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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000474
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】配線装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20231225BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H05K1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022109339
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】391018662
【氏名又は名称】木本 軍生
(72)【発明者】
【氏名】木本 軍生
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338CC10
5E338CD02
5E338CD13
5E338EE11
5E338EE32
(57)【要約】
【課題】 シリコンプロセスに依存しない微細配線を可能としながら複数の半導体デバイスの接続における配線基板の多層化を排除することにより、高密度な配線装置を低コストで提供する。
【解決手段】 1つのXY平面上に設置した複数の電気端子と任意の前記電気端子間を接続する導電性パターンとが電鋳又はエッチング加工により形成された配線装置において、2つ以上の前記導電性パターンの一部がZ方向に段差を有して交差する交差部を有し、少なくとも前記交差部において、各々の前記導電性パターン表面に独立して誘電体膜を有すること、及び、前記電気端子及び前記交差部を含む前記導電性パターンが同一の誘電体シート上に設置されたこと。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのXY平面上に設置した複数の電気端子と任意の前記電気端子間を接続する導電性パターンとがメッキ又はエッチング加工により形成された配線装置において、
2つ以上の前記導電性パターンの一部がZ方向に段差を有して交差する交差部を有し、少なくとも前記交差部において各々の前記導電性パターン表面に独立して誘電体膜を有すること、
を特徴とする配線装置。
【請求項2】
前記電気端子及び前記交差部を含む前記導電性パターンが同一の誘電体シート上に設置されたこと、
を特徴とする請求項1記載の配線装置。
【請求項3】
前記電気端子の一部又は全部を前記誘電体シートの両面に設置し、相対する両面の前記電気端子を電気的に接続し貫通ビアを形成したこと、
を特徴とする請求項1又は2の何れか記載の配線装置
【請求項4】
前記貫通ビアが内径空間を有するスルーホールであることを特徴とする請求項3記載の配線装置
【請求項5】
任意の平面上に配置した1つ又は複数の第1の半導体デバイス群と、同一又は他の平面上に配置した1つ又は複数の第2の半導体デバイス群とを電気的に接続する半導体装置であって、前記誘電体シートの一方の面に前記第1の半導体デバイス群の電極端子と接続する第1の電気端子と、前記誘電体シートの同一又は他方の面に前記第2の半導体デバイス群の電極端子と接続する第2の電気端子と、前記第1の電気端子と前記第2の電気端子とを接続する導電性パターンとを有すること、
を特徴とする請求項1乃至4の何れか記載の配線装置
【請求項6】
前記配線装置が、少なくとも前記第1の半導体デバイス群と前記第2の半導体デバイス群との間において折り曲げ可能な可塑性又は弾性を有すること、
を特徴とする請求項5記載の配線装置
【請求項7】
任意の1つの前記半導体デバイスに複数の独立した配線装置を設置したことを特徴とする請求項5又は6の何れか記載の配線装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体デバイスを接続搭載する配線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IoT、AI、5G社会の到来と共に、これらに適用すべき半導体の多機能化、高機能化、小型化、低価格化が要求されている。このような要求を満たすべく、様々な半導体デバイスの実装形態が紹介されている。三次元(3D)積層と呼ばれているThrough-Silicon Via(TSV:シリコン貫通ビア)による垂直配線は、主としてDRAM等の同種のIC間接続に使用されている。一方、異種IC間の接続技術としては、多くは2.5次元(2.5D)積層と呼ばれる方法が一般的で、複数の異種ICを同一パッケージ面に実装してシステム化し、一つのデバイスチップとしたものをSystem In a Package(SiP:システムインパッケージ)と称している。
