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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047337
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】排水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20240329BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20240329BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
A47K1/14 B
E03C1/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152902
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平井 良典
(72)【発明者】
【氏名】内川 篤
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DB03
2D061DB07
2D061DE11
(57)【要約】
【課題】
浴槽など槽体内の湯水を容易且つ確実に検知する排水栓装置を提供する
【解決手段】
槽体の底面に備えられた排水口を開閉可能な栓蓋部材を有する排水栓装置において、前記槽体内の湯水を検知する検知器を有する検知部材を設ける。
また、前記検知部材は、前記検知器の検知結果を送信する送信機と、前記検知器及び前記送信機を作動させる電源とを有する。
また、前記検知部材を、前記栓蓋部材に設ける。
また、前記排水栓装置は、前記検知器の検知結果に基づいて動作可能な電動駆動部を備え、前記電動駆動部が動作することで前記栓蓋部材が前記排水口を開閉するように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体の底面に備えられた排水口を開閉可能な栓蓋部材を有する排水栓装置において、
前記槽体内の湯水を検知する検知器を有する検知部材を設けたことを特徴とする排水栓装置。
【請求項2】
前記検知部材は、前記検知器の検知結果を送信する送信機と、
前記検知器及び前記送信機を作動させる電源とを有することを特徴とする請求項1記載の排水栓装置。
【請求項3】
前記検知部材を、前記栓蓋部材に設けたことを特徴とする請求項2に設けたことを特徴とする排水栓装置。
【請求項4】
前記排水栓装置は、前記検知器の検知結果に基づいて動作可能な電動駆動部を備え、
前記電動駆動部が動作することで前記栓蓋部材が前記排水口を開閉することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の排水栓装置。
【請求項5】
前記検知器は、水圧を検知することで湯水を検知する圧力式センサであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の排水栓装置。
【請求項6】
前記検知器は、測定用の電極を備え、電極の静電容量値の変化によって湯水を検知する静電容量式センサであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の排水栓装置。
【請求項7】
前記槽体は底面に陥没部を設け、前記検知器は前記陥没部に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の排水栓装置。
【請求項8】
前記検知器は、前記槽体内の湯水の有無を検知すると共に、前記検知器から前記槽体内の湯水水面までの深さを検知可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽等の槽体の排水口に取り付けられる排水栓装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浴室の浴槽など、槽体の内部に生じた湯水を処理するため、槽体の底面に排水口を設け、排水口を形成する部材に配管を接続して下水側に排水を排出する方法が広く知られている。
槽体内に湯水を溜める場合には、槽体の排水口は栓蓋部材によって閉口される。
槽体の排水口を閉口する栓蓋部材の構成は様々なものがあるが、近年では電子制御される電動の機構を、排水口内や排水口から離間した位置にある操作部に組み込み、操作部に操作を行うことで電動により排水口を開閉する排水栓装置が提案されている。
特許文献1に記載の発明のうち、実施の形態1の発明では、給湯器が接続された浴槽において、浴槽の側面に循環金具を備え、循環金具と給湯器とを循環管路にて接続することで給湯を行う構造としている。
また、浴槽内を自動で洗浄するための自動洗浄装置の洗浄ノズルを浴槽側面に備えると共に、浴槽内の湯水を排出するための排水口を浴槽底面に備えてなる。
また、循環管路上に排水時の浴槽内の水位を検知するための水位センサを備えてなる。
お湯張りなど浴槽内に給湯を行う際には、湯量センサによって浴槽内に給湯した湯量を検知することで、電子制御により浴槽から湯水が溢れることのない適切な水位で給湯を止めることができる。
また、洗浄等のため浴槽内の湯水を排出する場合、排水口を開口して湯水を下水側に排出する。
特許文献1に記載の実施例では、水位センサにより浴槽内の水位が降下していることを検知し、排水が行われていることを機械的に知ることができる。
水位センサは循環管路上に設けられているため、浴槽内の水位が循環管路の浴槽側端部である循環金具よりも低い位置まで下がると、浴槽内の水位が検知できなくなる。
そこで、特許文献1に記載の発明では、水位センサにエアが入り大気圧となったことで浴槽内の水位が循環金具の位置まで下がったことを検知すると、浴槽内の水位が循環金具の位置から排水が完了するまでの時間のデータを事前のデータから比較し、データ上の時間が経過することで、「浴槽内の水位が循環金具の位置に達してから排水完了に必要な時間が経過したため、浴槽内の排水が完了し浴槽内が空の状態となった」と判断する。この判断に基づき、自動洗浄装置が作動し、洗浄ノズルからすすぎ水や洗剤を噴霧して浴槽内を機械的に自動洗浄することができる。
