(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047322
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】情報通知システム及び情報通知方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240329BHJP
G08G 1/0962 20060101ALI20240329BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240329BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240329BHJP
【FI】
G08G1/09 D
G08G1/0962
B60W50/14
G06T7/00 650A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152876
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】建部 好輝
(72)【発明者】
【氏名】岩城 圭哉
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆史
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
3D241BA60
3D241CE05
3D241DC39Z
3D241DC40Z
3D241DC60Z
5H181AA01
5H181BB20
5H181CC04
5H181FF03
5H181LL08
5H181MB02
5L096BA04
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA44
5L096HA07
(57)【要約】
【課題】制限速度を車両のユーザに通知する技術に関し、ユーザにとっての利便性を更に向上させる。
【解決手段】情報通知システムは、車両のユーザに情報を通知する。情報通知システムは、車両に搭載されたカメラによって認識される1以上の時間指定制限速度標識が全体として1日の全ての時間帯を指定しているという第1条件が成立するか判定する。第1条件が成立しない場合、情報通知システムは、車両が使用される地域における法定制限速度に関する参照情報に基づいて、1以上の時間指定制限速度標識が設置されている道路における法定制限速度を少なくともユーザに通知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のユーザに情報を通知する情報通知システムであって、
1又は複数のプロセッサと、
前記車両が使用される地域における法定制限速度に関する参照情報を格納する1又は複数の記憶装置と
を備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記車両に搭載されたカメラによって認識される1以上の時間指定制限速度標識が全体として1日の全ての時間帯を指定しているという第1条件が成立するか判定し、
前記第1条件が成立しない場合、前記参照情報に基づいて、前記1以上の時間指定制限速度標識が設置されている道路における前記法定制限速度を少なくとも前記ユーザに通知する
情報通知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報通知システムであって、
前記第1条件が成立しない場合、前記1又は複数のプロセッサは、前記1以上の時間指定制限速度標識によって指定される制限速度と前記法定制限速度の両方を前記ユーザに通知する
情報通知システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報通知システムであって、
異なる時間帯を指定する複数の時間指定制限速度標識が認識され、且つ、前記第1条件が成立する場合、前記1又は複数のプロセッサは、前記複数の時間指定制限速度標識のそれぞれによって指定される複数の制限速度を前記ユーザに通知する
情報通知システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報通知システムであって、
前記第1条件が成立する場合、前記1又は複数のプロセッサは、前記法定制限速度を取得することを控える、あるいは、前記法定制限速度を前記ユーザに通知することを控える
情報通知システム。
【請求項5】
請求項1に記載の情報通知システムであって、
前記第1条件が成立しない場合、前記1又は複数のプロセッサは、前記1以上の時間指定制限速度標識によって指定される制限速度を通知することなく、前記法定制限速度を前記ユーザに通知する
情報通知システム。
【請求項6】
請求項5に記載の情報通知システムであって、
