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特開2024-47256電動アシスト車のためのモータ制御装置及び電動アシスト車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047256
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】電動アシスト車のためのモータ制御装置及び電動アシスト車
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20240329BHJP
   B62M 23/02 20100101ALI20240329BHJP
   B62J 6/16 20200101ALI20240329BHJP
   B60L 7/14 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B62M6/45
B62M23/02 110
B62J6/16
B60L7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152780
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103528
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 一男
(72)【発明者】
【氏名】村上 修
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼岡 太一
(72)【発明者】
【氏名】白川 弘和
(72)【発明者】
【氏名】保坂 康夫
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA18
5H125AB03
5H125AC12
5H125BA00
5H125CA01
5H125CA08
5H125CB02
5H125CD02
5H125EE41
5H125EE52
(57)【要約】
【課題】電動アシスト車の運転中にも、ユーザが意図した、回生度合いの切り替えを可能にする。
【解決手段】本モータ制御装置は、モータに力行駆動又は回生制動を実行させる駆動部と、回生制動以外の機能の実行又は設定を指示するための第1のボタンを有する表示機と、表示機に接続されており、駆動部に回生制動を実行させている間に第1のボタンの操作を検出した場合、第1のボタンの操作に予め対応付けられている、回生制動における回生度合いについての第1の設定を行う制御部とを有する。また、回生制動における回生度合いを最高にするためのボタンを有する表示機と、表示機に接続されており、上記ボタンの操作を検出した場合、回生制動における回生度合いを最高にする設定を行う制御部とを有するようにしても良い。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに力行駆動又は回生制動を実行させる駆動部と、
回生制動以外の機能の実行又は設定を指示するための第1のボタンを有する表示機と、
前記表示機に接続されており、前記駆動部に回生制動を実行させている間に前記第1のボタンの操作を検出した場合、前記第1のボタンの操作に予め対応付けられている、回生制動における回生度合いについての第1の設定を行う制御部と、
を有するモータ制御装置。
【請求項2】
前記表示機は、回生制動以外の機能の実行又は設定を指示するための第2のボタンをさらに有し、
前記制御部は、前記駆動部に回生制動を実行させている間に前記第2のボタンの操作を検出した場合、前記第2のボタンの操作に予め対応付けられている、回生制動における回生度合いについての第2の設定を行う
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記第1の設定は、回生度合いを高くする設定、回生度合いを低くする設定、回生度合いを最高にする設定、又は回生度合いを最低又はゼロにする設定である
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記第1の設定は、回生度合いを高くする設定又は回生度合いを最高にする設定であり、
前記第2の設定は、回生度合いを低くする設定又は回生度合いを最低又はゼロにする設定である
請求項2記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記第1のボタンは、ライトの点灯と消灯とを切り替える指示を行うためのボタンであり、
前記制御部は、
前記駆動部に回生制動を実行させている間に前記第1のボタンの押し下げが一定時間以上であることを検出すると、前記ライトの点灯と消灯とを切り替える
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記第2のボタンは、ライトの点灯と消灯とを切り替える指示を行うためのボタンであり、
前記制御部は、
前記駆動部に回生制動を実行させている間に前記第2のボタンの押し下げが一定時間以上であることを検出すると、前記ライトの点灯と消灯とを切り替える
請求項2記載のモータ制御装置。
【請求項7】
前記表示機は、回生度合いを最高にするための第3のボタンをさらに有し、
前記制御部は、
前記第3のボタンの操作を検出した場合、前記回生度合いを最高にする設定を行う
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記回生度合いを最高にする設定がなされた後、
前記モータによりアシストされる車両の速度が設定値以下となった場合、
設定時間が経過した場合、
前記車両の走行距離が設定距離以上となった場合、
前記回生度合いを最高にする設定を行う場合に押し下げられるボタンの押し下げが検出されなくなった場合、
前記回生度合いを最高にする設定を行う場合に押し下げられるボタンが再度押し下げられた場合、又は、
前記モータ制御装置の電源がオフにされた場合若しくは前記電源が再度オンにされた場合に、
前記回生度合いを最高にする設定を解除する
請求項3、4又は7記載のモータ制御装置。
【請求項9】
モータに力行駆動又は回生制動を実行させる駆動部と、
回生制動における回生度合いを最高にするためのボタンを有する表示機と、
前記表示機に接続されており、前記ボタンの操作を検出した場合、前記回生制動における回生度合いを最高にする設定を行う制御部と、
を有するモータ制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記回生度合いを最高にする設定がなされた後、
前記モータによりアシストされる車両の速度が設定値以下となった場合、
設定時間が経過した場合、
前記車両の走行距離が設定距離以上となった場合、
前記回生度合いを最高にする設定を行う場合に押し下げられるボタンの押し下げが検出されなくなった場合、
前記回生度合いを最高にする設定を行う場合に押し下げられるボタンが再度押し下げられた場合、又は、
前記モータ制御装置の電源がオフにされた場合若しくは前記電源が再度オンにされた場合に、
前記回生度合いを最高にする設定を解除する
請求項9記載のモータ制御装置。
【請求項11】
請求項1又は9記載のモータ制御装置を備え、前記モータによりアシストされる電動アシスト車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト車における回生制動の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電動アシスト車の一例である電動アシスト自転車には、回生制動によって発生する回生電力をバッテリに充電可能なものがある。このような電動アシスト自転車においては、回生制動における回生モード(回生度合い、回生強度、回生レベルとも呼ぶ)の切り替えを、ユーザが表示機のボタンを操作することによって、又は、ユーザの乗り方や走行状態から自動的に、行われる。
【0003】
