(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047248
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240329BHJP
B60K 17/04 20060101ALI20240329BHJP
B60K 17/12 20060101ALI20240329BHJP
A01B 63/10 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B60K1/04
B60K17/04 G
B60K17/12
A01B63/10 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152770
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大野 航平
(72)【発明者】
【氏名】小田切 誠
【テーマコード(参考)】
2B304
3D039
3D042
3D235
【Fターム(参考)】
2B304KA02
2B304LA02
2B304LA06
2B304LB05
2B304LB15
2B304PC12
2B304PD06
2B304PD28
2B304PD34
2B304RA03
2B304RA06
2B304RA11
2B304RA27
3D039AA04
3D039AB21
3D039AB27
3D039AC64
3D039AD43
3D042AA01
3D042AA05
3D042AB07
3D042BE01
3D235AA14
3D235BB32
3D235CC12
3D235CC13
3D235CC14
3D235DD12
3D235DD17
3D235DD33
3D235FF02
3D235FF06
3D235FF32
3D235FF33
3D235FF44
(57)【要約】
【課題】作業車において、インバータをコンパクトに作業車に設ける。
【解決手段】走行装置1,2と、バッテリ25と、動力を走行装置1,2に供給するモータ26と、モータ26を作動させるインバータ24と、運転部5とが備えられる。バッテリ25が、運転部5に対して前側に設けられ、インバータ24が、側面視で、バッテリ25と運転部5との間に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置と、バッテリと、動力を前記走行装置に供給するモータと、前記モータを作動させるインバータと、運転部とが備えられ、
前記バッテリが、前記運転部に対して前側に設けられ、
前記インバータが、側面視で、前記バッテリと前記運転部との間に設けられている作業車。
【請求項2】
前記走行装置を操作する操縦ハンドルが、前記運転部の前部に設けられ、
前記走行装置を操作するステアリング軸が、前記操縦ハンドルから下方に向けて延出され、
前記インバータが、側面視で、前記バッテリと前記ステアリング軸との間に設けられている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記インバータが、側面視で上下方向に沿って設けられ、平面視で左右方向に沿って設けられている請求項1に記載の作業車。
【請求項4】
上下方向に沿った右部分と、上下方向に沿った左部分と、前記右部分の上部と前記左部分の上部とに亘る上部分とを有するピラーフレームが備えられ、
前記ピラーフレームが、側面視で、前記バッテリと前記運転部との間に設けられ、
前記インバータが、正面視で、前記右部分と前記左部分との間、且つ、前記上部分に対して下側に設けられている請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
前記モータが、前記インバータの下方に設けられている請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項6】
走行装置と、バッテリと、動力を前記走行装置に供給するモータと、前記モータを作動させるインバータと、運転部とが備えられ、
前記バッテリが、前記運転部に対して前側に設けられ、
前記インバータが、前記バッテリに対して前側に設けられている作業車。
【請求項7】
前記インバータが、側面視で上下方向に沿って設けられ、平面視で左右方向に沿って設けられている請求項6に記載の作業車。
【請求項8】
走行装置と、バッテリと、モータと、前記モータを作動させるインバータと、運転部と、走行用の変速装置を収容するミッションケースとが備えられ、
前記モータの動力が、前記変速装置に伝達され、前記変速装置から前記走行装置に伝達され、
