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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047348
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】油性固形クレンジング料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/39 20060101AFI20240329BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240329BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240329BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A61K8/39
A61K8/37
A61K8/92
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152916
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】390028897
【氏名又は名称】阪本薬品工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山田 武
(72)【発明者】
【氏名】梶 あおい
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083BB12
4C083BB13
4C083CC23
4C083DD21
4C083DD30
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】
固化表面が滑らかであり、使用時にたれ落ちることがなく、やわらかでメイクとのなじみが良く、メイク落ちとすすぎ時の水洗性とさっぱり感に優れ、高温での保存安定性に優れた油性固形クレンジング料を提供すること。
【解決手段】
(A)HLB値が13以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル、(B)HLB値が8~11であるポリグリセリン脂肪酸エステル(C)25℃で液状の油剤、(D)固形油を用いた油性固形クレンジング料が、上記課題を解決する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(D)
(A)HLB13以上のポリグリセリン脂肪酸エステル
(B)HLB8~11のポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)25℃で液状の油剤
(D)固形油
を含有し、成分(A)と成分(B)の合計が9~20重量%であり、成分(A)と成分(B)の合計に対する成分(A)の割合が20~80%である油性固形クレンジング料。
【請求項2】
(D)固形油の配合量が1~30重量%であることを特徴とする請求項1に記載の油性固形クレンジング料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形の油性クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化粧持ちや耐水性に優れた口紅、ファンデーション、アイシャドウ、マスカラ等のメイクアップ化粧料が上市されている。そのため、メイクアップ化粧料を落とすためのクレンジングには、メイク除去能力に優れた油性クレンジング料が用いられる。油性クレンジング料の具体例としては、液状のクレンジングオイル、ゲル状クレンジング、クレンジングクリームなどがある。そのうち固形油性クレンジング料は、固形油を配合することで固形状としたもので、使用時に肌上でマッサージしオイルゲル構造を崩壊させ液状とすることでメイクとなじませるものである。油性固形クレンジング料は、高温での軟化や液状化を防止するために、高融点の固形油を用いるとオイルゲル構造体が強固になり、使用時に構造が崩壊せずツブが残り、メイクとのなじみが悪くなりやすい。また、高融点の固形油の配合により水洗性が悪くなるなど保存安定性と使用性の両立が課題である。
【0003】
これまでの油性固形クレンジング料の例として、特許文献1、特許文献2には、クレンジング後の水洗工程で洗い流しやすく、さっぱり感を得ることができるアニオン性界面活性剤を配合した油性固形クレンジング料が開発されている。しかし、アニオン性界面活性剤は界面活性剤の中でも、眼刺激が生じやすく眼の周りをクレンジングする際の安全面には配慮されたものではなかった。そのほか、特許文献3、特許文献4では、煙霧状シリカを配合した油性固形クレンジング料が開発され、洗い流しやすさ、さっぱり感が向上するもののシリカなどの硬質粒子は眼に入った場合粘膜を刺激し炎症を起こすことが知られており、安全面から改良が望まれていた。
【0004】
そして、非イオン性界面活性剤を配合した技術として、特許文献5に高融点の固形油、液状油及び非イオン性界面活性剤を配合した油性固形クレンジング化粧料が開示されている。この技術では、使用時にたれ落ちることがなく、滑らかでソフトな使用感を有し、汚れとのなじみ易さと洗い流し後のさっぱり感に優れていることが記載されている。また、特許文献6には、高融点の炭化水素油、エステル油を必須成分として含む液状油、及びHLB値が5~13のノニオン性界面活性剤を含有する固形状油性クレンジング化粧料は、メイクとのなじみがよく、クレンジング効果に優れ、洗浄後のさっぱり感などの使用感にも優れていることが開示されている。さらに特許文献7には、融点の高いポリエチレンワックスを固形油分として含み、特定の油とノニオン界面活性剤を含有する油性固形化粧料が開示されており、使用性においてぬるつきが無く保存安定性にも優れていることが開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献5~7の油性固形クレンジング料は、高融点の固形油を含むため水洗性が悪くなりやすく、水洗後の肌に油性感が生じ、さっぱり感においては未だ満足できるものではなく、クレンジング性(メイクの落としやすさ)についてもさらなる向上が望まれている。さらに、油性固形クレンジング化粧料は、使用性だけでなく成型時に表面にざらつきがなくツヤがあることも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-088585号公報
