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特開2024-47392情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047392
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20240329BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240329BHJP
【FI】
G06T7/60 200J
G06T7/00 650A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152982
(22)【出願日】2022-09-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 康司
(72)【発明者】
【氏名】藤本 知之
(72)【発明者】
【氏名】橋 恵太
(72)【発明者】
【氏名】小笹 隆幸
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096BA04
5L096CA04
5L096DA03
5L096EA43
5L096FA06
5L096FA52
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】車線検出結果を利用する機能における車線の誤検出による警報を抑制すること。
【解決手段】実施形態に係る情報処理装置は、コントローラを備える。コントローラは、車載カメラのカメラ画像から車線を検出する車線検出処理を実行する。また、コントローラは、自車両に対する上記車線の検出状態と、上記車線までの距離または検出の安定度に応じて、車線検出結果の有効または無効を判定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載カメラのカメラ画像から車線を検出する車線検出処理を実行するコントローラを備え、
前記コントローラは、
自車両に対する前記車線の検出状態と、前記車線までの距離または検出の安定度に応じて、車線検出結果の有効または無効を判定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記検出状態、前記距離および前記安定度をそれぞれ要素とする判定条件に照らし、前記車線検出結果の有効または無効を判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検出状態は、検出された前記車線が両側であるか片側であるかを含み、
前記コントローラは、
前記検出状態ごとに閾値によって規定される前記検出状態以外の前記要素の組み合わせパターンからなる前記判定条件に照らし、前記車線検出結果の有効または無効を判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
検出された前記車線から推定される道幅をさらに前記判定条件の前記要素とする、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記道幅の閾値は、道路規格に基づいて設定される、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記安定度の閾値は、前記道幅および前記距離に応じて設定される、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
有効と判定された前記車線検出結果が運転支援機能において利用可能となるように前記車線検出結果を出力する、
請求項1~6のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
車載カメラのカメラ画像から車線を検出する車線検出処理を実行するコントローラを備え、
前記コントローラは、
自車両に対する前記車線が両側か片側かの検出状態と、自車両から前記車線までの距離と、前記車線を連続して検出できている回数とに応じて、車線検出結果の有効または無効を判定する、
情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
車載カメラのカメラ画像から車線を検出する車線検出処理を実行することと、
自車両に対する前記車線の検出状態と、前記車線までの距離または検出の安定度に応じて、車線検出結果の有効または無効を判定することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項10】
車載カメラのカメラ画像から車線を検出する車線検出処理を実行すること、
