IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ YKK AP株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-補助枠、網戸ユニット及び建具 図1
  • 特開-補助枠、網戸ユニット及び建具 図2
  • 特開-補助枠、網戸ユニット及び建具 図3
  • 特開-補助枠、網戸ユニット及び建具 図4
  • 特開-補助枠、網戸ユニット及び建具 図5
  • 特開-補助枠、網戸ユニット及び建具 図6
  • 特開-補助枠、網戸ユニット及び建具 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047394
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】補助枠、網戸ユニット及び建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/52 20060101AFI20240329BHJP
   E06B 1/56 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
E06B9/52 B
E06B9/52 A
E06B9/52 C
E06B1/56 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152992
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北尾 貢
(72)【発明者】
【氏名】奈良 栄達
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KC04
2E011KC07
2E011KD25
2E011KD28
2E011KD35
2E011KF01
(57)【要約】
【課題】意匠性により優れた補助枠等を提供する。
【解決手段】開口を形成する枠体の室内側または室外側に取り付けられる補助枠であって、枠体に取り付けられ当該枠体と反対方向に突出する見込み壁部を有するベース材と、見込み壁部と左右方向に対面して取り付けられる対面壁部を有し、ベース材を覆うカバー材と、見込み壁部を貫通した状態で取り付けられて対面壁部側に突出する規制部材と、を有し、見込み壁部及び対面壁部は、カバー材が枠体に向かって見込み方向に移動しつつ互いに係合する係合部を有し、対面壁部の係合部は、見込み壁部における枠体側の係合部と係合した状態で、見込み壁部の係合部と、規制部材と、に挟持されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を形成する枠体の室内側または室外側に取り付けられる補助枠であって、
前記枠体に取り付けられ当該枠体と反対方向に突出する見込み壁部を有するベース材と、
前記見込み壁部と左右方向に対面して取り付けられる対面壁部を有し、前記ベース材を覆うカバー材と、
前記見込み壁部を貫通した状態で取り付けられて前記対面壁部側に突出する規制部材と、
を有し、
前記見込み壁部及び前記対面壁部は、前記カバー材が前記枠体に向かって見込み方向に移動しつつ互いに係合する係合部を有し、前記対面壁部の前記係合部は、前記見込み壁部における前記枠体側の前記係合部と係合した状態で、前記見込み壁部の前記係合部と、前記規制部材と、に挟持されていることを特徴とする補助枠。
【請求項2】
請求項1に記載の補助枠であって、
前記見込み壁部及び前記対面壁部は、見込み方向に間隔を空けて2つの前記係合部をそれぞれ有し、
前記見込み壁部は、前記2つの前記係合部の間に、前記対面壁部側に突出する見込み壁部側突部を有し、
前記対面壁部は、前記見込み壁部より薄く形成されており、当該対面壁部の前記2つの前記係合部の間に、前記見込み壁部側に突出する対面壁部側突部を有し、
前記見込み壁部の前記係合部と前記対面壁部の係合部とが係合した状態で、前記対面壁部側突部は、前記見込み壁部側突部の前記枠体側にて当接または近接していることを特徴とする補助枠。
【請求項3】
請求項2に記載の補助枠であって、
前記見込み壁部は、当該見込み壁部が有する前記2つの前記係合部の間に貫通孔を備えていることを特徴とする補助枠。
【請求項4】
請求項3に記載の補助枠であって、
前記貫通孔の内周に雌ねじが形成されていることを特徴とする補助枠。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の補助枠であって、