【0003】
特許文献2に記載の発明は、浴槽内の湯水を排出する配管において、排水をそのまま下水側に排出する配管と、トイレや洗濯機での湯水に再利用する残り湯利用の配管とに分岐させ、配管に備えた電磁弁を切り替えることで、浴槽排水を下水側に排出する場合と、トイレや洗濯に残り湯として再利用する場合とを使い分けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-162460号公報
【特許文献2】特開2010-216211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の槽体、例えば浴槽では、使用者が排水口を開口して湯水を排出し、浴槽を洗浄した後、使用者の操作で排水口を閉口し、給湯器にお湯張りの操作を行うことで湯水を給湯する構造であった。これに対し、近年では浴槽内の自動洗浄、排水口の開閉、給湯器の作動、のそれぞれを電子制御による電動機器が行うと共に、排水口の開口と湯水の排出の完了から連続して浴槽内の自動洗浄を行うように、その一部の機器の動作がプログラム化されている。
【0006】
しかし、機器の動作のタイミングは浴槽内の湯水の有無によって調整する必要がある。
例えば浴槽内の湯水の排出が完了するまでは排水口を開口する必要があり、また浴槽内に湯水が残った状態では洗浄が不完全となるため自動洗浄を開始することはできない。ここで、給湯器側は循環管路上に水位センサを備えているものの、水位センサは浴槽内の水位が循環金具よりも低い位置となった後は浴槽内の水位を直接検知することはできず、循環金具の水位に達した後の時間経過から浴槽内の排水完了を推測することしかできないため精度が低いという問題がある。また、時間経過によって排水の完了を推測する特許文献1の構造では、浴槽に設けられた吐水栓や浴室に備えられたシャワーから浴槽内に湯水が供給された場合、浴槽内に湯水があっても所定時間が経過したことで排水が完了したと判断するという問題がある。
このような問題を解決するため、特許文献1の実施の形態2の発明では、排水口の下方に排水センサを設けて、排水口から流れる排水を検知することで浴槽内の湯水の排出の完了を判断するように構成している。しかし、実際には、浴槽の排水口の下流側には封水式排水トラップが備えられ、この封水式排水トラップの封水が浴槽の排水口内の位置まで溜まっており、浴槽の排水口の下流側に排水センサを配置しても常に封水に晒されるため、排水センサが常に「排水あり」と判断して正しく排水の完了を検知できない場合がある。
【0007】
また、特許文献2に記載のように、浴槽の残り湯を再利用するような発明を、特許文献1に記載した発明と組み合わせて使用する場合、次のような問題があった。
浴槽内の残り湯を利用する場合、当然浴槽内に湯水が残っている必要がある。ここで、水面は循環金具よりも低い位置であるものの、浴槽内に湯水がある場合、残り湯の利用は、実際上は可能であるが、給湯器の水位センサ上では浴槽内に湯水は無いものと判断して残り湯利用の操作が制限される場合がある。
また、残り湯を利用する場合に、水量には適量があり、適量を超えて残り湯を受け入れると受け入れ先の機器から残り湯が溢れてしまう。このため、受け入れ先の機器には通常適量を受け入れれば配管を閉栓する電磁弁などのストッパーが備えられ、このストッパーが作動して残り湯の流入が停止するように構成されている。このストッパーが作動した状態では、浴槽の排水口が開口した状態であっても湯水の排出先が閉栓しているため、浴槽内の湯水は排出されず、浴槽内の湯水の水位が下がることは無い。結果、浴槽内に湯水が残った状態にも関わらず、排水口が開口して所定時間経過したことで給湯器の制御装置が排水は完了したと判断し、自動洗浄など浴槽内が排水の完了したことを前提とした動作を開始する恐れがある。
このような誤作動を防ぐため、特許文献2に記載の発明では、使用者が浴槽内の湯水の状態を確認した上で、排水口からの配管の排出先を、下水側と残り湯利用側で切り替える作業を行っており、湯水の確認を含む動作の管理を電子制御で行うことはできなかった。
本発明は上記問題点に鑑み発明されたものであって、槽体内の湯水を容易且つ確実に検知する排水栓装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
手段1.槽体の底面に備えられた排水口を開閉可能な栓蓋部材を有する排水栓装置において、
前記槽体内の湯水を検知する検知器を有する検知部材を設けたことを特徴とする排水栓装置である。
【0009】
手段2.前記検知部材は、前記検知器の検知結果を送信する送信機と、
前記検知器及び前記送信機を作動させる電源とを有することを特徴とする請求項1記載の排水栓装置である。
【0010】
手段3.前記検知部材を、前記栓蓋部材に設けたことを特徴とする請求項2に設けたことを特徴とする排水栓装置である。
【0011】
手段4.前記排水栓装置は、前記検知器の検知結果に基づいて動作可能な電動駆動部を備え、
前記電動駆動部が動作することで前記栓蓋部材が前記排水口を開閉することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の排水栓装置である。
【0012】
手段5.前記検知器は、水圧を検知することで湯水を検知する圧力式センサであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の排水栓装置である。
【0013】
手段6.前記検知器は、測定用の電極を備え、電極の静電容量値の変化によって湯水を検知する静電容量式センサであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の排水栓装置である。
【0014】
手段7.前記槽体は底面に陥没部を設け、前記検知器は前記陥没部に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の排水栓装置である。
