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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004724
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】移動用車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20240110BHJP
   A61H 3/04 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
B62B3/02 G
A61H3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104492
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】滝藤 良樹
(72)【発明者】
【氏名】川村 満夫
【テーマコード(参考)】
3D050
4C046
【Fターム(参考)】
3D050AA02
3D050BB21
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050JJ07
3D050KK15
4C046AA24
4C046BB07
4C046CC01
4C046CC04
4C046DD12
4C046DD22
4C046DD26
4C046DD27
4C046DD33
4C046DD47
(57)【要約】
【課題】操作部の操作により車輪の回動範囲を調整可能な移動用車において、操作部を無理なく構築し易くすること。
【解決手段】歩行車は、上下方向に延びる前輪の回動軸部41bに設けられ回動軸部41bと交差する方向に突出する突出ピン47と、上下方向における突出ピン47の側に開放された凹状部62とを備える。凹状部62は、開放側の第1領域62aと、第1領域62aよりも奥側に設けられ第1領域62aよりも幅狭な第2領域62bとを有する。第1領域62aに突出ピン47が入った場合、前輪の回動方向における突出ピン47の変位が第1領域62aの幅内に制限されることで、前輪の回動範囲が90°に制限される。第2領域62bに突出ピン47が入った場合、前輪の回動方向両側への突出ピン47の変位が規制されることで前輪の回動が禁止される。凹状部62は上下方向に変位可能とされ、凹状部62とともに上下方向に変位可能な操作部55を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる回動軸部を中心として前記回動軸部とともに回動可能とされた車輪を備える移動用車であって、
前記回動軸部に設けられ、前記回動軸部と交差する方向に突出する突出部と、
上下方向における前記突出部の側に開放された凹状部と、を備え、
前記凹状部は、前記開放側の第1領域と、前記第1領域よりも奥側に設けられ前記第1領域よりも幅が狭い第2領域とを有し、
前記第1領域に前記突出部が入った場合には、前記車輪の回動方向における前記突出部の変位が前記第1領域の幅内に制限されることで前記車輪の回動範囲が第1範囲に制限され、
前記第2領域に前記突出部が入った場合には、前記回動方向両側への前記突出部の変位が規制されることで前記車輪の回動が禁止される、又は、前記回動方向における前記突出部の変位が前記第2領域の幅内に制限されることで前記車輪の回動範囲が前記第1範囲よりも小さい第2範囲に制限され、
前記凹状部は、上下方向に変位可能となっており、
ユーザの操作により前記凹状部とともに上下方向に変位可能とされた操作部を備える、移動用車。
【請求項2】
上下方向に延びる筒状をなし、内側に前記回動軸部が挿通された筒状部を備え、
前記操作部は、前記筒状部の外周側に配置され、
前記筒状部と前記回動軸部との間には、前記操作部と連結具を介して連結され、前記操作部とともに上下方向に変位可能とされた可動部が設けられ、
前記筒状部には、前記連結具が挿通され、上下方向に延びる長孔状の挿通孔が形成され、
前記凹状部は、前記可動部に形成されている、請求項1に記載の移動用車。
【請求項3】
前記可動部は、前記回動軸部を囲む筒状をなしており、
前記連結具は、前記可動部の径方向の両側にそれぞれ設けられており、
前記筒状部には、前記連結具ごとに前記挿通孔が形成されており、
前記操作部は、前記筒状部の周方向に沿って延び、前記各挿通孔に挿通された前記連結具にそれぞれ連結されている、請求項2に記載の移動用車。
【請求項4】
前記操作部は、上下方向の両端部にそれぞれ前記筒状部側とは反対側に延出する延出部を有している、請求項3に記載の移動用車。
【請求項5】
前記操作部は、上下方向に変位可能ないずれの位置にある場合にも、前記各挿通孔の全体を覆うことが可能な大きさを有して形成されている、請求項3に記載の移動用車。
【請求項6】
前記突出部は第1突出部であり、
前記筒状部には、前記操作部側に突出する第2突出部が設けられ、
前記操作部の裏面側には、前記第2突出部と係合可能な係合部材が取り付けられ、
前記係合部材は、前記操作部とともに上下に変位する前記凹状部の前記第1領域に前記第1突出部が入った場合と、前記第2領域に前記第1突出部が入った場合とのそれぞれにおいて、前記第2突出部と係合する、請求項2に記載の移動用車。