自車両に対する前記車線の検出状態と、前記車線までの距離または検出の安定度に応じて、車線検出結果の有効または無効を判定すること、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載カメラによるカメラ画像に基づいて自車走行レーンの左右を区画する区画線である車線を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような技術を用いた車線の検出結果に基づいては、例えば車線変更判定機能や、車線逸脱防止支援機能や、車線維持支援機能といった各種の運転支援機能を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-090584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術には、車線検出結果を利用する機能における車線の誤検出による警報を抑制するうえで、さらなる改善の余地がある。
【0005】
例えば、路面には補助線のような車線以外の区画線や、区画線以外の文字、矢印等である道路標示といった突発的に出現する路面標示が描かれていることがある。こうした路面標示は、特に車両に対する車線の位置である車線位置の誤検出につながりやすい。車線位置の誤検出は、車線逸脱防止支援機能などにおける過剰な警報を招くおそれがある。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、車線検出結果を利用する機能における車線の誤検出による警報を抑制することができる情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る情報処理装置は、コントローラを備える。前記コントローラは、車載カメラのカメラ画像から車線を検出する車線検出処理を実行する。また、前記コントローラは、自車両に対する前記車線の検出状態と、前記車線までの距離または検出の安定度に応じて、車線検出結果の有効または無効を判定する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、車線検出結果を利用する機能における車線の誤検出による警報を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る車線検出方法の説明図(その1)である。
図2図2は、実施形態に係る車線検出方法の説明図(その2)である。
図3図3は、実施形態に係る車線検出方法の説明図(その3)である。
図4図4は、実施形態に係る車載装置の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、車線検出処理部の構成例を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態に係る判定条件の具体例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する情報処理装置、情報処理方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
また、以下では、実施形態に係る情報処理装置が、車両に搭載される車載装置10(図3参照)である場合を例に挙げて説明を行う。車載装置10は、例えばドライブレコーダである。また、以下では、実施形態に係る情報処理方法が、車載装置10の実行する車線検出方法であるものとする。
【0012】
まず、実施形態に係る車線検出方法の概要について、図1図3を用いて説明する。図1図3は、実施形態に係る車線検出方法の説明図(その1)~(その3)である。
【0013】
車載装置10は、車載カメラであるカメラ11(図3参照)を有する。車載装置10は、カメラ11によって撮像されたカメラ画像に基づいて車線検出処理を実行する。車線検出処理では、車載装置10は、車両が走行する自車走行レーンの左右を区画する区画線である車線を検出する。
【0014】
車線検出処理では、車載装置10は、カメラ画像の画素を2値化し、処理対象領域である処理対象領域R(図1および図2参照)から線素を抽出する。線素は、例えば区画線部分と路面部分の境界線として現れる線分である。言い換えれば、線素は、カメラ画像上の直線状のエッジである。そして、車載装置10は、抽出した線素群である車線候補のうちから基準となる車線を選定し、カメラ画像のフレーム間における同一性判定を経て車線を検出する。
【0015】
ところで、路面には補助線のような車線以外の区画線や、区画線以外の文字や矢印等である道路標示といった突発的に出現する路面標示が描かれていることがある。こうした路面標示は、特に車両に対する車線の位置である車線位置の誤検出につながりやすい。
【0016】
例えば、図1に示すように、ETC(Electronic Toll Collection System)レーン等には車線よりも狭く道幅を区画する補助線が描かれていることがある。従来の車線検出処理では、図1に示すように、かかる補助線の直線状のエッジに基づいて車線L1,L2を検出し、車線位置を誤検出してしまうおそれがあった。
【0017】
また、例えば、図2に示すように、路面には道路標示として矢印が描かれていることがある。従来の車線検出処理では、図2に示すように、かかる矢印の直線状のエッジに基づいて車線L1,L2を検出し、車線位置を誤検出してしまうおそれがあった。
【0018】
そこで、実施形態に係る車線検出方法では、図3に示すように、車載装置10のコントローラ13(図4参照)が、自車両に対する車線L1,L2の検出状態と、車線L1,L2までの距離D1,D2または検出の安定度に応じて、車線検出結果の有効/無効を判定することとした(ステップS1)。
