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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047364
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240329BHJP
   G06F 1/24 20060101ALI20240329BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H04N1/00 885
G06F1/24 Z
B41J29/38 301
B41J29/38 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152947
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩高
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061HK11
2C061HN04
2C061HN08
2C061HN15
2C061HV16
2C061HV45
2C061HV54
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB40
5C062AB42
5C062AB46
5C062AB49
5C062AB51
5C062AC15
5C062AC22
5C062AC58
(57)【要約】
【課題】装置の電源の状態として、プログラムの再起動を伴う第1電源オフ状態とプログラムの再起動を伴わない第2電源オフ状態とが定められている場合において、電源をオフにする操作が行われた場合に、装置に発生している異常を解消することを目的とする。
【解決手段】情報処理装置の電源をオフにする操作が行われた場合、プロセッサは、電源をオフにする操作が行われる前の情報処理装置の利用状況に応じて、電源の状態を、第1電源オフ状態又は第2電源オフ状態に移行させる。第1電源オフ状態は、プログラムの再起動を伴う電源オフ状態である。第2電源オフ状態は、プログラムの再起動を伴わない電源オフ状態である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、
自装置の電源の状態として、プログラムの再起動を伴う第1電源オフ状態とプログラムの再起動を伴わない第2電源オフ状態とが定められており、
前記プロセッサは、
自装置の電源をオフにする操作が行われた場合、電源をオフにする操作が行われる前の自装置の利用状況に応じて、電源の状態を、前記第1電源オフ状態又は前記第2電源オフ状態に移行させる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
自装置の電源がオンにされた後に、自装置によって実行される処理に対する操作が行われることなく、電源をオフにする操作が行われた場合、電源の状態を、前記第1電源オフ状態に移行させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
自装置の電源がオンにされた後、予め定められた時間以内に、前記処理に対する操作が行われることなく、電源をオフにする操作が行われた場合、電源の状態を、前記第1電源オフ状態に移行させる、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
自装置の電源がオンにされた後に、前回の電源オフ操作の前に行われた操作と同じ操作が行われ、その後、電源をオフにする操作が行われた場合、電源の状態を、前記第1電源オフ状態に移行させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記同じ操作は、同じ処理の実行の指示である、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記同じ操作は、同じカテゴリに属する処理の実行の指示である、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記同じカテゴリに属する処理は、共通のデバイスを利用する処理である、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
電源の状態として、プログラムの再起動を伴う第1電源オフ状態と、プログラムの再起動を伴わない第2電源オフ状態とが定められている装置を制御するコンピュータが、
前記装置の電源をオフにする操作が行われた場合、電源をオフにする操作が行われる前の前記装置の利用状況に応じて、電源の状態を、前記第1電源オフ状態又は前記第2電源オフ状態に移行させる、
ように動作させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電源スイッチのオフ操作が検知されたときの第1状態を保存し、次に電源スイッチのオン操作が検知されたときに第1状態に復帰可能な第2状態に画像形成装置の状態を移行する画像形成装置が記載されている。当該画像形成装置は、状態が第2状態に移行すると、時間計測を開始し、状態が第2状態のときに電源スイッチのオン操作が検知されると、時間計測値に応じて、画像形成装置を再起動させるか、又は、保存された第1状態に状態を復帰させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-196907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装置の電源の状態として、プログラムの再起動を伴う第1電源オフ状態と、プログラムの再起動を伴わない第2電源オフ状態とが、定められることがある。一般的に、電源の状態が第2電源オフ状態のときに電源をオンにする操作が行われてから装置を構成する各デバイスの復帰が完了するまでに要する時間は、電源の状態が第1電源オフ状態のときに電源をオンにする操作が行われてから各デバイスの復帰が完了するまでの時間よりも短い。
【0005】
ところで、装置に異常が発生した場合、その異常を解消するために、ユーザは、装置の電源をオフし、その後、電源をオンする操作を行うことが考えられる。プログラムの再起動によって解消される異常が発生した場合に電源をオフにする操作が行われて、電源の状態が第1電源オフ状態に移行すれば、その異常は解消され得る。しかし、電源の状態が第2電源状態に移行した場合、その異常は解消されないことがある。
【0006】