【請求項7】
前記筒状部は、内部に前記回動軸部を受ける上下一対の軸受部が配設された軸ホルダであり、
前記可動部は、前記各軸受部の間において上下方向に変位可能となっている、請求項2乃至6のいずれか一項に記載の移動用車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動用車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人や荷物の移動を補助する移動用車として、高齢者等の歩行を補助する歩行車や、荷物を運ぶ際に用いられるキャリーカート、車椅子、ベビーカー等が知られている。移動用車は、上端側にハンドルを備え、下端側に車輪を備えている。また、移動用車には、車輪が、上下方向に延びる回動軸部を中心として回動可能とされているものがある。例えば、車輪が回動軸部と一体で設けられ、その回動軸部とともに回動可能となっているものがある。かかる移動用車では、車輪を回動させることにより、移動用車の移動する方向を変えられるようになっている。
【0003】
特許文献1には、前輪の回動範囲を調整可能な調整機構を備えた歩行車が開示されている。この歩行車では、前輪がキャスタとなっており、前輪の上方に設けられたキャスタカバーに調整機構が設けられている。調整機構について具体的には、キャスタカバーの前面側には上方に開放された切り欠きが形成され、切り欠きの上方には切り欠きと係合可能な係合部が設けられている。切り欠きは、幅広の上側領域と、幅狭の下側領域とを有して形成されている。また、係合部は、下方に突出する凸状をなし、上下動可能に設けられている。また、係合部には突起部が設けられ、その突起部をつまんで係合部を上下動させるようになっている。
【0004】
係合部は、上下動することにより、切り欠きの上側領域に係合する上位置と、切り欠きの下側領域に係合する下位置とに変位可能となっている。係合部が上位置にある場合には、係合部の変位が上側領域の幅内に制限され、その結果、前輪の回動範囲が所定角度(例えば90°)に制限される。また、係合部が下位置にある場合には、係合部の変位自体が規制され、その結果、前輪の回動が禁止されるロック状態となる。このように、特許文献1の調整機構によれば、前輪の回動範囲を複数段階に調整可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-224642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1の調整機構では、切り欠きに入り込む凸状の係合部に操作用の突起部(操作部)が設けられているため、操作部が小さくなり易く、操作がしづらくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、操作部の操作により車輪の回動範囲を調整可能な移動用車において、操作部を無理なく構築し易くすることを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の移動用車は、上下方向に延びる回動軸部を中心として前記回動軸部とともに回動可能とされた車輪を備える移動用車であって、前記回動軸部に設けられ、前記回動軸部と交差する方向に突出する突出部と、上下方向における前記突出部の側に開放された凹状部と、を備え、前記凹状部は、前記開放側の第1領域と、前記第1領域よりも奥側に設けられ前記第1領域よりも幅が狭い第2領域とを有し、前記第1領域に前記突出部が入った場合には、前記車輪の回動方向における前記突出部の変位が前記第1領域の幅内に制限されることで前記車輪の回動範囲が第1範囲に制限され、前記第2領域に前記突出部が入った場合には、前記回動方向両側への前記突出部の変位が規制されることで前記車輪の回動が禁止される、又は、前記回動方向における前記突出部の変位が前記第2領域の幅内に制限されることで前記車輪の回動範囲が前記第1範囲よりも小さい第2範囲に制限され、前記凹状部は、上下方向に変位可能となっており、ユーザの操作により前記凹状部とともに上下方向に変位可能とされた操作部を備える。
【0009】
第1の発明によれば、上下方向に延びる車輪の回動軸部に、回動軸部と交差する方向に突出する突出部が設けられている。また、上下方向における突出部の側に開放された凹状部を備え、その凹状部は、開放側の第1領域と、第1領域よりも奥側に設けられ第1領域よりも幅狭の第2領域とを有している。凹状部の第1領域に突出部が入った場合には、車輪の回動方向における突出部の変位が第1領域の幅内に制限されることで車輪の回動範囲が第1範囲に制限される。また、第2領域に突出部が入った場合には、車輪の回動方向両側への突出部の変位が規制されることで車輪の回動が禁止される、又は、車輪の回動方向における突出部の変位が第2領域の幅内に制限されることで車輪の回動範囲が第1範囲よりも小さい第2範囲に制限される。これにより、車輪の回動範囲を調整することが可能となっている。
【0010】
また、凹状部は上下方向に変位可能となっており、その凹状部とともに上下方向に変位可能な操作部を備えている。この場合、操作部の操作により、凹状部の第1領域及び第2領域のいずれかに突出部を入り込ませることで、車輪の回動範囲を調整することができる。かかる構成では、突出部を固定側、凹状部を可動側とし、その可動側の凹状部を操作部とともに上下方向に変位させるようにしているため、操作部を大きくしたり、操作性を高めたりする等、操作部を無理なく構築し易い。
