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特開2024-47306貯蔵庫の仕切体、及び当該仕切体を備える貯蔵庫
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047306
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】貯蔵庫の仕切体、及び当該仕切体を備える貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
F25D23/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152853
(22)【出願日】2022-09-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.令和4年2月15日から18日、第23回厨房設備機器展に出展し公開 2.令和4年2月16日から18日、スーパーマーケットトレードショー2022に出展し公開 3.令和4年9月7日から8日、フードストアソリューションズフェア2022に出展し公開 4.令和4年5月30日、パンのトラ八事店へ納品 5.令和4年8月2日、ベルクベスタ狭山店へ納品
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 真吾
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102LB13
(57)【要約】
【課題】仕切体の変形に起因するパッキンのシール性の低下を防いで貯蔵庫の断熱性を維持する。
【解決手段】仕切体6を構成し断熱材20を収納するケース19は、庫外に臨む前壁体21と、庫内5に臨む後壁体22と、上下或いは左右に仕切られた領域に臨む一対の仕切壁体23・23と、庫内面5A・5Bに臨む一対の端壁体24・24とを備える。前壁体21及び後壁体22は金属材で形成し、一対の仕切壁体23・23及び一対の端壁体24・24は樹脂材で形成する。前壁体21は、前方面を形成する前主壁27と、前主壁27の長手方向に伸びる縁部から後方に向かって連設される一対の前縁壁28・28とで断面コ字状に形成し、後壁体22は、後方面を形成する後主壁30と、後主壁30の長手方向に伸びる縁部から前方に向かって連設される一対の後縁壁31・31とで断面コ字状に形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵庫本体(3)の向かい合う庫内面(5A・5B)間に架け渡されて、貯蔵庫本体(3)の前面開口(2)を上下或いは左右に仕切る貯蔵庫の仕切体であって、
長尺な中空四角箱状のケース(19)と、予め所定の形状に成形され、ケース(19)の内部に収納される断熱材(20)とを備えており、
ケース(19)は、庫外に臨む前方面を構成する前壁体(21)と、庫内(5)に臨む後方面を構成する後壁体(22)と、前後の壁体(21・22)の間に配されて、上下或いは左右に仕切られた領域に臨む仕切面を構成する一対の仕切壁体(23・23)と、庫内面(5A・5B)に臨む端面を構成する一対の端壁体(24・24)とを備えており、
前壁体(21)及び後壁体(22)は金属材からなり、一対の仕切壁体(23・23)及び一対の端壁体(24・24)は樹脂材からなり、
前壁体(21)が、前方面を形成する前主壁(27)と、前主壁(27)の長手方向に伸びる縁部から後方に向かって連設される一対の前縁壁(28・28)とで断面コ字状に形成されており、後壁体(22)が、後方面を形成する後主壁(30)と、後主壁(30)の長手方向に伸びる縁部から前方に向かって連設される一対の後縁壁(31・31)とで断面コ字状に形成されていることを特徴とする貯蔵庫の仕切体。
【請求項2】
各仕切壁体(23)は、仕切面を形成する仕切主壁(35)と、前方側に開口して前縁壁(28)が前後方向に差し込まれる前差込溝(38)と、後方側に開口して後縁壁(31)が前後方向に差し込まれる後差込溝(39)とを備えており、
各仕切壁体(23)の前差込溝(38)に前壁体(21)の前縁壁(28)がそれぞれ差し込まれ、各仕切壁体(23)の後差込溝(39)に後壁体(22)の後縁壁(31)がそれぞれ差し込まれた状態で、前壁体(21)と後壁体(22)とを一対の端壁体(24・24)で連結することで、前後の壁体(21・22)と、一対の仕切壁体(23・23)と、一対の端壁体(24・24)とを、四角箱状に一体的に接合することができるように構成されている請求項1に記載の貯蔵庫の仕切体。
【請求項3】
各前縁壁(28)の長手方向の両端部に、板厚方向に貫通する前係合孔(29)が開設され、各後縁壁(31)の長手方向の両端部に、板厚方向に貫通する後係合孔(32)が開設されており、
各端壁体(24)に、前係合孔(29)及び後係合孔(32)に挿通される前後の係合突起(46・47)が各仕切壁体(23)に向かって突出形成されており、
各端壁体(24)の前後の係合突起(46・47)を、前後の壁体(21・22)の前後の係合孔(29・32)に挿通させることで、一対の端壁体(24・24)で前壁体(21)と後壁体(22)とが連結される請求項2に記載の貯蔵庫の仕切体。
【請求項4】
前後の係合孔(29・32)に挿通された前後の係合突起(46・47)の突出端が、各仕切壁体(23)に当接している請求項3に記載の貯蔵庫の仕切体。
【請求項5】
端壁体(24)に、断熱材(20)に向かって突出形成される差込片(71)が設けられており、