前記ミッションケースが、前記運転部の運転座席の下方に設けられ、
前記インバータが、側面視で、前記運転座席と前記ミッションケースとの間に設けられている作業車。
【請求項9】
前記インバータが、水平方向に沿って設けられている請求項8に記載の作業車。
【請求項10】
前記モータが、側面視で、前記運転座席と前記ミッションケースとの間に設けられている請求項8又は9に記載の作業車。
【請求項11】
走行用の変速装置を収容するミッションケースが備えられ、
前記モータの動力が、前記変速装置に伝達され、前記変速装置から前記走行装置に伝達され、
前記ミッションケースが、前記運転部の運転座席の下方に設けられ、
作業装置が連結されるリンク機構が、昇降操作可能に前記ミッションケースに設けられ、
前記リンク機構を昇降操作する油圧シリンダと、前記油圧シリンダに作動油を供給する油圧ポンプとが、前記ミッションケースに設けられ、
前記油圧ポンプを駆動するポンプモータが、側面視で、前記運転座席と前記ミッションケースとの間に設けられている請求項1,2,6,7,8,9のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータにより走行装置を駆動する電動型式の作業車や、エンジン及びモータにより走行装置を駆動するハイブリッド型式の作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
電動型式の作業車の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1では、走行用の変速装置を収容するミッションケースが、作業車の後部に設けられ、モータがミッションケースの前部に連結されている。バッテリが、作業車の前部において、前輪(走行装置に相当)よりも少し高い位置に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業車において、モータを作動させるインバータを設ける場合、インバータをコンパクトに作業車に設けることが要望されている。
本発明は、作業車において、インバータをコンパクトに作業車に設けることができるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の作業車は、走行装置と、バッテリと、動力を前記走行装置に供給するモータと、前記モータを作動させるインバータと、運転部とが備えられ、前記バッテリが、前記運転部に対して前側に設けられ、前記インバータが、側面視で、前記バッテリと前記運転部との間に設けられている。
【0006】
本発明によると、バッテリが運転部に対して前側に設けられた場合、インバータがバッテリと運転部との間に設けられて、バッテリ及びインバータが前後に並んで設けられるので、インバータをコンパクトに作業車に設けることができる。
本発明によると、インバータがバッテリの近くに設けられて、インバータとバッテリとに亘るハーネスを短いものに構成することができるので、インバータとバッテリとに亘るハーネスの簡素化を図ることができる。
【0007】
本発明において、前記走行装置を操作する操縦ハンドルが、前記運転部の前部に設けられ、前記走行装置を操作するステアリング軸が、前記操縦ハンドルから下方に向けて延出され、前記インバータが、側面視で、前記バッテリと前記ステアリング軸との間に設けられていると好適である。
【0008】
作業車では、操縦ハンドルが運転部の前部に設けられ、ステアリング軸が操縦ハンドルから下方に向けて延出されて、操縦ハンドルにより前輪等の走行装置を操縦するように構成されることが多くある。
【0009】
本発明によると、操縦ハンドル及びステアリング軸が、バッテリに対して後側に設けられて、インバータがバッテリとステアリング軸との間に設けられている。これにより、バッテリとステアリング軸との間の空間を有効に利用して、インバータをコンパクトに作業車に設けることができる。
【0010】
本発明において、前記インバータが、側面視で上下方向に沿って設けられ、平面視で左右方向に沿って設けられていると好適である。
【0011】
インバータは、立方体のケースに各種の機器が収容されて構成されることが多い。
本発明によると、インバータが、側面視で上下方向に沿って設けられ、平面視で左右方向に沿って設けられることにより、インバータをバッテリの後部に沿うように設けることができるので、インバータをバッテリの後部に接近して設けることができて、インバータをコンパクトに作業車に設けるという面で有利である。
【0012】