【0011】
第2の発明の移動用車は、第1の発明において、上下方向に延びる筒状をなし、内側に前記回動軸部が挿通された筒状部を備え、前記操作部は、前記筒状部の外周側に配置され、前記筒状部と前記回動軸部との間には、前記操作部と連結具を介して連結され、前記操作部とともに上下方向に変位可能とされた可動部が設けられ、前記筒状部には、前記連結具が挿通され、上下方向に延びる長孔状の挿通孔が形成され、前記凹状部は、前記可動部に形成されている。
【0012】
第2の発明によれば、内側に回動軸部が挿通された筒状部が設けられ、その筒状部の外周側に操作部が設けられている。筒状部と回動軸部との間には、操作部と連結具を介して連結された可動部が設けられている。また、筒状部には、連結具が挿通される挿通孔が形成され、その挿通孔が上下方向に延びる長孔状に形成されている。かかる構成では、操作部が上下方向に操作されると、可動部が操作部とともに上下方向に変位する。また、この際、連結具は、挿通孔に沿って上下方向に変位する。そして、このような構成にあって、第2の発明では、筒状部の内側に配置された可動部に凹状部が形成されている。この場合、凹状部に埃等の異物が入るのを抑制することができるため、凹状部に異物が溜まって車輪の回動範囲を制限できなくなる不具合が生じるのを抑制することができる。
【0013】
第3の発明の移動用車は、第2の発明において、前記可動部は、前記回動軸部を囲む筒状をなしており、前記連結具は、前記可動部の径方向の両側にそれぞれ設けられており、前記筒状部には、前記連結具ごとに前記挿通孔が形成されており、前記操作部は、前記筒状部の周方向に沿って延び、前記各挿通孔に挿通された前記連結具にそれぞれ連結されている。
【0014】
第3の発明によれば、操作部の操作により可動部を上下方向に変位させる上述の構成にあって、可動部を安定した状態で変位させることができる。また、操作部を筒状部の周方向に沿って比較的大きく形成することができるため、操作部を持ち易くできる等、操作性の向上を図ることができる。
【0015】
第4の発明の移動用車は、第3の発明において、前記操作部は、上下方向の両端部にそれぞれ前記筒状部側とは反対側に延出する延出部を有している。
【0016】
第4の発明によれば、操作部を上下方向に操作する際、延出部に指を掛けて操作する等、操作性のさらなる向上を図ることができる。
【0017】
第5の発明の移動用車は、第3の発明において、前記操作部は、上下方向に変位可能ないずれの位置にある場合にも、前記各挿通孔の全体を覆うことが可能な大きさを有して形成されている。
【0018】
第5の発明によれば、操作部が上下方向に変位可能ないずれの位置にある場合にも、筒状部の各挿通孔の全体が操作部により覆われる。これにより、挿通孔を通じて筒状部の内部に異物が入るのを防止することができる。そのため、筒状部内に配置された凹状部に異物が溜まるのをより一層抑制することができる。
【0019】
第6の発明の移動用車は、第2の発明において、前記突出部は第1突出部であり、前記筒状部には、前記操作部側に突出する第2突出部が設けられ、前記操作部の裏面側には、前記第2突出部と係合可能な係合部材が取り付けられ、前記係合部材は、前記操作部とともに上下に変位する前記凹状部の前記第1領域に前記第1突出部が入った場合と、前記第2領域に前記第1突出部が入った場合とのそれぞれにおいて、前記第2突出部と係合する。
【0020】
第6の発明によれば、筒状部に操作部側に突出する第2突出部が設けられ、操作部の裏面側に第2突出部と係合可能な係合部材が取り付けられている。係合部材は、操作部とともに上下に変位する凹状部の第1領域に第1突出部が入った場合と、第2領域に第1突出部が入った場合とのそれぞれにおいて、第2突出部と係合する。この場合、第1領域に第1突出部が入って車輪の回動範囲が第1範囲に制限される状態を保持することができるとともに、第2領域に第1突出部が入って車輪の回動が規制される状態又は車輪の回動範囲が第2範囲に制限される状態を保持することができる。
【0021】
また、係合部材が操作部の裏面側に設けられているため、操作部の位置にかかわらず係合部材を操作部により覆い隠すことができる。これにより、係合部材に異物が入るのを好適に抑制することができ、その結果、係合部材に異物が溜まって第2突出部と係合されない不具合が生じるのを抑制することができる。
【0022】
第7の発明の移動用車は、第2乃至第6のいずれかの発明において、前記筒状部は、内部に前記回動軸部を受ける上下一対の軸受部が配設された軸ホルダであり、前記可動部は、前記各軸受部の間において上下方向に変位可能となっている。
【0023】
車輪の回動軸部は、軸ホルダの内部に配設された上下一対の軸受部により受けられる場合がある。そこで第7の発明では、かかる構成において、可動部を軸ホルダの内部における各軸受部の間において上下方向に変位可能としている。この場合、軸ホルダの内部スペースを上手く使って、可動部を上下動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】歩行車を斜め前方から見た斜視図である。