【0003】
SiPのさらなる高密度化・小型化を実現するパッケージング技術としては、上下間をTSV技術により導通可能にし、微細配線を備えたシリコン等を基材としたインターポーザをICチップ側の微細端子接続・配線手段とし、さらに有機基材によるビルドアップ配線板等で装置PCB側に接続する方法が多く採用されている(特許文献1)。さらに、シリコンブリッジと呼ばれている複数IC相互間の高密度信号接続のみにシリコン基板による高密度配線技術を適用し、それらのシリコン基板を有機材基板に埋め込み、電源・装置インターフェース信号等を有機基板内の配線が担う方法等(特許文献2)が実用化されている。
【0004】
このように、SiPの高密度化・小型化を実現する手段としては、
▲1▼ICチップ側の微細端子接続及び微細な再配線を実現する手段としての薄膜ウェハプロセス、
▲2▼シリコン基板上下の伝達手段としてのTSV技術、
▲3▼配線ピッチを広げ装置PCB端子へ接続する手段としてのビルドアップ有機基板技術
の選択、組合せによるものが主流となっている。
【0005】
しかしながら、特許文献1又は特許文献2に代表される従来の方法の特徴と問題点は、以下に示すようなものとなる。
1つには、搭載すべきIC数が増加し又は入出力(I/O)端子数が増加し高密度になるほど、端子間の配線数を増加させるか、又はより多層化せざるを得ないため、製造コストの増大につながるものである。
又、上記端子間配線数を増やすためには配線の微細化(例えば配線幅2μmクラス)が必要であり、そのためにはウェハプロセスによる製造工程を使用せざるを得ず、又、シリコン基板における表裏面の接続手段としてTSV技術が必須となり、製造コストの増大と歩留まりの低下につながる。
さらに、ウェハプロセスやTSV技術による配線基板と、有機基板技術による基板とを組み合わせることにより、特性の劣化や製造コストの増加、及び異種製造工程の混在による開発及び製造の長納期化にもつながっている。
【0006】
一方、電鋳、いわゆるメッキ手法による微細形状形成技術は、近年では広範囲の分野への応用が開発されている。多数の半導体デバイス端子間を接続する手段として、半導体デバイス端子配列平面に対し、垂直方向に突出した端子及び配線を有する配線パターンシートと、半導体デバイス外部の共通配線を有する配線パターンシートとを接続することにより、複数の半導体デバイス間を水平方向又は垂直方向のいずれにも接続可能とする方法が報告されている(特許文献3,特許文献4)。当該発明は微細配線を可能としながら配線基板の多層化を排除する利点を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-110983号公報
【特許文献2】特開2014-179613号公報
【特許文献3】特開2021-1118341号公報
【特許文献4】特開2021-121011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の微細配線の多層基板化の問題点を解決するものであり、半導体デバイス端子間を接続する導電性パターンが電鋳又はエッチング加工により形成された配線装置において、各々の導体パターンに個別に誘電体膜を設置することにより、単一の誘電体シート上で複数の交差配線を含む配線パターンを構成するものであり、シリコンプロセスに依存しない微細配線を可能としながら複数の半導体デバイスの接続における配線基板の多層化を排除することにより、高密度な配線装置を低コストで提供することができる。
【0009】
又、本発明による配線装置により、例えば、Central Processing Unit(CPU)、Graphics Processing Unit(GPU)、メモリー等の半導体デバイスを同時に搭載することが可能となり、コンピュータ等のシステム構成において、小型化・低コスト化を実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、1つのXY平面上に設置した複数の電気端子と任意の前記電気端子間を接続する導電性パターンとが、メッキ又はエッチング加工により形成された配線装置において、2つ以上の前記導電性パターンの一部がZ方向に段差を有して交差する交差部を有し、少なくとも前記交差部において各々の前記導電性パターン表面に独立して誘電体膜を有するため、同一面上における複数の導電性パターンの交差配置が可能となる。
