IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社光栄の特許一覧

特開2024-47300低熱膨張合金の製造方法および熱間鍛造部品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047300
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】低熱膨張合金の製造方法および熱間鍛造部品
(51)【国際特許分類】
   C21D 8/00 20060101AFI20240329BHJP
   B21J 5/00 20060101ALI20240329BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20240329BHJP
   C22C 38/10 20060101ALI20240329BHJP
   C22C 38/08 20060101ALI20240329BHJP
   C21D 6/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
C21D8/00 D
B21J5/00 A
C22C38/00 302R
C22C38/10
C22C38/08
C21D6/00 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152845
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】599008919
【氏名又は名称】株式会社光栄
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】山岸 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小川 鷹之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 努
(72)【発明者】
【氏名】山口 兼弘
【テーマコード(参考)】
4E087
4K032
【Fターム(参考)】
4E087AA03
4E087BA02
4E087CA02
4E087CB01
4E087DA02
4E087DB17
4E087DB24
4K032AA10
4K032AA25
4K032CB02
4K032CF03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱間加工時の加工性を向上しながら、結晶粒を十分に小さくすることが可能な低熱膨張合金の製造方法を提供する。
【解決手段】Fe-Ni合金またはFe-Ni-Co合金を含む、低熱膨張合金1を熱間加工する工程と、熱間加工した低熱膨張合金を再加熱処理することにより、結晶粒を微細化する工程と、を備える。好ましくは、熱間加工する工程は、950℃以上1120℃以下の温度条件で行われ、結晶粒を微細化する工程は、800℃以上1000℃以下の温度条件で行われる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fe-Ni合金またはFe-Ni-Co合金を含む、低熱膨張合金を熱間加工する工程と、
前記熱間加工した前記低熱膨張合金を再加熱処理することにより、結晶粒を微細化する工程と、を備える、低熱膨張合金の製造方法。
【請求項2】
前記結晶粒を微細化する工程は、前記熱間加工する工程よりも低い温度で行われる、請求項1に記載の低熱膨張合金の製造方法。
【請求項3】
前記Fe-Ni-Co合金は、28質量%以上30質量%以下のNiと、15質量%以上17質量%以下のCoとを含む、請求項1または2に記載の低熱膨張合金の製造方法。
【請求項4】
前記熱間加工する工程は、950℃以上1120℃以下の温度条件で行われ、
前記結晶粒を微細化する工程は、800℃以上1000℃以下の温度条件で行われる、請求項3に記載の低熱膨張合金の製造方法。
【請求項5】
前記結晶粒を微細化する工程は、800℃以上950℃未満の温度条件で行われる、請求項4に記載の低熱膨張合金の製造方法。
【請求項6】
前記結晶粒を微細化する工程は、2時間以上8時間以下の時間条件で行われる、請求項4に記載の低熱膨張合金の製造方法。
【請求項7】
前記結晶粒を微細化する工程は、800℃以上850℃未満の温度条件で、かつ2時間以上4時間以下の時間条件で行われる、請求項6に記載の低熱膨張合金の製造方法。
【請求項8】
前記結晶粒を微細化する工程により、前記低熱膨張合金の結晶粒の平均粒径が100μm以下に調整される、請求項1または2に記載の低熱膨張合金の製造方法。
【請求項9】
前記結晶粒を微細化する工程により、前記低熱膨張合金の結晶粒の平均粒径が50μm以下に調整される、請求項8に記載の低熱膨張合金の製造方法。
【請求項10】
前記結晶粒を微細化する工程により、前記低熱膨張合金のビッカース硬さが160HV以下に調整される、請求項1または2に記載の低熱膨張合金の製造方法。
【請求項11】
前記熱間加工する工程は、前記低熱膨張合金を熱間鍛造する工程を含み、
前記結晶粒を微細化する工程は、前記熱間鍛造した前記低熱膨張合金を再加熱処理することにより、結晶粒が微細化された熱間鍛造部品を形成する、請求項1または2に記載の低熱膨張合金の製造方法。
【請求項12】
