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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047278
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】平面アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
H01Q13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152808
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 諒
【テーマコード(参考)】
5J045
【Fターム(参考)】
5J045AA21
5J045AB06
5J045DA10
5J045HA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ビーム幅を拡大する平面アンテナ装置を提供する。
【解決手段】平面アンテナ装置10は、地導体1と、誘電体基板2と、導電性の励振パッチ3と、導電性の第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bと、複数の第1の導体6a及び第2の導体6bと、を有する。誘電体基板は、地導体上に設けられる。励振パッチは、誘電体基板上において、地導体とは反対側の面に設けられ、所定の周波数で共振するように長さを規定する。第1の非励振パッチは、誘電体基板上において、地導体とは反対側の面で、励振パッチの長さを規定する方向に沿って励振パッチに対して離間する第1の領域に設けられる。第2の非励振パッチは、励振パッチと離間し、第1の非励振パッチと協働して励振パッチを挟むように設けられる。第1の導体は、第1の非励振パッチと地導体とを電気的に接続し、第2の導体は、第2の非励振パッチと地導体とを電気的に接続する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地導体と、
前記地導体上に設けられる誘電体基板と、
前記誘電体基板上において、前記地導体とは反対側の面に設けられ、所定の周波数で共振するように長さを規定する、導電性の励振パッチと、
前記誘電体基板上において、前記地導体とは反対側の面で、前記励振パッチの長さを規定する方向に沿って前記励振パッチに対して離間する第1の領域に設けられる、導電性の第1の非励振パッチと、
前記励振パッチと離間し、前記第1の非励振パッチと協働して前記励振パッチを挟むように設けられる、導電性の第2の非励振パッチと、
前記第1の非励振パッチと前記地導体とを電気的に接続する複数の第1の導体と、
前記第2の非励振パッチと前記地導体とを電気的に接続する複数の第2の導体と
を有する、平面アンテナ装置。
【請求項2】
前記複数の第1の導体は、前記誘電体基板をそれぞれ貫通して前記地導体に接続され、
前記複数の第2の導体は、前記誘電体基板をそれぞれ貫通して前記地導体に接続される、
請求項1に記載の平面アンテナ装置。
【請求項3】
前記複数の第1の導体、及び、前記複数の第2の導体は、それぞれ、前記励振パッチのうち、前記誘電体基板上の面に対する法線に平行に延びている、請求項2に記載の平面アンテナ装置。
【請求項4】
前記第1の非励振パッチと前記励振パッチとの距離は、前記第2の非励振パッチと前記励振パッチとの距離に一致する、請求項1又は請求項2に記載の平面アンテナ装置。
【請求項5】
地導体と、
前記地導体上に設けられる誘電体基板と、
前記誘電体基板上において、前記地導体とは反対側の面に設けられ、所定の周波数で共振するように長さを規定する、導電性の励振パッチと、
前記誘電体基板上において、前記地導体とは反対側の面で、前記励振パッチに対して離間し、前記励振パッチの長さを規定する方向に沿って前記励振パッチを挟むように設けられる、導電性の少なくとも1対の非励振パッチと、
前記少なくとも1対の非励振パッチの一方と前記地導体とを電気的に接続する複数の第1の導体と、
前記少なくとも1対の非励振パッチの他方と前記地導体とを電気的に接続する複数の第2の導体と
