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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047340
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】PCa基礎ブロックの接合構造
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/01 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
E02D27/01 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152906
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】カク オツキン
(72)【発明者】
【氏名】山内 涼平
(72)【発明者】
【氏名】岡田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 啓一
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046BA27
(57)【要約】
【課題】施工コストを高騰させることなく、埋込プレートの寸法や仕様、ボルトの本数が制限されずに、大小様々な規模の建物に適用することができ、2つのPCa基礎ブロック同士の接合強度が高い、PCa基礎ブロックの接合構造を提供すること。
【解決手段】基礎の立ち上り部を形成する鉄筋コンクリート製のPCa基礎ブロックの接合構造100であり、2つのPCa基礎ブロック30の端面31の間の隙間35には、それぞれの端面31から上端筋13と下端筋14が張り出し、隙間35において、上端筋13と下端筋14は共通の埋込プレート40に溶接接合され、2つの埋込プレート40がスプライスプレート50を介してボルト接合され、隙間35が現場打ちコンクリート70により閉塞されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎の立ち上り部を形成する鉄筋コンクリート製のPCa基礎ブロックの接合構造であって、
2つの前記PCa基礎ブロックの端面の間の隙間には、それぞれの該端面から上端筋と下端筋が張り出しており、
前記隙間において、前記上端筋と前記下端筋は共通の埋込プレートに溶接接合され、2つの該埋込プレートがスプライスプレートを介してボルト接合されており、
前記隙間が現場打ちコンクリートにより閉塞されていることを特徴とする、PCa基礎ブロックの接合構造。
【請求項2】
2つの前記埋込プレートは、上下の2箇所において一対の前記スプライスプレートに挟まれ、高力ボルトによりボルト接合されていることを特徴とする、請求項1に記載のPCa基礎ブロックの接合構造。
【請求項3】
前記PCa基礎ブロックの内部には、前記上端筋と前記下端筋を縦方向に繋ぐあばら筋が設けられており、
前記隙間にはあばら筋は存在せず、
前記埋込プレートが、前記隙間におけるせん断補強部材となることを特徴とする、請求項1又は2に記載のPCa基礎ブロックの接合構造。
【請求項4】
それぞれの前記埋込プレートと前記スプライスプレートが、前記PCa基礎ブロックの長手方向に間隔を置いて配設されている、複数の前記高力ボルトによりボルト接合されていることを特徴とする、請求項2に記載のPCa基礎ブロックの接合構造。
【請求項5】
2つの前記埋込プレートが広幅面の内部に開口を備え、該開口に前記現場打ちコンクリートが入り込んでいることを特徴とする、請求項1又は2に記載のPCa基礎ブロックの接合構造。
【請求項6】
前記PCa基礎ブロックの前記端面に凹部を備え、該凹部に前記現場打ちコンクリートが入り込んでいることを特徴とする、請求項1又は2に記載のPCa基礎ブロックの接合構造。
【請求項7】
前記PCa基礎ブロックは、フーチングと基礎梁の積層構造体であり、
前記基礎梁を形成する前記上端筋と前記下端筋が前記埋込プレートに溶接接合され、少なくとも2つの該基礎梁の端面の間に前記隙間が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のPCa基礎ブロックの接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PCa基礎ブロックの接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の基礎において、基礎の施工期間の短縮と基礎の寸法精度を高めるべく、基礎の立ち上り部を工場にてプレキャストコンクリート基礎ブロック(PCa基礎ブロック)として製作し、このPCa基礎ブロックを施工現場に搬送して基礎の施工に供する施工方法が適用される。
