(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047343
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】吐出ノズル径が先端部で広がったコンピュール及びシリンジチップ
(51)【国際特許分類】
A61C 5/62 20170101AFI20240329BHJP
A61C 9/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A61C5/62
A61C9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152909
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390011143
【氏名又は名称】株式会社松風
(74)【代理人】
【識別番号】100173657
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】志賀 敏生
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 司
(72)【発明者】
【氏名】武井 亮二
(72)【発明者】
【氏名】中塚 稔之
(72)【発明者】
【氏名】宮田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕之
(72)【発明者】
【氏名】松本 亜希子
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA06
4C052HH08
4C052HH10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】吐出時の粘性材料の変形を低減させて粘性材料を意図した形状で吐出することができるとともに、ノズル先端に付着する粘性材料の量を減少させて意図していない部位への粘性材料の付着を抑制し、粘性材料の垂れを減少して粘性材料の切れを良好にすることができるコンピュール及びシリンジチップを提供する。
【解決手段】コンピュール又はシリンジチップが有する吐出構造を、仮想中心線を中心に形成されて粘性材料が移動可能な流路33aと、流路と吐出口33bとの間に形成されて、吐出口に向かって断面積が漸増するテーパ流路33cと、を有する吐出構造とする。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口から粘性材料を吐出する吐出構造を有するコンピュール又はシリンジチップであって、
吐出構造が、
仮想中心線を中心に形成されて粘性材料が移動可能な流路と、
流路と吐出口との間に形成されて吐出口に向かって断面積が漸増するテーパ流路と、を有するコンピュール又はシリンジチップ。
【請求項2】
仮想中心線を含む流路の断面において、吐出口側の端部における流路の周壁の延在方向と、テーパ流路の周壁の延在方向との間の角度が5°~85°である請求項1に記載のコンピュール又はシリンジチップ。
【請求項3】
テーパ流路は切頭円錐形状を有している請求項1に記載のコンピュール又はシリンジチップ。
【請求項4】
流路は切頭円錐形状又は円柱形状を有している請求項1に記載のコンピュール又はシリンジチップ。
【請求項5】
テーパ流路と、吐出容器の外周壁部又は吐出器具の外周壁部とが、環状の先端面により接続されている請求項1に記載のコンピュール又はシリンジチップ。
【請求項6】
環状の先端面が、円環形状を有している請求項5に記載のコンピュール又はシリンジチップ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のコンピュール。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載のシリンジチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出口から粘性材料を吐出する吐出構造を備えるコンピュール及びシリンジチップに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科分野においては、歯科用充填材料や歯冠作製用材料等のペーストは、吐出量を適切化するために、特許文献1に記載されているよう内部にペーストを収容するコンピュール又は特許文献2に記載されているようなシリンジ等の注入器に充填されて使用される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4391590号公報
【特許文献2】米国特許第5445523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来のコンピュール及び特許文献2記載の従来のシリンジチップでは、ペースト(粘性材料)が有する特性により、吐出口から吐出したペーストの一部が、吐出口を囲む環状の先端面や、この先端面を介して注入器の流路に沿った外周壁等の注入器の先端の外壁部に付着してしまう場合がある。このような注入器の先端の外壁部に付着した粘性材料は、付着量が多くなると注入器の先端の外壁部から落下するため、粘性材料の塗布を意図していない部位に粘性材料が付着してしまう。そのため従来の注入器では、所望の位置に粘性材料を塗布することが難しいという問題が生じている。また注入器の先端の外壁部に付着した粘性材料が所望の位置に落下した場合には、所望量よりも多くの粘性材料が塗布されることなるため、所望の量の粘性材料を塗布することが難しいという問題が生じている。さらにコンピュールの先端の外壁部に付着した粘性材料が落下しない場合には、付着した粘性材料は廃棄されてしまい、粘性材料の使用効率が低くなる問題が生じている。
【0005】
本発明の目的は、吐出時の粘性材料の変形を低減させて粘性材料を意図した形状で吐出することができるとともに、ノズル先端に付着する粘性材料の量を減少させて意図していない部位への粘性材料の付着を抑制し、粘性材料の垂れを減少して粘性材料の切れを良好にすることができるコンピュール及びシリンジチップを提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、外壁部への粘性材料の付着量を減らし、好ましくは外壁部への粘性材料の付着を防止することで、所望の位置に所望の量の粘性材料を塗布して粘性材料の使用効率を高めることができるコンピュール及びシリンジチップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一実施形態において、吐出口から粘性材料を吐出する吐出構造を有するコンピュール又はシリンジチップであって、
