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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047252
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/38 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
E06B3/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152775
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】391008582
【氏名又は名称】昭和フロント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】石井 勝己
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014EB01
2E014EB05
(57)【要約】
【課題】障子の組み付け作業性を向上させる。
【解決手段】枠体2と、框体34を有し、枠体2の内側に配置される障子3と、枠体2と框体34との間に設けられるヒンジ機構4と、を備え、ヒンジ機構4を回動支点として障子3を開閉動作させる建具1であって、ヒンジ機構4は、框体34から延在する框側ヒンジ部41と、枠体2側にねじ42を介して固定され、框側ヒンジ部41を回動可能に支持するヒンジ部材43と、を備えて構成され、ヒンジ部材43は、予め框側ヒンジ部41に取り付けられ、障子3を枠体2に組み付ける際にねじ42を介して枠体2に固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
框体を有し、前記枠体の内側に配置される障子と、
前記枠体と前記框体との間に設けられるヒンジ機構と、を備え、
前記ヒンジ機構を回動支点として前記障子を開閉動作させる建具であって、
前記ヒンジ機構は、
前記框体から延在する框側ヒンジ部と、
前記枠体側にねじを介して固定され、前記框側ヒンジ部を回動可能に支持するヒンジ部材と、を備えて構成され、
前記ヒンジ部材は、
予め前記框側ヒンジ部に取り付けられ、前記障子を前記枠体に組み付ける際に前記ねじを介して前記枠体に固定されることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記ヒンジ部材は、
前記框側ヒンジ部を回動可能に支持する回動支持部と、
前記枠体側の被固定部に沿い、前記ねじを介して前記被固定部に固定される固定部と、
前記枠体側に係合し、前記ヒンジ部材の前記框体側への移動、及び前記ヒンジ部材の屋内側への移動を規制する第1係合部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記第1係合部は、前記障子から荷重を受けると、前記ヒンジ部材の回動支点となり、前記固定部を前記被固定部に押し付ける方向に回動させることを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記ヒンジ部材は、前記枠体側に係合し、前記ヒンジ部材の屋外側への移動を規制する第2係合部をさらに備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の建具。
【請求項5】
前記被固定部は、屋内側を向く傾斜面であることを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項6】
前記框体は、前記障子の通常開閉範囲において、前記回動支持部に干渉して前記障子の脱落を規制する第1脱落規制部を備えることを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項7】
前記枠体は、前記障子が通常開閉範囲を超えて開放されたとき、前記框体に干渉して前記障子の脱落を規制する第2脱落規制部を備えることを特徴とする請求項6に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突き出し窓などの建具に関する。
【背景技術】
【0002】
