(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004739
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】カラオケ用プログラム及び通信端末
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20240110BHJP
G10K 15/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
G10K15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104524
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 紀久
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208BA10
5D208CA02
5D208CA11
5D208CG00
(57)【要約】
【課題】移動体通信サービスを利用してカラオケ歌唱する際に、電界強度が悪い地域を通過している最中でもカラオケ歌唱することができる。
【解決手段】通信端末のカラオケ用プログラムが、走行経路の各地点の通過予定時刻を取得し、走行地域の電界強度マップを取得し、各地点の通過予定時刻及び電界強度マップから電界強度が所定値以下の走行時間帯を予測し、歌唱予定の楽曲に当該楽曲の再生開始時刻を関連付けて登録リストに登録し、楽曲の再生時間帯と電界強度が所定値以下の走行時間帯とが重複するダウンロード配信楽曲を特定し、カラオケサーバからダウンロードしたダウンロード配信楽曲の楽曲データをメモリに記憶し、ダウンロード配信楽曲の場合にメモリに記憶された楽曲データを再生し、ストリーミング配信楽曲の場合にカラオケサーバからストリーミング配信される楽曲データを再生する各ステップを通信端末に実行させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲データをストリーミング配信及びダウンロード配信可能なカラオケサーバに無線接続された通信端末のカラオケ用プログラムであって、
現在地から目的地までの走行経路の各地点の通過予定時刻を取得するステップと、
走行地域における電界強度の分布を示す電界強度マップを取得するステップと、
各地点の通過予定時刻及び電界強度マップから電界強度が所定値以下の走行時間帯を予測するステップと、
走行経路の移動中に歌唱予定の楽曲に当該楽曲の再生開始時刻を関連付けて登録リストに登録するステップと、
楽曲の再生時間帯と電界強度が所定値以下の走行時間帯とが重複する楽曲をダウンロード配信楽曲として特定するステップと、
ダウンロード配信楽曲の再生開始時刻よりも前に、前記カラオケサーバからダウンロード配信された楽曲データをメモリに記憶するステップと、
前記登録リストに登録された楽曲がダウンロード配信楽曲の場合に、前記メモリに記憶された楽曲データを再生し、前記登録リストに登録された楽曲がダウンロード配信楽曲ではない場合に、前記カラオケサーバからストリーミング配信される楽曲データを再生するステップと、を前記通信端末に実行させることを特徴とするカラオケ用プログラム。
【請求項2】
ダウンロード配信楽曲の再生開始時刻よりも前の時刻であり、かつ電界強度が所定値以下の走行時間帯以外の時刻をダウンロード開始時刻として決定するステップを備え、
前記記憶するステップは、ダウンロード開始時刻になったときに前記カラオケサーバからダウンロード配信された楽曲データを前記メモリに記憶することを特徴とする請求項1に記載のカラオケ用プログラム。
【請求項3】
楽曲データをストリーミング配信及びダウンロード配信可能なカラオケサーバに無線接続された通信端末であって、
現在地から目的地までの走行経路の各地点の通過予定時刻を取得する第1の取得部と、
走行地域における電界強度の分布を示す電界強度マップを取得する第2の取得部と、
各地点の通過予定時刻及び電界強度マップから電界強度が所定値以下の走行時間帯を予測する予測部と、
走行経路の移動中の歌唱予定の楽曲に当該楽曲の再生開始時刻を関連付けて登録リストに登録する登録部と、
楽曲の再生時間帯と電界強度が所定値以下の走行時間帯とが重複する楽曲をダウンロード配信楽曲として特定する特定部と、
ダウンロード配信楽曲の再生開始時刻よりも前に、前記カラオケサーバからダウンロード配信された楽曲データをメモリに記憶する記憶制御部と、