図2】前輪周辺を示す斜視図である。
図3】操作部を取り外した状態で軸ホルダの周辺を示す斜視図である。
図4】操作部及び軸ホルダを取り外した状態で、軸ホルダの内部構造を示す斜視図である。
図5】軸ホルダの一部を破断して軸ホルダの内部構造を示す正面図であり、(a)がスライダが第1位置にある場合を示し、(b)がスライダが第2位置にある場合を示し、(c)がスライダが第3位置にある場合を示している。
図6】軸ホルダを取り外した状態で、操作部及びスライダの周辺を斜め後方から見た斜視図である。
図7】操作部の裏面側を示す断面図であり、(a)が操作部とともに上下に変位するスライダが第1位置にある場合を示し、(b)がスライダが第2位置にある場合を示し、(c)がスライダが第3位置にある場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、歩行車10を斜め前方から見た斜視図である。なお、以下の説明では、歩行車10を移動させる際の移動方向を前後方向とし、その前後方向に対して直交する方向を左右方向として説明を行う。
【0026】
図1に示すように、歩行車10は、上下方向に延びる左右一対のフレーム部11と、各フレーム部11の下端側に設けられた前輪12及び後輪13とを備える。各フレーム部11は、連結部材14を介して互いに連結されている。なお、歩行車10が移動用車に相当する。
【0027】
各フレーム部11は、その下部に設けられ前後方向に延びる下部フレーム15と、下部フレーム15の中間部から上方に延びる縦フレーム16とを有する。下部フレーム15の前端部に前輪12が取り付けられ、下部フレーム15の後端部に後輪13が取り付けられている。
【0028】
縦フレーム16は、金属製のパイプ材により形成されている。各縦フレーム16の内側には、支柱フレーム17が上方から挿入されている。支柱フレーム17は、金属製のパイプ材により形成され、上下方向に延びている。支柱フレーム17は、縦フレーム16への挿入状態において、上下方向に位置調整が可能となっている。そして、支柱フレーム17は、その位置調整された位置で縦フレーム16にねじ部材18を用いて固定されるようになっている。
【0029】
支柱フレーム17の上端側には、取付部材21を介してハンドル22とブレーキレバー23とが設けられている。ハンドル22は、ユーザが歩行車10を移動させる際に把持する部分である。ハンドル22は、支柱フレーム17の上下位置調整により、その高さ位置(ハンドル高さ)を調整することが可能となっている。また、ブレーキレバー23は、ブレーキ操作を行うためのものであり、ハンドル22の下方に配置されている。なお、取付部材21には、段差等で歩行車10を持ち上げる際に把持する持ち手24が形成されている。
【0030】
各縦フレーム16の間には、座部31が設けられている。座部31には、後方から着座することが可能となっている。座部31の後方には、左右一対のかご受け部32が設けられている。スーパーマーケット等の店舗では、各かご受け部32と座部31とにそれぞれ買い物かごを載せて買い物することが可能となっている。また、かご受け部32は、左右方向の外側に回動可能となっている(図1の二点鎖線参照)。座部31に着座する際には、各かご受け部32を左右方向の外側にそれぞれ回動させてから着座するようになっている。
【0031】
座部31の上方には、背もたれ34が設けられている。背もたれ34は、座部31に着座したユーザの背を受けるものであり、各縦フレーム16の上端部に架け渡されている。また、座部31の前方には、物を収容可能な収容部36が設けられている。
【0032】
続いて、前輪12周辺の構成について図2図4に基づき説明する。図2は、前輪12周辺を示す斜視図である。図3は、操作部55を取り外した状態で軸ホルダ43の周辺を示す斜視図である。図4は、操作部55及び軸ホルダ43を取り外した状態で、軸ホルダ43の内部構造を示す斜視図である。なお、前輪12が車輪に相当する。
【0033】
図2に示すように、前輪12には、軸部材41が取り付けられている。軸部材41は、丸棒材が複数の箇所で曲げられることにより形成されている。軸部材41は、左右方向に延び前輪12に取り付けられた回転軸部41aと、前輪12よりも上方において上下方向に延びる回動軸部41bと、回転軸部41aと回動軸部41bとを接続する中間軸部41cとを有する。回転軸部41aは、前輪12の中心部に挿通されている。これにより、前輪12が回転軸部41aを中心として回転可能とされている。また、回動軸部41bは、図2及び図3に示すように、下部フレーム15の前端部に設けられた軸ホルダ43に支持されている。軸ホルダ43は、上下方向に延びる円筒状に形成され、その上端開口がキャップ44により塞がれている。なお、軸ホルダ43が筒状部に相当する。
【0034】
図4に示すように、軸ホルダ43の内側には、上下一対の軸受45が配設されている。各軸受45は、円環状の転がり軸受からなり、上下方向に離間して配置されている。回動軸部41bは、軸ホルダ43の内部に下方から挿入され、各軸受45の内側にそれぞれ挿通されている。これにより、回動軸部41bは各軸受45に回転可能に支持され、ひいては軸部材41が各軸受45を介して軸ホルダ43に支持されている。そして、かかる構成により、前輪12が回動軸部41bを中心として軸部材41とともに回動可能(旋回可能)となっている。そのため、本歩行車10では、前輪12の回動により、歩行車10の移動する方向を変えられるようになっている。