【0015】
手段8.前記検知器は、前記槽体内の湯水の有無を検知すると共に、前記検知器から前記槽体内の湯水水面までの深さを検知可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の排水栓装置である。
【0016】
本発明によれば、排水栓装置が槽体内の湯水を検知する検知器を備えたことで、槽体の底面上の湯水を検知することができ、従来の給湯器の配管上に検知器を設けた場合に比べ、槽体内の湯水をより正確に検知することができる。
また本発明によれば、検知器を作動させる一組の部材をユニットとしたことで、検知器を容易に運用することができる。
また本発明によれば、栓蓋部材に検知器を作動させる一組の部材を落とし込んだことで、既存の排水栓装置の栓蓋部材を本発明の栓蓋部材に交換すれば、既存の排水栓装置に湯水を検知する検知機能を付加することができる。
また本発明によれば、排水口に電動により開閉する機構を組み込むと共に、排水口を電子制御により開閉可能に構成したことで、検知器が検知した湯水の情報に基づいて排水口の開閉の判断を行うことができる。
また本発明によれば、槽体の底面に陥没部を設け、この陥没部に排水口を備えたことで、排水口の周囲に湯水が集中しやすくなり、検知器が槽体内の湯水をより検知しやすくすることができる。
また本発明によれば、検知器に湯水を検知する機能に加え、槽体内の検知器から水面までの水深を検知することによって、例えば残り湯利用の際に、槽体内の湯水の残量を把握した上での利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第一実施例の排水栓装置の排水口を示す断面図である。
図2】第一実施例の排水栓装置の操作部を示す断面図である。
図3図2の操作部の動作を示す断面図である。
図4図2の操作部の動作を示す断面図である。
図5図1の排水口の開口状態を示す断面図である。
図6】第一実施例の排水栓装置の排水口側の部材構成を示す断面図である。
図7】第一実施例の排水栓装置の操作部側の部材構成を示す断面図である。
図8】第二実施例の浴槽を示した参考図である。
図9】第二実施例の浴槽の機器の体系図である。
図10】排水切替機の、(a)排出先が下水側となる状態(b)排出先が残り湯利用側となる状態の断面図である。
図11】他の実施例の排水栓装置の排水口側の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の第一実施例について、図面を参照しつつ説明する。
図1乃至図7に示した、本実施例の排水栓装置は、以下に記載した、栓蓋部材1と、排水口部材3と、エルボ部材4と、操作部6と、レリースワイヤ5と、から構成され、以下に記載する浴槽Bに施工される。
更に、通信端末と通信を行うための排水側制御装置C2を備えてなる。
【0019】
水回り機器としての浴槽Bは、上方が開口した、平面視略長方形を成す槽体であって、浴槽B底面の外縁近傍に、下方に向かって窪んだ陥没部23が備えられ、この該陥没部23の下端に、排水口部材3が取り付けられる排水口取付穴B1を備えてなる。また、浴槽Bの縁部に操作部6を取り付けられる操作部取付穴B2を備えてなる。尚、陥没部23の深さは、後述するように、排水口3aが開口し栓蓋部材1が上昇した状態において、栓蓋部材1に備えられた検知器2aが、陥没部23の上縁よりも低い位置となるように設計されてなる。
栓蓋部材1は平面視略円盤状、側面視円弧形状を成す部材であって、その内部に、以下に記載する検知部材2を備えてなる。
検知部材2は、湯水を検知する検知器2aと、操作部6からの確認信号を無線通信によって受信する受信機2dと、検知器2aの検知結果を無線通信によって操作部6に送信する送信機2cと、検知器2a、受信機2d、及び送信機2cを作動させる電源としての電池2bとを内蔵してなる。
尚、本実施例では、送信機2cと受信機2dは一つの部材の中に組み込まれて構成されている。また、栓蓋部材1は側面に溝部を備え、この溝部に排水口3aのフランジ部3bに水密的に当接する環状パッキン1aを備えてなる。
湯水を検知する検知器2aは、図6等に示したように、環状パッキン1aの上方であって、栓蓋部材1の下向き面に電極を露出させた静電容量式レベルスイッチであり、電極の位置での湯水を検知する。検知器2aは、操作部6から確認信号を受信することで検知作業を開始し、所定時間(10分乃至20分程度)の間継続して検知作業を行い、その検知結果をリアルタイムで操作部6に送信する。
排水口部材3は略円筒形状を成す部材であって、その内部に排水口3aを形成すると共に、円筒部分の上端の外周方向にフランジ部3bを備えてなる。また、フランジ部3bの下方には雄ネジを備えてなる。
また、排水口3a内に、栓蓋部材1を昇降させる押し上げ軸5dを支持する支持部材3cを着脱可能に備えてなる。
エルボ部材4は、管体をL字形状に屈曲させたような形状の管体であって、上方の開口は排水口部材3の雄ネジと螺合する雌ネジを備えてなる。また、エルボ部材4の側面には排水口3aからの排水を排出する排出口4aを備えてなる。排出口4aは、配管部材を介して排水切替機21の上流側の接続部に接続される。また、エルボ部材4の側面であって、排出口4aの対向位置に、後述するレリースワイヤ5を挿通する挿通部4bを備えてなる。
図2乃至図4図7等に示した操作部6は、排水口3aに配置された押し上げ軸5dの動作を操作する部材であって、以下に記載する操作取付部7、ケーシング9、操作制御部13、操作ボタン8、ロック機構14、ガイド軸12、電動駆動部11、開閉センサ10、レリースワイヤ5から構成されてなる。尚、電動駆動部11、開閉センサ10は、事前にケーシング9内に組み込まれ、操作制御部13はケーシング9内の各種機器に接続された状態で提供される。
操作取付部7は略円筒形状の部材であって、操作部取付穴B2に取り付けられると共に、下端部分は、C字リング7aを用いてケーシング9部の上方の開口に接続される。