吐出構造が、
仮想中心線を中心に形成されて粘性材料が移動可能な流路と、
流路と吐出口との間に形成されて吐出口に向かって断面積が漸増するテーパ流路と、を有するコンピュール又はシリンジチップを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吐出時の粘性材料の変形を低減させて粘性材料を意図した形状で吐出することができるとともに、ノズル先端に付着する粘性材料の量を減少させて意図していない部位への粘性材料の付着を抑制し、粘性材料の垂れを減少して粘性材料の切れを良好にすることができるコンピュール及びシリンジチップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態にかかる吐出構造を有するコンピュールがエジェクタホルダに装着された状態を示す概略図
【
図5】一実施形態にかかるコンピュールの吐出口部分の拡大断面図
【
図6】一実施形態にかかるコンピュールのキャップの側面図
【
図7】キャップを装着した状態の一実施形態にかかるコンピュールの断面図
【
図9】他の実施形態にかかるコンピュールの左側面図
【
図11】他の実施形態にかかる吐出口部分の拡大断面図
【
図13】一実施形態のコンピュールの吐出口部分の模式図
【
図14】一実施形態にかかるシリンジ及びシリンジチップの構成を示す概略図
【
図26】シリンジチップをシリンジの先端に装着した状態におけるシリンジチップ及びシリンジの断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のコンピュール及びシリンジチップは一実施形態において、仮想中心線を含む断面において、吐出口側の端部における流路の周壁の延在方向と、テーパ部の周壁の延在方向との間の角度が5°~85°とすることができる。
【0011】
本発明のコンピュール及びシリンジチップは一実施形態において、テーパ部が切頭円錐形状を有していることができる。
【0012】
本発明のコンピュール及びシリンジチップは一実施形態において、流路が円柱形状を有していることができる。
【0013】
本発明のコンピュール及びシリンジチップは一実施形態において、テーパ流路と、吐出容器の外周壁部又は吐出器具の外周壁部とが、環状の先端面により接続されていることができる。
【0014】
本発明のコンピュール及びシリンジチップは一実施形態において、環状の先端面が、円環形状を有していることができる。
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる吐出構造を有するコンピュール1がエジェクタホルダ10に装着された状態を示す概略図であり、
図2はコンピュール1の斜視図、
図3は左側面図、
図4は
図2のA-A面断面図であり、
図5は吐出口部分の拡大断面図である。
【0016】
エジェクタホルダ10はバレルを有しており、このバレルにはその後端から前端へ向けて内孔が延びている。内孔には、この内孔12と略同一直径のプランジャ18が挿入されており、プランジャ18の前端には、小径の延長部が設けられている。バレルの後端には、バレルの長手方向に対して傾斜して延在する第1の把手部材24が固定されている。第1の把手部材24には、接続部材を介して第2の把手部材が、設けられている。プランジャ18の後端には、ボタン30が設けられており、このボタン30を押圧することにより、プランジャ18がコンピュール1側に変位する。
【0017】
コンピュール1は、樹脂材料から作製されている。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリアミド、塩化ビニル樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、ポリウレタン、飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブタジエン、ポリスチレン、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合)樹脂、スチロール樹脂、ポリメチルペンテン、メタクリルスチレン、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン)樹脂、ポリカーボネート等を使用することができる。本実施形態では、コンピュール1は、ポリプロピレンから構成されている。
【0018】
本実施形態のコンピュール1は、エジェクタホルダ10に係合する係合部31と、仮想中心線ICを中心とする中空部32aを有する筒状部32と、ノズル部33と、を有する。筒状部32の中空部32aには、粘性材料が充填されており、ノズル部33はこの粘性材料を吐出する。粘性材料は、例えば充填用コンポジットレジン、シーラント材、セメント、ボンディング材、動揺歯固定材、エッチング材、歯面研磨材のような歯科材料とすることができる。
【0019】
本実施形態の係合部31は、中心軸を中心とする中空部31aが形成されいる。そのため、本実施形態の係合部31は、円筒形状を有している。係合部31の内部には、ピストン34が設けられている。係合部31の外径は、例えば、2.5mm~15mmとすることができ、コンピュール1の長手方向における寸法は例えば、10mm~50mmとすることができる。本実施形態の係合部31の内径は、例えば、1mm~13mmとすることができる。中空部31aの一端は、プランジャ18が挿入される挿入口31bを構成する。中空部31aの他端は、筒状部32の中空部32aに連続している。係合部31の外周部には、環状のフランジ35が形成されている。
【0020】