結晶粒の平均粒径が100μm以下に調整された、Fe-Ni合金またはFe-Ni-Co合金を含む、低熱膨張合金から構成される、熱間鍛造部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低熱膨張合金の製造方法および熱間鍛造部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、低熱膨張合金の製造方法が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1では、Niと、Coと、Feと、を含む溶鋼(鉄基合金)からインゴットを製造し、製造したインゴットを熱間加工することにより低熱膨張合金を製造する製造方法が開示されている。また、熱間加工は、熱間鍛造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-172045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には開示されていないが、ホールペッチの法則により鉄基合金の降伏応力(引張強さ)は、結晶粒が小さくなるほど大きくなる。そのため、降伏応力を大きくするために結晶粒を小さくすることが望まれている。一方で、鉄基合金を熱間加工する時の温度が高いほど、結晶粒が大きくなるという動的再結晶化が知られている。
【0006】
そこで、結晶粒を小さくするために、熱間加工温度を低くすることが行われている。しかしながら、熱間加工温度を下げることにより、鉄基合金が十分に軟化されず、熱間加工時の加工性が低下するという問題点がある。また、結晶粒を小さくするために熱間加工温度を下げた状態で熱間加工時の加工率を高くすることも検討されているが、熱間加工時の加工率を高くすると熱間加工中に割れが生じるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、熱間加工時の加工性を向上しながら、結晶粒を十分に小さくすることが可能な低熱膨張合金の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明者が、鋭意検討した結果、熱間加工の後に再加熱処理を行うことにより結晶粒が小さくなることを見出した。すなわち、この発明の第1の局面における低熱膨張合金の製造方法は、Fe-Ni合金またはFe-Ni-Co合金を含む、低熱膨張合金を熱間加工する工程と、熱間加工した低熱膨張合金を再加熱処理することにより、結晶粒を微細化する工程と、を備える。
【0009】
この発明の第1の局面による低熱膨張合金の製造方法では、上記のように、熱間加工した低熱膨張合金を再加熱処理することにより、結晶粒を微細化する工程を備える。これによって、結晶粒を十分に小さくすることができる。また、熱間加工する工程の後に、結晶粒を微細化する工程を備えることにより、熱間加工時に結晶粒を小さくする必要がないため、結晶粒を小さくするために熱間加工温度を低くする必要がない。これにより、熱間加工時の温度を加工性の向上が可能な温度に設定することができる。これらの結果、熱間加工時の加工性を向上しながら、結晶粒を十分に小さくすることができる。
【0010】
上記第1の局面による低熱膨張合金の製造方法において、好ましくは、結晶粒を微細化する工程は、熱間加工する工程よりも低い温度で行われる。このように構成すれば、再加熱する温度が低いため、結晶粒を容易に十分に小さくすることができる。
【0011】
上記第1の局面による低熱膨張合金の製造方法において、好ましくは、Fe-Ni-Co合金は、28質量%以上30質量%以下のNiと、15質量%以上17質量%以下のCoとを含む。このような組成を有するFe-Ni-Co合金に対して、熱間加工および再加熱処理(結晶微細化処理)を行なうことにより、熱間加工時の加工性を向上しながら、結晶粒を微細化することができることを本願発明者は後述する実験(実施例)から知得している。
【0012】
この場合、好ましくは、熱間加工する工程は、950℃以上1120℃以下の温度条件で行われ、結晶粒を微細化する工程は、800℃以上1000℃以下の温度条件で行われる。このような温度条件で熱間加工および再加熱処理(結晶微細化処理)を行なえば、熱間加工時の加工性を向上しながら、結晶粒を微細化することができることを本願発明者は後述する実験(実施例)から知得している。
【0013】
上記熱間加工する工程が、950℃以上1120℃以下の温度条件で行われる低熱膨張合金の製造方法において、好ましくは、結晶粒を微細化する工程は、800℃以上950℃未満の温度条件で行われる。このように構成すれば、結晶粒をさらに微細化することができることを本願発明者は後述する実験(実施例)から知得している。
【0014】
上記結晶粒を微細化する工程が、800℃以上1000℃以下の温度条件で行われる低熱膨張合金の製造方法において、好ましくは、結晶粒を微細化する工程は、2時間以上8時間以下の時間条件で行われる。このような時間条件で再加熱処理(結晶微細化処理)を行なえば、結晶粒を小さくすることができることを本願発明者は後述する実験(実施例)から知得している。
【0015】
この場合、好ましくは、結晶粒を微細化する工程は、800℃以上850℃未満の温度条件で、かつ2時間以上4時間以下の時間条件で行われる。このように構成すれば、結晶粒をさらに小さくすることができることを本願発明者は後述する実験(実施例)から知得している。
【0016】