ケーシング9は、操作部6の操作制御部13、ロック機構14、電動駆動部11、開閉センサ10をその内部に収納する箱体であって、上面及び下面にそれぞれ円筒部分からなる開口を備え、上面の開口は操作取付部7にC字リング7aを用いて接続されるように構成されてなる。
また、上方の開口から下方の開口に向けて、端部にロック機構14を接続したレリースワイヤ5を挿通することが可能なように構成されてなる。レリースワイヤ5の端部に備えられたロック機構14は、ケーシング9の内部と嵌合してケーシング9の内部に着脱可能に取り付けされる。ロック機構14がケーシング9内に取り付けされる位置は、電動駆動部11また開閉センサ10がロック機構14及び後述するガイド軸12に対して適切な動作を行うことが可能な位置である。
また、操作取付部7の上方の開口に、操作ボタン8を着脱自在に取り付けることができる。
操作制御部13は、操作ボタン8又は通信端末のアプリケーションからの動作指示に基づき、電動駆動部11に動作指示を行う。
また、本実施例の操作制御部13は、操作ボタン8及び栓蓋部材1と、それぞれBluetooth(登録商標)などを利用し各部材が操作制御部13と対となるようにして通信を行う。
操作ボタン8は、タッチ式のボタン部材であって、使用者がボタンに触れる等することで、操作制御部13に排水口3aの開閉の動作を指示する動作信号を無線にて送信する。操作ボタン8から行うことができる操作は、排水口3aの開閉の操作のみである。
ロック機構14は、ロック機構本体14aと、ロック機構本体14a内を進退するロック軸14bとからなり、ロック軸14bを上方から下方へ押し操作する毎に、ロック軸14bを降下した状態で固定/固定を解除しスプリング5cの作用によりロック軸14bを上昇、を交互に繰り返す部材である。
ガイド軸12は、下方はロック軸14bと嵌合してロック軸14bと連動するように動作するように構成され、上方はケーシング9の上方の筒状部分の内面に当接しガイド軸12及びロック軸14bがケーシング9内を上下動する際に傾斜することを防止するように作動する。また、ガイド軸12の側面には、電動駆動部11のアーム部11aに押し下げられるリブ片12bを備えてなる。また、ガイド軸12には後述する開閉センサ10に反応させるための磁石12aが埋め込まれてなる。
電動駆動部11は、電力により動作すると共に操作制御部13に制御されたステッピングモーター等からなる部材であって、ガイド軸12を押し下げるアーム部11aを備えてなる。
尚、電動駆動部11のアーム部11aは、初期位置(上方)からガイド軸12及びロック軸14bに押し操作を行った後、再び初期位置に戻って停止する。
開閉センサ10は磁石12aの磁力を検知するセンサであって、周囲の磁力の有無を検知する。ここで、ロック軸14bと嵌合し、ロック軸14bと連動して上下動するガイド軸12には磁石12aが埋め込まれており、ロック軸14b及びガイド軸12が上昇した状態では開閉センサ10がガイド軸12の磁石12aの磁力を検知せず、ロック軸14b及びガイド軸12が降下した状態ではガイド軸12の磁石12aの磁力を検知するようにケーシング9内に配置されている。
図2のように、ロック軸14b及びガイド軸12が上昇した状態では開閉センサ10は磁力を検知しないが、この時インナーワイヤ5bは操作部6側に後退し、押し上げ軸5dと栓蓋部材1は降下して排水口3aを閉口している。
また、図4のようにロック軸14b及びガイド軸12が降下した状態では開閉センサ10は磁力を検知するが、この時インナーワイヤ5bは排水口3a側に前進し、押し上げ軸5dと栓蓋部材1は上昇して排水口3aを閉口している。
このように、開閉センサ10が周囲の磁力の有無を検知することで、排水口3aの開閉を判断することができる。
レリースワイヤ5は、筒状にして軸方向に剛性を、側面方向に可撓性を備えたアウターチューブ5aと、アウターチューブ5a内を進退する、軸方向に剛性を、側面方向に可撓性を備えたインナーワイヤ5bと、インナーワイヤ5bを操作部6側に上昇させるスプリング5cと、インナーワイヤ5b端部に備えられた押し上げ軸5dとからなる部材であって、レリースワイヤ5の押し上げ軸5dを備えない端部はロック機構14に接続されてなる。
レリースワイヤ5とロック機構14の接続について詳述すると、レリースワイヤ5のアウターチューブ5aはロック機構本体14aに接続され、インナーワイヤ5bはスプリング5cの作用によって、常に上方に付勢されることでロック軸14bに当接するように接続される。
また、ロック軸14bが下方に押し込まれると、それに伴ってインナーワイヤ5bは排水口3a側に前進し、押し上げ軸5dを上方に押し上げる。
ガイド管15は、軟質ビニール等からなる可撓性を備えた円筒形状の管体であって、一端はエルボ部材4の挿通部4bに、他端は操作部6のケーシング9に、それぞれ接続される。
【0020】
排水側制御装置C2は、操作部6の操作制御部13に接続される部材であって、インターネット等を利用したネットワーク通信網に接続し、通信を行う通信機能を備えてなり、ネットワーク通信網を介してスマートフォン等通信端末と通信を行うことができ、通信端末からの指示を操作部6の操作制御部13に指示して動作させ、又は検知等の回答を得ることができる。
通信端末は、インターネット等でダウンロードすることで入手できる排水側アプリケーションを利用し、排水口3aの開閉動作の指示や、浴槽B内の湯水の検知や排水口3aの開閉状態の検知を指示することができる。
【0021】
以下に、浴槽Bへの排水栓装置の施工方法について説明する。尚、特に記載しないが、各部材の接続箇所は、必要に応じ、接着またはパッキン等を用いて水密的に接続されるものである。
まず、排水口取付穴B1に排水口部材3を上方から挿通し、フランジ部3b下面を排水口取付穴B1の周縁に当接させる。
次に、エルボ部材4の雌ネジを、排水口部材3の雄ネジに螺合させ、フランジ部3b下面とエルボ部材4の上面とで排水口取付穴B1を挟持することで、排水口3a本体及びエルボ部材4を浴槽Bに接続する。
次に、操作部取付穴B2に操作取付部7を取り付ける。
