(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047269
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】電動作業機及びねじ締め工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240329BHJP
B25B 23/18 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25F5/00 G
B25B23/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152797
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】力石 真
【テーマコード(参考)】
3C038
3C064
【Fターム(参考)】
3C038AA01
3C038BC04
3C038DA06
3C038EA06
3C064AA01
3C064AA02
3C064AA03
3C064AA04
3C064AA06
3C064AB01
3C064AB02
3C064AC02
3C064AC03
3C064BA14
3C064BB83
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA09
3C064CA10
3C064CA24
3C064CA27
3C064CA53
3C064CB07
3C064CB08
3C064CB13
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB32
3C064CB36
3C064CB63
3C064CB73
3C064CB74
3C064CB83
3C064CB86
(57)【要約】
【課題】希望の照射範囲に光を照射すること。
【解決手段】電動作業機は、前後方向に延伸する回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、モータよりも前方に配置され、ロータの回転力により作動する出力部と、発光素子からの光が入射する入射部と、出力部の周囲の少なくとも一部に配置され入射部からの光が進行する導光部と、を有する光学部材と、を備える。導光部は、スリットが設けられる後面と、導光部の内部を進行しスリットで反射した光が射出される前面と、を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延伸する回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、
前記モータよりも前方に配置され、前記ロータの回転力により作動する出力部と、
発光素子からの光が入射する入射部と、前記出力部の周囲の少なくとも一部に配置され前記入射部からの光が進行する導光部と、を有する光学部材と、を備え、
前記導光部は、スリットが設けられる後面と、前記導光部の内部を進行し前記スリットで反射した光が射出される前面と、を有する、
電動作業機。
【請求項2】
前記スリットは、第1面と、前記第1面よりも前記入射部から遠い位置に配置され、前記スリットの空隙部を介して前記第1面に対向する第2面とにより規定され、
前記第1面は、前記導光部の内部を進行した光の一部を全反射する、
請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記回転軸に平行な方向の軸を前後軸とし、前記回転軸の放射方向に平行な軸を放射軸とした場合、前記第2面は、前後軸及び放射軸のそれぞれに平行な平面である、
請求項2に記載の電動作業機。
【請求項4】
前記第2面の前端部と前記第1面の前端部とが接続され、
前記第1面は、前記第1面の前端部から後方に向かって前記第2面から離れるように傾斜する、
請求項3に記載の電動作業機。
【請求項5】
前記スリットは、前記後面に複数設けられ、
前記スリットの空隙部における前記第1面と前記第2面とのなす角度を外部角度とした場合、複数の前記スリットの外部角度は、相互に異なる、
請求項4に記載の電動作業機。
【請求項6】
前記外部角度は、前記入射部に近いスリットほど小さい、
請求項5に記載の電動作業機。
【請求項7】
前記スリットは、前記後面に複数設けられ、
複数の前記スリットの深さは、相互に異なる、
請求項4に記載の電動作業機。
【請求項8】
前記深さは、前記入射部から遠いほど深い、
請求項7に記載の電動作業機。
【請求項9】
前記導光部は、環状であり、
前記スリットは、前記導光部の周方向に間隔をあけて複数設けられる、
請求項1に記載の電動作業機。
【請求項10】
前記光学部材の中心を通り上下方向に延びる基準線を規定した場合、複数の前記スリットは、前記基準線に対して線対称であり、
前記入射部は、左右方向に間隔をあけて2つ設けられ、
左側の前記入射部に入射した光は、前記光学部材の中心よりも左側の前記導光部の内部を進行し、
右側の前記入射部に入射した光は、前記光学部材の中心よりも右側の前記導光部の内部を進行する、
請求項9に記載の電動作業機。
【請求項11】
ステータと、前記ステータに対して回転可能なロータと、を有するブラシレスモータと、
前記ロータの前方側に配置され、前記ロータの回転を減速する減速機構と、
前記減速機構の前方側に配置され、前記減速機構により回転される出力軸と、
前記減速機構を収容し、前記出力軸を回転可能に支持するケースと、
発光素子と、
前記ケースに保持され、前記発光素子の光が入る入射部と、前記入射部からの光を反射する反射部と、を有する円環光学部材と、を備える、
ねじ締め工具。
【請求項12】
前記反射部は、前記入射部に近い第1の反射面と、前記第1の反射面よりも前記入射部から遠い第2の反射面と、を含み、
前記第1の反射面からの反射光と、前記第2の反射面からの反射光とは、略同一の光量である、
請求項11に記載のねじ締め工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電動作業機及びねじ締め工具に関する。
【背景技術】
【0002】
電動作業機に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、動力工具用照明システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0354889号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動作業機の作業対象が光で照明されることにより、作業者は、例えば暗所においても電動作業機を用いる作業を円滑に実施することができる。希望の照射範囲に光が照射されることにより、作業性がより向上する。