本実施形態の筒状部32は、仮想中心線ICを中心とする円筒状部材であって、内部に仮想中心線ICを中心とする中空部32aを有する。具体的には、本実施形態の筒状部32は、内部に中空部32aが形成された円筒形状の本体部32bを有する。筒状部32の外径は、例えば、2.5mm~15mmとすることができ、コンピュール1の長手方向における寸法は例えば、9mm~48mmとすることができる。本実施形態の中空部32aの一端は、係合部31の中空部31aに接続されており、例えば、1mm~13mmの内径とすることができる。本実施形態の本体部32bは、横断面の大きさが一定となるように形成されている。また本実施形態の中空部32aは、横断面の大きさが一定となるように形成されている。本実施形態の中空部32aの他端は、ノズル部33の内部に形成された粘性材料の流路に連続している。
【0021】
本明細書において中空部の仮想中心線とは、係合部からノズル方向に対して直交する中空部の断面において最大フェレ径を求め、その最大フェレ径を直径とし、中空部の断面の輪郭に接する仮想円の中心を仮想中心とし、その仮想中心を係合部隣接部からノズル隣接部まで求め、線で結んだものを意味するものである。
【0022】
本実施形態では、中空部32aの中心に位置する仮想中心線ICは、中空部31aの中心軸と同軸上にある。
【0023】
ノズル部33は、中空部32aに収容された粘性材料を排出する。具体的には、本実施形態のノズル部33は、内部に粘性材料の流路33aが形成されており、流路33aの一端が吐出口33bに接続されている。ノズル部33は、筒状部32の長手方向における寸法は例えば、1mm~40mmとすることができる。また、ノズル部33は、流路33aの延在する方向における寸法が5mm以上とすることができ、8mm以上とすることができる。流路33aの延在する方向におけるノズル部の寸法をこのような長さとすることで、例えば口腔内の最も奥の臼歯への粘性材料の充填を容易に行うことができる。
【0024】
本実施形態のノズル部33は、横断面の大きさが吐出口33bに向かって小さくなるように形成されている。なお、ノズル部33は、横断面の大きさが吐出口33bに向かって一定に形成されていてもよく、吐出口33bに向かって大きくなるように形成されていてもよい。また本実施形態の流路33aは、横断面の大きさが吐出口33bに向かって一定となるように円柱形状に形成されている。なお、流路33aは、横断面の大きさが吐出口33bに向かって小さくなるように形成してもよく、切頭円錐形状を有していてもよいさらに、流路33aは、横断面の大きさが吐出口33bに向かって大きくなるように形成されていてもよい。
【0025】
本実施形態のノズル部33は、筒状部32の中空部32aの仮想中心線ICに対して傾斜する方向に延在している。
【0026】
本実施形態の流路33aは、仮想中心線ICLを中心に形成されており、流路33aと吐出口33bとの間には、吐出口33bに向かって断面積が漸増するテーパ流路33cが形成されている。本実施形態では、流路33a及びテーパ流路33cがノズル部33に形成されており、そのため本実施形態では、本発明の吐出構造がノズル部33に構成されている。
【0027】
本実施形態のテーパ流路33cは、切頭円錐形状を有している。そのため、流路33aの仮想中心線を含む断面において、テーパ流路33cの周壁33dは、直線形状を有している。
【0028】
図5に示されるように、本実施形態の流路33aは、仮想中心線ICLを中心に形成されている。本明細書において、流路の仮想中心線は、粘性材料の移動方向に垂直な断面における流路の重心を結んだ線と定義することができる。本実施形態のノズル部33は、流路33aと吐出口33bとの間に形成されて、吐出口33bに向かって断面積が漸増するテーパ流路33cを有している。
【0029】
本実施形態のノズル部33は、吐出口33bに連続するテーパ流路の部分で吐出口33bに向かって断面積が漸増する。そのため、流路33aから吐出口33bに向かう粘性材料は、テーパ部33cにおいて内圧が減少して内在する歪みを低減させることができる。粘性材料にひずみが存在したまま吐出されると、吐出時に内圧が解放され、粘性材料の変形が生じる。ひずみを低減させることで、吐出時の粘性材料の変形を低減し、粘性材料を意図した形状で吐出することが可能となる。
【0030】
また、本実施形態のノズル部33では、吐出口33bに連続するテーパ部33cが存在する。テーパ部33cが存在することで、環状の先端面33hの面積が小さくなるために必然的に環状の先端面33hに付着する粘性材料の量が少なくり、キャップを嵌めた際にキャップ内面が汚れることを防ぐことができる。また、環状の先端面33hに付着したペーストが垂れることで望まない部位への粘性材料が付着することも抑制される。さらに、テーパ部33cの存在により、周壁33e、周壁33d、環状の先端面33hを通って排出される粘性材料が吐出口のエッジで引っかかることなく、スムーズに通過することが可能となる。そのため、粘性材料の吐出を停止した際に、プランジャ30が元の位置に復帰することでペーストが逆引きされると、粘性材料が環状の先端面33hに残存することなく、ノズル内に引き戻されるため、粘性材料の垂れを減少させることができる。また、スムーズに粘性材料がノズル内に引き戻されることにより、粘性材料の切れを良好にすることができる。
【0031】
さらに、本実施形態のノズル部33では、吐出口33bに連続するテーパ部33cの部分で吐出口33bに向かって断面積が漸増し、ノズル部の内容積が増加し、プランジャ30の後引きをしても、ノズル内のペースト容量が増加したことにより、後引きが生じても先端部から吸い込まれた空気がノズル先端にとどまることにより気泡の混入を減少させることができる。
【0032】
本実施形態のテーパ流路33cは、切頭円錐形状を有している。そのため、流路33aの仮想中心線を含む断面において、テーパ流路33cの周壁33dは、直線形状を有している。このように流路33aの仮想中心線を含む断面において、テーパ流路33cの周壁33dを直線形状とすることにより、粘性材料の切れを向上させることができる。
【0033】
本実施形態のノズル部33では、流路33aの仮想中心線ICLを含む流路33aの断面において、吐出口33b側の端部における流路33aの周壁33eの延在方向と、テーパ流路33cの周壁33dの延在方向との間の角度が5°~85°であることが好ましく、10°~60°であることがより好ましい。5°~85°とすることで、ノズル部33の外壁部33fへの粘性材料の付着を防止することが可能となる。本実施形態では、吐出口33b側の端部における流路33aの周壁33eの延在方向と、テーパ流路33cの周壁33dの延在方向との間の角度は45°である。