端壁体(24)に臨む断熱材(20)の端部に、差込片(71)が差込まれる切欠部(72)が形成されており、
差込片(71)が切欠部(72)に差し込まれることで、差込み方向を除く端壁体(24)と断熱材(20)との相対移動が阻止されるように構成されている請求項1から4のいずれかひとつに記載の貯蔵庫の仕切体。
【請求項6】
一対の仕切壁体(23・23)が、合成樹脂が押出成形された条材からなる請求項1から4のいずれかひとつに記載の貯蔵庫の仕切体。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかひとつに記載の仕切体(6)で、貯蔵庫本体(3)の前面開口(2)が上下或いは左右に仕切られていることを特徴とする貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫の前面開口を上下或いは左右に仕切る断熱性の仕切体に関し、なかでも、予め成形された発泡体からなる断熱材が内部に収納される形態の仕切体、及び当該仕切体を備える貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の仕切体は、例えば特許文献1(発明の名称:冷却貯蔵庫)に開示されている。特許文献1の仕切体(仕切枠)は、前面開口(開口部)を左右に仕切るものであり、庫外側の面を構成する前面枠と、前面枠に対して庫内側に配されるカバーと、これら前面枠とカバーとの間に収納される断熱材とを備える。前面枠は、ステンレス鋼板等のプレス成形品からなり、後方側に開口を有する断面コ字状に形成されている。カバーは、合成樹脂からなり、前方側に開口を有する断面コ字状に形成されている。カバーの左右側壁部の内面には突部が形成されており、前面枠の左右側板には、突部の挿通を許す取付孔が形成されている。前面枠とカバーとの間に断熱材を挟みながら各取付孔に突部を挿通させることで、内部に断熱材を収納した状態で前面枠に対してカバーを取り付けることができる。同様の構成で前面開口(開口部)を上下に仕切る仕切体が特許文献2(発明の名称:冷蔵庫の仕切り部)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-198351号公報
【特許文献2】特開2001-91150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2では、断熱材を挟む状態で2個の部材を前後から接合することで、四角柱状の仕切体として一体的に形成することができるので、組み付けに要する手間を省いて仕切体を容易に製作することができる。仕切体は、前面開口部分に両持ち状の柱或いは梁のように固定され、固定された仕切体の前方面は、前面開口を開閉する扉に取り付けられたマグネットパッキン(マグネットの磁気吸着でシールするパッキン)の吸着面とされる。また、仕切体は扉が閉じられる際に該扉を受け止める部分でもあり、扉が勢いよく閉じられた場合には、仕切体には後向きの大きな衝撃が加わる。特許文献1及び特許文献2では、前面枠は金属製で形成され、カバーは合成樹脂製で形成されているため、仕切体の庫外側に比べて庫内側の強度は低い。そのため、扉を閉じる際の繰り返しの衝撃で、仕切体の全体が、中央が後方に膨出する湾曲状に変形するおそれがある。マグネットパッキンの吸着面を構成する仕切体の前方面が湾曲変形すると該パッキンのシール性の低下を招いて庫内の冷気が漏れ、貯蔵庫の断熱性が損なわれる。
【0005】
本発明は、仕切体の変形に起因するパッキンのシール性の低下を防いで貯蔵庫の断熱性を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、貯蔵庫本体3の向かい合う庫内面5A・5B間に架け渡されて、前面開口2を上下或いは左右に仕切る貯蔵庫の仕切体6を対象とする。仕切体6は、長尺な中空四角箱状のケース19と、予め所定の形状に成形され、ケース19の内部に収納される断熱材20とを備えている。ケース19は、庫外に臨む前方面を構成する前壁体21と、庫内5に臨む後方面を構成する後壁体22と、前後の壁体21・22の間に配されて、上下或いは左右に仕切られた領域に臨む仕切面を構成する一対の仕切壁体23・23と、庫内面5A・5Bに臨む端面を構成する一対の端壁体24・24とを備え、前壁体21及び後壁体22は金属材からなり、一対の仕切壁体23・23及び一対の端壁体24・24は樹脂材からなる。そして、前壁体21が、前方面を形成する前主壁27と、前主壁27の長手方向に伸びる縁部から後方に向かって連設される一対の前縁壁28・28とで断面コ字状に形成されており、後壁体22が、後方面を形成する後主壁30と、後主壁30の長手方向に伸びる縁部から前方に向かって連設される一対の後縁壁31・31とで断面コ字状に形成されていることを特徴とする。
【0007】
各仕切壁体23は、仕切面を形成する仕切主壁35と、前方側に開口して前縁壁28が前後方向に差し込まれる前差込溝38と、後方側に開口して後縁壁31が前後方向に差し込まれる後差込溝39とを備えている。各仕切壁体23の前差込溝38に前壁体21の前縁壁28がそれぞれ差し込まれ、各仕切壁体23の後差込溝39に後壁体22の後縁壁31がそれぞれ差し込まれた状態で、前壁体21と後壁体22とを一対の端壁体24・24で連結することで、前後の壁体21・22と、一対の仕切壁体23・23と、一対の端壁体24・24とを、四角箱状に一体的に接合することができるように構成されている。
【0008】