異なる時間帯を指定する複数の時間指定制限速度標識が認識され、且つ、前記第1条件が成立する場合、前記1又は複数のプロセッサは、前記複数の時間指定制限速度標識のそれぞれによって指定される複数の制限速度のうちいずれか1つを前記ユーザに通知する
情報通知システム。
【請求項7】
請求項6に記載の情報通知システムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、前記複数の制限速度のうち最も高い1つを前記ユーザに通知する
情報通知システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の情報通知システムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、前記1以上の時間指定制限速度標識のデザインと前記参照情報に基づいて、前記1以上の時間指定制限速度標識が設置されている前記道路における前記法定制限速度を取得する
情報通知システム。
【請求項9】
請求項8に記載の情報通知システムであって、
前記参照情報は、前記地域において使用される制限速度標識のデザインと、前記制限速度標識が設置される道路における前記法定制限速度とを関連付け、
前記1又は複数のプロセッサは、前記参照情報に基づいて、前記1以上の時間指定制限速度標識の前記デザインに関連付けられた前記法定制限速度を取得する
情報通知システム。
【請求項10】
請求項8に記載の情報通知システムであって、
前記参照情報は、道路種別毎に前記法定制限速度を示し、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記1以上の時間指定制限速度標識のデザインに基づいて、前記1以上の時間指定制限速度標識が設置されている道路の道路種別を推定し、
前記参照情報に基づいて、前記道路種別に対して設定されている前記法定制限速度を取得する
情報通知システム。
【請求項11】
コンピュータによって車両のユーザに情報を通知する情報通知方法であって、
前記車両に搭載されたカメラによって認識される1以上の時間指定制限速度標識が全体として1日の全ての時間帯を指定しているという第1条件が成立するか判定することと、
前記第1条件が成立しない場合、前記車両が使用される地域における法定制限速度に関する参照情報に基づいて、前記1以上の時間指定制限速度標識が設置されている道路における前記法定制限速度を少なくとも前記ユーザに通知することと
を含む
情報通知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のユーザに情報を通知する技術に関する。特に、本開示は、車両のユーザに制限速度に関する情報を通知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両用の標識表示装置を開示している。標識表示装置は、カメラにより車両前方の標識を検出する。第1区間内の第1最高速度に関する第1標識情報と第2区間内の第2最高速度に関する第2標識情報とが検出された場合、標識表示装置は、第1標識情報と第2標識情報とを並べて表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制限速度標識を認識し、制限速度標識によって指定される制限速度を車両のユーザに通知する技術は有用である。但し、制限速度標識の種類の中には、1日の中の特定の時間帯における制限速度を指定する時間指定制限速度標識もある。時間指定制限速度標識によって指定される制限速度がユーザに通知されても、特定の時間帯以外の制限速度はユーザには分からない。例えば、現在時刻が特定の時間帯外である場合、特定の時間帯における制限速度の通知は特に有用ではない。制限速度を車両のユーザに通知する技術には改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点は、車両のユーザに情報を通知する情報通知システムに関連する。
情報通知システムは、
1又は複数のプロセッサと、
車両が使用される地域における法定制限速度に関する参照情報を格納する1又は複数の記憶装置と
を備える。
1又は複数のプロセッサは、
車両に搭載されたカメラによって認識される1以上の時間指定制限速度標識が全体として1日の全ての時間帯を指定しているという第1条件が成立するか判定し、
第1条件が成立しない場合、参照情報に基づいて、1以上の時間指定制限速度標識が設置されている道路における法定制限速度を少なくともユーザに通知する。
【0006】
第2の観点は、コンピュータによって車両のユーザに情報を通知する情報通知方法に関連する。
情報通知方法は、
車両に搭載されたカメラによって認識される1以上の時間指定制限速度標識が全体として1日の全ての時間帯を指定しているという第1条件が成立するか判定することと、
