(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004733
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
F16H 41/30 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
F16H41/30 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104513
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】松岡 佳宏
(57)【要約】
【課題】トルクコンバータを冷却することのできる駆動ユニットを提供する。
【解決手段】駆動ユニット100は、原動機2、トルクコンバータ3、及びトルクコンバータケース4を備える。トルクコンバータ3は、原動機2からのトルクを増幅するように構成される。トルクコンバータ3は、回転可能に配置される。トルクコンバータケース4は、回転不能に配置される。トルクコンバータケース4は、トルクコンバータ3を収容する。トルクコンバータケース4は、第1給気口41と第1排気口42とを有している。第1給気口41は、内部に空気を導入するように構成される。第1排気口42は、内部の空気を排出するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、
前記原動機からのトルクを増幅するように構成され、回転可能に配置されるトルクコンバータと、
内部に空気を導入するように構成される第1給気口、及び内部の空気を排出するように構成される第1排気口、を有し、前記トルクコンバータを収容し、回転不能に配置されるトルクコンバータケースと、
を備える、駆動ユニット。
【請求項2】
前記第1排気口は、前記第1給気口よりも上方に配置される、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記第1排気口は、前記第1給気口よりも径方向外側に配置される、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記原動機は、電気モータである、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記電気モータは、
回転可能に配置されるロータと、
径方向において前記ロータと間隔をあけて配置されるモータステータと、
内部に空気を導入するように構成される第2給気口、及び内部の空気を排出するように構成される第2排気口、を含み、前記ロータ及び前記モータステータを収容するモータケースと、
を有する、請求項4に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
前記第2給気口は、軸方向において前記第2排気口と間隔をあけて配置され、
前記ロータ及び前記モータステータは、軸方向において、前記第2給気口と前記第2排気口との間に配置される、
請求項5に記載の駆動ユニット。
【請求項7】
前記第1排気口から加熱対象まで延びる排気流路をさらに備える、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項8】
前記加熱対象へ送られた後の空気を前記第1給気口へと戻すように構成される循環流路をさらに備える、
請求項7に記載の駆動ユニット。
【請求項9】
前記第1給気口を介して前記トルクコンバータケース内へ空気を供給するように構成される送風機をさらに備える、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気モータ又はエンジンなどの原動機のトルクを増幅させるために、トルクコンバータを有する駆動ユニットが提案されている。トルクコンバータは、インペラ、タービン、及びステータを有している。インペラとタービンとの間には作動油が充填されており、この作動油を介してインペラからタービンへトルクが伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トルクコンバータは、インペラとタービンとが異なる回転速度で回転すること、又は、ロックアップクラッチがスリップ状態となることによって熱が発生する。そこで、本発明の課題は、トルクコンバータを冷却することのできる駆動ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様に係る駆動ユニットは、原動機と、トルクコンバータと、トルクコンバータケースと、を備える。トルクコンバータは、原動機からのトルクを増幅するように構成される。トルクコンバータは、回転可能に配置される。トルクコンバータケースは、回転不能に配置される。トルクコンバータケースは、トルクコンバータを収容する。トルクコンバータケースは、第1給気口と第1排気口とを有している。第1給気口は、トルクコンバータケースの内部に空気を導入するように構成される。第1排気口は、トルクコンバータケースの内部の空気を排出するように構成される。