【0005】
本明細書で開示する技術は、希望の照射範囲に光を照射することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電動作業機を開示する。電動作業機は、前後方向に延伸する回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、モータよりも前方に配置され、ロータの回転力により作動する出力部と、発光素子からの光が入射する入射部と、出力部の周囲の少なくとも一部に配置され入射部からの光が進行する導光部と、を有する光学部材と、を備えてもよい。導光部は、スリットが設けられる後面と、導光部の内部を進行しスリットで反射した光が射出される前面と、を有してもよい。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、希望の照射範囲に光が照射される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る電動作業機を示す前方からの斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る電動作業機の上部を示す正面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る電動作業機の上部を示す側面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る電動作業機の上部を示す縦断面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る電動作業機の上部を示す横断面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る電動作業機の上部を示す前方からの斜視図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る電動作業機の上部を示す前方からの分解斜視図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る光学部材を示す前方からの斜視図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る光学部材を示す後方からの斜視図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る光学部材を後方から見た図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る光学部材を下方から見た図である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る光学部材を示す断面図である。
【
図13】
図13は、本実施形態に係る光学部材の一部を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動作業機は、前後方向に延伸する回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、モータよりも前方に配置され、ロータの回転力により作動する出力部と、発光素子からの光が入射する入射部と、出力部の周囲の少なくとも一部に配置され入射部からの光が進行する導光部と、を有する光学部材と、を備えてもよい。導光部は、スリットが設けられる後面と、導光部の内部を進行しスリットで反射した光が射出される前面と、を有してもよい。
【0010】
上記の構成では、導光部の後面にスリットが設けられるので、導光部の内部を進行しスリットで反射した光は、希望の照射範囲に照射される。すなわち、スリットが最適化されることにより、希望の照射範囲に光が照射される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スリットは、第1面と、第1面よりも入射部から遠い位置に配置され、スリットの空隙部を介して第1面に対向する第2面とにより規定されてもよい。第1面は、導光部の内部を進行した光の一部を全反射してもよい。
【0012】
上記の構成では、第1面で全反射した光が導光部の前面から射出される。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、回転軸に平行な方向の軸を前後軸とし、回転軸の放射方向に平行な軸を放射軸とした場合、第2面は、前後軸及び放射軸のそれぞれに平行な平面でもよい。
【0014】
上記の構成では、第2面が後面に対して実質的に垂直に形成される。第2面は、光の反射に寄与しないので、第2面を後面に対して垂直に形成することにより、周方向におけるスリットの寸法の大型化が抑制されるので、導光部に多数のスリットを形成することができる。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第2面の前端部と第1面の前端部とが接続され、第1面は、第1面の前端部から後方に向かって第2面から離れるように傾斜してもよい。
【0016】
上記の構成では、入射部からの光は、第1面で全反射して前面から射出される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スリットは、後面に複数設けられ、スリットの空隙部における第1面と第2面とのなす角度を外部角度とした場合、複数のスリットの外部角度は、相互に異なってもよい。
【0018】
上記の構成では、複数のスリットのそれぞれの外部角度が最適化されることにより、希望の照射範囲に光が照射される。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、外部角度は、入射部に近いスリットほど小さくてもよい。
【0020】
上記の構成では、複数の第1面のそれぞれで全反射する光の光量が均一化される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スリットは、後面に複数設けられ、複数のスリットの深さは、相互に異なってもよい。
【0022】
上記の構成では、複数のスリットのそれぞれの深さが最適化されることにより、希望の照射範囲に光が照射される。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、深さは、入射部から遠いほど深くてもよい。
【0024】
上記の構成では、複数の第1面のそれぞれで全反射する光の光量が均一化される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、導光部は、環状であり、スリットは、導光部の周方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。
