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特開2024-47359照明シミュレーション装置及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047359
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】照明シミュレーション装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/125 20200101AFI20240329BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20240329BHJP
【FI】
H05B47/125
H05B47/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152935
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】小池 健司
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA05
3K273QA07
3K273RA08
3K273SA02
3K273SA21
3K273SA38
3K273SA58
3K273SA60
3K273TA02
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA28
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA57
3K273TA62
3K273TA66
3K273TA78
3K273UA21
(57)【要約】
【課題】オブジェクトの形状等の変更に容易に対応できる照明シミュレーション装置及びシステムを提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、照明シミュレーション装置は、生成部と、シミュレーション部とを備える。生成部は、少なくとも動作中の照明器具が設置される演出空間に設置され、演出空間のオブジェクトを含む演出空間の3次元情報を測定する測定部から取得される3次元情報に基づいてオブジェクトの3次元形状を表すモデルデータを生成する。シミュレーション部は、照明器具の照明条件と、モデルデータを含む演出空間のシーンデータとに基づいて照明シミュレーションを実施する。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも動作中の照明器具が設置される演出空間に設置され、前記演出空間のオブジェクトを含む前記演出空間の3次元情報を測定する測定部から取得される前記3次元情報に基づいて前記オブジェクトの3次元形状を表すモデルデータを生成する生成部と;
前記照明器具の照明条件と、前記モデルデータを含む前記演出空間のシーンデータとに基づいて照明シミュレーションを実施するシミュレーション部と;
を具備する照明シミュレーション装置。
【請求項2】
前記シーンデータを記憶する記憶部をさらに具備し、
前記生成部は、前記測定部から取得される前記3次元情報と前記記憶部に記憶された前記シーンデータから特定される3次元情報との間に変化があるときに、前記測定部から取得される前記3次元情報に基づいて前記モデルデータを生成する、
請求項1に記載の照明シミュレーション装置。
【請求項3】
前記測定部は、前記演出空間に複数設置され、
前記生成部は、指定された場所の前記測定部から取得される前記3次元情報に基づいて前記モデルデータを生成する、
請求項1に記載の照明シミュレーション装置。
【請求項4】
前記シーンデータを記憶する記憶部をさらに具備し、
前記シミュレーション部は、前記照明器具の照明条件と、前記記憶部に記憶されているシーンデータのうちの指定されたシーンデータとに基づいて前記照明シミュレーションを実施する、
請求項1に記載の照明シミュレーション装置。
【請求項5】
前記生成部は、リアルタイムレンダリングによって前記モデルデータを生成する、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の照明シミュレーション装置。
【請求項6】
演出空間に設置される少なくとも動作中の照明器具と;
前記演出空間に設置され、前記演出空間のオブジェクトを含む前記演出空間の3次元情報を測定する測定部と;
前記測定部から取得される前記3次元情報に基づいて前記オブジェクトの3次元形状を表すモデルデータを生成する生成部と;
前記照明器具の照明条件と、前記モデルデータを含む前記演出空間のシーンデータとに基づいて照明シミュレーションを実施するシミュレーション部と;
を有するシステム。
【請求項7】
前記照明器具は、前記演出空間に可視光を照射するように構成され、
前記測定部は、前記演出空間に可視光とは異なる波長帯の光を照射し、前記演出空間からの反射光を検出することで前記3次元情報を測定するように構成されている、