前記登録リストに登録された楽曲がダウンロード配信楽曲の場合に、前記メモリに記憶された楽曲データを再生し、前記登録リストに登録された楽曲がダウンロード配信楽曲ではない場合に、前記カラオケサーバからストリーミング配信される楽曲データを再生する再生部と、を備えていることを特徴とする通信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ用プログラム及び通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、5G(5th Generation)等の移動体通信サービスが登場しており、車載装置やスマートフォン等の移動端末に大容量のデータが提供可能であるが、電界強度の悪化に起因して移動中に通信が切断される場合がある。そこで、電界強度マップを参照しながら走行経路を決定する通信サービスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の通信サービスは、車両の走行経路と電界強度マップから、ダウンロードの予定時刻の通過地点の電界強度が悪化することが予想される場合に、十分な電界強度が得られるように走行経路を修正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、移動体通信サービスを利用して、スマートフォンやタブレット等で楽曲をストリーミング再生し、カラオケ歌唱しながら目的地までドライブしたいといった要望がある。しかしながら、走行中に電界強度が悪化してストリーミング再生が途切れると、ドライブ中にカラオケ歌唱を存分に楽しむことができない。また、特許文献1に記載の通信サービスでは、ストリーミング再生を前提としていないため、常に電波が届く地域を車両が通過するように走行経路が頻繁に修正されて煩わしい。
【0005】
本発明の目的は、移動体通信サービスを利用してカラオケ歌唱する際に、電界強度が悪い地域を通過している最中でもカラオケ歌唱することができるカラオケ用プログラム及び通信端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、楽曲データをストリーミング配信及びダウンロード配信可能なカラオケサーバに無線接続された通信端末のカラオケ用プログラムであって、現在地から目的地までの走行経路の各地点の通過予定時刻を取得するステップと、走行地域における電界強度の分布を示す電界強度マップを取得するステップと、各地点の通過予定時刻及び電界強度マップから電界強度が所定値以下の走行時間帯を予測するステップと、走行経路の移動中に歌唱予定の楽曲に当該楽曲の再生開始時刻を関連付けて登録リストに登録するステップと、楽曲の再生時間帯と電界強度が所定値以下の走行時間帯とが重複する楽曲をダウンロード配信楽曲として特定するステップと、ダウンロード配信楽曲の再生開始時刻よりも前に、前記カラオケサーバからダウンロード配信された楽曲データをメモリに記憶するステップと、前記登録リストに登録された楽曲がダウンロード配信楽曲の場合に、前記メモリに記憶された楽曲データを再生し、前記登録リストに登録された楽曲がダウンロード配信楽曲ではない場合に、前記カラオケサーバからストリーミング配信される楽曲データを再生するステップと、を前記通信端末に実行させることを特徴とするカラオケ用プログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、走行経路に沿って走行中に電界強度が所定値以下になる走行時間帯が予測され、この走行時間帯に再生される楽曲データについては再生開始時刻よりも前にカラオケサーバから通信端末にダウンロード配信されている。よって、電界強度が良好な地域を走行中はストリーミング配信される楽曲データが再生され、電界強度が悪い地域を走行中は事前にダウンロード配信された楽曲データが再生される。電界強度が悪い地域を通過している最中でも、楽曲データの再生が途切れることがなくカラオケ歌唱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態のカラオケシステムの構成図である。
【
図2】本実施形態のカラオケシステムの機能ブロック図である。
【
図3】本実施形態の走行中の電界強度の変化の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態のカラオケ用プログラムのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から
図3を参照して、本実施形態のカラオケシステムについて説明する。
図1は、本実施形態のカラオケシステムの構成図である。
図2は、本実施形態のカラオケシステムの機能ブロック図である。
図3は、本実施形態の走行中の電界強度の変化の一例を示す図である。なお、
図2の機能ブロック図には、説明の便宜上、特定処理を実現するための機能ブロックを図示しているが、カラオケシステムが通常備える構成については備えているものとする。
【0010】
図1に示すように、カラオケシステム1は、移動体通信ネットワーク5を介してカラオケサーバ2と車両3の通信端末4が通信可能に無線接続されている。カラオケサーバ2には、例えばMP3形式のオーディオデータから成る楽曲データが楽曲データベースによって管理されている。楽曲データベースには楽曲IDと楽曲データの格納先が関連付けられている。カラオケサーバ2は、カラオケ用プログラムの起動中の通信端末4からの配信要求に応じて、配信要求に含まれる楽曲IDの楽曲データをストリーミング配信及びダウンロード配信可能に構成されている。