各前縁壁28の長手方向の両端部に、板厚方向に貫通する前係合孔29が開設され、各後縁壁31の長手方向の両端部に、板厚方向に貫通する後係合孔32が開設されている。各端壁体24に、前係合孔29及び後係合孔32に挿通される前後の係合突起46・47が各仕切壁体23に向かって突出形成されている。各端壁体24の前後の係合突起46・47を、前後の壁体21・22の前後の係合孔29・32に挿通させることで、一対の端壁体24・24で前壁体21と後壁体22とが連結される。
【0009】
前後の係合孔29・32に挿通された前後の係合突起46・47の突出端は、各仕切壁体23に当接している。
【0010】
端壁体24に、断熱材20に向かって突出形成される差込片71が設けられ、端壁体24に臨む断熱材20の端部に、差込片71が差込まれる切欠部72が形成されている。差込片71が切欠部72に差し込まれることで、差込み方向を除く端壁体24と断熱材20との相対移動が阻止されるように構成されている。
【0011】
一対の仕切壁体23・23は、合成樹脂が押出成形された条材からなる。
【0012】
本発明に係る貯蔵庫は、上記の仕切体6で貯蔵庫本体3の前面開口2が上下或いは左右に仕切られている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のように、仕切体6の前方面及び後方面を構成する前後の壁体21・22を金属材からなる部材で構成すると、前側に加え後側においてもケース19の構造強度を増強できるので、仕切体6の剛性を高めることができる。加えて、断面コ字状の前後の壁体21・22によれば、平板状の部材に比べて断面二次モーメントを高めることができるので、仕切体6の剛性をより増強できる。また、前後の壁体21・22を断面コ字状に形成することで、仕切体6の長手方向の軸まわりの捻じれ強度を向上することができる。したがって、本発明によれば、従来の構造に比べて仕切体6の剛性を高めることができるので、扉4が閉じられる際の衝撃による仕切体6の変形を防いで、貯蔵庫1の断熱性の低下を防ぐことが可能となる。なお、外気に晒される前壁体21と庫内5の空気に晒される後壁体22との間の熱の伝導は、樹脂材からなる一対の仕切壁体23・23及び一対の端壁体24・24で阻害することができるので、庫内外の熱の伝導という点でも貯蔵庫1の断熱性の低下を防ぐことが可能となる。
【0014】
各仕切壁体23は、仕切面を形成する仕切主壁35と、前方側に開口して前縁壁28が前後方向に差し込まれる前差込溝38と、後方側に開口して後縁壁31が前後方向に差し込まれる後差込溝39とを備えており、各仕切壁体23の前差込溝38に前壁体21の前縁壁28がそれぞれ差し込まれ、各仕切壁体23の後差込溝39に後壁体22の後縁壁31がそれぞれ差し込まれた状態で、前壁体21と後壁体22とを一対の端壁体24・24で連結することで、前後の壁体21・22と、一対の仕切壁体23・23と、一対の端壁体24・24とを、四角箱状に一体的に接合することができるように構成した。これによれば、前後の壁体21・22と一対の仕切壁体23・23とは、差し込むだけの操作で連結でき、さらに前後の壁体21・22を一対の端壁体24・24で連結するだけの操作で、ケース19を構成する各部材21~24を中空四角箱状に形成できるので、仕切体6の組み付けを簡便に行うことができる。
【0015】
各前縁壁28の長手方向の両端部に、板厚方向に貫通する前係合孔29が開設され、各後縁壁31の長手方向の両端部に、板厚方向に貫通する後係合孔32が開設されており、各端壁体24に、前係合孔29及び後係合孔32に挿通される前後の係合突起46・47が各仕切壁体23に向かって突出形成されており、各端壁体24の前後の係合突起46・47を、前後の壁体21・22の前後の係合孔29・32に挿通させることで、一対の端壁体24・24で前壁体21と後壁体22とが連結される形態を採ることができる。これによれば、各係合孔29・32に各係合突起46・47を挿通させるだけの簡単な操作で、前後の壁体21・22を連結してケース19を中空四角箱状に形成できるので、仕切体6の組み付けをより簡便に行うことができる。また、ビス等を使用する場合の締め付け操作を省略することができる。
【0016】
前後の係合孔29・32に挿通された前後の係合突起46・47の突出端が、各仕切壁体23に当接していると、各仕切壁体23と係合突起46・47の突出端との間に隙間が形成されない限り挿通された各係合突起46・47から各係合孔29・32が抜け外れることがないので、中空四角箱状に形成されたケース19が不用意に分離されることを防ぐことができる。
【0017】
端壁体24に、断熱材20に向かって突出形成される差込片71が設けられており、端壁体24に臨む断熱材20の端部に、差込片71が差込まれる切欠部72が形成されており、差込片71が切欠部72に差し込まれることで、差込み方向を除く端壁体24と断熱材20との相対移動が阻止されるように構成されていると、断熱材20で各端壁体24の長手方向の軸まわりの回転を阻止できるので、断熱材20で仕切体6の長手方向の軸まわりの捻じれ強度を向上させて、仕切体6の剛性をさらに高めることができる。
【0018】
仕切体6が架け渡される庫内面5A・5B間の距離は、貯蔵庫のサイズによって大小に異なるので、一対の仕切壁体23・23を合成樹脂の射出成形品で構成すると、長さ寸法毎に成形金型を用意する必要がある。そこで本発明のように、一対の仕切壁体23・23が、合成樹脂が押出成形された条材からなるものとすると、条材を所定長さに切断することで仕切壁体23を形成できるので、複数の金型を用意する必要がない分、仕切体6の製造コストを抑えることができる。
