(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004727
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】表示装置、印刷装置、及び表示プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 3/36 20060101AFI20240110BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240110BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240110BHJP
B41J 3/46 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41J3/36 Z
G06F3/12 356
G06F3/12 308
G06F3/12 332
G06F3/12 378
B41J29/42 F
B41J3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104501
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100143960
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 早百合
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 詠梨
【テーマコード(参考)】
2C055
2C061
【Fターム(参考)】
2C055CC05
2C055GG00
2C055GG02
2C055GG05
2C055GG12
2C061AP10
2C061AQ04
2C061AS11
2C061CQ24
2C061CQ34
(57)【要約】
【課題】印刷対象が印刷された熱収縮チューブを、ケーブルの形状に合わせて収縮させて使用する場合のユーザの利便性を従来よりも向上させることに貢献する、表示装置、印刷装置、及び表示プログラムを提供すること。
【解決手段】印刷装置の制御部は、所定範囲の熱を加えることで収縮する媒体であってチューブ状の媒体の外周の第一長さと、媒体の最大熱収縮率とを含む媒体情報を取得する(S21、S23)。制御部は、媒体に印刷する印刷対象の情報と、媒体の長手方向の第二長さと、を含む印刷情報を取得し(S20)、媒体を挿通するケーブルの径情報を取得する(S24)。制御部は、媒体情報と、印刷情報と、径情報とを用いて、媒体にケーブルを挿通させた状態で媒体を熱収縮させた場合における、収縮後の媒体に対する収縮後の印刷対象を示すプレビュー画像を表示部に表示させる(S29からS31、S35)。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
所定範囲の熱を加えることで収縮する媒体であってチューブ状の前記媒体の外周の第一長さと、前記媒体の最大熱収縮率と、を含む媒体情報を取得する媒体情報取得処理と、
前記媒体に印刷する印刷対象の情報と、前記媒体の長手方向の第二長さと、を含む印刷情報を取得する印刷情報取得処理と、
前記媒体を挿通するケーブルの径情報を取得する径情報取得処理と、
前記媒体情報と、前記印刷情報と、前記径情報とを用いて、前記媒体に前記ケーブルを挿通させた状態で前記媒体を熱収縮させた場合における、収縮後の前記媒体に対する収縮後の前記印刷対象を示すプレビュー画像を前記表示部に表示させる表示制御処理と
を実行することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示制御処理で、
前記ケーブルを表す画像と、
前記ケーブルを挿通した状態で収縮された前記媒体を表す画像と、
収縮された前記印刷対象を表す画像と
を含む前記プレビュー画像を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記表示制御処理で、
前記最大熱収縮率で前記媒体の前記外周の前記第一長さを収縮した場合の第三長さが、前記ケーブルの外周の第四長さ以上の場合は、前記最大熱収縮率で収縮させた前記印刷対象を表す前記プレビュー画像を前記表示部に表示し、
前記第三長さが、前記第四長さよりも小さい場合は、前記媒体の前記外周の長さが前記第四長さとなるまで収縮させた前記印刷対象を表す前記プレビュー画像を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記媒体は、前記媒体の前記長手方向と、前記長手方向に直交する幅方向とで、前記最大熱収縮率が互いに異なり、
前記制御部は、前記表示制御処理で、
前記媒体が前記長手方向と、前記幅方向とで、互いに異なる前記最大熱収縮率で収縮後の前記媒体に対する収縮後の前記印刷対象の形状を示す前記プレビュー画像を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記印刷対象の前記長手方向の長さ及び前記長手方向に直交する幅方向の長さを補正する補正指示が取得された場合、前記補正指示に応じて前記印刷対象の情報を補正する補正処理を更に実行し、
前記表示制御処理で、前記補正指示と、前記最大熱収縮率とに応じて補正した前記プレビュー画像を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記プレビュー画像が前記表示部に表示されているときに、所定操作を取得した場合に前記補正処理を実行し、
前記表示制御処理で、前記プレビュー画像が前記表示部に表示されているときに、前記所定操作が取得された場合に、前記補正指示と、前記最大熱収縮率とに応じて補正した前記プレビュー画像に更新することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
複数種類の媒体に関する情報を記憶する記憶部を更に備え、
前記記憶部に記憶される前記複数種類の媒体に関する前記情報は、前記複数種類の媒体それぞれの前記最大熱収縮率と前記第一長さとを含み、
前記制御部は、
前記表示制御処理で、前記プレビュー画像の表示の対象となる対象媒体の前記第三長さが、前記ケーブルの前記外周の前記第四長さよりも所定値を超えて大きい場合は、前記記憶部に記憶された前記複数種類の媒体のうち、前記最大熱収縮率と前記第一長さとから算出した第三長さが前記対象媒体の前記第三長さよりも小さい媒体に関する情報を前記表示部に表示することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記印刷対象を前記対象媒体に印刷装置で印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成処理と