【0026】
上記の構成では、希望の照射範囲に光が照射される。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、光学部材の中心を通り上下方向に延びる基準線を規定した場合、複数のスリットは、基準線に対して線対称でもよい。入射部は、左右方向に間隔をあけて2つ設けられてもよい。左側の入射部に入射した光は、光学部材の中心よりも左側の前記導光部の内部を進行してもよい。右側の入射部に入射した光は、光学部材の中心よりも右側の前記導光部の内部を進行してもよい。
【0028】
上記の構成では、希望の照射範囲に光が照射される。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ねじ締め工具は、ステータと、ステータに対して回転可能なロータと、を有するブラシレスモータと、ロータの前方側に配置され、ロータの回転を減速する減速機構と、減速機構の前方側に配置され、減速機構により回転される出力軸と、減速機構を収容し、出力軸を回転可能に支持するケースと、発光素子と、ケースに保持され、発光素子の光が入る入射部と、入射部からの光を反射する反射部と、を有する円環光学部材と、を備えてもよい。
【0030】
上記の構成では、円環光学部材に発光素子の光が入る入射部と入射部からの光を反射する反射部とが設けられるので、入射部から円環光学部材に入射し、円環光学部材の内部を進行し、反射部で反射した光は、希望の照射範囲に照射される。
【0031】
1つ又はそれ以上の実施形態において、反射部は、入射部に近い第1の反射面と、第1の反射面よりも入射部から遠い第2の反射面と、を含み、第1の反射面からの反射光と、第2の反射面からの反射光とは、略同一の光量でもよい。
【0032】
上記の構成では、均一な照度分布で作業対象が照明される。
【0033】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、電動作業機の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0034】
[電動作業機]
図1は、本実施形態に係る電動作業機1を示す前方からの斜視図である。
図2は、本実施形態に係る電動作業機1の上部を示す正面図である。
図3は、本実施形態に係る電動作業機1の上部を示す側面図である。
図4は、本実施形態に係る電動作業機1の上部を示す縦断面図である。
図5は、本実施形態に係る電動作業機1の上部を示す横断面図である。
【0035】
本実施形態において、電動作業機1は、動力源として電動のモータ6を有する電動工具である。モータ6の回転軸AXに平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸AXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。また、径方向において、回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称し、回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。本実施形態において、回転軸AXは、前後方向に延伸する。軸方向一方側は、前方であり、軸方向他方側は、後方である。
【0036】
本実施形態において、電動作業機1は、電動工具の一種であるインパクト工具であることとする。以下の説明においては、電動作業機1を適宜、インパクト工具1、と称する。
【0037】
本実施形態において、インパクト工具1は、ねじ締め工具の一種であるインパクトドライバである。インパクト工具1は、ハウジング2と、リヤカバー3と、ハンマケース4と、ケースカバー5と、モータ6と、減速機構7と、スピンドル8と、打撃機構9と、アンビル10と、工具保持機構11と、ファン12と、バッテリ装着部13と、トリガレバー14と、正逆転切換レバー15と、手元モード切換ボタン16と、ライトユニット18とを備える。
【0038】
ハウジング2は、合成樹脂製である。本実施形態において、ハウジング2は、ナイロン製である。ハウジング2は、左ハウジング2Lと、左ハウジング2Lの右方に配置される右ハウジング2Rとを含む。左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとは、複数のねじ2Sにより固定される。ハウジング2は、一対の半割れハウジングにより構成される。
【0039】
ハウジング2は、モータ収容部21と、グリップ部22と、バッテリ保持部23とを有する。
【0040】
モータ収容部21は、筒状である。モータ収容部21は、モータ6、ベアリングボックス24の一部、及びハンマケース4の後部を収容する。
【0041】
グリップ部22は、モータ収容部21から下方に突出する。トリガレバー14は、グリップ部22の上部に設けられる。グリップ部22は、作業者に握られる。
【0042】
バッテリ保持部23は、グリップ部22の下端部に接続される。前後方向及び左右方向のそれぞれにおいて、バッテリ保持部23の外形の寸法は、グリップ部22の外形の寸法よりも大きい。
【0043】
リヤカバー3は、合成樹脂製である。リヤカバー3は、モータ収容部21の後方に配置される。リヤカバー3は、ファン12の少なくとも一部を収容する。ファン12は、リヤカバー3の内周側に配置される。リヤカバー3は、モータ収容部21の後端部の開口を覆うように配置される。リヤカバー3は、ねじ3Sによりモータ収容部21の後端部に固定される。
【0044】
モータ収容部21は、吸気口19を有する。リヤカバー3は、排気口20を有する。ハウジング2の外部空間の空気は、吸気口19を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間の空気は、排気口20を介してハウジング2の外部空間に流出する。
【0045】
ハンマケース4は、減速機構7を収容するギヤケースとして機能する。ハンマケース4は、減速機構7、スピンドル8、打撃機構9、及びアンビル10の少なくとも一部を収容する。ハンマケース4は、金属製である。本実施形態において、ハンマケース4は、アルミニウム製である。ハンマケース4は、筒状である。
【0046】
ハンマケース4は、後側筒部4Aと、前側筒部4Bと、環状部4Cとを含む。前側筒部4Bは、後側筒部4Aよりも前方に配置される。後側筒部4Aの外径は、前側筒部4Bの外径よりも大きい。後側筒部4Aの内径は、前側筒部4Bの内径よりも大きい。環状部4Cは、後側筒部4Aの前端部と前側筒部4Bの後端部とを繋ぐように配置される。
【0047】