【0035】
また、回動軸部41bは、上側の軸受45よりも上方に突出した部分がねじ加工されたねじ部となっている。このねじ部にはナット46が締結されており、それにより、回動軸部41bが軸受45から抜け落ちることが防止されている。なお、ナット46は、キャップ44により覆い隠されている。また、軸受45が軸受部に相当する。
【0036】
ここで、本歩行車10には、前輪12の回動範囲を複数段階に調整可能な調整機構が設けられている。調整機構は、左右の各前輪12に対してそれぞれ設けられている。以下、その調整機構について図2図4に加え、図5を用いながら説明する。なお、図5は、軸ホルダ43の一部を破断して軸ホルダ43の内部構造を示す正面図であり、(a)がスライダ51が第1位置E1にある場合を示し、(b)がスライダ51が第2位置E2にある場合を示し、(c)がスライダ51が第3位置E3にある場合を示している。
【0037】
図4及び図5(a)に示すように、回動軸部41bには、円柱状の突出ピン47が設けられている。回動軸部41bには径方向に延びる孔部48が設けられ、その孔部48に突出ピン47が回動軸部41bの周面から一部突出した状態で挿し込まれている。したがって、突出ピン47は、回動軸部41bと直交する方向に突出した状態で設けられている。なお、突出ピン47が突出部及び第1突出部に相当する。
【0038】
また、詳しくは、孔部48の内周面にはめねじが形成され、突出ピン47の外周面にはおねじが形成されている。そして、突出ピン47は孔部48に対してねじ込まれた状態で設けられている。突出ピン47をねじ込む際には、突出ピン47の先端部に形成された六角孔に六角レンチを挿し入れ、六角レンチを用いてねじ込む。なお、軸ホルダ43には、突出ピン47に対応する位置に六角レンチを挿通可能な孔部49が形成され、その孔部49を通じて六角レンチにより突出ピン47の増し締め等が行えるようになっている。
【0039】
軸ホルダ43の内側には、スライダ51が設けられている。スライダ51は、回動軸部41bを囲む円環状をなしており、各軸受45の間に配置されている。スライダ51は、回動軸部41bに沿って上下方向にスライド可能(変位可能)となっている。なお、スライダ51が可動部に相当する。
【0040】
スライダ51は、突出ピン47に対して下方に配置されている。スライダ51には、上方に開放された凹状部52が形成されている。この場合、凹状部52は、突出ピン47の側に開放されている。凹状部52は、上記開放された側の第1領域52aと、第1領域52aよりも奥側に設けられた第2領域52bとを有している。第1領域52aと第2領域52bとは上下に連続する領域となっている。第1領域52aの幅W1(詳しくは、スライダ51の周方向における幅。以下の幅W2も同じ。)は、第2領域52bの幅W2よりも大きくなっている。そのため、第1領域52aは幅広の領域とされ、第2領域52bは幅狭の領域とされている。また、第2領域52bの幅W2は、突出ピン47の径と略同じ大きさとなっており、詳しくは突出ピン47の径よりも若干大きくなっている。
【0041】
スライダ51は、凹状部52に突出ピン47が入らない第1位置E1(図5(a)に示す位置)と、凹状部52の第1領域52aに突出ピン47が入る第2位置E2(図5(b)に示す位置)と、凹状部52の第2領域52bに突出ピン47が入る第3位置E3(図5(c)に示す位置)とに変位可能となっている。第2位置E2は第1位置E1よりも上にあり、第3位置E3は第2位置E2よりも上にある。したがって、第1位置E1を下位置、第2位置E2を中間位置、第3位置E3を上位置ということもできる。
【0042】
上述したように、突出ピン47は前輪12の回動軸部41bに設けられているため、前輪12が回動軸部41bとともに回動する際には、前輪12の回動方向(換言すると回動軸部41bの周方向)に突出ピン47が変位することになる。スライダ51が第1位置E1にある場合には、図5(a)に示すように、前輪12の回動方向における突出ピン47の変位が凹状部52により制限されることがない。そのため、前輪12の回動範囲が制限されず、前輪12は360°回動可能となる。
【0043】
また、スライダ51が第2位置E2にある場合には、図5(b)に示すように、前輪12の回動方向における突出ピン47の変位が凹状部52の第1領域52aの幅内に制限される。そのため、前輪12の回動範囲が90°の範囲(第1範囲に相当)に制限される。この場合、前輪12は、左右にそれぞれ45°ずつ回動可能となる。
【0044】
また、スライダ51が第3位置E3にある場合には、図5(c)に示すように、前輪12の回動方向両側への突出ピン47の変位が禁止される。そのため、前輪12の回動が禁止され、前輪12がロック状態となる。
【0045】