【0034】
本実施形態のノズル部33では、テーパ流路33cと、ノズル部33の外周壁部33gとが、環状の先端面33hにより接続されている。特に本実施形態では、環状の先端面33hが、平坦な円環形状を有しているので、粘性材料の切れを向上させることができる。
【0035】
図6は一実施形態にかかるコンピュールのキャップ36の側面図であり、
図7はキャップ36を装着した状態の一実施形態にかかるコンピュール、キャップ、ピストンの断面図である。本実施形態のコンピュール1は、保管時や使用中断時においてノズル部側からキャップ26を装着することで、ノズル部の遮光性の向上による保存安定性の向上及び粘性材料の意図しない液だれ等を防止するように構成されている。
【0036】
上記実施形態のコンピュールは、ノズル部、筒状部及び係合部が樹脂材料により一体的に成形されている。そのため製造時にノズルの圧入作業が不要となるため、製造を容易にすることができる。また、ノズル部、筒状部及び係合部を樹脂材料のみから構成されているため、廃棄時に金属の分別が不要となり、廃棄を容易に行うことができる。
【0037】
上記実施形態のコンピュールは、ノズル部、筒状部及び係合部が一体的に成形されているが、ノズル部、筒状部及び係合部は
図8~11に示す他の実施形態にかかるコンピュールのように別部材として個別に成形することができる。
【0038】
図12に示すように、本実施形態のピストン34は、略円柱形状を有している。
【0039】
上記実施形態における粘性材料としては、歯科材料、医薬品、医療材料、化粧品、食品等を用いることができる。
【0040】
上記実施形態では、コンピュールは対称形状を有しているが、コンピュールは非対称形状とすることができる。
【0041】
上記実施形態のコンピュールは、ノズル部の延在方向が、筒状部の延在方向から屈曲するように構成されているが、ノズル部と筒状部とを直線的に構成することができる。
【0042】
上記実施形態のコンピュールは、ノズル部の流路が直線的に形成されているが、ノズル部の流路は湾曲形状に形成することができる。
【0043】
上記実施形態のコンピュールでは、ノズル部の横断面の大きさが吐出口に向かって一定となるように形成されているが、ノズル部の横断面の大きさは吐出口に向かって小さくなるように形成することができる。
【0044】
上記実施形態のコンピュールでは、横断面の大きさが吐出口に向かって一定になるように流路が形成されているが、流路の横断面の大きさは吐出口に向かって小さくなるように形成することができる。
【0045】
図14は本発明の一実施形態にかかる吐出構造を有するノズル交換式の注入器101の構成を示す概略図である。本実施形態では、この注入器101は、シリンジ102と、シリンジ102の先端部121に着脱自在に螺着されるシリンジチップ103とを備えている。本実施形態のシリンジチップ103は、シリンジ102の先端から所定方向に回転操作することによってシリンジ102の先端部に取付け固定される。
【0046】
図15はシリンジ102の正面図であり、
図16はシリンジ102の平面図であり、
図17はシリンジ102の
図15におけるI-I線断面図である。シリンジ102は、バレルと称されることもある。シリンジ102は、中心軸C1を中心とする円筒状部材であって、例えば樹脂材料又はガラス材料から作製されている。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリアミド、塩化ビニル樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、ポリウレタン、飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブタジエン、ポリスチレン、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合)樹脂、スチロール樹脂、ポリメチルペンテン、メタクリルスチレン、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン)樹脂、ポリカーボネート等を使用することができる。本実施形態では、シリンジ102は、ポリプロピレンから構成されている。
【0047】
本実施形態のシリンジ102は、押し棒104を備えている。押し棒104は、プランジャと称されることもある。本実施形態のシリンジ102は、一端に吐出口121aを有する先端部121と、一端に後述する押し棒104が挿入される挿入口122aを有する後端部122と、先端部121と後端部122との間に位置する本体部123とを備えている。シリンジ102の外径は、例えば、3mm~15mmとすることができる。
【0048】
本実施形態の先端部121は、吐出口121aに向かって横断面の大きさが小さくなる先細り筒状に形成されている。先端部121のシリンジ長手方向における寸法は例えば、1mm~20mmとすることができる。本実施形態の本体部123は、横断面の大きさが一定となるように円筒形状に形成されている。本体部123のシリンジ長手方向における寸法は例えば、30mm~150mmとすることができる。本実施形態の後端部122は、フィンガーグリップ105を取り付けるフィンガーグリップ取付部122bが形成されている。後端部122のシリンジ長手方向における寸法は例えば、1mm~20mmとすることができる。
【0049】
本実施形態のフィンガーグリップ取付部122bは、シリンジ102の円周面の全周にわたって形成された一対のフランジ部122c及び122dと、一対のフランジ部122c及び122dの間に形成された8つの凹部122eとから構成されている。一対のフランジ部122c及び122dは、シリンジ102の長手方向に沿ったフィンガーグリップ105の移動を規制する。本実施形態では、フランジ部122dは、フランジ部122cよりも大きく形成されている。また本実施形態では、フランジ部122dは、後端部122の後端に形成されている。8つの凹部122eには、フィンガーグリップ105の中空部(図示せず)に設けられた8つの凸部(図示せず)が嵌着する。この嵌着により、フィンガーグリップ105は、シリンジ102の周方向の回転が規制される。