このような回生モードの切り替えについては、例えば、停車中、すなわち車速がゼロである場合にのみ回生モードの切り替えが可能である例(例えば特許文献1)や、主制御部をモード選択ボタン及びライトボタンの双方を長押しすることで設定モードに移行させた後に回生電流の大小を設定することで回生充電移行後に当該設定に基づき回生充電を行う例(例えば特許文献2)が存在している。
【0004】
しかしながら、これらの技術では、予め回生モードを設定しておかなければ、ユーザの意図に沿った形で回生モードを設定することができない。また、ユーザの乗り方や走行状態から自動的に回生モードの切り替えを行う場合でも、必ずしもユーザの意図に沿ったものではない場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-123369号公報
【特許文献2】特開2015-112994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、一側面によれば、電動アシスト車の運転中にも、ユーザが意図した、回生度合いの切り替えを可能にするための新規な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係るモータ制御装置は、(A)モータに力行駆動又は回生制動を実行させる駆動部と、(B)回生制動以外の機能の実行又は設定を指示するための第1のボタンを有する表示機と、(C)表示機に接続されており、駆動部に回生制動を実行させている間に第1のボタンの操作を検出した場合、第1のボタンの操作に予め対応付けられている、回生制動における回生度合いについての第1の設定を行う制御部とを有する。
【0008】
本発明の第2の態様に係るモータ制御装置は、(A)モータに力行駆動又は回生制動を実行させる駆動部と、(B)回生制動における回生度合いを最高にするためのボタンを有する表示機と、(C)表示機に接続されており、上記ボタンの操作を検出した場合、回生制動における回生度合いを最高にする設定を行う制御部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
一側面によれば、電動アシスト車の運転中にも、ユーザが意図した、回生度合いの切り替えが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態における電動アシスト自転車の外観を示す図である。
図2図2は、表示機の一例について説明するための図である。
図3図3は、モータ制御装置の構成例を示す図である。
図4図4は、実施の形態における制御部に関連する機能構成を示す図である。
図5図5は、第1の実施の形態における電動アシスト自転車の状態遷移の概要を示す図である。
図6図6は、第1の実施の形態における制御部の処理内容を示す図である。
図7図7は、第1の実施の形態の変形例1における制御部の処理内容を示す図である。
図8図8は、表示機の他の例について説明するための図である。
図9図9は、第2の実施の形態における電動アシスト自転車の状態遷移の概要を示す図である。
図10図10は、第2の実施の形態における制御部の処理内容を示す図である。
図11図11は、第2の実施の形態の変形例1における制御部の処理内容を示す図である。
図12図12は、表示機のさらに他の例について説明するための図である。
図13図13は、第3の実施の形態における電動アシスト自転車の状態遷移の概要を示す図である。
図14図14は、第3の実施の形態における制御部の処理内容を示す図である。
図15図15(a)及び(b)は、速度を条件として回生ブーストを終了させる場合の例を説明するための図である。
図16図16(a)乃至(e)は、回生ブーストを終了させる条件を説明するための図である。
図17図17は、回生ブーストを解除する場合の処理フローを示す図である。
図18図18は、表示機のバリエーションを示す図である。
図19図19は、表示機のバリエーションを示す図である。
図20図20は、表示機のバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、電動アシスト車の一例である電動アシスト自転車の例をもって説明する。しかしながら、本発明の実施の形態は、電動アシスト自転車だけに適用対象を限定するものではなく、人力に応じて移動する移動体(例えば、台車、車いす、昇降機など)の移動を補助するモータなどに対するモータ制御装置等についても適用可能である。
【0012】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態における電動アシスト車の一例である電動アシスト自転車の一例を示す外観図である。この電動アシスト自転車1は、モータ駆動装置を搭載している。モータ駆動装置は、バッテリパック101と、モータ制御装置102と、トルクセンサ103と、クランク回転センサ104と、モータ105と、表示機106と、ブレーキセンサ107とを有する。
【0013】
また、電動アシスト自転車1は、前輪、後輪、前照灯、フリーホイール、変速機等も有している。
【0014】
バッテリパック101は、例えばリチウムイオン二次電池であるが、他種の電池、例えばリチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などであってもよい。そして、バッテリパック101は、モータ制御装置102を介してモータ105に対して電力を供給し、回生時にはモータ制御装置102を介してモータ105からの回生電力によって充電も行う。
【0015】
トルクセンサ103は、クランク軸周辺に設けられており、ユーザによるペダルの踏力(即ち入力トルク)を検出し、この検出結果をモータ制御装置102に出力する。また、クランク回転センサ104は、トルクセンサ103と同様に、クランク軸周辺に設けられており、クランクの回転に応じた信号をモータ制御装置102に出力する。
【0016】
モータ105は、例えば周知の三相直流ブラシレスモータであり、例えば電動アシスト自転車1の前輪に装着されている。モータ105は、前輪を回転させるとともに、前輪の回転に応じてローターが回転するように、ローターが前輪に連結されている。さらに、モータ105はホール素子等の回転センサを備えてローターの回転情報(すなわちホール信号)をモータ制御装置102に出力する。
【0017】
モータ制御装置102は、モータ105の回転センサ、トルクセンサ103及びクランク回転センサ104等からの信号に基づき所定の演算を行って、モータ105の駆動を制御し、モータ105による回生の制御も行う。
【0018】
表示機106は、例えば、図2に示すようなものである。表示機106は、操作パネルとも呼ばれ、ライトの点灯と消灯とを切り替えるためのボタン1061と、電源をオン又はオフにするためのボタン1062と、液晶表示部1063と、アシストモードの状態を表示するためのLED(Light Emitting Diode)1064とを有する。ボタン1062は、電源オフの状態で押すと電源オンを指示することになり、電源オンの状態で押すとアシストモード(Mod)の切り替えの指示となり、電源オンの状態で一定時間以上押し続けると電源オフの指示となるボタンである。液晶表示部1063は、例えばバッテリパック101の充電レベルを表示したり、エラーが生じた場合にはエラー表示を行うものである。LED1064については、例えば、下から1つのLEDが点灯していれば、アシスト度合いが低いエコモード、下から2つLEDが点灯していれば、自動的にアシスト度合いが変化するオートモード、下から3つLEDが点灯していれば、アシスト度合いが強いパワーモードを表す。このように、表示機106は、ユーザの指示をモータ制御装置102に出力すると共に、モータ制御装置102から出力された情報を液晶表示部1063に出力するものである。
【0019】
ブレーキセンサ107は、ユーザのブレーキ操作を検出して、ブレーキ操作に関する信号(例えば、ブレーキの有無を表す信号)をモータ制御装置102に出力する。具体的には、磁石とリードスイッチを用いたセンサである。