本発明において、上下方向に沿った右部分と、上下方向に沿った左部分と、前記右部分の上部と前記左部分の上部とに亘る上部分とを有するピラーフレームが備えられ、前記ピラーフレームが、側面視で、前記バッテリと前記運転部との間に設けられ、前記インバータが、正面視で、前記右部分と前記左部分との間、且つ、前記上部分に対して下側に設けられていると好適である。
【0013】
作業車では、ピラーフレームが運転部に対して前側に設けられることがあり、作業車の前部のボンネット等のカバーや、操縦ハンドル等が、ピラーフレームに支持されるように構成されることがある。ピラーフレームは、上下方向に沿った右部分と、上下方向に沿った左部分と、右部分の上部と左部分の上部とに亘る上部分とを有して構成されることがある。
【0014】
本発明によると、ピラーフレームがバッテリと運転部との間に設けられた場合、インバータが、ピラーフレームの右部分と左部分との間で、ピラーフレームの上部分に対して下側に設けられており、インバータがピラーフレームの内部に設けられている。
これにより、ピラーフレームの内部の領域を有効に利用して、インバータを設けることができるので、インバータをコンパクトに作業車に設けるという面で有利である。
【0015】
本発明において、前記モータが、前記インバータの下方に設けられていると好適である。
【0016】
本発明によると、モータがインバータの近くに設けられて、インバータとモータとに亘るハーネスを短いものに構成することができるので、インバータとモータとに亘るハーネスの簡素化を図ることができる。
本発明によると、モータがインバータの下方に設けられて比較的低い位置に設けられ、作業車の低重心化を図ることができるので、作業車の走行安定性を向上させることができる。
【0017】
本発明の作業車は、走行装置と、バッテリと、動力を前記走行装置に供給するモータと、前記モータを作動させるインバータと、運転部とが備えられ、前記バッテリが、前記運転部に対して前側に設けられ、前記インバータが、前記バッテリに対して前側に設けられている。
【0018】
本発明によると、バッテリが運転部に対して前側に設けられた場合、インバータがバッテリに対して前側に設けられ、バッテリ及びインバータが前後に並んで設けられるので、インバータをコンパクトに作業車に設けることができる。
本発明によると、インバータがバッテリの近くに設けられて、インバータとバッテリとに亘るハーネスを短いものに構成することができるので、インバータとバッテリとに亘るハーネスの簡素化を図ることができる。
本発明によると、作業車の前進時に外気がインバータに当たり易くなるので、インバータの冷却の面で有利である。
【0019】
本発明において、前記インバータが、側面視で上下方向に沿って設けられ、平面視で左右方向に沿って設けられていると好適である。
【0020】
インバータは、立方体のケースに各種の機器が収容されて構成されることが多い。
本発明によると、インバータが、側面視で上下方向に沿って設けられ、平面視で左右方向に沿って設けられることにより、インバータをバッテリの前部に沿うように設けることができるので、インバータをバッテリの前部に接近して設けることができて、インバータをコンパクトに作業車に設けるという面で有利である。
【0021】
本発明の作業車は、走行装置と、バッテリと、モータと、前記モータを作動させるインバータと、運転部と、走行用の変速装置を収容するミッションケースとが備えられ、前記モータの動力が、前記変速装置に伝達され、前記変速装置から前記走行装置に伝達され、前記ミッションケースが、前記運転部の運転座席の下方に設けられ、前記インバータが、側面視で、前記運転座席と前記ミッションケースとの間に設けられている。
【0022】
作業車では、ミッションケースが運転部の運転座席の下方に設けられた場合、運転座席とミッションケースとの間に比較的大きな空間が生じ易い。
本発明によると、インバータを運転座席とミッションケースとの間に設けることによって、運転座席とミッションケースとの間の空間を有効に利用して、インバータを設けることができるので、インバータをコンパクトに作業車に設けることができる。
本発明によると、運転座席を取り外す等の作業を行うことにより、インバータに対して容易に作業を行うことができるので、インバータのメンテナンス性を向上させることができる。
【0023】
本発明において、前記インバータが、水平方向に沿って設けられていると好適である。
【0024】
インバータは、立方体のケースに各種の機器が収容されて構成されることが多い。
本発明によると、インバータが水平方向に沿って設けられることにより、インバータを運転座席とミッションケースとの間に容易に設けることができるので、インバータをコンパクトに作業車に設けるという面で有利である。