【0019】
車線L1,L2の検出状態は、車線L1,L2の両方を検出している状態(以下、適宜「両側検出」と言う)および車線L1,L2の片側のみを検出している状態(以下、適宜「片側検出」と言う)を含む。距離D1は、車両の左端から車線L1までの距離を指す。距離D2は、車両の右端から車線L2までの距離を指す。検出の安定度は、フレーム間における同一性判定で連続して車線を検出できている回数であるトラッキング回数を指す。
【0020】
コントローラ13は、これら車線L1,L2の検出状態、車線L1,L2までの距離D1,D2および検出の安定度を要素とする判定条件に照らし、車線検出結果の有効/無効を判定する。なお、ここに言う「有効」は、車線検出結果を運転支援機能のために利用可とすることを指す。「無効」は、車線検出結果を運転支援機能のために利用不可とすることを指す。
【0021】
また、コントローラ13はさらに、車線L1,L2から推定される道幅(以下、適宜「推定道幅」と言う)を判定条件の要素とした判定を行う。安定度が高くとも、例えば推定道幅が異常であることにより図1に示したような補助線等による誤検出を無効とすることができる。コントローラ13が照らす判定条件の詳細については、図6を用いた説明で後述する。
【0022】
このように、実施形態に係る車線検出方法では、コントローラ13が、自車両に対する車線L1,L2の検出状態と、車線L1,L2までの距離D1,D2または検出の安定度に応じて、車線検出結果の有効/無効を判定する。
【0023】
したがって、実施形態に係る車線検出方法によれば、車線検出結果を利用する機能における車線の誤検出による警報を抑制することができる。以下、上述した車線検出方法を適用した車載装置10の構成例について、より具体的に説明する。
【0024】
図4は、実施形態に係る車載装置10の構成例を示すブロック図である。また、図5は、車線検出処理部13bの構成例を示すブロック図である。なお、図4および図5では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0025】
換言すれば、図4および図5に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0026】
また、図4および図5を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、説明を省略する場合がある。
【0027】
図4に示すように、実施形態に係る車載装置10は、カメラ11と、記憶部12と、コントローラ13とを有する。
【0028】
カメラ11は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備え、この撮像素子を用いて予め決められた撮像範囲を撮像する。カメラ11は、例えばフロントガラスやダッシュボード等の車両の各所に車両前方の所定の撮像範囲を撮像するように取り付けられる。
【0029】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の記憶デバイスによって実現される。図4の例では、記憶部12は、処理パラメータ情報12aを記憶する。
【0030】
処理パラメータ情報12aは、後述する車線検出処理部13bが実行する車線検出処理において用いられるカメラパラメータや閾値等の各種のパラメータを含む情報である。また、処理パラメータ情報12aは、前述の車線L1,L2の検出状態、車線L1,L2までの距離D1,D2および検出の安定度に関して予め定められた判定条件を含む。
【0031】
コントローラ(controller)13は、いわゆるプロセッサや制御部に相当する。コントローラ13は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部12に記憶されている図示略の実施形態に係るプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、コントローラ13は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0032】
コントローラ13は、取得部13aと、車線検出処理部13bとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0033】
取得部13aは、カメラ11によって撮像されたカメラ画像を取得し、車線検出処理部13bへ出力する。
【0034】
車線検出処理部13bは、カメラ11によって撮像されたカメラ画像に基づいて車線検出処理を実行する。また、車線検出処理部13bは、車線検出結果が前述の判定条件に照らして有効であると判定された場合に、車線検出結果を外部装置50へ出力する。
【0035】
外部装置50は、前述の車線変更判定機能や、車線逸脱防止支援機能や、車線維持支援機能といった各種の機能に該当するアプリケーションソフトウェアを実行する装置である。外部装置50は、例えばECU(Electronic Control Unit)である。なお、車載装置10と外部装置50とは、一体であってもよい。