ハンマケース4は、モータ収容部21の前部に接続される。後側筒部4Aの後部にベアリングボックス24が固定される。減速機構7の少なくとも一部は、ベアリングボックス24の内側に配置される。ベアリングボックス24の外周部にねじ山が形成される。後側筒部4Aの後部の内周部にねじ溝が形成される。ベアリングボックス24のねじ山と後側筒部4Aのねじ溝とが結合されることにより、ベアリングボックス24とハンマケース4とが固定される。ハンマケース4は、左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとに挟まれる。ベアリングボックス24の一部及び後側筒部4Aの後部は、モータ収容部21に収容される。ベアリングボックス24は、モータ収容部21及びハンマケース4のそれぞれに固定される。
【0048】
ケースカバー5は、ハンマケース4の表面の少なくとも一部を覆う。本実施形態において、ケースカバー5は、後側筒部4Aの表面を覆う。ケースカバー5は、合成樹脂製である。本実施形態において、ケースカバー5は、ポリカーボネート樹脂製である。ケースカバー5は、ハンマケース4を保護する。ケースカバー5は、ハンマケース4とインパクト工具1の周囲の物体との接触を抑制する。ケースカバー5は、ハンマケース4と作業者との接触を抑制する。
【0049】
モータ6は、インパクト工具1の動力源である。モータ6は、回転力を発生する。モータ6は、電動モータである。モータ6は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ6は、ステータ26と、ロータ27とを有する。ステータ26は、モータ収容部21に支持される。ロータ27の少なくとも一部は、ステータ26の内側に配置される。ロータ27は、ステータ26に対して回転する。ロータ27は、前後方向に延伸する回転軸AXを中心に回転する。
【0050】
ステータ26は、ステータコア28と、前インシュレータ29と、後インシュレータ30と、コイル31とを有する。
【0051】
ステータコア28は、ロータ27よりも径方向外側に配置される。ステータコア28は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ステータコア28は、筒状である。ステータコア28は、コイル31を支持する複数のティースを有する。
【0052】
前インシュレータ29は、ステータコア28の前部に設けられる。後インシュレータ30は、ステータコア28の後部に設けられる。前インシュレータ29及び後インシュレータ30のそれぞれは、合成樹脂製の電気絶縁部材である。前インシュレータ29は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。後インシュレータ30は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。
【0053】
コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28に装着される。コイル31は、複数配置される。コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28のティースの周囲に配置される。コイル31とステータコア28とは、前インシュレータ29及び後インシュレータ30により電気的に絶縁される。複数のコイル31は、ヒュージング端子38を介して接続される。
【0054】
ロータ27は、回転軸AXを中心に回転する。ロータ27は、ロータコア部32と、ロータシャフト部33と、ロータ磁石34と、センサ磁石35とを有する。
【0055】
ロータコア部32及びロータシャフト部33のそれぞれは、鋼製である。本実施形態において、ロータコア部32とロータシャフト部33とは、一体である。ロータシャフト部33の前部は、ロータコア部32の前端面から前方に突出する。ロータシャフト部33の後部は、ロータコア部32の後端面から後方に突出する。
【0056】
ロータ磁石34は、ロータコア部32に固定される。ロータ磁石34は、円筒状である。ロータ磁石34は、ロータコア部32の周囲に配置される。
【0057】
センサ磁石35は、ロータコア部32に固定される。センサ磁石35は、円環状である。センサ磁石35は、ロータコア部32の前端面及びロータ磁石34の前端面に配置される。
【0058】
前インシュレータ29にセンサ基板37が取り付けられる。センサ基板37は、ねじ29Sにより前インシュレータ29に固定される。センサ基板37は、円環状の回路基板と、回路基板に支持される磁気センサ37Aと、磁気センサ37Aを覆う樹脂モールド体37Bとを有する。センサ基板37の少なくとも一部は、センサ磁石35に対向する。磁気センサ37Aは、センサ磁石35の位置を検出することにより、ロータ27の回転方向の位置を検出する。
【0059】
ロータシャフト部33の後部は、ロータベアリング39に回転可能に支持される。ロータベアリング39の前部は、ロータベアリング40に回転可能に支持される。ロータベアリング39は、リヤカバー3に保持される。ロータベアリング40は、ベアリングボックス24に保持される。ロータシャフト部33の前端部は、ベアリングボックス24の開口を介してハンマケース4の内部空間に配置される。
【0060】
ロータシャフト部33の前端部にピニオンギヤ41が形成される。ピニオンギヤ41は、減速機構7の少なくとも一部に連結される。ロータシャフト部33は、ピニオンギヤ41を介して減速機構7に連結される。
【0061】
減速機構7は、モータ6の回転力をスピンドル8及びアンビル10に伝達する。減速機構7は、ハンマケース4の後側筒部4Aに収容される。減速機構7は、複数のギヤを有する。減速機構7は、モータ6よりも前方に配置される。減速機構7は、ロータ27の前方側に配置される。減速機構7は、ロータシャフト部33とスピンドル8とを連結する。減速機構7のギヤは、ロータ27により駆動される。減速機構7は、ロータ27の回転をスピンドル8に伝達する。減速機構7は、ロータ27の回転を減速する。減速機構7は、ロータシャフト部33の回転速度よりも低い回転速度でスピンドル8を回転させる。減速機構7は、遊星歯車機構を含む。
【0062】
減速機構7は、ピニオンギヤ41の周囲に配置される複数のプラネタリギヤ42と、複数のプラネタリギヤ42の周囲に配置されるインターナルギヤ43とを有する。ピニオンギヤ41、プラネタリギヤ42、及びインターナルギヤ43のそれぞれは、ハンマケース4及びベアリングボックス24に収容される。複数のプラネタリギヤ42のそれぞれは、ピニオンギヤ41に噛み合う。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してスピンドル8に回転可能に支持される。スピンドル8は、プラネタリギヤ42により回転される。インターナルギヤ43は、プラネタリギヤ42に噛み合う内歯を有する。インターナルギヤ43は、ベアリングボックス24に固定される。インターナルギヤ43は、ベアリングボックス24に対して常に回転不可能である。