前記ベース材は、前記枠体の見付け面に取り付けられる取付板部を有し、
前記カバー材は、前記見付け面及び前記取付板部と見込み方向に重り、前記見付け面及び前記取付板部を覆うカバー部を有することを特徴とする補助枠。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の補助枠と、
前記補助枠により取り付けられる収納式網戸と、
を有することを特徴とする網戸ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の網戸ユニットと、
前記補助枠が取り付けられる前記枠体と、
を有することを特徴とする建具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口を形成する枠体に取り付けられる補助枠、網戸ユニット及び建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物開口部の見付け幅方向の中間に位置する内障子の召合框の室内側に固定され、召合框と同程度の見付け幅を有する補助柱は知られている(例えば、特許文献1参照)。この建具の補助柱は、左右の見込み面が、建物開口の上受け金及び下受け金具にねじ等の固定手段によって固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022―101401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の補助柱は、左右の見込み面を、上受け金及び下受け金具に固定するねじ等の固定手段が露出するので、意匠性が損なわれるという課題があった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、意匠性により優れた補助枠、網戸ユニット及び建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するための主たる発明は、開口を形成する枠体の室内側または室外側に取り付けられる補助枠であって、前記枠体に取り付けられ当該枠体と反対方向に突出する見込み壁部を有するベース材と、前記見込み壁部と左右方向に対面して取り付けられる対面壁部を有し、前記ベース材を覆うカバー材と、前記見込み壁部を貫通した状態で取り付けられて前記対面壁部側に突出する規制部材と、を有し、前記見込み壁部及び前記対面壁部は、前記カバー材が前記枠体に向かって見込み方向に移動しつつ互いに係合する係合部を有し、前記対面壁部の前記係合部は、前記見込み壁部における前記枠体側の前記係合部と係合した状態で、前記見込み壁部の前記係合部と、前記規制部材と、に挟持されていることを特徴とする補助枠である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、意匠性により優れた補助枠、網戸ユニット及び建具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る建具を示す横断面図である。
図2図1におけるA部の拡大図である。
図3】ベース材を示す平面図である。
図4】カバー材を示す平面図である。
図5】右網戸取付枠の取り付け手順を示す図である。
図6】右網戸取付枠の取り付け時における見込み壁部側突部と対面壁部側突部の係合状態を示す図である。
図7】カバー材の取り外し手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る建具1の一例として、図1に示すように、枠体4と、左右に並ぶ2枚の複層ガラス1aが嵌め込まれた2つのFIX窓1bと、FIX窓1bの室外側に設けられた左右方向にスライドして開閉可能な障子1cと、枠体4に取り付けられる網戸ユニット5と、を備えた片引き窓用の建具1を例に挙げて説明する。
【0009】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の建具1を、屋内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、建具1の各部位であっても、また、建具1を構成する各部材については単体の状態であっても、建具1が取り付けられている状態にて上下方向、左右方向、見込み方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0010】