【0036】
図5に示すように、車線検出処理部13bは、線素抽出部13baと、車線抽出部13bbと、フレーム処理部13bcと、判定部13bdと、出力部13beとを有する。
【0037】
線素抽出部13baは、カメラ画像を2値化し、処理対象領域Rから線素を抽出する。車線抽出部13bbは、線素抽出部13baによって抽出された線素に基づいて基準となる車線を選定する。車線抽出部13bbは、車線が「追い越し可能」または「はみ出し可能」な破線である場合、かかる破線を探索して1つの実線として統合し、基準となる車線を選定する。
【0038】
フレーム処理部13bcは、カメラ画像のフレーム間における車線の同一性を判定する。判定部13bdは、フレーム処理部13bcまでの処理結果に基づいて、上述したステップS1の判定処理を実行する。
【0039】
すなわち、判定部13bdは、車線L1,L2の検出状態、車線L1,L2までの距離D1,D2または検出の安定度を処理パラメータ情報12aに含まれる判定条件に照らし、車線検出結果の有効/無効を判定する。
【0040】
図6は、実施形態に係る判定条件の具体例を示す図である。当該判定条件は、図6に示すように、要素として車線L1,L2の検出状態と、推定道幅と、車線L1,L2までの距離D1,D2と、トラッキング回数(安定度)とを含む。
【0041】
図6に示すように、当該判定条件は、車線L1,L2の検出状態ごとに閾値によって規定される検出状態以外の要素の組み合わせパターンからなる。判定部13bdは、当該判定条件に照らし、車線検出結果の有効または無効を判定する。
【0042】
なお、推定道幅の閾値は、例えば道路規格に基づいて設定される。また、トラッキング回数の閾値は、推定道幅および車線L1,L2までの距離D1,D2に応じて設定される。
【0043】
判定部13bdは、検出されている車線L1,L2の車線位置に基づいて推定道幅、車線L1,L2までの距離D1,D2、横移動速度等の各種の推定値を算出したうえで各条件要素を図6に示す判定条件に照らす。
【0044】
判定部13bdは、検出状態が「両側検出」である場合に、推定道幅が「2.35~4.15m」であり、車線までの距離D1,D2のいずれかが「0.2m未満または2.0mより大」であり、トラッキング回数が5回未満であれば、車線検出結果を無効と判定する。また、判定部13bdは、ここでトラッキング回数が5回以上であれば、車線検出結果を有効と判定する。
【0045】
なお、図中の「*1」に示すように、車線までの距離D1,D2のいずれかが「0.2m未満または2.0mより大」である場合は、運転支援機能の警報につながる距離のため、安定度が高い状態で有効とするものである。
【0046】
また、判定部13bdは、検出状態が「両側検出」である場合に、推定道幅が「2.35~4.15m」であり、車線までの距離D1,D2がいずれも「0.2~2.0m」であり、トラッキング回数が3回未満であれば、車線検出結果を無効と判定する。また、判定部13bdは、ここでトラッキング回数が3回以上であれば、車線検出結果を有効と判定する。
【0047】
なお、図中の「*2」に示すように、車線までの距離D1,D2がいずれも「0.2~2.0m」である場合は、運転支援機能の警報につながる距離でないため、安定度が低い状態で有効とするものである。
【0048】
また、判定部13bdは、検出状態が「両側検出」である場合に、推定道幅が「2.35m未満または4.15mより大」であり、車線までの距離D1,D2のいずれかが「0.2m未満または2.0mより大」であり、トラッキング回数が10回未満であれば、車線検出結果を無効と判定する。また、判定部13bdは、ここでトラッキング回数が10回以上であれば、車線検出結果を有効と判定する。
【0049】
また、判定部13bdは、検出状態が「両側検出」である場合に、推定道幅が「2.35m未満または4.15mより大」であり、車線までの距離D1,D2がいずれも「0.2~2.0m」であり、トラッキング回数が10回未満であれば、車線検出結果を無効と判定する。また、判定部13bdは、ここでトラッキング回数が10回以上であれば、車線検出結果を有効と判定する。
【0050】
なお、図中の「*3」に示すように、推定道幅が「2.35m未満または4.15mより大」である場合は、一般的な道幅でないため、安定度が高い状態で有効とするものである。
【0051】
また、判定部13bdは、検出状態が「片側検出」である場合、推定道幅は推定不可であるので参照せずに、車線までの距離D1,D2のいずれかが「0.2m未満または2.0mより大」であり、トラッキング回数が10回未満であれば、車線検出結果を無効と判定する。また、判定部13bdは、ここでトラッキング回数が10回以上であれば、車線検出結果を有効と判定する。理由は、「*1」に示した通りである。
【0052】
また、判定部13bdは、検出状態が「片側検出」である場合に、車線までの距離D1,D2がいずれも「0.2~2.0m」であり、トラッキング回数が3回未満であれば、車線検出結果を無効と判定する。また、判定部13bdは、ここでトラッキング回数が3回以上であれば、車線検出結果を有効と判定する。理由は、「*2」に示した通りである。