【0063】
モータ6の駆動によりロータシャフト部33が回転すると、ピニオンギヤ41が回転し、プラネタリギヤ42がピニオンギヤ41の周囲を公転する。プラネタリギヤ42は、インターナルギヤ43の内歯に噛み合いながら公転する。プラネタリギヤ42の公転により、ピン42Pを介してプラネタリギヤ42に接続されているスピンドル8は、ロータシャフト部33の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0064】
スピンドル8は、モータ6の回転力により回転する。スピンドル8は、モータ6の少なくとも一部よりも前方に配置される。スピンドル8は、ステータ26よりも前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、ロータ27よりも前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、減速機構7の前方に配置される。スピンドル8は、ロータ27により回転される。スピンドル8は、減速機構7により伝達されたロータ27の回転力により回転する。
【0065】
スピンドル8は、フランジ部8Aと、フランジ部8Aから前方に突出するスピンドルシャフト部8Bとを有する。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してフランジ部8Aに回転可能に支持される。スピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。スピンドル8は、回転軸AXを中心に回転する。
【0066】
スピンドル8は、スピンドルベアリング44に回転可能に支持される。スピンドルベアリング44は、ベアリングボックス24に保持される。スピンドル8は、フランジ部8Aの後部から後方に突出する円環部8Cを有する。スピンドルベアリング44は、円環部8Cの内側に配置される。本実施形態において、スピンドルベアリング44の外輪が円環部8Cに接続され、スピンドルベアリング44の内輪がベアリングボックス24に支持される。
【0067】
打撃機構9は、モータ6により駆動される。モータ6の回転力は、減速機構7及びスピンドル8を介して打撃機構9に伝達される。打撃機構9は、モータ6により回転するスピンドル8の回転力に基づいて、アンビル10を回転方向に打撃する。打撃機構9は、ハンマ47と、ボール48と、コイルスプリング49とを有する。ハンマ47を含む打撃機構9は、ハンマケース4に収容される。
【0068】
ハンマ47は、減速機構7よりも前方に配置される。ハンマ47は、後側筒部4Aに収容される。ハンマ47は、スピンドルシャフト部8Bの周囲に配置される。ハンマ47は、スピンドルシャフト部8Bに保持される。ボール48は、スピンドルシャフト部8Bとハンマ47との間に配置される。コイルスプリング49は、フランジ部8A及びハンマ47のそれぞれに支持される。
【0069】
ハンマ47は、モータ6により回転される。モータ6の回転力は、減速機構7及びスピンドル8を介してハンマ47に伝達される。ハンマ47は、モータ6により回転するスピンドル8の回転力に基づいて、スピンドル8と一緒に回転可能である。ハンマ47の回転軸とスピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。ハンマ47は、回転軸AXを中心に回転する。
【0070】
ボール48は、鉄鋼のような金属製である。ボール48は、スピンドルシャフト部8Bとハンマ47との間に配置される。スピンドル8は、ボール48の少なくとも一部が配置されるスピンドル溝8Dを有する。スピンドル溝8Dは、スピンドルシャフト部8Bの外周面の一部に設けられる。ハンマ47は、ボール48の少なくとも一部が配置されるハンマ溝47Aを有する。ハンマ溝47Aは、ハンマ47の内面の一部に設けられる。ボール48は、スピンドル溝8Dとハンマ溝47Aとの間に配置される。ボール48は、スピンドル溝8Dの内側及びハンマ溝47Aの内側のそれぞれを転がることができる。ハンマ47は、ボール48に伴って移動可能である。スピンドル8とハンマ47とは、スピンドル溝8D及びハンマ溝47Aにより規定される可動範囲において、軸方向及び回転方向のそれぞれに相対移動することができる。
【0071】
コイルスプリング49は、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を発生する。コイルスプリング49は、フランジ部8Aとハンマ47との間に配置される。ハンマ47の後面にリング状の凹部47Cが設けられる。凹部47Cは、ハンマ47の後面から前方に窪む。凹部47Cの内側にワッシャ45が設けられる。コイルスプリング49の後端部は、フランジ部8Aに支持される。コイルスプリング49の前端部は、凹部47Cの内側に配置され、ワッシャ45に支持される。
【0072】
アンビル10は、モータ6の回転力により作動するインパクト工具1の出力部である。アンビル10は、モータ6の回転力により回転する。アンビル10は、減速機構7により回転されるインパクト工具1の出力軸である。アンビル10の少なくとも一部は、ハンマ47よりも前方に配置される。アンビル10は、先端工具が挿入される工具孔10Aを有する。先端工具として、ドライバビットが例示される。工具孔10Aは、アンビル10の前端部に設けられる。先端工具は、アンビル10に装着される。また、アンビル10の後端部に凹部10Bが設けられる。スピンドルシャフト部8Bの前端部に凸部が設けられる。スピンドルシャフト部8Bの前端部の凸部は、アンビル10の後端部に設けられた凹部10Bに挿入される。
【0073】
アンビル10は、ロッド状のアンビルシャフト部10Cと、アンビル突起部10Dとを有する。工具孔10Aは、アンビルシャフト部10Cの前端部に設けられる。先端工具は、アンビルシャフト部10Cに装着される。アンビル突起部10Dは、アンビル10の後端部に設けられる。アンビル突起部10Dは、アンビルシャフト部10Cの後端部から径方向外側に突出する。
【0074】
アンビル10は、アンビルベアリング46に回転可能に支持される。アンビル10の回転軸とハンマ47の回転軸とスピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。アンビル10は、回転軸AXを中心に回転する。アンビルベアリング46は、前側筒部4Bの内側に配置される。アンビルベアリング46は、ハンマケース4の前側筒部4Bに保持される。ハンマケース4は、減速機構7を収容し、アンビルベアリング46を介してアンビル10を回転可能に支持する。アンビルベアリング46は、アンビルシャフト部10Cを支持する。本実施形態において、アンビルベアリング46は、前後方向に2つ配置される。
