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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047404
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20240329BHJP
   B62D 27/04 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
E02F9/16 A
B62D27/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153007
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】村上 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】小瀧 裕史
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】永見 浩史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 陽平
(72)【発明者】
【氏名】矢津田 修
(72)【発明者】
【氏名】山光 弘法
【テーマコード(参考)】
2D015
3D203
【Fターム(参考)】
2D015EA01
2D015EA05
3D203AA26
3D203BA02
3D203BC34
(57)【要約】
【課題】車体フレームに対するキャブの脱着性を改善することが可能な作業車両を提供すること。
【解決手段】ブルドーザ1は、車体フレーム8と、キャブ9と、ブラケット13と、後側規制部12と、後側ダンパマウント14と、を備える。キャブ9は、車体フレーム8の上側に配置される。ブラケット13は、キャブ9と接続される。後側規制部12は、ブラケット13と車体フレーム8との間に配置され、車体フレーム8に対するキャブ9の移動範囲を規制する。後側ダンパマウント14は、ブラケット13と車体フレーム8の間に配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームの上側に配置されるキャブと、
前記キャブと接続されるブラケットと、
前記ブラケットと前記車体フレームとの間に配置され、前記車体フレームに対する前記キャブの移動範囲を規制する規制部と、
前記ブラケットと前記車体フレームの間に配置された緩衝装置と、を備えた、
作業車両。
【請求項2】
前記ブラケットから前記キャブの床部を挿通して、前記キャブの内側に突出した締結部材を更に備えた、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記車体フレームは、
フレーム本体と、
前記フレーム本体から上方に向かって配置された支持部材と、を有し、
前記規制部および前記緩衝装置は、前記支持部材に固定されている、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項4】
前記キャブおよび前記ブラケットのいずれか一方に位置決めピンが配置され、
前記キャブおよび前記ブラケットの他方に、前記位置決めピンが挿入される位置決め孔が形成されている、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項5】
前記緩衝装置は、前記規制部の後方に配置されている、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項6】
前記支持部材は、
前記フレーム本体に接触して固定され、前記規制部が配置された第1支持部と、
前記第1支持部に接触して固定され、前記緩衝装置が配置された第2支持部と、を有する、
請求項3に記載の作業車両。
【請求項7】
前記ブラケットは、
前記キャブに取り付けられる取付部と、
前記取付部から前記車体フレームに向かって形成され、前記規制部の周囲に配置された被規制部と、を有し、
前記被規制部は、前記規制部と離間して配置されている、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項8】
前記規制部は、棒状の部材であり、
前記被規制部は、前記規制部の棒状の側面と周方向の全周に亘って間隔を空けて配置された円環形状である、
請求項7に記載の作業車両。
【請求項9】
前記緩衝装置は、
前記支持部材に固定されたケースと、
前記ケース内に配置された緩衝部材と、
前記緩衝部材を介して前記ケースに配置されたスタッドと、を有し、
前記スタッドは、前記ブラケットに固定されている、