【0006】
このように、トルクコンバータケースは第1給気口及び第1排気口を有しているため、トルクコンバータケース内には新鮮な空気が供給される。このトルクコンバータケース内の空気とトルクコンバータとが熱交換することによってトルクコンバータを冷却することができる。なお、この第1排気口から排出された空気を室内やバッテリなどに供給することによって、トルクコンバータで発生した熱を有効利用することができる。
【0007】
第2態様に係る駆動ユニットは、第1態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。第1排気口は、第1給気口よりも上方に配置される。この構成によれば、トルクコンバータケース内の空気を効率よく排気することができる。
【0008】
第3態様に係る駆動ユニットは、第1又は第2態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。第1排気口は、第1給気口よりも径方向外側に配置される。この構成によれば、第1給気口から第1排気口への気流を効率的に生成することができる。
【0009】
第4態様に係る駆動ユニットは、第1から第3態様のいずれかに係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。原動機は、電気モータである。
【0010】
第5態様に係る駆動ユニットは、第4態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。電気モータは、ロータ、モータステータ、及びモータケースを有する。ロータは、回転可能に配置される。モータステータは、径方向においてロータと間隔をあけて配置される。モータケースは、ロータ及びモータステータを収容する。モータケースは、第2給気口及び第2排気口を含む。第2給気口は、モータケースの内部に空気を導入するように構成される。第2排気口は、モータケースの内部の空気を排出するように構成される。
【0011】
第6態様に係る駆動ユニットは、第5態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。第2給気口は、軸方向において第2排気口と間隔をあけて配置される。ロータ及びモータステータは、軸方向において、第2給気口と第2排気口との間に配置される。この構成によれば、ロータとモータステータとの間を通るような気流を生成することができる。
【0012】
第7態様に係る駆動ユニットは、第1から第6態様のいずれかに係る駆動ユニットにおいて、第1排気口から加熱対象まで延びる排気流路をさらに備える。
【0013】
第8態様に係る駆動ユニットは、第7態様に係る駆動ユニットにおいて、循環流路をさらに備える。循環流路は、加熱対象へ送られた後の空気を第1給気口へと戻すように構成される。
【0014】
第9態様に係る駆動ユニットは、第1から第8態様のいずれかに係る駆動ユニットにおいて、送風機をさらに備える。送風機は、第1給気口を介してトルクコンバータケース内へ空気を供給するように構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、トルクコンバータを冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、駆動ユニットの実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本実施形態に係る駆動ユニットの概略図である。なお、以下の説明において、軸方向とは原動機又はトルクコンバータ3の回転軸Oが延びる方向である。また、周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向であり、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向である。また、正回転とは、車両が前進するときの回転であり、逆回転とは、車両が後進するときの回転である。
【0018】
[駆動ユニット100]
