発明において、個々の斑点模様部(2)のサイズ(長径)は、好ましくは1~100mm(より好ましくは1.5~50mm、さらに好ましくは2~30mm)である。個々の斑点模様部(2)のサイズが上記骨材(1a)の平均粒子径よりも大きいことが望ましい。この場合、大柄な斑点模様を際立たせることができる。
【0027】
粒状組成物における樹脂成分としては、例えば、上記ベース部(1)と同様の樹脂成分が使用できる。
【0028】
上記粒状組成物における顔料としては、着色顔料が使用できる。具体的に、着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、カーボンブラック、酸化第二鉄(弁柄)、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、群青、コバルトグリーン等の無機着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機着色顔料、パール顔料、アルミニウム顔料、光輝性顔料、蓄光顔料、蛍光顔料等が挙げられる。このような着色顔料の1種または2種以上を組み合わせることにより、斑点模様部を所望の色調に調製することができる。着色顔料の平均粒子径は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.01~0.9μmである。なお、本発明において、顔料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される平均値である(測定温度は25℃)。
【0029】
粒状組成物中の着色顔料比率は、発色性、意匠性等の点から、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.5~9重量%、さらに好ましくは0.6~8重量%である。
【0030】
粒状組成物には、上記着色顔料に加え、体質顔料を使用することもできる。具体的に、体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、寒水石、軽微性炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、珪砂、珪石粉、石英粉、樹脂ビーズ等が挙げられ、これらは1種または2種以上で使用することができる。体質顔料の屈折率は、好ましくは1.4~1.7である。体質顔料の平均粒子径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは0.1~30μm、さらに好ましくは0.5~20μmである。
【0031】
粒状組成物中の体質顔料比率は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5~40重量%である。
【0032】
本発明の粒状組成物には、所望の斑点模様の質感(光沢、艶等)に応じて、骨材を含むこともできる。骨材としては、例えば、上記ベース部(1)に記載の骨材より選ばれる1種以上を使用することができる。また、本発明では、骨材を含まない態様も可能である。骨材を含まない態様の場合には、ベ-ス部(1)に対するコントラストを高めることができ、例えば、ベース部(1)と比較して、光沢の高い(艶のある)斑点模様部を形成することができる。
【0033】
さらに、斑点模様部(2)は、透明性を有することが好ましい。具体的には、粒状組成物の隠ぺい率が、好ましくは90%未満(より好ましくは5%以上80%未満、さらに好ましくは15~78%、特に好ましくは25~75%)である。粒状組成物がこのような隠ぺい率を有することにより、透明性を有する斑点模様部(2)を形成することができる。これにより斑点模様部(2)を介してベース部(1)を視認することができ、ベース部(1)の質感(微細な凹凸感、色相等)と、斑点模様部の色相があいまって意匠性をよりいっそう高めることができる。特に、境界部(3)においては上記効果が高まり、境界部が目立ち難く、ベース部に斑点模様部が自然に散りばめられたような優れた意匠を得ることができる。なお、隠ぺい率は、JIS K5663:2003「合成樹脂エマルションペイント及びシーラー」の7.9「隠ぺい率」の方法によって測定することができる。具体的には、隠蔽率試験紙の上に、粒状組成物を塗付厚が150μmとなるように塗付した試験体を用い、試験体における黒地上塗膜と白地上塗膜の視感反射率を色彩色差計「CR-300」(ミノルタ株式会社製)を用いて測定し算出した値である。
【0034】
(製造方法)
本発明面材の製造方法は特に限定されず、種々の方法を採用することができる。一例として、
(1)型枠の内面に、粒状組成物を散在させる第一工程、
(2)上記粒状組成物が未硬化の状態で、その上に樹脂成分及び骨材を含むベース組成物を塗付する第二工程、
(3)上記粒状組成物及び上記ベース組成物が硬化した後、脱型する第三工程、
を含む方法によって製造することができる。
【0035】