を有する、平面アンテナ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、平面アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平面アンテナの一例であるパッチアンテナは、誘電体基板の表面と裏面にそれぞれ板状の放射素子と地導体が配置される。設計・製造が容易であること、良好な放射特性が得られることから、一般的に方形状の放射素子が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3-157005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ビーム幅を拡大し得る平面アンテナ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、平面アンテナ装置は、地導体と、地導体上に設けられる誘電体基板と、導電性の励振パッチと、導電性の第1の非励振パッチと、導電性の第2の非励振パッチと、複数の第1の導体と、複数の第2の導体とを有する。励振パッチは、誘電体基板上において、地導体とは反対側の面に設けられ、所定の周波数で共振するように長さを規定する。第1の非励振パッチは、誘電体基板上において、地導体とは反対側の面で、励振パッチの長さを規定する方向に沿って励振パッチに対して離間する第1の領域に設けられる。第2の非励振パッチは、励振パッチと離間し、第1の非励振パッチと協働して励振パッチを挟むように設けられる。複数の第1の導体は、第1の非励振パッチと地導体とを電気的に接続する。複数の第2の導体は、第2の非励振パッチと地導体とを電気的に接続する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る平面アンテナ装置を示す概略的な斜視図。
図2図1中の符号IIで示す位置の概略的な断面図。
図3】実施形態に係る平面アンテナ装置と、比較例の平面アンテナ装置とのE面の放射パターン(正規化利得)の一例を示すグラフ。
図4】実施形態に係る平面アンテナ装置と、比較例の平面アンテナ装置とのH面の放射パターン(正規化利得)の一例を示すグラフ。
図5】実施形態に係る平面アンテナ装置の第1変形例を示す図。
図6】実施形態に係る平面アンテナ装置の第2変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一実施形態に係る平面アンテナ装置10について、図1から図4を用いて説明する。
【0008】
図1には、本実施形態に係る平面アンテナ装置10の概略的な斜視図を示す。図1に示すようにxyz直交座標系を規定する。x軸は、後述する矩形状の励振パッチ3の長さLに沿う。y軸は、励振パッチ3の幅Wに沿う。z軸は、励振パッチ3の表面に対する法線に沿う。
【0009】
図2には、給電点7を含む、図1中の符号IIで示す仮想的な面に沿う平面アンテナ装置10の断面を示す。
【0010】
図1及び図2に示すように、平面アンテナ装置10は、地導体1と、誘電体基板2と、励振パッチ3と、1対の非励振パッチ(第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4b)と、複数の第1の導体6aと、複数の第2の導体6bと、給電点7とを有する。
【0011】
地導体1は、例えば矩形状で薄板状の、導電性を有する導体であり、例えば銅箔等により形成される。
【0012】
誘電体基板2は、本実施形態では、例えば矩形状で地導体1と同じ大きさに形成される。誘電体基板2は、地導体1より小さく形成されてもよい。なお、誘電体基板2のz軸に沿う厚さは、地導体1よりも厚いことが好適である。
【0013】
励振パッチ3は、地導体1及び誘電体基板2よりも小さい、例えば矩形状の導体として形成される。励振パッチ3は、例えば銅箔等により形成される。励振パッチ3は、誘電体基板2のうち、地導体1とは反対側の面に配置される。励振パッチ3は、誘電体基板2の地導体1とは反対側の面のうちの略中央に配置されることが好適である。
【0014】
励振パッチ3は所定の周波数fで共振する。一例として、共振周波数は、MHz帯、又は、GHz帯であり得る。ここで、図1に示すように、励振パッチ3の長さをLとし、幅をWとする。このとき、長さLは、共振周波数fに対応する波長λの半波長の整数倍に一致又は略一致することが好適である。
【0015】
第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bは、励振パッチ3と同様に、誘電体基板2に対して地導体1が設けられる側とは反対側の面に設けられる。第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bは、例えば矩形状の導体として形成される。第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bは、励振パッチ3と同様に、例えば銅箔等により形成される。第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bは、例えば同じ素材で同じ形状で同じ大きさに形成される。第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bは、図1中、誘電体基板2の上面と同じ幅に形成される。
【0016】