次に、操作部6のケーシング9の下面の筒状部分にガイド管15の一端を、エルボ部材4の挿通部4bにガイド管15の他端を、それぞれ接続する。
次に、レリースワイヤ5を、操作部6のケーシング9の上面の開口から、ケーシング9内にロック機構14が嵌合する位置まで挿通する。この時、レリースワイヤ5は、ケーシング9内、ケーシング9の下方の開口、ガイド管15、挿通部4bを介し、エルボ部材4の内部に到達する。
次に、ロック軸14bにガイド軸12を接続する。
次に、操作取付部7とケーシング9を、C字リング7aを利用して嵌合接続する。
次に、操作部6の操作取付部7の上方の開口に操作ボタン8を取り付ける。
次に、排水口3aから支持部材3cを取り外すと共に、エルボ部材4内に位置するレリースワイヤ5を引き上げ、レリースワイヤ5を支持部材3cに接続した上で、支持部材3cを排水口3a内に取り付ける。
更に、レリースワイヤ5の押し上げ軸5dに栓蓋部材1を嵌合させ、本実施例の排水栓装置の浴槽Bへの施工が完了する。
【0022】
以下に、排水栓装置の、排水口3aの開閉動作について説明する。
まず、図1のように、押し上げ軸5dが降下し、栓蓋部材1が排水口3aを覆うことで排水口3aが閉口した状態とする。この時、図2のように、ロック機構14のロック軸14bの固定は解除され、インナーワイヤ5bはスプリング5cの付勢によって操作部6側に後退し、レリースワイヤ5に接続されているロック軸14bもインナーワイヤ5bによって上方に押し上げられた状態となっている。
この状態より、操作ボタン8又は排水側アプリケーションから操作制御部13に「排水口3aを動作せよ」という指示が行われると、操作制御部13は電動駆動部11のアーム部11aを動作させ、図3に示したように、ロック機構14のロック軸14bに押し込み操作を行う。アーム部11aは電動のロック軸14bに押し込み操作を行った後、操作制御部13の電動駆動部11に備えられたステッピングモーターへの制御等により、図4に示したように当初の位置まで戻る。
アーム部11aが動作し、ロック軸14bに押し込み操作が行われると、ロック機構14によりロック軸14bは降下した状態で固定され、ロック軸14bに接続されているインナはーワイヤ5bは排水口3a側に前進し、インナーワイヤ5bに接続されている押し上げ軸5dは上昇する。押し上げ軸5dの先端に接続されている栓蓋部材1は上昇して排水口3aから離間するため、図5に示したように、排水口3aは開口する。
浴槽B内に湯水がある場合、排水口3aが開口したことで、浴槽B内の湯水は排水口3aから排水口部材3内部、エルボ部材4内部を通過し、排出口4aから排出される。
この状態より、再び操作ボタン8又は排水側アプリケーションから操作制御部13に「排水口3aを動作せよ」という指示が行われると、操作制御部13は電動駆動部11のアーム部11aを動作させ、ロック機構14のロック軸14bに押し込み操作を行う。アーム部11aはロック軸14bに押し込み操作を行った後、操作制御部13による電動駆動部11のステッピングモーターの制御によって、当初の位置まで戻る。
アーム部11aが動作し、ロック軸14bに押し込み操作が行われると、ロック軸14bはロック機構14による固定が解除され、レリースワイヤ5のスプリング5cの作用で上昇すると共に、ロック軸14bに接続されているインナーワイヤ5bは操作部6側に後退する。このため、インナーワイヤ5bに接続されている押し上げ軸5dと共に栓蓋部材1は降下して図1に示したように排水口3aを覆い、排水口3aは開口する。浴槽B内に湯水を供給すると、排水口3aが閉口しているため、浴槽B内に湯水を溜めることができる。
以降、操作ボタン8又は排水側アプリケーションから操作を行い、操作制御部13に「排水口3aを動作せよ」と指示を行う都度、排水口3aの開閉の状態を、現在とは異なる状態、即ち「開口から閉口」または「閉口から開口」へと変化させることができる。
【0023】
以下に、排水栓装置の湯水の検知動作について説明する。
排水側アプリケーションから操作制御部13に湯水の検知が指示されると、操作制御部13は、栓蓋部材1に内蔵された検知部材2の受信機2dに湯水の検知を指示する確認信号を送信する。
確認信号を受信した検知部材2は、検知器2aを作動させ湯水の検知を開始する。
検知器2aは検知開始の指示から所定時間が経過するまで継続して湯水の検知を行い、その間に検知した情報を継続的に送信機2cから操作制御部13に送信する。設定された所定時間が経過すると検知部材2は動作を停止する。
操作制御部13は受信した情報から、湯水の有無を判断し、判断した結果を排水側アプリケーションに送信する。
【0024】
本実施例の検知部材2に備えられた検知器2aは、測定用の電極を備え、該測定用の電極の先端に交流電界を発生させるように構成されている。検知器2aの電極は、電極の静電容量(キャパシタンス)の状態を電気的に検出し、検知情報として送信機2cに出力し、送信機2cは検知情報を操作制御部13に送信する。
電極の静電容量は湯水の無い状態、即ち空気に触れている状態と、湯水に埋まった状態とで変化する。検知部材2より検知情報を受信した操作制御部13は、検知情報にある電気的な状態より、検知器2aが湯水に触れているか否かを判断する。
即ち、本実施例の検知部材2の検知器2aは、電極を備え、該電極の静電容量値、又は静電容量値の変化に基づいて湯水の検知を行う静電容量式センサである。
【0025】
上記栓蓋部材1の検知に際して、浴槽Bの底面には陥没部23が設けられ、陥没部23内に排水口3aが備えられている。また栓蓋部材1の検知器2aは、図5に示したように、排水口3aが開口し、栓蓋部材1が上昇した状態であっても、陥没部23内であって陥没部23の上縁より低い位置に配置されている。
浴槽B内に給湯器16からの給水や吐水栓からの吐水が継続して行われている場合や、浴槽B内の底面に若干の水残りがある場合、陥没部23内には湯水が溜まった状態となるため、栓蓋部材1に備えられた検知器2aは陥没部23内の湯水に触れて浴槽B内に湯水が「有る」との検知を行う。尚、詳細には、検知器2aは「湯水が有る」に相当する情報を取得するのみであり、情報に基づいて実際に湯水が有ると判断するのは操作制御部13である。