軸ホルダ43の外周側には、上下方向に操作可能とされた操作部55が設けられている。操作部55は、軸ホルダ43の前側に配置され、例えば硬質樹脂により形成されている。操作部55は、軸ホルダ43の周面に沿って略円弧状に延びており、詳しくは半円弧状に延びている。操作部55は、左右方向に分割された一対の分割部材55a,55bを有しており、それら各分割部材55a,55bがビス56により互いに結合されることにより構成されている。
【0046】
操作部55は、上端部及び下端部にそれぞれ前方に延出する延出部57を有している。この場合、各延出部57は、軸ホルダ43側とは反対側に延出している。各延出部57は、操作部55の左右方向に延びており、詳しくは操作部55の左右方向全域に亘って延びている。操作部55を上下に操作する際には、延出部57に指を掛ける等して操作することが可能となっている。
【0047】
操作部55は、スライダ51と連結ピン58を介して連結されている。連結ピン58は、スライダ51の径方向の両側に設けられ、詳しくはスライダ51の左右方向の両側に設けられている。各連結ピン58は左右方向に延びており、その一端部がスライダ51に形成された孔部61に挿し込まれ、他端部が操作部55の裏面に形成された凹状の孔部62に挿し込まれている。なお、連結ピン58が連結具に相当する。
【0048】
軸ホルダ43には、各連結ピン58が挿通される一対の挿通孔65が形成されている。各挿通孔65は、上下方向に延びる長孔形状とされている。かかる構成では、操作部55が上下方向に操作されると、スライダ51が操作部55とともに上下方向に変位する。また、この際、挿通孔65に挿通された連結ピン58が挿通孔65に沿って上下に変位する。
【0049】
操作部55が上下方向に操作されることにより、スライダ51は、上述した第1位置E1(図5(a)参照)と第2位置E2(図5(b)参照)と第3位置E3(図5(c)参照)とにそれぞれ変位することが可能となっている(図7も参照)。これにより、操作部55の操作により、前輪12の回動範囲を、360°、90°及び0°にそれぞれ調整することが可能となっている。
【0050】
また、操作部55が上下方向に操作される際には、上述したように、連結ピン58が軸ホルダ43の挿通孔65に沿って上下に変位する。この場合、操作部55が上下方向に変位可能な範囲は、挿通孔65の上下長さによって規定される。本実施形態では、スライダ51が第1位置E1に位置する場合に、操作部55が最も下方に位置し(図7(a)参照)、スライダ51が第3位置E3に位置する場合に、操作部55が最も上方に位置するようになっている(図7(c)参照)。そして、本実施形態では、操作部55が上下方向に変位可能ないずれの位置にある場合にも、操作部55により、各挿通孔65の全体が覆われるようになっている(図7(a)~(c)参照)。
【0051】
続いて、スライダ51を第1位置E1、第2位置E2及び第3位置E3にそれぞれ保持するための構成について、図6及び図7を用いながら説明する。図6は、軸ホルダ43を取り外した状態で、操作部55及びスライダ51の周辺を斜め後方から見た斜視図である。図7は、操作部55の裏面側を示す断面図であり、(a)が操作部55とともに上下に変位するスライダ51が第1位置E1にある場合を示し、(b)がスライダ51が第2位置E2にある場合を示し、(c)がスライダ51が第3位置E3にある場合を示している。なお、図7(a)~(c)では、連結ピン58及び係合ピン67と直交する平面で切断した断面図を示している。また、図7(a)~(c)では、説明の便宜上、スライダ51を二点鎖線で示し、軸ホルダ43の挿通孔65を一点鎖線で示している。
【0052】
図4図6及び図7(a)に示すように、軸ホルダ43には、左右方向の両側にそれぞれ係合ピン67が取り付けられている。各係合ピン67は左右方向に延びており、軸ホルダ43に形成された孔部69に挿通された状態で取り付けられている。この場合、係合ピン67は、操作部55側に突出しており、その端部が操作部55の裏面に形成された凹状の通路部68に挿し入れられている。通路部68は、上下方向に延びており、連結ピン58が挿入された孔部62よりも上方に配置されている。操作部55がスライダ51とともに上下方向に変位すると、それに伴い、係合ピン67が通路部68に沿って変位する。なお、係合ピン67が第2突出部に相当する。
【0053】
操作部55の裏面側には、係合ピン67と係合可能な係合部材71が取り付けられている。係合部材71は、操作部55の裏面に形成された収容凹部72に収容されている。収容凹部72は、通路部68に沿って上下方向に延びており、通路部68の幅方向に当該通路部68と連続している。
【0054】
係合部材71は、弾性を有する長尺のばね板材が曲げられることにより形成されている。係合部材71は、上下方向に延びる板部71aと、板部71aの両端側において互いに逆側に凸となるようU字状に曲げられた一対の曲げ部71bとを有する。また、係合部材71は、曲げ部71bごとに、曲げ部71bを挟んで板部71aとは反対側に設けられた一対の係合部71c,71dを有している。これら各係合部71c,71dは、係合部材71の両端部に位置しており、上下方向に並んで配置されている。
【0055】
係合部材71は、各係合部71c,71dが板部71aに対して通路部68側に位置するように配置されている。各係合部71c,71dは、通路部68に向けて突出する山形状に形成されている。各係合部71c,71dは、曲げ部71bの弾性変形により、突出側とは反対側に変位可能となっている。なお、各係合部71c,71dのうち、上側の係合部が係合部71c、下側の係合部が係合部71dとなっている。