【0011】
又、前記電気端子及び前記交差部を含む前記導電性パターンが同一の誘電体シート上に設置される手段を有するため、単一の誘電体シート上での複数の交差配線が可能となり、従来の基板の多層化を排除できるものである。
【0012】
又、前記電気端子の一部又は全部を前記誘電体シートの両面に設置し、相対する両面の前記電気端子を電気的に接続し貫通ビアを形成する手段を有するため、誘電体シートの両面に半導体デバイスの搭載・接続が可能となる。
【0013】
又、前記貫通ビアが内径空間を有するスルーホールである手段を有するため、ピン端子を有する半導体デバイスの搭載が可能となる。
【0014】
又、任意の平面上に配置した1つ又は複数の第1の半導体デバイス群と、同一又は他の平面上に配置した1つ又は複数の第2の半導体デバイス群とを電気的に接続する半導体装置であって、前記誘電体シートの一方の面に前記第1の半導体デバイス群の電極端子と接続する第1の電気端子と、前記誘電体シートの同一又は他方の面に前記第2の半導体デバイス群の電極端子と接続する第2の電気端子と、前記第1の電気端子と前記第2の電気端子とを接続する導電性パターンとを有するため、例えば、CPU、GPU、メモリー等の半導体デバイスを同時に搭載することが可能となり、コンピュータ等のシステム構成において、小型化・低コスト化を実現することができる。
【0015】
又、前記配線装置が、少なくとも前記第1の半導体デバイス群と前記第2の半導体デバイス群との間において折り曲げ可能な可塑性又は弾性を有するため、半導体デバイスどうしを垂直方向にも実装すること、いわゆる三次元実装が可能となる。
【0016】
さらに、任意の1つの前記半導体デバイスに複数の独立した配線装置を設置する手段を有するため、例えばメモリーICの増設等に対応可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の配線装置によれば、半導体デバイス端子間を接続する導電性パターンが電鋳又はエッチング加工により形成された配線装置において、各々の導体パターンに個別に誘電体膜を設置することにより、単一の誘電体シート上で複数の交差配線を含む配線パターンを構成するものであり、シリコンプロセスに依存しない微細配線を可能としながら複数の半導体デバイスの接続における配線基板の多層化を排除することにより、高密度な配線装置を低コストで提供することができる。
又、本発明による配線装置により、例えば、Central Processing Unit(CPU)、Graphics Processing Unit(GPU)、メモリー等の半導体デバイスを同時に搭載することが可能となり、コンピュータ等のシステム構成において、小型化・低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による配線装置の基本構成を示す図
図2】本発明による配線装置の部分構造を示す斜視図及び断面図
図3】本発明の第1の実施例による配線装置を示す斜視図
図4】本発明の第2の実施例による配線装置を使用した半導体装置を構成する斜視図
図5】本発明の第2の実施例による配線装置を使用した半導体装置を示す斜視図
図6】本発明の第3の実施例による配線装置を使用した半導体装置を構成する斜視図
図7】本発明の第3の実施例による配線装置を使用した半導体装置を示す断面図
図8】本発明の第4の実施例による配線装置を使用した半導体装置を構成する斜視図
図9】本発明の第4の実施例による配線装置を使用した半導体装置を示す斜視図
図10】本発明の第5の実施例による配線装置を使用した半導体装置を構成する斜視図
図11】本発明の第5の実施例による配線装置を使用した半導体装置を示す斜視図
図12】本発明の配線装置の電気端子近傍の配線例を示す正面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の半導体装置について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明による配線装置の基本構成を示す図である。図1において、10は本発明による配線装置であり、1つのXY平面における誘電体シート3に設置した複数の電気端子1と、任意の前記電気端子1間を接続する導電性パターン2とが電鋳加工又はエッチング加工等により形成された配線装置において、複数の前記導電性パターン2の一部が図2にて後述するZ方向に段差を有して交差する交差部4を有し、少なくとも前記交差部4において、各々の前記導電性パターン2表面に独立して誘電体膜を有するものである。