図1に示すように、駆動ユニット100は、電気モータ2(原動機の一例)、トルクコンバータ3、トルクコンバータケース4、第1駆動シャフト5、第2駆動シャフト6、インバータ20、バッテリ7、第1排気流路81(排気流路の一例)、第2排気流路82、第3排気流路83、及び減速機9を備えている。この駆動ユニット100は、例えば、電気自動車に搭載される。駆動ユニット100は、駆動輪(図示省略)を駆動するように構成されている。なお、本実施形態では、バッテリ7が加熱対象である。
【0019】
<電気モータ2>
電気モータ2は、モータケース21、モータステータ22、及びロータ23を有している。本実施形態における電気モータ2は、いわゆるインナーロータ型のモータである。モータケース21は、車体フレームなどに固定されており、回転不能である。このモータケース21内に、モータステータ22及びロータ23が収容されている。
【0020】
モータステータ22は、モータケース21の内周面に固定されている。モータステータ22は回転不能である。ロータ23は、回転軸O周りに回転する。ロータ23は、径方向において、モータステータ22の内側に配置される。モータステータ22は、径方向において、ロータ23と間隔をあけて配置されている。
【0021】
モータケース21は、第2給気口211と第2排気口212とを有している。第2給気口211及び第2排気口212のそれぞれは、モータケース21を貫通してモータケース21の内部と外部とを連通する少なくとも1つの貫通孔によって構成されている。
【0022】
第2給気口211は、モータケース21内に空気を導入するように構成されている。この第2給気口211を介して、モータケース21内に新鮮な空気が供給される。
【0023】
第2排気口212は、モータケース21内の空気をモータケース21の外部へ排出するように構成されている。この第2排気口212を介して、モータケース21内の空気がモータケース21の外部へと排出される。
【0024】
第2給気口211は、軸方向において第2排気口212と間隔をあけて配置されている。モータステータ22及びロータ23は、軸方向において、第2給気口211と第2排気口212との間に配置されている。このため、第2給気口211からモータケース21内に導入された空気は、モータステータ22とロータ23との間を通過して、第2排気口212へと流れる。なお、ここでの軸方向とは、電気モータ2の回転軸が延びる方向である。
【0025】
第2排気口212は、第2給気口211よりも上方に配置されている。第2排気口212は、上方に開口している。第2給気口211は、下方に開口している。
【0026】
<インバータ20>
インバータ20は、電気モータ2の回転速度を制御するように構成されている。インバータ20は、インバータ本体201と、インバータケース202を有している。インバータ本体201は、プリント配線板、及び導体素子などによって構成されている。
【0027】
インバータケース202は、インバータ本体201を収容するように構成されている。インバータケース202は、第3給気口203と第3排気口204とを有している。第3給気口203及び第3排気口204のそれぞれは、インバータケース202を貫通してインバータケース202の内部と外部とを連通する少なくとも1つの貫通孔によって構成されている。
【0028】
第3給気口203は、インバータケース202内に空気を導入するように構成されている。この第3給気口203を介して、インバータケース202内に新鮮な空気が供給される。
【0029】
第3排気口204は、インバータケース202内の空気をインバータケース202の外部へ排出するように構成されている。この第3排気口204を介して、インバータケース202内の空気がインバータケース202の外部へと排出される。
【0030】
<トルクコンバータ3>
トルクコンバータ3は、軸方向において、電気モータ2と間隔をあけて配置されている。このトルクコンバータ3と電気モータ2との間に、減速機9が配置されている。軸方向において、電気モータ2、減速機9、トルクコンバータ3の順で配列している。
【0031】
トルクコンバータ3は、回転可能に配置されている。トルクコンバータ3の回転軸Oは、電気モータ2の回転軸Oと実質的に一致している。トルクコンバータ3は、電気モータ2からのトルクが伝達される。トルクコンバータ3は、電気モータ2が出力したトルクを増幅するように構成されている。
【0032】
トルクコンバータ3は、カバー31、インペラ32、タービン33、ステータ34、第1ワンウェイクラッチ36、及び遠心クラッチ37(ロックアップクラッチの一例)をさらに有している。本実施形態において、トルクコンバータ3の外殻は、カバー31、及びインペラ32によって構成されている。