前記複数種類の媒体毎に、前記印刷データを生成した実績を前記記憶部に記憶する記憶制御処理と
を更に実行し、
前記制御部は、前記表示制御処理で、
前記第三長さが、前記第四長さよりも前記所定値を超えて大きい場合は、前記記憶部に記憶された前記複数種類の媒体のうち、前記対象媒体よりも前記第三長さが小さい前記媒体に関する情報を、前記実績が記憶された前記媒体を優先して、前記表示部に表示することを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
所定範囲の熱を加えることで収縮するチューブ状の媒体を収容したカセットを装着する装着部と、
前記装着部に装着された前記カセットの種類を検出する検出器と、
表示部と、
印刷部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記検出器の検出結果を取得する検出結果取得処理と、
前記媒体に印刷する印刷対象を含む印刷情報を取得する印刷情報取得処理と、
前記媒体を配置するケーブルの径情報を取得する径情報取得処理と、
前記検出結果と、前記印刷情報と、前記径情報とから、前記媒体に前記ケーブルを挿通させた状態で前記媒体を熱収縮させた場合における、収縮後の前記媒体に対する収縮後の前記印刷対象の形状を示すプレビュー画像を前記表示部に表示させる表示制御処理と、
前記印刷情報に基づき前記印刷部を制御して、収縮前の前記印刷対象を表す画像を前記媒体に印刷する印刷制御処理と、
を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
表示部と、制御部とを備える表示装置の前記制御部に、
所定範囲の熱を加えることで収縮する媒体であって、チューブ状の前記媒体の外周の第一長さと、を含む媒体情報を取得する媒体情報取得処理と、
前記媒体の最大熱収縮率と、前記媒体に印刷する印刷対象の情報と、前記媒体の長手方向の第二長さと、を含む印刷情報を取得する印刷情報取得処理と、
前記媒体を挿通するケーブルの径情報を取得する径情報取得処理と、
前記媒体情報と、前記印刷情報と、前記径情報とから、前記媒体に前記ケーブルを挿通させた状態で前記媒体を熱収縮させた場合における、収縮後の前記媒体に対する収縮後の前記印刷対象の形状を示すプレビュー画像を前記表示部に表示させる表示制御処理と
を実行させる指示を含むことを特徴とする表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、印刷装置、及び表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置は、取得部、生成部、及びサーマルヘッドを備える。取得部は、熱収縮チューブを密着させる対象物の形状とサイズを含む対象物情報と熱収縮チューブに印刷するキャラクタの情報を取得する。生成部は、対象物情報とキャラクタの情報とに基づいて熱収縮チューブに印刷するキャラクタの情報を補正して印刷データを生成する。サーマルヘッドは、印刷データに基づいて熱収縮チューブにキャラクタを印刷する。ユーザは、印刷後の熱収縮チューブを対象物に挿通させた状態で、熱収縮チューブを加熱する。熱収縮チューブは、加熱されることで熱収縮し、対象物に密着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の印刷装置では、キャラクタ等の印刷対象が印刷された熱収縮チューブが、対象物としてのケーブルの形状に合わせて収縮された場合に、印刷対象の配置及び大きさ等がユーザの意図したものではない状況が発生することがある。
【0005】
本発明は、印刷対象が印刷された熱収縮チューブを、ケーブルの形状に合わせて収縮させて使用する場合のユーザの利便性を従来よりも向上させることに貢献する、表示装置、印刷装置、及び表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る表示装置は、表示部と、制御部とを備え、前記制御部は、所定範囲の熱を加えることで収縮する媒体であってチューブ状の前記媒体の外周の第一長さと、前記媒体の最大熱収縮率と、を含む媒体情報を取得する媒体情報取得処理と、前記媒体に印刷する印刷対象の情報と、前記媒体の長手方向の第二長さと、を含む印刷情報を取得する印刷情報取得処理と、前記媒体を挿通するケーブルの径情報を取得する径情報取得処理と、前記媒体情報と、前記印刷情報と、前記径情報とを用いて、前記媒体に前記ケーブルを挿通させた状態で前記媒体を熱収縮させた場合における、収縮後の前記媒体に対する収縮後の前記印刷対象を示すプレビュー画像を前記表示部に表示させる表示制御処理と
を実行する。第一態様の表示装置は、印刷対象が印刷された熱収縮チューブを、ケーブルの形状に合わせて収縮させた状態を示すプレビュー画像を表示部に表示させるので、印刷前にユーザが意図した状態で使用できる印刷物が得られるかを確認でき、ユーザの利便性を従来よりも向上させることに貢献する。
【0007】
本発明の第二態様に係る印刷装置は、所定範囲の熱を加えることで収縮するチューブ状の媒体を収容したカセットを装着する装着部と、前記装着部に装着された前記カセットの種類を検出する検出器と、表示部と、印刷部と、制御部とを備え、前記制御部は、前記検出器の検出結果を取得する検出結果取得処理と、前記媒体に印刷する印刷対象を含む印刷情報を取得する印刷情報取得処理と、前記媒体を配置するケーブルの径情報を取得する径情報取得処理と、前記検出結果と、前記印刷情報と、前記径情報とから、前記媒体に前記ケーブルを挿通させた状態で前記媒体を熱収縮させた場合における、収縮後の前記媒体に対する収縮後の前記印刷対象の形状を示すプレビュー画像を前記表示部に表示させる表示制御処理と、前記印刷情報に基づき前記印刷部を制御して、収縮前の前記印刷対象を表す画像を前記媒体に印刷する印刷制御処理と、を実行する。第二態様の印刷装置は、印刷対象が印刷された熱収縮チューブを、ケーブルの形状に合わせて収縮させた状態を示すプレビュー画像を表示部に表示させるので、印刷前にユーザが意図した状態で使用できる印刷物が得られるかを確認でき、ユーザの利便性を従来よりも向上させることに貢献する。印刷装置は、検出結果に基づき印刷情報のうちの、媒体の外周の第一長さ及び媒体の最大熱収縮率を自動で取得できる。印刷装置は、媒体の外周の第一長さ及び媒体の最大熱収縮率を入力するユーザの手間を省くことに貢献する。
【0008】