請求項3に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ブルドーザ等の作業機械では、キャブに作用する振動や衝撃を減衰緩和して乗り心地を向上させるために、車体フレームとキャブの床部との間にダンパマウントが配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ブルドーザ等の作業機械は、転倒した場合等において、車体重量によってキャブフレームに過大荷重が作用した場合であっても、運転者を保護することができるようにキャブフレームに対してROPS(Roll- Over Protective Structure:転倒時保護構造)の機能を有している。このようなROPS機能では、車体フレームとキャブの床部との間に、車体フレームに対するキャブの移動を規制する規制機構を設け、過大荷重に対抗している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/066108号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す構成では、キャブの後部においてダンパマウントと規制機構が別々にキャブに組付けられているため、車体フレームからキャブを脱着する際には、ダンパマウントと規制機構の双方を取り外す必要があり、キャブ脱着に手間がかかっていた。
【0006】
本開示は、車体フレームに対するキャブの脱着性を改善することが可能な作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる第1の態様にかかる作業車両は、車体フレームと、キャブと、ブラケットと、規制部と、緩衝装置と、を備える。キャブは、車体フレームの上側に配置される。ブラケットは、キャブと接続される。規制部は、ブラケットと車体フレームとの間に配置され、車体フレームに対するキャブの移動範囲を規制する。緩衝装置は、ブラケットと車体フレームの間に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車体フレームに対するキャブの脱着性を改善することが可能な作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示にかかる実施形態におけるブルドーザを示す斜視図である。
図2】本開示にかかる実施形態における車体の斜視図である。
図3】本開示にかかる実施形態における車体の左側面図である。
図4】本開示にかかる実施形態における車体の背面図である。
図5】本開示にかかる実施形態におけるキャブの下部および支持部材を示す斜視図である。
図6】本開示にかかる実施形態における一対の支持部材および一対のブラケットを示す斜視図である。
図7】本開示にかかる実施形態における一対の支持部材および一対のブラケットを示す分解斜視図である。
図8】本開示にかかる実施形態におけるキャブおよび前側ダンパマウントを示す正面図である。
図9図3のCC間の断面図である。
図10】本開示にかかる実施形態におけるブラケットの近傍を示す側面図である。
図11図10の側断面図である。
図12】本開示にかかる実施形態におけるブラケットの斜視図である。
図13】本開示にかかる実施形態におけるキャブの天井部を取り除いた状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示にかかる実施形態の走行駆動装置について図面を参照しながら説明する。
【0011】
<構成>
(ブルドーザ1の概要)
図1は、本実施形態のブルドーザ1(作業車両の一例)を示す斜視図である。ブルドーザ1は、車体2と、作業機3と、リッパ装置4と、走行装置5と、を有する。
【0012】
作業機3は、車体2の前方に配置されている。作業機3は、土砂の掘削等の作業を行うブレード6を有している。リッパ装置4は、車体2の後方に配置されている。リッパ装置4は、岩盤等を破砕する爪部7を有している。
【0013】
走行装置5は、車体2に配置されている。走行装置5は、左右一対の履帯5aを有する。図1では、左側面側の履帯5aのみを示す。
【0014】
図2は、車体2の斜視図である。図3は、車体2の左側面図である。図4は、車体2を後方から視た背面図である。
【0015】
車体2は、図3に示すように、車体フレーム8と、キャブ9と、左右一対の前側ダンパマウント10と、左右一対の前側規制部11と、左右一対の後側規制部12(規制部の一例)と、左右一対のブラケット13と、左右一対の後側ダンパマウント14(緩衝装置の一例)と、を有する。
【0016】
キャブ9は、車体フレーム8の上側に配置されている。車体フレーム8に上述した作業機3、リッパ装置4および走行装置5が取り付けられている。ブラケット13は、キャブ9に接続されている。
【0017】
一対の後側ダンパマウント14と一対の前側ダンパマウント10によって、キャブ9は車体フレーム8に支持される。一対の後側規制部12と一対の前側規制部11は、転倒時等において、車体フレーム8からのキャブ9の移動を規制する。
【0018】
尚、本実施の形態において、前後左右はキャブ9の運転席を基準として説明する。キャブ9の運転席が正面に正対する方向を前方向A1とし、前方向A1に対向する方向を後方向A2とする。運転席が正面に正対したときの側方方向の左側、右側をそれぞれ左方向B1、右方向B2とする。また、左右方向は、車幅方向ともいう。