【0019】
本発明の仕切体6で貯蔵庫本体3の前面開口2が上下或いは左右に仕切られている貯蔵庫によれば、従来の構造に比べて仕切体6の剛性を高めて、扉4が閉じられる際の衝撃による仕切体6の変形を防ぐことができるので、貯蔵庫1の断熱性の低下を防ぐことが可能となる。なお、外気に晒される前壁体21と庫内5の空気に晒される後壁体22との間の熱の伝導は、樹脂材からなる一対の仕切壁体23・23及び一対の端壁体24・24で阻害することができるので、庫内外の熱の伝導という点でも貯蔵庫1の断熱性の低下を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る仕切体の要部を示す縦断側面図である。
図2】貯蔵庫の縦断側面図である。
図3】貯蔵庫の部分正面図である。
図4】仕切体の分解斜視図である。
図5】仕切体の縦断正面図であり、図1におけるA-A線断面を示している。
図6図5におけるB-B線断面図である。
図7図3におけるC-C線断面図である。
図8図7におけるD-D線断面図である。
図9】貯蔵庫本体から仕切体が分離された状態を示す斜視図である。
図10】仕切体の長手方向端部と取付体とを示す斜視図である。
図11】貯蔵庫本体から仕切体が分離された状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態) 図1から図11に、本発明に係る貯蔵庫の実施形態を示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、図1から図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。貯蔵庫1は縦型冷蔵庫として構成されている。図2に示すように、貯蔵庫1は、前面開口2を有する上下方向に長い断熱箱体からなる貯蔵庫本体3と、前面開口2を揺動開閉する断熱性を有する扉4とを備える。前面開口2は、庫内5の左右に向かい合う庫内面5A・5Bに架け渡される3個の仕切体6で上下方向に並ぶ4個の領域に仕切られており(図3参照)、仕切られた領域毎に扉4がそれぞれ設けられている。仕切体6は両持ち梁状に水平方向に架け渡される横桟と称されるものであり、前面開口2の等間隔置きに配される。庫内5の各仕切体6後方及び最下部には、金属丸棒が格子状に組み付けられた通気性を有する格子棚7が設置されている。
【0022】
庫内5の天井壁には、冷凍装置を構成する蒸発器10が設置されている。蒸発器10の前方には、庫内ファン11が設けられており、庫内ファン11を駆動することで、蒸発器10で冷却された空気が庫内5を循環する。貯蔵庫本体3の下側に配された機械室12には、蒸発器10と共に冷凍装置を構成する圧縮機13及び凝縮器14と、機械室12内に冷却風を生起する冷却ファン15などが設置されている。
【0023】
図2に示すように、扉4の内面には、四角枠状のマグネットパッキン16が装着されており、扉4が閉じ姿勢にあるとき、マグネットパッキン16が貯蔵庫本体3の前面に吸着する。最上段の扉4のマグネットパッキン16は、その上枠部及び左右枠部が貯蔵庫本体3に吸着し、下枠部が仕切体6に吸着する。最下段の扉4のマグネットパッキン16は、その下枠部及び左右枠部が貯蔵庫本体3に吸着し、上枠部が仕切体6に吸着する。残る中段2枚の扉4のマグネットパッキン16は、その左右枠部が貯蔵庫本体3に吸着し、上枠部及び下枠部が仕切体6に吸着する。マグネットパッキン16は、貯蔵庫本体3と扉4との間のシール性を確保し、また扉4を閉じ姿勢に保持する。
【0024】
図3に示すように仕切体6は、左右方向を長手方向、上下方向を幅方向とする長尺の四角柱状に形成される。仕切体6は、中空四角箱状のケース19と、ケース19内に収納される断熱材20とで構成される。断熱材20は発泡スチロールからなり、左右方向に長い四角柱状に形成される。ケース19は、四角柱の前面を区画する前ケース(前壁体)21と、後面を区画する後ケース(後壁体)22と、上下面を区画する上下ケース(仕切壁体)23(23A・23B)と、四角柱の端面を区画するエンドケース(端壁体)24(24A・24B)とで構成される。
【0025】
図1及び図4において、前ケース21は、ステンレス鋼板(金属材)を断面コ字状に折り曲げ形成してなるものであり、前方面を形成する左右方向に長い長方形状の前主壁27と、前主壁27の左右方向に伸びる上下の縁部から後方に向かって連設される上下一対の前縁壁28(28A・28B)とを備える。上下の前縁壁28A・28Bの左右方向の長さ寸法は、前主壁27の左右方向の長さ寸法よりも僅かに小さく設定されている。上下の前縁壁28A・28Bの左右方向の両端には、板厚方向に貫通するように丸孔状の前係合孔29・29が開設されている。前主壁27の角部、及び上下の前縁壁28A・28Bの角部は丸められている。前ケース21は、所定形状に切抜き形成された磁性を有するステンレス鋼板にプレス加工を施して形成される。
【0026】
後ケース22は、前ケース21と略同様の構成を有する。詳しくは、後ケース22は、ステンレス鋼板(金属材)を断面コ字状に折り曲げ形成してなるものであり、後方面を形成する左右方向に長い長方形状の後主壁30と、後主壁30の左右方向に伸びる上方の縁部から前方に向かって連設される上下一対の後縁壁31(31A・31B)とを備える。上下の後縁壁31A・31Bの左右方向の長さ寸法は、後主壁30の左右方向の長さ寸法と同一に設定されている。上下の後縁壁31A・31Bの左右方向(長手方向)の両端には、板厚方向に貫通するように丸孔状の後係合孔32・32が開設されている。後縁壁31A・31Bの角部はそれぞれ丸められている。後ケース22は、所定形状に切抜き形成された磁性を有するステンレス鋼板にプレス加工を施して形成される。