枠体と障子との間にヒンジ機構を備え、該ヒンジ機構を回動支点として障子を開閉動作させる建具が知られている。例えば、特許文献1に記載される建具は、枠体の上枠と障子の上框との間にヒンジ機構を備え、該ヒンジ機構を回動支点として障子を屋外側に開放動作させる突き出し窓を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平1-38233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の建具に設けられるヒンジ機構は、框体から延在する框側ヒンジ部と、枠体から延在し、框側ヒンジ部を回動自在に支持する枠側ヒンジ部と、框体又は枠体に取り付けられ、框側ヒンジ部の脱落を規制する脱落規制部材と、を備えて構成されており、障子を枠体に組み付ける際に、框側ヒンジ部を枠側ヒンジ部に係合させる必要があるので、障子の組み付け作業性において改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、枠体と、框体を有し、前記枠体の内側に配置される障子と、前記枠体と前記框体との間に設けられるヒンジ機構と、を備え、前記ヒンジ機構を回動支点として前記障子を開閉動作させる建具であって、前記ヒンジ機構は、前記框体から延在する框側ヒンジ部と、前記枠体側にねじを介して固定され、前記框側ヒンジ部を回動可能に支持するヒンジ部材と、を備えて構成され、前記ヒンジ部材は、予め前記框側ヒンジ部に取り付けられ、前記障子を前記枠体に組み付ける際に前記ねじを介して前記枠体に固定されることを特徴とする建具。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記ヒンジ部材は、前記框側ヒンジ部を回動可能に支持する回動支持部と、前記枠体側の被固定部に沿い、前記ねじを介して前記被固定部に固定される固定部と、前記枠体側に係合し、前記ヒンジ部材の前記框体側への移動、及び前記ヒンジ部材の屋内側への移動を規制する第1係合部と、を備えることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の建具であって、前記第1係合部は、前記障子から荷重を受けると、前記ヒンジ部材の回動支点となり、前記固定部を前記被固定部に押し付ける方向に回動させることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の建具であって、前記ヒンジ部材は、前記枠体側に係合し、前記ヒンジ部材の屋外側への移動を規制する第2係合部をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項2に記載の建具であって、前記被固定部は、屋内側を向く傾斜面であることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項2に記載の建具であって、前記框体は、前記障子の通常開閉範囲において、前記回動支持部に干渉して前記障子の脱落を規制する第1脱落規制部を備えることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項6に記載の建具であって、前記枠体は、前記障子が通常開閉範囲を超えて開放されたとき、前記框体に干渉して前記障子の脱落を規制する第2脱落規制部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、ヒンジ機構は、框体から延在する框側ヒンジ部と、枠体側にねじを介して固定され、框側ヒンジ部を回動可能に支持するヒンジ部材と、を備えて構成され、ヒンジ部材は、予め框側ヒンジ部に取り付けられ、障子を枠体に組み付ける際にねじを介して枠体に固定されるので、障子を枠体に組み付ける際に、框側ヒンジ部を枠側ヒンジ部に係合させる従来の建具に比べ、障子の組み付け作業性を向上させることができる。
また、請求項2の発明によれば、ヒンジ部材は、枠体側に係合し、ヒンジ部材の框体側への移動、及びヒンジ部材の屋内側への移動を規制する第1係合部を備えるので、ヒンジ部材の枠体への取り付けが容易になるだけでなく、取り付け後におけるヒンジ部材の不要な移動を規制できる。
また、請求項3の発明によれば、第1係合部は、障子から荷重を受けると、ヒンジ部材の回動支点となり、ヒンジ部材の固定部を枠体の被固定部に押し付ける方向に回動させるので、ヒンジ部材の枠体への取り付けがさらに容易になるだけでなく、取り付け後におけるヒンジ部材の不要な移動を規制できる。
また、請求項4の発明によれば、ヒンジ部材は、枠体側に係合し、ヒンジ部材の屋外側への移動を規制する第2係合部をさらに備えるので、ヒンジ部材の枠体への取り付けがさらに容易になるだけでなく、取り付け後におけるヒンジ部材の不要な移動を規制できる。
また、請求項5の発明によれば、枠体側の被固定部は、屋内側を向く傾斜面であるため、ねじを介したヒンジ部材の固定作業を屋内側から容易に行うことができる。
また、請求項6の発明によれば、框体は、障子の通常開閉範囲において、ヒンジ部材の回動支持部に干渉して障子の脱落を規制する第1脱落規制部を備えるので、障子の通常開閉範囲における脱落を防止できる。