【0033】
トルクコンバータ3は、インペラ32が電気モータ2側(
図1の左側)に配置され、カバー31が電気モータ2と反対側(
図1の右側)に配置されている。このトルクコンバータ3は、トルクコンバータケース4内に収容されている。トルクコンバータ3内には作動流体が供給されている。作動流体は、例えば作動油である。なお、トルクコンバータ3内の空間と、トルクコンバータケース4内の空間とは気密に区切られている。このため、トルクコンバータ3内の作動流体はトルクコンバータケース4内に漏出しない。
【0034】
カバー31は、電気モータ2からのトルクが入力される。カバー31は、電気モータ2からのトルクによって回転する。カバー31は、第1駆動シャフト5に固定されている。例えば、カバー31は、スプライン孔を有しており、第1駆動シャフト5がカバー31のスプライン孔にスプライン嵌合する。このため、カバー31は、第1駆動シャフト5と一体的に回転する。カバー31は、タービン33を覆うように配置されている。
【0035】
インペラ32は、カバー31と一体的に回転する。インペラ32は、カバー31を介して電気モータ2からのトルクが入力される。インペラ32は、カバー31に固定されている。インペラ32は、軸受部材(図示省略)を介して固定シャフト104に回転可能に支持されている。なお、この固定シャフト104は円筒状である。インペラ32と固定シャフト104との間は気密にシールされている。固定シャフト104内を第2駆動シャフト6が軸方向に延びている。また、固定シャフト104は、例えば、減速機ケース92又はトルクコンバータケース4から延びている。固定シャフト104は、回転不能である。
【0036】
タービン33は、インペラ32と対向して配置されている。詳細には、タービン33は、軸方向においてインペラ32と対向している。タービン33は、作動流体を介してインペラ32からトルクが伝達される。
【0037】
タービン33には、第2駆動シャフト6が取り付けられている。詳細には、第2駆動シャフト6が、タービン33にスプライン嵌合している。タービン33は、第2駆動シャフト6と一体的に回転する。
【0038】
ステータ34は、タービン33からインペラ32へと戻る作動油を整流するように構成されている。ステータ34は、回転軸O周りに回転可能である。例えば、ステータ34は、固定シャフト104に、第1ワンウェイクラッチ36を介して支持されている。このステータ34は、軸方向において、インペラ32とタービン33との間に配置される。
【0039】
第1ワンウェイクラッチ36は、固定シャフト104とステータ34との間に配置されている。第1ワンウェイクラッチ36は、ステータ34を正回転方向に回転可能とするように構成されている。一方、第1ワンウェイクラッチ36は、ステータ34を逆回転方向に回転不能とする。このステータ34によって、トルクが増幅されて、インペラ32からタービン33へと伝達される。
【0040】
遠心クラッチ37は、タービン33又は第2駆動シャフト6に取り付けられている。遠心クラッチ37は、タービン33と一体的に回転する。遠心クラッチ37は、タービン33の回転によって生じる遠心力によって、カバー31とタービン33とを連結するように構成されている。詳細には、遠心クラッチ37は、タービン33が所定の回転速度以上になると、カバー31からタービン33にトルクを伝達するように構成されている。
【0041】
<減速機9>
減速機9は、軸方向において電気モータ2とトルクコンバータ3との間に配置されている。減速機9は、トルクコンバータ3からのトルクを駆動輪側へと伝達する。詳細には、減速機9は、トルクコンバータ3からのトルクを増幅して、駆動輪側へと伝達する。なお、減速機9は、複数の歯車91を有している。減速機9は、減速機ケース92内に収容される。なお、複数の歯車91のうちの一つは、第2駆動シャフト6に固定された歯車61と噛み合っている。
【0042】
<第1駆動シャフト5>
第1駆動シャフト5は、電気モータ2から軸方向に延びている。詳細には、第1駆動シャフト5は、電気モータ2のロータ23から延びている。なお、電気モータ2が出力軸を有している場合、第1駆動シャフト5は、電気モータ2の出力軸に取り付けられる。第1駆動シャフト5の回転軸は、電気モータ2の回転軸、及びトルクコンバータ3の回転軸と実質的に同一線上にある。
【0043】