仮に、装置に異常が発生していることを装置やシステムが検知することができる場合において、電源をオフにする操作が行われた場合、電源の状態を第1電源オフ状態に移行させることで、異常が解消され得る。しかし、装置に異常が発生していることを装置やシステムが検知することができない場合には、電源の状態が第2電源オフ状態に移行すると、異常が解消されないことがある。また、発生した異常が第2電源オフ状態への移行によって解消し得る場合、常に電源の状態を第1電源オフ状態に移行させると、電源の状態を第2電源オフ状態に移行させる場合と比べて、電源をオンにする操作が行われてから各デバイスの復帰が完了するまでに要する時間が長くなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、装置の電源の状態として、プログラムの再起動を伴う第1電源オフ状態とプログラムの再起動を伴わない第2電源オフ状態とが定められている場合において、電源をオフにする操作が行われた場合に、装置に発生している異常を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、プロセッサを有し、自装置の電源の状態として、プログラムの再起動を伴う第1電源オフ状態とプログラムの再起動を伴わない第2電源オフ状態とが定められており、前記プロセッサは、自装置の電源をオフにする操作が行われた場合、電源をオフにする操作が行われる前の自装置の利用状況に応じて、電源の状態を、前記第1電源オフ状態又は前記第2電源オフ状態に移行させる、情報処理装置である。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記プロセッサは、自装置の電源がオンにされた後に、自装置によって実行される処理に対する操作が行われることなく、電源をオフにする操作が行われた場合、電源の状態を、前記第1電源オフ状態に移行させる、請求項1に記載の情報処理装置である。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記プロセッサは、自装置の電源がオンにされた後、予め定められた時間以内に、前記処理に対する操作が行われることなく、電源をオフにする操作が行われた場合、電源の状態を、前記第1電源オフ状態に移行させる、請求項2に記載の情報処理装置である。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記プロセッサは、自装置の電源がオンにされた後に、前回の電源オフ操作の前に行われた操作と同じ操作が行われ、その後、電源をオフにする操作が行われた場合、電源の状態を、前記第1電源オフ状態に移行させる、請求項1に記載の情報処理装置である。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記同じ操作は、同じ処理の実行の指示である、請求項4に記載の情報処理装置である。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記同じ操作は、同じカテゴリに属する処理の実行の指示である、請求項4に記載の情報処理装置である。
【0014】
請求項7に係る発明は、前記同じカテゴリに属する処理は、共通のデバイスを利用する処理である、請求項6に記載の情報処理装置である。
【0015】
請求項8に係る発明は、電源の状態として、プログラムの再起動を伴う第1電源オフ状態と、プログラムの再起動を伴わない第2電源オフ状態とが定められている装置を制御するコンピュータが、前記装置の電源をオフにする操作が行われた場合、電源をオフにする操作が行われる前の前記装置の利用状況に応じて、電源の状態を、前記第1電源オフ状態又は前記第2電源オフ状態に移行させる、ように動作させるプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1,2,3,4,8に係る発明によれば、装置の電源の状態として、プログラムの再起動を伴う第1電源オフ状態とプログラムの再起動を伴わない第2電源オフ状態とが定められている場合において、電源をオフにする操作が行われた場合に、装置に発生している異常を解消することができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、同じ処理の実行の指示が与えられた場合に、装置に発生している異常を解消することができる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、同じカテゴリに属する処理の実行の指示が与えられた場合に、装置に発生している異常を解消することができる。
【0019】
請求項7に係る発明によれば、共通のデバイスを利用する処理の実行の指示が与えられた場合に、装置に発生している異常を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る画像形成装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図2】画像形成装置に対する操作のタイミングを示す図である。
図3】画像形成装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施形態に係る情報処理装置について説明する。実施形態に係る情報処理装置は、自装置である情報処理装置に対する電力の供給を制御する機能を有する装置であり、そのような機能を有する装置であればどのような装置であってもよい。
【0022】
ここで、情報処理装置の電源の状態(つまり、電力の供給の状態)について説明する。情報処理装置の電源の状態として、例えば、電源オン状態、全電源オフ状態、副電源オフ状態、及び、サスペンド状態が定められている。もちろん、この電源の状態は一例に過ぎず、別の電源の状態が定められてもよい。
【0023】
電源オン状態は、情報処理装置を構成する各デバイス(つまり各ハードウェア)に電力が供給されて情報処理装置が起動した状態であり、情報処理装置が処理や動作を実行することが可能な状態である。
【0024】
全電源オフ状態は、情報処理装置を構成する各デバイスに電力が全く供給されておらず、各デバイスへの通電が一切ない状態である。例えば、情報処理装置の電源のプラグがコンセントから抜かれた状態が、全電源オフ状態に相当する。
【0025】
副電源オフ状態は、情報処理装置の電源のプラグがコンセントに挿入された状態であり、電源をオンにする操作が行われれば(例えば電源ボタンが押下されれば)、情報処理装置が起動する状態である。例えば、情報処理装置を構成する一部のデバイス(例えば、メモリと、電源ボタンの押下を検出するためのデバイス)のみに電力が供給されて、当該一部のデバイスのみ通電している状態が、副電源オフ状態に相当する。
【0026】