【0025】
本発明において、前記モータが、側面視で、前記運転座席と前記ミッションケースとの間に設けられていると好適である。
【0026】
本発明によると、モータが作業車の前後中央から後側に比較的大きく離れて位置することになるので、比較的大重量の作業装置が作業車の前部に支持された際に、モータがバランスウェイトとして機能し易くなる。これにより、比較的大重量の作業装置を作業車の前部に支持した作業走行において、作業車の前後バランスが良いものとなる。
【0027】
本発明によると、運転座席とミッションケースとの間の空間を有効に利用して、モータを比較的容易に設けることができ、モータの支持構造を比較的容易に構成することができるので、モータの支持構造の簡素化を図ることができる。
【0028】
本発明によると、モータがインバータの近くに設けられて、インバータとモータとに亘るハーネスを短いものに構成することができるので、インバータとモータとに亘るハーネスの簡素化を図ることができる。
本発明によると、運転座席を取り外す等の作業を行うことにより、モータに対して容易に作業を行うことができるので、モータのメンテナンス性を向上させることができる。
【0029】
本発明において、走行用の変速装置を収容するミッションケースが備えられ、前記モータの動力が、前記変速装置に伝達され、前記変速装置から前記走行装置に伝達され、前記ミッションケースが、前記運転部の運転座席の下方に設けられ、作業装置が連結されるリンク機構が、昇降操作可能に前記ミッションケースに設けられ、前記リンク機構を昇降操作する油圧シリンダと、前記油圧シリンダに作動油を供給する油圧ポンプとが、前記ミッションケースに設けられ、前記油圧ポンプを駆動するポンプモータが、側面視で、前記運転座席と前記ミッションケースとの間に設けられていると好適である。
【0030】
作業車では、リンク機構が昇降操作可能にミッションケースに設けられ、リンク機構を昇降操作する油圧シリンダ及び油圧シリンダに作動油を供給する油圧ポンプが、ミッションケースに設けられることがある。これにより、作業装置をリンク機構に連結して、油圧シリンダによりリンク機構を昇降操作することにより、作業装置を昇降操作することができる。
油圧シリンダ及び油圧ポンプがミッションケースに設けられるのは、ミッションケースに貯留される潤滑油を、作動油として油圧ポンプに供給し、油圧ポンプから油圧シリンダに供給して、油圧シリンダからの作動油をミッションケースに戻すように構成する為である。
【0031】
作業車では、ミッションケースが運転部の運転座席の下方に設けられた場合、運転座席とミッションケースとの間に比較的大きな空間が生じ易い。
本発明によると、油圧ポンプを駆動するポンプモータを設ける場合、運転座席とミッションケースとの間の空間を有効に利用して、ポンプモータを比較的容易に設けることができ、ポンプモータの支持構造を比較的容易に構成することができるので、ポンプモータの支持構造の簡素化を図ることができる。
【0032】
本発明によると、ポンプモータが運転座席とミッションケースとの間に設けられることにより、ポンプモータが油圧ポンプの近くに設けられるので、ポンプモータによる油圧ポンプの駆動構造の簡素化を図ることができる。
本発明によると、運転座席を取り外す等の作業を行うことにより、ポンプモータに対して容易に作業を行うことができるので、ポンプモータのメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】インバータ及びモータの付近の縦断正面図である。
【
図3】モータから前輪及び後輪への伝動系を示す概略図である。
【
図4】発明の実施の第2別形態において、トラクタの左側面図である。
【
図5】発明の実施の第3別形態において、トラクタの左側面図である。
【
図6】発明の実施の第4別形態において、トラクタの左側面図である。
【
図7】発明の実施の第5別形態において、トラクタの左側面図である。
【
図8】発明の実施の第7別形態において、トラクタの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1~
図8に、作業車の一例である電動型式のトラクタが示されており、
図1~
図8において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0035】
(トラクタの全体構成)
図1に示すように、右及び左の前輪1(前の走行装置に相当)、右及び左の後輪2(後の走行装置に相当)により、機体3が支持されている。機体3の前部にボンネット4が設けられ、機体3の後部に運転部5が設けられている。運転部5に、前輪1を操向操作する操縦ハンドル6、運転座席7、フロア8及びロプスフレーム9が設けられている。