第1駆動シャフト5は、電気モータ2とトルクコンバータ3との間でトルクを伝達する。詳細には、第1駆動シャフト5は、電気モータ2からのトルクをトルクコンバータ3へ伝達する。第1駆動シャフト5は、トルクコンバータ3のインペラ32に接続されている。詳細には、第1駆動シャフト5は、カバー31を介してインペラ32に接続されている。第1駆動シャフト5の先端部は、トルクコンバータ3のカバー31に取り付けられている。
【0044】
<第2駆動シャフト6>
第2駆動シャフト6は、トルクコンバータ3と減速機9との間でトルクを伝達する。第2駆動シャフト6は、トルクコンバータ3からのトルクを駆動輪側へと伝達する。詳細には、第2駆動シャフト6は、トルクコンバータ3からのトルクを減速機9へと出力する。第2駆動シャフト6は、トルクコンバータ3から電気モータ2に向かって軸方向に延びている。
【0045】
第2駆動シャフト6は、円筒状である。第1駆動シャフト5は、この第2駆動シャフト6内を延びている。なお、第1駆動シャフト5は中実状である。第2駆動シャフト6の一方の端部(
図1の右端部)は、トルクコンバータ3のタービン33に取り付けられている。また、第2駆動シャフト6の他方の端部には、歯車61が取り付けられている。第2駆動シャフト6は、例えば、減速機ケース92などに軸受部材などを介して回転可能に支持されている。
【0046】
<第2ワンウェイクラッチ50>
駆動ユニット100は、第2ワンウェイクラッチ50をさらに備えている。第2ワンウェイクラッチ50は、第1駆動シャフト5と第2駆動シャフト6との間に配置されている。詳細には、第2ワンウェイクラッチ50は、カバー31とタービン33との間に配置されている。第2ワンウェイクラッチ50は、正回転方向において、第1駆動シャフト5を第2駆動シャフト6に対して相対回転可能とする。すなわち、車両が前進するように電気モータ2が正回転したとき、第1駆動シャフト5が第2駆動シャフト6と相対回転するように第2ワンウェイクラッチ50は構成されている。このため、車両の前進時は、第2ワンウェイクラッチ50は、第1駆動シャフト5から第2駆動シャフト6へとトルクを伝達しない。
【0047】
一方、第2ワンウェイクラッチ50は、逆回転方向において、第1駆動シャフト5を第2駆動シャフト6と一体回転させる。すなわち、車両が後進するように電気モータ2が逆回転したとき、第1駆動シャフト5が第2駆動シャフト6と一体回転するように第2ワンウェイクラッチ50は構成されている。このため、車両の後進時は、第2ワンウェイクラッチ50は、第1駆動シャフト5から第2駆動シャフト6へとトルクを伝達する。すなわち、車両の後進時は、電気モータ2のトルクは、トルクコンバータ3を介さずに第2ワンウェイクラッチ50を介して第1駆動シャフト5から第2駆動シャフト6へと伝達される。
【0048】
<トルクコンバータケース4>
トルクコンバータケース4は、トルクコンバータ3を収容している。トルクコンバータケース4とトルクコンバータ3の外殻とは、互いに間隔をあけて配置されている。このため、トルクコンバータケース4とトルクコンバータ3の外殻との間に空気層が形成されている。
【0049】
トルクコンバータケース4は、回転不能に配置されている。例えば、トルクコンバータケース4は、車体フレームなどに固定されている。
【0050】
トルクコンバータケース4は、第1給気口41及び第1排気口42を有している。第1給気口41及び第1排気口42のそれぞれは、トルクコンバータケース4を貫通してトルクコンバータケース4の内部と外部とを連通する少なくとも1つの貫通孔によって構成されている。
【0051】
第1給気口41は、トルクコンバータケース4の内部に空気を導入するように構成されている。この第1給気口41を介して、トルクコンバータケース4内に新鮮な空気が供給される。
【0052】
第1排気口42は、トルクコンバータケース4の内部の空気を排出するように構成されている。この第1排気口42を介して、トルクコンバータケース4内の空気がトルクコンバータケース4の外部へと排出される。
【0053】
第1排気口42は、第1給気口41よりも上方に配置される。第1給気口41の開口する方向と第1排気口42の開口する方向とは、互いに異なる。具体的には、第1排気口42は、上方に向かって開口している。そして、第1給気口41は、下方に向かって開口している。第1給気口41から導入された空気は、トルクコンバータケース4とトルクコンバータ3との間の空間内を流れ、第1排気口42から排出される。
【0054】
<バッテリ>
バッテリ7は、電気モータ2との間で電力の授受を行うように構成されている。すなわち、バッテリ7は、電気モータ2と電気的に接続されており、電気モータ2に電力を供給したり、電気モータ2の回転によって発生した電力を蓄電したりする。詳細には、バッテリ7は、インバータ20を介して電気モータ2と接続されている。