【0050】
シリンジ102の内部には、中心軸C1を中心に、長手方向の全体にわたって、内部に粘性材料を収納する中空部124が形成されている。先端部121において中空部124は、吐出口121aに向かって横断面の大きさが小さくなる先細り形状に形成されている。具体的には、先端部121において中空部124は、第1のテーパ部124aと、第1の円柱部124bと、第2のテーパ部124cと、第2の円柱部124dとから構成されている。第1のテーパ部124aは、一端が本体部123に連続しており、横断面の大きさが、吐出口121aに向かって、本体部123における横断面の大きさから小さくなるように構成されている。第1の円柱部124bは、一端が第1のテーパ部124aに連続し、横断面の大きさが一定となるように、例えば、0.1mm~13mmの内径となるように構成されている。第2のテーパ部124cは、一端が円柱部124bに連続し、横断面の大きさが、吐出口121aに向かって、円柱部124bにおける横断面の大きさから小さくなるように構成されている。第2の円柱部124dは、一端が第2のテーパ部124cに連続し他端が吐出口121aに連通し、横断面の大きさが一定となるように、例えば、0.1mm~10mmの内径となるように構成されている。
【0051】
本体部123において中空部124は、横断面の大きさが一定の円筒状に例えば、0.1mm~13mmの内径となるように形成されている。後端部122において中空部121は、横断面の大きさが一定となるように例えば、0.1mm~15mmの内径となるように円筒状に形成されている。特に本実施形態では、後端部122において中空部121は、押し棒104の挿入を容易にするために、挿入口122aに連続する部分に、挿入口122aに向かって横断面の大きさが僅かに大きくなる第3のテーパ部124eが形成されている。
【0052】
本実施形態のシリンジ102では、先端部121の外周側にシリンジチップ装着部125が形成されている。本実施形態では、シリンジチップ装着部125は、中心軸C1を中心に環状に設けられている。本実施形態では、シリンジチップ装着部125は、シリンジ102と一体的に形成されている。
【0053】
本実施形態のシリンジチップ装着部125は、本体部123と同一の外径寸法を有しており、シリンジチップ装着部125の外周面125aは、本体部123の外周面123aと実質的に面一となるように構成されている。本実施形態のシリンジチップ装着部125は、シリンジチップ装着部125の内周面125bと先端部121の外周面121bとの間に隙間が形成されるように設けられている。本実施形態のシリンジチップ装着部125の内周面125bには雌ネジが設けられている。本実施形態のシリンジチップ装着部125は、内周面125bが長手方向先端側に至るにしたがって僅かに小径となるように形成されている。先端部121は、シリンジチップ装着部125よりも長手方向先端側に向けて延設されている。
【0054】
本実施形態のシリンジ102の先端部121は、後述するシリンジチップ103内においてシリンジチップ103の筒状部に当接可能な形状を有している。具体的には、本実施形態のシリンジ102の先端部121の長手方向先端側の端面121cは、シリンジチップ103の筒状部の長手方向後端側の端面と当接可能に形成されている。
【0055】
図18は本実施形態の押し棒104の正面図であり、
図19は本実施形態の押し棒104の平面図であり、
図20は押し棒104の
図18におけるIII-III線断面図である。
【0056】
押し棒104は、シリンジ102内に収容された粘性材料をシリンジ102の先端部121(すなわち吐出口121a)に向かって押し進めるための部材であって、例えば樹脂材料から作製されている。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリアミド、塩化ビニル樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、ポリウレタン、飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブタジエン、ポリスチレン、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合)樹脂、スチロール樹脂、ポリメチルペンテン、メタクリルスチレン、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン)樹脂、ポリカーボネート等を使用することができる。本実施形態では、押し棒104は、低密度ポリエチレンから構成されている。
【0057】
本実施形態の押し棒104は、中空円筒状の本体部141と、本体部の一端に形成されたシール部142と、本体部の他端に形成された指掛け部143とを有している。
【0058】
本体部141は、シリンジ102の内径に比べて小さい外径を有している。そのため、押し棒104がシリンジ102内に収容した状態では、本体部141とシリンジ102との間に隙間が生じる。
【0059】
シール部142は、円盤状であって、シリンジ102の内周面に対して外周端が摺動可能に且つ流体密に密接する。なお、シール部142と本体部141は、一部品として一体化されているが、シール部142と本体部141は別部品であってもよい。
【0060】
また、シール部142は、シリンジ102の内周面に対して外周端が流体密に密接するために、シリンジ102の内径に比べて大きい外径を備える。なお、シール部142の外径は、本体部141の外径に比べて大きい。
【0061】
図21は、一実施形態のシリンジチップの正面図であり、
図22は一実施形態のシリンジチップの平面図であり、
図23は
図21のII-II線断面図であり、
図24は一実施形態のシリンジチップの吐出口部分の拡大断面図であり、
図25は一実施形態のシリンジチップの吐出口部分の模式図であり、
図26はシリンジチップをシリンジの先端に装着した状態におけるシリンジチップ及びシリンジの断面図である。
【0062】