【0019】
(車体フレーム8)
車体フレーム8は、図2に示すように、フレーム本体21と、一対の支持部材22と、を含む。フレーム本体21は、左右一対の側部211と、前側接続部212と、後側接続部213と、中間接続部214、215と、を有する。一対の側部211の各々は、板状である。一対の側部211は、左右方向において対向して配置されている。
【0020】
前側接続部212は、左右方向に沿って配置されている。前側接続部212は、左側の側部211の前端と、右側の側部211の前端の間を繋ぐ。後側接続部213は、左右方向に沿って配置されている。後側接続部213は、左側の側部211の後端と右側の側部211の後端との間を繋ぐ。中間接続部214、215は、前側接続部212と後側接続部213の間に配置されている。中間接続部214、215の各々は、左右方向に沿って配置されており、左側の側部211と右側の側部211の間を繋ぐ。
【0021】
一対の支持部材22は、キャブ9の後側を支持する。一対の支持部材22は、フレーム本体21から上方に向かって延びている。支持部材22は、フレーム本体21に固定されている。一対の支持部材22は、左右方向において対向して配置されている。左側の支持部材22は、左側の側部211の上端に固定されている。右側の支持部材22は、右側の側部211の上端に固定されている。
【0022】
図5は、キャブ9の下部および支持部材22を示す斜視図である。図6は、一対の支持部材22および一対のブラケット13を示す斜視図である。図6は、図5からキャブ9を取り除いた状態を示す斜視図である。図7は、一対の支持部材22と一対のブラケットの分解斜視図である。
【0023】
支持部材22は、図3に示すように、第1支持部23と、第2支持部24と、を有する。第1支持部23は、フレーム本体21の側部211に接触して固定されている。第1支持部23は、側部211から上方に向かって延びている。図7に示すように、第1支持部23は、後述する後側規制部12が配置される先端部230を有する。先端部230の構成および後側規制部12については、後段にて述べる。
【0024】
第2支持部24は、第1支持部23に接触して固定されている。第2支持部24は、固定部241と、ダンパ支持部242と、を有する。固定部241は、第1支持部23の後面23aにボルト25(図4参照)によって固定されている。ダンパ支持部242は、固定部241から後方向A2に延びている。ダンパ支持部242は、後側ダンパマウント14を支持する。ダンパ支持部242に後側ダンパマウント14が固定されている。図4では、ボルト25を見やすくするために右側の後側ダンパマウント14のケース41の一部を省略している。
【0025】
(キャブ9)
キャブ9は、車体フレーム8の上側に配置されている。キャブ9は、一対の後側ダンパマウント14および一対の前側ダンパマウント10を介して車体フレーム8に支持されている。
【0026】
キャブ9は、図3および図5に示すように、床部31と、天井部32と、左右一対の前部ピラー33と、左右一対の後部ピラー34と、左右一対の中間ピラー35と、を有する。
【0027】
床部31は、図3に示すように、前後方向において高低差を有している。床部31は、前方向A1側の部分に配置された低部311と、後方向A2側の部分に配置された高部312と、を含む。天井部32は、床部31の上方において、床部31と対向して配置されている。
【0028】
左右一対の前部ピラー33は、床部31の低部311の前端と天井部32の前端との間に配置されている。左側の前部ピラー33は、低部311の前端の左方向B1側の端と、天井部32の前端の左方向B1側の端を繋ぐ。右側の前部ピラー33は、床部31の前端の右方向B2側の端と、天井部32の前端の右方向B2側の端を繋ぐ
【0029】
左右一対の後部ピラー34は、図4に示すように、床部31の高部312と天井部32との間に配置されている。左側の後部ピラー34は、高部312の後端の左方向B1側の端と、天井部32の後端の左方向B1側の端を繋ぐ。右側の後部ピラー34は、高部312の後端の右方向B2側の端と、天井部32の後端の右方向B2側の端を繋ぐ。
【0030】
左右一対の中間ピラー35は、図3および図5に示すように、床部31の低部311と天井部32との間に配置されている。一対の中間ピラー35は、前後方向において、一対の前部ピラー33と一対の後部ピラー34の間に配置されている。左側の中間ピラー35は、低部311の後端の左端から上方に向かって延び天井部32に接続されている。右側の中間ピラー35は、低部311の後端の右端から上方に向かって延び天井部32に接続されている。
【0031】
図5および図6に示すように、左側の後部ピラー34の下方に、左側の支持部材22、後側ダンパマウント14および後側規制部12が配置され、右側の後部ピラー34の下方に右側の支持部材22、後側ダンパマウント14および後側規制部12が配置されている。
【0032】