【0036】
機体3は、右及び左の機体フレーム10、ミッションケース11等を有して構成されている。ミッションケース11は、前ケース12と後ケース13とが連結されて構成されている。右及び左の機体フレーム10が、ミッションケース11に連結されて、運転部5(フロア8)の下方に前後方向に沿って配置されている。ミッションケース11が、運転部5の運転座席7の下方に設けられている。
【0037】
前車軸ケース14が機体フレーム10の前部に支持され、右及び左の前輪1が前車軸ケース14に支持されている。右及び左の後輪2が、ミッションケース11(後ケース13)に支持されている。
【0038】
トップリンク15(リンク機構に相当)、右及び左のロアリンク16(リンク機構に相当)が、ミッションケース11(後ケース13)の後部に上下に揺動可能に設けられており、ロータリ耕耘装置等の作業装置(図示せず)を、トップリンク15及びロアリンク16に連結することができる。
【0039】
右及び左のリフトアーム17がミッションケース11(後ケース13)の後部に設けられ、リフトアーム17とロアリンク16とに亘って連係ロッド18が接続されている。リフトアーム17が上下に揺動操作されることにより、トップリンク15及びロアリンク16が昇降操作されて、作業装置が昇降操作される。
【0040】
(機体の前部の構成)
図1及び
図2に示すように、ピラーフレーム19が、機体フレーム10における前輪1と運転部5(後輪2)との間に設けられている。ピラーフレーム19は、板材が折り曲げられて構成されており、右部分19aと、左部分19bと、上部分19cと、後部分19dとを有している。
【0041】
ピラーフレーム19の後部分19dは、平板状であり、上下方向及び左右方向に沿っている。ピラーフレーム19の右部分19aは、ピラーフレーム19の後部分19dの右部が前方に向けて折り曲げられて形成されており、上下方向及び前後方向に沿っている。ピラーフレーム19の左部分19bは、ピラーフレーム19の後部分19dの左部が前方に向けて折り曲げられて形成されており、上下方向及び前後方向に沿っている。
【0042】
ピラーフレーム19の上部分19cは、ピラーフレーム19の後部分19dの上部が前方に向けて折り曲げられて形成されており、左右方向及び前後方向に沿っている。ピラーフレーム19の上部分19cは、ピラーフレーム19の右部分19aの上部と左部分19bの上部とに亘っている。
【0043】
図1に示すように、ボンネット4は、ピラーフレーム19の上部分19cの左右方向に沿った支点周りに開閉可能に支持されており、
図1に示す閉位置及び閉位置から上方の開位置に操作可能である。
【0044】
パワーステアリング機構20が、ピラーフレーム19の後部分19dの後面部の下部に設けられている。ハンドルポスト21が、パワーステアリング機構20に取り付けられ、パワーステアリング機構20から上方に向けて延出されている。操縦ハンドル6が、ハンドルポスト21の上部に支持されており、操縦ハンドル6とパワーステアリング機構20とに亘って、ステアリング軸22が接続されている。
【0045】
操縦ハンドル6が回転操作されると、操縦ハンドル6の回転操作がステアリング軸22を介してパワーステアリング機構20に伝達され、パワーステアリング機構20により前輪1が左右に操向操作される。
【0046】
以上の構成により、
図1に示すように、前輪1(前の走行装置)を操作する操縦ハンドル6が、運転部5の前部に設けられ、前輪1(前の走行装置)を操作するステアリング軸22が、操縦ハンドル6から下方に向けて延出されている。
【0047】
(バッテリ及びインバータに関する構成)
図1及び
図2に示すように、支持台23が、右及び左の機体フレーム10の前部の上部に取り付けられている。インバータ24が設けられており、インバータ24は、幅(前後幅)の小さい立方体のケースに各種の機器が収容されて構成されている。
【0048】
インバータ24は、側面視で上下方向に沿って設けられ、平面視(正面視)で左右方向に沿って設けられており、ピラーフレーム19の後部分19dの前面部に接するように、支持台23の後部に取り付けられている。
【0049】
図1に示すように、バッテリ25が設けられており、バッテリ25は、複数のバッテリモジュール(図示せず)が連結されたスタック(図示せず)が、立方体のケースに複数組収容されて構成されている。バッテリ25が支持台23に取り付けられており、インバータ24及びバッテリ25が、閉位置のボンネット4により覆われている。ボンネット4を開操作することにより、インバータ24及びバッテリ25のメンテナンス作業を行うことができる。