【0011】
通信端末4はスマートフォンやタブレット等の携帯端末であり、通信端末4には事前にカラオケ用プログラム及びカーナビ用プログラムがインストールされている。通信端末4のカラオケ用プログラム及びカーナビ用プログラムが起動されると、カラオケ用プログラム及びカーナビ用プログラムが連携して、ドライブ中にカラオケサーバ2から通信端末4に楽曲データが配信されて車内カラオケサービスが提供される。車内カラオケサービスの提供によって車内の利用者が現在地から目的地に到着するまでカラオケ歌唱しながらドライブすることができる。
【0012】
利用者によってカラオケ用プログラムのログイン画面にユーザIDとパスワードが入力されると、通信端末4からカラオケサーバ2にユーザIDとパスワードを含むログイン要求が送信される。カラオケサーバ2にユーザ認証されることで利用者がカラオケサーバ2にログインされる。また、利用者によってカーナビ用プログラムのメニュー画面からルート検索が選択されると、目的の地名の入力やマップ上の目的地付近のタップによって現在地から目的地までの走行経路が設定される。なお、複数の走行経路が提示され、複数の走行経路の中から走行経路が選択されてもよい。
【0013】
図2に示すように、通信端末4には、第1の取得部11と、第2の取得部12と、予測部13と、登録部14と、特定部15と、決定部16と、記憶制御部17と、再生部18と、が設けられている。第1の取得部11は、現在地から目的地までの走行経路の各地点の通過予定時刻を取得する。この場合、カーナビ用プログラムでは走行距離、道路の種類、渋滞状況等に応じて各地点の通過予定時刻が算出され、第1の取得部11によってカーナビ用プログラムから各地点の通過予定時刻が取得される。なお、本実施形態では、通過予定時刻が出発時刻からの相対時刻で設定されるが、通過予定時刻が絶対時刻で設定されてもよい。
【0014】
第2の取得部12は、走行地域における電界強度の分布を示す電界強度マップを取得する。この場合、電界強度マップは通信事業者によって作成されており、第2の取得部12によって通信事業者のウェブサイト等から電界強度マップが取得される。一般に電界強度マップでは走行地域における電界強度が色やパターンの違いで表されている。例えば、特開2021-135100号公報では、弱電界地域が網掛けで表され、強電界地域が黒塗りで表されている。なお、電界強度マップは、走行地域の電界強度の分布が表されていれば、どのような形態で表されてもよい。
【0015】
予測部13は、各地点の通過予定時刻及び電界強度マップから電界強度が所定値以下の走行時間帯を予測する。この場合、予測部13によって走行経路の各地点と電界強度マップが照らし合わされて、走行経路の電界強度が所定値以下になる地点が特定される。これにより、走行中に電界強度が所定値以下になってストリーミング配信に不向きな走行区間が特定され、この走行区間を通過しているときの走行時間帯、すなわち走行区間の開始時刻と終了時刻が求められる。なお、所定値には過去データ等から実験的、経験的、理論的に求められた電界強度の値が設定されてもよい。
【0016】
具体的には、表1に示すように、出発から到着までの「60分20秒」を要する場合に、出発時刻からの相対時刻に基づいて電界強度が所定値以下になる走行区間の開始時刻と終了時刻が予測される。ここでは、「8分20秒~9分40秒」、「22分30秒~25分0秒」、「31分10秒~33分40秒」、「44分20秒~48分30秒」の走行時間帯に電界強度が所定値以下になると予測される。また、
図3に示すように、出発から到着までの走行時間のうち、電界強度が所定値よりも高い時間帯を白色とし、電界強度が所定値以下の時間帯を黒色として帯状に表すこともできる。
【表1】
【0017】
登録部14は、走行経路の移動中の歌唱予定の楽曲に当該楽曲の再生開始時刻を関連付けて登録リスト21に登録する。この場合、利用者によって通信端末4の検索画面から楽曲が検索されて楽曲が選曲されることで、登録部14によって登録リスト21に楽曲IDが順番に登録される。このとき、出発時刻からの相対時刻と楽曲の再生時間から求めた楽曲の再生開始時刻が楽曲IDに関連付けられる。また、次の楽曲の再生までの曲間時間(例えば5秒)が設定され、各楽曲の再生開始時刻には曲間時間も加味されている。このように、利用者が現在地から目的地までの間にカラオケ歌唱したい楽曲が登録される。
【0018】