図3および後述する図8に示すように、左側の前部ピラー33の下方に、左側の前側ダンパマウント10が配置され、右側の前部ピラー33の下方に、右側の前側ダンパマウント10が配置されている。
【0033】
図3および後述する図9に示すように、左側の中間ピラー35の下方に、左側の前側規制部11が配置され、右側の中間ピラー35の下方に右側の前側規制部11が配置されている。
【0034】
(前側ダンパマウント10)
図8は、キャブ9および前側ダンパマウント10を示す正面図である。図8に示すように、左右一対の前側ダンパマウント10のうち左側の前側ダンパマウント10は、床部31の前端における左端の下側に配置されている。右側の前側ダンパマウント10は、床部31の前端における右端の下側に配置されている。車体フレーム8は、左右一対の前側ダンパマウント10を支持する左右一対の支持部材26を更に有する。左側の支持部材26は、フレーム本体21の左側の側部211から上方に向かって延びている。右側の支持部材26は、フレーム本体21の右側の側部211から上方に向かって延びている。図8において、支持部材26およびフレーム本体21は点線で示されている。
【0035】
一対の前側ダンパマウント10の各々は、後述する後側ダンパマウント14と同様に、ケース41、スタッド42、緩衝部材43および減衰液を有している。ケース41は、支持部材26に固定されている。スタッド42は、ケース41から上方に向かって突出している。スタッド42の上端は、低部311に固定されている。緩衝部材43は、ケース41とスタッド42の間に配置されている。緩衝部材43は、ゴムなどの弾性材によって形成されている。減衰液は、ケース41内に充填されている。緩衝液は、シリコーンオイル等の高粘性の減衰液である。
【0036】
このように、前側ダンパマウント10を介してキャブ9は車体フレーム8に支持されている。
【0037】
(前側規制部11)
図9は、図3のCC間の断面図である。図9に示すように、左右一対の前側規制部11は、フレーム本体21に固定されている。左側の前側規制部11は、左側の側部211の上端に固定されている。右側の前側規制部11は、右側の側部211の上端に固定されている。
【0038】
各々の前側規制部11は、鉛直部111と、内側突出部112と、を有する。鉛直部111は、側部211から上方に向かって延びている。内側突出部112は、鉛直部111の上端から内側に向かって突出している。
【0039】
車体2は、左右一対の被規制部15を更に有する。一対の被規制部15は、キャブ9の前後方向における略中央に配置されている。一対の被規制部15は、低部311の後端近傍に配置されている。一対の被規制部15は、側面視において、一対の前側規制部11と重なる位置に配置されている。
【0040】
左側の被規制部15は、キャブ9の左側面側に配置されている。左側の被規制部15は、左側の前側規制部11と隙間を空けて配置されている。右側の被規制部15は、キャブ9の右側面側に配置されている。右側の被規制部15は、右側の前側規制部11と隙間を空けて配置されている。
【0041】
一対の被規制部15の各々は、図8に示すように、鉛直部151と、外側突出部152と、を有する。鉛直部151は、床部31の低部311から下方に向かって延びている。外側突出部152は、鉛直部151の下端から外側に向かって突出している。左右各々において、被規制部15の外側突出部152は、前側規制部11の内側突出部112の下側に隙間を空けて配置されている。転倒時、前側規制部11が被規制部15と接触することによって、車体フレーム8からのキャブ9の移動を規制することができる。
【0042】
なお、隙間は、通常の作業時に生じる振動では、前側規制部11と被規制部15が接触しない間隔に設定されている。
【0043】
(後側規制部12)
後側規制部12は、それぞれ棒状であり、例えば円柱状である。図10は、ブラケット13の近傍を示す側面図である。図11は、図10の側断面図である。
【0044】
後側規制部12は、支持部材22に固定されている。後側規制部12は、第1支持部23の先端部230に配置されている。
【0045】
先端部230は、二股に分かれている。先端部230は、先端前部231と、先端後部232と、先端谷部233と、を含む。先端前部231と先端後部232は、前後方向において対向して配置されている。先端前部231と先端後部232の間に、先端谷部233が配置されている。先端前部231と先端後部232は、先端谷部233よりも上方に向かって突出している。先端前部231と先端後部232の間には、空間Sが設けられている。先端前部231と先端後部232によって後側規制部12が支持される。図11に示すように、後側規制部12の前端が先端前部231の貫通孔に挿入されており、後側規制部12の後端が先端後部232の貫通孔に挿入されている。後側規制部12の中央部分は、空間Sに位置している。
【0046】
(ブラケット13)