第1条件が成立しない場合、車両が使用される地域における法定制限速度に関する参照情報に基づいて、1以上の時間指定制限速度標識が設置されている道路における法定制限速度を少なくともユーザに通知することと
を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、認識された時間指定制限速度標識が全体として1日の全ての時間帯を指定していない場合、少なくとも法定制限速度が車両のユーザに通知される。法定制限速度の通知はユーザにとって有用であり、ユーザにとっての利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態に係る情報通知システムの概要を説明するための概念図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る時間指定制限速度標識に関する情報通知処理の一例を説明するための概念図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る時間指定制限速度標識に関する情報通知処理の他の例を説明するための概念図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る情報通知システムの構成例を示すブロック図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る参照情報の一例を説明するための概念図である。
【
図6】第1の実施の形態に係る参照情報の他の例を説明するための概念図である。
【
図7】第1の実施の形態に係る時間指定制限速度標識に関する情報通知処理を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施の形態に係る時間指定制限速度標識に関する情報通知処理の一例を説明するための概念図である。
【
図9】第2の実施の形態に係る時間指定制限速度標識に関する情報通知処理の他の例を説明するための概念図である。
【
図10】第2の実施の形態に係る時間指定制限速度標識に関する情報通知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0010】
1.第1の実施の形態
1-1.情報通知システムの概要
図1は、本実施の形態に係る情報通知システム100の概要を説明するための概念図である。情報通知システム100は、車両1に関する情報を車両1のユーザOに通知する。例えば、車両1のユーザOは、車両1のオペレータである。車両1のオペレータは、車両1に搭乗しているドライバであってもよいし、車両1を遠隔操作(遠隔運転、遠隔支援)する遠隔オペレータであってもよい。車両1のユーザOは、車両1に乗車している乗員であってもよい。車両1は自動運転車両であってもよい。情報通知システム100は、車両1に搭載されていてもよいし、遠隔オペレータが操作する遠隔オペレータ端末に含まれていてもよいし、車両1と遠隔オペレータ端末に分散的に配置されていてもよい。
【0011】
例えば、情報通知システム100は、車両1が走行する道路の制限速度に関する情報をユーザOに通知する。車両1が走行する道路の制限速度は、例えば、その道路に設置されている制限速度標識Sから得られる。情報通知システム100は、車両1が走行する道路に設置されている制限速度標識Sを認識し、認識した制限速度標識Sによって指定される制限速度をユーザOに通知する。
【0012】
制限速度標識Sの認識には、車両1に搭載されたカメラ2が利用される。カメラ2は、車両1の周囲の状況を撮影し、車両1の周囲の状況を示す画像IMGを取得する。情報通知システム100は、カメラ2によって得られた画像IMGを取得し、画像IMGを解析することによって制限速度標識Sを認識する。典型的には、情報通知システム100は、画像認識AI(Artificial Intelligence)を利用することによって画像IMGから制限速度標識Sを認識する。画像認識AIは、ディープラーニング等の学習手法を通して予め生成される。例えば、画像認識AIは、画像IMGの中から様々な標識を検出し、更に検出した標識の種類を特定することができるように学習される。他の例として、画像認識AIは、画像IMGの中から制限速度標識Sを検出することができるように学習されてもよい。いずれの場合であっても、カメラ2及び画像認識AIを利用することによって制限速度標識Sを認識することができる。
【0013】
情報通知システム100は、ユーザOに情報を通知するための通知装置を備えている。情報通知システム100は、認識した制限速度標識Sによって指定される制限速度を、通知装置を通してユーザOに通知する。
【0014】
例えば、通知装置は表示装置を含んでいる。情報通知システム100は、認識した制限速度標識Sの画像そのものを表示装置に表示する。あるいは、情報通知システム100は、認識した制限速度標識Sの画像に基づいて、その制限速度標識Sに記載されている数字を読み取ってもよい。言い換えれば、情報通知システム100は、認識した制限速度標識Sの画像に基づいて、その制限速度標識Sによって指定される制限速度を認識してもよい。この場合、情報通知システム100は、認識した制限速度を表示装置に表示する。制限速度の表示は、アイコンであってもよいし、文字(数字)であってもよい。