【0020】
本実施の形態に係るモータ制御装置102に関連する構成を図3に示す。モータ制御装置102は、制御器1020と、FET(Field Effect Transistor)ブリッジ1030とを有する。FETブリッジ1030は、モータ105のU相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Suh)及びローサイドFET(Sul)と、モータ105のV相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Svh)及びローサイドFET(Svl)と、モータ105のW相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Swh)及びローサイドFET(Swl)とを含む。このFETブリッジ1030は、モータ105に対するインバータであり、コンプリメンタリ型スイッチングアンプの一部を構成している。
【0021】
また、制御器1020は、演算部1021と、クランク回転入力部1022と、モータ回転入力部1024と、可変遅延回路1025と、モータ駆動タイミング生成部1026と、トルク入力部1027と、ブレーキ入力部1028と、AD(Analog-Digital)入力部1029とを有する。
【0022】
演算部1021は、表示機106からの入力(例えば電源のオン/オフなど)、クランク回転入力部1022からの入力、モータ回転入力部1024からの入力、トルク入力部1027からの入力、ブレーキ入力部1028からの入力、AD入力部1029からの入力を用いて所定の演算を行って、モータ駆動タイミング生成部1026及び可変遅延回路1025に対して出力を行う。なお、演算部1021は、メモリ10211を有しており、メモリ10211は、演算に用いる各種データ及び処理途中のデータ等を格納する。さらに、演算部1021は、プログラムをプロセッサが実行することによって実現される場合もあり、この場合には当該プログラムがメモリ10211に記録されている場合もある。また、メモリ10211は、演算部1021とは別に設けられる場合もある。
【0023】
クランク回転入力部1022は、クランク回転センサ104からの、クランク回転位相角(回転方向を表す信号を含む場合もある)を、ディジタル化して演算部1021に出力する。モータ回転入力部1024は、モータ105が出力するホール信号からモータ105の回転(本実施の形態においては前輪の回転)に関する信号(例えば回転位相角、回転方向など)を、ディジタル化して演算部1021に出力する。トルク入力部1027は、トルクセンサ103からの踏力に相当する信号をディジタル化して演算部1021に出力する。ブレーキ入力部1028は、ブレーキセンサ107からのブレーキ有り又は無しを表す信号をディジタル化して演算部1021に出力する。AD入力部1029は、二次電池からの出力電圧をディジタル化して演算部1021に出力する。
【0024】
演算部1021は、演算結果として進角値を可変遅延回路1025に出力する。可変遅延回路1025は、演算部1021から受け取った進角値に基づきホール信号の位相を調整してモータ駆動タイミング生成部1026に出力する。演算部1021は、演算結果として例えばPWM(Pulse Width Modulation)のデューティー比に相当するPWMコードをモータ駆動タイミング生成部1026に出力する。モータ駆動タイミング生成部1026は、可変遅延回路1025からの調整後のホール信号と演算部1021からのPWMコードとに基づいて、FETブリッジ1030に含まれる各FETに対するスイッチング信号を生成して出力する。演算部1021の演算結果によって、モータ105は、力行駆動を行う場合もあれば、回生制動を行う場合もある。なお、モータ駆動の基本動作については、国際公開第2012/086459号パンフレット等に記載されており、本実施の形態の主要部ではないので、ここでは説明を省略する。
【0025】
次に、図4に、演算部1021において本実施の形態に関係する制御を行う制御部3000に関連する機能ブロック構成例を示す。制御部3000は、主に回生に関する制御を行う第1制御部3100と、回生以外の制御を行う第2制御部3200とを含む。第1制御部3100は、ブレーキ入力部1028からのブレーキ入力、クランク回転入力部1022からのクランク回転入力、モータ回転入力部1024からのモータ回転入力、トルク入力部1027からトルク入力等に応じて、回生制動の実行の可否等を自動的に決定する。例えば、ブレーキレバーが引かれてブレーキスイッチがオンになったことを表す信号を受信すると、回生制動を実施したり、モータ回転に基づく第1の指標値(例えば車速)とクランク回転に基づく第2の指標値(例えばクランク回転速度をギア比を用いて換算した車速)とが所定レベル以上乖離したことを検出すると、回生制動を実施したりする。
【0026】
さらに、本実施の形態では、第1制御部3100は、表示機106における所定のボタンの押下によるボタン入力によって、回生モード(回生度合い、回生強度、回生レベルとも呼ぶ)の切り替えを行い、その結果に基づく回生量を決定する。
【0027】
第2制御部3200は、表示機106のボタン入力やトルク入力等に基づきアシストの可否及びそのアシスト度合い(アシスト量とも呼ぶ)などを決定すると共に、表示機106におけるライトボタン1061の押し下げに応じてライトの点灯と消灯を切り替えたりする処理を行う。
【0028】
本実施の形態では、第1制御部3100が、ブレーキ入力等に基づき回生制動を実行すると判断して、可変遅延回路1025及びモータ駆動タイミング生成部1026を介してFETブリッジ1030によりモータ105に回生制動を行わせている間に、表示機106におけるライトボタン1061又は電源ボタン1062が押されると、第1制御部3100は、回生モードの切り替え指示と認識する。より具体的には、第1制御部3100は、ライトボタン1061が押されると、回生強度が1段階強い回生モードに切り替える指示として認識し、電源ボタン1062が押されると、回生強度が1段階弱い回生モードに切り替える指示として認識する。第2制御部3200は、第1制御部3100から回生中であるとことが通知されている間は、ライトボタン1061及び電源ボタン1062の押下については、無視することとする。
【0029】
図5に、本実施の形態における電動アシスト自転車1の状態遷移の概要を示す。初期状態は、電源がオフであるOFF状態st1であり、表示機106の電源ボタン1062が押されて走行を開始すると走行状態st5に遷移し、電源ボタン1062が押されて走行を開始しないと停止状態st2に遷移する。走行状態st5及び停止状態st2において、表示機106の電源ボタン1062が一定時間以上押されるとOFF状態st1に戻る。
【0030】
走行状態st5において、第1制御部3100が回生制動を実行するように制御する場合には回生中状態st8に遷移し、第2制御部3200がアシストを実行するように制御する場合にはアシスト中状態st6に遷移する。同様に、第1制御部3100及び第2制御部3200の制御に基づき、アシスト中状態st6から走行状態st5に遷移したり、回生中状態st8から走行状態st5に遷移したり、アシスト中状態st6から回生中状態st8に遷移したり、回生中状態st8からアシスト中状態st6に遷移する。
【0031】
なお、走行状態st5において、表示機106における電源ボタン1062を押すことで、アシスト切替え状態st7に遷移して、アシストモードの切り替えを行い、その後元の状態に戻る。同様に、アシスト中状態st6でも、表示機106における電源ボタン1062を押すことで、アシスト切替え状態st7に遷移して、アシストモードの切り替えを行い、その後元の状態に戻る。なお、停止状態st2においても、表示機106における電源ボタン1062を押すことで、アシスト切替え状態st7に遷移して、アシストモードの切り替えを行い、その後元の状態に戻る。