左右一対のブラケット13は、キャブ9に接続される。左側のブラケット13は、高部312の後端の左端に下方から取り付けられている。右側のブラケット13は、高部312の後端の右端に下方から取り付けられている。左側のブラケット13と右側のブラケット13は、図6および図7に示すように、左右対称に形成されている。
【0047】
図7および図10に示すように、ブラケット13は、取付部51と、被規制部52と、を有する。取付部51は、キャブ9の床部31に取り付けられる部分である。取付部51は、板状である。取付部51の上面51aが、床部31に下側から取り付けられる。
【0048】
図12は、ブラケット13の斜視図である。ブラケット13の上面51aは、4つのボルト孔61と、4つのボルト孔62と、位置決め孔63と、スタッド固定孔64と、を有する。
【0049】
ボルト孔61は、ボルト孔62よりも径が大きく形成されている。1つのボルト孔61の左右方向の隣には、ボルト孔62が配置されている。1つのボルト孔61と、その隣のボルト孔62とを1つのボルト孔の組として、合計4つのボルト孔の組が設けられている。
【0050】
位置決め孔63には、キャブ9の高部312に配置された位置決めピン73(図11参照)が挿入される。ブラケット13をキャブ9に取り付ける際に、位置決めピン73を位置決め孔63に挿入することによって、ブラケット13に対するキャブ9の位置決めを行うことができる。位置決めピン73は、高部312から下方に突出している。
【0051】
スタッド固定孔64には、図11に示すように、後側ダンパマウント14のスタッド42を固定するボルト74が挿入される。スタッド固定孔64の上面51a側には、凹部65が形成されている。凹部65にボルト74のヘッド74aが嵌り込む。これにより、ボルト74のヘッド74aが上面51aから突出しないように構成されている。
【0052】
図13は、キャブ9の天井部32を取り除いた状態の平面図である。図13に示すように、ボルト孔61に挿入されるボルト71(締結部材の一例)と、ボルト孔62に挿入されるボルト72(締結部材の一例)が示されている。1つのボルト孔61に挿入されるボルト71および、その隣のボルト孔62に挿入されるボルト72と、床部31との間にはワッシャ75が配置されている。1組のボルト孔61、62に対応する1組のボルト71、72に対して1つのワッシャ75が配置されている。
【0053】
被規制部52は、図7および図10に示すように、取付部51から車体フレーム8に向かって延びている。被規制部52は、後側規制部12の周囲に配置される。被規制部52は、後側規制部12とは離間している。被規制部52は、円環状であり、後側規制部12の周囲に配置されている。後側規制部12が、被規制部52を貫通している。後側規制部12の側面12aと被規制部52との間には、隙間が設けられており、後側規制部12と被規制部52は接触していない。
【0054】
被規制部52は、先端前部231と先端後部232の間の空間Sに配置されている。被規制部52と先端前部231との間には隙間が設けられており、被規制部52と先端後部232との間には隙間が設けられており、被規制部52は、先端前部231と先端後部232に接触していない。被規制部52と先端谷部233との間にも隙間が設けられており、被規制部52は先端谷部233に接触していない。
【0055】
このように、被規制部52は、後側規制部12とは接触しておらず、後側規制部12との間に隙間が設けられている。ブルドーザ1が転倒等した場合に、キャブ9が車体フレーム8に対して隙間分以上移動すると、被規制部52が後側規制部12に当接し、これ以上のキャブ9の車体フレーム8に対する移動が規制される。なお、隙間は、通常の作業時に生じる振動では、後側規制部12と被規制部52が接触しない間隔に設定されている。
【0056】
(後側ダンパマウント14)
左右一対の後側ダンパマウント14のうち左側の後側ダンパマウント14は、左側の支持部材22とキャブ9の間に配置されている。右側の後側ダンパマウント14は、右側の支持部材22とキャブ9の間に配置されている。
【0057】
後側ダンパマウント14の各々は、図11に示すように、前側ダンパマウント10と同様に、ケース41と、スタッド42と、緩衝部材43と、減衰液(図示せず)と、を有する。図10に示すように、ケース41は、第2支持部24のダンパ支持部242に固定されている。
【0058】
スタッド42は、ブラケット13に固定されている。スタッド42は、ケース41に配置されており、先端がケース41から上方に向かって突出している。図11に示すように、スタッド42の先端面にはボルト孔42aが形成されている。ボルト74が、ブラケット13の凹部65を介してスタッド固定孔64およびボルト孔42aに挿入されている。これによって、スタッド42が、ブラケット13に固定される。
【0059】
緩衝部材43は、ケース41とスタッド42の間に配置されている。緩衝部材43は、ゴムなどの弾性材によって形成されている。減衰液は、ケース41内に充填されている。緩衝液は、シリコーンオイル等の高粘性の減衰液である。
【0060】