【0050】
以上の構成により、
図1及び
図2に示すように、インバータ24は、正面視でピラーフレーム19の右部分19aと左部分19bとの間に設けられており、側面視でピラーフレーム19の右部分19a及び左部分19bと重複している。インバータ24は、正面視でピラーフレーム19の上部分19cに対して下側に設けられており、平面視でピラーフレーム19の上部分19cと重複している。
【0051】
バッテリ25が運転部5に対して前側に設けられ、インバータ24が、側面視で、バッテリ25と運転部5との間に設けられている。インバータ24が、側面視で、バッテリ25とステアリング軸22との間に設けられている。
ピラーフレーム19が、側面視で、バッテリ25と運転部5との間に設けられており、インバータ24が、側面視で、バッテリ25とピラーフレーム19の後部分19dとの間に設けられている。
【0052】
(モータに関する構成)
図1及び
図2に示すように、右及び左の機体フレーム10の内面部に、右及び左の取付ブラケット27が連結されており、モータ26の右部及び左部が、右及び左の取付ブラケット27に連結されている。
【0053】
インバータ24において、バッテリ25の直流電力が交流電力に変換されてモータ26に供給され、モータ26が作動する。モータ26の動力が、
図3に示すように、前輪1及び後輪2に供給される。
【0054】
以上の構成により、
図1及び
図2に示すように、モータ26が、側面視で、前輪1(前の走行装置)と後輪2(後の走行装置)との間で、且つ、操縦ハンドル6の下方に設けられている。
運転部5(フロア8)の下方に前後方向に沿って配置された右の機体フレーム10及び左の機体フレーム10が備えられ、モータ26が、平面視(正面視)で、右の機体フレーム10と左の機体フレーム10との間に設けられている。
【0055】
モータ26は、側面視で、ピラーフレーム19の下方、パワーステアリング機構20の下方、インバータ24の下方、バッテリ25の後部の下方に設けられている。ピラーフレーム19、パワーステアリング機構20及びインバータ24は、側面視で、モータ26の上方に設けられている。
【0056】
(前輪及び後輪への伝動系の構成)
図1及び
図3に示すように、静油圧式の無段変速装置28(走行用の変速装置に相当)が、ミッションケース11の前ケース12の内部に収容されており、モータ26の動力が伝動軸29を介して無段変速装置28に伝達される。無段変速装置28は、前進側及び後進側に無段階に変速可能であり、運転部5のフロア8に設けられた変速ペダル(図示せず)により操作される。
【0057】
副変速装置30(走行用の変速装置に相当)、後輪デフ装置31、前輪変速装置32(走行用の変速装置に相当)が、ミッションケース11の後ケース13の内部に収容されている。無段変速装置28により変速された動力が、副変速装置30に伝達され、副変速装置30から後輪デフ装置31を介して後輪2に伝達される。
【0058】
副変速装置30と後輪デフ装置31との間から分岐した動力が、前輪変速装置32に伝達され、前輪変速装置32から伝動軸33を介して、前車軸ケース14の内部に収容された前輪デフ装置34に伝達され、前輪デフ装置34から前輪1に伝達される。
【0059】
前輪1が直進位置から右及び左の設定角度の範囲内に操作されていると、前輪変速装置32により前輪1及び後輪2が同じ速度で駆動される。前輪1が右及び左の設定角度を越えて右又は左に操向操作されると、前輪変速装置32により、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される。
【0060】
以上の構成により、
図3に示すように、無段変速装置28(走行用の変速装置)、副変速装置30(走行用の変速装置)及び前輪変速装置32(走行用の変速装置)を収容するミッションケース11(前ケース12及び後ケース13)が備えられる。
【0061】
モータ26の動力が、伝動軸29を介して無段変速装置28(走行用の変速装置)、副変速装置30(走行用の変速装置)及び前輪変速装置32(走行用の変速装置)に伝達され、無段変速装置28(走行用の変速装置)、副変速装置30(走行用の変速装置)及び前輪変速装置32(走行用の変速装置)から、前輪1(走行装置)及び後輪2(走行装置)に伝達される。
【0062】
(トップリンク及びロアリンクに連結された作業装置への伝動系の構成)
図1及び