建具1は、左側の縦枠(以下、左縦枠という)41と、右側の縦枠(以下右縦枠という)42と、縦枠41と縦枠42の上端部を繋ぐ上枠(不図示)及び縦枠41と縦枠42の下端部を繋ぐ下枠(不図示)と、縦骨40と、中骨43を有する枠体4を有している。縦骨40と中骨43との間、及び、中骨43と右縦枠42との間には、それぞれ複層ガラス1aが嵌め込まれてFIX窓1bが設けられており、左側のFIX窓1bを構成する縦骨40と、左縦枠41と、上枠(不図示)及び下枠(不図示)により、FIX窓1bの左側に形成される開口1dを、開閉可能に障子1cが設けられている。
【0011】
建具1には、開口1dの室内側に網戸ユニット5が設けられている。網戸ユニット5は、収納式網戸2と、左網戸取付枠6と、右網戸取付枠3と、を有している。収納式網戸2は、左縦枠41に固定される補助枠としての左網戸取付枠6と、縦骨40に固定される補助枠としての右網戸取付枠3とを介して枠体4の室内側に取り付けられている。尚、左網戸取付枠6と、右網戸取付枠3とは、後述するカバー部の見付け幅が相違している。
【0012】
収納式網戸2は、蛇腹状に折り畳まれて左右方向に伸縮可能な網戸本体20と、左網戸取付枠6に取り付けられる左網戸枠21と、右網戸取付枠3に取り付けられる右網戸枠22とを有している。左網戸枠21及び右網戸枠22は、いずれも上下方向を押し出し方向とする押し出し形材であり、平面視においてほぼコ字状をなしている。左網戸枠21及び右網戸枠22は、コ字状の開放されている側が互いに対向するように配置されて左網戸取付枠6または右網戸取付枠3にそれぞれ固定されている。網戸本体20は、左側の端部が左網戸枠21内に固定されており、折り畳まれて左網戸枠21側に収納され、右側の端部が右方向に引き出され右網戸枠22内に係止されることにより、開口1dを覆うように形成されている。
【0013】
以下、補助枠について、右網戸取付枠3を例に挙げて説明する。
右網戸取付枠3は、図2図4に示すように、縦骨40に固定されるベース材30と、ベース材30に係止されるカバー材31とを有している。ベース材30及びカバー材31は、いずれも上下方向を押し出し方向とする押し出し形材である。
【0014】
ベース材30は、縦骨40の最も室内側にて左右方向に沿う縦骨見付け壁部40aに室内側からねじ32により固定される固定板部30aと、固定板部30aの右端に設けられ室内側に延出されて見込み面をなす見込み壁部30bと、固定板部30aの右端であって見込み壁部30bの室外側の端に設けられた第1係合部30cと、見込み壁部30bの先端に設けられ、室内側に向かって右方向に屈曲する第2係合部30dと、を有している。第1係合部30cは、見込み壁部30bに沿って右方向に僅かに延出され、延出された先端が室内側に向かって突出されている。
【0015】
固定板部30aは、平板状をなしており、縦骨見付け壁部40aの見付け幅より僅かに狭く形成されており、左側の縁30lが、縦骨見付け壁部40aの左側の面40bと揃うように配置され、室外側の面が縦骨見付け壁部40aと対面する状態で当接されて、室内側から室外側に向かって進入するねじ32により縦骨40に固定される。
【0016】
見込み壁部30bの右側の面には、見込み方向におけるほぼ中央に、右方向に突出する見込み壁部側突部30eが設けられている。見込み壁部側突部30eは、室内側から室外側に向かって厚みが厚くなるような傾斜部30fを有しており、室外側に設けられた見付け面30gと円弧状をなす頂部30hにより繋がっている。ここで、第1係合部30c及び第2係合部30dが、ベース材30が有する見込み方向に間隔を空けて設けられた2つの係合部に相当する。
【0017】
固定板部30aには、ベース材30を縦骨40に固定するねじ32が挿通される挿通孔30iが設けられており、見込み壁部30bには、固定板部30aから室内側に離れた位置にねじ33が螺合される室外側螺合孔30jと、見込み壁部側突部30eの室内側にねじ34が螺合される室内側螺合孔30kが設けられている。室外側螺合孔30jには、カバー材31の移動を規制するための規制部材としてのねじ33が螺合され、室内側螺合孔30kには、収納式網戸2の右網戸枠22を固定するためのねじ34が螺合される。
【0018】