請求項6に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明シミュレーション装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ局のスタジオ及び劇場等の演出空間内の照明器具による照明効果をシミュレートするためのソフトウェアとして、照明シミュレーションソフトウェアが知られている。従来の照明シミュレーションソフトウェアでは、予め設計された各種のオブジェクトの3Dモデルと照明器具の3Dモデルとが演出空間を模した仮想空間に配置される。そして、仮想空間内において照明器具から照明が実施されたときの照明効果が計算され、その結果が視覚化される。
【0003】
ここで、スタジオ及び劇場等に実際にオブジェクトが設営されるときに、設営されるオブジェクトの形状等が変更されることが起こり得る。オブジェクトの形状等が変更となった場合に再度の照明シミュレーションが必要になることがある。しかしながら、照明シミュレーションのためには、再度のオブジェクトのモデリングが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-265766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、オブジェクトの形状等の変更に容易に対応できる照明シミュレーション装置及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、照明シミュレーション装置は、生成部と、シミュレーション部とを備える。生成部は、少なくとも動作中の照明器具が設置される演出空間に設置され、演出空間のオブジェクトを含む演出空間の3次元情報を測定する測定部から取得される3次元情報に基づいてオブジェクトの3次元形状を表すモデルデータを生成する。シミュレーション部は、照明器具の照明条件と、モデルデータを含む演出空間のシーンデータとに基づいて照明シミュレーションを実施する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、オブジェクトの形状等の変更に容易に対応できる照明シミュレーション装置及びシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一例の照明シミュレーション装置を含むシステムの概略図である。
図2図2は、照明制御装置の一例の構成を示す図である。
図3図3は、照明シミュレーション装置の一例の構成を示す図である。
図4図4は、照明シミュレーション装置の動作を示すフローチャートである。
図5図5は、オブジェクトの位置が変更された演出空間の一例を示す図である。
図6図6は、オブジェクトの形状が変更された演出空間の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態に係る照明シミュレーション装置は、少なくとも動作中の照明器具(2)が設置される演出空間(S)に設置され、演出空間(S)のオブジェクト(O)を含む演出空間の3次元情報を測定する測定部(3)から取得される3次元情報に基づいてオブジェクト(O)の3次元形状を表すモデルデータを生成する生成部(51)と、照明器具(2)の照明条件と、モデルデータを含む演出空間(S)のシーンデータとに基づいて照明シミュレーションを実施するシミュレーション部(51)とを備える。
【0010】
また、実施形態に係る照明シミュレーション装置は、シーンデータを記憶する記憶部(54)をさらに備える。生成部(51)は、測定部(3)から取得される3次元情報と記憶部(54)に記憶されたシーンデータから特定される3次元情報との間に変化があるときに、測定部(3)から取得される3次元情報に基づいてモデルデータを生成する。
【0011】
実施形態の照明シミュレーション装置では、測定部(3)から取得される3次元情報に基づいてオブジェクト(O)のモデルデータが生成される。これにより、オブジェクト(O)の形状等の変更に容易に対応して照明シミュレーションが実施され得る。
【0012】
また、実施形態に係る照明シミュレーション装置において、測定部(3)は、演出空間に複数設置され、生成部は、指定された場所の測定部(3)から取得される3次元情報に基づいてモデルデータを生成する。
【0013】
実施形態の照明シミュレーション装置では、指定された場所の測定部(3)から取得される3次元情報に基づいてモデルデータが生成されることにより、モデルデータの生成の処理の負荷が低減され得る。
【0014】
また、実施形態に係る照明シミュレーション装置は、シーンデータを記憶する記憶部(54)をさらに備える。シミュレーション部(51)は、照明器具の照明条件と、記憶部(54)に記憶されているシーンデータのうちの指定されたシーンデータとに基づいて照明シミュレーションを実施する。
【0015】