図3に示すように、PTO変速装置35が、ミッションケース11の後ケース13の内部に収容されており、PTO軸36が、ミッションケース11の後ケース13の後部に設けられている。作業装置がトップリンク15及びロアリンク16に連結された場合、PTO軸36と作業装置とに亘って伝動軸(図示せず)が接続される。
【0063】
モータ26の動力が伝動軸29を介して無段変速装置28に伝達される場合、伝動軸29の動力(無段変速装置28により変速されない動力)が、PTO変速装置35に伝達され、PTO変速装置35により変速された動力がPTO軸36に伝達され、PTO軸36から作業装置に伝達される。
【0064】
(リフトアームの昇降操作に関する構成)
図3に示すように、単動型の油圧シリンダ37が、ミッションケース11(後ケース13)の後部の上部に設けられており、油圧シリンダ37によりリフトアーム17が昇降操作される。
【0065】
油圧ポンプ38及び制御弁39が、ミッションケース11(後ケース13)の後部の内部に設けられている。ミッションケース11(後ケース13)に貯留される潤滑油が、作動油として油圧ポンプ38に供給され、油圧ポンプ38から制御弁39に供給される。
【0066】
ポンプモータ40が、ミッションケース11(後ケース13)の後部の上部に設けられており、ポンプモータ40により油圧ポンプ38が駆動される。インバータ24においてバッテリ25の直流電力が交流電力に変換され、ポンプモータ40に供給されて、ポンプモータ40が作動する。
【0067】
制御弁39から油圧シリンダ37に対して作動油の給排操作が行われて、油圧シリンダ37によるリフトアーム17の昇降操作が行われるのであり、油圧シリンダ37から排出された作動油が、制御弁39からミッションケース11(後ケース13)に戻される。
【0068】
以上の構成によって、
図1及び
図3に示すように、作業装置が連結されるトップリンク15(リンク機構)及びロアリンク16(リンク機構)を昇降操作する油圧シリンダ37と、油圧シリンダ37に作動油を供給する油圧ポンプ38とが、ミッションケース11(後ケース13)に設けられる。
油圧ポンプ38を駆動するポンプモータ40が、側面視で、運転部5の運転座席7とミッションケース11(後ケース13)との間に設けられている。
【0069】
(発明の実施の第1別形態)
図1及び
図2に示す構成において、モータ26を、支持台23に連結して機体3に支持してもよい。モータ26を、ピラーフレーム19に連結して機体3に支持してもよい。
【0070】
図1及び
図2に示す構成において、インバータ24を、ピラーフレーム19に連結して機体3に支持してもよい。後述の
図7に示すように、インバータ24を、側面視で、運転部5の運転座席7とミッションケース11(前ケース12及び後ケース13)との間に設けてもよい。
【0071】
(発明の実施の第2別形態)
図4に示すように、バッテリ25を運転部5に対して前側に設けた場合、インバータ24を、バッテリ25に対して前側に設けてもよい。
【0072】
図4に示す構成によると、インバータ24は、側面視で上下方向に沿って設けられ、平面視(正面視)で左右方向に沿って設けられており、ボンネット4の前部とバッテリ25の前部との間に設けられる。
【0073】
(発明の実施の第3別形態)
図5に示すように、モータ26を、側面視で、前車軸ケース14(前輪1(前の走行装置))の上方に設けてもよい。
【0074】
図5に示す構成によると、モータ26がバッテリ25の前部に下方に設けられ、モータ26の位置が少し高くなるので、支持台23に別の支持台41を設け、バッテリ25を支持台41に取り付けて、バッテリ25の位置を少し高くすればよい。
【0075】
図5に示す構成において、モータ26を、支持台41に連結して機体3に支持するように構成してもよい。
図4に示すように、インバータ24をバッテリ25に対して前側に設けてもよい。後述の
図7に示すように、インバータ24を、側面視で、運転部5の運転座席7とミッションケース11(前ケース12及び後ケース13)との間に設けてもよい。
【0076】
(発明の実施の第4別形態)
図6に示すように、モータ26を、側面視で、前車軸ケース14(前輪1(前の走行装置))よりも前側に設けてもよい。
【0077】
図6に示す構成によると、モータ26が低い位置に配置されるので、ギヤ伝動型式の伝動機構42を、モータ26の出力軸(図示せず)の部分に取り付けて、モータ26から上方に延出されるように配置すればよい。伝動軸29を、伝動機構42の上部の出力軸(図示せず)と無段変速装置28(
図3参照)とに亘って接続して、伝動軸29が前車軸ケース14の上方を前後方向に沿って配置されるようにすればよい。
【0078】