副電源オフ状態においては、デバイス(つまりハードウェア)のリセットとプログラム(つまりソフトウェア)の再起動が行われる。例えば、電源をオフにする操作(例えば電源ボタンの押下)がユーザによって行われて、電源の状態が電源オン状態から副電源オフ状態に移行するときに、デバイスのリセットとプログラムの再起動が行われる。電源の状態が副電源オフ状態のときに電源をオンにする操作(例えば電源ボタンの押下)が行われて、電源の状態が副電源オフ状態から電源オン状態に移行するときに、デバイスのリセットとプログラムの再起動が行われてもよい。
【0027】
つまり、副電源オフ状態は、少なくともプログラムの再起動を伴う電源オフ状態であるといえる。プログラムの再起動は、電源の状態が電源オン状態から副電源オフ状態に移行するときに行われてもよいし、電源の状態が副電源オフ状態から電源オン状態に移行するときに行われてもよい。デバイスのリセットも、電源の状態が電源オン状態から副電源オフ状態に移行するときに行われてもよいし、電源の状態が副電源オフ状態から電源オン状態に移行するときに行われてもよい。
【0028】
全電源オフ状態においても、デバイスのリセットとプログラムの再起動が行われる。そのため、全電源オフ状態は、少なくともプログラムの再起動を伴う電源オフ状態である。デバイスのリセットとプログラムの再起動は、電源の状態が電源オン状態から全電源オフ状態に移行するときに行われてもよいし、電源の状態が全電源オフ状態から電源オン状態に移行するときに行われてもよい。例えば、電源をオフにする操作が行われると、電源の状態は電源オン状態から副電源オフ状態に移行する。このとき、デバイスのリセットとプログラムの再起動が行われる。その後、電源のプラグがコンセントから抜かれることで、電源の状態は全電源オフ状態に移行する。もちろん、電源をオンにする操作が行われた後に、デバイスのリセットとプログラムの再起動が行われてもよい。
【0029】
電源の状態が副電源オフ状態である場合に電源をオンにする操作(例えば電源ボタンの押下)が行われると、電源の状態は副電源オフ状態から電源オン状態に復帰し、情報処理装置の状態は起動した状態となる。
【0030】
サスペンド状態は、情報処理装置が有するサスペンド機能が実行されることで実現される電源の状態である。サスペンド状態は、情報処理装置の電源のプラグがコンセントに挿入された状態であり、電源をオンにする操作が行われれば(例えば電源ボタンが押下されれば)、情報処理装置が起動する状態である。例えば、情報処理装置を構成する一部のデバイス(例えば、メモリと、電源ボタンの押下を検出するためのデバイス)のみに電力が供給されて、当該一部のデバイスのみ通電している状態が、サスペンド状態に相当する。メモリには、データを保持するために必要な電力が供給される。
【0031】
サスペンド状態においては、副電源オフ状態と異なり、デバイスのリセットとプログラムの再起動は行われない。つまり、サスペンド状態は、プログラムの再起動を伴わない電源オフ状態であるといえる。
【0032】
また、電源をオフする操作(例えば電源ボタンの押下)が行われて、電源の状態が電源オン状態からサスペンド状態に移行するときに、電源の状態がサスペンド状態に移行する前に実行されていた各プログラムの状態(つまり、電源をオフする操作が行われる前に実行されていた各プログラムの状態)を示す情報が、メモリ(例えばRAM(Random Access Memory))に記憶される。
【0033】
電源の状態がサスペンド状態である場合に電源をオンにする操作(例えば電源ボタンの押下)が行われると、電源の状態はサスペンド状態から電源オン状態に復帰し、情報処理装置の状態は起動した状態となる。このとき、各プログラムは再起動させられず、メモリに記憶されていた状態に復帰する。これにより、電源の状態が副電源オフ状態から電源オン状態に復帰する場合と比べて、その復帰の完了に要する時間が短くなる。その意味において、サスペンド機能は、高速起動機能(つまり、情報処理装置を高速に起動させる機能)又は高速復帰機能であるといえる。
【0034】
以下では、少なくともプログラムの再起動を伴う電源オフ状態を、「第1電源オフ状態」と称し、プログラムの再起動を伴わない電源オフ状態を、「第2電源オフ状態」と称することとする。上記の例で説明すると、全電源オフ状態と副電源オフ状態は、第1電源オフ状態の一例に相当し、サスペンド状態は、第2電源オフ状態の一例に相当する。上記の例で説明すると、第1電源オフ状態では、デバイスのリセットとプログラムの再起動が行われ、第2電源オフ状態では、デバイスのリセットとプログラムの再起動は行われない。もちろん、上述した電源の状態は一例に過ぎず、少なくともプログラムの再起動を伴う電源オフ状態が第1電源オフ状態として定められ、プログラムの再起動を伴わない電源オフ状態が第2電源オフ状態として定められる。
【0035】
本実施形態に係る情報処理装置においては、自装置である情報処理装置の電源をオフにする操作が行われた場合、電源をオフにする操作が行われる前の情報処理装置の利用状況に応じて、電源の状態が、第1電源オフ状態又は第2電源オフ状態に移行させる。
【0036】
例えば、その利用状況に基づいて、電源をオフにする操作が、情報処理装置に発生した異常を解消するために行われた操作であるのか否かが推測され、その推測に基づいて、電源の状態が、第1電源オフ状態又は第2電源オフ状態に移行される。
【0037】
電源をオフにする操作が、情報処理装置に発生した異常を解消するための操作であると推測される場合、電源の状態は、第1電源オフ状態に移行される。第1電源オフ状態は、少なくともプログラムの再起動を伴うため、プログラムの再起動によって、異常が解消し得る。
【0038】
電源をオフにする操作が、情報処理装置に発生した異常を解消するための操作であるとは推測されない場合、電源の状態は、第2電源オフ状態に移行される。第2電源オフ状態は、プログラムの再起動を伴わない。そのため、電源の状態が第1電源オフ状態から電源オン状態に復帰する場合と比べて、その復帰に要する時間が短くなる。
【0039】
以下、情報処理装置の一例として画像形成装置を挙げて実施形態について説明するが、実施形態に係る装置は画像形成装置に限定されるものではない。本実施形態は、画像形成装置以外の装置に適用されてもよい。
【0040】
図1には、情報処理装置の一例である画像形成装置10のハードウェアの構成が示されている。画像形成装置10は、例えば、印刷装置12と、画像読取装置14と、FAX装置16と、UI18と、電源ボタン24と、通信I/F26と、RTC28と、メモリ30と、プロセッサ36とを含む。
【0041】
印刷装置12は、画像を用紙等の記録媒体に印刷する。印刷の方式は特に限定されるものではなく、電子写真方式やインクジェット方式等である。画像読取装置14は、例えばスキャナであり、用紙等から画像を読み取る。印刷装置12と画像読取装置14とによって、コピー機能が実現される。FAX装置16は、ファクシミリ機能によって、情報を送信したり受信したりする。図1に示す例では、画像形成装置10は、印刷装置12と画像読取装置14とFAX装置16とを含むが、印刷装置12、画像読取装置14及びFAX装置16の中の少なくとも1つの装置を含んでもよい。画像形成装置10は、印刷装置12、画像読取装置14及びFAX装置16の中の複数の装置を含む複合機であってもよい。