実施形態の照明シミュレーション装置では、記憶部(54)に記憶されているシーンデータのうちの指定されたシーンデータに基づいて照明シミュレーションが実施される。これにより、例えば照明シミュレーション装置の操作者の望むシーンについての照明シミュレーションが実施され得る。
【0016】
また、実施形態の照明シミュレーション装置では、生成部(51)は、リアルタイムレンダリングによってモデルデータを生成する。
【0017】
実施形態の照明シミュレーション装置では、モデルデータがリアルタイムレンダリングによって生成される。これにより、より即座に照明シミュレーションが実施され得る。
【0018】
また、実施形態のシステムは、照明器具(2)と、測定部(3)と、生成部(51)と、(シミュレーション部(51)とを有する。照明器具(2)は、演出空間(S)に設置され、少なくとも動作中である。測定部(3)は、演出空間(S)に設置され、演出空間(S)のオブジェクト(O)を含む演出空間(S)の3次元情報を測定する。生成部(51)は、測定部(3)から取得される3次元情報に基づいてオブジェクト(O)の3次元形状を表すモデルデータを生成する。シミュレーション部(51)は、照明器具の照明条件と、モデルデータを含む演出空間(S)のシーンデータとに基づいて照明シミュレーションを実施する。
【0019】
実施形態のシステムでは、測定部(3)から取得される3次元情報に基づいてオブジェクト(O)のモデルデータが生成される。これにより、オブジェクト(O)の形状等の変更に容易に対応して照明シミュレーションが実施され得る。
【0020】
また、実施形態のシステムにおいて、照明器具(2)は、演出空間(S)に可視光を照射するように構成され、測定部(3)は、演出空間(S)に可視光とは異なる波長帯の光を照射し、演出空間からの反射光を検出することで3次元情報を測定するように構成されている。
【0021】
実施形態のシステムでは、測定部(3)から照射される光の波長が照明器具(2)から照射される光の波長と異なっている。これにより、照明器具(2)から照射される光と測定部(3)から照射される光との干渉が起きにくい。
【0022】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、一例の照明シミュレーション装置を含むシステムの概略図である。実施形態におけるシステム1は、テレビ局のスタジオ及び劇場といった演出空間Sにおいて構築される。演出空間Sには、照明器具2と、センサ3とが設置される。さらに、演出空間Sには、オブジェクトOが設営され得る。オブジェクトOは、演出空間Sにおける演出に用いられる美術セット、演出空間Oにおける演者等の人物といった照明器具2で照明される任意のオブジェクトであり得る。ここで、図1では、1つのオブジェクトOのみが設営されている例が示されている。演出空間Sに設営され得るオブジェクトOの数は、1つに限定されるものではない。
【0023】
照明器具2は、演出空間Sの例えば天井に設置される。そして、照明器具2は、照明制御装置4と例えば有線で接続されている。照明器具2は、照明制御装置4からの制御信号に基づいて、例えば演出空間Sの内部に照明光を照射する。照明器具2は、可視光領域の波長を有する可視光線を発生させる光源と、その駆動回路とを備える。照明器具2の光源及び駆動回路の構成は、特に限定されない。例えば、光源は、可視光線をある範囲を持った配光で照射するように構成された光源であってもよいし、レーザ光を照射するように構成された光源であってもよい。
【0024】
ここで、照明器具2と照明制御装置4との接続は、有線でなく、無線であってもよい。また、照明器具2の設置台数は限定されない。さらに、照明器具2は、必ずしも演出空間Sの天井に設置されるものに限らない。照明器具2は、例えば演出空間Sの床面に設置されてもよい。また、照明器具2は、演出空間Sの壁面に固定される必要もなく、移動できるように構成されていてもよい。移動できるように構成された照明器具2は、必ずしも照明制御装置4の制御のもとで可視光を照射するように構成されていなくてもよい。
【0025】
センサ3は、照明器具2と同様に、演出空間Sの例えば天井に設置される。そして、センサ3は、照明シミュレーション装置5と例えば有線で接続される。センサ3は、演出空間内の3次元情報を測定し、測定した3次元情報をスキャンデータとして出力する測定部である。センサ3は、カメラ、3Dスキャナ、LiDAR(Light Detection and Ranging)等の非接触で3次元情報を測定できる任意のセンサであり得る。3次元情報は、例えば画素値の情報と奥行きの情報とを含む点群情報であり得る。
【0026】