【0055】
<第1排気流路81>
第1排気流路81は、第1排気口42からバッテリ7まで延びている。第1排気流路81内には、第1排気口42から排出された空気が流れている。例えば、第1排気流路81は、内部に空気を通す配管である。第1排気流路81を介して、トルクコンバータケース4内で加熱された空気がバッテリ7まで送られて、バッテリ7を加熱する。なお、第1排気流路81は、バッテリ7を介して、車室内まで延びていてもよい。もしくは、第1排気流路81は、バッテリ7ではなく、車室内まで延びていてもよい。
【0056】
<第2排気流路82>
第2排気流路82は、第2排気口212からバッテリ7まで延びている。第2排気流路82内には、第2排気口212から排出された空気が流れている。例えば、第2排気流路82は、内部に空気を通す配管である。第2排気流路82を介して、モータケース21内で加熱された空気がバッテリ7まで送られて、バッテリ7を加熱する。なお、第2排気流路82は、バッテリ7を介して、車室内まで延びていてもよい。もしくは、第2排気流路82は、バッテリ7ではなく、車室内まで延びていてもよい。
【0057】
<第3排気流路83>
第3排気流路83は、第3排気口204からバッテリ7まで延びている。第3排気流路83内には、第3排気口204から排出された空気が流れている。例えば、第3排気流路83は、内部に空気を通す配管である。第3排気流路83を介して、インバータケース202内で加熱された空気がバッテリ7まで送られて、バッテリ7を加熱する。なお、第3排気流路83は、バッテリ7を介して、車室内まで延びていてもよい。もしくは、第3排気流路83は、バッテリ7ではなく、車室内まで延びていてもよい。
【0058】
<送風機84>
送風機84は、第1給気口41を介してトルクコンバータケース4内に空気を供給するように構成されている。詳細には、送風機84は、第1供給流路85及び第1給気口41を介してトルクコンバータケース4内に空気を供給する。
【0059】
また、送風機84は、第2給気口211を介してモータケース21内に空気を供給するように構成されている。詳細には、送風機84は、第2供給流路86及び第2給気口211を介してモータケース21内に空気を供給する。
【0060】
また、送風機84は、第3給気口203を介してモータケース21内に空気を供給するように構成されている。詳細には、送風機84は、第3供給流路87及び第3給気口203を介してモータケース21内に空気を供給する。
【0061】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の各変形例は、基本的には同時に適用することができる。
【0062】
(a)上記実施形態では、原動機の一例として電気モータ2を挙げたが、駆動ユニット100の原動機は電気モータ2に限定されない。例えば、駆動ユニット100の原動機として、エンジンを使用してもよい。
【0063】
(b)上記実施形態では、第1給気口41及び第1排気口42は、ともにトルクコンバータケース4の外周部に配置されているが、第1給気口41及び第1排気口42の位置はこれに限定されない。例えば、
図2に示すように、第1排気口42は、第1給気口41よりも径方向外側に配置してもよい。具体的には、第1排気口42は、トルクコンバータケース4の外周部に形成されている。そして、第1給気口41は、トルクコンバータケース4の径方向において中央部に形成されている。第1給気口41は、軸方向に沿って開口している。詳細には、第1給気口41は、トルクコンバータ3の回転軸と対向するように配置されている。
【0064】
また、
図2に示すように、第1給気口41は軸方向に開口しており、第1排気口42は径方向に開口していてもよい。
【0065】
(c)
図3に示すように、駆動ユニット100は、循環流路88をさらに有していてもよい。循環流路88は、バッテリ7又は車室などの加熱対象へ送られた空気を第1給気口41へ戻すように構成されている。詳細には、循環流路88は、送風機84及び第1供給流路85を介して、第1給気口41へ接続されている。
【符号の説明】
【0066】
2 :電気モータ
21 :モータケース
211 :第2給気口
212 :第2排気口
22 :モータステータ
23 :ロータ
3 :トルクコンバータ
32 :インペラ
33 :タービン
4 :トルクコンバータケース
41 :第1給気口
42 :第1排気口
81 :第1排気流路
84 :送風機
88 :循環流路
100 :駆動ユニット