【0042】
UI18は、ユーザインターフェースであり、例えば、表示装置20と操作装置22とを含む。表示装置20は、液晶ディスプレイやELディスプレイ等である。操作装置22は、キーボード、マウス、入力キー又は操作パネル等である。UI18は、タッチパネルであってもよい。
【0043】
電源ボタン24は、画像形成装置10の電源のオンとオフとを指示するためのボタンである。
【0044】
上述したように、画像形成装置10の電源の状態として、例えば、電源オン状態、全電源オフ状態、副電源オフ状態、及び、サスペンド状態が定められている。
【0045】
サスペンド状態においては、電源ボタン24の押下を検出するためのデバイスとRAM32のみに電力が供給される。RAM32には、データを保持するために必要な電力が供給される。電源の状態が電源オン状態からサスペンド状態に移行するときに、電源の状態がサスペンド状態に移行する前に実行されていた各プログラムの状態(つまり、電源ボタン24を押下する前に実行されていた各プログラムの状態)を示す情報が、RAM32に記憶される。電源の状態がサスペンド状態である場合に電源ボタン24が押下されてその押下が検知されると、電源の状態はサスペンド状態から電源オン状態に復帰し、画像形成装置10の状態は起動した状態となる。このとき、各プログラムは再起動させられず、RAM32に記憶されていた状態に復帰する。
【0046】
画像形成装置10の電源の状態が電源オン状態のときに電源ボタン24が押下されると、画像形成装置10の電源の状態は、電源オン状態から第1電源オフ状態又は第2電源オフ状態に移行する。例えば、画像形成装置10の電源の状態は、電源オン状態から副電源オフ状態又はサスペンド状態に移行する。この移行の処理については後で詳しく説明する。
【0047】
画像形成装置10の電源の状態が第1電源オフ状態又は第2電源オフ状態のときに電源ボタン24が押下されると、画像形成装置10の電源の状態は、第1電源オフ状態又は第2電源オフ状態から電源オン状態に移行する。画像形成装置10の電源の状態が副電源オフ状態のときに電源ボタン24が押下されると、画像形成装置10の電源の状態は、副電源オフ状態から電源オン状態に移行する。画像形成装置10の電源の状態がサスペンド状態のときに電源ボタン24が押下されると、画像形成装置10の電源の状態は、サスペンド状態から電源オン状態に移行する。具体的には、各デバイスの復帰処理と各プログラムの復帰処理が行われる。デバイスの復帰処理では、デバイスに電力が供給される。デバイスに電力が供給されて復帰が完了すると、当該デバイスの使用が可能となる。プログラムの復帰処理では、プログラムが起動させられる。その起動が完了すると、当該プログラムの使用が可能となる。サスペンド状態では、プログラムは、RAM32に記憶されている状態に復帰する。
【0048】
通信I/F26は、通信チップや通信回路等を有する通信インターフェースであり、他の装置に情報を送信する機能、及び、他の装置から情報を受信する機能を有する。通信I/F26は、近距離無線通信やWi-Fi(登録商標)等の無線通信機能を有してもよいし、有線通信機能を有してもよい。
【0049】
RTC28は、リアルタイムクロックであり、クロック源から時刻や年月日等の情報を生成して出力する。
【0050】
メモリ30は、データを記憶する1又は複数の記憶領域を構成する装置である。メモリ30は、RAM32と不揮発性メモリ34を含む。不揮発性メモリ34として、例えば、EEPROM又はフラッシュメモリ等が用いられる。また、メモリ30は、画像形成装置10を起動させるためのプログラムを記憶したBoot ROM(Read Only Memory)を含む。メモリ30は、更に、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、RAM32以外のメモリ、又は、その他の記憶装置(例えば光ディスク等)等を含んでもよい。
【0051】
プロセッサ36は、画像形成装置10の各部の動作を制御する。例えば、プロセッサ36は、印刷装置12による印刷を制御したり、画像読取装置14による画像の読み取りを制御したり、FAX装置16による情報の送受信を制御したり、通信I/F26による通信を制御したりする。
【0052】
また、プロセッサ36は、画像形成装置10の電源をオフにする操作が行われた場合(例えば電源ボタン24が押下された場合)、電源をオフにする操作が行われる前の画像形成装置10の利用状況に応じて、電源の状態を、第1電源オフ状態又は第2電源オフ状態に移行させる。
【0053】
例えば、以下の第1条件又は第2条件を満たす場合、プロセッサ36は、電源の状態を、プログラムの再起動を伴う第1電源オフ状態に移行させる。第1条件又は第2条件を満たさない場合、プロセッサ36は、電源の状態を、プログラムの再起動を伴わない第2電源オフ状態に移行させる。
【0054】
(第1条件)
画像形成装置10の電源がオンにされた後に(例えば電源ボタン24が押下された後に)、画像形成装置10によって実行される処理に対する操作が行われることなく、電源をオフにする操作が行われた場合、プロセッサ36は、電源の状態を第1電源オフ状態に移行させる。画像形成装置10によって実行される処理は、例えば、印刷、コピー、スキャン、FAX、ネットワークを用いたサービス、又は、その他のアプリケーション等である。処理に対する操作は、例えば、処理の実行の指示を与える操作や、処理に関する設定の操作等である。例えば、印刷ジョブやコピージョブ等のジョブが全く実行されることなく(例えば、ジョブの実行ボタンが押されることなく)、電源をオフにする操作が行われた場合、プロセッサ36は、電源の状態を第1電源オフ状態に移行させる。また、ジョブを設定する操作が行われることなく(例えば、設定画面を開いたり、設定画面上で操作が行われたりすることなく)、電源をオフにする操作が行われた場合、プロセッサ36は、電源の状態を第1電源オフ状態に移行させる。このような場合、画像形成装置10に発生した異常を解消するために、電源をオフにする操作が行われたと推測されるため、プロセッサ36は、電源の状態を、プログラムの再起動を伴う第1電源オフ状態に移行させる。
【0055】
(第2条件)