上記第1の局面による低熱膨張合金の製造方法において、好ましくは、結晶粒を微細化する工程により、低熱膨張合金の結晶粒の平均粒径が100μm以下に調整される。このように構成すれば、結晶粒が小さいことにより、降伏応力を大きくすることができる。
【0017】
この場合、好ましくは、結晶粒を微細化する工程により、低熱膨張合金の結晶粒の平均粒径が50μm以下に調整される。このように構成すれば、結晶粒をさらに小さくすることができる。
【0018】
上記第1の局面による低熱膨張合金の製造方法において、好ましくは、結晶粒を微細化する工程により、低熱膨張合金のビッカース硬さが160HV以下に調整される。このような低熱膨張合金は、熱間処理時の加工ひずみが再加熱処理により解消されて、結晶粒が小さくなっていることを本願発明者は後述する実験(実施例)から知得している。
【0019】
上記第1の局面による低熱膨張合金の製造方法において、好ましくは、熱間加工する工程は、低熱膨張合金を熱間鍛造する工程を含み、結晶粒を微細化する工程は、熱間鍛造した低熱膨張合金を再加熱処理することにより、結晶粒が微細化された熱間鍛造部品を形成する。このように構成すれば、結晶粒の平均粒径が小さく、降伏応力の大きい熱間鍛造部品を製造することができる。
【0020】
この発明の第2の局面における熱間鍛造部品は、結晶粒の平均粒径が100μm以下に調整された、Fe-Ni合金またはFe-Ni-Co合金を含む、低熱膨張合金から構成される。
【0021】
この発明の第2の局面による熱間鍛造部品では、上記のように、熱間鍛造部品の結晶粒の平均粒径が100μm以下に調整されているため、降伏応力を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上記のように、熱間加工時の加工性を向上しながら、結晶粒を十分に小さくすることが可能な低熱膨張合金の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態による低熱膨張合金の製造方法を説明するための図である。
図2】実施例1のFe-Ni-Co合金の写真である。
図3】実施例2のFe-Ni-Co合金の写真である。
図4】実施例3のFe-Ni-Co合金の写真である。
図5】実施例4のFe-Ni-Co合金の写真である。
図6】実施例5のFe-Ni-Co合金の写真である。
図7】実施例6のFe-Ni-Co合金の写真である。
図8】実施例7のFe-Ni-Co合金の写真である。
図9】実施例8のFe-Ni-Co合金の写真である。
図10】実施例9のFe-Ni-Co合金の写真である。
図11】比較例1のFe-Ni-Co合金の写真である。
図12】比較例2のFe-Ni-Co合金の写真である。
図13】比較例3のFe-Ni-Co合金の写真である。
図14】比較例4のFe-Ni-Co合金の写真である。
図15】比較例5のFe-Ni-Co合金の写真である。
図16】比較例6のFe-Ni-Co合金の写真である。
図17】比較例7のFe-Ni-Co合金の写真である。
図18】比較例8のFe-Ni-Co合金の写真である。
図19】比較例9のFe-Ni-Co合金の写真である。
図20】比較例10のFe-Ni-Co合金の写真である。
図21】実施例10のFe-Ni-Co合金の写真である。
図22】実施例11のFe-Ni-Co合金の写真である。
図23】実施例12のFe-Ni-Co合金の写真である。
図24】実施例13のFe-Ni-Co合金の写真である。
図25】実施例14のFe-Ni-Co合金の写真である。
図26】実施例15のFe-Ni-Co合金の写真である。
図27】実施例16のFe-Ni-Co合金の写真である。
図28】実施例17のFe-Ni-Co合金の写真である。
図29】実施例18のFe-Ni-Co合金の写真である。
図30】実施例19のFe-Ni-Co合金の写真である。
図31】実施例20のFe-Ni-Co合金の写真である。
図32】実施例21のFe-Ni-Co合金の写真である。
図33】実施例22のFe-Ni-Co合金の写真である。
図34】実施例23のFe-Ni-Co合金の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
[実施形態]
(低熱膨張合金)
図1に示すように、低熱膨張合金1は、熱間鍛造部品10を構成する。いいかえると、低熱膨張合金1を用いて熱間鍛造部品10が製造される。熱間鍛造部品10は、気密封止用部材または半導体を搬送する搬送部材に用いられる。さらに、本実施形態の熱間鍛造部品10は、ろう材により他部材にろう付けされる。
【0026】
本実施形態の低熱膨張合金1は、Fe-Ni合金またはFe-Ni-Co合金を含む。
【0027】
Fe-Ni合金は、たとえば、Niを42質量%含み、残りがFeから構成される、いわゆる42アロイである。Fe-Ni合金の別の例は、Niを36質量%含み、残りがFeから構成される、いわゆるインバー、または、Niを32質量%およびCoを4質量%含み、残りがFeから構成される、いわゆるスーパーインバーである。
【0028】
Fe-Ni-Co合金は、たとえば、28質量%以上30質量%以下のNiと、15質量%以上17質量%以下のCoとを含む。Fe-Ni-Co合金は、たとえば、29質量%のNiと、17質量%のCoと、微量元素と、残部鉄とから構成されるASTM規格のF15-95(ASTM F15-95)である。
【0029】
(低熱膨張合金の製造方法)
図1に示すように、本実施形態の低熱膨張合金1の製造方法では、低熱膨張合金1を熱間加工する工程と、再加熱により、結晶粒を微細化する工程と、を備える。