ここで、センサ3と照明シミュレーション装置5との接続は、有線でなく、無線であってもよい。また、センサ3は、必ずしも天井に設置されなくともよいが、演出空間Sの全域をスキャンできるような設置位置及び設置台数で設置される。センサ3としてカメラが用いられる場合には、それぞれのカメラは、単眼カメラであってもよいし、多眼カメラであってもよい。また、3Dスキャナ及びLiDARは、光線を測定対象物に照射し、その測定対象物からの反射光を検出するまでの時間から測定対象物までの距離を測定する装置である。したがって、センサ3として3Dスキャナ又はLiDARが用いられる場合には、センサ3から照射される光線が照明器具2から照射される光線と干渉しないことが望ましい。このため、センサ3として3Dスキャナ又はLiDARが用いられる場合の光源としては、可視光とは異なる波長帯の光源、例えば赤外光源又は紫外光源が用いられることが望ましい。
【0027】
照明制御装置4は、コンピュータを含んで構成される。照明制御装置4は、照明器具2に制御信号を送出することによって、照明器具2を制御する。制御信号は、DMX(Digital Multiplex with 512 pieces of Information)信号等でよい。また、照明制御装置4は、照明シミュレーション装置5と例えば有線で接続されており、照明シミュレーションに必要な照明条件の情報等を照明シミュレーション装置5に送出する。また、照明制御装置4は、照明シミュレーション装置5から照明シミュレーションの結果を受け、照明シミュレーションの結果に基づいて照明器具2を制御し得る。ここで、照明制御装置4と照明シミュレーション装置5との接続は、無線であってもよい。また、照明制御装置4は、演出空間Sの中にあってもよいし、外にあってもよい。照明制御装置4が演出空間Sの外にある場合において、照明制御装置4は、インターネット等のネットワークを介して演出空間Sの照明器具2等と接続されるように構成されてもよい。
【0028】
照明シミュレーション装置5は、シーンデータと照明器具2の照明条件とに基づいて照明シミュレーションを実施する。シーンデータは、演出空間Sを表す3次元モデルにオブジェクトOを表す3次元モデルが重ねられたデータである。演出空間Sを表す3次元モデル及びオブジェクトOを表す3次元モデルは、位置毎の光沢度、表面粗さ、反射率といった照明に関わる各種の情報を有していてもよい。3次元モデルがこれらの照明に関わる情報を有することにより、より正確な照明シミュレーションが実施され得る。また、照明器具2の照明条件は、照明シミュレーション装置5の操作者によって入力されてもよいし、照明制御装置4から入力されてもよい。また、照明シミュレーション装置5は、演出空間Sの中にあってもよいし、外にあってもよい。照明シミュレーション装置5が演出空間Sの外にある場合において、照明シミュレーション装置5は、インターネット等のネットワークを介して演出空間Sのセンサ3等と接続されるように構成されてもよい。
【0029】
また、図1では、照明制御装置4と照明シミュレーション装置5とは別々の装置として示されている。一方で、照明制御装置4と照明シミュレーション装置5とは、単一のコンピュータで構成されてもよい。
【0030】
図2は、照明制御装置4の一例の構成を示す図である。照明制御装置4は、プロセッサ41と、ROM(Read Only Memory)42と、RAM(Random Access Memory)43と、ストレージ44と、入力装置45と、出力装置46と、入出力インタフェース47と、通信装置48とを有しているコンピュータである。ここで、図2は、あくまでも一例である。照明制御装置4は、図2で示した以外の要素を有していてもよいし、図2で示した一部の要素を有していなくてもよい。
【0031】
プロセッサ41は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン(Micro Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)及びDSP(Digital Signal Processor)等である。プロセッサ41は、複数のCPU等であってもよい。プロセッサ41は、ストレージ44に記憶される各種のプログラムを実行することによって、照明制御装置4の制御を実施する。
【0032】
ROM42は、プロセッサ41の動作に用いられる照明器具2の各種の設定値の情報等を記憶する不揮発性の記憶媒体である。RAM43は、プロセッサ41による各種の処理の際のワークメモリとして用いられる揮発性の記憶媒体である。
【0033】
ストレージ44は、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶部である。ストレージ44には、各種のプログラムが記憶される。各種のプログラムは、OSを含む。OSは、照明制御装置4の基本的な機能を実現するためのプログラムである。ストレージ44に格納されている各種のプログラムは、OSの制御下で実行される。また、各種のプログラムは、照明制御プログラム441を含む。照明制御プログラム441は、照明器具2の制御のためのプログラムである。照明制御プログラム441に従って処理が実行されることにより、照明器具2に対する制御信号が生成される。
【0034】