浴槽B内の湯水の排出が確実に完了し、陥没部23内からも排水の排出が完了した場合、栓蓋部材1の検知器2aには湯水が触れることは無いため、浴槽B内に湯水が「無い」との検知を行う。尚、上記同様に、検知器2aは「湯水が無い」に相当する情報を取得するのみであり、情報に基づいて実際に湯水が無いと判断するのは操作制御部13である。
このように、陥没部23を設けて陥没部23内に検知器2aを配置したため、槽体である浴槽B内の湯水の検知を確実且つタイムラグ無しに行うことができる。
【0026】
以下に、排水栓装置の排水口3aの開閉の検知動作について説明する。
排水側アプリケーションから操作制御部13に排水口3aの開閉状態の検知が指示されると、操作制御部13は、開閉センサ10に開閉状態の確認信号を送信し、開閉センサ10は周囲の磁力の有無を検知し、操作制御部13に検知情報を送信する。
段落0019のガイド軸12の説明に記載したように、開閉センサ10の磁力の検知と排水口3aの開閉状態は対応関係にある。このため、操作制御部13が開閉センサ10からの検知情報を処理して、「開閉センサ10が磁力を検知した場合」には排水口3aが開口した状態と判断し、「開閉センサ10が磁力を検知しなかった場合」には排水口3aが閉口した状態と判断する。
操作制御部13は排水口3aの開閉状態を判断し、その結果を排水側アプリケーションに送信する。
尚、詳細には、開閉センサ10は「磁力を検知した/検知しなかった」に相当する情報を取得するだけのものであり、情報に基づいて「磁力を検知した、即ち排水口は開口している/検知しなかった、即ち排水口は閉口している」と判断するのは操作制御部13である。
【0027】
通信端末の排水側アプリケーションは、排水栓装置に対して次のような操作を行うことができる。
操作1.排水口3aの開閉動作を指示する。
操作2.浴槽B内の湯水の検知を指示し、検知結果を取得する。
操作3.排水口3aの開閉状態の検知を指示し、検知結果を取得する。
上記操作について、操作1.は段落0022に記載された手順に基づき行われる。
また、操作2.は段落0023乃至段落0025に記載された手順に基づき行われる。
また、操作3.は段落0026に記載された手順に基づき行われる。
【0028】
更に、上記操作1.乃至操作3.を組み合わせて、次の操作を行うことができる。
【0029】
操作4.「排水口3aを開口状態とする」
「操作3.排水口3aの開閉状態の検知」を実行し、検知結果が「排水口3aは開口」であれば操作を終了し、検知結果が「排水口3aは閉口」であれば「操作1.排水口3aの開閉動作を指示」を行い、操作を終了する。
【0030】
操作5.「排水口3aを閉口状態とする」
「操作3.排水口3aの開閉状態の検知」を実行し、検知結果が「排水口3aは閉口」であれば操作を終了し、検知結果が「排水口3aは開口」であれば「操作1.排水口3aの開閉動作を指示」を行い、操作を終了する。
【0031】
操作6.「浴槽B内の排水を完了させる」
「操作4.排水口3aを開口状態とする」を実行し、操作4.完了後、「操作2.浴槽B内の湯水の検知」を実行する。検知結果が「湯水有り」であれば「操作2.浴槽B内の湯水の検知」を再度実行する。検知結果が「湯水無し」であれば操作を終了する。
【0032】
操作7.「浴槽B内の排水完了後、排水口3aを自動で閉口する」
「操作6.浴槽B内の排水を完了させる」を実行し、操作6.完了後、「操作1.排水口3aの開閉動作を指示」を指示してプログラムを終了する。
【0033】
上記のように、排水栓装置の栓蓋部材1に、湯水を検知する検知器2aを備えたことで、排水側の機器だけで槽体内の自動排水の完了動作や、排水完了後の自動閉口を行うことができるようになった。また、検知器2aを栓蓋部材1に備えたことで、特許文献1に記載したような循環管路17上に水位センサ18を設けた場合や、排水口3a内に排水センサを設けた場合に比べて、湯水の検知を正確且つリアルタイムに行うことができるようになった。
また、特許文献1に記載の発明では、操作ボタン8への操作等により、浴槽B内の湯水の水面が循環金具19よりも低い位置で排水口3aが閉口されると、水位センサ18でも排水センサでも湯水を検知することができないが、本実施例の検知器2aでは、栓蓋部材1の位置で湯水を検知するため、浴槽Bがどのような水位でも、湯水がある場合、確実に湯水を検知することができる。
【0034】
更に上記した第一実施例の排水栓装置を、給湯器16や自動洗浄装置20等の上水側の機器、及び排水切替機21等の排水栓装置以外の排水側の機器と組み合わせて利用することもできる。以下に、第二実施例として、上水側の機器や他の排水側の機器と組み合わせた実施例を説明する。
【0035】
以下に、第一実施例の排水栓装置を採用し、更に以下に記載する給湯器16や自動洗浄装置20、排水切替機21を備えた第二実施例を、図面を参照しつつ説明する。
【0036】
図8は浴槽Bと浴槽Bに関連した機器の概略図である。浴槽Bは第一実施例の浴槽Bと同様の構成であり、陥没部23が備えられ、第一実施例に記載された排水栓装置が施工されてなる。また、浴槽Bの側面に循環金具19が備えられ、循環金具19と循環管路17を介して給湯器16から湯水が給水されると共に、給湯器16から浴槽B内に湯水を送る往路配管17aと、浴槽B内から給湯器16に湯水を戻す復路配管17bを利用し、浴槽B内の湯水を循環させつつ加熱することが可能に構成されている。
また、槽体Bの底面中央には自動洗浄装置20の洗浄ノズル20aが備えられてなる。
また、排水栓装置の排出口4aからの配管は、排水切替機21の上流側の端部に接続されてなる。
【0037】
図9は上水側制御装置C1と上水側の機器、排水側制御装置C2と排水側の機器、及びそれらと通信端末を利用したアプリケーションとの接続を示す体系図である。
上水側制御装置C1は、上水側の機器である給湯器16及び自動洗浄装置20に接続され、それらの機器を制御する。