【0030】
低熱膨張合金1を熱間加工する工程は、準備した低熱膨張合金1を加熱しながら鍛造する工程である。熱間加工時に加熱する温度条件は、950℃以上1120℃以下である。
【0031】
結晶粒を微細化する工程は、熱間加工された低熱膨張合金1を炉内にて再加熱しながら行われる。再加熱する温度条件は、800℃以上1000℃以下であり、結晶粒をより微細化するためには、800℃以上950℃未満であるのが好ましい。再加熱する温度条件は、熱間加工する温度条件よりも低いほうが好ましい。
【0032】
結晶粒を微細化する工程は、2時間以上8時間以下の時間条件下で再加熱により行われる。結晶粒を微細化する工程は、結晶粒をより小さくするために、より好ましくは、2時間以上4時間以下の時間条件下で再加熱により行われる。
【0033】
低熱膨張合金1の結晶粒の平均粒径は、結晶粒を微細化する工程により、好ましくは、100μm以下、より好ましくは、降伏応力(機械的強度)をより大きくするために50μm以下に調整される。結晶粒の粒径は、再加熱の温度が低いほど小さくすることができる。すなわち、結晶粒の粒径が小さくなるほど降伏応力が大きくなるホールペッチの法則から、再加熱温度を低くするほど降伏応力を大きくすることができ、機械的強度を向上させることができる。
【0034】
低熱膨張合金1のビッカース硬さは、結晶粒を微細化する工程により、160HV以下に調整される。ビッカース硬さは、再加熱の温度が高いほど小さくすることができる。熱間加工された低熱膨張合金1は、動的再結晶の現象により結晶粒が大きくなるとともに加工ひずみが蓄積されていると考えられる。そして、再加熱することにより、加工ひずみが除去される。
【0035】
結晶粒を微細化する工程の後、低熱膨張合金1は冷却される。冷却の方法は、水に浸漬させる水冷と、炉内で自然に冷却する炉内放冷と、炉内から取出し冷却する空冷とのうちいずれでもよい。
【0036】
低熱膨張合金1は、そのまま熱間鍛造部品10として使用されてもよく、たとえば、冷却されたあとに、曲げ加工などが行われて熱間鍛造部品10が形成されてもよい。
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0037】
本実施形態では、上記のように、熱間加工した低熱膨張合金1を再加熱処理することにより、結晶粒を微細化する工程を備える。これによって、結晶粒を十分に小さくすることができる。また、熱間加工する工程の後に、結晶粒を微細化する工程を備えることにより、熱間加工時に結晶粒を小さくする必要がないため、結晶粒を小さくするために熱間加工温度を低くする必要がない。これにより、熱間加工時の温度を加工性の向上が可能な温度に設定することができる。これらの結果、熱間加工時の加工性を向上しながら、結晶粒を十分に小さくすることができる。
【0038】
本実施形態では、上記のように、結晶粒を微細化する工程は、熱間加工する工程よりも低い温度で行われる。これにより、再加熱する温度が低いため、結晶粒を容易に十分に小さくすることができる。
【0039】
本実施形態では、Fe-Ni-Co合金は、28質量%以上30質量%以下のNiと、15質量%以上17質量%以下のCoとを含む。このような組成を有するFe-Ni-Co合金に対して、熱間加工および再加熱処理(結晶微細化処理)を行なうことにより、熱間加工時の加工性を向上しながら、結晶粒を微細化することができることを本願発明者は後述する実験(実施例)から知得している。
【0040】
本実施形態では、上記のように、熱間加工する工程は、950℃以上1120℃以下の温度条件で行われ、結晶粒を微細化する工程は、800℃以上1000℃以下の温度条件で行われる。このような温度条件で熱間加工および再加熱処理(結晶微細化処理)を行なえば、熱間加工時の加工性を向上しながら、結晶粒を微細化することができることを本願発明者は後述する実験(実施例)から知得している。
【0041】
本実施形態では、上記のように、結晶粒を微細化する工程は、800℃以上950℃未満の温度条件で行われる。これにより、結晶粒をさらに微細化することができることを本願発明者は後述する実験(実施例)から知得している。
【0042】
本実施形態では、上記のように、結晶粒を微細化する工程は、2時間以上8時間以下の時間条件で行われる。このような時間条件で再加熱処理(結晶微細化処理)を行なえば、結晶粒を小さくすることができることを本願発明者は後述する実験(実施例)から知得している。
【0043】
本実施形態では、上記のように、結晶粒を微細化する工程は、800℃以上850℃未満の温度条件で、かつ2時間以上4時間以下の時間条件で行われる。これにより、結晶粒をさらに小さくすることができることを本願発明者は後述する実験(実施例)から知得している。
【0044】
本実施形態では、上記のように、結晶粒を微細化する工程により、低熱膨張合金1の結晶粒の平均粒径が100μm以下に調整される。これにより、結晶粒が小さいことにより、降伏応力を大きくすることができる。
【0045】
本実施形態では、上記のように、結晶粒を微細化する工程により、低熱膨張合金1の結晶粒の平均粒径が50μm以下に調整される。これにより、結晶粒をさらに小さくすることができる。
【0046】
本実施形態では、上記のように、結晶粒を微細化する工程により、低熱膨張合金1のビッカース硬さが160HV以下に調整される。このような低熱膨張合金1は、熱間処理時の加工ひずみが再加熱処理により解消されて、結晶粒が小さくなっていることを本願発明者は後述する実験(実施例)から知得している。