画像形成装置10の電源がオンにされた後、前回の電源オフ操作の前に行われた操作と同じ操作が行われ、その後、電源をオフにする操作が行われた場合、プロセッサ36は、電源の状態を、第1電源オフ状態に移行させる。同じ操作とは、同じ処理の実行の指示を与える操作や、同じ処理に対する設定の操作等である。例えば、同じジョブや同じアプリケーションの実行の指示が与えられ、その後、電源をオフにする操作が行われた場合、プロセッサ36は、電源の状態を、第1電源オフ状態に移行させる。このような場合、画像形成装置10に発生した異常を解消するために、電源をオフにする操作が行われたと推測されるため、プロセッサ36は、電源の状態を、プログラムの再起動を伴う第1電源オフ状態に移行させる。
【0056】
印刷装置12、画像読取装置14、FAX装置16、UI18、電源ボタン24、通信I/F26、RTC28、メモリ30及びプロセッサ36のそれぞれが、画像形成装置10を構成するデバイスの一例に相当する。
【0057】
以下、図2及び図3を参照して、画像形成装置10の動作について説明する。図2には、画像形成装置10に対する操作のタイミングが示されている。図2中の横軸は、時間を示している。図3には、画像形成装置10の動作の流れを示すフローチャートが示されている。
【0058】
図2に示すように、「操作A」、「オフ操作1」、「オン操作」、「操作無し又は操作B」、及び、「オフ操作2」が、これらの順番で行われている。
【0059】
「操作A」及び「操作B」は、画像形成装置10によって実行される処理に対する操作である。「操作B」は行われない場合がある。つまり、「オン操作」と「オフ操作2」との間では、処理に対する操作が行われない場合がある。
【0060】
「オン操作」は、画像形成装置10の電源をオンにする操作であり、例えば、電源ボタン24を押下する操作である。
【0061】
「オフ操作1」及び「オフ操作2」は、画像形成装置10の電源をオフにする操作であり、例えば、電源ボタン24を押下する操作である。
【0062】
以下、図3を参照して、図2に示されている操作を前提として、画像形成装置10の動作について説明する。
【0063】
図3には、「オフ操作2」以降に行われる処理が示されている。以下の説明では、「オフ操作2」を基準とすると、「オフ操作1」は「前回電源オフ操作」であり、「オフ操作2」は「今回電源オフ操作」である。「操作A」は、「前回電源オフ操作前に行われた操作」である。「操作B」は、「今回電源オフ操作前に行われた操作」である。
【0064】
また、「前回電源オフ操作前に行われた操作」を示す情報が、不揮発性メモリ34に記憶されている。ここでは、「操作A」を示す情報が、「前回電源オフ操作前に行われた操作」を示す情報として、不揮発性メモリ34に記憶されている。例えば、「前回電源オフ操作」である「オフ操作1」が行われたときに、「操作A」を示す情報が、「前回電源オフ操作前に行われた操作」を示す情報として、不揮発性メモリ34に記憶される。
【0065】
画像形成装置10の電源の状態が電源オン状態のときに、電源をオフにする操作がユーザによって行われる(S01)。具体的には、電源ボタン24がユーザによって押下される。ここでの電源オフ操作は、「オフ操作2」、つまり「今回電源オフ操作」である。
【0066】
電源をオフにする操作が行われると、プロセッサ36は、電源をオフする操作(つまり「オフ操作2」)の前に行われた操作を示す情報を、「今回電源オフ操作前に行われた操作」を示す情報として、不揮発性メモリ34に記憶させる(S02)。
【0067】
仮に、「オフ操作2」の前に「操作B」が行われていれば、「操作B」を示す情報が、「今回電源オフ操作前に行われた操作」を示す情報として、不揮発性メモリ34に記憶される。
【0068】
仮に、「オン操作」と「オフ操作2」との間で、処理に対する操作が行われていなければ、「操作無し」を示す情報が、「今回電源オフ操作前に行われた操作」を示す情報として、不揮発性メモリ34に記憶される。
【0069】
次に、プロセッサ36は、「今回電源オフ操作前に行われた操作」の有無を確認する(S03)。つまり、プロセッサ36は、画像形成装置10の電源がオンになって画像形成装置10が起動した後、電源をオフする操作が行われる前に、ジョブ等の処理に対して操作が行われたか否かを判断する。
【0070】
「今回電源オフ操作前に行われた操作」が無い場合(S03,無し)、処理はステップS04に移行する。つまり、「操作無し」を示す情報が、「今回電源オフ操作前に行われた操作」を示す情報として、不揮発性メモリ34に記憶されている場合、処理はステップS04に移行する。「今回電源オフ操作前に行われた操作」が無い場合は、上記の第1条件を満たす場合である。つまり、画像形成装置10の電源がオンになって画像形成装置10が起動した後、電源をオフにする操作が行われる前に、ジョブ等の処理に対して操作が行われなかった場合、処理はステップS04に移行する。
【0071】
一方、「今回電源オフ操作前に行われた操作」が有る場合(S03,有り)、処理はステップS09に移行する。つまり、「操作B」を示す情報が、「今回電源オフ操作前に行われた操作」を示す情報として、不揮発性メモリ34に記憶されている場合、処理はステップS09に移行する。
【0072】
以下、ステップS04以降の処理について説明する。
【0073】
プロセッサ36は、不揮発性メモリ34に記憶されている「前回電源オフ操作前に行われた操作」の内容を、「今回電源オフ操作前に行われた操作」の内容に更新する(S04)。これにより、「前回電源オフ操作前に行われた操作」を示す情報として、「操作無し」を示す情報が、不揮発性メモリ34に記憶される。
【0074】
次に、プロセッサ36は、第1電源オフ状態への移行処理を実行する(S05)。例えば、プロセッサ36は、電源の状態をオン状態から副電源オフ状態に移行させる。これにより、デバイス(つまりハードウェア)のリセットとプログラムの再起動とが行われる。例えば、RAM32に記憶されていた情報が消去される。
【0075】
電源の状態が第1電源オフ状態である場合に、電源をオンにする操作が行われると(例えば電源ボタン24が押下されると)(S06)、プロセッサ36は、第1電源オフ状態からの起動処理を実行する(S07)。これにより、画像形成装置10に含まれる各デバイスに電力が供給される。デバイスに電力が供給されて復帰が完了すると、当該デバイスの使用が可能となる。また、各プログラムが起動させられる。起動処理を実行することで、画像形成装置10が起動する(S08)。
【0076】
「今回電源オフ操作前に行われた操作」が無い場合、画像形成装置10に発生した異常を解消するために、電源をオフする操作(S01)がユーザによって行われたと推測される。異常が発生した場合、その異常を解消するために、電源のオフオン操作(つまり、電源をオフした直後に電源をオンにする操作)がユーザによって行われることが想定される。「今回電源オフ操作前に行われた操作」が無い状況は、電源のオフオン操作が行われる状況と同じ状況である。そのため、「今回電源オフ操作前に行われた操作」が無い場合、異常を解消するために電源をオフにしたことが推測され、プロセッサ36は、電源の状態を第1電源オフ状態に移行させている。