【0027】
上下ケース23A(23)・23B(23)は略同一の構成からなる。つまり、下ケース23Bは、上ケース23Aを前後軸まわりに上下が反転してなる。したがって、以下では上ケース23Aについて説明し、下ケース23Bについては、上ケース23Aと同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
図6において、上ケース23Aは合成樹脂からなり、上面が上側の仕切面を形成する左右方向に長い長方形状の仕切主壁35と、仕切主壁35の下面中途部の2箇所に下向きに突出形成される前後一対の垂直壁36・36と、各垂直壁36の上下中途部から互いに遠ざかる方向に連設される前後一対の水平壁37・37などを備える。各垂直壁36は、左右方向に伸びる垂直な壁からなり、各水平壁37は、左右方向に伸びる水平な壁からなる。向かい合う仕切主壁35と前側の水平壁37との間には、前方側に開口する左右に伸びる前差込溝38が形成され、向かい合う仕切主壁35と後側の水平壁37との間には、後方側に開口する左右に伸びる後差込溝39が形成されている。前後の垂直壁36・36の間における仕切主壁35の厚み寸法は、他の部分よりも厚く形成されている。
【0029】
上ケース23Aの左右の端部において、両垂直壁36・36と両水平壁37・37は除去されており、垂直壁36及び水平壁37の左右方向の長さ寸法は、仕切主壁35の左右方向の長さ寸法よりも小さく設定されている。上ケース23Aは、押出し成形により製作された合成樹脂の条材に対して切削加工を施してなる。
【0030】
左右のエンドケース24A・24Bは略同一の構成からなる。つまり、右エンドケース24Bは、左エンドケース24Aを前後軸まわりに左右が反転してなる。したがって、以下では左エンドケース24Aについて説明し、右エンドケース24Bについては、左エンドケース24Aと同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0031】
図5及び図7において、左エンドケース24A(24)は合成樹脂の射出成形品からなり、左方面を形成する側面視が略正方形状の端主壁42と、端主壁42の上縁から右方に向かって連設される上壁43と、端主壁42の下縁から右方に向かって連設される下壁44などを備える。端主壁42と上壁43の入隅部の前後、及び端主壁42と下壁44の入隅部の前後のそれぞれには、補強用のリブ壁45が設けられている。上ケース23Aに臨む上壁43の上面の前後には、上向き(外向き)に突出する前後の係合突起46・47が設けられており、下ケース23Bに臨む下壁44の下面の前後にも、下向き(外向き)に突出する前後の係合突起46・47が設けられている。前係合突起46は、前係合孔29の直径と同一径の偏平円柱であり、後係合突起47は、後係合孔32の直径と同一径の偏平円柱である。端主壁42の左方面には、後述する取付構造52を構成するガイド突部48と係止突部49が設けられている。
【0032】
貯蔵庫本体3の向かい合う左右の庫内面5A・5Bには、一対のブラケット55・55が固定されており、仕切体6は、これらブラケット55・55と仕切体6の左右方向の端部との間に設けられて、貯蔵庫本体3に対する仕切体6の取り付けを担う取付構造52・52を介して取り付けられる。図10及び図11に示すように、各取付構造52は、仕切体6に設けられる先のガイド突部48と、ブラケット55に設けられ、ガイド突部48を受け止めるガイド溝53と、ガイド溝53で受け止められたガイド突部48の移動を阻止するロック構造54などで構成される。
【0033】
ブラケット55を含む左右の取付構造52・52は、実質的に同一の構成である。つまり、右側の取付構造52は、図9において前後軸まわりに左右を反転してなる。したがって、以下では左側の取付構造52について説明し、右側の取付構造52については、その説明を省略する。
【0034】
図10に示すように、左エンドケース24Aのガイド突部48は、端主壁42から左方に向かって突出形成されている。ガイド突部48は、前後方向に伸びる上下一対の突条58と、上下の突条58の中途部どうしを接続する上下方向に伸びる補強突条59とにより、側面視で横臥H字状に形成されている。係止突部49は、補強突条59よりも後方の上下の突条58・58間に突出形成されている。係止突部49は、左後方に指向する傾斜面からなる突部側ガイド面60(ガイド面60)を備える断面直角三角形状に形成されている(図7参照)。
【0035】
ブラケット55は、合成樹脂の射出成形品からなる。図10に示すようにブラケット55は、前後方向に伸びるガイド溝53が凹み形成された左右に偏平なブラケットベース61と、ブラケットベース61の後端の上下から右向きに突出形成され、上下の突条58・58を受け止める上下一対のストッパー62と、ブラケットベース61の後端から後向きに延出形成される締結座63と、締結座63の上下中央から前向きに連設され、左右に弾性変形可能な弾性片64と、弾性片64の突端に設けられる係止爪65などを備える。
【0036】