【0020】
図2は、本発明による配線装置の部分構造を示す斜視図及び断面図であり、図1における前記交差部4の一部についてその構造を説明するものである。図2(a)において、前記誘電体シート3上に設置した複数の電気端子列1a~1dと1e~1hとの間を、導電性パターン2a~2dで接続したものである。図2の如く接続された場合、前記導電性パターン2aは前記導電性パターン2c及び2dと、前記導電性パターン2bは同様に、前記導電性パターン2c及び2dと交差することになる。
【0021】
図2(b)に示す断面A-Aにおいて、前記導電性パターン2a及び2bの導体形成後に導体表面に誘電体膜21が形成されている。これにより、前記導電性パターン2a及び2bの上部を交差する前記導電性パターン2c及び2dは、電気的に独立して配線することが可能となる。さらに、前記導電性パターン2c及び2dにおいて導体形成後に導体表面に誘電体膜を形成することにより、前記導電性パターン2c及び2dの上部にも他の配線(図示せず)を交差することができる。
【0022】
以上が、本発明による配線装置の基本構成を説明するものであり、半導体デバイス端子間を接続する導電性パターンが電鋳又はエッチング加工により形成された配線装置において、各々の導体パターンに個別に誘電体膜を設置することにより、単一の誘電体シート上で複数の交差配線を含む配線パターンを構成するものである。
【0023】
図3は、本発明の第1の実施例による配線装置を示す斜視図である。図3は、図1に示す構成の内、前記電気端子1の一部又は全部を前記誘電体シート3の両面に設置し、相対する表面電気端子1Fと裏面電気端子1Rとを電気的に接続するための貫通ビア61を形成したものである。これにより、例えば電気端子列1Aと電気端子列1Bを接続する導電性パターンは、前記誘電体シート3の表面と裏面の何れか、又は両方に設置することが可能である。
【0024】
図4は、本発明の第2の実施例による配線装置を使用した半導体装置を構成する斜視図である。図4において、1つのXY平面上に配置した2つの半導体デバイス501と502、及び、他のXY平面上に配置した1つの半導体デバイス503が、配線装置101を介して接続搭載するための搭載前の構成を示す。
【0025】
前記誘電体シート3の一方の面(本図では表面)に、前記半導体デバイス501及び502の電極端子列51A及び51Bに接続する電気端子列1Aと、前記誘電体シート3の同一又は他方の面(本図では裏面)に、前記半導体デバイス503の電極端子列51Cに接続する電気端子列1Bと、前記電気端子列1Aと前記電気端子列1Bとを接続する導電性パターン2とを設置した。
【0026】
図5は、本発明の第2の実施例による配線装置を使用した半導体装置を示す斜視図であり、図4で示した構成による半導体デバイス群を搭載した後の構造を示すものである。本実施例において、例えば、前記半導体デバイス501及び502をメモリーIC、前記半導体デバイス503をCPU等の半導体チップとすれば、コンピュータシステムの基本構築が可能である。又、前記配線装置101をXY平面方向に拡張し電気端子及び導電性パターンを適宜増加することによって、他の半導体デバイスの搭載を同時に可能とするものである。
【0027】
図6は、本発明の第3の実施例による配線装置を使用した半導体装置を構成する斜視図であり、図6は、図4に示す構成の内、前記貫通ビア61を内径空間を有するスルーホール62としたものである。1つの平面上に配置した2つの半導体デバイス501と502、及び、他の平面上に配置した1つの半導体デバイス503が、配線装置102を介して接続搭載するための搭載前の構成を示す。
【0028】
前記誘電体シート3の一方の面(本図では表面)に前記半導体デバイス501及び502の電極端子列51A及び51Bに接続する電気端子列1Aと、前記誘電体シート3の同一又は他方の面(本図では裏面)に前記半導体デバイス503の電極端子列51Cに接続する電気端子列1Bと、前記電気端子列1Aと前記電気端子列1Bとを接続する導電性パターン2とを設置した。
【0029】
前記半導体デバイス501乃至503の電極端子列51A乃至51Cには、ピン端子55を設置したものも多く市販されており、前記貫通ビア61を前記ピン端子55の外形よりも大きな内径空間を有するスルーホールとすることで、前記ピン端子55を前記スルーホール62に挿入し、半田付け等により固定することが可能となる。