入力装置45は、照明制御装置4の操作者がプロセッサ41に対して指示を入力するための各種の入力装置である。入力装置45は、ボタン、キー、スイッチ、タッチパネルといったハードウェアを含む。さらに、入力装置45は、データをUSBメモリ等の記憶媒体から読み出すためのリーダ、データをディスク媒体から読み出すためのディスク装置を含み得る。
【0035】
出力装置46は、照明器具2の状態等の照明制御装置4の操作者に提示するべき情報を出力するための各種の出力装置である。出力装置46は、ディスプレイ等を含み得る。
【0036】
入出力インタフェース47は、照明制御装置4と照明器具2との間の信号のやり取りのためのインタフェースである。入出力インタフェース47は、照明制御装置4と照明器具2との間の信号線に対応したインタフェースである。
【0037】
通信装置48は、照明制御装置4と、照明シミュレーション装置5を含む照明制御装置4の外部機器との間の通信のための装置である。例えば、通信装置48は、有線LAN(Local Area Network)インタフェース等を含む。または、通信装置48は、無線LANインタフェース等を含む。
【0038】
図3は、照明シミュレーション装置5の一例の構成を示す図である。照明シミュレーション装置5は、プロセッサ51と、ROM52と、RAM53と、ストレージ54と、入力装置55と、出力装置56と、入出力インタフェース57と、通信装置58とを有しているコンピュータである。ここで、図3は、あくまでも一例である。照明シミュレーション装置5は、図3で示した以外の要素を有していてもよいし、図3で示した一部の要素を有していなくてもよい。
【0039】
プロセッサ51は、CPU、ASIC、マイコン、FPGA及びDSP等である。プロセッサ51は、複数のCPU等であってもよい。プロセッサ51は、ストレージ54に記憶される各種のプログラムを実行することによって、照明シミュレーション装置5の制御を実施する。
【0040】
ROM52は、プロセッサ51の動作に用いられる各種の情報等を記憶する不揮発性の記憶媒体である。RAM53は、プロセッサ51による各種の処理の際のワークメモリとして用いられる揮発性の記憶媒体である。
【0041】
ストレージ54は、HDD及びSSD等の記憶部である。ストレージ54には、各種のプログラムが記憶される。各種のプログラムは、OSを含む。OSは、照明シミュレーション装置5の基本的な機能を実現するためのプログラムである。ストレージ54に格納されている各種のプログラムは、OSの制御下で実行される。また、各種のプログラムは、照明シミュレーションプログラム541を含む。照明シミュレーションプログラム541は、照明器具2の照明シミュレーションのためのプログラムである。照明シミュレーションプログラム541は、シーンデータと照明条件とに基づいて照明シミュレーションをプロセッサ51に実施させることによってプロセッサ51をシミュレーション部として動作させるためのプログラムを含む。さらに、照明シミュレーションプログラム541は、センサ3で収集されるオブジェクトOの3次元情報に基づいてオブジェクトOの3次元形状を表す3次元モデルのデータをリアルタイムレンダリングによって生成する処理をプロセッサ51に実施させることによってプロセッサ51を生成部として動作させるためのプログラムを含む。ここで、生成部としての動作とシミュレーション部としての動作は、別々のプロセッサ又は別々の装置によって実施されてもよい。
【0042】
また、ストレージ54には、シーンデータ542が記憶される。シーンデータ542は、前述したように、演出空間Sを表す3次元モデルにオブジェクトOを表す3次元モデルが重ねられたデータである。演出空間Sを表す3次元モデル及びオブジェクトOを表す3次元モデルは、位置毎の光沢度、表面粗さ、反射率といった照明に関わる各種の情報を有していてもよい。
【0043】
入力装置55は、照明シミュレーション装置5の操作者がプロセッサ51に対して指示を入力するための各種の入力装置である。入力装置55は、ボタン、キー、スイッチ、タッチパネルといったハードウェアを含む。さらに、入力装置55は、データをUSBメモリ等の記憶媒体から読み出すためのリーダ、データをディスク媒体から読み出すためのディスク装置を含み得る。
【0044】
出力装置56は、照明条件の入力画面及びシミュレーション結果の表示画面といった照明シミュレーション装置5の操作者に提示するべき情報を出力するための各種の出力装置である。出力装置56は、ディスプレイ等を含み得る。
【0045】
入出力インタフェース57は、照明シミュレーション装置5とセンサ3との間の信号のやり取りのためのインタフェースである。入出力インタフェース57は、照明シミュレーション装置5とセンサ3との間の信号線に対応したインタフェースである。
【0046】
通信装置58は、照明シミュレーション装置5と、照明制御装置4を含む照明シミュレーション装置5の外部機器との間の通信のための装置である。通信装置58は、例えば通信装置48と対応したインタフェースを含む。