【0053】
また、判定部13bdは、例え安定度が大きくとも、推定道幅が異常かつ車線までの距離D1,D2がいずれも異常であれば、車線検出結果を無効と判定する。これは、図1に示したように、ETCレーンの進入時などに区画線の幅が急に変化するケースに該当する。
【0054】
また、トラッキング回数について補足すると、トラッキング回数は既に述べた通りフレーム間における同一性判定で連続して車線を検出できている回数であり、この回数はフレーム間において車線が連続して検出されるかどうかに応じて値の保持、リセット、カウントアップを行う。
【0055】
トラッキング回数は、例えば車線L1,L2が継続して検出されかつ車線までの距離D1,D2に大きな変化がない等、車線L1,L2が安定して検出されていれば、数フレームの未検出があっても値が保持される。
【0056】
一方、トラッキング回数は、例えばフレームごとに車線L1,L2の検出/未検出を繰り返すまたは車線までの距離D1,D2に大きな変化がある等、車線L1,L2の検出状態が不安定であればリセットされる。
【0057】
図5の説明に戻る。出力部13beは、判定部13bdによって車線検出結果が有効であると判定された場合、車線検出結果を外部装置50へ出力する。一方、出力部13beは、判定部13bdによって車線検出結果が無効であると判定された場合、車線検出結果を外部装置50へ出力しない。
【0058】
次に、車載装置10が実行する処理手順について、図7を用いて説明する。図7は、実施形態に係る車載装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
図7に示すように、車載装置10のコントローラ13は、カメラ11からカメラ画像を取得する(ステップS101)。
【0060】
そして、コントローラ13は、カメラ画像を2値化し、線素を抽出する(ステップS102)。つづいて、コントローラ13は、線素に基づいて車線を抽出する(ステップS103)。
【0061】
また、コントローラ13は、抽出した車線のフレーム間でのトラッキングを行う(ステップS104)。そして、コントローラ13は、検出した車線に基づいて道幅、車線までの距離を含む各種の推定値を算出する(ステップS105)。
【0062】
そして、コントローラ13は、車線の検出状態、車線までの距離または検出の安定度に応じて、車線検出結果の有効/無効を判定する(ステップS106)。車線検出結果が無効であると判定された場合(ステップS107,No)、コントローラ13は、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0063】
車線検出結果が有効であると判定された場合(ステップS107,Yes)、コントローラ13は、外部装置50へ車線検出結果を出力する(ステップS108)。
【0064】
そして、コントローラ13は、処理終了イベントがあるか否かを判定する(ステップS109)。処理終了イベントは、例えばエンジンの停止や電源のオフ等である。処理終了イベントが生じていなければ(ステップS109,No)、コントローラ13は、ステップS101からの処理を繰り返す。処理終了イベントが生じていれば(ステップS109,Yes)、コントローラ13は、処理を終了する。
【0065】
上述してきたように、実施形態に係る車載装置10(「情報処理装置」の一例に相当)は、コントローラ13を備える。コントローラ13は、カメラ11(「車載カメラ」の一例に相当)のカメラ画像から車線L1,L2を検出する車線検出処理を実行する。また、コントローラ13は、自車両に対する車線L1,L2の検出状態と、車線L1,L2までの距離D1,D2または検出の安定度に応じて、車線検出結果の有効または無効を判定する。
【0066】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、車線検出結果を利用する機能における車線の誤検出による警報を抑制することができる。特に、車線以外の区間線や、文字、矢印等の道路表示といった直線状のエッジを含む路面標示を車線と誤検出することによる警報を抑制することができる。
【0067】
また、コントローラ13は、上記検出状態、上記距離D1,D2および上記安定度をそれぞれ要素とする判定条件に照らし、車線検出結果の有効または無効を判定する。
【0068】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、上記検出状態、上記距離D1,D2および上記安定度をそれぞれ要素とする判定条件を用いて、上記直線状のエッジを含み突発的に出現する機会の多い路面標示等を無効とする判定が可能となる。
【0069】
また、上記検出状態は、検出された車線L1,L2が両側であるか片側であるかを含み、コントローラ13は、上記検出状態ごとに閾値によって規定される上記検出状態以外の上記要素の組み合わせパターンからなる上記判定条件に照らし、上記車線検出結果の有効または無効を判定する。