【0032】
また、背景技術の欄で述べたように、停止状態st2において、表示機106に対して特定の操作を行うことで、回生設定状態st3に遷移し、その後表示機106における所定のボタンを押すことで回生モードの切替えを行う回生切替え状態st4に遷移するようにしても良い。なお、回生切替え状態st4において、電源ボタン1062の押下によりOFF状態st1に遷移するようにしても良いし、操作無し時間が所定時間以上となって回生設定状態st3に遷移するようにしても良い。さらに、回生設定状態st3において、操作無し時間が所定時間以上となって停止状態st2に遷移しても良い。
【0033】
本実施の形態では、新たに回生切替え状態st9を導入して、回生中状態st8において、ライトボタン1061又は電源ボタン1062の押下によって、回生切替え状態st9に遷移して、押されたボタンに応じた回生モードの切替えを行う。例えば、ライトボタン1061が押された場合には、回生強度が1段階強い回生モードに切り替える。また、電源ボタン1062が押された場合には、回生強度が1段階弱い回生モードに切り替える。回生モードの切替えが行われると、回生中状態st8に戻り、切替え先の回生モードで回生を行うようになる。
【0034】
次に、図6を用いて、制御部3000の処理内容について説明する。
【0035】
第1制御部3100は、ブレーキ入力、クランク回転入力、モータ回転入力等に基づき回生制動を実施すべき状態であれば、回生制動を実行させるように制御を行う。よって、第1制御部3100は、現在回生中であるか否かを判断する(ステップS1)。回生中か否かについては第2制御部3200にも通知される。現在回生中であれば、第1制御部3100は、表示部106のボタンBの操作(例えば押下)が行われたか否かを判断する(ステップS3)。ボタンBは、図2に示すような表示機106の場合には、ライトボタン1061である。但し、他の表示機106の場合には、他のボタンである場合もある。
【0036】
ボタンBの操作(例えば押下)が行われたと判断すると、第1制御部3100は、回生強度を1段階強くする設定、すなわち回生モードを上方切替えする設定を行う(ステップS5)。そして、処理はステップS7に移行する。
【0037】
一方、ボタンBの操作が行われていない場合には、第1制御部3100は、ボタンAの操作(例えば押下)が行われたか否かを判断する(ステップS9)。ボタンAは、図2に示すような表示機106の場合には、電源ボタン1062である。但し、他の表示機106の場合には、他のボタンである場合もある。
【0038】
ボタンAの操作(例えば押下)が行われたと判断すると、第1制御部3100は、回生強度を1段階弱くする設定、すなわち回生モードを下方切替えする設定を行う(ステップS11)。そして、処理はステップS7に移行する。さらに、ボタンAの操作が行われていない場合には、回生モードの切替え無しで処理はステップS7に移行する。
【0039】
そして、第1制御部3100は、現設定に基づき、回生制動を実行する(ステップS7)。すなわち、ステップS5又はS11で回生モードを切り替えた場合には、切替え後の回生モードで、切替えを行っていなければ従前の回生モードにて、回生制動を行わせる。
【0040】
そして、制御部3000は、電源オフなどで処理終了するか否かを判断し(ステップS13)、処理終了の場合には、そのまま処理を終了する。一方、処理終了しない場合には、処理はステップS1に戻る。
【0041】
一方、現在回生中ではない場合には、第2制御部3200は、本来の機能を実行するだけであるが、ボタンA及びBについては、以下のような処理を実行する。すなわち、第2制御部3200は、ボタンBの操作が行われたか否かを判断する(ステップS15)。ボタンBの操作が行われた場合には、第2制御部3200は、ボタンBに本来対応付けられている機能を実行する(ステップS17)。ボタンBがライトボタン1061である場合には、ライトの点灯と消灯とを切り替える。そして処理はステップS13に移行する。一方、ボタンBの操作が行われていない場合には、第2制御部3200は、ボタンAの操作が行われたか判断する(ステップS19)。ボタンAの操作が行われた場合には、第2制御部3200は、ボタンAに本来対応付けられている機能を実行する(ステップS21)。ボタンAが、電源ボタン1062である場合には、一定時間未満の押下であれば、アシストモードの切替えを行い、一定時間以上の押下であれば、電源オフを行う。そして、処理はステップS13に移行する。なお、ボタンAの操作が行われていない場合には、他の操作があれば他の操作に応じた処理を行うが、それ以外であれば、処理はステップS13に移行する。
【0042】
以上のような処理を行うことで、ユーザが走行中であっても、回生中であれば、回生度合いが低すぎる場合には高くするような設定を行うことができ、回生度合いが高すぎる場合には低くするような設定を行うことができるようになる。
【0043】
なお、回生強度が既に最強であれば、回生強度を1段階強くするような回生モードの切替えが指示されても不可能であり、この場合には回生モードは不変とする。さらに、回生強度が既に最弱でれば、回生強度を1段階弱くするような回生モードの切替えが指示されても不可能であり、この場合には回生モードは不変とする。
【0044】
[実施の形態1の変形例1]
上で述べた第1の実施の形態においては、ボタンBはライトボタン1061であり、ボタンAは電源ボタン1062である例を示した。このような場合、回生中には、ライトの点灯と消灯との切替えができないことになる。本変形例では、回生中にもライトの点灯と消灯との切替えを可能にする。具体的には、ライトボタン1061の押下時間が一定時間未満であれば、回生モードの上方切替えを行い、ライトボタン1061の押下時間が一定時間以上であれば、ライトの点灯と消灯とを切り替えるものとする。
【0045】
図7に、本変形例に係る制御部3000の処理内容を示す。図6との差異は、ステップS31及びS33が追加されたことである。但し、図7においては、ボタンBがライトボタン1061であるとして機能を明示しており、ボタンAが電源ボタン1062であるとして機能を明示しているので、ステップS17は、ライトボタン1061の押下であるから、ライトの点灯と消灯とを切り替えるステップS17bに置換してある。同様に、ステップS21は、電源ボタン1062の押下であるから、アシストモードの切り替えであるステップS21bに置換してある。
【0046】
本変形例では、ボタンB(すなわちライトボタン1061)の操作が行われた場合には(ステップS3:Yesルート)、第1制御部3100は、ライトボタン1061の、一定時間未満の押下(すなわち短時間押し)であるか否かを判断する(ステップS31)。短時間押しであれば、処理はステップS5に移行する。
【0047】
一方、ライトボタン1061の、一定時間以上の押下げ(すなわち長押し)である場合には、第1制御部3100は、第2制御部3200に通知して、第2制御部3200に、ライトの点灯と消灯との切替えを行わせる(ステップS33)。そして処理はステップS7に移行する。
【0048】
このようにすれば、回生中であっても、ライトボタン1061を長押しすれば、ライトの点灯と消灯を切り替えられるようになる。
【0049】
[実施の形態1の変形例2]
第1の実施の形態では、図2に示すような表示機106を採用していたが、図8に示すような表示機106bを採用する場合もある。表示機106bは、ライトボタン1061と、アシストモード切替えの機能を有しない電源ボタン1062bと、液晶表示部1063とは表示内容が異なる液晶表示部1063bと、アシストモードの状態を表示するためのLED1064bと、アシストモードの上方切替えのための第1ボタン1065と、アシストモードの下方切替えのための第2ボタン1066とを有する。LED1064bについても、LED1064とは表示するアシストモードが異なる場合がある。表示機106bは、ボタン配置も、表示機106とは異なっている。