また、請求項7の発明によれば、枠体は、障子が通常開閉範囲を超えて開放されたとき、框体に干渉して障子の脱落を規制する第2脱落規制部を備えるので、通常開閉範囲を超えた開放時でも障子の脱落を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る建具を屋外側から見た正面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図1のB-B断面図である。
図4】開放状態を示す建具の要部断面図である。
図5】通常開閉範囲を超えた開放状態を示す建具の要部断面図である。
図6】(a)~(c)は、上框に対するヒンジ部材の取り付け手順1~3を示す図である。
図7】(a)~(d)は、上枠に対するヒンジ部材の取り付け手順1~4を示す図である。
図8】(a)~(d)は、上枠に対するヒンジ部材の取り付け手順5~8を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1図3において、1は建具であって、該建具1は、左右に並ぶ2連の突き出し窓1aを備える。なお、突き出し窓1aは、単窓であってもよいし、3連以上の連窓であってもよい。以下、本発明の要部である突き出し窓1aについて説明する。
【0009】
突き出し窓1aは、建物の躯体の開口部に配置される枠体2と、枠体2に配置される障子3と、枠体2の上枠21と障子3の上框31との間に設けられるヒンジ機構4と、枠体2の縦枠23と障子3の縦框33との間に設けられる左右一対のダンパー5と、枠体2の下枠22と障子3の下框32との間に設けられるワイヤーを備えた滑車6と、を備えており、ヒンジ機構4を回動支点として障子3を開閉動作可能に構成される。なお、本発明との関連性が低いダンパー5、滑車6については、説明を省略する。
【0010】
枠体2は、例えば、押出形材や曲げ物等からなる上枠21、下枠22、及び左右の縦枠23(又は中間方立24)を連結して正面視四角形状に構成される。
【0011】
障子3は、例えば、押出形材や曲げ物等からなる上框31、下框32、及び左右の縦框33を連結して構成される正面視四角形状の框体34と、框体34の内周側に配置されるガラス35と、下框32に設けられ、ガラス35の下辺を屋外側から押さえる下押縁36と、縦框33に設けられ、ガラス35の左右の縦辺を屋外側から押さえる縦押縁37と、を備える。
【0012】
図2に示すように、ヒンジ機構4は、上框31から延在する框側ヒンジ部41と、枠体2側に複数のねじ42を介して固定され、框側ヒンジ部41を回動可能に支持するヒンジ部材43と、を備えて構成される。ヒンジ部材43は、予め框側ヒンジ部41に取り付けられ、障子3を枠体2に組み付ける際に複数のねじ42を介して枠体2に固定される。なお、ヒンジ部材43の框側ヒンジ部41に対する取り付け手順や、ヒンジ部材43の枠体2に対する取り付け手順については後述する。
【0013】
框側ヒンジ部41は、上框31の上端部屋外側に、上框31の長手方向に沿って一体形成される。框側ヒンジ部41の形状は、例えば、側断面視において下方に開口する半円形状であり、その下方には、ヒンジ部材43の回動支持部43aを収容する収容空間Sが形成されている。
【0014】
ヒンジ部材43は、押出形材や曲げ物等からなり、上枠21の長手方向に沿う。本実施形態のヒンジ部材43は、回動支持部43aと、固定部43bと、第1係合部43cと、第2係合部43dと、を一体に有する。
【0015】
回動支持部43aは、框側ヒンジ部41を回動可能に支持する。例えば、本実施形態の回動支持部43aは、側断面視において上方に突出する円形状の軸部43eを有し、該軸部43aに対して框側ヒンジ部41の内周面が上方から摺動可能に当接することで、框側ヒンジ部41を回動可能に支持する。
【0016】
固定部43bは、上枠21側に形成される被固定部21aに沿い、複数のねじ42を介して被固定部21aに固定される。被固定部21aは、屋内側を向く傾斜面であり、この傾斜面に重なる状態でヒンジ部材43の固定部43bが上枠21にねじ止めされる。これにより、ねじ42を介したヒンジ部材43の固定作業を屋内側から容易に行うことができる。なお、本実施形態のねじ42は、被固定部21aを貫通し、被固定部21aの裏側に配置されるナット部材42bに螺合される。
【0017】