【0015】
他の例として、通知装置はスピーカを含んでいてもよい。この場合、情報通知システム100は、制限速度を通知する音声情報をスピーカから出力する。
【0016】
このように制限速度を通知する技術は、車両1のユーザOにとって有用である。
【0017】
1-2.時間指定制限速度標識
制限速度標識Sの種類の中には、1日の中の特定の時間帯における制限速度を指定する「時間指定制限速度標識ST」もある。典型的には、時間指定制限速度標識STは、制限速度を指定する本体部分に加えて、その制限速度が適用される時間帯を指定する補助部分を含んでいる。画像認識AIは、時間帯を指定する補助部分の有無に基づいて、制限速度標識Sが時間指定制限速度標識STであるか否かを判定することができる。画像認識AIは、時間指定制限速度標識STによって指定される時間帯を認識してもよい。
【0018】
時間指定制限速度標識STによって指定される制限速度が車両1のユーザOに通知されても、特定の時間帯以外の制限速度はユーザOには分からない。例えば、現在時刻が特定の時間帯外である場合、特定の時間帯における制限速度の通知は特に有用ではない。そこで、本実施の形態は、車両1のユーザOにとっての利便性を更に向上させることができる技術を提供する。
【0019】
図2は、時間指定制限速度標識STに関する情報通知処理の一例を説明するための概念図である。情報通知システム100は、車両1が走行する道路に設置されている時間指定制限速度標識STを認識する。
図2に示される例では、時間指定制限速度標識STによって指定されている時間帯は6時~19時である。このような時間指定制限速度標識STを認識した場合、情報通知システム100は、その時間指定制限速度標識STが設置されている道路における「法定制限速度」の情報を取得する。
【0020】
より詳細には、情報通知システム100は、車両1が使用される地域における法定制限速度に関する「参照情報REF」を保持している。ここで、車両1が使用される地域とは、国や州を意味する。交通法規は地域毎に定められている。参照情報REFは、地域毎に定められた交通法規に基づいて予め生成される。参照情報REFは、複数の地域をカバーするように生成されてもよい。
【0021】
例えば、参照情報REFは、地域において使用される制限速度標識Sのデザインと、その制限速度標識Sが設置される道路における法定制限速度とを関連付ける。制限速度標識Sのデザインは、その制限速度標識Sによって指定される制限速度の数字を含む。例えば、100km以上の制限速度を指定するような制限速度標識Sは、高速道路(自動車専用道路)に設置される。当該地域の高速道路における法定制限速度は、交通法規によって定められている。従って、制限速度標識Sのデザインと法定制限速度とを関連付ける参照情報REFを生成することができる。
【0022】
但し、参照情報REFは上記例に限られない。参照情報REFの様々な例は後述される。
【0023】
情報通知システム100は、参照情報REFに基づいて、認識した時間指定制限速度標識STが設置されている道路における法定制限速度の情報を取得する。
図2に示される例では、情報通知システム100は、認識した時間指定制限速度標識STによって指定される制限速度に加えて、法定制限速度を車両1のユーザOに通知する。
【0024】
その結果、車両1のユーザOは、特定の時間帯に適用される制限速度だけでなく、特定の時間帯外に適用される法定制限速度をも知ることが可能となる。そのような法定制限速度の情報はユーザOにとって有用であり、ユーザOにとっての利便性が向上する。例えば、現在時刻が特定の時間帯外である場合、ユーザOは、現在時刻において適用される法定制限速度を知ることができ、好適である。
【0025】
図3は、時間指定制限速度標識STに関する情報通知処理の他の例を説明するための概念図である。
図3に示される例では、異なる時間帯を指定する複数の時間指定制限速度標識ST-1、ST-2が同時に認識される。時間指定制限速度標識ST-1によって指定されている時間帯は6時~19時であり、時間指定制限速度標識ST-2によって指定されている時間帯は19時~6時である。すなわち、複数の時間指定制限速度標識ST-1、ST-2は、全体として、1日の全ての時間帯を指定している。
【0026】
図3に示される例では、情報通知システム100は、複数の時間指定制限速度標識ST-1、ST-2のそれぞれによって指定される複数の制限速度を車両1のユーザOに通知する。これにより、ユーザOは、1日の全ての時間帯における制限速度を知ることができる。
【0027】