本実施形態のシリンジチップ103は、粘性材料を収容するシリンジ102の先端に装着されて粘性材料を吐出する。シリンジチップ103は、シリンジ102に係合するシリンジ係合部131と、仮想中心線ICを中心とする中空部132aを有し、かつ、シリンジチップ103をシリンジ102に係合する際に使用者により保持される筒状部132と、シリンジ102に収容された粘性材料を吐出するノズル部133と、を有する。
【0063】
本実施形態のシリンジ係合部131は、中心軸C2を中心とする円筒状部材であって、内部にシリンジ102の先端部が挿入されるシリンジ挿入部131aを有する。シリンジ係合部131の外径は、例えば、0.1mm~13mmとすることができ、シリンジチップ103の長手方向における寸法は例えば、7mm~50mmとすることができる。本実施形態では、シリンジ挿入部131aは、中心軸C2を中心に環状に設けられており、例えば、0.1mm~12mmの内径とすることができる。シリンジ挿入部131aの一端は、シリンジ102が挿入される挿入口131bを構成する。シリンジ挿入部131aの他端は、筒状部132の中空部132aに連続している。
【0064】
特に本実施形態のシリンジ挿入部131aは、筒状部132に向かって横断面の大きさが小さくなる先細り形状に形成されている。本実施形態のシリンジ挿入部131aでは、シリンジ102の挿入を容易にするために、挿入口131bに連続する部分に、挿入口131bに向かって横断面の大きさが僅かに大きくなるテーパ部131cが形成されている。
【0065】
本実施形態のシリンジ係合部131の外周部の挿入口131b側の端には、シリンジチップ装着部125の雌ネジに螺合する係合片131dが径方向外方に向けて突設されている。本実施形態では、係合片131dは直径方向に対向して一対(2つ)設けられ、各係合片131dは周方向に平坦な突片により構成されている。なお、係合片131dは3つ以上設けられていてもよく、また、複数の係合片131dを、中心軸C2に沿った位置をずらして設けることも可能である。また各係合片131dは、多少螺旋状に傾斜して形成されていてもよい。
【0066】
シリンジ係合部131は、例えば樹脂材料によって形成することができる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリアミド、塩化ビニル樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、ポリウレタン、飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブタジエン、ポリスチレン、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合)樹脂、スチロール樹脂、ポリメチルペンテン、メタクリルスチレン、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン)樹脂、ポリカーボネート等を使用することができる。本実施形態では、シリンジ係合部131は、ポリプロピレンから構成されている。シリンジ係合部131の材料は、シリンジ102の材料と同じでもよく、異なっていてもよい。
【0067】
本実施形態の筒状部132は、仮想中心線ICを中心とする円筒状部材であって、内部に仮想中心線ICを中心とする中空部132aを有する。具体的には、本実施形態の筒状部132は、内部に中空部132aが形成された円筒形状の本体部132bを有する。筒状部132の外径は、例えば、0.1mm~13mmとすることができ、シリンジチップ103の長手方向における寸法は例えば、0.5mm~5mmとすることができる。本実施形態の中空部132aの一端は、シリンジ係合部131のシリンジ挿入部131aに接続されており、例えば、0.1mm~12mmの内径とすることができる。本実施形態の中空部132aの他端は、ノズル部133の内部に形成された粘性材料の流路に連続している。本実施形態の本体部132bは、横断面の大きさが一定となるように形成されている。また本実施形態の中空部132aは、横断面の大きさが一定となるように形成されている。
【0068】
筒状部132は、例えば樹脂材料によって形成することができる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリアミド、塩化ビニル樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、ポリウレタン、飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブタジエン、ポリスチレン、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合)樹脂、スチロール樹脂、ポリメチルペンテン、メタクリルスチレン、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン)樹脂、ポリカーボネート等を使用することができる。本実施形態では、シリンジ係合部131は、ポリプロピレンから構成されている。筒状部132の材料は、シリンジ102及びシリンジ係合部131の材料と同じでもよく、異なっていてもよい。
【0069】
本実施形態では、中空部132aの中心に位置する仮想中心線ICは、シリンジ102の中心軸C1、及び、シリンジ挿入部131aの中心軸C2と同軸上にある。
【0070】
本実施形態の筒状部132は、本体部132bとシリンジ係合部131とを接続する接続部132cを有している。本実施形態の接続部132cは、切頭円錐形状を有するように構成されている。
【0071】
本実施形態の接続部132cの内部には、中空部132aとシリンジ係合部131のシリンジ挿入部131aとを接続する接続用中空部132dが形成されている。本実施形態の接続用中空部132dは、仮想中心線ICを中心とする径方向寸法(以下単に径方向寸法ともいう)が、中空部132aの径方向寸法よりも大きく、かつ、シリンジ挿入部131aの径方向寸法よりも小さく構成されている。本実施形態の接続用中空部132dは、中空部132a側の端に、シリンジ102の先端部121の長手方向先端側の端面121cが当接する円環状の当接面132eを有している。
【0072】