図8に示すようにガイド溝53の上下面および底面は、ガイド突部48を構成する上下の突条58・58の受止面66とされている。図7に示すように各ストッパー62は、その一部がガイド溝53に臨むように形成されており、ガイド溝53で受け止められたガイド突部48の上下の突条58・58と端主壁42とを受け止める。係止爪65は、断面L字状に形成された弾性片64の先端から右向きに突出形成されており、右前方に指向する傾斜面からなる爪側ガイド面67(ガイド面67)を備える断面直角三角形状に形成されている。弾性片64に臨むブラケットベース61及び締結座63には、弾性片64が弾性変形するためのスペースを確保するために退避孔68が設けられている。ロック構造54は、ブラケット55に設けられたストッパー62、弾性片64及び係止爪65と、左エンドケース24Aに設けられた突条58及び係止突部49とで構成される。
【0037】
図11に示すようにガイド溝53の上下方向の寸法は、上側の突条58の上面から下側の突条58の下面までの上下方向の寸法と同じか、僅かに小さく設定されている。これら上下方向の寸法の差が小さいほど、貯蔵庫本体3に仕切体6を取り付けたときのガイド溝53とガイド突部48との間のクリアランスが小さくなる。このクリアランスは、仕切体6のがたつきの原因となるため、可能な限り小さく形成することが好ましい。
【0038】
図4に示すように断熱材20の左右の端部には、各エンドケース24A・24Bに設けられた差込片71が差し込まれる切欠部72が切欠き形成されている。差込片71は各エンドケース24A・24Bのリブ壁45で構成されている。切欠部72は各差込片71に対応して断熱材20の各頂点部分に形成されている。四角柱状の断熱材20の前面には、結露防止用のヒーターが装着されるヒーター凹部73が凹み形成されている。かかるヒーターは、必要に応じて断熱材20に装着される。
【0039】
ここで、仕切体6の組み付け手順を説明する。まず、作業員は、作業台上に後ケース22をその後方面が作業台に当接するように載置する。続いて、後ケース22に対して上ケース23Aと下ケース23Bとを連結する。具体的には、上ケース23Aの後差込溝39内に後ケース22の上側の後縁壁31A(31)を差し込み、後ケース22と上ケース23Aとを連結する。同様に、下ケース23Bの後差込溝39内に後ケース22の下側の後縁壁31B(31)を差し込み、後ケース22と下ケース23Bとを連結する。このとき、上下ケース23A・23Bは、その仕切面が外向きになるように後ケース22に対して連結する。これにて、後ケース22と上ケース23Aと下ケース23Bの3者は、作業台上で上向きに開口するコ字枠状に組み付けられる。
【0040】
次いで、コ字枠状に組み付けた3者(後ケース22と上ケース23Aと下ケース23B)の開口に上方から断熱材20を差し込み、断熱材20の三方の面が後ケース22及び上下ケース23A・23Bで囲まれるように断熱材20を載置する。続いて、前ケース21を上下ケース23A・23Bに連結させる。具体的には、上側の前縁壁28Aを上ケース23Aの前差込溝38に差し込むとともに、下側の前縁壁28Bを下ケース23Bの前差込溝38に差し込み、これにて前ケース21と上下ケース23A・23Bとを連結する。以上より、前後ケース21・22と上下ケース23A・23Bが四角筒状に組み付けられ、その内部に断熱材20が配された中間組付体を得ることができる。この中間組付体の状態において、前後のケース21・22、上下のケース23A・23B、及び断熱材20は相互に強固に連結されておらず、一体として取り扱わないと簡単に分離してしまう。このため、弱粘着性の接着テープ等で、中間組付体を構成する隣り合う部材間を仮固定してもよい。
【0041】
次いで、中間組付体に対して、左エンドケース24Aを組み付ける。具体的には、四角筒状に組み付けられた前後ケース21・22と上下ケース23A・23Bの左側の開口から覗く断熱材20の切欠部72に対して、左エンドケース24Aの差込片71(リブ壁45)を位置合わせしたうえで、前記開口に向かって(右方向に向かって)左エンドケース24Aを差し込む。このとき、差込片71が切欠部72でガイドされるので、左エンドケース24Aを前記開口の規定位置へ差し込むことができる。
【0042】
上記の状態から左エンドケース24Aを右方向へさらに押し込むと、上下ケース23A・23Bの各仕切主壁35と前後の縁壁28・31の各左端部が外向きに僅かに弾性変形し、これにて前後の係合突起46・47を前後の縁壁28・31の内側に潜り込ませることができる。この状態から左エンドケース24Aを右方向へさらに押し込むと、前係合突起46が前係合孔29に挿通するとともに、後係合突起47が後係合孔32に挿通し、これにて中間組付体に対して左エンドケース24Aを組み付けることができる。この状態では、前後ケース21・22の左端側が左エンドケース24Aによって連結されている。
【0043】
次いで、中間組付体に対して、右エンドケース24Bを組み付ける。この右エンドケース24Bの組み付け方法は、押し込み方向が左右逆である点を除いて上記の左エンドケース24Aと同様である。中間組付体に対して右エンドケース24Bを組み付けると、前後のケース21・22の右端側が右エンドケース24Bで連結される。以上より、仕切体6の組み付けが完了する。
【0044】