カバー材31は、ベース材30の見込み壁部30bと左右方向に対面して取り付けられる対面壁部31aと、対面壁部31aの室内側の縁から左側に延出されたカバー部31bと、対面壁部31aの室外側の部位に設けられた第3係合部31cと、カバー部31bの室外側の面に設けられ対面壁部31aの左側に僅かに間隔を空けて室外側に突出された第4係合部31dと、を有している。第3係合部31cは、対面壁部31aの室外側の端より僅かに室内側の位置から左方向に延出され、延出された先端が室外側に向かって突出している。
【0019】
対面壁部31aは、第3係合部31cよりも室外側の部位と、第4係合部と左右方向に対向する部位とは、その間の部位よりも僅かに厚く形成されて補強されている。対面壁部31aにおいて補強されていない部位の厚みt1は、ベース材30の見込み壁部30bの厚みt2よりも薄く形成されている。
【0020】
対面壁部31aの左側の面には、見込み方向におけるほぼ中央に、左方向に突出する対面壁部側突部31eが設けられている。ここで、第3係合部31c及び第4係合部31dが、カバー材31が有する見込み方向に間隔を空けて設けられた2つの係合部に相当する。
【0021】
右網戸取付枠の取り付け方法は、図5(a)に示すように、まず、ベース材30の固定板部30aの左側の縁30lを、縦骨40の縦骨見付け壁部40aの左側の面40bに合わせるとともに、固定板部30aを見付け壁部40aに対面させて当接し、挿通孔30iを挿通させたねじ32によりベース材30を縦骨40に固定する。
【0022】
次に、図5(b)に示すように、ベース材30の見込み壁部30bの右側にカバー材31を配置する。このとき、第3係合部31cが第1係合部30cよりも室内側に、第4係合部31dが第2係合部30dよりも室内側に、対面壁部側突部31eが見込み壁部側突部30eよりも室内側に、それぞれ位置し、図5(c)に示すように、第3係合部31c及び対面壁部側突部31eが、見込み壁部30bの右側の面に当接または近接するように配置する。
【0023】
次に、カバー材31をベース材30の見込み壁部30bの右側の面に沿わせて室外側に移動させる。このとき、まず、第4係合部31dと対面壁部31aとの間に第2係合部30dが進入し、次いで第3係合部31cが第1係合部30cと見込み壁部30bとの間に進入する。その後、図6(a)に示すように、対面壁部側突部31eの先端が見込み壁部側突部30eの傾斜部30fと接触する。
【0024】
対面壁部側突部31eの先端が見込み壁部側突部30eの傾斜部30fと接触した後に、さらにカバー材31を室外側に移動させると、図6(b)に示すように、対面壁部側突部31eの先端が傾斜部30fを摺動しつつ見込み壁部30bより薄い対面壁部31aが右側に膨らむように撓み変形し、対面壁部側突部31eが見込み壁部側突部30eの室外側に移動するとともに対面壁部31aの撓み変形が戻る。このとき、第1係合部30cと第3係合部31cとが係合し、第2係合部30dと第4係合部31dとが係合し、図6(c)に示すように、対面壁部側突部31eが見込み壁部側突部30eの見付け面30gに当接または近接して、カバー材31が仮固定される。
【0025】
次に、図5(d)に示すように、室外側螺合孔30jにねじ33を螺合する。螺合されたねじ33の先端は、第1係合部30cと係合している第3係合部31cの室内側に突出し、ねじ33の突出した部位が第3係合部31cの室内側に当接または近接して、カバー材31の室内側への移動が規制されてカバー材31が取り付けられる。このとき、ねじ33は、突出した先端が対面壁部31aに当接しない長さに設定されている。
【0026】
取り付けられた右網戸取付枠3の室内側螺合孔30kには、左側から挿通されるねじ34が螺合されて右網戸枠22が右網戸取付枠3に固定される。ねじ34も突出した先端が対面壁部31aに当接しない長さに設定されている。
【0027】
カバー材31の見付け幅W1と縦骨40の見付け幅W2とが同一に形成されており、縦骨40に取り付けられた右網戸取付枠3は、カバー材31の対面壁部31aの右側の面31fと、縦骨40の右側の面40cとが、ほぼ同一平面をなすように取り付けられる。このため、室内側から見たときには、縦骨40及びベース材30はカバー材31に覆われて視認されにくい。
【0028】
右網戸取付枠3の室内側螺合孔30kは、カバー材31を取り外す際にも用いられる。カバー材31を取り外す際には、図7(a)に示すように、まず、ねじ34を外して右網戸枠22を取り外す。次に、図7(b)に示すように、ねじ34を取り外した室内側螺合孔30kにねじ34よりも長い、より具体的には、螺進させた際に対面壁部31aを右方向に押圧可能な長さのねじ35を螺合する。ねじ35を螺進させることにより、図7(c)に示すように、対面壁部31aと右方向に撓ませて、対面壁部側突部31eを見込み壁部側突部30eの頂部30hを摺動させつつカバー材31を室内側に移動させてカバー材31を取り外す。