モータ26の出力軸の動力は、伝動機構42に伝達され、伝動機構42の上部の出力軸から伝動軸29を介して無段変速装置28(
図3参照)に伝達されて、前輪1及び後輪2に伝達される。
【0079】
図6に示す構成において、モータ26を、支持台23に連結して機体3に支持してもよい。
図4に示すように、インバータ24をバッテリ25に対して前側に設けてもよい。後述の
図7に示すように、インバータ24を、側面視で、運転部5の運転座席7とミッションケース11(前ケース12及び後ケース13)との間に設けてもよい。
【0080】
(発明の実施の第5別形態)
図7に示すように、ミッションケース11(前ケース12及び後ケース13)が、運転部5の運転座席7の下方に設けられた場合、モータ26を、ミッションケース11(前ケース12及び後ケース13)の上部に取り付けて、側面視で、運転部5の運転座席7とミッションケース11(前ケース12及び後ケース13)との間に設けてもよい。
【0081】
運転座席7を支持するように運転部5に設けられた支持フレーム43に、インバータ24を取り付けることにより、インバータ24を、側面視で、運転部5の運転座席7とミッションケース11(前ケース12及び後ケース13)との間に設けてもよい。
【0082】
図7に示す構成において、モータ26の出力軸(図示せず)が前方に向くように、モータ26をミッションケース11(前ケース12及び後ケース13)の上部に取り付け、モータ26の出力軸と無段変速装置28(
図3参照)の前向きの入力軸(図示せず)とに亘って、ギヤ伝動型式の伝動機構44を取り付ければよい。
【0083】
モータ26の出力軸の動力は、伝動機構44に伝達され、伝動機構44の下部の出力軸(図示せず)から無段変速装置28(
図3参照)に伝達されて、前輪1及び後輪2に伝達される。
【0084】
図7に示す構成では、インバータ24が、支持フレーム43の下部に吊り下げ支持されて、水平方向に沿って設けられている。インバータ24は、モータ26及びポンプモータ40から上方に離れた位置に配置され、ミッションケース11(前ケース12及び後ケース13)の上部から上方に離れた位置に配置される。
【0085】
(発明の実施の第6別形態)
図7に示すように、モータ26が側面視で運転部5の運転座席7とミッションケース11(前ケース12及び後ケース13)との間に設けられた場合、
図1に示すように、インバータ24をバッテリ25に対して後側に設けてもよい。
図4に示すように、インバータ24をバッテリ25に対して前側に設けてもよい。
【0086】
(発明の実施の第7別形態)
図8に示すように、作業モータ45を、右及び左のロアリンク16(リンク機構)に設けてもよい。
【0087】
図8に示す構成によると、作業装置がトップリンク15及びロアリンク16に連結された場合、作業モータ45と作業装置とに亘って伝動軸(図示せず)が接続される。インバータ24において、バッテリ25の直流電力が交流電力に変換され、作業モータ45に供給されて、作業モータ45が作動し、作業モータ45の動力が作業装置に伝達される。
図8に示す構成において、
図1及び
図3に示すPTO変速装置35及びPTO軸36を廃止してもよい。作業モータ45を、トップリンク15(リンク機構)に設けてもよい。
【0088】
(発明の実施の第8別形態)
操縦ハンドル6により、前輪1及び後輪2が同位相及び逆位相に操向操作される四輪ステアリング構造を備えてもよい。
前輪1に代えて、クローラ型式の走行装置(図示せず)を、前の走行装置として設けてもよい。後輪2に代えて、クローラ型式の走行装置(図示せず)を、後の走行装置として設けてもよい。前輪1及び後輪2を、一つのクローラ型式の走行装置(図示せず)によって構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、モータにより走行装置を駆動する電動型式のトラクタばかりではなく、エンジン及びモータにより走行装置を駆動するハイブリッド型式のトラクタにも適用でき、トラクタ以外の建設用の作業車や農作業用の作業車にも適用できる。
【符号の説明】
【0090】
1 前輪(走行装置)
2 後輪(走行装置)
5 運転部
6 操縦ハンドル
7 運転座席
11 ミッションケース
15 トップリンク(リンク機構)
16 ロアリンク(リンク機構)
19 ピラーフレーム
19a 右部分
19b 左部分
19c 上部分
22 ステアリング軸
24 インバータ
25 バッテリ
26 モータ
28 無段変速装置(走行用の変速装置)
30 副変速装置(走行用の変速装置)
32 前輪変速装置(走行用の変速装置)
37 油圧シリンダ
38 油圧ポンプ
40 ポンプモータ