本実施形態の筒状部132は、本体部132bの外壁部一対の羽根部134が設けられている。羽根部134の径方向寸法は、例えば8mm~12mmとすることができ、シリンジチップ103の長手方向における寸法は例えば、0.5mm~5mmとすることができる。本実施形態の一対の羽根部134は、仮想中心線ICを中心とする径方向に対向して設けられている。本実施形態の一対の羽根部134は、シリンジ係合部131側の端から形成されている。言い換えれば本実施形態の一対の羽根部134は、本体部132bと接続部132cとに跨がって形成されている。特に本実施形態の一対の羽根部134は、一対の羽根部134の径方向外端と、シリンジ係合部131の径方向外端とが面一となるように形成されている。また本実施形態の一対の羽根部134は、ノズル部133側に、ノズル部133に向かって径方向寸法が小さくなる縮径部134aを有するように構成されている。
【0073】
上記実施形態では、筒状部132は、中空部132aが形成された本体部132bと、本体部132bの外壁部に設けられた一対の羽根部134とを有している。
【0074】
ノズル部133は、シリンジ102に収容された粘性材料を排出する。具体的には、本実施形態のノズル部133は、内部に粘性材料の流路133aが形成されており、流路133aの一端が吐出口133bに接続されている。ノズル部133は、シリンジチップ103の長手方向における寸法は例えば、1mm~40mmとすることができる。また、ノズル部133は、流路133aの延在する方向における寸法が5mm以上とすることができ、8mm以上とすることができる。流路133aの延在する方向におけるノズル部の寸法をこのような長さとすることで、例えば口腔内の最も奥の臼歯への粘性材料の充を容易に行うことができる。
【0075】
本実施形態のノズル部133は、横断面の大きさが吐出口133bに向かって小さくなるように形成されている。なお、ノズル部133は、横断面の大きさが吐出口133bに向かって一定に形成されていてもよく、吐出口133bに向かって大きくなるように形成されていてもよい。また本実施形態の流路133aは、横断面の大きさが吐出口133bに向かって小さくなるように形成されている。特に本実施形態の流路133aは、切頭円錐形状を有している。なお、流路133aは、横断面の大きさが吐出口133bに向かって一定に形成されていてもよく、吐出口133bに向かって大きくなるように形成されていてもよい。流路133aは、円柱形状とすることができる。
【0076】
ノズル部133は、例えば樹脂材料又は金属材料から作製されている。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリアミド、塩化ビニル樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、ポリウレタン、飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブタジエン、ポリスチレン、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合)樹脂、スチロール樹脂、ポリメチルペンテン、メタクリルスチレン、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン)樹脂、ポリカーボネート等を使用することができる。本実施形態では、ノズル部133は、ポリプロピレンから構成されている。
【0077】
本実施形態のシリンジチップは、ノズル部、筒状部及びシリンジ係合部が一体的に形成されている。
【0078】
本実施形態のノズル部133は、筒状部132の中空部132aの仮想中心線ICに対して傾斜する方向に延在している。また、ノズル部133は、ノズル部133の延在方向が一対の羽根部と平行となるように設けられている。
【0079】
図24に明確に示されるように、本実施形態の流路133aは、仮想中心線ICLを中心に形成されている。本明細書において、流路の仮想中心線は、粘性材料の移動方向に垂直な断面における流路の重心を結んだ線と定義することができる。本実施形態のノズル部133は、流路133aと吐出口133bとの間に形成されて、吐出口133bに向かって断面積が漸増するテーパ流路133cを有している。本実施形態では、流路133a及びテーパ流路133cがノズル部133に形成されており、そのため本実施形態では、本発明の吐出構造がノズル部133に構成されている。
【0080】
本実施形態のノズル部133は、本発明の吐出構造を備えているため、吐出口133bに連続するテーパ流路の部分で吐出口133bに向かって断面積が漸増する。そのため、流路133aから吐出口133bに向かう粘性材料は、テーパ部133cにおいて内圧が減少して内在する歪みを低減させることができる。粘性材料にひずみが存在したまま吐出されると、吐出時に内圧が解放され、粘性材料の変形が生じる。ひずみを低減させることで、吐出時の粘性材料の変形を低減し、粘性材料を意図した形状で吐出することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態のノズル部133では、吐出口133bに連続するテーパ部133cが存在する。テーパ部133cが存在することで、環状の先端面133hの面積が小さくなるために必然的に環状の先端面133hに付着する粘性材料の量が少なくり、キャップを嵌めた際にキャップ内面が汚れることを防ぐことができる。また、環状の先端面133hに付着したペーストが垂れることで望まない部位への粘性材料が付着することも抑制される。さらに、テーパ部133cの存在により、周壁133e、周壁133d、環状の先端面133hを通って排出される粘性材料が吐出口のエッジで引っかかることなく、スムーズに通過することが可能となる。そのため、粘性材料の吐出を停止した際に、変形した押し棒が元の形状へ回復することでペーストが逆引きされると、粘性材料が環状の先端面133hに残存することなく、ノズル内に引き戻されるため、粘性材料の垂れを減少させることができる。また、スムーズに粘性材料がノズル内に引き戻されることにより、粘性材料の切れを良好にすることができる。
【0082】
さらに、本実施形態のノズル部133では、吐出口133bに連続するテーパ部133cの部分で吐出口133bに向かって断面積が漸増し、ノズル部の内容積が増加し、押し棒104の後引きをしても、ノズル内のペースト容量が増加したことにより、後引きが生じても先端部から吸い込まれた空気がノズル先端にとどまることにより気泡の混入を減少させることができる。