【0075】
ハンマ47は、前方に突出するハンマ突起部47Bを有する。ハンマ突起部47Bは、アンビル突起部10Dに接触可能である。ハンマ突起部47Bとアンビル突起部10Dとが接触している状態で、モータ6が駆動することにより、アンビル10は、ハンマ47及びスピンドル8と一緒に回転する。
【0076】
アンビル10は、ハンマ47により回転方向に打撃される。例えばねじ締め作業において、アンビル10に作用する負荷が高くなると、モータ6が発生する動力だけではアンビル10を回転させることができなくなる状況が発生する場合がある。モータ6が発生する動力だけではアンビル10を回転させることができなくなると、アンビル10及びハンマ47の回転が停止する。スピンドル8とハンマ47とは、ボール48を介して軸方向及び周方向のそれぞれに相対移動可能である。ハンマ47の回転が停止しても、スピンドル8の回転は、モータ6が発生する動力により継続される。ハンマ47の回転が停止している状態で、スピンドル8が回転すると、ボール48がスピンドル溝8D及びハンマ溝47Aのそれぞれにガイドされながら後方に移動する。ハンマ47は、ボール48から力を受け、ボール48に伴って後方に移動する。すなわち、ハンマ47は、アンビル10の回転が停止された状態で、スピンドル8が回転することにより、後方に移動する。ハンマ47が後方に移動することにより、ハンマ突起部47Bとアンビル突起部10Dとの接触が解除される。
【0077】
コイルスプリング49は、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を発生する。後方に移動したハンマ47は、コイルスプリング49の弾性力により、前方に移動する。ハンマ47は、前方に移動するとき、ボール48から回転方向の力を受ける。すなわち、ハンマ47は、回転しながら前方に移動する。ハンマ47が回転しながら前方に移動すると、ハンマ突起部47Bは、回転しながらアンビル突起部10Dに接触する。これにより、アンビル突起部10Dは、ハンマ突起部47Bにより回転方向に打撃される。アンビル10には、モータ6の動力とハンマ47の慣性力との両方が作用する。したがって、アンビル10は、高いトルクで回転軸AXを中心に回転することができる。
【0078】
工具保持機構11は、アンビル10の前部の周囲に配置される。工具保持機構11は、工具孔10Aに挿入された先端工具を保持する。
【0079】
ファン12は、モータ6の回転力により回転する。ファン12は、モータ6のステータ26よりも後方に配置される。ファン12は、モータ6を冷却するための気流を生成する。ファン12は、ロータ27の少なくとも一部に固定される。ファン12は、ブッシュ12Aを介してロータシャフト部33の後部に固定される。ファン12は、ロータベアリング39とステータ26との間に配置される。ファン12は、ロータ27の回転により回転する。ロータシャフト部33が回転することにより、ファン12は、ロータシャフト部33と一緒に回転する。ファン12が回転することにより、ハウジング2の外部空間の空気が、吸気口19を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間に流入した空気は、ハウジング2の内部空間を流通することにより、モータ6を冷却する。ハウジング2の内部空間を流通した空気は、ファン12が回転することにより、排気口20を介してハウジング2の外部空間に流出する。
【0080】
バッテリ装着部13は、バッテリ保持部23の下部に配置される。バッテリパック25がバッテリ装着部13に装着される。バッテリパック25は、バッテリ装着部13に着脱可能である。バッテリパック25は、インパクト工具1の電源として機能する。バッテリパック25は、二次電池を含む。本実施形態において、バッテリパック25は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリ装着部13に装着されることにより、バッテリパック25は、インパクト工具1に電力を供給することができる。モータ6及びライトユニット18のそれぞれは、バッテリパック25から供給される電力に基づいて駆動する。
【0081】
トリガレバー14は、グリップ部22に設けられる。トリガレバー14は、モータ6を起動するために作業者に操作される。トリガレバー14が操作されることにより、モータ6の駆動と停止とが切り換えられる。
【0082】
正逆転切換レバー15は、グリップ部22の上部に設けられる。正逆転切換レバー15は、作業者に操作される。正逆転切換レバー15が操作されることにより、モータ6の回転方向が正転方向及び逆転方向の一方から他方に切り換えられる。モータ6の回転方向が切り換えられることにより、スピンドル8の回転方向が切り換えられる。
【0083】
手元モード切換ボタン16は、トリガレバー14の上方に設けられる。手元モード切換ボタン16は、作業者に操作される。手元モード切換ボタン16の後方に回路基板16A及びスイッチ16Bが配置される。スイッチ16Bは回路基板16Aの前面に搭載される。手元モード切換ボタン16は、スイッチ16Bの前方に配置される。手元モード切換ボタン16が後方に押し操作されることにより、スイッチ16Bが作動し、回路基板16Aから操作信号が出力される。回路基板16Aから出力された操作信号は、コントローラ(不図示)に送信される。コントローラは、回路基板16Aから出力された操作信号に基づいて、モータ6の制御モードを切り換える。
【0084】
[ライトユニット]
図6は、本実施形態に係るインパクト工具1の上部を示す前方からの斜視図である。
図7は、本実施形態に係るインパクト工具1の上部を示す前方からの分解斜視図である。
図8は、本実施形態に係る光学部材100を示す前方からの斜視図である。
図9は、本実施形態に係る光学部材100を示す後方からの斜視図である。
図10は、本実施形態に係る光学部材100を後方から見た図である。
図11は、本実施形態に係る光学部材100を下方から見た図である。
図12は、本実施形態に係る光学部材100を示す断面図である。
図13は、本実施形態に係る光学部材100の一部を模式的に示す図である。
【0085】
ライトユニット18は、照明光を射出する。ライトユニット18は、アンビル10及びアンビル10の周辺を照明光で照明する。ライトユニット18は、アンビル10の前方を照明光で照明する。また、ライトユニット18は、アンビル10に装着された先端工具及び先端工具の周辺を照明光で照明する。
【0086】