【0047】
次に、実施形態における照明シミュレーション装置5の動作を説明する。図4は、照明シミュレーション装置5の動作を示すフローチャートである。図4の処理は、プロセッサ51によって実施される。
【0048】
図4の処理は、照明シミュレーション装置5の電源がオンされ、照明シミュレーションプログラム541が実行されたときに開始される。ステップS1において、プロセッサ51は、事前のオブジェクトOのモデルデータの入力があるか否かを判定する。テレビ局による放送開始前のタイミング及び劇場における公演の開始前のタイミングにおいて、照明シミュレーションのために、設計事務所等によって、演出空間Sに設営されることが想定されるオブジェクトOの3次元のモデルデータが作成されることがある。このようなモデルデータは、設計事務所等からネットワークを介して搬入されるか又はUSBメモリ等の記憶媒体に格納されて搬入される。このような搬入されたモデルデータは、照明シミュレーション装置5の操作者によって、照明シミュレーション装置5に入力される。ステップS1においては、このようなモデルデータの入力があるか否かが判定される。ステップS1において、事前のオブジェクトOのモデルデータの入力があると判定されたときには、処理はステップS2に移行する。ステップS1において、事前のオブジェクトOのモデルデータの入力がないと判定されたときには、処理はステップS3に移行する。ここで、事前に入力されるモデルデータは、プリレンダリングソフトウェアによってモデリングされたものであってもよいし、リアルタイムレンダリングソフトウェアによってモデリングされたものであってもよい。また、ステップS1においては、オブジェクトOのモデルデータでなく、シーンデータが入力されたか否かが判定されてもよい。
【0049】
ステップS2において、プロセッサ51は、事前に入力されたオブジェクトOのモデルデータに基づいてシーンデータを作成し、作成したシーンデータをストレージ54に記憶させる。シーンデータが入力された場合には、プロセッサ51は、入力されたシーンデータをストレージ54に記憶させる。
【0050】
ステップS3において、プロセッサ51は、センサ3による演出空間Sのスキャンを実施するか否かを判定する。例えば、照明シミュレーション装置5の電源投入直後、一定期間毎、照明シミュレーション装置5の操作者からの指示があった場合に、演出空間Sのスキャンを実施すると判定される。ステップS3において、演出空間Sのスキャンを実施すると判定されたときには、処理はステップS4に移行する。ステップS3において、演出空間Sのスキャンを実施すると判定されていないときには、処理はステップS9に移行する。
【0051】
ステップS4において、プロセッサ51は、スキャン場所の指定がされているか否かを判定する。例えば、照明シミュレーション装置5の操作者によって演出空間Sの特定の場所が指定されているときには、スキャン場所の指定がされていると判定される。ステップS4において、スキャン場所が指定されていると判定されたときには、処理はステップS5に移行する。ステップS4において、スキャン場所が指定されていると判定されていないときには、処理はステップS6に移行する。
【0052】
ステップS5において、プロセッサ51は、指定された場所に対応したセンサ3のみから3次元情報を含むスキャンデータを取得する。ステップS6において、プロセッサ51は、すべての場所に対応したセンサから3次元情報を含むスキャンデータを取得する。ステップS5又はステップS6の後、処理はステップS7に移行する。
【0053】
ステップS7において、プロセッサ51は、スキャンデータから推定される3次元情報と過去にストレージ54に記憶されているシーンデータから特定される3次元情報とを比較することにより、3次元情報が変化しているかを判定する。3次元情報の比較は、例えば点群情報のマッチングといった任意の手法で行われてよい。例えば、図5に示すように、オブジェクトOの場所が変更された場合には、スキャンデータから推定されるオブジェクトOの3次元情報とシーンデータから特定されるオブジェクトOの3次元情報との間で座標の変化が生じる。同様に、例えば、図6に示すように、オブジェクトOの形状が変更された場合には、スキャンデータから推定されるオブジェクトOの3次元情報とシーンデータから特定されるオブジェクトOの3次元情報との間で形状の変化が生じる。これらの3次元情報の変化があった場合に、3次元情報が変化していると判定される。ステップS7において、変化があると判定されたときには、処理はステップS8に移行する。ステップS7において、変化があると判定されていないときには、処理はステップS9に移行する。
【0054】