【0047】
本実施形態では、上記のように、熱間加工する工程は、低熱膨張合金1を熱間鍛造する工程を含み、結晶粒を微細化する工程は、熱間鍛造した低熱膨張合金1を再加熱処理することにより、結晶粒が微細化された熱間鍛造部品10を形成する。これにより、結晶粒の平均粒径が小さく、降伏応力の大きい熱間鍛造部品10を製造することができる。
【0048】
本実施形態では、上記のように、熱間鍛造部品10の結晶粒の平均粒径が100μm以下に調整されているため、降伏応力を大きくすることができる。
【0049】
[実施例]
(再加熱時の温度条件と時間との関係)
本願発明者は、再加熱時の最適な温度条件と再加熱の時間とを取得するために低熱膨張合金であるFe-Ni-Co合金(ASTM F15-95)を1080℃で鍛造し、熱間加工した。鍛錬比(加工率)は、2である。熱間加工したFe-Ni-Co合金を表1に示す条件で再加熱処理し、水冷することによりFe-Ni-Co合金を作製した。また、作製したFe-Ni-Co合金から複数のサンプルを採取し、平均粒径とビッカース硬さとを測定した。実施例1~9および比較例1~10の熱間加工の条件と、再加熱の温度条件と、平均粒径と、ビッカース硬さとを以下の表1に示す。なお、表1に示す混粒状態とは、最小粒径が50μm以下の結晶粒と、最大粒径が200μmより大きい結晶粒とが混ざっている状態を指す。
【0050】
[表1]

【0051】
実施例1では、再加熱は、1000℃で2時間行った。実施例2では、再加熱は、1000℃で4時間行った。実施例3では、再加熱は、1000℃で8時間行った。実施例4では、再加熱は、900℃で2時間行った。実施例5では、再加熱は、850℃で2時間行った。実施例6では、再加熱は、850℃で4時間行った。実施例7では、再加熱は、800℃で2時間行った。実施例8では、再加熱は、800℃で4時間行った。実施例9では、再加熱は、800℃で8時間行った。
【0052】
比較例1は、再加熱を行わなかった。比較例2では、再加熱は、750℃で2時間行った。比較例3では、再加熱は、750℃で4時間行った。比較例4では、再加熱は、750℃で8時間行った。比較例5では、再加熱は、700℃で2時間行った。比較例6では、再加熱は、650℃で2時間行った。比較例7では、再加熱は、600℃で2時間行った。比較例8では、再加熱は、500℃で2時間行った。比較例9では、再加熱は、500℃で4時間行った。比較例10では、再加熱は、500℃で8時間行った。
【0053】
図2は、実施例1のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例1のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が150μmであるとともに、ビッカース硬さが152.6HVであった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0054】
図3は、実施例2のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例2のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が200μmであるとともに、ビッカース硬さが151.7HVであった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0055】
図4は、実施例3のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例3のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が200μmであるとともに、ビッカース硬さが146.4HVであった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0056】
図5は、実施例4のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例4のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が60μm以上70μm以下の範囲内であるとともに、ビッカース硬さが151.8HVであった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0057】
図6は、実施例5のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例5のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が60μmであるとともに、ビッカース硬さが150HVであった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0058】
図7は、実施例6のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例6のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が70μmであるとともに、ビッカース硬さが147HVであった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0059】