【0050】
本変形例では、第1の実施の形態におけるボタンBを、第1ボタン1065と設定し、ボタンAを、第2ボタン1066と設定する。すなわち、回生中であれば、第1ボタン1065が押されると、回生強度を1段階強くするような設定を行い、第2ボタン1066が押されると、回生強度を1段階弱くするような設定を行う。一方、回生中以外の状態であれば、第1ボタン1065が押されれば、アシスト度合いを1段階高くするようなアシストモードの切替えを行い、第2ボタン1066が押されれば、アシスト度合いを1段階低くするようなアシストモードの切り替えを行う。
【0051】
このように表示機が異なる場合であっても、ボタンA及びボタンBを、他のボタンに割り当てることで、回生中でも、回生モードの切替えが可能となる。
【0052】
[実施の形態1の変形例3]
図2に示した表示機106では、電源オンの状態で、電源ボタン1062が押されると、アシスト度合いが1段階高くなるようなアシストモードの切替えが行われる。但し、アシスト度合いが1番高い状態において電源ボタン1062が押されると、アシスト度合いが1番低くなるようなアシストモードの切り替えが行われる。
【0053】
第1の実施の形態でも、回生中に、例えばライトボタン1061を押すと、回生強度が1段階強くなるような回生モードの切替えを行うが、回生強度が最も強い回生モードにおいて、ライトボタン1061が押されると、回生強度が最も弱くなるような回生モードの切替えを行うようにしても良い。
【0054】
すなわち、1つのボタンを回生モードの切替えに割り当てて、回生中に当該ボタンが押されると、基本的に回生モードの上方切替え(下方切替えでも良い)を行うが、最も高い回生度合い(場合によっては最も低い回生度合い)に既に達していれば、最も弱い回生強度(場合によっては最も強い回生強度)に対応する回生モードに切り替えても良い。
【0055】
[実施の形態2]
例えば、回生制動を全く行わない回生無しというモード以外に、5段階の回生モードが設定されていて、例えば2段階目の回生モードが設定されている状態で、回生制動が不足していると感じたユーザが、回生モードの上方切替えで、回生度合いが最も高い5段階目の回生モードに切り替えるためには、3回ボタンBを押さなければならない。また、一番下の回生モード、すなわち1段階目の回生モードが設定されている状態であれば、4回もボタンBを押さなければならない。これは、ユーザにとっては煩わしい。
【0056】
一方、雨が降りそうでといった理由で急いで帰宅したい場合には回生制動が邪魔に感ずることもあるので、そのような場合回生制動を全く行わないで走行したいという希望が生ずることもある。第1の実施の形態では、このような場合に対処できない。
【0057】
本実施の形態では、回生度合いを最も高くすることを回生ブーストと呼び、回生度合いをゼロ又は極小にすることを回生無しと呼ぶものとする。そして、図2に示すような表示機106を使用する場合には、例えばライトボタン1061に回生ブーストを対応付け、例えば電源ボタン1062を回生無しに対応付けるものとする。
【0058】
なお、本実施の形態では、図5に示した第1の実施の形態における状態遷移とは異なる状態遷移が行われるようになる。例えば図9に示すように、状態st1乃至st8については、図5と同様であるが、状態st9に代って、回生MAX/MIN切替え状態st10が導入される。すなわち、回生中状態st8において、ライトボタン1061又は電源ボタン1062が押されると、回生MAX/MIN切替え状態st10に遷移して、押されたボタンに応じた回生モード(回生度合いが最高である回生モード又は回生度合いが0である回生モード)が設定され、その後回生中状態st8に戻る。回生中状態st8では、回生切替え状態st4又は回生MAX/MIN切替え状態st10で設定された回生モードで、回生制動を行う。このように、回生中状態st8から遷移可能な状態が新たに定義された点が、従来技術とは異なるものである。
【0059】
次に、図10を用いて、本実施の形態に係る制御部3000の処理内容について説明する。
【0060】
第1制御部3100は、ブレーキ入力、クランク回転入力、モータ回転入力等に基づき回生制動を実施すべき状態であれば、回生制動を実行させるように制御を行う。よって、第1制御部3100は、現在回生中であるか否かを判断する(ステップS51)。回生中か否かについては第2制御部3200にも通知される。現在回生中であれば、第1制御部3100は、表示部106のボタンCの操作(例えば押下)が行われたか否かを判断する(ステップS53)。ボタンCは、図2に示すような表示機106の場合には、電源ボタン1062である。但し、他の表示機106の場合には、他のボタンである場合もある。
【0061】
ボタンCの操作(例えば押下)が行われたと判断すると、第1制御部3100は、回生無しへの切り替え、すなわち回生度合いをゼロ(場合によっては最低)にするように設定する(ステップS55)。そして、処理はステップS57に移行する。
【0062】
一方、ボタンCの操作が行われていない場合には、第1制御部3100は、ボタンDの操作(例えば押下)が行われたか否かを判断する(ステップS59)。ボタンDは、図2に示すような表示機106の場合には、ライトボタン1061である。但し、他の表示機106の場合には、他のボタンである場合もある。
【0063】
ボタンDの操作(例えば押下)が行われたと判断すると、第1制御部3100は、回生ブーストで、回生度合いが最も高い回生モードへ回生モードを切り替える設定を行う(ステップS61)。そして、処理はステップS57に移行する。さらに、ボタンDの操作が行われていない場合には、回生モードの切替え無しで処理はステップS57に移行する。
【0064】
そして、第1制御部3100は、現設定に基づき、回生制動を実行する(ステップS57)。すなわち、ステップS55又はS61で回生モードを切り替えた場合には、切替え後の回生モードで、切替えを行っていなければ従前の回生モードにて、回生制動を行わせる。特に、ステップS55を経由した場合には、回生度合いはゼロ(MIN)に設定され、ステップS61を経由した場合には、回生度合いは最高(MAX)に設定される。
【0065】
そして、制御部3000は、電源オフなどで処理終了するか否かを判断し(ステップS63)、処理終了の場合には、そのまま処理を終了する。一方、処理終了しない場合には、処理はステップS51に戻る。
【0066】
一方、現在回生中ではない場合には、第2制御部3200は、本来の機能を実行するだけであるが、ボタンC及びDについては、以下のような処理を実行する。すなわち、第2制御部3200は、ボタンCの操作が行われたか否かを判断する(ステップS65)。ボタンCの操作が行われた場合には、第2制御部3200は、ボタンCに本来対応付けられている機能を実行する(ステップS67)。ボタンCが電源ボタン1062である場合には、一定時間未満の押下であれば、アシストモードの切替えを行い、一定時間以上の押下であれば、電源オフを行う。一方、ボタンCの操作が行われていない場合には、第2制御部3200は、ボタンDの操作が行われたか判断する(ステップS69)。ボタンDの操作が行われた場合には、第2制御部3200は、ボタンDに本来対応付けられている機能を実行する(ステップS71)。ボタンDが、ライトボタン1061である場合には、ライトの点灯と消灯とを切り替える。そして、処理はステップS63に移行する。なお、ボタンDの操作が行われていない場合には、他の操作があれば他の操作に応じた処理を行うが、それ以外であれば、処理はステップS63に移行する。
【0067】
以上のような処理を行うことで、ユーザが走行中であっても、回生中であれば、回生度合いを最高にすることも、回生を全く行わないようにすることも可能となる。すなわち、ユーザが希望する回生度合いへの切替えが容易になる。
【0068】