ステップS8において、プロセッサ51は、リアルタイムレンダリングにより、スキャンデータからオブジェクトOのモデルデータを作成する。そして、プロセッサ51は、新たに作成したオブジェクトOのモデルデータに基づいてシーンデータを作成し、作成したシーンデータをストレージ54に記憶させる。その後、処理はステップS9に移行する。ここで、オブジェクトOが人物である場合、モデルデータは、人物の性別、体型、ポーズを模擬したアバターのデータとされてもよい。
【0055】
ステップS9において、プロセッサ51は、シミュレーションを実施するか否かを判定する。例えば、照明シミュレーション装置5の電源投入直後、一定期間毎、照明シミュレーション装置5の操作者からの指示があった場合に、シミュレーションを実施すると判定される。ステップS9において、シミュレーションを実施すると判定されたときには、処理はステップS10に移行する。ステップS9において、シミュレーションを実施すると判定されていないときには、処理はステップS13に移行する。
【0056】
ステップS10において、プロセッサ51は、シミュレーションに用いるシーンデータの指定があるか否かを判定する。シーンデータの指定は、例えば照明シミュレーション装置5の操作者によって行われる。ステップS10において、シミュレーションに用いるシーンデータの指定があると判定されたときには、処理はステップS11に移行する。ステップS10において、シミュレーションに用いるシーンデータの指定があると判定されていないときには、処理はステップS12に移行する。
【0057】
ステップS11において、プロセッサ51は、指定されたシーンデータを用いてシミュレーションを実施する。ステップS12において、プロセッサ51は、最新の、すなわち最後にストレージ54に記憶されたシーンデータを用いてシミュレーションを実施する。ここで、前述したように、照明器具2の照明条件は、照明シミュレーション装置5の操作者によって入力されてもよいし、照明制御装置4から取得されてもよい。照明シミュレーションの結果は、出力装置56のディスプレイに表示される等されてもよいし、照明制御装置4による制御に用いられるために照明制御装置4に送出されてもよい。ステップS11又はステップS12のシミュレーションの実施後、処理はステップS13に移行する。また、照明シミュレーション装置5の操作者によって指定されたシーンデータは、操作者によって修正された上で照明シミュレーションに用いられてもよい。
【0058】
ステップS13において、プロセッサ51は、処理を終了するか否かを判定する。例えば照明シミュレーション装置5の操作者によって処理の終了が指示された場合に、処理を終了すると判定される。ステップS13において、処理を終了すると判定されていないときには、処理はステップS3に戻る。ステップS13において、処理を終了すると判定されたときには、プロセッサ51は、図4の処理を終了させる。
【0059】
以上説明したように、実施形態によれば、演出空間の中に設置されるセンサで収集される3次元情報に基づいてオブジェクトのモデリングが実施され、新たに作成されたオブジェクトのモデルデータに基づいて照明シミュレーションが実施される。これにより、照明器具2の動作中に演出空間内のオブジェクトの位置が変更されたり、形状が変更されたりした場合であっても、容易にオブジェクトの再モデリングが実施される。したがって、容易にかつ即座に照明シミュレーションが実施され得る。さらに、オブジェクトのモデリングにリアルタイムレンダリング処理が採用されることにより、高速でモデリングが実施され得る。したがって、より即座に照明シミュレーションが実施され得る。
【0060】
また、実施形態によれば、例えば照明シミュレーション装置の操作者によって指定されたセンサだけからスキャンデータが取得され得る。一部の範囲のスキャンデータだけでモデリングが実施されることにより、演出空間の全体についてモデリングが実施されるよりも、処理の負荷が低減され得る。
【0061】
また、実施形態によれば、センサから取得される3次元情報から新たに作成されたシーンデータが逐次に記憶される。これにより、過去の時点のシーンデータに基づく照明シミュレーションも実施され得る。これにより、例えばオブジェクトが交互に入れ替わるようなシーンがある場合に、あるオブジェクトが演出空間に設営されているときに、別のオブジェクトの照明シミュレーションをその別のオブジェクトが過去に演出空間に設営されていたときのシーンデータを用いて実施するといったことも可能である。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1…システム、2…照明器具、3…センサ、4…照明制御装置、5…照明シミュレーション装置、41…プロセッサ、42…ROM、43…RAM、44…ストレージ、45…入力装置、46…出力装置、47…入出力インタフェース、48…通信装置、51…プロセッサ、52…ROM、53…RAM、54…ストレージ、55…入力装置、56…出力装置、57…入出力インタフェース、58…通信装置、441…照明制御プログラム、541…照明シミュレーションプログラム、542…シーンデータ。

図1
図2
図3
図4
図5
図6