図8は、実施例7のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例7のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が45μmであるとともに、ビッカース硬さが159.6HVであった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0060】
図9は、実施例8のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例8のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が45μm以上50μm以下の範囲内であるとともに、ビッカース硬さが151HVであった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0061】
図10は、実施例9のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例9のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が45μm以上50μm以下の範囲内であるとともに、ビッカース硬さが149HVであった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0062】
図11は、比較例1のFe-Ni-Co合金の一部を採取し、150倍に拡大した写真である。比較例1のFe-Ni-Co合金では、最小粒径が50μm以下の結晶粒と、最大粒径が200μmより大きい結晶粒とが混ざっている混粒状態であった。また、ビッカース硬さが183.8HVであった。
【0063】
図12は、比較例2のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。比較例2のFe-Ni-Co合金では、最小粒径が50μm以下の結晶粒と、最大粒径が200μmよりも大きい結晶粒とが混ざっている混粒状態であった。また、ビッカース硬さが161HVであった。
【0064】
図13は、比較例3のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。比較例3のFe-Ni-Co合金では、最小粒径が50μm以下の結晶粒と、最大粒径が200μmよりも大きい結晶粒とが混ざっている混粒状態であった。また、ビッカース硬さが154HVであった。
【0065】
図14は、比較例4のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。比較例4のFe-Ni-Co合金では、最小粒径が50μm以下の結晶粒と、最大粒径が200μmよりも大きい結晶粒とが混ざっている混粒状態であった。また、ビッカース硬さが147HVであった。
【0066】
図15は、比較例5のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。比較例5のFe-Ni-Co合金では、最小粒径が50μm以下の結晶粒と、最大粒径が200μmよりも大きい結晶粒とが混ざっている混粒状態であった。また、ビッカース硬さが159HVであった。
【0067】
図16は、比較例6のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。比較例6のFe-Ni-Co合金では、最小粒径が50μm以下の結晶粒と、最大粒径が200μmよりも大きい結晶粒とが混ざっている混粒状態であった。また、ビッカース硬さが169HVであった。
【0068】
図17は、比較例7のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。比較例7のFe-Ni-Co合金では、最小粒径が50μm以下の結晶粒と、最大粒径が200μmよりも大きい結晶粒とが混ざっている混粒状態であった。また、ビッカース硬さが167HVであった。
【0069】
図18は、比較例8のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。比較例8のFe-Ni-Co合金では、最小粒径が50μm以下の結晶粒と、最大粒径が200μmよりも大きい結晶粒とが混ざっている混粒状態であった。また、ビッカース硬さが164HVであった。
【0070】
図19は、比較例9のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。比較例9のFe-Ni-Co合金では、最小粒径が50μm以下の結晶粒と、最大粒径が200μmよりも大きい結晶粒とが混ざっている混粒状態であった。また、ビッカース硬さが167HVであった。
【0071】
図20は、比較例10のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。比較例10のFe-Ni-Co合金では、最小粒径が50μm以下の結晶粒と、最大粒径が200μmよりも大きい結晶粒とが混ざっている混粒状態であった。また、ビッカース硬さが164HVであった。
【0072】