【0070】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、上記要素の組み合わせパターンの網羅によって精度よく車線検出結果の有効または無効を判定することができる。
【0071】
また、コントローラ13は、検出された車線L1,L2から推定される道幅をさらに上記判定条件の上記要素とする。
【0072】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、上記道幅が異常であることに基づいて車線検出結果の有効または無効を判定することが可能となる。
【0073】
また、上記道幅の閾値は、道路規格に基づいて設定される。
【0074】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、一般的な道路規格に対して上記道幅が異常であるか否かを判定することが可能となる。
【0075】
また、上記安定度の閾値は、上記道幅および上記距離D1,D2に応じて設定される。
【0076】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、上記道幅および上記距離D1,D2に応じた適正な上記安定度の閾値を設定することが可能となる。
【0077】
また、コントローラ13は、有効と判定された上記車線検出結果が運転支援機能において利用可能となるように上記車線検出結果を出力する。
【0078】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、車線L1,L2の誤検出に基づく運転支援機能における過剰な警報を抑制することができる。
【0079】
また、実施形態に係る車載装置10は、コントローラ13を備える。コントローラ13は、カメラ11のカメラ画像から車線L1,L2を検出する車線検出処理を実行する。また、コントローラ13は、自車両に対する車線L1,L2が両側か片側かの検出状態と、自車両から車線L1,L2までの距離と、車線L1,L2を連続して検出できている回数とに応じて、車線検出結果の有効または無効を判定する。
【0080】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、車線検出結果を利用する機能における車線の誤検出による警報を抑制することができる。特に、車線以外の区間線や、文字、矢印等の道路表示といった直線状のエッジを含む路面標示を車線と誤検出することによる警報を抑制することができる。
【0081】
また、実施形態に係る車線検出方法は、車載装置10が実行する情報処理方法であって、カメラ11のカメラ画像から車線L1,L2を検出する車線検出処理を実行することと、自車両に対する車線L1,L2の検出状態と、車線L1,L2までの距離D1,D2または検出の安定度に応じて、車線検出結果の有効または無効を判定することと、を含む。
【0082】
したがって、実施形態に係る車線検出方法によれば、車線検出結果を利用する機能における車線の誤検出による警報を抑制することができる。特に、車線以外の区間線や、文字、矢印等の道路表示といった直線状のエッジを含む路面標示を車線と誤検出することによる警報を抑制することができる。
【0083】
また、実施形態に係るプログラムは、カメラ11のカメラ画像から車線L1,L2を検出する車線検出処理を実行すること、自車両に対する車線L1,L2の検出状態と、車線L1,L2までの距離D1,D2または検出の安定度に応じて、車線検出結果の有効または無効を判定すること、をコンピュータに実行させる。
【0084】
したがって、実施形態に係るプログラムによれば、車線検出結果を利用する機能における車線の誤検出による警報を抑制することができる。特に、車線以外の区間線や、文字、矢印等の道路表示といった直線状のエッジを含む路面標示を車線と誤検出することによる警報を抑制することができる。
【0085】
なお、実施形態に係るプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。当該記録媒体も、本開示の一態様である。
【0086】
また、上述した実施形態に係る判定条件における各要素の閾値等はあくまで一例であって、判定条件の内容を限定するものではない。
【0087】
また、上述した実施形態では、無効と判定された車線検出結果は外部装置50に対し出力されない例を挙げたが、無効と判定された場合でも車線検出結果を出力するようにしてもよい。この場合、コントローラ13は、例えば車線検出結果に対し有効/無効を示すフラグ値等を紐付けておき、外部装置50がこのフラグ値に基づいて車線検出結果の利用の可否を判定するようにしてもよい。
【0088】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
10 車載装置
11 カメラ
12 記憶部
12a 処理パラメータ情報
13 コントローラ
13a 取得部
13b 車線検出処理部
13ba 線素抽出部
13bb 車線抽出部
13bc フレーム処理部
13bd 判定部
13be 出力部