ライトユニット18は、ハンマケース4の前部に配置される。ライトユニット18は、前側筒部4Bの周囲に配置される。ライトユニット18は、前側筒部4Bを介してアンビルシャフト部10Cの周囲に配置される。ライトユニット18は、ハンマケース4の少なくとも一部に固定される。なお、ライトユニット18は、ハウジング2の少なくとも一部に固定されてもよい。
【0087】
ライトユニット18は、基板210に支持された発光素子200と、発光素子200から射出された光を前方に射出する光学部材100とを有する。光学部材100は、例えばポリカーボネート樹脂のような合成樹脂製である。なお、光学部材100は、ガラス製でもよい。発光素子200及び基板210は、光学部材100よりも下方に配置される。発光素子200は、発光ダイオード(LED:light emitting diode)を含む。発光素子200は、基板210の上面に実装される。本実施形態において、複数の発光素子200が基板210の上面に実装される。本実施形態において、発光素子200は、左右方向に間隔をあけて2つ配置される。基板210は、発光素子200の発光を制御可能な回路基板を含む。発光素子200と基板210とにより、チップオンボード発光ダイオード(COB LED:chip on board light emitting diodes)が構成されてもよい。
【0088】
光学部材100は、円環光学部材である。光学部材100は、アンビルシャフト部10C及び前側筒部4Bの周囲の少なくとも一部に配置される導光部101と、導光部101の下部から下方に突出する突出部102とを有する。本実施形態において、導光部101は、アンビルシャフト部10C及び前側筒部4Bの周囲に配置される。導光部101は、環状である。突出部102の下面に入射部103が設けられる。入射部103は、発光素子200に対向する。入射部103は、複数の発光素子200のそれぞれに対向するように複数設けられる。1つの発光素子200が1つの入射部103に対向する。本実施形態において、入射部103は、突出部102の下面において左右方向に間隔をあけて2つ設けられる。発光素子200から射出された光は、入射部103に入射する。入射部103に発光素子200の光が入る。入射部103から光学部材100の内部に入射した光は、導光部101の内部を進行する。
【0089】
導光部101は、前方を向く前面105と、後方を向く後面106とを有する。導光部101は、実質的に円柱状の部材を環状に曲げた形状を有する。前面105及び後面106のそれぞれは、曲面を含む。導光部101の内部を進行した光の少なくとも一部は、前面105から前方に射出される。導光部101の前面105は、入射部103からの光を前方に射出する光射出面である。
【0090】
導光部101の後面106に複数のスリット110が形成される。スリット110は、導光部101の周方向に間隔をあけて複数設けられる。スリット110は、後面106から前方に窪むように形成される。1つのスリット110は、第1面111と、第2面112とにより規定される。第1面111と第2面112とは、スリット110の空隙部を介して対向する。第2面112は、第1面111よりも入射部103から遠い位置に配置される。
【0091】
図9及び
図10に示すように、入射部103(発光素子200)に近いスリット110は、導光部101の後面106と内周面とに亘って形成される。入射部103(発光素子200)から遠いスリット110は、実質的に後面106のみに形成され、導光部101の内周面には形成されない。
【0092】
回転軸AXに平行な方向の軸を前後軸とし、回転軸AXの放射方向に平行な軸を放射軸とした場合、第2面112は、実質的に前後軸及び放射軸のそれぞれに平行な平面である。第2面112の前端部と第1面111の前端部とは、接続される。第1面111は、第1面111の前端部から後方に向かって第2面112から離れるように傾斜する。
【0093】
導光部101の外部(スリット110の空隙部)における第1面111と第2面112とのなす角度は、90度未満である。導光部101の内部における第1面111と第2面112とのなす角度は、270度以上である。以下の説明においては、導光部101の外部(スリット110の空隙部)における第1面111と第2面112とのなす角度を適宜、外部角度、と称し、導光部101の内部における第1面111と第2面112とのなす角度を適宜、内部角度、と称する。
【0094】
図13に模式的に示すように、スリット110の外部角度は、入射部103(発光素子200)に近いほど小さい。また、スリット110の深さ(前後方向の寸法)は、入射部103(発光素子200)から遠いほど深い。
【0095】
発光素子200から射出され、入射部103から光学部材100の内部に入射した光は、導光部101の内部を進行する。
図13に示すように、導光部101の内部を進行する光LFの一部は、第1面111で全反射して、前面105に向かって進行する。第1面111で反射した光LFは、前面105から前方に射出される。第1面111は、入射部103からの光を反射する反射部として機能する。
【0096】
スリット110は、導光部101の周方向に間隔をあけて複数設けられる。第1面111は、導光部101の周方向に間隔をあけて複数設けられる。入射部103からの光LFの一部は、第1のスリット110の第1面111で全反射して、前面105から前方に射出される。入射部103からの光LFの一部は、第1のスリット110を通過する。第1のスリット110を通過した光LFの一部は、第2のスリット110の第1面111で全反射して前面105から前方に射出され、第1のスリット110を通過した光LFの一部は、第2のスリット110を通過する。第2のスリット110を通過した光LFの一部は、第3のスリット110の第1面111で全反射して前面105から前方に射出され、第2のスリット110を通過した光LFの一部は、第3のスリット110を通過する。このように、入射部103からの光LFは、複数のスリット110のそれぞれに分配される。複数のスリット110の第1面111のそれぞれが光LFを全反射する。複数の第1面111のそれぞれで全反射する光LFの光量が均一になるように、複数のスリット110の構造が設定される。すなわち、入射部103に近い第1の第1面111からの反射光と、第1の第1面111よりも入射部103から遠い第2の第1面111からの反射光とが、略同一の光量になるように、複数のスリット110の構造が設定される。スリット110の構造は、スリット110の外部角度(内部角度)、及びスリット110の深さを含む。
【0097】
光学部材100の中心を通り上下方向に延びる基準線を規定した場合、複数のスリット110は、基準線に対して線対称である。左側の発光素子200から射出され、左側の入射部103に入射した光は、光学部材100の中心よりも左側の導光部101の内部を進行する。右側の発光素子200から射出され、右側の入射部103に入射した光は、光学部材100の中心よりも右側の導光部101の内部を進行する。