第1の非励振パッチ4aは、励振パッチ3の長さLを規定する方向(x軸方向)に沿って励振パッチ3に対して離間する第1の領域(図1中の励振パッチ3に対して上方の領域)に設けられる。第1の非励振パッチ4aは、励振パッチ3に対して+x軸方向に、励振パッチ3から所定距離、離間する。
【0017】
第2の非励振パッチ4bは、第1の非励振パッチ4aと協働して励振パッチ3を挟むように、励振パッチ3に対して、第1の領域とは反対側の第2の領域(励振パッチ3の長さLを規定する方向(x軸方向)に沿って励振パッチ3に対して離間する第2の領域(図1中の励振パッチ3に対して下方の領域))に、励振パッチ3と離間して設けられる。第2の非励振パッチ4bは、励振パッチ3に対して-x軸方向に、励振パッチ3から所定距離、離間する。
【0018】
第1の非励振パッチ4aと励振パッチ3との離間距離、及び、第2の非励振パッチ4bと励振パッチ3との離間距離は、等距離であることが好適である。このため、1対の非励振パッチ(第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4b)は、誘電体基板2上で、励振パッチ3に対して離間し、励振パッチ3を挟むように設けられる。
【0019】
また、第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bは、励振パッチ3の中心(図心)に対して対称に設けられることが好適である。第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bは励振パッチ3の中心(図心)からE面(電界面)に対し直交する面と平行かつ対称に設けられることが好適である。
【0020】
なお、第1の非励振パッチ4aと励振パッチ3との離間距離、及び、第2の非励振パッチ4bと励振パッチ3とのそれぞれの離間距離は、共振周波数fに対応する波長λ(一波長)よりも小さいことが好適である。
【0021】
第1の非励振パッチ4aには、x軸に沿う中央付近で、y軸に沿って複数のスルーホール(貫通孔)5aが例えば等間隔に形成される。同様に、第2の非励振パッチ4bには、x軸に沿う中央付近で、y軸に沿って複数のスルーホール(貫通孔)5bが例えば等間隔に形成される。第1の非励振パッチ4aの複数のスルーホール5a及び第2の非励振パッチ4bの複数のスルーホール5bは、同じ大きさに形成されることが好適である。
【0022】
そして、第1の非励振パッチ4aの複数のスルーホール5aと地導体1との間には、それぞれ第1の導体6aが接続される。なお、複数のスルーホール5aは、第1の非励振パッチ4aに、第1の導体6aの一端を例えば嵌合させるなど、電気的に接続させる円環を形成する。第1の導体6aの他端は、地導体1に当接又は固定される。第1の導体6aは、誘電体基板2を貫通する。このため、複数の第1の導体6aは、例えばシャフト(ピン)状に形成される。したがって、複数の第1の導体6aは、それぞれ、励振パッチ3のうち、誘電体基板2上の面に対する法線(z軸)に平行に延びている。複数の第1の導体6aは、例えば銅又は銅合金等で形成される。したがって、第1の非励振パッチ4a、及び、地導体1は、複数の第1の導体6aによって電気的に接続されている。すなわち、複数の第1の導体6aは、1対の非励振パッチの一方である第1の非励振パッチ4aと地導体1とを電気的に接続する。
【0023】
そして、第2の非励振パッチ4bの複数のスルーホール5bと地導体1との間には、それぞれ第2の導体6bが接続される。なお、複数のスルーホール5bは、第2の非励振パッチ4bに、第2の導体6bの一端を例えば嵌合させるなど、電気的に接続させる円環を形成する。第2の導体6bの他端は、地導体1に当接又は固定される。第2の導体6bは、誘電体基板2を貫通する。このため、複数の第2の導体6bは、例えばシャフト(ピン)状に形成される。したがって、複数の第2の導体6bは、それぞれ、励振パッチ3のうち、誘電体基板2上の面に対する法線(z軸)に平行に延びている。複数の第2の導体6bは、例えば銅又は銅合金等で形成される。したがって、第2の非励振パッチ4b、及び、地導体1は、複数の第2の導体6bによって電気的に接続されている。すなわち、複数の第2の導体6bは、1対の非励振パッチの他方である第2の非励振パッチ4bと地導体1とを電気的に接続する。
【0024】
したがって、第1の非励振パッチ4aは、励振パッチ3から所定間隔離れた位置で、E面に対し直交する面と平行に、地導体1と複数のスルーホール5aとの間にそれぞれ設けられる第1の導体6aによって電気的に接触する。同様に、第2の非励振パッチ4bは、励振パッチ3から、第1の非励振パッチ4aとは反対側に所定間隔離れた位置で、E面に対し直交する面と平行に、地導体1と複数のスルーホール5bとの間にそれぞれ設けられる第2の導体6bによって電気的に接触する。
【0025】