【0077】
ステップS05にて、デバイスのリセットとプログラムの再起動とが行われるため、例えば、プログラムの再起動によって解消し得る異常が画像形成装置10に発生している場合、当該異常が解消される。また、デバイスのリセットによって解消し得る異常が画像形成装置10に発生している場合、当該異常が解消される。
【0078】
以下、ステップS09以降の処理について説明する。
【0079】
プロセッサ36は、「今回電源オフ操作前に行われた操作」の内容と「前回電源オフ操作前に行われた操作」の内容とが同じであるか否かを判断する(S09)。
【0080】
「今回電源オフ操作前に行われた操作」の内容と「前回電源オフ操作前に行われた操作」の内容とが同じである場合(S09,同じ)、処理はステップS04に移行する。「今回電源オフ操作前に行われた操作」の内容と「前回電源オフ操作前に行われた操作」の内容とが同じ場合は、上記の第2条件を満たす場合である。
【0081】
例えば、「今回電源オフ操作前に行われた操作」である「操作B」が、「前回電源オフ操作前に行われた操作」である「操作A」と同じ操作である場合、処理はステップS04に移行する。プロセッサ36は、第1電源オフ状態への移行処理を実行する(S05)。これにより、デバイス(つまりハードウェア)のリセットとプログラムの再起動とが行われる。ステップS06~S08の処理については説明済であるため、その説明は省略する。
【0082】
「今回電源オフ操作前に行われた操作」の内容と「前回電源オフ操作前に行われた操作」の内容とが同じである場合が、上記の第2条件を満たす場合である。つまり、画像形成装置10の電源がオンにされた後、前回の電源オフ操作の前に行われた操作と同じ操作が行われ、その後、電源をオフにする操作が行われた場合、処理はステップS04に移行する。「今回電源オフ操作前に行われた操作」の内容と「前回電源オフ操作前に行われた操作」の内容とが同じである場合、画像形成装置10に発生した異常を解消するために、電源をオフにする操作(S01)がユーザによって行われたと推測される。つまり、2回続けて同じ操作を行った場合、異常によって処理が実行されなかったと推測され、その異常を解消するために、電源をオフにする操作がユーザによって行われたと推測される。そのため、プロセッサ36は、電源の状態を第1電源オフ状態に移行させている。
【0083】
ステップS05にて、デバイスのリセットとプログラムの再起動とが行われるため、例えば、プログラムの再起動によって解消し得る異常が画像形成装置10に発生している場合、当該異常が解消される。また、デバイスのリセットによって解消し得る異常が画像形成装置10に発生している場合、当該異常が解消される。
【0084】
「今回電源オフ操作前に行われた操作」の内容と「前回電源オフ操作前に行われた操作」の内容とが同じではない場合(S09,同じではない)、処理はステップS10に移行する。例えば、「今回電源オフ操作前に行われた操作」である「操作B」が、「前回電源オフ操作前に行われた操作」である「操作A」と異なる操作である場合、処理はステップS10に移行する。
【0085】
プロセッサ36は、不揮発性メモリ34に記憶されている「前回電源オフ操作前に行われた操作」の内容を、「今回電源オフ操作前に行われた操作」の内容に更新する(S10)。これにより、「前回電源オフ操作前に行われた操作」を示す情報として、「操作B」を示す情報が、不揮発性メモリ34に記憶される。
【0086】
次に、プロセッサ36は、第2電源オフ状態への移行処理を実行する(S11)。例えば、プロセッサ36は、電源の状態をオン状態からサスペンド状態に移行させる。
【0087】
第2電源オフ状態(つまりサスペンド状態)においては、電源ボタン24の押下を検出するためのデバイスとRAM32のみに電力が供給される。RAM32には、データを保持するために必要な電力が供給される。電源の状態が電源オン状態からサスペンド状態に移行するときに、電源の状態がサスペンド状態に移行する前に実行されていた各プログラムの状態(つまり、電源ボタン24を押下する前に実行されていた各プログラムの状態)を示す情報が、RAM32に記憶される。
【0088】
電源の状態が第2電源オフ状態である場合に、電源をオンにする操作が行われると(例えば電源ボタン24が押下されると)(S12)、プロセッサ36は、第2電源オフ状態からの起動処理を実行する(S13)。これにより、画像形成装置10に含まれる各デバイスに電力が供給される。デバイスに電力が供給されて復帰が完了すると、当該デバイスの使用が可能となる。各プログラムは再起動させられず、RAM32に記憶されていた状態に復帰する。起動処理を実行することで、画像形成装置10が起動する(S08)。第2電源オフ状態から電源オン状態に復帰するため、第1電源オフ状態から電源オン状態に復帰する場合と比べて、その復帰に要する時間が短くなる。
【0089】
上記の第1条件又は第2条件を満たさない場合、画像形成装置10に発生した異常を解消するために電源をオフにしたとは想定されない。この場合に、電源の状態を第2電源オフ状態に移行させることで、第1電源オフ状態からの復帰と比べて高速起動が可能となる。
【0090】
(第1条件に関する変形例)
プロセッサ36は、以下に説明する、第1条件を変更した条件に従って、電源の状態を第1電源オフ状態に移行させてもよい。
【0091】
画像形成装置10の電源がオンにされた後、予め定められた時間以内に、画像形成装置10によって実行される処理(例えばジョブ等)に対する操作が行われることなく、電源をオフにする操作が行われた場合、プロセッサ36は、電源の状態を第1電源オフ状態に移行させてもよい。例えば、当該予め定められた時間以内に、ジョブ等の処理の実行の指示が与えられなかった場合や、処理の設定のための操作が行われた場合、プロセッサ36は、電源の状態を第1電源オフ状態に移行させる。
【0092】
図3を参照して説明すると、画像形成装置10の電源がオンにされた後、予め定められた時間以内に、電源をオフにする操作(S10)が行われ、かつ、「今回電源オフ操作前に行われた操作」が無い場合(S03,無し)、プロセッサ36は、電源の状態を第1電源オフ状態に移行させる。
【0093】
予め定められた時間以内に、処理に対する操作が行われることなく、電源をオフにする操作が行われた場合、その電源をオフにする操作は、画像形成装置10に発生した異常を解消するための操作であることが推測される。そのため、プロセッサ36は、電源の状態を第1電源オフ状態に移行させる。
【0094】
(第2条件の具体例1)
第2条件に係る「同じ操作」、つまり、前回の電源オフ操作の前に行われた操作と「同じ操作」は、例えば、同じ処理の実行の指示である。具体的には、同じジョブ(例えば印刷ジョブやコピージョブ等)や同じアプリケーションの実行の指示が、「同じ操作」の一例である。