なお、回生ブーストで回生度合いを最高にした場合や回生無しで回生度合いをゼロにした場合に、当該回生度合いを維持し続けるのは、必ずしも好ましいわけではない。例えば、電源オフとなった場合には、当該回生度合いについてはクリアしてしまうようにしても良い。
【0069】
また、回生ブーストで回生度合いを最高にしたモードを回生ブーストモードと呼ぶ場合もあれば、回生無しで回生度合いをゼロにしたモードを回生無しモードと呼ぶ場合もある。
【0070】
[実施の形態2の変形例1]
第1の実施の形態における変形例1のように、回生中状態st8においても、ライトの点灯と消灯を切り替えたい場合もある。
【0071】
この場合には、図10に代って、図11に示すような処理を制御部3000が実行する。なお、本変形例では、ボタンCは、ライトボタン1061であり、ボタンDは、電源ボタン1062である。
【0072】
図11において図10と異なる部分は、ステップS81及びS83を追加した部分と、ステップS67に代ってステップS85を実行し、ステップS71に代ってステップS87を実行するものである。
【0073】
すなわち、ボタンC(ここではライトボタン1061)の操作がなされた場合、第1制御部3100は、ボタンCが一定時間未満押下げられた(すなわち短時間押し)か否かを判断する(ステップS81)。ボタンCの短時間押しである場合には、処理はステップS55に移行する。一方、ボタンCが一定時間以上押下げられた場合には、第1制御部3100は、第2制御部3200に通知し、第2制御部3200に、ライトの点灯と消灯とを切替えさせる(ステップS83)。そして、処理はステップS57に移行する。
【0074】
また、回生中ではない場合、第2制御部3200は、ボタンC(すなわちライトボタン1061)の操作であるか否かを判断し(ステップS65)、ボタンCの操作である場合には、第2制御部3200は、ライトの点灯と消灯とを切り替える(ステップS85)。そして処理はステップS63に移行する。一方、ボタンCの操作ではない場合、第2制御部3200は、ボタンD(すなわち電源ボタン1062)の操作であるか否かを判断し(ステップS69)、ボタンDの操作である場合には、第2制御部3200は、アシストモードの切り替えを実行する(ステップS87)。そして処理は、ステップS63に移行する。
【0075】
このようにすれば、ユーザの意図を正しく反映させて、回生中であってもライトの点灯と消灯を切り替えることができ、回生ブーストで回生度合いを最高に切り替えたり、回生無しで回生度合いをゼロに切り替えることも容易になる。
【0076】
[実施の形態2の変形例2]
第2の実施の形態では、回生ブーストと回生無しの両方を可能にする例を示しているが、回生ブーストのみ又は回生無しのみを可能にするようにしても良い。
【0077】
[実施の形態3]
第2の実施の形態では、ボタンC及びボタンDを、既存のボタンに対応付けて、回生中か否かで、本来の機能とを切り替えていたが、例えば回生ブーストのための専用ボタンを表示機に増設するようにしても良い。
【0078】
本実施の形態に係る表示機106cでは、図12に示すように、回生ブーストボタン1067が追加されている。なお、本実施の形態では、回生度合いが最高ではない場合に回生ブーストボタン1067が押されると、回生度合いが最高となるように切り替え、回生ブーストボタン1067が押されて回生度合いが最高となっている場合に回生ブーストボタン1067が押されると、回生度合いを切替え前の回生度合いに戻すものである。
【0079】
本実施の形態では、回生ブーストボタン1067を追加したので、回生中以外でも回生度合いを最高に切り替えておくことができる。すなわち、図9に示した状態遷移図においては、回生中状態st8からのみ回生MAX/MIN切替え状態st10に遷移できるようになっていたが、本実施の形態では、図13で示すように、停止状態st2、アシスト中状態st6、走行状態st5、及び回生中状態st8から、回生MAX切替え状態st11に遷移できるようになる。回生MAX切替え状態st11へは、回生ブーストボタン1067の押下によって遷移して、回生度合いを最高に切り替える設定を行った後、自動的に遷移元の状態に戻る。なお、回生ブーストボタン1067の押下に応じて回生度合いを最高に切り替える設定を行った後に再度回生ブーストボタン1067が押下げられた場合には、回生MAX切替え状態st11に遷移して、従前の回生モードに切り替えるように設定した後、自動的に遷移元の状態に戻る。
【0080】
次に、図14を用いて、第1制御部3100の処理内容について説明する。
【0081】
第1制御部3100は、ボタンE(ここでは回生ブーストボタン1067)の操作がなされたか否かを判断する(ステップS101)。ボタンEの操作がない場合には、処理はステップS109に移行する。
【0082】
一方、ボタンEの操作があった場合には、第1制御部3100は、現在の回生度合いが回生ブーストにより最高となっているか否かを判断する(ステップS103)。現在の回生度合いが回生ブーストにより最高となっている場合には、ユーザが回生ブーストを解除させることを指示したことになるので、第1制御部3100は、回生度合いを従前の設定に戻す(ステップS107)。例えば、5段階の回生モードのうち第2段階目の回生モードから、第5段階目の回生モードに回生ブーストで切り替えていた場合、第2段階目の回生モードに戻る。そして、処理はステップS109に移行する。
【0083】
一方、現在の回生度合いが回生ブーストにより最高となっているわけではない場合には、ユーザが回生ブーストで回生度合いを最高になるように指示したことになるので、第1制御部3100は、回生度合いを最高に設定する(ステップS105)。そして処理はステップS109に移行する。
【0084】
そして、第1制御部3100は、ブレーキ入力、クランク回転入力、モータ回転入力等に基づき回生制動を実行する要件を満たしているか否かを判断する(ステップS109)。回生制動を実行する要件を満たしていなければ、処理はステップS113に移行する。一方、回生制動を実行する要件を満たしている場合には、第1制御部3100は、現在の設定に基づき回生制動を実行する(ステップS111)。現在の回生モードに応じて回生量を決定して、当該回生量を実現するように制御を行う。そして処理はステップS113に移行する。
【0085】
そして、制御部3000は、電源オフなどで処理終了するか否かを判断し(ステップS113)、処理終了の場合には、そのまま処理を終了する。一方、処理終了しない場合には、処理はステップS101に戻る。
【0086】
このような処理を実行することで、予め下り坂が長いことや多いことが分かっている場合や、バッテリ残量が少ないので回生制動による発電を希望する場合には、回生度合いを最高にしておくことで、ユーザ操作のブレーキによる制動の頻度を落としたり、バッテリへの充電量を増やすことができるようになる。
【0087】
また、本実施の形態では、再度回生ブーストボタン1067を押すことで、回生度合いを従前の設定に戻すこともできるので、ユーザの意図に沿った形で回生度合いを切り替えることができるようになる。
【0088】
[実施の形態4]
第2の実施の形態において、特定のボタンに、回生中は回生ブーストを指示するボタンとして機能させる例を示したが、走行中、ずっと回生度合いを最高に維持することが、必ずしも好ましいわけではない。すなわち、回生ブーストを指示した時点では、回生度合いを最高にすることが好ましくても、その走行状態又は路面状態が継続するわけではない。
【0089】
同様に、既存の特定のボタンにより、回生度合いをゼロに設定した場合においても、走行中、ずっと回生度合いをゼロに維持することが、必ずしも好ましいわけではない。
【0090】
本実施の形態では、回生ブーストにより回生度合いを最高に設定した場合や、回生無しで回生度合いをゼロに設定した場合に、そのような設定をどのような条件に基づき解除するのかについて、バリエーションを説明する。
【0091】
本実施の形態では、回生ブーストにより回生度合いを最高に設定した場合、例えば、以下の5条件のうち少なくともいずれかで、解除する。