50 外部装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の撮像範囲を撮像するように自車両に取り付けられた車載カメラのカメラ画像から車線を検出するとともに、検出した前記車線の位置および前記車載カメラの位置に基づいて前記自車両から前記車線までの距離を算出する車線検出処理を実行するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記検出した車線が片側車線であると判定した場合、
前記自車両から前記片側車線までの距離が所定の範囲内で、前記カメラ画像のフレーム間で連続して検出できている回数である検出の安定度が所定の閾値以上であれば前記片側車線を有効判定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記検出した車線が両側車線であると判定した場合、
前記自車両から前記両側車線までのそれぞれの距離が所定の範囲内で、前記カメラ画像のフレーム間で連続して検出できている回数である検出の安定度が所定の閾値以上であれば前記両側車線を有効と判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記検出した車線が前記両側車線である場合に、前記距離として前記自車両の左端から前記両側車線のうち左側の車線までの第1距離および前記自車両の右端から前記両側車線のうち右側の車線までの第2距離を算出し、
第1距離または前記第2距離と、前記安定度をそれぞれ要素とする判定条件に照らし、前記両側車線の有効または無効を判定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記検出した車線が前記両側車線である場合に、前記車線から推定される道幅をさらに前記判定条件の前記要素とする、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記道幅の閾値は、道路規格に基づいて設定される、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記安定度の閾値は、前記道幅および前記距離に応じて設定される、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記安定度が所定の閾値以上であっても、前記道幅、前記第1距離および前記第2距離のいずれもが異常であれば、前記両側車線を無効と判定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
有効と判定された前記検出を運転支援機能において利用可能となるように力する、
請求項1~のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
所定の撮像範囲を撮像するように自車両に取り付けられた車載カメラのカメラ画像から車線を検出するとともに、検出した前記車線の位置および前記車載カメラの位置に基づいて前記自車両から前記車線までの距離を算出する車線検出処理を実行することと、
前記検出した車線が片側車線であると判定した場合、
前記自車両から前記片側車線までの距離が所定の範囲内で、前記カメラ画像のフレーム間で連続して検出できている回数である検出の安定度が所定の閾値以上であれば前記片側車線を有効判定することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項10】
所定の撮像範囲を撮像するように自車両に取り付けられた車載カメラのカメラ画像から車線を検出するとともに、検出した前記車線の位置および前記車載カメラの位置に基づいて前記自車両から前記車線までの距離を算出する車線検出処理を実行すること、
前記検出した車線が片側車線であると判定した場合、
前記自車両から前記片側車線までの距離が所定の範囲内で、前記カメラ画像のフレーム間で連続して検出できている回数である検出の安定度が所定の閾値以上であれば前記片側車線を有効判定すること、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
実施形態の一態様に係る情報処理装置は、コントローラを備える。前記コントローラは、所定の撮像範囲を撮像するように自車両に取り付けられた車載カメラのカメラ画像から車線を検出するとともに、検出した前記車線の位置および前記車載カメラの位置に基づいて前記自車両から前記車線までの距離を算出する車線検出処理を実行する。また、前記コントローラは、前記検出した車線が片側車線であると判定した場合、前記自車両から前記片側車線までの距離が所定の範囲内で、前記カメラ画像のフレーム間で連続して検出できている回数である検出の安定度が所定の閾値以上であれば前記片側車線を有効判定する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
また、判定部13bdは、検出状態が「片側検出」である場合に、車線までの距離D1,D2いずれかが「0.2~2.0m」であり、トラッキング回数が3回未満であれば、車線検出結果を無効と判定する。また、判定部13bdは、ここでトラッキング回数が3回以上であれば、車線検出結果を有効と判定する。理由は、「*2」に示した通りである。