【0003】
施工現場に搬送された複数のPCa基礎ブロックは、隙間を置いて基礎の延設方向に敷き並べられる。PCa基礎ブロックの端部から側方へ、基礎の延設方向に延びる上端筋や下端筋といった主筋の端部が張り出しており、隙間の左右に敷き並べられた2つのPCa基礎ブロックの主筋の端部同士を、隙間において機械式継手を用いて繋ぎ、機械式継手の内部にグラウトを充填して鉄筋同士を一体化した後、隙間を現場打ちコンクリートにて閉塞することにより、隣接するPCa基礎ブロック間の応力伝達が可能とされた布基礎等の基礎が施工されることになる。
【0004】
主筋同士を機械式継手を介して繋ぎ、グラウトの充填で主筋同士の一体化を図ることの他にも、主筋の端部に埋込プレートを溶接接合し、隣接するPCa基礎ブロックの端部から隙間へ張り出す埋込プレート同士をボルト接合した後、現場打ちコンクリートにて双方の埋込プレートを埋設することにより基礎が施工される形態もある。この形態では、例えばPCa基礎ブロックの端部から張り出す上端筋と下端筋に対してそれぞれ、個別の埋込プレートを溶接接合し、隙間においては、2つのPCa基礎ブロックの端部からそれぞれ張り出す上端筋の埋込プレート同士をボルト接合し、下端筋の埋込プレート同士をボルト接合している。
【0005】
上記する機械式継手にて鉄筋同士が繋がれるPCa基礎ブロックの接合構造では、機械式継手自体が高価であることに加えて、機械式継手に充填されるグラウトが高価であることから施工コストが高くなるといった課題がある。さらに、グラウトの漏れ止め対策として、定型のシーリング材が適用されたり、基礎に余分なふかしが設けられる場合があり、これらのことも施工コストの上昇と施工手間に繋がる。
【0006】
また、主筋に溶接接合された埋込プレート同士がボルト接合されるPCa基礎ブロックの接合構造では、上端筋の埋込プレート同士がボルト接合され、下端筋の埋込プレート同士がボルト接合されることから、埋込プレートの寸法や仕様、さらには適用されるボルトの本数が自ずと制限され、施工対象が比較的小規模な建物に限定され得る。
【0007】
以上のことから、施工コストを高騰させることなく、埋込プレートの寸法や仕様、ボルトの本数が制限されずに、大小様々な規模の建物に適用することのできる、PCa基礎ブロックの接合構造が望まれる。
【0008】
ここで、特許文献1には、布基礎がある単位で分割された形をし、基礎梁部とフーチング部からなるプレキャストコンクリート製の布基礎部材の連結構造が提案されている。具体的には、隣接する布基礎部材が対向する基礎梁部の端面位置において、埋込みプレートがその一部を露出させた状態で上下2箇所に埋設され、基礎梁部とフーチング部の端面には相対的な凹部が形成され、隣接する布基礎部材はそれぞれの端面間に間隔をおいて設置され、双方の端面に露出する埋込みプレート間に連結プレートが跨設され、連結プレートと埋込みプレートがボルト接合されるとともに、両布基礎部材の端面間とそれぞれの凹部内に、モルタルもしくはコンクリートが充填されて互いに連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9-165756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載のプレキャストコンクリート製布基礎部材の連結構造も、隣接する布基礎部材のそれぞれの上下2箇所に埋設される別々の埋込みプレート同士を連結プレートを介してボルト接合することから、上記する従来の埋込プレート同士がボルト接合される構造と同様に、埋込プレートの寸法や仕様、ボルトの本数が制限され、施工対象が小規模建物に限定され得るといった課題を内包する。
【0011】
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、施工コストを高騰させることなく、埋込プレートの寸法や仕様、ボルトの本数が制限されずに、大小様々な規模の建物に適用することができ、2つのPCa基礎ブロック同士の接合強度が高い、PCa基礎ブロックの接合構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成すべく、本発明によるPCa基礎ブロックの接合構造の一態様は、
基礎の立ち上り部を形成する鉄筋コンクリート製のPCa基礎ブロックの接合構造であって、
2つの前記PCa基礎ブロックの端面の間の隙間には、それぞれの該端面から上端筋と下端筋が張り出しており、
前記隙間において、前記上端筋と前記下端筋は共通の埋込プレートに溶接接合され、2つの該埋込プレートがスプライスプレートを介してボルト接合されており、