1)速度が設定速度以下になるという条件
2)回生ブーストを行うためのボタンが押されてからの走行時間が設定時間以上となるという条件
3)回生ブーストを行うためのボタンが押されてからの走行距離が設定距離以上となるという条件
4)回生ブーストを行うためのボタンの押下が停止されるという条件(回生ブーストを行うためのボタンを押し続けている間は、回生度合いを最高にする設定を維持する)
5)回生ブーストにより回生度合いを最高に設定した後、再度回生ブーストを行うためのボタンが押下げられたという条件
【0092】
第1の条件の場合、電動アシスト自転車1の速度を、例えばモータ回転数から算出し、当該速度と設定速度(例えば10km/h)と比較することで、第1の条件を満たしたか否かを判断する。
【0093】
図15(a)に、電動アシスト自転車1の速度の時間変化の一例を示し、図15(b)に、回生ブーストで回生度合いが最高となるように設定した場合にONと表し、当該設定を解除するとOFFと表す状態変化を示す。第1の条件が採用される場合には、回生ブーストを行うためのボタンを時刻t1で押すと、回生ブーストで回生度合いが最高となるように設定されてON状態になる。その後、回生制動が効いて速度が下がってきて、速度が時刻t2で設定速度に達すると、回生度合いを従前の設定に戻すOFF状態になる。あまりに減速しすぎると、走行の安定性を損ねる場合もあるためである。
【0094】
第2の条件の場合、回生ブーストを行うためのボタンが押されると、第1制御部3100は、時間の計測を開始すると共に、回生度合いを最高に設定する。その後、当該計測時間が設定時間に達すると、回生度合いを従前の設定に戻すことで、OFF状態になる。
【0095】
第3の条件の場合、回生ブーストを行うためのボタンが押されると、第1制御部3100は、走行距離の計測を開始すると共に、回生度合いを最高に設定する。走行距離は、例えばモータ回転回数などから算出する。そして、走行距離が設定距離に達すると、第1制御部3100は、回生度合いを従前の設定に戻すことで、OFF状態になる。
【0096】
図16(a)に、電動アシスト自転車1の走行距離の時間変化の一例を示し、図16(b)乃至(e)に、回生ブーストで回生度合いが最高となるように設定した場合にONと表し、当該設定を解除するとOFFと表す状態変化を示す。第2の条件が採用される場合には、図16(b)に示すように、回生ブーストを行うためのボタンを時刻t1で押すと、回生ブーストで回生度合いが最高となるように設定されてON状態になる。その後、時間が経過して設定時間Thに達すると、回生度合いを従前の設定に戻すことで、OFF状態になる。
【0097】
一方、第3の条件が採用される場合には、図16(c)に示すように、回生ブーストを行うためのボタンを時刻t1で押すと、回生ブーストで回生度合いが最高となるように設定されてON状態になる。その後、電動アシスト自転車1の走行距離が計測されて、当該走行距離が設定距離に達すると、第1制御部3100は、回生度合いを従前の設定に戻すことで、OFF状態になる。
【0098】
第4の条件が採用される場合、図16(d)に示すように、回生ブーストを行うためのボタンを時刻t1で押すと、回生ブーストで回生度合いが最高となるように設定されてON状態になる。第4の条件の場合、回生ブーストを行うためのボタンを押し続けることが条件となっているので、図16(d)では、そのボタンを押し続けていることを示すためにハッチングを付している。第1制御部3100は、回生ブーストを行うためのボタンが押されているか否かを監視して、当該ボタンの押下が時刻t5で停止されたことを検出すると、第1制御部3100は、回生度合いを従前の設定に戻すことで、OFF状態になる。
【0099】
第5の条件が採用される場合、図16(e)に示すように、回生ブーストを行うためのボタンを時刻t1で押すと、回生ブーストで回生度合いが最高となるように設定されてON状態になる。第5の条件の場合、再度回生ブーストのためのボタンが押されることを検出することが条件となるので、第1制御部3100は、そのボタンの押下を監視しており、当該ボタンが再度押下げられたことを時刻t6で検出すると、第1制御部3100は、回生度合いを従前の設定に戻すことで、OFF状態になる。
【0100】
第1制御部3100は、第1乃至第5の条件のうち採用されている条件に基づき、回生度合いを従前の設定に戻す処理を、例えば図17に従って実行する。
【0101】
すなわち、第1制御部3100は、現在、回生ブーストによって回生度合いが最高に設定されているか否かを判断する(ステップS121)。回生ブーストによって回生度合いが最高に設定されていない場合には、処理はステップS127に移行する。一方、回生ブーストによって回生度合いが最高に設定されている場合には、第1制御部3100は、予め定められた条件が満たされているか否かを判断する(ステップS123)。条件は、上で述べた5つの条件のうち少なくとも1つである。第2の条件及び第3の条件が採用されている場合には、回生ブーストのためのボタンが押された時点から、時間又は走行距離を計測しているものとする。
【0102】
条件を満たしていない場合には、処理はステップS127に移行する。一方、条件を満たしている場合には、第1制御部3100は、回生度合いを従前の設定に戻す処理を行う(ステップS125)。すなわち、回生ブーストが指示される前の回生モードを保持しておき、当該回生モードに戻すような処理を行う。そして処理は、ステップS127に移行する。
【0103】
そして、制御部3000は、電源オフなどで処理終了するか否かを判断し(ステップS127)、処理終了の場合には、そのまま処理を終了する。一方、処理終了しない場合には、処理はステップS121に戻る。
【0104】
上で述べたように、回生ブーストにより回生度合いを最高にする設定を限定的に行うことで、状況の変化に対処できるようになる。
【0105】
なお、回生無しのためのボタンによって回生度合いをゼロに設定した場合でも、このような設定が、例えば翌日の走行でも有効だとは限らない。よって、例えば、電源オフのタイミングで、回生度合いをゼロにする設定については解除して、回生無しのためのボタンが押される前の設定に戻るようにしても良い。なお、再度電源オンのタイミングで、回生度合いをゼロにする設定については解除して、回生無しのためのボタンが押される前の設定に戻るようにしても良い。
【0106】
さらに、回生ブーストのためのボタンが押された場合と同様に、回生度合いをゼロに設定してからの時間又は走行距離が閾値以上となった場合に、従前の設定に戻すようにしても良い。さらに、回生無しのためのボタンを押し続けている間は、回生度合いをゼロに設定し、そのボタンを離したと判定された場合には、回生度合いを従前の設定に戻したり、回生無しのためのボタンを再度押した場合には、回生度合いを従前の設定に戻すようにしても良い。場合によっては、速度が所定の速度以上となった場合には、安全性を優先した回生度合いを従前の設定に戻すような場合もある。
【0107】
[実施の形態5]
上で述べた実施の形態では、図2図8図12といった表示機をベースに説明してきた。しかしながら、上で述べた実施の形態の適用先は、図2図8図12のような表示機に限定されるものではない。
【0108】
例えば図18に示すような表示機306を採用している場合には、三角印のアシストモードの切り替えボタンではなく、液晶表示部3063に表示する内容(例えば、バッテリ残量、速度、走行距離など)を切り替えるための切替ボタン3061、ライトの点灯と消灯を切り替えるライトボタン3062を活用するようにしても良い。すなわち、回生中であれば、切替ボタン3061及びライトボタン3062、場合によっては、切替ボタン3061のみを、回生モードの切り替え、回生ブーストのためのボタン、回生無しのためのボタンに活用するようにしても良い。
【0109】
また、例えば図19に示すような表示機406を採用している場合には、電源ボタン4061と、液晶表示部4063のバックライトボタン4062、又はそれらのうちいずれかを活用するようにしても良い。