【0030】
又、前記電気端子列1Aと前記電気端子列1Bとを接続する前記導電性パターン2の途中にスルーホール63を設置し、1つの前記導電性パターン2を前記誘電体シートの表面と裏面に分離することが可能となり、前記電気端子列1A又は前記電気端子列1B近傍における輻輳を防ぐことができる。
【0031】
図7は、本発明の第3の実施例による配線装置を使用した半導体装置を示す断面図であり、図6における断面B-Bを表したものである。前記半導体デバイス501乃至503の電極端子列51A乃至51Cに設置された前記ピン端子55を、前記スルーホール62に挿入し、半田付け等により固定するものである。又、前述のようにスルーホール63を設置し、1つの前記導電性パターン2を前記誘電体シートの表面配線2fと裏面配線2rに分離することが可能となり、配線の輻輳を排除することができる。
【0032】
図8は、本発明の第4の実施例による配線装置を使用した半導体装置を構成する斜視図であり、4つの半導体デバイス511~514を搭載する構造を示すものである。103は、1つの誘電体シート30に電気端子列11と導電性パターン22を有し、折り曲げ可能な可塑性又は弾性を有する配線装置であり、前記配線装置103の一部(本図では上部)103aには、表面に電気端子11a-1を、裏面に電気端子11a-2を有し、前記電気端子11a-1又は前記電気端子11a-2から導電性パターン22aが接続されている。
【0033】
又、前記配線装置103の他部(本図では下部)103bには、表面に電気端子列11b-1を、裏面に電気端子列11b-2を有し、前記電気端子列11b-1又は前記電気端子列11b-2から導電性パターン22bが接続されており、前記導電性パターン22aの一部又は全部と前記導電性パターン22bの一部又は全部とは導電性パターン22cにて接続されている。
【0034】
一方、前記半導体デバイス511には前記電気端子列11a-1と同一の配列である電極端子列51-1を有し、前記半導体デバイス512には前記電気端子列11a-2と同一の配列である電極端子列51-2を有し、前記半導体デバイス511及び512がそれぞれ前記配線装置103aの両面に実装可能な状態となっている。さらに、前記半導体デバイス513には前記電気端子列11b-1と同一の配列である電極端子列51-3を有し、前記半導体デバイス514には前記電気端子列11b-2と同一の配列である電極端子列51-4を有し、前記半導体デバイス513及び514がそれぞれ前記配線装置103bの両面に実装可能な状態となっている。
【0035】
図9は、本発明の第4の実施例による配線装置を使用した半導体装置を示す斜視図であり、図8にて説明した構成の半導体装置の組立実装後を示すものである。折り曲げ可能な可塑性又は弾性を有する1つの前記配線装置103が、前記半導体デバイス群511及び512と、前記半導体デバイス群513及び514との間において折り曲げられることにより、4つの半導体デバイスが垂直方向(Z方向)に省スペースに実装可能となる。
【0036】
本実施例において、例えば、前記半導体デバイス511乃至513をメモリーIC、前記半導体デバイス514をCPU等の半導体チップとすれば、コンピュータシステムの基本構築が可能である。
【0037】
図10は、本発明の第5の実施例による配線装置を使用した半導体装置を構成する斜視図であり、任意の1つの半導体デバイスに複数の独立した配線装置を設置したものである。図10において、配線装置は、3つの独立した配線装置104~106で構成され、1つの半導体デバイス524に共通に設置される例を示すものである。前記半導体デバイス524には電極端子52-4に設置されたピン端子56を有している。
【0038】
前記配線装置104の一部(本図では左部)104aには、1つの誘電体シート31上に、前記半導体デバイス524の前記ピン端子56に挿入可能な電気端子列12と、前記電気端子列12の一部の電気端子列12aから接続される導電性パターン23を有し、前記配線装置104の他部(本図では右部)104bには、1つの前記誘電体シート31上に電気端子列12bを有し、前記導電性パターン23の一部又は全部と接続されている。一方、半導体デバイス521には前記電気端子列12bの一部又は全部と同一の配列である電極端子列52-1を有し、前記半導体デバイス521が前記配線装置104bに実装可能な状態となっている。
【0039】