具体的には、表2に示すように、曲間時間が「5秒」であるため、1曲目の再生開始時刻が「0分5秒」になる。1曲目の再生時間が「4分20秒」であるため、2曲目の再生開始時刻が「4分30秒」になる。2曲目の再生時間が「5分50秒」であるため、3曲目の再生開始時刻が「10分25秒」になる。以下、楽曲の再生開始時刻に当該楽曲の再生時間と曲間時間が加わることで次の楽曲の再生開始時刻が求められる。なお、登録部14によって到着時刻を超えないように楽曲の登録数が制限されることが望ましい。これにより、利用者が登録リスト21上の全楽曲をカラオケ歌唱できる。
【表2】
【0019】
特定部15は、楽曲の再生時間帯と電界強度が所定値以下の走行時間帯とが重複する楽曲をダウンロード配信楽曲として特定する。この場合、特定部15によって各楽曲の再生開始時刻と再生時間から再生終了時刻が求められ、再生開始時刻から再生終了時刻までの再生時間帯が求められる。そして、特定部15によって各楽曲の再生時間帯とストリーミング配信に不向きな走行時間帯とが照らし合わされ、走行時間帯に再生時間帯が重複する楽曲がダウンロード配信楽曲として特定される。登録リスト21においてダウンロード配信楽曲の楽曲IDに関連付けてダウンロード配信楽曲を示すフラグが設定される。
【0020】
具体的には、楽曲ID「ID****X1」の再生時間帯が「0分5秒~4分25秒」、楽曲ID「ID****X2」の再生時間帯が「4分30秒~10分20秒」、楽曲ID「ID****X3」の再生時間帯が「10分25秒~15分40秒」、楽曲ID「ID****X4」の再生時間帯が「15分45秒~20分25秒」、楽曲ID「ID****X5」の再生時間帯が「20分30秒~25分50秒」、楽曲ID「ID****X6」の再生時間帯が「25分55秒~31分50秒」、楽曲ID「ID****X7」の再生時間帯が「31分55秒~37分20秒」、楽曲ID「ID****X8」の再生時間帯が「37分25秒~42分55秒」、楽曲ID「ID****X9」の再生時間帯が「43分0秒~48分50秒」、楽曲ID「ID****X10」の再生時間帯が「48分55秒~55分5秒」、楽曲ID「ID****X11」の再生時間帯が「55分10秒~60分0秒」になっている。
【0021】
そして、ストリーミング配信に不向きな走行時間帯「8分20秒~9分40秒」、「22分30秒~25分0秒」、「31分10秒~33分40秒」、「44分20秒~48分30秒」に再生時間帯が重複するダウンロード配信楽曲が特定される。ここでは、表3に示すように、楽曲ID「ID****X2」、楽曲ID「ID****X5」、楽曲ID「ID****X6」、楽曲ID「ID****X7」、楽曲ID「ID****X9」がダウンロード配信楽曲として特定される。登録リスト21にはダウンロード配信楽曲の楽曲IDにフラグ「1」が設定され、ダウンロード配信楽曲以外のストリーミング配信楽曲の楽曲IDにフラグ「0」が設定されている。
【表3】
【0022】
決定部16は、ダウンロード配信楽曲のダウンロード開始時刻を決定する。この場合、決定部16によってダウンロード配信楽曲の再生開始時刻よりも前の時刻であり、かつ電界強度が所定値以下の走行時間帯以外の時刻がダウンロード開始時刻として決定される。具体的には、楽曲ID「ID****X2」については、再生開始時刻の「4分30秒」よりも前の時刻であり、電界強度が所定値よりも高い「8分20秒」までの時間帯でダウンロード開始時刻が決定される。このとき、ダウンロード配信楽曲のデータ量に応じたダウンロード時間を考慮して、電界強度が所定値よりも高い時間帯にダウンロードが完了するようにダウンロード開始時刻が決定されることが望ましい。
【0023】
具体的には、表4に示すように、楽曲ID「ID****X2」のダウンロード開始時刻が「3分30秒」、楽曲ID「ID****X5」のダウンロード開始時刻が「18分35秒」、楽曲ID「ID****X6」のダウンロード開始時刻が「20分35秒」、楽曲ID「ID****X7」のダウンロード開始時刻が「29分15秒」、楽曲ID「ID****X9」のダウンロード開始時刻が「41分0秒」になっている。なお、ダウンロード開始時刻はダウンロード配信楽曲の再生開始時刻よりも前であればよく、例えば出発直後にダウンロードが開始されてもよい。
【表4】
【0024】
記憶制御部17は、ダウンロード配信楽曲の再生開始時刻よりも前に、カラオケサーバ2からダウンロード配信された楽曲データを記憶する。この場合、ダウンロード開始時刻になったときに、記憶制御部17によってカラオケサーバ2にダウンロード配信楽曲の楽曲IDを含むダウンロード配信要求が送信される。カラオケサーバ2ではダウンロード配信要求に応じて楽曲データベースが参照されて、カラオケサーバ2から記憶制御部17にダウンロード配信楽曲の楽曲データがダウンロード配信される。そして、記憶制御部17によって楽曲データが楽曲IDに関連付けられてメモリ22に記憶される。
【0025】