排水側制御装置C2は、排水側の機器である排水栓装置及び排水切替機21の切替ボタン22に接続され、それらの機器を制御する。
また、機能上の理由から、上水側制御装置C1と排水栓装置も接続されている。
更に、上水側制御装置C1及び排水側制御装置C2は、インターネット等を利用したネットワーク通信網に接続し、通信を行う通信機能を備えてなり、ネットワーク通信網を介してスマートフォン等通信端末と通信を行うことができる。通信端末は、上水側制御装置C1を操作可能な上水側アプリケーション、排水側制御装置C2を操作可能な排水側アプリケーション、上水側制御装置C1及び排水側制御装置C2を総合して操作可能な総合アプリケーションを利用し、これらの機器を遠隔地から操作することができる。
これらのアプリケーションは、インターネット等を通じて通信端末にダウンロードし、利用することができる。
【0038】
給湯器16は、循環管路17及び浴槽B側面に取り付けられた循環金具19を介して浴槽Bに接続されてなり、上水を加熱し温水として浴槽B内や後述する自動洗浄装置20に供給する。また、指定した温度で指定した水位の湯水を浴槽B内に自動で給湯する自動お湯張り機能を備える。浴槽Bに、指定した水位で湯水を給湯する際には、循環管路17上に備えられた水位センサ18を利用するが、この水位センサ18は浴槽B内の水位が循環金具19より低くなると水位センサ18にエアが入り大気圧となって水位の測定が不可能となる。
【0039】
自動洗浄装置20は、浴槽B底面中央に配置させた洗浄ノズルよりすすぎ水(湯水)や洗浄液を浴槽B内に噴射することで浴槽B内を自動で洗浄することができる。
上記した給湯器16及び自動洗浄装置20は、操作パネルCPに操作を行うことで作動させることができるほか、上水側制御装置C1を介し、上水側アプリケーション又は総合アプリケーションから操作することができる。
【0040】
上水側制御装置C1は、給湯器16の操作パネルCPに組み込まれた部材であって、インターネット等を利用したネットワーク通信網に接続し、通信を行う通信機能を備えてなり、ネットワーク通信網を介してスマートフォン等通信端末と通信を行うことができ、通信端末からの指示に基づいて給湯器16や自動洗浄装置20を動作させることができる。
また、上水側制御装置C1は排水栓装置の操作部6に接続され、自動お湯張りの際等に、操作5.「排水口3aを閉口状態とする」を指示することができる。
【0041】
排水切替機21は、図10に示したように、1つの上流側端部と2つの下流側端部を備えた管体の内部に3方向電磁弁を備えた機器であって、上流側の配管は排水口3aの下流側の配管に図示しない排水トラップを介して接続され、下流側の配管の一方は下水側の配管である下水側配管21aに、他方は残り湯利用を行う残り湯利用側配管21bを介して洗濯機の配管に、それぞれ接続されてなる。排水切替機21には、排水の排出先の切り替えを操作する切替ボタン22が備えられてなり、この切替ボタン22は、排水側制御装置C2に接続されてなる。
【0042】
排水側制御装置C2は、段落0020に記載したように、排水栓装置に接続して排水栓装置を制御する他、本実施例では排水切替機21の切替ボタン22に接続されてなり、排水栓装置と同様に排水切替機21の動作を制御することもできる。また、通信端末の排水側アプリケーション及び総合アプリケーション上から、排水栓装置と同様に、排水切替機21の操作を行うことも可能である。
【0043】
総合アプリケーションは、上水側制御装置C1及び排水側制御装置C2を総合して制御することが可能なアプリケーションで、ネットワーク通信網を介して上水側制御装置C1及び排水側制御装置C2に動作の指示を行うことができる(排水栓装置へは、第一実施例に記載した排水側アプリケーションと同様の動作指示を行うことができる)。また、それぞれの機器に、所定の手順で動作を行うようにプログラムを設定し、登録することができる。また、プログラムには所定の時間が経過した後に動作を行う、又は動作を停止するタイマーを設定することができる。
【0044】
上記のように構成した第二実施例において、総合アプリケーションにプログラムを設定することで、次の操作を行うことができる。尚、プログラムを設定する際、指示しない限り排水切替機21の排出先は下水側が設定される。
【0045】
プログラム1.「残り湯利用を行い、余った湯水は排出する」
「操作2.浴槽B内の湯水の検知」を指示し、浴槽B内に湯水が無ければプログラムを終了する。浴槽B内に湯水が有れば排水切替機21を残り湯利用側配管21bに指定し切り替えると共に、所定時間経過後に下水側配管21aに切り替えとなるように設定し、操作4.「排水口3aを開口状態とする」を実行してプログラムを終了する。
段落0007に記載したように、残り湯利用側配管21bに接続された機器は必要以上の残り湯を受け入れないようにストッパーを備えてなり、ストッパーが作動すると排水口3aが開口しても排水の排出は停止してしまうが、上記のように排水切替機21にタイマーを設定し、排水口3aの開閉動作と連動させることで、残り湯利用には余剰となる湯水を自動で下水側に支障なく排出することができる。
【0046】
プログラム2.「排水を完了させた後、浴槽の自動洗浄を行い、更にお湯張りを行う」
「操作5.浴槽B内の排水を完了させる」を指示し、浴槽B内の排水を完了させた後、自動洗浄装置20を作動させ、浴槽B内を洗浄する。自動洗浄が完了した時、排水口3aはすすぎ水を排出させるため開口している。洗浄完了後、「操作1.排水口3aの開閉動作を指示」を指示することで、開口していた排水口3aを閉口させ、給湯器16に自動お湯張りを指示してプログラムを終了する。
このようにプログラムを設定することで、一つのプログラムを作動させるだけで、使用後の浴槽Bの湯水の排出から、新しくお湯張りを行うまでの作業を完遂することができる。
【0047】
プログラム3.「残り湯利用を行った上で排水を完了させた後、浴槽の自動洗浄を行い、更に排水口を閉口して、お湯張りを行う」