【0029】
本実施形態の右網戸取付枠3によれば、ベース材30の見込み壁部30b及びカバー材31の対面壁部31aの見込み方向に間隔を空けて設けられている第1~第4係合部30c、30d、31c、31dは、カバー材31が縦骨40に向かって見込み方向に移動しつつ互いに係合するので、第1係合部30cと第3係合部31c及び第2係合部30dと第4係合部31dが係合した状態では、ベース材30とカバー材31との左右方向の移動が規制される。
【0030】
また、対面壁部31aにおいて縦骨40側に位置する第3係合部31cは、カバー材31に覆われるベース材30の見込み壁部30bを貫通した状態で取り付けられて対面壁部31a側に突出するねじ33と、当該対面壁部31aの第3係合部31cが係合している見込み壁部30bの第1係合部30cとに挟持されているので、ねじ33により見込み方向の移動も規制される。このため、第1係合部30cと第3係合部31c及び第2係合部30dと第4係合部31dが係合されてねじ33が取り付けられることにより、ベース材30及びカバー材31でなる右網戸取付枠3は縦骨40に取り付けられる。このとき、ねじ33が取り付けられているベース材30はカバー材31に覆われているので、ねじ33が露出しない。このため、意匠性に優れた右網戸取付枠3を提供することが可能である。
【0031】
また、左網戸取付枠6は、右網戸取付枠3とカバー部の見付け幅が相違するだけなので、右網戸取付枠3と同様に、意匠性に優れており、左網戸取付枠6及び右網戸取付枠3を介して枠体4に取り付けられる収納式網戸2を備える網戸ユニット5及びこの網戸ユニット5が取り付けられた建具1も意匠性に優れている。
【0032】
また、ベース材30とカバー材31の第1係合部30cと第3係合部31c及び第2係合部30dと第4係合部31dが係合した状態で、対面壁部31aが有する第3係合部31cと第4係合部31dとの間に設けられた対面壁部側突部31eは、見込み壁部30bが有する第1係合部30cと第2係合部30dとの間に設けられた見込み壁部側突部30eの縦骨40側に当接しているので、カバー材31が縦骨40に向かって見込み方向に移動しつつ第1~第4係合部30c、30d、31c、31dが係合する際に対面壁部側突部31eは、まず、見込み壁部側突部30eにおける縦骨40とは反対側で接触する。
【0033】
このとき、対面壁部側突部31eが設けられている対面壁部31aは、見込み壁部30bよりも薄く形成されているので、対面壁部側突部31eが見込み壁部側突部30eに接触した後に、さらに縦骨40側に移動させることにより、対面壁部31aが撓み変形しつつ対面壁部側突部31eが見込み壁部側突部30eを乗り越えて縦骨40側に移動して、対面壁部側突部31eを見込み壁部側突部30eの枠体側に配置させ、当接または近接させることが可能である。
【0034】
このため、縦骨40側において対面壁部31aの第3係合部31cが見込み壁部30bの第1合部30bと係合し、対面壁部側突部31eが見込み壁部側突部30eの縦骨40側に当接または近接することにより、カバー材31をベース材30に保持させることが可能となる。このため、カバー材31をベース材30に保持させた状態でねじ33を取り付けることができるので、施工性に優れている。
【0035】
また、右網戸取付枠3を取り外す際には、カバー材31を縦骨40とは反対方向に移動しなければならないが、ねじ33を取り外しても、対面壁部側突部31eが見込み壁部側突部30eの縦骨40側に当接または近接しているため、取り外しにくい。このため、見込み壁部30bが有する第1係合部30cと第2係合部30dとの間に室内側螺合孔30kを備えている右網戸取付枠3は、室内側螺合孔30kに螺合させたねじ35により、対面壁部31aを見込み壁部30bから離れる方向に押圧することにより、対面壁部31aを撓ませてカバー材31を縦骨40とは反対側に容易に移動させて取り外すことが可能である。このとき、ねじ35を用いる構成としたので、ねじ35を螺進することにより容易に対面壁部31aを押圧することが可能であり、また、ねじ35を反転することによりねじ35を容易に取り外すことが可能である。