前記隙間が現場打ちコンクリートにより閉塞されていることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、2つのPCa基礎ブロックの端面の間の隙間に、それぞれの端面から上端筋と下端筋が張り出し、上端筋と下端筋が共通の埋込プレートに溶接接合され、2つの埋込プレートがスプライスプレートを介してボルト接合されていることにより、PCa基礎ブロックを構成する上端筋と下端筋に跨がって縦方向に長い埋込プレートが適用されることから、埋込プレートの寸法や仕様が制限されるといった課題は生じない。このことにより、小規模建物から大規模建物まで、様々な規模の建物のPCa基礎に適用することができる。また、グラウトの充填を要する機械式継手を用いるものでないことから、施工コストを高騰させるといった課題も生じない。さらに、縦方向に長い埋込プレートが適用されることにより、高いせん断強度が保証される。
【0014】
また、本発明によるPCa基礎ブロックの接合構造の他の態様において、
2つの前記埋込プレートは、上下の2箇所において一対の前記スプライスプレートに挟まれ、高力ボルトによりボルト接合されていることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、2つの埋込プレートが、それらの上下の2箇所において一対のスプライスプレートに挟まれ、高力六角ボルト等の高力ボルトによってボルト接合されていることにより、接合強度の高い接合構造を形成できる。
【0016】
また、本発明によるPCa基礎ブロックの接合構造の他の態様において、
前記PCa基礎ブロックの内部には、前記上端筋と前記下端筋を縦方向に繋ぐあばら筋が設けられており、
前記隙間にはあばら筋は存在せず、
前記埋込プレートが、前記隙間におけるせん断補強部材となることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、2つのPCa基礎ブロックの間の隙間において、上端筋と下端筋を縦方向に繋ぐあばら筋が存在しない代わりに、上端筋と下端筋に跨がって縦方向に長い埋込プレートがせん断補強部材となることにより、隙間におけるせん断強度の高い接合構造を形成できる。
【0018】
また、本発明によるPCa基礎ブロックの接合構造の他の態様において、
それぞれの前記埋込プレートと前記スプライスプレートが、前記PCa基礎ブロックの長手方向に間隔を置いて配設されている、複数の前記高力ボルトによりボルト接合されていることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、埋込プレートとスプライスプレートが、PCa基礎ブロックの長手方向に間隔を置いて配設されている複数の高力ボルトによりボルト接合されていること、言い換えれば、埋込プレートがその横方向(水平方向)に間隔を置いて複数のボルト孔を備え、横方向にも長い広幅の埋込プレートであることから、その横方向の全域に亘るせん断補強部材となる。また、各埋込プレートの例えば上下において、それぞれ複数本(例えば2本もしくは3本)の高力ボルトにて埋込プレートがスプライスプレートとボルト接合されることから、より一層接合強度の高い接合構造を形成できる。
【0020】
また、本発明によるPCa基礎ブロックの接合構造の他の態様において、
2つの前記埋込プレートが広幅面の内部に開口を備え、該開口に前記現場打ちコンクリートが入り込んでいることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、埋込プレートが広幅面の内部に開口を備え、開口に現場打ちコンクリートが入り込んでいることにより、開口に入り込んで硬化している現場打ちコンクリート体がせん断キーとなり、隙間を閉塞する現場打ちコンクリート体と埋込プレートとの接合強度を高めることができる。
【0022】
また、本発明によるPCa基礎ブロックの接合構造の他の態様において、
前記PCa基礎ブロックの前記端面に凹部を備え、該凹部に前記現場打ちコンクリートが入り込んでいることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、PCa基礎ブロックの端面に凹部(コッター)が設けられ、凹部に現場打ちコンクリートが入り込んでいることにより、凹部に入り込んで硬化している現場打ちコンクリート体がせん断キーとなり、PCa基礎ブロックと現場打ちコンクリート体との接合強度を高めることができる。
【0024】
また、本発明によるPCa基礎ブロックの接合構造の他の態様において、
前記PCa基礎ブロックは、フーチングと基礎梁の積層構造体であり、