【0056】
図7(a)に示すように、操作部55とともに上下に変位するスライダ51が第1位置E1に位置する場合には、係合ピン67が通路部68において上位置K1に位置する。この場合、係合部材71の係合部71cが係合ピン67に下方から係合し、その係合により操作部55が上方へ変位することが規制され、ひいてはスライダ51が第2位置E2側へ変位することが規制される。そのため、スライダ51が第1位置E1において保持される。
【0057】
操作部55が上方に操作されることにより、スライダ51が第1位置E1から第2位置E2に変位すると、係合ピン67が通路部68において上位置K1からそれよりも下方の中間位置K2に変位(相対変位)する。この際、係合ピン67は、係合部71cを乗り越えて上位置K1から中間位置K2に変位する。詳しくは、この際、係合ピン67により係合部71cが係合ピン67とは反対側に押されることで、係合ピン67に対する係合部71cの係合が解除され、その解除状態で係合ピン67が中間位置K2に変位する。
【0058】
図7(b)に示すように、係合ピン67が通路部68において中間位置K2に位置する場合には、係合部材71の係合部71cが係合ピン67に上方から係合し、その係合により操作部55が下方へ変位することが規制され、ひいてはスライダ51が第1位置E1側に変位することが規制される。また、この場合、係合部材71の係合部71dが係合ピン67に下方から係合し、その係合により操作部55が上方へ変位することが規制され、ひいてはスライダ51が第3位置E3側に変位することが規制される。これにより、スライダ51が第2位置E2において保持される。
【0059】
操作部55がさらに上方に操作されることにより、スライダ51が第2位置E2から第3位置E3に変位すると、係合ピン67が通路部68において中間位置K2からそれよりも下方の下位置K3に変位(相対変位)する。この際、係合ピン67は、係合部71dを乗り越えて中間位置K2から下位置K3に変位する。詳しくは、この際、係合ピン67により係合部71dが係合ピン67とは反対側に押されることで、係合ピン67に対する係合部71dの係合が解除され、その解除状態で係合ピン67が下位置K3に変位する。
【0060】
図7(c)に示すように、係合ピン67が通路部68において下位置K3に位置する場合には、係合部71dが係合ピン67に上方から係合し、その係合により操作部55が下方に変位することが規制され、ひいてはスライダ51が第2位置E2側に変位することが規制される。これにより、スライダ51が第3位置E3において保持される。
【0061】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0062】
前輪12の回動軸部41bに設けられ回動軸部41bと交差する方向に突出する突出ピン47と、上下方向における突出ピン47の側に開放された凹状部52とを備える。凹状部52は、開放側の第1領域52aと、第1領域52aよりも奥側の領域であって第1領域52aよりも幅狭の第2領域52bとを有している。また、凹状部52は上下方向に変位可能となっており、その凹状部52とともに上下方向に変位可能な操作部55をさらに備えている。この場合、操作部55の操作により、凹状部52の第1領域52a及び第2領域52bのいずれかに突出ピン47を入り込ませることで、前輪12の回動範囲を調整することができる。かかる構成では、突出ピン47を固定側、凹状部52を可動側とし、その可動側の凹状部52を操作部55とともに上下方向に変位させるようにしているため、操作部55を大きくしたり、操作性を高めたりする等、操作部55を無理なく構築し易い。
【0063】
内側に回動軸部41bが挿通された軸ホルダ43が設けられ、その軸ホルダ43の外周側に操作部55が設けられている。軸ホルダ43と回動軸部41bとの間には、操作部55と連結ピン58を介して連結されたスライダ51が設けられている。また、軸ホルダ43には、連結ピン58が挿通される挿通孔65が形成され、その挿通孔65が上下方向に延びる長孔状に形成されている。かかる構成では、操作部55が上下方向に操作されると、スライダ51が操作部55とともに上下方向に変位する。また、この際、連結ピン58は、挿通孔65に沿って上下方向に変位する。そして、このような構成にあって、上記の実施形態では、軸ホルダ43内のスライダ51に凹状部52が形成されている。この場合、凹状部52に埃等の異物が入るのを抑制することができるため、凹状部52に異物が溜まって前輪12の回動範囲を制限できなくなる不具合が生じるのを抑制することができる。
【0064】
スライダ51は、回動軸部41bを囲む筒状をなしており、連結ピン58は、スライダ51の径方向の両側にそれぞれ設けられている。操作部55は、軸ホルダ43の周方向に沿って延び、軸ホルダ43の各挿通孔65に挿通された連結ピン58にそれぞれ連結されている。この場合、操作部55の操作によりスライダ51を上下方向に変位させる構成にあって、スライダ51を安定した状態で変位させることができる。また、この場合、操作部55を軸ホルダ43の周方向に沿って比較的大きく形成することができるため、操作部55を持ち易くできる等、操作性の向上を図ることができる。