又、前記配線装置105の一部(本図では左部)105aには、1つの誘電体シート32上に、前記半導体デバイス524の前記ピン端子56に挿入可能な電気端子列13と、前記電気端子列13の一部の電気端子列13aから接続される導電性パターン24を有し、前記配線装置105の他部(本図では右部)105bには、1つの前記誘電体シート32上に電気端子列13bを有し、前記導電性パターン24の一部又は全部と接続されている。一方、半導体デバイス522には前記電気端子列13bの一部又は全部と同一の配列である電極端子列52-2を有し、前記半導体デバイス522が前記配線装置105bに実装可能な状態となっている。
【0040】
さらに、前記配線装置106の一部(本図では左部)106aには、1つの誘電体シート33上に、前記半導体デバイス524の前記ピン端子56に挿入可能な電気端子列14と、前記電気端子列14の一部の電気端子列14aから接続される導電性パターン25を有し、前記配線装置106の他部(本図では右部)106bには、1つの前記誘電体シート33上に電気端子列14bを有し、前記導電性パターン25の一部又は全部と接続されている。一方、半導体デバイス523には前記電気端子列14bの一部又は全部と同一の配列である電極端子列52-3を有し、前記半導体デバイス523が前記配線装置106bに実装可能な状態となっている。
【0041】
図11は、本発明の第5の実施例による配線装置を使用した半導体装置を示す斜視図であり、図10にて説明した構成の半導体装置の組立実装後を示すものである。前記配線装置104~106に共通に接続された前記半導体デバイス524と、前記配線装置104に実装された前記半導体デバイス521及び、前記配線装置105に実装された前記半導体デバイス522及び、前記配線装置106に実装された前記半導体デバイス523との間において、折り曲げ可能な可塑性又は弾性を有する前記配線装置104乃至106が折り曲げられることにより、4つの半導体デバイス521乃至524が垂直方向(Z方向)に省スペースに実装可能となる。
【0042】
本実施例において、例えば、前記半導体デバイス521乃至523をメモリーIC、前記半導体デバイス524をCPU等の半導体チップとすれば、コンピュータシステムの基本構築が可能である。
【0043】
図12は、本発明の配線装置の電気端子近傍の配線例を示す正面図である。図12において15a及び15bは、誘電体シート3上における半導体デバイスの電極端子近傍の電気端子であり、2eは、前記電気端子列15aに接続する導電性パターンで、周囲に誘電体膜21を有する。又、2fは、前記電気端子列15bに接続する導電性パターンで、周囲に誘電体膜21を有する。一般的に半導体デバイスの電極端子近傍では、配線の輻輳が発生し易いが、導電性パターンの周囲に前記誘電体膜21を有することにより、前記電極端子列15a、15b近傍においても導電性パターンどうしの交差が可能であり、高密度な配線を容易にするものである。
【0044】
以上説明したように、本発明の配線装置によれば、半導体デバイス端子間を接続する導電性パターンが電鋳又はエッチング加工により形成された配線装置において、各々の導体パターンに個別に誘電体膜を設置することにより、単一の誘電体シート上で複数の交差配線を含む配線パターンを構成するものであり、シリコンプロセスに依存しない微細配線を可能としながら複数の半導体デバイスの接続における配線基板の多層化を排除することにより、高密度な配線装置を低コストで提供することができる。
【0045】
又、本発明による配線装置により、例えば、Central Processing Unit(CPU)、Graphics Processing Unit(GPU)、メモリー等の半導体デバイスを同時に搭載することが可能となり、コンピュータ等のシステム構成において、小型化・低コスト化を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
複数の半導体デバイスを水平方向又は垂直方向に積層する半導体装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
10、101~106 配線装置
1、11~15 電気端子
2、22~25 導電性パターン
21 誘電体膜
3、30~33 誘電体シート
4 交差部
51、52 電極端子
55、56 ピン端子
501~503、511~514、521~524 半導体デバイス
61 貫通ビア
62、63 スルーホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12