前記基礎梁を形成する前記上端筋と前記下端筋が前記埋込プレートに溶接接合され、少なくとも2つの該基礎梁の端面の間に前記隙間が設けられていることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、PCa基礎ブロックがフーチングと基礎梁の積層構造体であることにより、フーチングと基礎梁を備えて、接合強度の高い接合構造のPCa基礎を形成できる。ここで、「少なくとも2つの基礎梁の端面の間に隙間が設けられている」とは、2つの基礎梁の端面の間にのみ隙間が設けられ、2つのフーチングの間に隙間が設けられていない形態と、2つの積層構造体の端面の全域に隙間が設けられている形態を含んでいる。前者の形態では、左右のフーチングの端面同士は、接着剤やグラウトの充填等により相互に接合できる。
【発明の効果】
【0026】
以上の説明から理解できるように、本発明のPCa基礎ブロックの接合構造によれば、施工コストを高騰させることなく、埋込プレートの寸法や仕様、ボルトの本数が制限されずに、大小様々な規模の建物に適用することができ、2つのPCa基礎ブロック同士の接合強度が高い、PCa基礎ブロックの接合構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係るPCa基礎ブロックの接合構造の一例を形成する、PCa基礎ブロックの斜視図であって、内部の鉄筋が透視された透視図である。
図2図1のII方向矢視図であって、PCa基礎ブロックの端面から見た正面図である。
図3】2つのPCa基礎ブロックの端面の間に隙間において、双方の上端筋と下端筋が溶接接合されている2つの埋込プレートがボルト接合されている状態を示す斜視図であって、内部の鉄筋が透視された透視図である。
図4図3のIV方向矢視図である。
図5】実施形態に係るPCa基礎ブロックの接合構造の一例の斜視図であって、内部の鉄筋が透視された透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施形態に係るPCa基礎ブロックの接合構造の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0029】
[実施形態に係るPCa基礎ブロックの接合構造]
図1乃至図5を参照して、実施形態に係るPCa基礎ブロックの接合構造の一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係るPCa基礎ブロックの接合構造の一例を形成する、PCa基礎ブロックの斜視図であって、内部の鉄筋が透視された透視図であり、図2は、図1のII方向矢視図であって、PCa基礎ブロックの端面から見た正面図である。また、図3は、2つのPCa基礎ブロックの端面の間に隙間において、双方の上端筋と下端筋が溶接接合されている2つの埋込プレートがボルト接合されている状態を示す斜視図であって、内部の鉄筋が透視された透視図であり、図4は、図3のIV方向矢視図である。さらに、図5は、実施形態に係るPCa基礎ブロックの接合構造の一例の斜視図であって、内部の鉄筋が透視された透視図である。
【0030】
図1に示すように、PCa基礎ブロック30(プレキャストコンクリート基礎ブロック)は、布基礎等の基礎の立ち上り部を形成する、鉄筋コンクリート製のフーチング20と基礎梁10の積層構造体である。基礎梁10は、その長手方向に延びる上端筋13と下端筋14(いずれも主筋)と、上端筋13と下端筋14を縦方向に繋ぐフックを備えた複数のあばら筋15を内部に備えている。
【0031】
一方、フーチング20は、長手方向とそれに直交する方向の2方向に延びる複数のベース筋22,21を内部に備えている。
【0032】
図示例は、その他、基礎梁10に対して複数の縦方向に延びるアンカーボルト17の一部が埋設され、その頭部が基礎梁10の天端面から上方に突出しており、このアンカーボルト17の頭部は不図示の鉄骨柱の柱脚プレートのボルト孔に挿通され、ナット締めされるようになっている。
【0033】
また、図示を省略するが、基礎梁10の天端面に、所定高さの腰壁がさらに設けられているPCa基礎ブロックであってもよい。
【0034】
上端筋13と下端筋14は、PCa基礎ブロック30の端面31から側方へそれらの一部が張り出して、張り出し部13a,14aを形成している。
【0035】
この張り出し部13a,14aでは、それぞれの鉄筋の中央が切り欠かれ、双方の鉄筋の切り欠きへ共通の鋼製の埋込プレート40が嵌め込まれ、埋込プレート40と張り出し部13a,14aが溶接接合されることにより、埋込プレート40と上端筋13及び下端筋14との一体化が図られている。
【0036】
図2に明りょうに示すように、PCa基礎ブロック30の端面31には、埋込プレート40の左右位置にそれぞれ、上下2つで計4つの凹部32が設けられている。
【0037】