上記(1)における型枠としては、特に限定されないが、例えばシリコン樹脂、ウレタン樹脂製等の型枠、あるいは離型紙を設けた型枠等が使用できる。型枠を用いて製造する場合、型枠内面が面材の表面となるため、型枠内面の形状を調整することで、面材表面を平坦にすることができ、面材表面に所望の凹凸模様を付与することもできる。凹凸模様としては、例えば、トラバーチン(石灰岩調)模様、砂岩調模様、御影石調模様、たたき石調模様、ケンチ石調模様等が挙げられる。本発明では、型枠内面に凹凸を有さないもの、あるいはトラバーチン(石灰岩調)模様のように平坦部を多く有するものを使用することが好適である。
【0036】
上記(1)において粒状組成物を散在させる方法としては、
(イ)粒状組成物をスパッタ塗装する方法、
(ロ)粒状組成物がゲル状の状態で媒体に分散してなる塗料を塗装する方法、
(ハ)粒状組成物をゲル化させたゲル粒子を載置する方法、
等が挙げられる。
【0037】
上記(イ)において、粒状組成物をスパッタ塗装(玉吹き塗装)する方法としては、公知の方法を使用することができ、例えば、スプレー、ベルカップ等が使用できる。スパッタ塗装により散在させた粒状組成物の大きさ(長径)は、好ましくは1~100mm(より好ましくは1.5~50mm、さらに好ましくは2~30mm)である。また、その塗付け量は、好ましくは25g/m以上800g/m以下(より好ましくは50g/m以上500g/m以下)である。このような場合、ベース部に斑点模様部が自然に散りばめられた意匠を得ることができる。
【0038】
上記(ロ)の粒状組成物がゲル状の状態で媒体に分散してなる塗料は、粒状組成物からなるゲル粒子と媒体との組み合わせ(ゲル粒子/媒体)によって、水中油型(O/W型)、油中水型(W/O型)、油中油型(O/O型)及び水中水型(W/W型)に分類される。本発明では、水中水型(W/W型)が好適である。
【0039】
本発明において、粒状組成物のゲル化は、公知のゲル化手法(例えば、JIS K5667:2003「多彩模様塗料」に規定される材料の製造方法に準じた方法)を採用することができ、例えば、ゲル形成物質とゲル化剤を用いて行うことができる。
ゲル形成物質としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリエチレンオキサイド、水溶性ウレタン、バイオガム、ガラクトマンナン誘導体、アルギン酸もしくはその誘導体、セルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、アルブミン等、あるいはこれらを酸化、メチル化、カルボキシメチル化、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化、硫酸化、リン酸化、カチオン化等によって化学変性したもの等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
ゲル化剤としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄、ジルコニウム等の金属の硫酸塩、酢酸塩、有機酸塩、珪酸塩、硼酸塩等、あるいは粘土類等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0040】
ゲル粒子のサイズ(長径)は、好ましくは1~100mm(より好ましくは1.5~50mm、さらに好ましくは2~30mm)である。ゲル粒子のサイズは、上記骨材(1a)の平均粒子径よりも大きいことが望ましい。この場合、大柄な斑点模様を際立たせることができる。
ゲル粒子の固形分は、好ましくは1~50重量%、より好ましくは2~40重量%である。このような場合、境界部(3)が形成されやすく本発明の効果をよりいっそう高めることができる。
【0041】
ゲル粒子の形状は、特に限定されず、例えば、球状、フットボール状、タマゴ状、円柱状、円盤状、角柱状、ダンゴ状、糸状、雨滴状等が挙げられる。本発明では、サイズ、固形分、形状等が異なる種々のゲル粒子を組み合わせることによって、大きさ、形状、奥行き感等が異なる斑点模様部を形成することができる。
【0042】
上記(ロ)において、粒状組成物がゲル状の状態で媒体に分散してなる塗料を塗付する方法としては、公知の器具、例えば、スプレー、ローラー等が使用できる。その塗付け量は、好ましくは50g/m以上1000g/m以下(より好ましくは80g/m以上1000g/m以下)である。このような場合、ベース部に斑点模様部が自然に散りばめられた意匠を得ることができる。
【0043】
上記(ハ)において、粒状組成物をゲル化させたゲル粒子は、上記(イ)と同様の方法で得られるものを使用することができる。ゲル粒子の載置は、ベース部に斑点模様部が自然に散りばめられた意匠となるように適宜行えばよく、その量は、好ましくは25g/m以上800g/m以下(より好ましくは50g/m以上500g/m以下)である。
【0044】
上記(2)では、上記粒状組成物が未硬化の状態で、その上にベース組成物を塗付する。具体的には、型枠上には、粒状組成物が散りばめられた状態で塗付されており、該粒状組成物が未硬化の状態でその上にベース組成物を塗付する。これにより、粒状組成物の少なくとも一部にベース組成物が入り込み、ベース組成物と粒状組成物が入り混じった状態の境界部(樹脂成分と骨材と顔料を含む領域)が形成される。これにより、境界部が目立ち難く、ベース部に斑点模様部が自然に散りばめられたような自然感を有する意匠を得ることができる。特に、粒状組成物が上記(ロ)(ハ)のような粒状組成物からなるゲル粒子の場合、ゲル粒子の場合の色調、固形分、硬度等を調整することにより、境界部の状態が変化し、よりいっそう美観性の高い意匠性を付与することができる。