【0036】
また、カバー材31が有するカバー部31bは、ベース材30の固定板部30aが取り付けられる縦骨40の見付け面及び固定板部30aと見込み方向に重なり且つ覆うので、縦骨40とは反対側からは、カバー材31だけが視認される。このため、視認される部位の見付け幅を狭くできるので、より意匠性に優れている。
【0037】
上記実施形態においては、カバー材31の室内側への移動を規制する規制部材として、室外側螺合孔30j螺合するねじ33を用いる例について説明したがこれに限るものではない。たとえば、見込み壁部30bに取り外し可能に係止され、当該見込み壁部30bから対面壁部31a側に突出して第1係合部30cとともに第3係合部31cを挟持可能であれば構わない。
【0038】
上記実施形態においては、右網戸取付枠3に右網戸枠22と固定するための室内側螺合孔30kを、カバー材31を外す際に用いる例について説明したが、これに限るものではない。例えば、棒状の部材が挿通可能な貫通孔を、室内側螺合孔30kとは別に見込み壁部30bに設けておいても構わない。
【0039】
上記実施形態においては、枠体の室内側に収納式網戸を取り付ける例について説明したが、収納式網戸が室外側に設けられる構成であっても構わない。また、上記実施形態においては、収納式網戸が、蛇腹状に折り畳まれている例について説明したが、ロール状に巻かれて収納されていても構わない。また、横方向に引き出される収納式網戸を取り付けるための縦方向に沿って設けられる補助枠を例に挙げて説明したが、これに限らず、上下方向に引き出される収納式網戸を取り付けるための横方向に沿って取り付けられる補助枠であっても構わない。
【0040】
上記実施形態においては、1本の縦骨40に右網戸取付枠(補助枠)3を取り付ける例について説明したが、これに限らず、例えば、図1に示すように、左縦枠41の室内側に固定する左網戸取付枠6や、窓枠が左右に隣接して連窓などの2本の縦骨が隣接して設けられる建具に取り付ける場合など、カバー部の見付け幅は、取り付ける部に合わせて開口側に突出することなく枠体等を覆うように構成することが望ましい。
【0041】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0042】
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
態様1:開口を形成する枠体の室内側または室外側に取り付けられる補助枠であって、前記枠体に取り付けられ当該枠体と反対方向に突出する見込み壁部を有するベース材と、前記見込み壁部と左右方向に対面して取り付けられる対面壁部を有し、前記ベース材を覆うカバー材と、前記見込み壁部を貫通した状態で取り付けられて前記対面壁部側に突出する規制部材と、を有し、前記見込み壁部及び前記対面壁部は、前記カバー材が前記枠体に向かって見込み方向に移動しつつ互いに係合する係合部を有し、前記対面壁部の前記係合部は、前記見込み壁部における前記枠体側の前記係合部と係合した状態で、前記見込み壁部の前記係合部と、前記規制部材と、に挟持されていることを特徴とする補助枠である。
【0043】
態様1の補助枠によれば、ベース材の見込み壁部及びカバー材の対面壁部の見込み方向に間隔を空けて設けられている各々2つの係合部は、カバー材が枠体に向かって見込み方向に移動しつつ互いに係合するので、互いの係合部が係合した状態では、ベース材とカバー材との左右方向の移動が規制される。
【0044】
また、対面壁部の係合部は、カバー材に覆われるベース材の見込み壁部を貫通した状態で取り付けられて対面壁部側に突出する規制部材と、当該対面壁部の係合部が係合している見込み壁部の係合部とに挟持されているので、規制部材により見込み方向の移動も規制される。このため、ベース材及びカバー材の係合部が係合されて規制部材が取り付けられることにより、ベース材及びカバー材でなる補助枠は枠体に取り付けられる。このとき、規制部材が取り付けられているベース材はカバー材に覆われているので、規制部材が露出しない。このため、意匠性に優れた補助枠を提供することが可能である。
【0045】
態様2:態様1に記載の補助枠であって、前記見込み壁部及び前記対面壁部は、見込み方向に間隔を空けて2つの前記係合部をそれぞれ有し、前記見込み壁部は、前記2つの前記係合部の間に、前記対面壁部側に突出する見込み壁部側突部を有し、前記対面壁部は、前記見込み壁部より薄く形成されており、当該対面壁部の前記2つの前記係合部の間に、前記見込み壁部側に突出する対面壁部側突部を有し、前記見込み壁部の前記係合部と前記対面壁部の係合部とが係合した状態で、前記対面壁部側突部は、前記見込み壁部側突部の前記枠体側にて当接または近接している。