図6に示すように、仕切体6は、前ケース21の前主壁27の内面が、ヒーター凹部73を除く断熱材20の前面に密着しており、後ケース22の後主壁30の内面が、断熱材20の後面に密着している。上ケース23Aの垂直壁36の下面は、断熱材20の上面に密着しており、下ケース23Bの垂直壁36の上面は、断熱材20の下面に密着している。図5に示すように、左エンドケース24Aの端主壁42の右面は、断熱材20の左面に密着しており、右エンドケース24Bの端主壁42の左面は、断熱材20の右面に密着している。このように、断熱材20は、前後、上下、左右の全ての面が、ケース19を構成する各ケース21~24と接する状態で、ケース19の内部に収納される。
【0045】
図1に示すように、上方側に位置する左右のエンドケース24A・24Bの前係合突起46及び後係合突起47の突出端は、上ケース23Aの仕切主壁35の内面に当接し、下方側に位置する左右のエンドケース24A・24Bの前係合突起46及び後係合突起47の突出端は、下ケース23Bの仕切主壁35の内面に当接している。前差込溝38に差し込まれた前縁壁28の先端(後端)は、前差込溝38の溝底に当接し、後差込溝39に差し込まれた後縁壁31の先端(前端)は、後差込溝39の溝底に当接している。
【0046】
上記のように、左右のエンドケース24A・24Bの差込片71が断熱材20の切欠部72に差し込まれることで、左右のエンドケース24A・24Bは断熱材20に連結されている。このように差込片71と切欠部72の係合により断熱材20に連結されることで、各エンドケース24A・24Bの前後、上下、及び左右の移動は規制されている。加えて、各エンドケース24A・24Bの各係合突起46・47が、前後ケース21・22の各係合孔29・32に挿通され、両者が係合することで、前後ケース21・22は左右のエンドケース24A・24Bに連結されている。このように、係合突起46・47と係合孔29・32との係合により前後ケース21・22が左右のエンドケース24A・24Bに連結されることで、前後ケース21・22の前後、上下、及び左右の移動は規制されている。
【0047】
図6に示すように、前後の差込溝38・39に前後の縁壁28・31が差し込まれることで、上下ケース23A・23Bの上下及び前後の移動は規制されている。また、図5に示すように、上ケース23Aは、垂直壁36の左端部が左エンドケース24Aの上壁43に当接し、垂直壁36の右端部が右エンドケース24Bの上壁43に当接し、同様に、下ケース23Bは、垂直壁36の左端部が左エンドケース24Aの下壁44に当接し、垂直壁36の右端部が右エンドケース24Bの下壁44に当接しており、これらにより、上下ケース23A・23Bの左右の移動は規制されている。このように、ケース19を構成する各ケース21~24及び断熱材20は、相対的な移動が相互に規制されるように組み付けられている。
【0048】
続いて、以上のように構成された仕切体6を貯蔵庫本体3に取り付ける。かかる取り付けに際しては、まず、左右の庫内面5A・5Bのそれぞれにブラケット55を固定する(図9、10参照)。つまり、仕切体6を取り付けるべき高さ位置の左右の庫内面5A・5Bにブラケット55を固定する。ブラケット55は、締結座63の上下に設けられたビス通孔76を介して固定ビス77を貯蔵庫本体3にねじ込むことで固定される。左右の庫内面5A・5Bに対するブラケット55の固定が完了すると、ブラケット55のガイド溝53に対して、仕切体6のガイド突部48を位置合わせしたうえで、仕切体6を後方に移動させて、ガイド溝53内にガイド突部48の後端を差し込む。続いてこの状態から、さらに仕切体6を後方に押し込み、係止突部49の突部側ガイド面60と係止爪65の爪側ガイド面67とが当接するまで移動させる。このときガイド溝53に対してガイド突部48が移行案内されることで、仕切体6は適正姿勢で後方へ向かってスライド移動される。
【0049】
上記の状態から仕切体6を後方へ向かってさらにスライド移動させると、突部側ガイド面60により爪側ガイド面67が押圧され、その当接反力で弾性片64が退避孔68側へと弾性変形される。さらに仕切体6をスライド移動させて、係止爪65が係止突部49を乗り越えると、弾性片64の弾性復元力で係止爪65は係止突部49の前面に係止され、かかる係止により貯蔵庫本体3に対する仕切体6の取り付けが完了する。仕切体6の後方へのスライド移動限界は、上下のストッパー62・62に端主壁42の後端面と上下の突条58・58の後端面が当接することで規制される。
【0050】
貯蔵庫本体3に取り付けられた仕切体6の前後方向の移動は、ロック構造54を構成する係止突部49と係止爪65との係止、及び突条58とストッパー62との当接により、規制される(図7参照)。仕切体6の上下方向の移動は、上下の突条58・58と上下の受止面66との係止により規制される(図8参照)。仕切体6の左右方向の移動は、端主壁42(仕切体6の長手方向の端面)とブラケットベース61(ブラケット55)とが当接することで規制される(図8参照)。以上のように、仕切体6は、前後、上下、左右に位置決めされた状態で貯蔵庫本体3に両持ち梁状に取り付けられる。
【0051】
仕切体6が貯蔵庫本体3に取り付けられた状態では、ブラケット55の前側は前ケース21で覆われ、ブラケット55の上側及び下側は、上下のケース23(23A・23B)で覆われており、前ケース21の左右の端部は、それぞれ貯蔵庫本体3の前面に僅かに重畳している。これにより、貯蔵庫1の庫外からブラケット55が目視されることを防ぐことができる。また、ブラケットベース61から後方向に形成される締結座63に固定ビス77を配したので、貯蔵庫1の正面視において固定ビス77が目視されることを仕切体6で防ぐことができる。
【0052】