本発明の第三態様に係る表示プログラムは、表示部と、制御部とを備える表示装置の前記制御部に、所定範囲の熱を加えることで収縮する媒体であって、チューブ状の前記媒体の外周の第一長さと、を含む媒体情報を取得する媒体情報取得処理と、前記媒体の最大熱収縮率と、前記媒体に印刷する印刷対象の情報と、前記媒体の長手方向の第二長さと、を含む印刷情報を取得する印刷情報取得処理と、前記媒体を挿通するケーブルの径情報を取得する径情報取得処理と、前記媒体情報と、前記印刷情報と、前記径情報とから、前記媒体に前記ケーブルを挿通させた状態で前記媒体を熱収縮させた場合における、収縮後の前記媒体に対する収縮後の前記印刷対象の形状を示すプレビュー画像を前記表示部に表示させる表示制御処理とを実行させる指示を含む。第三態様の表示プログラムが表示装置で実行された場合、表示装置は、印刷対象が印刷された熱収縮チューブを、ケーブルの形状に合わせて収縮させた状態を示すプレビュー画像を表示部に表示させる。故に表示プログラムは、印刷前にユーザが意図した状態で使用できる印刷物が得られるかを確認でき、ユーザの利便性を従来よりも向上させることに貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】カバー6が開かれた状態の印刷装置1と、印刷装置1に着脱されるテープカセット30との斜視図である。
【
図2】印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】印刷済みの熱収縮テープ57をケーブル60に加熱固定する過程を示す概略図である。
【
図6】
図5の印刷処理で実行されるプレビュー処理のフローチャートである。
【
図7】プレビュー画像F1から3を生成する処理の説明図である。
【
図8】プレビュー画像F3を補正指示に従って補正する処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して順に説明する。以下の説明では、
図1の右上側、左下側、右下側、左上側、上側、及び下側を、それぞれ印刷装置1の後側、前側、右側、左側、上側、及び下側とする。
【0011】
図1に示すように、印刷装置1は、テープ状の媒体50にキャラクタ(文字、記号及び数字等)等の印刷対象を印刷可能な印刷装置である。印刷装置1の上面には、Enterキー11を含む、印刷対象を入力するためのキーボード3が設けられている。キーボード3の後側には、電源キー、決定キー、印刷キー、上下左右キー12、及び角度設定キー13等を含む機能キー群4が設けられている。以下の説明では、機能キー群4とキーボード3とを総称する場合、操作部2という。機能キー群4の後側には、入力した印刷対象を表示するためのディスプレイ5が設けられている。印刷装置1の上面の後部には、開閉可能なカバー6が設けられている。カバー6は、カバー6の後端部の左右方向を支点として開閉自在である。印刷装置1の左後角には、切断された印刷済みの媒体50を受けるテープトレイ7が設けられている。
【0012】
ディスプレイ5の後側には、カセット装着部8が設けられている。カセット装着部8には、テープカセット30が上下方向に着脱される。テープカセット30の内部には、媒体50とインクリボン(図示略)が巻回されて収納されている。媒体50は、例えば、片面に剥離紙が設けられ、剥離紙を剥離して他の物体に貼り付けることが可能なラベルテープ又はチューブ状の熱収縮テープ57である。印刷装置1のカセット装着部8には、リボン巻取軸9、テープ駆動軸(図示略)、プラテンローラ(図示略)、及びサーマルヘッド10等が設けられている。リボン巻取軸9は、インクリボンを巻き取る。テープ駆動軸は、媒体50を搬送する。サーマルヘッド10は、インクリボンを加熱して印刷を行う。
【0013】
印刷装置1が印刷を実行する際には、リボン巻取軸9によって、インクリボンが引き出されながら、テープ駆動軸とプラテンローラとによって媒体50が搬送される。そして、媒体50とインクリボンとがプラテンローラによってサーマルヘッド10に押し付けられながら、サーマルヘッド10によってインクリボンを介して媒体50に印刷が行われる。印刷された媒体50は、媒体50の搬送経路上に設けられた移動刃(図示略)によって切断され、印刷装置1の外部に排出される。
【0014】
カセット装着部8には、種々のテープカセット30を装着可能である。テープカセット30は、テープカセット30の種類を示す指標部31を備える。指標部31は、テープの種類に応じて規定のパターンで設けられた少なくとも1つの孔部32を含む。各孔部32は、印刷装置1に設けられた検出器23(
図2参照)が備える5つの検出スイッチ(図示略)のうち何れかに対応する位置に設けられる。よって、印刷装置1にテープカセット30が装着されると、検出スイッチは、指標部31によって選択的に押圧される。印刷装置1では、このときの検出スイッチのオン/オフの組合せに基づいて、テープカセット30の種類が検出される。
【0015】
図2を参照して、印刷装置1の電気的構成について説明する。
図2に示すように、印刷装置1は、CPU91、ROM92、CGROM93、RAM94、及びフラッシュメモリ99を備える。ROM92、CGROM93、RAM94、及びフラッシュメモリ99は、それぞれCPU91に電気的に接続されている。
【0016】
ROM92には、印刷装置1の制御上必要な各種のプログラム等が記憶されている。CPU91は、これらのプログラムに基づいて各種演算を行う。CGROM93には、各種印刷対象を印刷するための印刷用ドットパターンデータが、書式及びサイズ毎に分類され、コードデータに対応させて記憶されている。したがって、印刷装置1は、キャラクタ、書式、及びサイズが定まれば、印刷対象の大きさを特定可能である。RAM94には、テキストメモリ、及びプリントバッファ等、複数の記憶エリアが設けられている。テキストメモリには、キーボード3から入力された印刷対象のデータが格納される。プリントバッファには、印刷対象の印刷用ドットパターンが格納される。
【0017】
フラッシュメモリ99は、媒体情報記憶エリア15、設定値記憶エリア16、及びその他の記憶エリア17を備える。
図3に示すように、媒体情報記憶エリア15は、複数種類の媒体50に関する情報を記憶する。複数種類の媒体50に関する情報は、ID、幅方向Wの長さ、媒体50の種類、最大熱収縮率、及び印刷回数を含む。本実施形態の媒体50は、幅方向Wと長手方向Lとで最大熱収縮率が互いに異なる。幅方向Wは、媒体50の長手方向Lに直交する方向である。媒体情報記憶エリア15には、幅方向Wと長手方向Lとの各々について最大熱収縮率が記憶されている。媒体50の種類は、テープの素材及び態様を示す。種類には、例えば、ラミネート、レセプタ、熱収縮、及び布がある。「ラミネート」は、樹脂製の透明フィルムテープに印刷がなされた後、印刷面に両面粘着テープが貼り合わせられる態様を示す。「レセプタ」は、樹脂製の片面粘着テープに印刷が行われる態様を示す。「熱収縮」は、加熱することで熱収縮する素材で形成された筒状のテープに印刷が行われる態様を示す。「布」は、感熱性の接着剤が一面に塗布された布テープに印刷が行われる態様を示す。設定値記憶エリア16には、印刷領域を特定する処理で用いられる余白の大きさを含む各種設定値が記憶されている。その他の記憶エリア17は、各種演算データ等が記憶される。