【0046】
態様2の補助枠によれば、ベース材とカバー材の互いの係合部が係合した状態で、対面壁部が有する2つの係合部の間に設けられた対面壁部側突部は、見込み壁部が有する2つの係合部の間に設けられた見込み壁部側突部の枠体側にて当接または近接しているので、カバー材が枠体に向かって見込み方向に移動しつつ互いの係合部が係合する際に対面壁部側突部は、見込み壁部側突部における枠体とは反対側で接触する。
【0047】
このとき、対面壁部側突部が設けられている対面壁部は、見込み壁部よりも薄く形成されているので、対面壁部側突部が見込み壁部側突部に接触した後に、さらにカバー材を枠体側に移動させることにより、対面壁部が撓み変形しつつ対面壁部側突部が見込み壁部側突部を乗り越えて枠体側に移動して、対面壁部側突部を見込み壁部側突部の枠体側にて当接または近接させることが可能である。
【0048】
このため、枠体側において対面壁部の係合部が見込み壁部の係合部と係合し、対面壁部側突部が見込み壁部側突部の枠体側にて当接または近接することにより、カバー材をベース材に保持させることが可能となる。このため、カバー材をベース材に保持させた状態で規制部材を取り付けることができるので、施工性に優れている。
【0049】
態様3:態様2に記載の補助枠であって、前記見込み壁部は、当該見込み壁部が有する2つの前記係合部の間に貫通孔を備えていることを特徴とする。
【0050】
態様3の補助枠によれば、補助枠を取り外す際には、カバー材を枠体とは反対方向に移動しなければならないが、規制部材を取り外しても、対面壁部側突部が見込み壁部側突部の枠体側にて当接または近接しているため、取り外しにくい。このため、見込み壁部が有する2つの係合部の間に貫通孔を備えた本補助枠は、貫通孔に挿通させた例えば棒状の部材等により、対面壁部を見込み壁部から離れる方向に押圧することにより、対面壁部を撓ませてカバー材を枠体とは反対側に容易に移動させて取り外すことが可能となる。
【0051】
態様4:態様3に記載の補助枠であって、前記貫通孔の内周に雌ねじが形成されていることを特徴とする。
【0052】
態様4の補助枠によれば、貫通孔の内周に雌ねじが形成されているので、ねじを螺合することによりねじにより対面壁部を容易に押圧することが可能であり、また、ねじを反転することによりねじを容易に取り外すことが可能である。このため、カバー材をより容易に取り外すことが可能となる。
【0053】
態様5:態様1乃至態様4のいずれかに記載の補助枠であって、前記ベース材は、前記枠体の見付け面に取り付けられる取付板部を有し、前記カバー材は、前記見付け面及び前記取付板部と見込み方向に重り、前記見付け面及び前記取付板部を覆うカバー部を有する。
【0054】
態様5の補助枠によれば、カバー材が有するカバー部は、ベース材の取付部が取り付けられる枠体の見付け面及び取付板部と見込み方向に重なり且つ枠体の見付け面及び取付板部を覆うので、枠体と反対側からは、カバー材だけが視認される。このため、より意匠性に優れている。
【0055】
態様6:態様1乃至態様5のいずれかに記載の補助枠と、前記補助枠により取り付けられる収納式網戸と、を有することを特徴とする網戸ユニットである。
態様6の網戸ユニットによれば、より意匠性に優れた網戸ユニットを提供することが可能となる。
【0056】
態様7:態様6に記載の網戸ユニットと、前記補助枠が取り付けられる前記枠体と、を有することを特徴とする建具である。
態様7の建具によれば、より意匠性に優れた網戸ユニットを備えた建具を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1 建具、1d 開口、3 右網戸取付枠(補助枠)、4 枠体、
5 網戸ユニット、30 ベース材、30a 固定板部、30b 見込み壁部、
30c 第1係合部、30d 第2係合部、30e 見込み壁部側突部、
30j 室外側螺合孔、31 カバー材、31a 対面壁部、31b カバー部、
31c 第3係合部、31d 第4係合部、31e 対面壁部側突部、
33 ねじ(規制部材)、40 縦骨、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7