【0045】
ベース組成物を塗付する方法としては、公知の器具、例えば、スプレー、ローラー、鏝、レシプロ、コーター等が使用できる。その塗付け量は、ベース部の厚みに応じて適宜設定すればよいが、好ましくは1kg/m以上5kg/m以下(より好ましくは1.2kg/m以上4.5kg/m以下)である。
【0046】
上記(3)において、粒状組成物及びベース組成物の硬化は、自然乾燥による硬化でもよいし、熱等を加えて強制的に硬化させてもよい。本発明では、型枠上に塗付された粒状組成物及びベース組成物を同時に硬化させることにより、硬化に伴って粒状組成物が収縮した場合であってもベース部(1)から斑点模様部(2)の間の段差をほとんど生じることがなく、面材の表面側においてベース部と斑点模様部が面一である面材を得ることができる。
【0047】
本発明面材は、建築物壁面等を装飾する材料として使用できる。本発明面材を壁面等に固定する際には、例えば、接着材、接着テープ、釘、ネジ、ボルト、レール等を使用すればよい。建築物壁面等を構成する基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、煉瓦、プラスチック板、金属板、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。これら基材は、その表面に、既に被膜(既存被膜、下塗被膜等)が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。
【0048】
本発明面材では、面材の表面に、クリヤー層を形成することができる。このようなクリヤー層を設けることにより、ベース部(1)と斑点模様部(2)との質感を調整することができる。また、模様層(1)の保護を図ることもできる。
【0049】
本発明面材は、補強材を有するものであってもよい。このような補強材は、面材の内部及び/または裏面に設けることができる。補強材としては、例えば、織布、不織布、セラミックペーパー、合成紙、メッシュ、クロス、石膏ボード、合板、スレート板、金属板等が挙げられる。補強材は、上記2種以上の材料からなるものでもよい。このような補強材を用いることにより、面材の強度等を高めることができる。補強材を導入する場合は、例えば、ベース組成物の硬化前に、ベース組成物内部に補強材を埋め込んだり、ベース組成物の裏面に補強材を積層したりすればよい。
【実施例0050】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0051】
骨材A〔粒状着色無機質粒子(着色珪砂);白色、平均粒子径170μm、光透過率1%未満〕40重量部、骨材B〔粒状着色無機質粒子(着色珪砂);緑色、平均粒子径100μm、光透過率1%未満〕40重量部、骨材C〔粒状透明性無機質粒子(寒水石);平均粒子径200μm、光透過率16%〕20重量部、樹脂成分〔アクリル樹脂エマルション;固形分50重量%、ガラス転移温度0℃〕30重量部を、常法により混合・攪拌することによってベース組成物1を製造した。
【0052】
一方、着色ゲル粒子1(黒色球状ゲル粒子;アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、水を主成分とする粒状組成物1の粒状化物、粒子径3~6mm)30重量部、着色ゲル粒子2(緑色球状ゲル粒子;アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、酸化チタン、水を主成分とする粒状組成物2の粒状化物、粒子径7~9mm)30重量部、水性媒体(アクリル樹脂エマルション、水を主成分とする水性媒体)40重量部を含む多彩模様塗料1を製造した。
なお、粒状組成物1の隠ぺい率は66%である。粒状組成物2の隠ぺい率は62%である。
【0053】
(実施例1)
シリコン製型枠(縦300mm×横150mm×深さ5mm、型枠内面の形状;平坦)の内面に、多彩模様塗料1をスプレー塗装し(150g/m)、次いで、ベース組成物を流し込み(3.3kg/m)、こてを用いて平滑にならした。標準状態(気温23℃・相対湿度50%)で24時間乾燥後、脱型して面材を得た。この面材は、表面側において面一であり厚みは3mmであった。また、面材は、ベース部と斑点模様部を有し、その境界部はベース組成物と粒状組成物が入り混じった状態であり、境界部が目立ち難く、自然な斑点模様を有する美観性に優れるものであった。
【0054】
(比較例1)
シリコン製型枠(縦300mm×横150mm×深さ5mm)の内面に、多彩模様塗料1をスプレー塗装し(150g/m)、標準状態(気温23℃・相対湿度50%)で24時間乾燥後、次いで、ベース組成物を流し込み(3.3kg/m)、こてを用いて平滑にならした。標準状態(気温23℃・相対湿度50%)で24時間乾燥後、脱型して面材を得た。この面材は、表面側において面一であり厚みは3mmであった。また、面材は、ベース部と斑点模様部を有するものであったが、その境界部が明瞭であり、やや人工的な斑点模様が形成された。

図1
図2
図3