給電点7は、励振パッチ3の図心に対して、x軸方向に沿って、第2の非励振パッチ4b側にずれた位置に配置される。これは、特性インピーダンスが例えば50Ωの給電線路7aとの整合を得るためである。給電点7は、励振パッチ3の図心には配置されていないが、本実施形態では、図心近辺には配置されることが好適である。なお、給電点7は、励振パッチ3の幅Wの中央又は略中央の位置に配置されることが好適である。
【0026】
次に、上述した平面アンテナ装置10の動作について説明する。
【0027】
給電点7から励振パッチ3に給電されると、励振パッチ3は所定の周波数fで共振する。そして、励振パッチ3から電波が放射される。励振パッチ3からの電波の放射により第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bには誘起電流が生じる。したがって、第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bから再放射が起こる。
【0028】
本実施形態に係る平面アンテナ装置10の電波の放射パターンは、励振パッチ3の放射パターンと第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bからの再放射パターンとが合成されたパターンとなる。したがって、本実施形態に係る平面アンテナ装置10の電波の放射パターンは、第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bの分、励振パッチ3の放射パターンに比べて、電波のビーム幅が拡大する。
【0029】
図3及び図4には、一例として動作周波数fが9.5GHzにおける、第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bが存在する場合(本実施形態の平面アンテナ装置10)と、第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bが存在しない場合(比較例の平面アンテナ装置)との、電波の放射のパターンを重ねて示す。なお、図3には、E面(電界面)での-90°から+90°までの放射パターンを示し、図4には、H面(磁界面)での-90°から+90°までの放射パターンを示す。
【0030】
一般に、平面アンテナ装置としてのパッチアンテナは、素子の放射パターンにおけるビーム幅がE面で約90°、H面で約80°と、比較的狭い、とされている。
【0031】
図3に示すように、E面において、1対の非励振パッチ4a,4bを用いると、1対の非励振パッチ4a,4bを用いない場合に比べて、-90°から+90°の範囲でビーム幅が拡大した。
なお、図3の放射パターンのグラフが0°に対して対称でないのは、上述したように、特性インピーダンスが例えば50Ωの給電線路7aとの整合を得るために、給電点7が励振パッチ3の図心から、第2の非励振パッチ4bに向かってx軸方向にずれているからであると解される。
【0032】
また、図4に示すように、E面だけでなく、H面において、1対の非励振パッチ4a,4bを用いると、1対の非励振パッチ4a,4bを用いない場合に比べて、-90°から+90°の範囲でビーム幅が拡大した。
なお、図4の放射パターンのグラフが0°に対して対称であるのは、給電点7が励振パッチ3の幅方向の中央に配置されているからである。
【0033】
説明したように、本実施形態に係る、それぞれ地導体1と電気的に接続する第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bを有する平面アンテナ装置10を用いることにより、E面の放射ビーム幅を拡大することができる。また、本実施形態に係る、それぞれ地導体1と電気的に接続する第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bを有する平面アンテナ装置10を用いることにより、H面の放射ビーム幅を拡大することができる。
【0034】
(第1変形例)
図5に示す平面アンテナ装置10の構造は、基本的には、図1及び図2に示す平面アンテナ装置10と同じである。
【0035】
第1変形例の平面アンテナ装置10の第1の非励振パッチ4aの幅は、励振パッチ3の幅Wよりも小さい。同様に、第1変形例の平面アンテナ装置10の第2の非励振パッチ4bの幅は、励振パッチ3の幅Wよりも小さい。
【0036】