以上の結果から、熱間加工時の加熱により結晶粒が一部粗大化しているFe-Ni-Co合金を、800℃以上の温度で2時間以上8時間以下再加熱することにより、結晶粒の粒径を混粒状態ではなく均一化することができることを本願発明者は知得した。また、再加熱温度を1000℃以下、好ましくは950℃未満、より好ましくは、850℃未満にすることにより結晶粒が100μm未満の小さい結晶粒にすることができることを本願発明者は知得した。このことから、熱間加工により結晶粒が粗大化する動的再結晶の現象に基づいて、再加熱した場合に結晶粒の粗大化が促進されると予測されていた従来の認識に反して、再加熱をすることにより結晶粒を小さくすることができることを本願発明者は知得した。また、再加熱を行う時間条件は、長くなるほど結晶粒が大きくなるため、2時間以上4時間以下の時間条件で行うことが好ましいことを本願発明者は知得した。また、再加熱を行う温度が高い程、ビッカース硬さが小さくなることを本願発明者は知得した。このことから、熱間加工により加工ひずみが蓄積されていたが、再加熱により加工ひずみが除去されて、結晶粒が小さくなったと考えられる。
【0073】
(異なる温度による再加熱)
本願発明者は、比較例5、比較例7および比較例8のFe-Ni-Co合金を本実施形態の再加熱温度条件で再加熱を行うことにより、実施例10、実施例11および実施例12を作製した。具体的には、比較例5、比較例7および比較例8のFe-Ni-Co合金をさらに800℃で2時間過熱し、実施例10、実施例11および実施例12を作製した。また、作製したFe-Ni-Co合金から複数のサンプルを採取し、複数のサンプルの各々において平均粒径とビッカース硬さとを測定した。実施例10~12の熱間加工時の温度条件と、1回目の再加熱の温度条件と、1回目の再加熱の時間条件と、2回目の再加熱の温度条件と、2回目の再加熱の時間条件と、平均粒径と、ビッカース硬さとを以下の表2に示す。
【0074】
[表2]

【0075】
図21は、実施例10のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例10では、平均粒径が35μmとなり、200μmよりも大きい結晶粒は見られなかった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。また、ビッカース硬さが154HVとなった。
【0076】
図22は、実施例11のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例11では、平均粒径が45μmとなり、200μmよりも大きい結晶粒は見られなかった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。また、ビッカース硬さは、153HVであった。
【0077】
図23は、実施例12のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例12では、平均粒径が50μmとなり、200μmよりも大きい結晶粒が見られなかった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。また、ビッカース硬さは、153HVであった。
【0078】
以上の結果から、本願発明者は、800℃未満の温度条件で再加熱を行った場合に、さらに800℃以上の温度条件で再加熱を行うことにより結晶粒を微細化することができることを知得した。
【0079】
(熱間加工の温度)
本願発明者は、熱間加工の最適な温度条件を取得するために、異なる温度条件により熱間加工したFe-Ni-Co合金を再加熱処理し、冷却することによりFe-Ni-Co合金を製造した。また、作製したFe-Ni-Co合金の中心部に近い内部と、外周面に近い外部とから各々複数のサンプルを採取し、複数のサンプルの各々において平均粒径を測定した。熱間加工の温度条件と、再加熱の温度条件と、再加熱の時間条件と、平均粒径とを以下の表3に示す。
【0080】
[表3]

【0081】
実施例14では、1120℃で熱間加工を行った後、再加熱は、800℃で4時間行った。実施例15では、1120℃で熱間加工を行った後、再加熱は、800℃で8時間行った。実施例16では、1080℃で熱間加工を行った後、再加熱は、800℃で2時間行った。実施例17では、1080℃で熱間加工を行った後、再加熱は、800℃で4時間行った。実施例18では、1080℃で熱間加工を行った後、再加熱は、800℃で8時間行った。実施例19では、1000℃で熱間加工を行った後、再加熱は、800℃で2時間行った。実施例20では、1000℃で熱間加工を行った後、再加熱は、800℃で4時間行った。実施例21では、1000℃で熱間加工を行った後、再加熱は、800℃で8時間行った。実施例22では、950℃で熱間加工を行った後、再加熱は、800℃で2時間行った。実施例23では、950℃で熱間加工を行った後、再加熱は、800℃で4時間行った。実施例24では、950℃で熱間加工を行った後、再加熱は、800℃で8時間行った。
【0082】
図24は、実施例14のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例14のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が60μmになった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0083】
図25は、実施例15のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例15のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が60μmになった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0084】