第1係合部43cは、上枠21に形成される第1被係合部21bに係合し、ヒンジ部材43の上框31側への移動、及びヒンジ部材43の屋内側への移動を規制する。例えば、本実施形態の第1被係合部21bは、上枠21から屋外側に突出する突出片であり、その先端部には、上方に突出する突起21cが形成されている。一方、本実施形態の第1係合部43cは、ヒンジ部材43から上方に延在する上方延在部43fと、上方延在部43fの上端部から屋内側に延在する屋内側延在部43gと、を有する側断面視逆L字形状であり、屋内側延在部43gが第1被係合部21bの突起21cに上方から係合することで、ヒンジ部材43の上框31側への移動を規制し、また、上方延在部43fが第1被係合部21bの先端部に係合することで、ヒンジ部材43の屋内側への移動を規制する。
【0018】
また、本実施形態の第1係合部43cは、回動支持部43aよりも屋内側で、かつ固定部43bよりも屋外側に形成されている。このような第1係合部43cによれば、障子3から荷重を受けると、ヒンジ部材43の回動支点となり、固定部43bを上枠21側の被固定部21aに押し付ける方向に回動させることができる。このような第1係合部43cによれば、ヒンジ部材43の上枠21への取り付けが容易になるだけでなく、取り付け後におけるヒンジ部材43の不要な移動を規制できる。なお、上枠21側の突起21cは、第1係合部43cを回動支点としてヒンジ部材43が回動する際に回動軸として機能し、ヒンジ部材43の回動を円滑にする。
【0019】
第2係合部43dは、上枠21側に形成される第2被係合部21dに係合し、ヒンジ部材43の屋外側への移動を規制する。例えば、本実施形態の第2被係合部21dは、被固定部21aの屋内側端部に形成される角部であり、実施形態の第2係合部43dは、固定部43bの屋内側端部から上方に折れ曲がり、第2被係合部21dに屋内側から係合する折曲片である。このような第2係合部43dによれば、上枠21側の第2被係合部21dとの係合により、ヒンジ部材43が上枠21に対して位置決めされるので、ヒンジ部材43の上枠21への取り付けがさらに容易になるだけでなく、取り付け後におけるヒンジ部材43の不要な移動を規制できる。例えば、取り付け後において、ねじ42が緩んだとしても、前述した被固定部21aに対する固定部43bの押し付けと、第2被係合部21dに対する第2係合部43dの係合により、ヒンジ部材43の不要な移動を規制し、ヒンジ部材43の不要な移動に基づく障子3の脱落を防止できる。
【0020】
つぎに、突き出し窓1aの開閉動作について、図2図4及び図5を参照して説明する。
【0021】
図2及び図4に示すように、障子3は、ヒンジ機構4を回動支点として開閉操作される。障子3の通常開閉範囲は、図2に示す0°(閉鎖角度)から図4に示すθ1(開放角度)となっている。上框31には、障子3の通常開閉範囲において、ヒンジ部材43の回動支持部43aに干渉して障子3の脱落(持ち上がり)を規制する第1脱落規制部31aが設けられている。このような第1脱落規制部31aによれば、通常開閉範囲における障子3の脱落を防止できる。
【0022】
また、障子3は、通常開閉範囲を超えて開放される可能性がある。例えば、滑車6に配されるワイヤーに不具合が生じたような状況では、図5に示すように、障子3がθ1を超えるθ2まで開放操作される可能性がある。このような状況では、第1脱落規制部31aに干渉しないことになるが、上枠21には、障子3が通常開閉範囲を超えて開放されたとき、上框31に干渉して障子3の脱落(持ち上がり)を規制する第2脱落規制部21hが設けられているので、通常開閉範囲を超えた開放時でも障子3の脱落を防止することができる。
【0023】
つぎに、上枠21に対する障子3(框体34)の取り付け手順について、図6図8を参照して説明する。
【0024】
障子3を上枠21に取り付ける際には、図6の(a)~(c)に示すように、まず、上框31の框側ヒンジ部41にヒンジ部材43を取り付ける。具体的に説明すると、図6の(a)に示すように、ヒンジ部材43の回動支持部43aが上框31の第1脱落規制部31aに干渉しないように、ヒンジ部材43を上框31に対して所定角度θ3以上傾斜させた状態で、ヒンジ部材43の回動支持部43aを框側ヒンジ部41の収容空間Sに屋内側から挿入し、その後、図6の(b)及び(c)に示すように、回動支持部43aを回動支点としてヒンジ部材43を下方に回動させる。このようなヒンジ部材43の取り付け手順によれば、ヒンジ部材43の回動支持部43aを長手方向から収容空間Sに挿入する場合に比べて、狭いスペースで取り付け作業を行うことができる。
【0025】
つぎに、図7の(a)~(d)、及び図8の(a)~(d)に示すように、障子3側に取り付けられたヒンジ部材43を複数のねじ42を介して上枠21に固定する。具体的に説明すると、図7の(a)~(d)、及び図8の(a)及び(b)に示すように、障子3を後傾させた状態でヒンジ部材43を屋外側から上枠21に近付けつつ、ヒンジ部材43の第1係合部43cを上枠21の第1被係合部21bに係合させる。