ユーザOは全ての時間帯における制限速度を知ることができるため、法定制限速度をユーザOに通知する必要は必ずしもない。よって、情報通知システム100は、参照情報REFに基づいて法定制限速度の情報を取得する処理を控えてもよい。あるいは、情報通知システム100は、法定制限速度をユーザOに通知する処理を控えてもよい。いずれの場合であっても、情報通知システム100の処理負荷が軽減される。また、ユーザOに必要以上に情報が通知されないため、ユーザOが煩わしさを感じることが抑制される。
【0028】
1-3.情報通知システムの構成例
図4は、本実施の形態に係る情報通知システム100の構成例を示すブロック図である。情報通知システム100は、通信インタフェース110、通知装置120、1又は複数のプロセッサ130(以下、単にプロセッサ130と呼ぶ)、及び1又は複数の記憶装置140(以下、単に記憶装置140と呼ぶ)を含んでいる。
【0029】
通信インタフェース110は、情報通知システム100の外部と通信を行う。例えば、通信インタフェース110は、車両1に搭載されたカメラ2と通信を行う。ユーザOが車両1を遠隔操作(遠隔運転、遠隔支援)する遠隔オペレータであり、情報通知システム100が遠隔オペレータ端末に含まれている場合、通信インタフェース110は車両1と通信を行う。
【0030】
通知装置120は、車両1のユーザOに各種情報を通知する。ユーザOが車両1に搭乗しているドライバである場合、通知装置120は、車両1に搭載されている。ユーザOが遠隔オペレータである場合、通知装置120は、遠隔オペレータ端末に含まれている。例えば、通知装置120は表示装置を含んでいる。表示装置としては、ディプレイ、ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display, HUD)、等が例示される。他の例として、通知装置120はスピーカを含んでいてもよい。
【0031】
プロセッサ130は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ130は、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。
【0032】
記憶装置140は、各種情報を格納する。記憶装置140としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、等が例示される。
【0033】
制御プログラム200は、情報通知システム100を制御するためのコンピュータプログラムである。プロセッサ130が制御プログラム200を実行することにより、情報通知システム100による各種処理が実現される。制御プログラム200は、記憶装置140に格納される。あるいは、制御プログラム200は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。
【0034】
プロセッサ130は、通信インタフェース110を介して、車両1に搭載されたカメラ2によって撮影される画像IMGを取得する。画像IMGは、記憶装置140に格納される。
【0035】
また、プロセッサ130は、通信インタフェース110を介して、車両1からナビゲーション情報NAVを取得する。ナビゲーション情報NAVは、地図情報及び車両1の位置情報を含む。ナビゲーション情報NAVは、車両1が存在する地域(国、州、等)の情報を含んでいてもよい。ナビゲーション情報NAVは、記憶装置140に格納される。
【0036】
記憶装置140は、更に、参照情報REFを格納する。参照情報REFは、車両1が使用される地域(国、州、等)における法定制限速度に関する情報である。参照情報REFは、複数の地域をカバーするように生成されてもよい。
【0037】
図5は、参照情報REFの一例を説明するための概念図である。
図5に示される例では、参照情報REFは、地域において使用される制限速度標識Sのデザインと、その制限速度標識Sが設置される道路における法定制限速度とを関連付ける。制限速度標識Sのデザインは、その制限速度標識Sによって指定される制限速度の数字を含む。例えば、100km以上の制限速度を指定するような制限速度標識Sは、高速道路(自動車専用道路)に設置される。当該地域の高速道路における法定制限速度は、交通法規によって定められている。従って、制限速度標識Sのデザインと法定制限速度とを関連付ける参照情報REFを生成することができる。
【0038】
図5に例示される参照情報REFは、制限速度標識Sの画像を入力して法定制限速度を出力するAIモデルであってもよい。そのようなAIモデルは、ディープラーニング等の学習手法を通して予め生成される。
【0039】
図6は、参照情報REFの他の例を説明するための概念図である。
図6に示される例では、参照情報REFは、当該地域における道路種別と法定制限速度との対応関係を示す。言い換えれば、参照情報REFは、当該地域における道路種別毎の法定制限速度を示す。