なお、通信端末4には車両3の出発時刻からの相対時刻を計時するタイマーが設けられている。タイマーによってダウンロード配信時刻が計時されたことを契機に、記憶制御部17によってダウンロード配信要求の送信処理やダウンロード配信楽曲の楽曲データの記憶処理等が実施される。通信端末4のGPS機能によって通信端末4(車両3)の移動が検知された時点からタイマーの計時が開始されてもよいし、カーナビ用プログラムのメニュー画面の「運行開始」等のボタンが利用者によってタップされた時点からタイマーの計時が開始されてもよい。
【0026】
再生部18は、登録リスト21に登録された楽曲がダウンロード配信楽曲の場合に、メモリ22に記憶された楽曲データを再生する。また、再生部18は、登録リスト21に登録された楽曲がダウンロード配信楽曲ではない場合に、カラオケサーバ2からストリーミング配信される楽曲データを再生する。この場合、再生部18によって登録リスト21の先頭から楽曲ID及びフラグが読み出されて、フラグに基づいて楽曲データの配信形式が判断される。ダウンロード配信楽曲の楽曲データの場合には、再生開始時刻に再生部18によってメモリ22から楽曲データが読み出されてオフライン再生される。
【0027】
ストリーミング配信楽曲の楽曲データの場合には、再生開始時刻直前に再生部18によってカラオケサーバ2にストリーミング配信楽曲の楽曲IDを含むストリーミング配信要求が送信される。カラオケサーバ2ではストリーミング配信要求に応じて楽曲データベースが参照されて、カラオケサーバ2から再生部18にストリーミング配信楽曲の楽曲データがストリーミング配信される。そして、カラオケサーバ2から通信端末4が楽曲データを受信しながら、再生部18によって再生開始時刻から楽曲データがストリーミング再生される。
【0028】
具体的には、車両3が走行してタイマーの計時が開始されると、再生部18によって登録リスト21が参照されて、登録リスト21の先頭の楽曲ID「ID****X1」、再生開始時刻「0分5秒」、フラグ「0」が読み出される。ストリーミング配信楽曲の楽曲IDであると判断されて、再生開始時刻直前に再生部18によってカラオケサーバ2に楽曲ID「ID****X1」を含むストリーミング配信要求が送信される。再生開始時刻の「0分5秒」がタイマーに計時された時点から、カラオケサーバ2からストリーミング配信される楽曲ID「ID****X1」の楽曲データが再生部18によって再生される。
【0029】
1曲目の楽曲ID「ID****X1」の楽曲データの再生が終了すると、登録リスト21の先頭データが削除されて、登録リスト21の2曲目の楽曲ID、再生開始時刻、フラグが繰り上げられる。再生部18によって登録リスト21の先頭の楽曲ID「ID****X2」、再生開始時刻「4分30秒」、フラグ「1」が読み出される。ダウンロード配信楽曲の楽曲IDと判断されて、再生開始時刻の「4分30秒」がタイマーに計時された時点から、メモリ22に記憶された楽曲ID「ID****X2」の楽曲データが再生部18によって再生される。
【0030】
なお、2曲目の楽曲ID「ID****X2」の楽曲データは、1曲目の楽曲ID「ID****X1」の楽曲データをストリーミング再生している間にダウンロードされている。タイマーによって楽曲ID「ID****X2」のダウンロード開始時刻の「3分30秒」が計時された時点から、記憶制御部17によってカラオケサーバ2にダウンロード配信要求が送信される。これにより、楽曲ID「ID****X2」の楽曲データの再生開始時刻の「4分30秒」よりも前に、カラオケサーバ2から通信端末4に楽曲データのダウンロードが完了されている。
【0031】
なお、通信端末4及びカラオケサーバ2の各部の処理は、プロセッサを用いてソフトウェアによって実現されてもよいし、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。プロセッサを用いる場合には、プロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで各種処理が実施される。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)が使用される。また、メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体によって構成されている。
【0032】
図4を参照して、カラオケ用プログラムについて説明する。
図4は本実施形態のカラオケ用プログラムのフロー図である。なお、ここでは、
図2の符号を適宜使用して説明する。また、以下のフロー図は一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0033】
図4に示すように、カーナビ用プログラムから走行経路の各地点の通過予定時刻が取得され(ステップS01)、通信事業者のウェブサイト等から走行地域の電界強度マップが取得される(ステップS02)。走行地域の各地点と電界強度マップが照らし合わされて、電界強度が所定値以下の各地点の通過予定時刻から、電界強度が所定値以下の走行区間を通過しているときの走行時間帯が予測される(ステップS03)。目的地に到着するまでの歌唱予定の楽曲の楽曲IDが再生開始時刻に関連付けられて登録リスト21に順番に登録される(ステップS04)。