【0083】
本実施形態のテーパ流路133cは、切頭円錐形状を有している。そのため、流路133aの仮想中心線を含む断面において、テーパ流路133cの周壁133dは、直線形状を有している。このように流路133aの仮想中心線を含む断面において、テーパ流路133cの周壁133dを直線形状とすることにより、粘性材料の切れを向上させることができる。
【0084】
本実施形態のノズル部133では、流路133aの仮想中心線ICLを含む流路133aの断面において、吐出口133b側の端部における流路133aの周壁133eの延在方向と、テーパ流路133cの周壁133dの延在方向との間の角度が5°~85°であることが好ましく、10°~60°であることがより好ましい。5°~85°とすることで、ノズル部133の外壁部133fへの粘性材料の付着を防止することが可能となる。本実施形態では、吐出口133b側の端部における流路133aの周壁133eの延在方向と、テーパ流路133cの周壁133dの延在方向との間の角度は45°である。
【0085】
本実施形態のノズル部133では、テーパ流路133cと、ノズル部133の外周壁部133gとが、環状の先端面133hにより接続されている。特に本実施形態では、環状の先端面133hが、平坦な円環形状を有しているので、粘性材料の切れを向上させることができる。
【0086】
本実施形態では、シリンジチップの長手方向から見たときに、一対の羽根部が延在する面とノズル部が延在する面とのなす角が45°以下とすることができる。
【0087】
上記実施形態では、シリンジの先端部は、シリンジチップ内においてシリンジチップに当接可能に構成されている。そのため粘性材料がシリンジからシリンジチップに移動する際に気泡が混入することを抑制することができ、またシリンジチップ内に残存する粘性材料の量を少なくすることができ、シリンジチップの交換時に、シリンジから粘性材料が垂れることを抑制することができる。
【0088】
上記実施形態のシリンジチップは、ノズル部、筒状部及びシリンジ係合部が樹脂材料により一体的に成形されている。そのため製造時にノズルの圧入作業が不要となるため、製造を容易にすることができる。また、ノズル部、筒状部及びシリンジ係合部を樹脂材料のみから構成されているため、廃棄時に金属の分別が不要となり、廃棄を容易に行うことができる。
【0089】
上記実施形態では、粘性材料として歯科材料を用いているが、粘性材料としては、医薬品、医療材料、化粧品、食品等を用いることができる。
【0090】
上記実施形態では、筒状部が、中空部が形成された本体部と、本体部の外壁部に設けられた一対の羽根部とを有する場合について説明したが、シリンジチップは羽根部を有していなくともよい。また上記実施形態では、羽根部が2枚の場合について説明したが、羽根部は2枚に限定されず、1枚でもよく、3枚以上とすることができる。
【0091】
上記実施形態では、シリンジチップは対称形状を有しているが、シリンジチップは非対称形状とすることができる。
【0092】
上記実施形態のシリンジチップは、ノズル部の延在方向が、筒状部の延在方向から屈曲するように構成されているが、ノズル部と筒状部とを直線的に構成することができる。
【0093】
上記実施形態のシリンジチップは、ノズル部の流路が直線的に形成されているが、ノズル部の流路は湾曲形状に形成することができる。
【0094】
上記実施形態のシリンジチップは、ノズル部、筒状部及びシリンジ係合部が一体的に成形されているが、ノズル部、筒状部及びシリンジ係合部は別部材として個別に成形することができる。
【0095】
上記実施形態のシリンジチップでは、横断面の大きさが吐出口133bに向かって小さくなるようにノズル部133が形成されているが、ノズル部133の横断面の大きさは一定とすることができる。
【0096】
上記実施形態のシリンジチップでは、横断面の大きさが吐出口133bに向かって小さくなるように流路133aが形成されているが、流路133aの横断面の大きさは一定とすることができる。
【0097】
上記実施形態では、シリンジチップとシリンジとを、内ネジ式で螺着しているが、シリンジチップとシリンジとは、いわゆる外ネジ式で螺着することができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明によれば、外壁部への粘性材料の付着量を減らし、好ましくは外壁部への粘性材料の付着を防止することで、所望の位置に所望の量の粘性材料を塗布して粘性材料の使用効率を高めることができるコンピュール及びシリンジチップを提供することができる。
【符号の説明】
【0099】
IC 仮想中心線
1 コンピュール
10 エジェクタホルダ
18 プランジャ
20 延長部
22 把手部材
24 作動レバー
30 ボタン
31 係合部
31a 中空部
31b 挿入口
32 筒状部
32a 中空部
32b 本体部
33 ノズル部
33a 流路
33b 吐出口
33c テーパ流路
33d 周壁
33g 外周壁部
33h 先端面
34 ピストン
35 フランジ
101 注入器
102 シリンジ
121 先端部
121a 吐出口
121b 外周面
121c 端面
122 後端部
122a 挿入口
122b フィンガーグリップ取付部
122c フランジ部
122d フランジ部
122e 凹部
123 本体部
123a 外周面
124 中空部
124a 第1のテーパ部
124b 第1の円柱部
124c 第2のテーパ部
124d 第2の円柱部
124e 第3のテーパ部
125 シリンジチップ装着部
125a 内周面
125b 外周面
103 シリンジチップ
131 シリンジ係合部
131a シリンジ挿入部
131b 挿入口
131c テーパ部
131d 係合片
132 筒状部
132a 中空部
132b 本体部
132c 接続部
132d 接続用中空部
132e 当接面
133 ノズル部
133a 流路
133b 吐出口
133c テーパ流路
133d 周壁
133e 周壁
133f 外壁部
133g 外周壁部
133h 先端面
134 羽根部
134a 縮径部
104 押し棒
141 本体部
142 シール部
143 指掛け部
105 フィンガーグリップ
C1 中心軸
C2 中心軸
IC 仮想中心線