【0065】
操作部55は、上下方向の両端部にそれぞれ軸ホルダ43側とは反対側に延出する延出部57を有している。これにより、操作部55を上下方向に操作する際、延出部57に指を掛けて操作する等、操作性のさらなる向上を図ることができる。
【0066】
操作部55は、上下方向に変位可能ないずれの位置にある場合にも、各挿通孔65の全体を覆うことが可能な大きさを有して形成されている。これにより、挿通孔65を通じて軸ホルダ43の内部に異物が入るのを防止することができる。そのため、軸ホルダ43内の凹状部52に異物が溜まるのをより一層抑制することができる。また、この場合、操作部55を軸ホルダ43の周方向に加え、上下方向にも大きくすることができるため、操作部55の操作性をより向上させることができる。
【0067】
軸ホルダ43に操作部55側に突出する係合ピン67が設けられ、操作部55の裏面側に係合ピン67と係合可能な係合部材71が取り付けられている。係合部材71は、操作部55とともに上下に変位する凹状部52の第1領域52aに突出ピン47が入った場合と、第2領域52bに突出ピン47が入った場合とのそれぞれにおいて、係合ピン67と係合する。この場合、第1領域52aに突出ピン47が入って前輪12の回動範囲が90°の範囲に制限される状態を保持することができるとともに、第2領域52bに突出ピン47が入って前輪12の回動が規制される状態を保持することができる。
【0068】
また、係合部材71が操作部55の裏面側に設けられているため、操作部55の位置にかかわらず係合部材71を操作部55により覆い隠すことができる。これにより、係合部材71に異物が入るのを好適に抑制することができ、その結果、係合部材71に異物が溜まって係合ピン67と係合されない不具合が生じるのを抑制することができる。
【0069】
前輪12の回動軸部41bが、軸ホルダ43の内部に配設された上下一対の軸受45により受けられる構成において、スライダ51が、軸ホルダ43の内部における各軸受45の間において上下方向に変位可能とされている。この場合、軸ホルダ43の内部スペースを上手く使って、スライダ51を上下動させることができる。
【0070】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0071】
・上記実施形態では、凹状部52の第2領域52bに突出ピン47が入った場合に、前輪12の回動方向両側への突出ピン47の変位を規制することで前輪12の回動を禁止するようにしたが、これを変更してもよい。例えば、第2領域52bの幅を上記実施形態よりも大きくすることで、第2領域52bに突出ピン47が入った場合に、前輪12の回動方向における突出ピン47の変位を第2領域52bの幅内に制限するようにしてもよい。なお、この場合にも、第2領域52bの幅は、第1領域52aの幅よりも小さくする。このようにすることで、第2領域52bに突出ピン47が入った場合に、前輪12の回動範囲が90°(つまり、第1領域52aに突出ピン47が入った場合における前輪12の回動範囲)よりも小さい所定範囲(第2範囲に相当)に制限されるようになる。
【0072】
・凹状部52を下方に開放されるように形成してもよい。この場合、スライダ51を突出ピン47に対して上方に配置し、凹状部52が突出ピン47の側に開放されるようにする。かかる構成では、スライダ51の第2位置(凹状部52の第1領域52aに突出ピン47が入る位置)が、第1位置(凹状部52に突出ピン47が入らない位置)よりも下方に位置し、第3位置(凹状部52の第2領域52bに突出ピン47が入る位置)が第2位置よりも下方に位置する。
【0073】
・上記実施形態では、スライダ51に凹状部52を形成したが、これを変更して、操作部に凹状部を形成してもよい。この場合、次のような構成が考えられる。スライダ51と軸ホルダ43とを不具備として、操作部を回動軸部41bを囲む筒状に形成する。そして、その操作部に凹状部を形成するようにする。この場合にも、操作部を凹状部とともに上下方向に変位可能とすることができる。
【0074】
・上記実施形態では、筒状部として、回動軸部41bを支持する軸ホルダ43を用いたが、筒状部を軸ホルダ43以外のもので形成してもよい。
【0075】
・上記実施形態では、高齢者等の歩行を補助するための歩行車10に本発明の移動用車を具体化したが、歩行車10に限らず、例えばベビーカーやキャリーカート、車椅子、台車、一輪運搬車等の種々の移動用車に本発明を適用することができる。また、本発明は、必ずしも前輪に適用する必要はなく、後輪等、前輪以外の車輪に適用してもよい。
【符号の説明】
【0076】
10…移動用車としての歩行車、12…車輪としての前輪、41b…回動軸部、43…筒状部としての軸ホルダ、45…軸受部としての軸受、47…突出部及び第1突出部としての突出ピン、51…可動部としてのスライダ、52…凹状部、52a…第1領域、52b…第2領域、55…操作部、57…延出部、58…連結具としての連結ピン、65…挿通孔、67…第2突出部としての係合ピン、71…係合部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7