平面アンテナ装置10は、このように形成されていてもよい。すなわち、電波を励振パッチ3から放射することができるだけでなく、第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bから再放射することができる。したがって、本変形例に係る平面アンテナ装置10の電波の放射パターンは、励振パッチ3の放射パターンと第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bからの再放射パターンとが合成されたパターンとなる。このため、本変形例に係る平面アンテナ装置10の電波の放射パターンは、第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bの分、励振パッチ3の放射パターンに比べて、電波のビーム幅を拡大することができる。
【0037】
したがって、本変形例において、第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bの幅は、励振パッチ3の幅Wよりも小さくしても、ビーム幅を拡大し得る平面アンテナ装置10が提供される。
【0038】
なお、上述した実施形態及び本変形例において、第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bを矩形状として説明したが、適宜の多角形、円形、楕円形、その他、種々の形状が許容される。また、励振パッチ3も、矩形状を例にして説明したが、適宜の形状が許容される。
【0039】
(第2変形例)
図6に示すように、平面アンテナ装置10は、第1の非励振パッチ4a,4a1,4a2と、第2の非励振パッチ4b,4b1,4b2とを有する。第1の非励振パッチ4a,4a1,4a2及び第2の非励振パッチ4b,4b1,4b2は、励振パッチ3の図心に対して対称に形成されている。本変形例では、平面アンテナ装置10は、3対の非励振パッチ(第1の非励振パッチ4a,4a1,4a2及び第2の非励振パッチ4b,4b1,4b2)を有する。
【0040】
第1の非励振パッチ4a,4a1,4a2は、励振パッチ3の幅Wに沿う方向、すなわち、y軸方向に沿って3つを並べた。また、励振パッチ3の幅Wの図6中の左端(励振パッチ3の幅方向の第1端)に沿う位置の延長線上、すなわち、x軸方向に沿う位置に第1の非励振パッチ4a1を配置し、右端(励振パッチ3の幅方向の第2端)に沿う位置の延長線上、すなわち、x軸方向に沿う位置に第1の非励振パッチ4a2を配置した。
【0041】
第2の非励振パッチ4b,4b1,4b2は、励振パッチ3の幅Wに沿う方向、すなわち、y軸方向に沿って3つを並べた。また、励振パッチ3の幅Wの図6中の左端(励振パッチ3の幅方向の第1端)に沿う位置の延長線上、すなわち、x軸方向に沿う位置に第2の非励振パッチ4b1を配置し、右端(励振パッチ3の幅方向の第2端)に沿う位置の延長線上、すなわち、x軸方向に沿う位置に第2の非励振パッチ4b2を配置した。
【0042】
したがって、第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bの対は、励振パッチ3を挟むように設けられる。第1の非励振パッチ4a1及び第2の非励振パッチ4b1の対は、励振パッチ3を挟むように設けられる。第1の非励振パッチ4a2及び第2の非励振パッチ4b2の対は、励振パッチ3を挟むように設けられる。または、第1の非励振パッチ4a1及び第2の非励振パッチ4b2の対は、励振パッチ3を挟むように設けられ、第1の非励振パッチ4a2及び第2の非励振パッチ4b1の対は、励振パッチ3を挟むように設けられる。
【0043】
平面アンテナ装置10は、このように形成されていてもよい。すなわち、電波を励振パッチ3から放射することができるだけでなく、第1の非励振パッチ4a,4a1,4a2及び第2の非励振パッチ4b,4b1,4b2から再放射することができる。したがって、本変形例に係る平面アンテナ装置10の電波の放射パターンは、励振パッチ3の放射パターンと第1の非励振パッチ4a及び第2の非励振パッチ4bからの再放射パターンとが合成されたパターンとなる。このため、本変形例に係る平面アンテナ装置10の電波の放射パターンは、第1の非励振パッチ4a,4a1,4a2、及び、第2の非励振パッチ4b,4b1,4b2の分、励振パッチ3の放射パターンに比べて、電波のビーム幅を拡大することができる。
【0044】
したがって、本変形例において、第1の非励振パッチ4a,4a1,4a2及び第2の非励振パッチ4b,4b1,4b2のように、複数対としても、ビーム幅を拡大し得る平面アンテナ装置10が提供される。
【0045】
以上述べた少なくともひとつの実施形態によれば、ビーム幅を拡大し得る平面アンテナ装置10を提供することができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1…地導体、2…誘電体基板、3…励振パッチ、4a…第1の非励振パッチ、4b…第2の非励振パッチ、5a,5b…スルーホール、6a…第1の導体、6b…第2の導体、7…給電点、7a…給電線路、10…平面アンテナ装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6