【0034】
楽曲の再生時間帯と電界強度が所定値以下の走行時間帯とが重複する場合(ステップS05でYes)、この楽曲の楽曲IDに関連付けられたフラグが「1」に設定されてダウンロード配信楽曲が特定される(ステップS06)。ダウンロード配信楽曲の再生開始時刻よりも前の時刻で、ストリーミング配信に不向きな走行時間帯を避けて、ダウンロード配信楽曲のダウンロード開始時刻が決定される(ステップS07)。なお、楽曲の再生時間帯と電界強度が所定値以下の走行時間帯が重複しない場合(ステップS05でNo)、この楽曲の楽曲IDに関連付けられたフラグが「0」に設定されている。
【0035】
車両走行が開始されると(ステップS08でYes)、タイマーによって出発時刻からの相対時刻が計時される(ステップS09)。タイマーによってダウンロード開始時刻が計時されると(ステップS10でYes)、通信端末4からカラオケサーバ2にダウンロード配信要求が送信され(ステップS11)、カラオケサーバ2からダウンロード配信された楽曲データがメモリ22に記憶される(ステップS12)。タイマーによって演奏楽曲の再生開始時刻が計時されると(ステップS13でYes)、登録リスト21の先頭の演奏楽曲がダウンロード配信楽曲か否かが判定される(ステップS14)。
【0036】
演奏楽曲のフラグが「1」の場合にはダウンロード配信楽曲と判定され(ステップS14でYes)、メモリ22から読み出した楽曲データが再生される(ステップS15)。演奏楽曲のフラグが「0」の場合にはストリーミング配信楽曲と判定され(ステップS14でNo)、通信端末4からカラオケサーバ2にストリーミング配信要求が送信され(ステップS16)、カラオケサーバ2からストリーミング配信される楽曲データが再生される(ステップS17)。登録リスト21の全ての演奏楽曲が再生されるまでステップS10からステップS18までの処理が繰り返される(ステップS18)。
【0037】
以上、本実施形態によれば、走行経路に沿って走行中に電界強度が所定値以下になる走行時間帯が予測され、この走行時間帯に再生される楽曲データについては再生開始時刻よりも前にカラオケサーバ2から通信端末4にダウンロード配信されている。よって、電界強度が良好な地域を走行中はストリーミング配信される楽曲データが再生され、電界強度が悪い地域を走行中は事前にダウンロード配信された楽曲データが再生される。電界強度が悪い地域を通過している最中でも、楽曲データの再生が途切れることがなくカラオケ歌唱することができる。
【0038】
なお、電界強度マップでは出発地域の電界強度が所定値以下になっていても、WiFiルータ等の通信設備が設置されている場所では電界強度が所定値よりも高い場合がある。登録リストの先頭の演奏楽曲がダウンロード配信楽曲になっているが、決定部によってダウンロード開始時刻が決定されることなく、通信端末からカラオケサーバにダウンロード配信要求が送信されていてもよい。この場合、ダウンロードが完了するまで、カーナビ用プログラムやカラオケ用プログラムのメニュー画面にて走行開始しないようなメッセージが表示されることが望ましい。これにより、走行開始直後が電波の圏外であってもカラオケ歌唱を行うことができる。
【0039】
また、出発地の電界強度が所定値以下であった場合、電界強度が所定値以下になる走行時間帯を経過した直後、すなわちストリーミング配信に不向きな走行区間を通過した直後を走行開始として、走行経路の各地点の通過予定時刻、楽曲の再生開始時刻、ダウンロード開始時刻等が設定されてもよい。これにより、電波の圏外から走行を開始しても、電波の圏内に入った後にカラオケ歌唱を行うことができる。
【0040】
また、電界強度が所定値以下とは、通信端末の電波が圏外になる状態だけでなく、通信端末の電波が弱い状態等も含んでいてもよい。
【0041】
また、上記実施形態において、スマートフォンやタブレット等の通信端末にカラオケ用プログラムをインストールすることによって、上記の車内カラオケサービスが追加されてもよい。このカラオケ用プログラムは記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は特に限定されないが、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
【0042】
また、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0043】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0044】
2 :カラオケサーバ
4 :通信端末
11:第1の取得部
12:第2の取得部
13:予測部
14:登録部
15:特定部
16:決定部
17:記憶制御部
18:再生部
21:登録リスト
22:メモリ