【0018】
印刷装置1は更に、検出器23、操作部2、液晶駆動回路(LCDC)95、及び駆動回路96から98を備える。検出器23、操作部2、LCDC95、及び駆動回路96から98は、それぞれCPU91に電気的に接続されている。駆動回路96は、サーマルヘッド10を駆動するための電子回路である。駆動回路97は、リボン巻取軸9(
図1参照)及びテープ駆動軸(図示略)を回転させるテープ送りモータ24を駆動するための電子回路である。駆動回路98は、印刷装置1の外部に排出される印刷済みの媒体50を切断する移動刃(図示略)を動作させるカッターモータ25を駆動するための電子回路である。LCDC95は、ディスプレイ5に印刷対象を出力するための電子回路である。
【0019】
印刷処理の概要について説明する。印刷装置1は、媒体50の種類が「熱収縮」である場合の印刷済みの媒体50を所定条件で使用する場合の、媒体50に対する印刷対象51の配置を表すプレビュー画像を、印刷前にディスプレイ5に表示する機能を有する。所定条件は、媒体50の種類が「熱収縮」である場合の印刷済みの媒体50をケーブル60に挿入した後、媒体50を加熱することで、媒体50をケーブル60の外周面61に沿った形状に収縮させる条件である。ケーブル60は、断面が円状でもよいし、断円状、多角形状等の他の形状でもよい。本実施形態のプレビュー画像は、熱収縮後の媒体50に対する収縮後の印刷対象51を示す。
【0020】
図4を参照して、ケーブル60の外周面61に、印刷済みの熱収縮テープ57を加熱固定する場合についてより詳細に説明する。熱収縮テープ57は、所定範囲の温度に加熱することで熱収縮する素材で形成された筒状、長尺状のテープである。所定範囲は、熱収縮テープ57の種類に応じて設定される。熱収縮テープ57は、例えば、HSTTのポリオレフィンが使用されて形成される。HSTTのポリオレフィンは、一般的な熱収縮チューブの材料として使用され、経済的且つ簡単にハーネスや電子部材の絶縁・保護が可能である。HSTTのポリオレフィンでは、使用温度範囲が-55℃から135℃、熱収縮温度120℃から135℃、媒体50の幅方向Wの最大熱収縮率QWが50%、媒体50の長手方向Lの最大熱収縮率QLは±5%である。熱収縮温度はサーマルヘッド10の加熱温度よりも高いことが好ましい。
【0021】
熱収縮テープ57は、面58が印刷面に、面59が印刷面の裏面になるように扁平状に押しつぶされた状態で、テープカセット30に収容されている。印刷済みの熱収縮テープ57は、テープカセット30から排出され、切断された後、
図4の状態C1で示すように展開される。チューブ状の媒体50の外周の第一長さL1と言う。第一長さL1は、媒体50の幅方向Wの長さW1の二倍の長さである。媒体50の長手方向Lの長さを第二長さL2と言う。具体例の熱収縮テープ57は、媒体50の幅方向Wの長さW1は、媒体50の第二長さL2よりも短い。面58にはアルファベット文字「ABC」を表す印刷対象51が印刷される。面58の反対側の面59には印刷対象は印刷されない。状態C2、C3では、印刷対象51の印刷範囲を斜線の網掛けで示す。
【0022】
図4の状態C2で示すように、筒状に展開された熱収縮テープ57に、ケーブル60が挿通される。ケーブル60の長手方向Bは、熱収縮テープ57の長手方向Lと一致する。状態C2のようにケーブル60が挿通された熱収縮テープ57は、ドライヤー等の加熱装置によって所定範囲の熱収縮温度に加熱される。加熱により熱収縮テープ57の面58、59が、主に幅方向Wに収縮し、
図4の状態C3で示すように、熱収縮テープ57はケーブル60の外周面61に固定される。
図4の状態C3では、収縮後の熱収縮テープ57の内周は、ケーブル60の外周面61と当接する。つまり、収縮後の熱収縮テープ57の外周の第三長さL3は、ケーブル60の外周の第四長さL4と略等しい。第四長さL4は、ケーブル60の周方向Gの長さである。周方向Gは、ケーブル60の外周面61に沿った方向である。この時、印刷対象51は、熱収縮テープ57の収縮量に応じて縮小される。ケーブル60の外周の第四長さL4よりも、熱収縮後の第三長さL3が大きい場合、熱収縮テープ57の内周と、ケーブル60の外周面61との間に隙間が生じ、熱収縮テープ57はケーブル60の外周面61に固定されない。
【0023】
図5から
図8を参照して、本実施形態の印刷処理について説明する。
図5及び
図6に示す処理は、印刷装置1において、電源がオンにされ、操作部2を介して印刷対象51の情報が入力されると開始され、ROM92に記憶されたプログラムに従って、CPU91によって実行される。処理の過程で得られたデータは適宜RAM94に記憶される。具体例1から3として、印刷対象51がキャラクタ「ABC」であり、IDが10011で示される媒体50を収容するテープカセット30がカセット装着部8に装着されている場合を説明する。具体例1から3では、印刷後の熱収縮テープ57に挿通するケーブル60の径L7(
図4参照)が互いに異なる。具体例1のケーブル60の径L7は、4mmである。具体例2のケーブル60の径L7は5mmである。具体例3のケーブル60の径L7は、6mmである。具体例1から3の印刷処理は、各々互いに異なるタイミングで実行されるが、以下では説明を簡単にするために、具体例1から3の印刷処理を並列に説明する。
【0024】
図5に示すように、CPU91は、検出器23からの出力結果を取得する(S1)。具体例1から3では、CPU91は、出力結果に基づき、カセット装着部8に装着されているテープカセット30のID「10011」を取得する。CPU91は、表示モードを選択する指示が検出されたかを判断する(S2)。ユーザは操作部2を操作することで、表示モードを選択する指示、及びテキストを編集する指示を含む各種指示を入力できる。表示モードを選択する指示が検出されない場合(S2:NO)、CPU91は、テキストの編集の指示を取得し(S3)、取得された指示に基づき編集されたテキストをディスプレイ5に表示する(S4)。テキストを編集する指示は、印刷対象51を編集する指示であり、例えば、テキストを指定する指示、テキストの大きさ、フォント、修飾(斜体、太文字、下線等)の有無等を指定する指示である。具体例1から3では、テキスト「ABC」を指定する指示に基づき、