【特許文献2】特開2017-160176号公報
【特許文献3】特開2020-026419号公報
【特許文献4】特開2020-026420号公報
【特許文献5】特開2001-213726号公報
【特許文献6】特開2012-206974号公報
【特許文献7】特開2021-046387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
固化表面が滑らかであり、使用時にたれ落ちることがなく、やわらかでメイクとのなじみが良く、メイク落ちとすすぎ時の水洗性とさっぱり感に優れ、高温での保存安定性に優れた油性固形クレンジング料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、(A)HLB値が13以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル、(B)HLB値が8~11であるポリグリセリン脂肪酸エステル(C)25℃で液状の油剤、(D)固形油を用いた油性固形クレンジング料が、上記課題を解決するものであることを見出した。
【発明の効果】
【0009】
本発明の油性固形クレンジング料は、使用時にたれ落ちることがなく、固化表面が滑らかで、使用時にやわらかでメイクとのなじみが良く、メイク落ちとすすぎ時の水洗性とさっぱり感に優れ、保存安定性に優れる。さらに、アニオン性界面活性剤や煙霧状シリカを配合しない場合でもメイク落ち、水洗性に優れるため、高融点の石油系ワックスや石油系活性剤を用いない処方も可能になり、サステナブル原料のみからなる処方の要望を満たすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明の範囲は、この実施形態に限定するものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で変更等が加えられた形態も本発明に属する。なお、範囲を表す表記の「~」は、上限と下限を含むものである。含有量を示す単位は、特に明記しない限りすべて重量%である。
【0011】
本発明に記載のHLBとは親水性と親油性のバランスを0~20までの値で示す指標であり、0に近づくほど親油性が高く、20に近づくほど親水性が高いことを示している。HLB値の算出法としては種々の計算法が知られている他、製造元から提供されるカタログなどにその値が記載されている。本明細書においては、HLBはアトラス法を用い、エステルのけん化価および脂肪酸の中和価から算出したものであり、以下の式(1)により算出する。また、式(1)中のけん化価および中和価は社団法人日本油化学会編纂「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法、2003年度版」に準じて測定する。
HLB=20×(1-けん化価/中和価) ・・・(1)
【0012】
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)である。詳しくは、下記式(2)及び下記式(3)から算出される。
分子量=74n+18 ・・・(2)
水酸基価=56110(n+2)/分子量・・・(3)
【0013】
上記式(3)中の水酸基価とは、ポリグリセリンに含まれる水酸基数の大小の指標となる数値であり、1gのポリグリセリンに含まれる遊離ヒドロキシル基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編纂「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法、2003年度版」に準じて算出される。
【0014】
成分(A)のポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は13以上であることを特徴とする。そして構成するポリグリセリンの平均重合度は2~20であることが好ましく、4~16であることがより好ましく、6~10であることが最も好ましい。構成する脂肪酸は、炭素数12~22の脂肪酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。特にすすぎ時の水洗性の面から炭素数12~18の飽和脂肪酸のラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましい。
【0015】
成分(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルとして具体的には、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル、パルミチン酸デカグリセリル、ステアリン酸デカグリセリル、オレイン酸デカグリセリル、イソステアリン酸デカグリセリル、ベヘン酸デカグリセリル等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用する。商品名としては、ML-750、M-1001、S-1001P、MO-7S、IS-1001P(いずれも阪本薬品工業株式会社製)等が挙げられる。
【0016】
成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は8~11であることを特徴とする。ポリグリセリンの平均重合度が2~20であることが好ましく、3~10であることがより好ましく、4~6であることが最も好ましい。構成する脂肪酸は、炭素数12~22の脂肪酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。メイクとのなじみの面から炭素数12~18の脂肪酸のラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸が好ましい。
【0017】
成分(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルとして具体的には、ラウリン酸ジグリセリル、ラウリン酸トリグリセリル、ラウリン酸テトラグリセリル、ミリスチン酸トリグリセリル、ステアリン酸トリグリセリル、イソステアリン酸トリグリセリル、オレイン酸トリグリセリル、オレイン酸テトラグリセリル、オレイン酸ヘキサグリセリル等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用する。商品名としては、ML-310、IS-401P、IS-601P、O-401P、MO-5S(いずれも阪本薬品工業株式会社製)等が挙げられる。