「プログラム1.残り湯利用を行い、余った湯水は排出する」を指示し、浴槽B内の排水を完了させた後、自動洗浄装置20を作動させ、浴槽B内を洗浄する。自動洗浄が完了した時、排水口3aはすすぎ水を排出させるため開口している。洗浄完了後、「操作1.排水口3aの開閉動作を指示」を指示することで、開口していた排水口3aを閉口させ、給湯器16に自動お湯張りを指示してプログラムを終了する。
このようにプログラムを設定することで、一つのプログラムを作動させるだけで、残り湯利用を行った上で、使用後の浴槽Bの湯水の排出から、新しくお湯張りを行うまでの作業を完遂することができる。また、前述のように、残り湯利用を行った際に、必要以上の残り湯が機器に流れ込むと、湯水の排出が停止する場合がある。循環金具19よりも低い位置で湯水の排出が停止すると、特許文献1の実施の形態1の発明のように循環金具19よりも低い位置の水位を直接検知できない構成では、湯水の排出が完了していないのに時間経過により完了したと判断して自動洗浄を開始するなどの不具合があるが、本実施例では、湯水を検知する検知器2aが栓蓋部材1に備えられているため、上記のような不具合が生じることなく、浴槽Bの湯水の排出が確実に完了した後に、自動洗浄等の次の手順を開始することができる。
【0048】
以下に本発明の第三実施例の排水栓装置を、図面を参照しつつ説明する。尚、本発明の第三実施例の発明は、浴槽Bが陥没部23を備えないことと、栓蓋部材1、検知部材2及び排水口部材3の構成が相違する以外は、施工方法また使用方法ともに第一実施例と同一の為、以下の説明では相違点のみ説明する。
【0049】
図11に示した第三実施例の排水栓装置においては、浴槽Bは排水口取付穴B1に陥没部23を設けることなく、代わりに排水口部材3のフランジ部3bに検知器2aを配置することで、浴槽B内の湯水を検知するように構成してなる。
図11に図示した排水栓装置の栓蓋部材1と排水口部材3について以下に詳述する。
栓蓋部材1は平面視略円盤状、側面視円弧形状を成す部材であって、その側面に溝部を備え、この溝部に排水口3aのフランジ部3bに水密的に当接して排水口3aを閉口する環状パッキン1aを備えてなる。
排水口部材3は略円筒形状を成す部材であって、その内部に排水口3aを形成すると共に、円筒部分の上端の外周方向にフランジ部3bを備えてなる。また、排水口3a内に栓蓋部材1を昇降させる押し上げ軸5dを支持する支持部材3cを備えてなる。
フランジ部3bについて詳述すると、図11の実施例に図示した排水口部材3のフランジ部3bは、その上面が内径側から外径側に向かう程上方に向かう傾斜面を形成すると共に、その周縁の外径側に、周縁に沿って環状に湯水を検知する検知器2aを備えてなる。この図11の実施例の検知器2aは、水位に応じて変化する水圧を検知する圧力式センサであって、検知情報を利用することで、浴槽B内の湯水水面から検知器2aまでの水位を把握することが可能である。また、検知器2aの下方であって、その下方のフランジ部3b分に、検知器2aの検知結果を無線通信によって送信する送信機2cと、操作部6からの確認信号を受信する受信機2dと、検知器2a、送信機2c、及び受信機2dを作動させる電源としての非接触電源2eとを内蔵してなる。尚、本実施例では、送信機2cと受信機2dは一つの部材の中に組み込まれて構成されている。
また、排水口部材3が取り付けられる浴槽Bの取付穴の周囲に、排水口部材3の非接触電源2eに対応する非接触電源2eを配置してなる。この排水口3aの周囲の非接触電源2eに通電することで、この周囲の非接触電源2eより、フランジ部3b内の非接触電源2eに電力を供給することができる。
湯水を検知する検知器2aは、操作部6から確認信号を受信することで検知作業を開始し、所定時間(10分乃至20分程度)の間検知作業を継続して行い、操作制御部13に検知結果を継続して送信する。
この図11の実施例においては、上記した浴槽B、栓蓋部材1、及び排水口部材3以外は第一実施例の各機器及び各部材と同一の構成である。排水栓装置の操作・検知において、「0センチメートルの水位」を第一実施例における「湯水無し」、「0センチメートルを超える水位」を第一実施例における「湯水有り」として処理している。
【0050】
本発明の実施例は以上のようであるが本発明は上記実施例に限定される物ではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば、上記実施例では、水回り機器として浴槽Bを設定してなるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、水回り機器として洗面台等を設定しても構わない。
また、例えば洗面台の栓蓋部材1に本発明の第三実施例のような水位を検知可能な検知部材2を組み込み、排水口3aの閉口時は継続して水位を検知させ、所定の水位を超えた場合には、所定の水位以下になるまで排水口3aを自動で開口させる、オーバーフロー機能を備えるようにしても良い。
【符号の説明】
【0051】
1 栓蓋部材 1a 環状パッキン
2 検知部材 2a 検知器
2b 電池 2c 送信機
2d 受信機 2e 非接触電源
3 排水口部材 3a 排水口
3b フランジ部 3c 支持部材
4 エルボ部材 4a 排出口
4b 挿通部 5 レリースワイヤ
5a アウターチューブ 5b インナーワイヤ
5c スプリング 5d 押し上げ軸
6 操作部 7 操作取付部
7a C字リング 8 操作ボタン
9 ケーシング 10 開閉センサ
11 電動駆動部 11a アーム部
12 ガイド軸 12a 磁石
12b リブ片 13 操作制御部
14 ロック機構 14a ロック機構本体
14b ロック軸 15 ガイド管
16 給湯器 17 循環管路
17a 往路配管 17b 復路配管
18 水位センサ 19 循環金具
20 自動洗浄装置 20a 洗浄ノズル
21 排水切替機 21a 下水側配管
21b 残り湯利用側配管 22 切替ボタン
23 陥没部 B 浴槽
B1 排水口取付穴 B2 操作部取付穴
C1 上水側制御装置 C2 排水側制御装置
CP 操作パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11