図7の画像Fを表示する。画像Fは、熱収縮前の媒体50を示す画像Pと、熱収縮前の印刷対象51を表す画像Pを含む。画像Fの左右方向が、媒体50の長手方向Lに対応し、画像Fの上下方向が媒体50の幅方向Wに対応する。CPU91は、印刷開始の指示を検出したかを判断する(S6)。印刷開始の指示が検出されていない場合(S6:NO)、CPU91は処理をS2に戻す。
【0025】
表示モードを選択する指示が検出された場合(S2:YES)、CPU91は、プレビュー処理を実行する(S5)。
図6に示すように、プレビュー処理では、CPU91は、印刷情報を取得する(S20)。印刷情報は、媒体50に印刷する印刷対象51の情報と、媒体50の長手方向Lの第二長さL3とを含む。印刷対象51の情報は、印刷対象51を媒体50に印刷するために必要な各種情報であり、例えば、テキスト、テキストの大きさ、フォント、修飾の有無、修飾の種類(例えば、斜体、太文字、下線等)を含む。媒体50の長手方向Lの第二長さL3はユーザにより設定されてもよいし、印刷対象51の長手方向Lの第二長さL2と、長手方向Lの余白とに基づき、自動で設定されてもよい。
【0026】
CPU91は、媒体情報を取得する(S21)。媒体情報は、媒体情報記憶エリア15に記憶された媒体情報の中から、S1で取得された検出結果が示すIDに対応する媒体情報が取得される。CPU91は、S21で取得された媒体情報に基づき、テープカセット30に収容された媒体50が熱収縮媒体かを判断する(S22)。媒体50が熱収縮媒体ではない場合(S22:NO)、CPU91は、通常のプレビュー表示処理を行う(S50)。CPU91は、以上でプレビュー処理を終了し、処理を
図5の印刷処理に戻す。
【0027】
媒体50が熱収縮媒体である場合(S22:YES)、CPU91は、S21で取得された媒体情報に基づき、最大熱収縮率を取得する(S23)。本実施形態のCPU91は、媒体50の幅方向Wの最大熱収縮率QWと、媒体50の長手方向Lの最大熱収縮率QLとの各々を取得する。具体例1から3の最大熱収縮率QWは、50%であり、最大熱収縮率QLは0%である。CPU91は、媒体50を挿通するケーブル60の径情報を取得する(S24)。径情報は、媒体50を挿通するケーブル60の外周の長さである第四長さL4を特定可能な情報であればいい。径情報は、操作部2を介して取得されてもよいし、印刷装置1が外部機器と通信する通信部を備える場合には、通信部を介して、外部機器から取得されてもよい。例えば、印刷装置1が、フラッシュメモリ99に、ケーブル60のIDと、径L7とを対応付けて記憶している場合には、ケーブル60のIDを径情報として取得し、ケーブル60の径L7を特定してもよい。本実施形態のCPU91は、径情報として第四長さL4を取得する。CPU91は具体例1の第四長さL4として、12.6mmを取得する。CPU91は、具体例2の第四長さL4として、15.7mmを取得する。CPU91は、具体例3の第四長さL4として、18.8mmを取得する。CPU91は、S24で径情報が入力済みでない場合には(S25:NO)、径情報を入力する画面をディスプレイ5に表示し(S26)、処理をS24に戻す。CPU91は、S24で径情報が入力済みでない場合には、前回の値を径情報と取得してもよいし、デフォルト値を径情報として取得してもよい。
【0028】
径情報が入力済みである場合(S25:YES)、CPU91は、第三長さL3が第四長さL4以上であるかを判断する(S27)。第三長さL3は、最大熱収縮率QWで媒体50の外周の長さである第一長さL1を収縮した場合の長さである。第四長さL4は、S24で取得された径情報に基づき特定されるケーブル60の外周の長さである。第三長さL3は、以下の式(1)に従って計算され、具体例1から3の第三長さL3は、16mmである。
L3=(100-QW)×L1/100 ・・・式(1)
【0029】
具体例1及び具体例2では、第三長さL3が第四長さL4以上であると判断され(S27:YES)、CPU91は、第三長さL3から第四長さL4を差し引いた値、つまり第三長さL3と第四長さL4との差が、所定値よりも大きいかを判断する(S28)。所定値は予め定められた値であればよく、ケーブル60の径L7に応じて自動的に設定されてもよいし、ユーザが設定してもよい。所定値は、ケーブル60の径L7よりも小さい。本実施形態の所定値は、ケーブル60の径L7の半分の長さよりも小さい。本実施形態の所定値は、一例として1mmである。具体例1では、差が所定値よりも大きいと判断され(S28:YES)、CPU91は、候補の媒体の情報と、プレビュー画像とを生成する(S29)。差が所定値よりも大きい場合は、最大熱収縮率QWで熱収縮した場合の媒体50の外周の第三長さL3が、ケーブル60の外周の第四長さL4に比べて許容量よりも大きい場合である。候補の媒体の情報は、現在カセット装着部8に装着されているテープカセット30の媒体50とは別の媒体50であって、現在の媒体50よりも第三長さL3が短い媒体50を特定する情報である。
【0030】
より具体的には、CPU91は、媒体情報記憶エリア15を参照し、候補の媒体の情報として、第一長さL1が第四長さL4よりも長く、且つ、第三長さL3が第四長さL4よりも短い媒体50を特定し、特定した媒体50のIDを含む情報を生成する。本実施形態のCPU91は、現在の媒体50よりも第三長さL3が短い媒体50が複数ある場合、複数の候補のうちの印刷回数が最も多い媒体50のIDを含む情報を生成する。具体例1では、媒体情報記憶エリア15のうち、IDが「10012」、「10013」、「10014」である三種類の媒体50の各々が、第一長さL1が第四長さL4よりも長く、且つ、第三長さL3が第四長さL4よりも短い条件を満たす。CPU91は、三種類の媒体50のうちの、印刷回数が最も多い「10013」を含む情報を、候補の媒体の情報として生成する。
【0031】
本実施形態のプレビュー画像は、ケーブル60を表す画像と、ケーブル60を挿通した状態で収縮された媒体を表す画像と、収縮された印刷対象51を表す画像とを含む。ケーブル60を表す画像は、ケーブル60を撮影した写真であってもよいし、ケーブル60を表すイラストでもよい。ケーブル60を表す画像は、予めフラッシュメモリ99に記憶されてもよいし、S24で取得された径情報に基づき生成されてもよい。
【0032】
ケーブル60を挿通した状態で収縮された媒体50を表す画像と、収縮された印刷対象51を表す画像とは、例えば、以下の手順で生成される。CPU91は、ケーブル60の面58に印刷対象51が印刷された場合の、熱収縮前の画像Fを生成する。画像Fは、S4でディスプレイ5に表示された画像でもよい。CPU91は、生成した熱収縮前のプレビュー画像Fを、S21で取得された最大熱収縮率QW、QLを用いて縮小する。本実施形態のCPU91は、ケーブル60の外周面61が曲面であることを考慮に入れずに、熱収縮前のプレビュー画像Fを、最大熱収縮率QW、QLを用いて縮小する。S29における、熱収縮後の媒体50の幅方向Wの長さL5は、第三長さL3の半分の長さであり、式(2)を用いて計算される。熱収縮後の媒体50の長手方向Lの長さL6は、第式(3)を用いて計算される。第二長さL2は、S20で取得された印刷情報に含まれる。具体例1から3では、長手方向Lの最大熱収縮率QLは0%であるので、長さL6は、長さL2と等しい。