【0098】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、電動作業機1は、前後方向に延伸する回転軸AXを中心に回転するロータ27を有するモータ6と、モータ6よりも前方に配置され、ロータ27の回転力により作動する出力部であるアンビル10と、発光素子200からの光が入射する入射部103と、アンビル10の周囲の少なくとも一部に配置され入射部103からの光が進行する導光部101と、を有する光学部材100と、を備える。導光部101は、スリット110が設けられる後面106と、導光部101の内部を進行しスリット110で反射した光が射出される前面105と、を有する。
【0099】
上記の構成では、導光部101の後面106にスリット110が設けられるので、導光部101の内部を進行しスリット110で反射した光は、希望の照射範囲に照射される。すなわち、スリット110が最適化されることにより、希望の照射範囲に光が照射される。
【0100】
実施形態において、スリット110は、第1面111と、第1面111よりも入射部103から遠い位置に配置され、スリット110の空隙部を介して第1面111に対向する第2面112とにより規定される。第1面111は、導光部101の内部を進行した光の一部を全反射する。
【0101】
上記の構成では、第1面111で全反射した光が導光部101の前面105から射出される。
【0102】
実施形態において、回転軸AXに平行な方向の軸を前後軸とし、回転軸AXの放射方向に平行な軸を放射軸とした場合、第2面112は、前後軸及び放射軸のそれぞれに平行な平面である。
【0103】
上記の構成では、第2面112が後面106に対して実質的に垂直に形成される。第2面112は、光の反射に寄与しないので、第2面112を後面106に対して垂直に形成することにより、周方向におけるスリット110の寸法の大型化が抑制されるので、導光部101に多数のスリット110を形成することができる。
【0104】
実施形態において、第2面112の前端部と第1面111の前端部とが接続され、第1面111は、第1面111の前端部から後方に向かって第2面112から離れるように傾斜する。
【0105】
上記の構成では、入射部103からの光は、第1面111で全反射して前面105から射出される。
【0106】
実施形態において、スリット110は、後面106に複数設けられ、スリット110の空隙部における第1面111と第2面112とのなす角度を外部角度とした場合、複数のスリット110の外部角度は、相互に異なる。
【0107】
上記の構成では、複数のスリット110のそれぞれの外部角度が最適化されることにより、希望の照射範囲に光が照射される。
【0108】
実施形態において、外部角度は、入射部103に近いスリット110ほど小さい。
【0109】
上記の構成では、複数の第1面111のそれぞれで全反射する光の光量が均一化される。
【0110】
実施形態において、スリット110は、後面106に複数設けられ、複数のスリット110の深さは、相互に異なる。
【0111】
上記の構成では、複数のスリット110のそれぞれの深さが最適化されることにより、希望の照射範囲に光が照射される。
【0112】
実施形態において、深さは、入射部103から遠いほど深い。
【0113】
上記の構成では、複数の第1面111のそれぞれで全反射する光の光量が均一化される。
【0114】
実施形態において、導光部101は、環状であり、スリット110は、導光部101の周方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0115】
上記の構成では、希望の照射範囲に光が照射される。
【0116】
実施形態において、光学部材100の中心を通り上下方向に延びる基準線を規定した場合、複数のスリット110は、基準線に対して線対称である。入射部103は、左右方向に間隔をあけて2つ設けられる。左側の入射部103に入射した光は、光学部材100の中心よりも左側の前記導光部101の内部を進行する。右側の入射部103に入射した光は、光学部材100の中心よりも右側の前記導光部101の内部を進行する。
【0117】
上記の構成では、希望の照射範囲に光が照射される。
【0118】
[その他の実施形態]
上述の実施形態においては、インパクト工具1がインパクトドライバであることとした。インパクト工具1は、インパクトレンチでもよい。
【0119】
上述の実施形態においては、電動作業機1が電動工具の一種であるインパクト工具であることとした。電動工具は、インパクト工具に限定されない。電動工具として、ドライバドリル、アングルドリル、スクリュードライバ、ハンマ、ハンマドリル、マルノコ、及びレシプロソーが例示される。
【0120】
上述の実施形態において、電動作業機(1等)の電源は、バッテリパック25でなくてもよく、商用電源(交流電源)でもよい。
【符号の説明】
【0121】
1…電動作業機(インパクト工具)、2…ハウジング、2L…左ハウジング、2R…右ハウジング、2S…ねじ、3…リヤカバー、3S…ねじ、4…ハンマケース、4A…後側筒部、4B…前側筒部、4C…環状部、5…ケースカバー、6…モータ、7…減速機構、8…スピンドル、8A…フランジ部、8B…スピンドルシャフト部、8C…円環部、8D…スピンドル溝、9…打撃機構、10…アンビル(出力部)、10A…工具孔、10B…凹部、10C…アンビルシャフト部、10D…アンビル突起部、11…工具保持機構、12…ファン、12A…ブッシュ、13…バッテリ装着部、14…トリガレバー、15…正逆転切換レバー、16…手元モード切換ボタン、16A…回路基板、16B…スイッチ、18…ライトユニット、19…吸気口、20…排気口、21…モータ収容部、22…グリップ部、23…バッテリ保持部、24…ベアリングボックス、25…バッテリパック、26…ステータ、27…ロータ、28…ステータコア、29…前インシュレータ、29S…ねじ、30…後インシュレータ、31…コイル、32…ロータコア部、33…ロータシャフト部、34…ロータ磁石、35…センサ磁石、37…センサ基板、37A…磁気センサ、37B…樹脂モールド体、38…ヒュージング端子、39…ロータベアリング、40…ロータベアリング、41…ピニオンギヤ、42…プラネタリギヤ、42P…ピン、43…インターナルギヤ、44…スピンドルベアリング、45…ワッシャ、46…アンビルベアリング、47…ハンマ、47A…ハンマ溝、47B…ハンマ突起部、47C…凹部、48…ボール、49…コイルスプリング、100…光学部材、101…導光部、102…突出部、103…入射部、105…前面、106…後面、110…スリット、111…第1面、112…第2面、200…発光素子、210…基板、AX…回転軸。