【0018】
成分(A)と成分(B)の合計の配合量は油性固形クレンジング料に対して9~20%であり、成分(A)と成分(B)の合計量に対して成分(A)の割合が20~80%の範囲とすることで、使用時にたれ落ちることがなく、固化表面が滑らかで、使用時にやわらかでメイクとのなじみが良く、メイク落ちとすすぎ時の水洗性とさっぱり感に優れ、保存安定性に優れた油性固形クレンジング料を得ることができる。
【0019】
成分(C)に使用される25℃で液状である油剤は特に制限されない。例えば、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、テトラオクタン酸ペンタエリスリル、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸2-ヘキシルデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸2-オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸デシル、オレイン酸ドデシル、オレイン酸オレイル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ラウリン酸へキシル、トリエチルヘキサノイン、トリオレイン、トリイソステアリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、、トリカプリル酸グリセリル、トリリノール酸グリセリル、トリパルミトレイン酸グリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2等のエステル油、またこれらはアマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボガド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、キョウニン油、シナモン油、ホホバ油、ブドウ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、卵黄油、牛脚脂、肝油等の動植物由来のエステル油であっても良い;α-オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状シリコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン等のシリコーン;オレイン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸;ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ホホバアルコール等の高級アルコールなどが挙げられる。
【0020】
成分(C)液状油は、油性固形クレンジング料に対し、50~80%配合されることが好ましく、60~80%であることがより好ましい。
【0021】
本発明における成分(D)固形油は常温で融点が40℃以上のものを指すものであり、具体的には、石油系のワックスであれば、ポリエチレンワックス(融点:90~120℃)、パラフィンワックス(融点:50~70℃)、マイクロクリスタリンワックス(融点:54~102℃)、フィッシャートロプシュワックス(融点:108~120℃)、セレシン(融点:61~95℃)、オケゾライト(融点:61~90℃)等の炭化水素系ワックスが挙げられる。天然ワックスであれば、ロウ類としては、カルナウバロウ(融点:80~86℃)、ミツロウ(融点:64℃)、キャンデリラロウ(融点:68~72℃)、コメヌカロウ(融点70~83℃)、ホホバロウ(融点:55℃)。そのほかに、天然由来原料を構成成分とする水添ホホバ油(融点:68℃)、硬化ヒマシ油(融点:84℃)、水添パーム油(融点:65℃)、硬化ヤシ油(融点:70℃)、トリステアリン、トリベヘニン、ペンタ(ベヘン酸/エイコ酸二酸)ポリグリセリル-10(融点:69℃)などが挙げられる。これらは、いずれかを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。保形性及び保存安定性の観点から、成分(D)の融点が40~110℃であることが好ましく、メイクとのなじみの使用性の面から60~80℃であることがより好ましい。また、本発明では石油系ワックスを含まないことがより好ましい。
【0022】
成分(D)は、単一の化合物を選択して使用してもよいし、また、二種以上の化合物を適宜組み合わせて用いることもできる。成分(D)の配合量は、油性固形クレンジング料に対し、1~30重量%配合されることが好ましく、3~20重量%であることがより好ましい。
【0023】
本発明の油性固形クレンジング料は、効果を妨げない範囲で、通常化粧料に含有される成分として、油性成分、アルコール類、水溶性高分子、保湿剤、水等の水性成分、粉体、界面活性剤、美容成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、香料等を含有することができる。
【0024】
成分(C)、成分(D)以外の油性成分としては、例えばシア脂(融点:36~45℃)、マカデミアナッツ油ポリグリセリル-6エステルズベヘネート(融点:26~30℃)、(イソステアリン酸/ベヘン酸)(グリセリル/ポリグリセリル-6)エステルズ(融点:36~40℃)等の半固形油が挙げられる。
【0025】
水性成分としては、水以外にも水に可溶な通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、エチルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、デキストリン、グルコース、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、オリゴ糖、セルロース等の糖類が挙げられる。水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のもの、他にタンパク質、ムコ多糖類、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができる。