L5=L3/2=(100-QW)×L1/200 ・・・式(2)
L6=(100-QL)×L2/100 ・・・式(3)
【0033】
CPU91は、ケーブル60を表す画像H1に、ケーブル60を挿通した状態で収縮された媒体50を表す画像P1と、収縮された印刷対象51を表す画像K1とを重ね合わせてプレビュー画像F1を生成する。CPU91は、S29で生成したプレビュー画像F1をディスプレイ5に表示する(S35)。S29の次のS35では、CPU91は、候補の媒体50の情報Jをプレビュー画像F1と共に表示する(S35)。
【0034】
具体例2では、差が所定値よりも大きくはないと判断され(S28:NO)、CPU91は、プレビュー画像F2を生成する(S30)。差が所定値よりも大きくない場合は、最大熱収縮率QWで熱収縮した場合の媒体50の外周の第三長さL3が、ケーブル60の外周の第四長さL4に比べて許容量以下であり、カセット装着部8に装着されているテープカセット30を交換する必要はないと想定される場合である。CPU91は、S29と同様の手順で、ケーブル60を表す画像H2に、ケーブル60を挿通した状態で収縮された媒体50を表す画像P1と、収縮された印刷対象51を表す画像K1とを重ね合わせてプレビュー画像F2を生成する。プレビュー画像F2には、候補の媒体50の情報Jは含まれない。CPU91は、S30で生成されたプレビュー画像F2をディスプレイ5に表示する(S35)。
【0035】
具体例3では、第三長さL3が第四長さL4以上ではないと判断される(S27:NO)。この場合CPU91は、媒体50の外周の第一長さL1が、ケーブル60の外周の第三長さL3と一致するように媒体50を収縮された場合の幅方向Wの熱収縮率を算出し、算出された幅方向Wの熱収縮率に基づきプレビュー画像F3を生成する(S31)。具体的には、CPU91は、生成した熱収縮前のプレビュー画像Fを、算出された熱収縮率を用いて縮小する。算出された幅方向Wの熱収縮率は、最大熱収縮率QWよりも小さい。具体例1から3の媒体50の長手方向Lの最大熱収縮率QLは0%であるので、媒体50の長手方向Lの収縮は考慮しなくてもよい。長手方向Lの最大熱収縮率QLが0%より大きい場合には、CPU91は、例えば、長手方向Lの熱収縮が、幅方向Wの熱収縮と同じ割合で変化すると仮定して、媒体50の長手方向Lの熱収縮率を算出すればよい。CPU91は、ケーブル60を表す画像H3に、ケーブル60を挿通した状態で収縮された媒体50を表す画像P3と、収縮された印刷対象51を表す画像K3とを重ね合わせてプレビュー画像F3を生成する。CPU91は、S31で生成したプレビュー画像F3をディスプレイ5に表示する(S35)。プレビュー画像F3では、収縮された媒体50の幅方向Wの長さは、ケーブル60を表す画像H3の幅方向Wの長さと一致する。CPU91は、S31で生成されたプレビュー画像F3をディスプレイ5に表示する(S35)。
【0036】
CPU91は、S35の次に、補正指示の入力を検出したかを判断する(S36)。ユーザは、媒体50に対する印刷対象51の大きさを変更する場合には、操作部2を介して補正指示を入力する。本実施形態の印刷装置1は、ユーザが操作部2を操作して手動で調整値を指定する場合と、印刷装置1が自動で調整値を設定する場合との何れかの選択を受け付ける。更に印刷装置1は、幅方向Wの調整値と、長手方向Lの調整値とを個別に受け付ける。調整値は、1mm等の絶対量で指定されてもよいし、5%等の比率で指定されてもよい。調整値は、媒体50が熱収縮された後の大きさに対して設定されてもよいし、媒体50が熱収縮される前の大きさに対して設定されてもよい。補正指示の入力が検出された場合(S36:YES)、CPU91は補正設定を取得する(S39)。CPU91は、S39で設定された補正設定が、手動入力であるかを判断する(S40)。設定された補正設定が、手動入力ではない場合(S40:NO)、CPU91は、S39で取得された補正設定に従って、印刷対象51の自動設定を実行する(S45)。自動設定する場合の調整値は、媒体50の種類に対応して予め設定されてもよい。CPU91はS45の設定に基づき、補正設定を更新し(S46)、処理をS27に戻す。
【0037】
S39で取得された補正設定が手動入力である場合(S40:YES)、CPU91は媒体50の幅方向Wの調整値を取得し(S41)、S41で幅方向Wの調整値が入力されていない場合には(S42:NO)、処理をS41に戻す。幅方向Wの調整値が入力されていない場合に、幅方向Wの大きさは調整しないと判断し、S43の処理を行ってもよい。幅方向Wの調整値が入力されている場合には(S42:YES)、CPU91は、媒体50の長手方向Lの調整値を取得し(S43)、S43で長手方向Lの調整値が入力されていない場合には(S44:NO)、処理をS43に戻す。長手方向Lの調整値が入力されていない場合に、長手方向Lの大きさは調整しないと判断し、S6の処理を行ってもよい。幅方向Wの調整値が入力されている場合には(S43:YES)、CPU91は、S41で取得された媒体50の幅方向Wの調整値と、S43で取得された媒体50の長手方向Lの調整値とに基づき、補正設定を更新し(S46)、処理をS27に戻す。S46後のS29からS31の処理では、S46で設定された調整値を考慮してプレビュー画像が生成される。
【0038】
図8に示すように、具体例3において、幅方向Wの大きさを10%大きくし、長手方向Lの大きさを変更しない補正設定が取得された場合、プレビュー画像F4が生成される。プレビュー画像F4は、ケーブル60を表す画像H3に、ケーブル60を挿通した状態で収縮された媒体50を表す画像P3と、補正設定を用いて補正後の、収縮された印刷対象51を表す画像K4とを重ね合わせた画像である。同様に、具体例3において、幅方向Wの大きさを変更せず、長手方向Lの大きさを10%大きくする補正設定が取得された場合、プレビュー画像F5が生成される。プレビュー画像F5は、ケーブル60を表す画像H3に、ケーブル60を挿通した状態で収縮された媒体50を表す画像P3と、補正設定を用いて補正後の、収縮された印刷対象51を表す画像K5とを重ね合わせた画像である。具体例3において、幅方向Wの大きさを10%大きくし、長手方向Lの大きさを10%大きくする補正設定が取得された場合、プレビュー画像F6が生成される。プレビュー画像F6は、ケーブル60を表す画像H3に、ケーブル60を挿通した状態で収縮された媒体を表す画像P3と、補正設定を用いて補正後の、収縮された印刷対象51を表す画像K6とを重ね合わせた画像である。