【0095】
例えば、「今回電源オフ操作前に行われた操作」が印刷ジョブであり、「前回電源オフ操作前に行われた操作」が印刷ジョブである場合(S09,同じ)、処理はステップS04に移行する。この場合、電源の状態は、第1電源オフ状態に移行する。
【0096】
一方、「今回電源オフ操作前に行われた操作」が印刷ジョブであり、「前回電源オフ操作前に行われた操作」がコピージョブである場合(S09,同じではない)、処理はステップS10に移行する。この場合、電源の状態は、第2電源オフ状態に移行する。
【0097】
(第2条件の具体例2)
第2条件に係る「同じ操作」は、同じカテゴリに属する処理の実行の指示であってもよい。同じカテゴリに属する処理とは、共通の技術を用いる処理である。
【0098】
例えば、「Scan To Emailサービス」は、画像読取装置14によるスキャンによって生成された画像データを、電子メールによって宛先に送信するサービスである。
【0099】
また、「Scan To Boxサービス」は、画像読取装置14によるスキャンによって生成された画像データは、指定された記憶領域(例えば、フォルダ等)に記憶させるサービスである。指定された記憶領域は、画像形成装置10に含まれる記憶装置等に形成される。
【0100】
また、「Scan To PCサービス」は、画像読取装置14によるスキャンによって生成された画像データを、指定されたパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称す。)やスマートフォン等の端末装置に送信するサービスである。
【0101】
「Scan To Emailサービス」、「Scan To Boxサービス」及び「Scan To PCサービス」は、いずれも、画像読取装置14によるスキャンという共通の技術を用いる処理であるため、同じカテゴリ(例えばスキャン系)に属する処理である。
【0102】
例えば、「PCから画像データを取得して印刷するサービス」は、印刷装置12による印刷によって実現される。同様に、「クラウドサーバに記憶されている画像データを取得して印刷するサービス」は、印刷装置12による印刷によって実現される。このように、これらのサービスは、いずれも、印刷装置12による印刷という共通の技術を用いる処理であるため、同じカテゴリ(例えば印刷系)に属する処理である。
【0103】
例えば、「今回電源オフ操作前に行われた操作」が「Scan To Emailサービス」であり、「前回電源オフ操作前に行われた操作」が「Scan To Boxサービス」である場合(S09,同じ)、処理はステップS04に移行する。この場合、電源の状態は、第1電源オフ状態に移行する。
【0104】
一方、「今回電源オフ操作前に行われた操作」が「Scan To Emailサービス」であり、「前回電源オフ操作前に行われた操作」が「PCから画像データを取得して印刷するサービス」である場合(S09,同じではない)、処理はステップS10に移行する。この場合、電源の状態は、第2電源オフ状態に移行する。
【0105】
(第2条件の具体例3)
上記の「同じカテゴリに属する処理」は、共通のデバイスを利用する処理であってもよい。
【0106】
例えば、「Scan To Emailサービス」と「クラウドサーバに記憶されている画像データを取得して印刷するサービス」は、通信I/F26という共通のデバイスを利用する処理である。そのため、これらの処理は、同じカテゴリに属する処理である。
【0107】
一方、「Scan To Boxサービス」(例えば、スキャンによって生成された画像データを外部装置に送信せずに画像形成装置10に記憶させるサービス)と、「印刷」とは、共通のデバイスを利用しない処理である。「Scan To Boxサービス」では、画像読取装置14が用いられ、「印刷」では、印刷装置12と通信I/F26が用いられる。また、ここでの「Scan To Boxサービス」では、画像データは画像形成装置10に記憶されるので、通信I/F26が用いられない。このように、これらの処理は、共通のデバイスを利用しない。
【0108】
例えば、「今回電源オフ操作前に行われた操作」が「Scan To Emailサービス」であり、「前回電源オフ操作前に行われた操作」が「クラウドサーバに記憶されている画像データを取得して印刷するサービス」である場合(S09,同じ)、処理はステップS04に移行する。この場合、電源の状態は、第1電源オフ状態に移行する。
【0109】
一方、「今回電源オフ操作前に行われた操作」が、画像データを画像形成装置10に記憶させる「Scan To Boxサービス」であり、「前回電源オフ操作前に行われた操作」が「印刷」である場合(S09,同じではない)、処理はステップS10に移行する。この場合、電源の状態は、第2電源オフ状態に移行する。
【0110】
以下、具体的な実施例について説明する。
【0111】
(実施例1)
例えば、画像形成装置10のプログラムにてメモリリークが発生しているが、画像形成装置10においては、メモリリークの発生は認識されていない。画像形成装置10は稼働しているが、メモリリークに起因してパフォーマンスが低下している。
【0112】
ユーザは、画像形成装置10を利用しているときにパフォーマンスが低下していることに気づき、画像形成装置10に発生している異常を解消させるために、電源のオフオン操作を行った。
【0113】
上記の第1条件又は第2条件を満たしておらず、画像形成装置10の電源の状態は、第2電源オフ状態に移行した。その後、電源をオンにする操作が行われ、画像形成装置10は起動した。第2電源オフ状態からの復帰であるため、プログラムは再起動されず、メモリリークは解消されなかった。
【0114】
その後、ユーザは、UI18を操作しているときに、パフォーマンスの低下が解消していないことに気づき、再び、電源のオフオン操作を行った。電源がオンにされた後、ジョブ等に対する操作が行われずに、電源のオフオン操作が行われた。つまり、この状況は、第1条件を満たす状況である。この場合、プロセッサ36は、ユーザが異常を解消するために電源ボタン24を操作したと判断し、電源の状態を第1電源オフ状態へ移行させた。これにより、デバイスのリセットとプログラムの再起動とが行われ、メモリリークが解消した。
【0115】
その後、ユーザが、電源をオンにする操作を行うことで画像形成装置10を起動させ、メモリリークに起因するパフォーマンスの低下が解消したことを確認し、画像形成装置10を利用した。
【0116】
(実施例2)
画像形成装置10のデバイスに異常が発生し、ネットワークケーブルを画像形成装置10に接続しても、その接続が認識されない状態となっていた。
【0117】