図26は、実施例16のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例16のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が45μmになった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0085】
図27は、実施例17のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例17のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が45μm以上50μm以下になった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0086】
図28は、実施例18のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例18のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が45μm以上50μm以下になった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0087】
図29は、実施例19のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例19のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が45μmになった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0088】
図30は、実施例20のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例20のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が45μm以上50μm以下になった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0089】
図31は、実施例21のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例21のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が45μm以上50μm以下になった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0090】
図32は、実施例22のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例22のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が35μmになった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0091】
図33は、実施例23のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例23のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が45μmになった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0092】
図34は、実施例24のFe-Ni-Co合金から採取したサンプルを150倍に拡大した写真である。実施例24のFe-Ni-Co合金では、平均粒径が45μm以上50μm以下になった。また、結晶粒の大きさは略均一であり、混粒状態ではなかった。
【0093】
以上の結果から、熱間加工する工程を950℃以上1120℃以下で行うとともに、再加熱し結晶粒を微細化する工程を800℃以上1000℃以下の温度条件で行うことにより、結晶粒を小さくすることができることを本願発明者は知得した。
【0094】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0095】
たとえば、結晶粒を微細化する工程は、熱間加工する工程よりも低い温度条件で行われる例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、結晶粒を微細化する工程を、熱間加工する工程と同じ温度条件または熱間加工する温度よりも高い温度条件で行ってもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、結晶粒を微細化する工程は、2時間以上8時間以下行われる例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、結晶粒を微細化する工程は、2時間未満の時間条件で行なわれてもよく、8時間を超えた時間条件で行われてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 低熱膨張合金
10熱間鍛造部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34