【0026】
粉体としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、酸化チタン、黒色酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、合成金雲母、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス等の無機粉体類や、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸アルキル、オルガノポリシロキサンエラストマー、ポリメチルセスキオキサン、架橋型シリコーン・網状シリコーンブロック共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン-メタクリル酸共重合体、ポリエチレン、ウレタン、ウール、シルク、結晶セルロース、N-アシルリジン等の有機粉体類や、有機タール系顔料、有機色素等のレーキ顔料等の色素粉体類や、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有無水ケイ酸、酸化亜鉛含有無水ケイ酸、酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン被覆合成金雲母、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン等の複合粉体類や、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末などの積層フィルム末類等が挙げられる。また、これらの粉体をフッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、アミノ酸、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種または2種以上を用いて表面処理を施してあってもよい。
【0027】
界面活性剤としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、グリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、レシチン等を挙げることができ、これらを1種または2種以上用いることができる。
【0028】
酸化防止剤としては、例えば、α-トコフェロール、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、ペンタンジオール等、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4-tert-ブチル-4’-メトキシベンゾイルメタン、トリアジン系、オキシベンゾン等を挙げることができ、これらを1種または2種以上用いることができる。
【0029】
本発明の油性固形化粧料の調製方法は、特に限定されない。
以下、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例0030】
<実施例1~6、比較例1~5>
表1に示す組成の油性固形クレンジング料を以下の製造方法により調製した。
【0031】
(製造方法)
原料を80℃に加熱し溶解混合した後、20mL容量のプラスチック製ジャー容器に10g入れ、室温まで冷却し25℃で1日静置し、油性固形クレンジング料を得た。
【0032】
(外観)
得られた油性固形クレンジング料の「成型時の外観」について以下の基準に従って視覚判定を行った。
(基準)
○:表面が平滑であり、ツヤがある
△:表面にわずかにザラつきが見られる
×:表面がザラついており、ツヤがない
××:固化していない
【0033】
(メイクとのなじみ)
得られた油性固形クレンジング料を、20名のパネラーにより官能評価を行った。口紅を前腕に塗布し10分間放置した後、上記の組成物を1g塗布し、それを人差し指で塗り広げた際の口紅とのなじみの良さについて5点満点として平均点を算出し、以下の基準により評価した。
(基準)
○:やわらかでマッサージにより溶け、メイクとのなじみが良い
△:マッサージによりメイクとはなじむが、わずかにツブが残るか、油が垂れ落ちる
×:マッサージによってもツブが残りメイクとのなじみが悪い
【0034】
(耐水性)
上述のメイクとのなじみの評価の後、油性固形クレンジング料を塗り広げた部分に水道水をかけ、乳化するかどうかを確認し耐水性を評価した。
(基準)
○:水をかけても乳化せず白くならない
△:水をかけてしばらくすると白くなる
×:水をかけると乳化し白くなる
【0035】
(すすぎ時の水洗性)
上述の耐水性の評価の後、油性固形クレンジング料を塗り広げた部分に水道水をかけながら水洗したときの様子と、水洗後に水をふき取った後の感触を評価した。
(基準)
○:水洗しやすく、すすぎ後さっぱりしている
△:水洗でき、すすぎ後はやや油性感が残る
×:水洗後油のべたつきがあり強い油性感が残る
【0036】
(メイク落ち)
上述の水洗性の評価の後、口紅が残留しているかを目視で確認し評価した。
(基準)
○:口紅は残っておらず、メイク落ちが良い
△:わずかに口紅が残っている
×:口紅がほとんど落ちておらずメイク落ちが悪い
【0037】
(高温安定性)
得られた油性固形クレンジング料を、50℃の恒温槽に30日保存後、以下の基準に従って視覚判定を行った。
(基準)
○:固形状であり、表面に変化が見られない
△:固形状であるが、表面にわずかに油浮きが見られる
×:固形状であるが、表面の半分以上に液状油がにじみ出ている、または軟化したり液状になっている
【0038】
【表1】
【0039】
成分(A)~成分(D)を含有する本発明の油性固形クレンジング料である実施例1~6は、成分(A)を含まない比較例1、成分(B)を含まない比較例2、成分(A)と成分(B)の合計量が範囲外の比較例3と比較例4、成分(A)と成分(B)をポリグリセリン脂肪酸エステル以外の活性剤を用いた比較例5に比べ、使用時にたれ落ちることがなく、固化表面が滑らかで、使用時にやわらかでメイクとのなじみが良く、メイク落ちとすすぎ時の水洗性とさっぱり感があり、保存安定性にも優れていた。