【0040】
その他の例として、参照情報REFは、位置毎の法定制限速度が登録された地図情報であってもよい。
【0041】
1-4.処理フロー
図7は、本実施の形態に係る時間指定制限速度標識STに関する情報通知処理を示すフローチャートである。
【0042】
ステップS100において、プロセッサ130は、車両1に搭載されたカメラ2によって得られた画像IMGに基づいて、1以上の時間指定制限速度標識STを認識する。典型的には、上述の画像認識AIが時間指定制限速度標識STの認識に利用される。
図2で示された例では、1つの時間指定制限速度標識STが認識される。
図3で示された例では、異なる時間帯を指定する複数の時間指定制限速度標識ST-1、ST-2が同時に認識される。
【0043】
ステップS110において、プロセッサ130は、第1条件が成立するか否かを判定する。第1条件は、認識された1以上の時間指定制限速度標識STが全体として1日の全ての時間帯を指定していることである。
図2で示された例では第1条件は成立せず、
図3で示された例では第1条件が成立する。第1条件が成立する場合(ステップS110;Yes)、処理はステップS120に進む。一方、第1条件が成立しない場合(ステップS110;No)、処理はステップS130に進む。
【0044】
ステップS120において、プロセッサ130は、認識された複数の時間指定制限速度標識STのそれぞれによって指定される複数の制限速度を通知装置120を介してユーザOに通知する(
図3参照)。この時、好適には、プロセッサ130は、参照情報REFに基づいて法定制限速度の情報を取得する処理を控える。あるいは、プロセッサ130は、法定制限速度をユーザOに通知する処理を控える。
【0045】
ステップS130において、プロセッサ130は、認識した時間指定制限速度標識STが設置されている道路における法定制限速度を特定する。より詳細には、プロセッサ130は、記憶装置140に格納されている参照情報REFに基づいて、法定制限速度を特定する。必要に応じて、プロセッサ130は、ナビゲーション情報NAVに基づいて車両1が存在する地域(国、州、等)を把握し、その地域用の参照情報REFを使用する。
【0046】
図5で示された参照情報REFの場合の処理は、次の通りである。参照情報REFは、制限速度標識Sのデザインと、その制限速度標識Sが設置される道路における法定制限速度とを関連付けている。参照情報REFは、制限速度標識Sの画像を入力して法定制限速度を出力するAIモデルであってもよい。プロセッサ130は、認識した時間指定制限速度標識STの画像と参照情報REFに基づいて、その時間指定制限速度標識STのデザインに関連付けられた法定制限速度を取得する。
【0047】
図6で示された参照情報REFの場合の処理は、次の通りである。参照情報REFは、道路種別毎の法定制限速度を示している。まず、プロセッサ130は、認識した時間指定制限速度標識STが設置されている道路の道路種別を推定する。例えば、時間指定制限速度標識STのデザインは制限速度の数字を含んでいる。100km以上の制限速度を指定するような時間指定制限速度標識STは、高速道路に設置される。従って、プロセッサ130は、認識した時間指定制限速度標識STのデザインに基づいて、その時間指定制限速度標識STが設置されている道路の道路種別を推定することができる。あるいは、プロセッサ130は、ナビゲーション情報NAV(地図情報と車両1の位置情報)から道路種別を特定してもよい。そして、プロセッサ130は、参照情報REFに基づいて、道路種別に対して設定されている法定制限速度を取得する。
【0048】
更に他の例として、参照情報REFは、位置毎の法定制限速度が登録された地図情報であってもよい。この場合、プロセッサ130は、車両1の位置情報と参照情報REFに基づいて、車両1の位置における法定制限速度を取得する。
【0049】
時間指定制限速度標識STが設置されている道路における法定制限速度が特定された場合(ステップS130;Yes)、処理はステップS140に進む。状況によっては、法定制限速度を特定することができない場合もある。その場合(ステップS130;No)、処理はステップS150に進む。
【0050】
ステップS140において、情報通知システム100は、認識した1以上の時間指定制限速度標識STによって指定される制限速度と法定制限速度の両方を、通知装置120を介してユーザOに通知する(
図2参照)。
【0051】
ステップS150において、情報通知システム100は、認識した1以上の時間指定制限速度標識STによって指定される制限速度を、通知装置120を介してユーザOに通知する。
【0052】
1-5.効果
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、車両1に搭載されたカメラ2によって1以上の時間指定制限速度標識STが認識される。更に、認識された1以上の時間指定制限速度標識STが全体として1日の全ての時間帯を指定しているという第1条件が成立するかが判定される。