ユーザが、UI18を操作して、Scan To Emailサービス(つまり、画像読取装置14によるスキャンによって生成された画像データを電子メールによって宛先に送信するサービス)の実行を指示したが、ネットワークに接続できないため、Scan To Emailサービスが実行されなかった。このときの「Scan To Emailサービスの実行の指示」が、「前回電源オフ操作前に行われた操作」(例えば「操作A」)に相当する。
【0118】
ユーザは、ネットワークケーブルが物理的に接続されていることを確認し、画像形成装置10に異常が発生していると判断して、電源のオフオン操作を行った。このときの「電源のオフオン操作」が、「オフ操作1」と「オン操作」との組み合わせに相当する。
【0119】
上記の第1条件又は第2条件を満たしておらず、また、異常が検出されないため、画像形成装置10の電源の状態は、第2電源オフ状態に移行した。その後、電源をオンにする操作が行われ、画像形成装置10は起動した。第2電源オフ状態からの復帰であるため、デバイスはリセットされず、ネットワークの異常は解消されなかった。
【0120】
電源のオフオン操作の後、異常が解消したと考えたユーザは、再びScan To Emailサービスの実行を指示した。しかし、異常は解消されておらず、Scan To Emailサービスは実行されなかった。このときの「Scan To Emailサービスの実行の指示」が、「今回電源オフ操作前に行われた操作」(例えば「操作B」)に相当する。
【0121】
その後、ユーザは、電源をオフにする操作を行った。このときの「電源をオフにする操作」が、「オフ操作2」に相当する。
【0122】
「前回電源オフ操作前に行われた操作」が「Scan To Emailサービスの実行の指示」であることを示す情報が、不揮発性メモリ34に記憶されており、「今回電源オフ操作前に行われた操作」の内容も、その操作と同じ「Scan To Emailサービスの実行の指示」である。その「Scan To Emailサービスの実行の指示」の後に電源をオフにする操作が行われている。そのため、プロセッサ36は、ユーザが異常を解消するために電源ボタン24を操作したと判断し、電源の状態を第1電源オフ状態へ移行させた。これにより、デバイスのリセットとプログラムの再起動とが行われ、デバイスに発生していた異常が解消された。
【0123】
その後、ユーザが、電源をオンにする操作を行うことで画像形成装置10を起動させ、「Scan To Emailサービス」の実行を指示した。「Scan To Emailサービス」が正常に実行され、ユーザによって、処理が正常に実行されたことが確認された。
【0124】
上述した実施例1,2は一例に過ぎず、実施例1又は実施例2と同様の状況であっても、第1条件又は第2条件を満たす場合には、電源の状態は第1電源オフ状態に移行する。これにより、画像形成装置10に発生していた異常が解消され得る。
【0125】
画像形成装置10の各機能は、一例としてハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。例えば、画像形成装置10のプロセッサ36が、メモリ30に記憶されているプログラムを読み出して実行することで、画像形成装置10の各機能が実現される。プログラムは、CD又はDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、メモリに記憶される。
【0126】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0127】
(付記)
(((1)))
プロセッサを有し、
自装置の電源の状態として、プログラムの再起動を伴う第1電源オフ状態とプログラムの再起動を伴わない第2電源オフ状態とが定められており、
前記プロセッサは、
自装置の電源をオフにする操作が行われた場合、電源をオフにする操作が行われる前の自装置の利用状況に応じて、電源の状態を、前記第1電源オフ状態又は前記第2電源オフ状態に移行させる、
情報処理装置。
(((2)))
前記プロセッサは、
自装置の電源がオンにされた後に、自装置によって実行される処理に対する操作が行われることなく、電源をオフにする操作が行われた場合、電源の状態を、前記第1電源オフ状態に移行させる、
(((1)))に記載の情報処理装置。
(((3)))
前記プロセッサは、
自装置の電源がオンにされた後、予め定められた時間以内に、前記処理に対する操作が行われることなく、電源をオフにする操作が行われた場合、電源の状態を、前記第1電源オフ状態に移行させる、
(((2)))に記載の情報処理装置。
(((4)))
前記プロセッサは、
自装置の電源がオンにされた後に、前回の電源オフ操作の前に行われた操作と同じ操作が行われ、その後、電源をオフにする操作が行われた場合、電源の状態を、前記第1電源オフ状態に移行させる、
(((1)))に記載の情報処理装置。
(((5)))
前記同じ操作は、同じ処理の実行の指示である、
(((4)))に記載の情報処理装置。
(((6)))
前記同じ操作は、同じカテゴリに属する処理の実行の指示である、
(((4)))記載の情報処理装置。
(((7)))
前記同じカテゴリに属する処理は、共通のデバイスを利用する処理である、
(((6)))に記載の情報処理装置。
(((8)))
電源の状態として、プログラムの再起動を伴う第1電源オフ状態と、プログラムの再起動を伴わない第2電源オフ状態とが定められている装置を制御するコンピュータが、
前記装置の電源をオフにする操作が行われた場合、電源をオフにする操作が行われる前の前記装置の利用状況に応じて、電源の状態を、前記第1電源オフ状態又は前記第2電源オフ状態に移行させる、
ように動作させるプログラム。
【0128】
(((1))),(((2))),(((3))),(((4)))に係る情報処理装置、又は、(((8)))に係るプログラムによれば、装置の電源の状態として、プログラムの再起動を伴う第1電源オフ状態とプログラムの再起動を伴わない第2電源オフ状態とが定められている場合において、電源をオフにする操作が行われた場合に、装置に発生している異常を解消することができる。
(((5)))に係る情報処理装置によれば、同じ処理の実行の指示が与えられた場合に、装置に発生している異常を解消することができる。
(((6)))に係る情報処理装置によれば、同じカテゴリに属する処理の実行の指示が与えられた場合に、装置に発生している異常を解消することができる。
(((7)))に係る情報処理装置によれば、共通のデバイスを利用する処理の実行の指示が与えられた場合に、装置に発生している異常を解消することができる。
【符号の説明】
【0129】
10 画像形成装置、24 電源ボタン、30 メモリ、34 不揮発性メモリ、36 プロセッサ。
図1
図2
図3