【0026】
図8の(b)に示すように、ヒンジ部材43の第1係合部43cが上枠21の第1被係合部21bに係合したら、図8の(c)に示すように、ヒンジ部材43の回動支持部43aに障子3の下向き荷重を作用させる。これにより、ヒンジ部材43は、第1係合部43cを回動支点として回動し、固定部43bが上枠21側の被固定部21aに押し付けられるとともに、第2係合部43dが上枠21の第2被係合部21dに係合することで、上枠21に対する取り付け位置が位置決めされる。その後、図8の(c)及び(d)に示すように、複数のねじ42を介してヒンジ部材43の固定部43bを上枠21の被固定部21aに固定すると、障子3が上枠21に取り付けられるとともに、ヒンジ機構4を回動支点とする障子3の開閉操作が可能となる。
【0027】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、枠体2と、框体34を有し、枠体2の内側に配置される障子3と、枠体2と框体34との間に設けられるヒンジ機構4と、を備え、ヒンジ機構4を回動支点として障子3を開閉動作させる建具1であって、ヒンジ機構4は、框体34から延在する框側ヒンジ部41と、枠体2側にねじ42を介して固定され、框側ヒンジ部41を回動可能に支持するヒンジ部材43と、を備えて構成され、ヒンジ部材43は、予め框側ヒンジ部41に取り付けられ、障子3を枠体2に組み付ける際にねじ42を介して枠体2に固定されるので、障子3を枠体2に組み付ける際に、框側ヒンジ部を枠側ヒンジ部に係合させる従来の建具に比べ、障子3の組み付け作業性を向上させることができる。
【0028】
また、ヒンジ部材43は、框側ヒンジ部41を回動可能に支持する回動支持部43aと、枠体2側の被固定部21aに沿い、ねじ42を介して被固定部21aに固定される固定部43bと、枠体2側に係合し、ヒンジ部材43の框体34側への移動、及びヒンジ部材43の屋内側への移動を規制する第1係合部43cと、を備えるので、ヒンジ部材43の枠体2への取り付けが容易になるだけでなく、取り付け後におけるヒンジ部材43の不要な移動を規制できる。
【0029】
また、第1係合部43cは、障子3から荷重を受けると、ヒンジ部材43の回動支点となり、固定部43bを被固定部21aに押し付ける方向に回動させるので、ヒンジ部材43の枠体2への取り付けがさらに容易になるだけでなく、取り付け後におけるヒンジ部材43の不要な移動を規制できる。
【0030】
また、ヒンジ部材43は、枠体2側に係合し、ヒンジ部材43の屋外側への移動を規制する第2係合部43dをさらに備えるので、ヒンジ部材43の枠体2への取り付けがさらに容易になるだけでなく、取り付け後におけるヒンジ部材43の不要な移動を規制できる。
【0031】
また、被固定部21aは、屋内側を向く傾斜面としたので、ねじ42を介したヒンジ部材43の固定作業を屋内側から容易に行うことができる。
【0032】
また、框体34は、障子3の通常開閉範囲において、回動支持部43aに干渉して障子3の脱落を規制する第1脱落規制部31aを備えるので、障子3の通常開閉範囲における脱落を防止できる。
【0033】
また、枠体2は、障子3が通常開閉範囲を超えて開放されたとき、框体34に干渉して障子3の脱落を規制する第2脱落規制部21hを備えるので、通常開閉範囲を超えた開放時でも障子3の脱落を防止できる。
【0034】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論である。例えば、前記実施形態では、建具を、上端側を支点として障子を開閉させる突き出し窓として説明したが、本発明の建具は、突き出し窓に限定されず、下端側を回動支点と障子を開閉させる外倒し窓や、左右いずれかの側部を回動支点として障子を開閉させる外開き窓にも適用できる。
【符号の説明】
【0035】

1 建具
1a 突き出し窓
2 枠体
21 上枠
21a 被固定部
21b 第1被係合部
21c 突起
21d 第2被係合部
21h 第2脱落規制部
22 下枠
23 縦枠
24 中間方立
3 障子
31 上框
31a 第1脱落規制部
32 下框
33 縦框
34 框体
35 ガラス
36 下押縁
37 縦押縁
4 ヒンジ機構
41 框側ヒンジ部
42 ねじ
42b ナット部材
43 ヒンジ部材
43a 回動支持部
43b 固定部
43c 第1係合部
43d 第2係合部
43e 軸部
43f 上方延在部
43g 屋内側延在部
5 ダンパー
6 滑車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8