以上のように、本実施形態では、仕切体6の前方面及び後方面を構成する前後のケース21・22をステンレス鋼板で構成したので、前側に加え後側においてもケース19の構造強度を増強して、仕切体6の剛性を高めることができる。加えて、断面コ字状の前後のケース21・22によれば、平板状の部材に比べて断面二次モーメントを高めることができるので、仕切体6の剛性をより増強できる。また、前後のケース21・22を断面コ字状に形成することで、仕切体6の長手方向の軸まわりの捻じれ強度を向上することができる。したがって、本発明によれば、従来の構造に比べて仕切体6の剛性を高めることができるので、扉4が閉じられる際の衝撃による仕切体6の変形を防いで、貯蔵庫1の断熱性の低下を防ぐことが可能となる。なお、外気に晒される前ケース21と庫内5の空気に晒される後ケース22との間の熱の伝導は、合成樹脂材からなる上下のケース23A・23B及び左右のエンドケース24A・24Bで阻害することができるので、庫内外の熱の伝導という点でも貯蔵庫1の断熱性の低下を防ぐことが可能となる。
【0053】
前後の各ケース23A(23)・23B(23)の前差込溝38・38に前ケース21の上下の前縁壁28A(28)・28A(28)をそれぞれ差し込み、各ケース23A・23Bの後差込溝39・39に後ケース22の上下の後縁壁31A(31)・31B(31)をそれぞれ差し込んだ状態で、前ケース21と後ケース22とを左右のエンドケース24A(24)・24B(24)で連結することで、前後のケース21・22と、上下のケース23A・23Bと、左右のエンドケース24A・24Bとを、四角箱状に一体的に接合することができるように構成した。これによれば、前後のケース21・22と上下のケース23A・23Bとは、差し込むだけの操作で連結でき、さらに前後のケース21・22を左右のエンドケース24A・24Bで連結するだけの操作で、ケース19を構成する各部材21~24を中空四角箱状に形成できるので、仕切体6の組み付けを簡便に行うことができる。
【0054】
各前縁壁28A・28Bの長手方向の両端部に、板厚方向に貫通する前係合孔29・29を開設し、各後縁壁31A・31Bの長手方向の両端部に、板厚方向に貫通する後係合孔32・32を開設し、各エンドケース24に、前係合孔29及び後係合孔32に挿通される前後の係合突起46・47を上下のケース23に向かって突出形成した。これら各エンドケース24の前後の係合突起46・47を、前後のケース21・22の前後の係合孔29・32に挿通させることで、一対のエンドケース24・24で前ケース21と後ケース22とが連結されるように構成したので、各係合孔29・32に各係合突起46・47を挿通させるだけの簡単な操作で、前後のケース21・22を連結してケース19を中空四角箱状に形成でき、仕切体6の組み付けをより簡便に行うことができる。また、ビス等を使用する場合の締め付け操作を省略することができる。
【0055】
前後の係合孔29・32に挿通された前後の係合突起46・47の突出端は、上下ケース23に当接するようにしたので、上下ケース23と係合突起46・47の突出端との間に隙間が形成されない限り挿通された各係合突起46・47から各係合孔29・32が抜け外れることがない。したがって、中空四角箱状に形成されたケース19が不用意に分離されることを防ぐことができる。
【0056】
エンドケース24に、断熱材20に向かって突出形成される差込片71を設け、エンドケース24に臨む断熱材20の端部に、差込片71が差込まれる切欠部72を形成して、差込片71が切欠部72に差し込まれることで、差込み方向を除くエンドケース24と断熱材20との相対移動を阻止するように構成したので、断熱材20で各エンドケース24の長手方向の軸まわりの回転を阻止できる。したがって、断熱材20で仕切体6の長手方向の軸まわりの捻じれ強度を向上させることができるので、仕切体6の剛性をさらに高めることができる。
【0057】
仕切体6が架け渡される庫内面5A・5B間の距離は、貯蔵庫のサイズによって大小に異なるので、一対の上下ケース23・23を合成樹脂の射出成形品で構成すると、長さ寸法毎に成形金型を用意する必要がある。本実施形態では、一対の上下ケース23・23を、合成樹脂が押出成形された条材からなるものとしたので、条材を所定長さに切断することで上下ケース23を形成でき、複数の金型を用意する必要がない分、仕切体6の製造コストを抑えることができる。
【0058】
上記実施形態では、仕切体6が、貯蔵庫本体3の左右に向かい合う庫内面に架け渡される横桟である場合を示したが、仕切体6は、横型冷蔵庫において貯蔵庫本体3の上下に向かい合う庫内面に立設される所謂センターピラーに適用することもできる。
【符号の説明】
【0059】
1 貯蔵庫
2 前面開口
3 貯蔵庫本体
5A 庫内面
5B 庫内面
6 仕切体
19 ケース
20 断熱材
21 前壁体(前ケース)
22 後壁体(後ケース)
23A(23) 仕切壁体(上ケース)
23B(23) 仕切壁体(下ケース)
24A(24) 端壁体(左エンドケース)
24B(24) 端壁体(右エンドケース)
27 前主壁
28A(28) 上前縁壁(前縁壁)
28B(28) 下前縁壁(前縁壁)
29 前係合孔
30 後主壁
31A(31) 上後縁壁(後縁壁)
31B(31) 下後縁壁(後縁壁)
32 後係合孔
35 仕切主壁
38 前差込溝
39 後差込溝
46 前係合突起
47 後係合突起
71 差込片
72 切欠部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11