【0053】
第1条件が成立しない場合、法定制限速度が車両1のユーザOに通知される。その結果、車両1のユーザOは、特定の時間帯に適用される制限速度だけでなく、特定の時間帯外に適用される法定制限速度をも知ることが可能となる。そのような法定制限速度の情報はユーザOにとって有用であり、ユーザOにとっての利便性が向上する。例えば、現在時刻が特定の時間帯外である場合、ユーザOは、現在時刻において適用される法定制限速度を知ることができ、好適である。
【0054】
一方、第1条件が成立する場合、複数の時間指定制限速度標識STのそれぞれによって指定される複数の制限速度がユーザOに通知される。言い換えれば、1日の全ての時間帯における制限速度がユーザOに通知される。この場合、法定制限速度をユーザOに通知する必要は必ずしもない。法定制限速度の情報を取得する処理を控える、あるいは、法定制限速度をユーザOに通知する処理を控えることによって、情報通知システム100の処理負荷を軽減することが可能となる。また、ユーザOに必要以上に情報が通知されないため、ユーザOが煩わしさを感じることが抑制される。
【0055】
2.第2の実施の形態
第2の実施の形態では、通知装置120が一種類の制限速度しか通知できない仕様になっている場合について考える。例えば、表示スペースの都合上、通知装置120(表示装置)が一種類の制限速度しか通知できない場合が考えられる。
【0056】
第2の実施の形態では、プロセッサ130は、認識した1以上の時間指定制限速度標識STによって指定される制限速度と法定制限速度のうちいずれか1つだけを車両1のユーザOに通知する。基本的には、プロセッサ130は、通知候補の制限速度のうち最も高い1つをユーザOに通知する。
【0057】
図8は、既出の
図2と同様の状況を示している。プロセッサ130は、一部の時間帯(6時~19時)を指定する1つの時間指定制限速度標識STを認識する。第1条件が成立しないため、プロセッサ130は、法定制限速度の情報を取得する。一般的に、時間指定制限速度標識STによって指定される制限速度は法定制限速度よりも低い。よって、プロセッサ130は、時間指定制限速度標識STによって指定される制限速度を通知することなく、法定制限速度を車両1のユーザOに通知する。時間指定制限速度標識STからは得ることができない法定制限速度の情報が少なくともユーザOに通知されるため、ユーザOにとっての利便性が向上する。尚、時間指定制限速度標識STについてはユーザO自身が視認することができる。
【0058】
図9は、既出の
図3と同様の状況を示している。プロセッサ130は、異なる時間帯を指定する複数の時間指定制限速度標識ST-1、ST-2を同時に認識する。第1条件は成立している。この場合、プロセッサ130は、複数の時間指定制限速度標識ST-1、ST-2のそれぞれによって指定される複数の制限速度のうちいずれか1つ車両1のユーザOに通知する。例えば、プロセッサ130は、複数の制限速度のうち最も高い1つをユーザOに通知する。
【0059】
変形例として、プロセッサ130は、複数の制限速度のうち現在時刻に適用される1つを車両1のユーザOに通知してもよい。現在時刻は時計から得られる。複数の時間指定制限速度標識ST-1、ST-2のそれぞれによって指定される時間帯の情報は、複数の時間指定制限速度標識ST-1、ST-2の画像を解析することによって得られる。プロセッサ130は、現在時刻を含む時間帯を指定している1つの時間指定制限速度標識STを選択し、選択した時間指定制限速度標識STによって指定されるし制限速度をユーザOに通知する。
【0060】
図10は、第2の実施の形態に係る時間指定制限速度標識STに関する情報通知処理を示すフローチャートである。第1の実施の形態におけるフローチャート(
図7参照)と比較して、ステップS120がステップS120’に置き換えられ、ステップS140がステップS140’に置き換えられている。第1の実施の形態と重複する説明は適宜省略する。
【0061】
ステップS120’において、プロセッサ130は、認識された複数の時間指定制限速度標識STのそれぞれによって指定される複数の制限速度のうち1つをユーザOに通知する(
図9参照)。
【0062】
ステップS140’において、情報通知システム100は、時間指定制限速度標識STによって指定される制限速度を通知することなく、法定制限速度をユーザOに通知する(
図8参照)。
【符号の説明】
【0063】
1 車両
2 カメラ
100 情報通知システム
110 通信インタフェース
120 通知装置
130 プロセッサ
140 記憶装置
200 制御プログラム
O ユーザ
S 制限速度標識
ST 時間指定制限速度標識
IMG 画像
NAV ナビゲーション情報
REF 参照情報