【0039】
補正指示が取得されていない場合(S36:NO)、CPU91は検出器23の検出結果に基づき、媒体50の種類の変更が検出されたかを判断する(S37)。媒体50の種類の変更が検出された場合(S37:YES)、CPU91は、処理をS21に戻す。ユーザは例えば、S29で候補の媒体の情報Jがディスプレイ5に表示された場合に、媒体50の種類を変更する。媒体50の種類の変更が検出されていない場合(S37:NO)、CPU91は、プレビュー処理を終了する指示を検出したかを判断する(S38)。ユーザはプレビュー処理を終了させる場合、操作部2を操作して、プレビュー処理を終了する指示を入力する。プレビュー処理を終了する指示が検出されていない場合(S38:NO)、CPU91は、処理をS36に戻す。プレビュー処理を終了する指示が検出された場合(S38:YES)、CPU91は、以上でプレビュー処理を終了し、処理を
図5の印刷処理に戻す。
【0040】
S5の次にCPU91は、印刷開始の指示が検出されたかを判断する(S6)。印刷開始の指示が検出された場合(S6:YES)、CPU91は、S21の処理と同様に媒体情報を取得し(S7)、S7で取得された媒体情報に基づき、媒体50が熱収縮媒体であるかを判断する(S8)。媒体50が熱収縮媒体ではない場合(S8:NO)、CPU91は通常の処理により印刷データを生成し(S17)、S17で生成された印刷データに基づき媒体50に印刷対象51を印刷する(S18)。媒体50が熱収縮媒体である場合(S8:YES)、CPU91は、S23と同様に、最大熱収縮率QW、QLを取得する(S9)。CPU91は、補正設定を取得し(S10)、S10で取得された補正設定の調整値が入力されていない場合(S11:NO)、自動調整に設定して(S12)、処理をS10に戻す。
【0041】
S46で補正設定が更新された場合、又はS12で自動調整に設定された場合は、補正設定の調整値が入力されていると判断される(S11:YES)。この場合、CPU91は、S24の処理と同様に、径情報を取得する(S13)。CPU91は、S13で径情報が入力済みではない場合(S14:NO)、径情報を入力する画面をディスプレイ5に表示し(S15)、処理をS13に戻す。径情報が入力済みである場合(S14:YES)、CPU91は、S10で取得された補正設定と、S13で取得された径情報とに基づき、印刷対象51を媒体50に印刷するための印刷データを生成し(S16)、S16で生成された印刷データに基づき、印刷対象51を媒体50に印刷する(S18)。CPU91は、媒体情報記憶エリア15のうちの、カセット装着部8に装着されているテープカセット30に対応する媒体情報の印刷回数を1だけインクリメントして更新する(S19)。CPU91は、以上で印刷処理を終了する。
【0042】
上記実施形態において、印刷装置1は、本発明の表示装置及び印刷装置の一例である。ディスプレイ5、サーマルヘッド10、CPU91、検出器23、フラッシュメモリ99は、本発明の表示部、印刷部、制御部、検出器、記憶部の一例である。S20の処理は、本発明の媒体情報取得処理の一例である。S21の処理は、本発明の印刷情報取得処理の一例である。S29からS31、S35の処理は、本発明の表示制御処理の一例である。S46の処理は、本発明の補正処理の一例である。S16の処理は、本発明の印刷データ生成処理の一例である。S19の処理は本発明の記憶制御処理の一例である。
【0043】
上記印刷装置1は、ディスプレイ5及びCPU91を備える。CPU91は、所定範囲の熱を加えることで収縮する媒体50であってチューブ状の媒体50の外周の第一長さL1と、媒体50の最大熱収縮率QW、QLとを含む媒体情報を取得する(S21、S23)。CPU91は、媒体50に印刷する印刷対象51の情報と、媒体50の長手方向Lの第二長さL2と、を含む印刷情報を取得する(
図5のS20)。CPU91は、媒体50を挿通するケーブル60の径情報を取得する(S24)。CPU91は、媒体情報と、印刷情報と、径情報とを用いて、媒体50にケーブル60を挿通させた状態で媒体50を熱収縮させた場合における、収縮後の媒体50に対する収縮後の印刷対象51を示すプレビュー画像をディスプレイ5に表示させる(S29からS31、S35)。印刷装置1は、印刷対象51が印刷された熱収縮チューブを、ケーブル60の形状に合わせて収縮させた状態を示すプレビュー画像をディスプレイ5に表示させるので、印刷前にユーザが意図した状態で使用できる印刷物が得られるかを確認することができ、ユーザの利便性を従来よりも向上させることに貢献する。
【0044】
CPU91は、ケーブル60を表す画像と、ケーブル60を挿通した状態で収縮された媒体50を表す画像と、収縮された印刷対象51を表す画像とを含むプレビュー画像をディスプレイ5に表示させる(S35)。印刷装置1は、ケーブル60を表す画像がないプレビュー画像が表示される場合に比べ、印刷対象51が印刷された熱収縮チューブを、ケーブル60の形状に合わせて収縮させた状態をユーザがイメージしやすくすることに貢献する。
【0045】
CPU91は、最大熱収縮率QW、QLで媒体50の外周の第一長さL1を収縮した場合の第三長さL3が、ケーブル60の外周の第四長さL4以上の場合は(S27:YES)、最大熱収縮率QW、QLで収縮させた印刷対象51を表すプレビュー画像をディスプレイ5に表示する(S29、S30、S35)。CPU91は、第三長さL3が、第四長さL4よりも小さい場合は(S27:NO)、媒体50の外周の長さが第四長さL4となるまで収縮させた印刷対象51を表すプレビュー画像をディスプレイ5に表示する(S31、S35)。印刷装置1は、第三長さL3が、第四長さL4以上か否かに応じて、印刷対象51の収縮率を最大熱収縮率QW、QLとするか否かを自動で設定して、プレビュー画像の適切に表示できる。印刷装置1は、第三長さL3が、第四長さL4以上か否かに応じて、プレビュー画像の生成方法を変更するユーザの手間を省くことに貢献する。
【0046】
媒体50は、媒体50の長手方向Lと、長手方向Lに直交する幅方向Wとで、最大熱収縮率QW、QLが互いに異なる。CPU91は、媒体50が長手方向Lと、幅方向Wとで、互いに異なる最大熱収縮率QW、QLで収縮後の媒体50に対する収縮後の印刷対象51の形状を示すプレビュー画像をディスプレイ5に表示させる。媒体50の長手方向Lと幅方向Wとで最大熱収縮率QW、QLが互いに異なる場合には、媒体50の長手方向Lと幅方向Wとで最大熱収縮率QW、QLが互いに同じである場合に比べ、ユーザは収縮後の状態をイメージしにくい。これに対し、印刷装置1は、媒体50の長手方向Lと幅方向Wとで最大熱収縮率QW、QLが互いに異なる場合にも、熱収縮後の印刷対象51の形状を的確に示すプレビュー画像をディスプレイ5に表示できる。