【0110】
さらに、例えば図20に示すような表示機506を採用している場合には、液晶表示部5063の表示内容を切り替えるボタン5061及び走行距離などの累積データのリセットを行うためのボタン5062、又はそれらのうちいずれかを活用するようにしても良い。
【0111】
さらに、第3の実施の形態では、回生ブーストを指示する専用のボタンとして回生ブーストボタン1067を導入することを述べたが、例えば、液晶表示部がタッチパネル式であれば、回生ブーストボタンを液晶表示部に追加的に表示させるようにしても良い。
【0112】
同様に、液晶表示部がタッチパネル式であれば、回生モードの切替のためのボタンについても、液晶表示部に追加的に表示させるような態様も可能である。
【0113】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、目的に応じて、上で述べた各実施の形態における任意の技術的特徴を削除するようにしても良いし、他の実施の形態で述べた任意の技術的特徴を追加するようにしても良い。さらに、いずれかの実施の形態における任意の技術的特徴を組み合わせるようにしても良い。
【0114】
さらに、上で述べた機能ブロック図は一例であって、1の機能ブロックを複数の機能ブロックに分けても良いし、複数の機能ブロックを1つの機能ブロックに統合しても良い。処理フローについても、処理内容が変わらない限り、ステップの順番を入れ替えたり、複数のステップを並列に実行するようにしても良い。
【0115】
例えば、第3の実施の形態においても、第4の実施の形態で述べた第1乃至第4の条件を採用して、回生度合いを従前の設定に戻すようにしても良い。
【0116】
以上述べた実施の形態をまとめると以下のようになる。
【0117】
本発明の第1の態様に係るモータ制御装置は、(A)モータに力行駆動又は回生制動を実行させる駆動部と、(B)回生制動以外の機能の実行又は設定を指示するための第1のボタンを有する表示機と、(C)表示機に接続されており、駆動部に回生制動を実行させている間に第1のボタンの操作を検出した場合、第1のボタンの操作に予め対応付けられている、回生制動における回生度合いについての第1の設定を行う制御部とを有する。
【0118】
このようにすれば、回生制動中においては、別の目的で用意された第1のボタンを、回生度合いについての第1の設定を行うように用いることで、電動アシスト車の運転中にも、ユーザが意図した、回生度合いの切り替えが可能になる。
【0119】
また、上で述べた表示機は、回生制動以外の機能の実行又は設定を指示するための第2のボタンをさらに有する場合もある。この場合、上で述べた制御部は、駆動部に回生制動を実行させている間に第2のボタンの操作を検出した場合、第2のボタンの操作に予め対応付けられている、回生制動における回生度合いについての第2の設定を行うようにしても良い。第1のボタンに加えて第2のボタンについても活用することで、より容易にユーザの意図した、回生度合いの切り替えが可能となる。
【0120】
なお、上で述べた第1の設定は、回生度合いを高くする設定(例えば複数の回生モードのうち回生度合いの高い回生モードに切り替える設定)、回生度合いを低くする設定(例えば複数の回生モードのうち回生度合いの低い回生モードに切り替える設定)、回生度合いを最高にする設定(例えば、複数の回生モードのうち回生度合いが最高の回生モードに切り替える設定、設定されている回生モードに拘わらず回生度合いを最高にする設定など)、又は回生度合いを最低又はゼロにする設定(例えば、複数の回生モードのうち回生度合いが最低の回生モードにする設定、複数の回生モードに拘わらず回生度合いをゼロにするための設定など)のであってもよい。このように、第1のボタンには様々な役割を規定しても良い。
【0121】
さらに、上で述べた第1の設定は、回生度合いを高くする設定又は回生度合いを最高にする設定であり、上で述べた第2の設定は、回生度合いを低くする設定又は回生度合いを最低又はゼロにする設定である場合もある。このように、第1のボタンと第2のボタンとの組み合わせに、ユーザが容易に設定を行うことができるように役割を規定するようにしても良い。
【0122】
また、上で述べた第1のボタンは、ライトの点灯と消灯とを切り替える指示を行うためのボタンであれば、上で述べた制御部は、駆動部に回生制動を実行させている間に第1のボタンの押し下げが一定時間以上であることを検出すると、ライトの点灯と消灯とを切り替えるようにしても良い。ライトボタンを活用する場合に、回生制動中でも、ライトの点灯と消灯を切り替えたい場合に対処できるようにするものである。
【0123】
同様に、上で述べた第2のボタンは、ライトの点灯と消灯とを切り替える指示を行うためのボタンであれば、上で述べた制御部は、駆動部に回生制動を実行させている間に第2のボタンの押し下げが一定時間以上であることを検出すると、ライトの点灯と消灯とを切り替えるようにしても良い。第2のボタンがライトボタンである場合についても、同様である。
【0124】
なお、上で述べた表示機は、回生度合いを最高にするための第3のボタンをさらに有する場合もある。このような場合には、上で述べた制御部は、第3のボタンの操作を検出した場合、回生度合いを最高にする設定を行うようにしても良い。なお、回生度合いを最低又はゼロにするボタンを設ける場合もある。
【0125】
さらに、上で述べた制御部は、回生度合いを最高にする設定がなされた後、(あ)モータによりアシストされる車両の速度が設定値以下となった場合、(い)設定時間が経過した場合、(う)車両の走行距離が設定距離以上となった場合、(え)回生度合いを最高にする設定を行う場合に押し下げられるボタンの押し下げが検出されなくなった場合、(お)回生度合いを最高にする設定を行う場合に押し下げられるボタンが再度押し下げられた場合、又は、(か)モータ制御装置の電源がオフにされた場合若しくは電源が再度オンにされた場合に、回生度合いを最高にする設定を解除する(例えば回生度合いを従前の設定に戻す)ようにしても良い。なお、回生度合いを最低又はゼロにする設定を行った場合にも、経過時間、走行距離、ボタンの継続する押下の停止、再度のボタンの押下、速度等の条件で、上記設定の解除を行うようにしても良い。
【0126】
本発明の第2の態様に係るモータ制御装置は、(A)モータに力行駆動又は回生制動を実行させる駆動部と、(B)回生制動における回生度合いを最高にするためのボタンを有する表示機と、(C)表示機に接続されており、上記ボタンの操作を検出した場合、回生制動における回生度合いを最高にする設定を行う制御部とを有する。
【0127】
このようなボタンを採用することで、ユーザは、走行中を含め所望のタイミングで、設定を行うことができるようになる。なお、回生度合いを最低又はゼロにするためのボタンを設けるようにして、当該ボタンの押下に応じて、設定を行うようにしても良い。
【0128】
上で述べた制御部は、回生度合いを最高にする設定がなされた後、(あ)モータによりアシストされる車両の速度が設定値以下となった場合、(い)設定時間が経過した場合、(う)車両の走行距離が設定距離以上となった場合、(え)回生度合いを最高にする設定を行う場合に押し下げられるボタンの押し下げが検出されなくなった場合、(お)回生度合いを最高にする設定を行う場合に押し下げられるボタンが再度押し下げられた場合、又は、(か)モータ制御装置の電源がオフにされた場合若しくは電源が再度オンにされた場合に、回生度合いを最高にする設定を解除する(例えば回生度合いを従前の設定に戻す)ようにしても良い。
【0129】
このような構成は、実施の形態に述べられた事項に限定されるものではなく、実質的に同一の効果を奏する他の構成にて実施される場合もある。
【符号の説明】
【0130】
3000 制御部
3100 第1制御部
3200 第2制御部
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