また、埋込プレート40の広幅面には、上下に2つの開口45が設けられており、広幅面の上下にはそれぞれ、長手方向に間隔を置いて複数(図示例は2つ)のボルト孔42が設けられている。
【0038】
また、図2に示すように、フーチング20の下面には複数の高さ調整脚23が設けられており、高さ調整脚23の調整によってPCa基礎ブロック30の高さを所望に調整できるようになっている。
【0039】
図3に示すように、2つのPCa基礎ブロック30は、双方の端面31の間に所定幅の隙間35を設けるようにして配設される。そして、この隙間35には、双方の端面31から張り出す上端筋13と下端筋14の各張り出し部13a,14aが存在し、双方の張り出し部13a,14aに溶接接合されている埋込プレート40が併設している。
【0040】
そして、2つの埋込プレート40のそれぞれの上下にある2つのボルト孔42に対応する位置に4つのボルト孔を備えている、一対のスプライスプレート50が2つの埋込プレート40の上下をそれぞれ挟み、対応するボルト孔に対して高力ボルト60が挿通され、締め付けられることにより、一対のスプライスプレート50を介して2つの埋込プレート40同士がボルト接合される。
【0041】
ここで、図4に示すように、埋込プレート40の一端41は、PCa基礎ブロック30の端面31よりも内側に埋設され、PCa基礎ブロック30と埋込プレート40のより強固な一体化が図られている。すなわち、工場では、PCa基礎ブロック30のコンクリートを打設する前に、上端筋13と下端筋14の各張り出し部13a,14aと埋込プレート40の溶接接合を行った後に、埋込プレート40の一端41を巻き込むようにしてコンクリートが施工され、埋込プレート40を備えたPCa基礎ブロック30が製作される。従って、現場へは、埋込プレート40を備えたPCa基礎ブロック30が搬送され、所定の設置位置に設置されることとなり、スプライスプレート50を介して高力ボルト60にてボルト接合するのみで図3に示す接合状態が形成されることから、現場における溶接作業は不要となる。
【0042】
図3図4からも明らかなように、適用される埋込プレート40は、上端筋13と下端筋14の張り出し部13a,14aに跨がって縦方向に長く、さらには、複数のボルト孔を長手方向に間隔を置いて備えて横方向にも長い、広幅面の大きな埋込プレートであることから、埋込プレートの寸法や仕様が制限されるといった課題が生じることはなく、小規模建物から大規模建物まで、様々な規模の建物のPCa基礎に適用することができる。
【0043】
また、2つのPCa基礎ブロック30の隙間35にはあばら筋が存在しないものの、縦方向と横方向の双方に長い埋込プレート40が適用されることにより、埋込プレート40が隙間35におけるせん断補強部材となり、高いせん断強度を有する接合構造の形成に寄与する。
【0044】
さらに、グラウトの充填を要する機械式継手を用いるものでないことから、施工コストを高騰させるといった課題も生じない。
【0045】
現場では、隙間35に不図示の型枠を設置し、型枠内に現場打ちコンクリートを打設し、コンクリートの硬化を待って型枠を脱型することにより、図5に示すように、2つのPCa基礎ブロック30の間において、基礎梁部71とフーチング部72とを備えた現場打ちコンクリート体70が施工され、2つのPCa基礎ブロックとその間の現場打ちコンクリート体70とからなる接合構造100が形成される。
【0046】
打設された現場打ちコンクリートは、埋込プレート40の備える開口45に入り込んで硬化し、この入り込んだ現場打ちコンクリート体70の一部がせん断キーとなり、隙間35を閉塞する現場打ちコンクリート体70と埋込プレート40との接合強度を高めることができる。
【0047】
さらに、PCa基礎ブロック30の端面31に設けられている複数の凹部32に対して、現場打ちコンクリート体70の一部が入り込んでいることにより、この入り込んだ現場打ちコンクリート体70の一部がせん断キーとなり、PCa基礎ブロック30と現場打ちコンクリート体70との接合強度を高めることができる。
【0048】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0049】
10:基礎梁
13:上端筋
13a:張り出し部
14:下端筋
14a:張り出し部
15:あばら筋
17:アンカーボルト
20:フーチング
21,22:ベース筋
23:高さ調整脚
30:PCa基礎ブロック
31:端面
32:凹部
35:隙間
40:埋込プレート
41:一端
42:ボルト孔
45:開口
50:スプライスプレート
60:高力ボルト
70:現場打ちコンクリート体(現場打ちコンクリート)
71:基礎梁部
72:フーチング部
100:接合構造(PCa基礎ブロックの接合構造)
図1
図2
図3
図4
図5