【0047】
CPU91は、印刷対象51の長手方向Lの長さ及び長手方向Lに直交する幅方向Wの長さを補正する補正指示が取得された場合、補正指示に応じて印刷対象51の情報を補正する(S46)。CPU91は、補正指示と、最大熱収縮率QW、QLとに応じて補正したプレビュー画像をディスプレイ5に表示する(S46の後のS35)。印刷装置1は、補正指示に応じて、印刷対象51の情報を補正でき、補正指示と最大熱収縮率QW、QLとに応じて印刷対象51の情報を自動で変更できる。
【0048】
CPU91は、プレビュー画像がディスプレイ5に表示されているときに、所定操作を取得した場合に(S36:YES)、S46の補正処理を実行する。CPU91は、プレビュー画像がディスプレイ5に表示されているときに、所定操作が取得された場合に、補正指示と、最大熱収縮率QW、QLとに応じて補正したプレビュー画像に更新する(S46の後のS35)。印刷装置1は、プレビュー画像中に所定操作を取得した場合に補正処理、プレビュー画像を更新するので、ユーザが意図しない変更が付加されることを回避でき、補正後の印刷対象51をプレビュー画像ですぐに確認できる。
【0049】
印刷装置1は、複数種類の媒体50に関する情報を記憶するフラッシュメモリ99を備える。フラッシュメモリ99に記憶される複数種類の媒体50に関する情報は、複数種類の媒体50それぞれの最大熱収縮率QW、QLと第一長さL1とを含む。CPU91は、プレビュー画像の表示の対象となる対象媒体50の第三長さL3が、ケーブル60の外周の第四長さL4よりも所定値を超えて大きい場合は(S28:YES)、フラッシュメモリ99に記憶された複数種類の媒体50のうち、最大熱収縮率と第一長さL1とから算出した第三長さL3が対象媒体50の第三長さL3よりも小さい媒体50に関する情報をディスプレイ5に表示する(S29、S35)。印刷装置1は、媒体50の外周の第一長さL1と、最大熱収縮率QWとに比して、ケーブル60の径L7が小さすぎると判断される場合に、使用予定のケーブル60の径L7に適した媒体50を使用することをユーザに促すことができる。
【0050】
CPU91は、印刷対象51を対象媒体50に印刷装置1で印刷するための印刷データを生成する(S16)。CPU91は、複数種類の媒体50毎に、印刷データを生成した実績をフラッシュメモリ99に記憶する。CPU91は、第三長さL3が、第四長さL4よりも所定値を超えて大きい場合は(S28:YES)、フラッシュメモリ99に記憶された複数種類の媒体50のうち、対象媒体50よりも第三長さL3が小さい媒体50に関する情報を、印刷回数が多い媒体50を優先して、ディスプレイ5に表示する(S29、S5)。印刷装置1は、ケーブル60の外周の第四長さL4に比して、最大熱収縮率QW、QLで収縮した場合の媒体50の外周の第三長さL3が大きすぎて、熱収縮後の媒体50がケーブル60に密着しないと判断される場合に、これまでの印刷実績がある媒体50を優先して、使用予定のケーブル60の径L7に適した媒体50を使用することをユーザに促すことができる。印刷装置1は、印刷実績がある媒体50を優先することで、印刷実績のない媒体50に比べ、ユーザが新たに媒体50を準備する手間を省く可能性を高めることができる。
【0051】
本発明の表示装置、印刷装置、及び表示プログラムは、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。本明細書に開示された技術は、種々の形態で実現可能であり、例えば、表示方法、及び表示プログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体、等の形態で実現することができる。
【0052】
印刷装置1は、チューブ状の媒体50に印刷対象51を印刷可能な装置であればよい。印刷装置1は、チューブ状の媒体50を印刷する専用機であってもよい。印刷済みの媒体50を配置する対象として、断面が円状のケーブル60の外周面61を例示したが、ケーブル60の断面形状は適宜変更されてよい。例えば、媒体50が配置されるケーブル60の断面形状は、楕円状、多角形状であってもよい。印刷対象51は、キャラクタに限定されず、記号、バーコード、図形、及び画像でもよい。
【0053】
印刷処理の内の、S2からS17の処理が、スマートフォン、PC等の、表示部と制御部とを有する表示装置で実行されてもよい。この場合、S1に変えて媒体50の種類を特定する情報を取得し、S18では、印刷データを印刷装置に出力する処理が実行されてもよい。
【0054】
媒体50は、幅方向Wと長手方向Lとで最大熱収縮率QW、QLが互いに同じであってもよい。媒体50は、面58と、面59とで、幅方向Wの最大熱収縮率QWが互いに異なってもよい。例えば、印刷面となる面58のみが熱収縮性の材料で形成され、面59は熱収縮性を有しない材料で形成されてもよい。この場合、CPU91は、面58と、面59とで熱収縮率が互いに異なることを考慮して、プレビュー画像を生成すればよい。
【0055】
S29からS31で生成されるプレビュー画像は、ケーブル60を表す画像を含まなくてもよい。CPU91は、S29からS31で、プレビュー画像Fを縮小する場合に、ケーブル60の外周が曲面であることを考慮してもよい。その場合、CPU91は、ケーブル60の断面形状に合わせて、収縮後の印刷対象51の画像を生成してもよい。CPU91は、S36からS46の一部又は全部を実行しなくてもよい。印刷装置1で使用可能なチューブ状の媒体50は、単一種類であってもよく、印刷装置1は、フラッシュメモリ99に複数種類の媒体50に関する情報を記憶しなくてもよい。CPU91は、S28、S29の処理を省略してもよい。CPU91は、S29で印刷データを生成した実績を考慮せずに、媒体に関する情報Jを生成してもよい。媒体に関する情報Jは、第一長さL1が第四長さL4よりも長く、且つ、第三長さL3が第四長さL4よりも短い条件を満たす、複数種類の媒体の情報を含んでもよい。媒体に関する情報Jは、文字情報であってもよいし、媒体の種類を表すマーク等であってもよい。CPU91は、熱収縮後の熱収縮テープ57の厚みを考慮して、ケーブル60を挿通した状態で収縮された媒体50を表す画像P1からP3を生成してもよい。複数種類の媒体情報を記憶する装置はHDD、SSD等適宜変更されてよい。
【符号の説明】
【0056】
1:印刷装置、5:ディスプレイ、50:媒体、51:印刷対象、60:ケーブル、91:CPU、99:フラッシュメモリ、L:長手方向、W:幅方向