このように、後側ダンパマウント14は、ケース41が支持部材22の第2支持部24に固定され、スタッド42がブラケット13に固定されており、車体フレーム8からキャブ9に伝達される振動を緩和することができる。
【0061】
以上のように、本実施形態では、後側ダンパマウント14と後側規制部12の双方が、ブラケット13と車体フレーム8の間に配置され、ブラケット13がキャブ9に接続されている。このため、キャブ9の内側からボルト71、72を取り外すだけで、キャブ9をブラケット13から取り外すことができる。
【0062】
<特徴等>
(1)
本実施形態のブルドーザ1は、車体フレーム8と、キャブ9と、ブラケット13と、後側規制部12と、後側ダンパマウント14と、を備える。キャブ9は、車体フレーム8の上側に配置される。ブラケット13は、キャブ9と接続される。後側規制部12は、ブラケット13と車体フレーム8との間に配置され、車体フレーム8に対するキャブ9の移動範囲を規制する。後側ダンパマウント14は、ブラケット13と車体フレーム8の間に配置されている。
【0063】
このように、後側ダンパマウント14と後側規制部12の双方が、ブラケット13と車体フレーム8の間に配置され、ブラケット13がキャブ9に接続されている。このため、キャブ9からブラケット13を取り外すだけで、後側ダンパマウント14および後側規制部12を同時にキャブ9から切り離すことができ、車体フレーム8に対するキャブ9の脱着性を改善することができる。
【0064】
(2)
本実施形態のブルドーザ1は、ブラケット13からキャブ9の床部31を挿通して、キャブ9の内側に突出したボルト71、72を更に備える。
【0065】
本実施形態では、上述したようにブラケット13は、キャブ9の内側からボルト71およびボルト72によって締結されている。ここで、図1に示すように、キャブ9の前部の側方には、フレーム部分が存在しないため、前側ダンパマウント10および前側規制部11をキャブ9の外部からでも取り外しやすいが、キャブの後部の側方には、フレーム部分27が存在する。本実施形態では、キャブ9の内側からボルト71、72の締結を解除することができるため、フレーム部分27を分解することなく、容易にキャブ9を取り外すことが可能となる。
【0066】
(3)
本実施形態のブルドーザ1では、車体フレーム8は、フレーム本体21と、支持部材22と、を有する。支持部材22は、フレーム本体21から上方に向かって配置されている。後側規制部12および後側ダンパマウント14は、支持部材22に固定されている。
【0067】
これにより、後側規制部12および後側ダンパマウント14を車体フレーム8に固定することができる。
【0068】
(4)
本実施形態のブルドーザ1では、キャブ9に位置決めピン73が配置されている。ブラケット13に、位置決めピン73が挿入される位置決め孔63が形成されている。
【0069】
これにより、ブラケット13にキャブ9を取り付ける際に容易に位置決めを行うことができる。
【0070】
(5)
本実施形態のブルドーザ1では、後側ダンパマウント14は、後側規制部12の後方に配置されている。
【0071】
これにより、前側ダンパマウント10と後側ダンパマウント14の前後方向の長さを長くすることができ、振動に対するキャブ9の安定性を向上することができる。
【0072】
(6)
本実施形態のブルドーザ1では、支持部材22は、第1支持部23と第2支持部24とを有する。第1支持部23は、フレーム本体21に接触して固定され、後側規制部12が配置されている。第2支持部24は、第1支持部23に接触して固定され、後側ダンパマウント14が配置されている。
【0073】
このように、支持部材22を、後側規制部12が配置された第1支持部23と、後側ダンパマウント14が配置された第2支持部24に分けることによって、製造誤差を吸収し、後側ダンパマウント14のスタッド42をブラケット13に取り付け易くなる。
【0074】
(7)
本実施形態のブルドーザ1では、ブラケット13は、取付部51と、被規制部52と、を有する。取付部51は、キャブ9に取り付けられる。被規制部52は、取付部51から車体フレーム8に向かって形成され、後側規制部12の周囲に配置されている。被規制部52は、後側規制部12と離間して配置されている。
【0075】
これにより、転倒時、キャブ9が車体フレーム8から所定以上移動する場合には、後側規制部12が被規制部52に接触し、キャブ9の移動を規制することができる。
【0076】
(8)
本実施形態のブルドーザ1では、後側規制部12は棒状の部材である。被規制部52は、後側規制部12の棒状の側面12aと周方向の全周に亘って間隔を空けて配置された円環形状である。
【0077】
これにより、車体フレーム8に対してキャブ9が、被規制部52と後側規制部12との間隔以上に移動した場合、被規制部52が後側規制部12に接触し、キャブ9の移動を規制することが出来る。
【0078】
(9)
本実施形態のブルドーザ1では、後側ダンパマウント14は、ケース41と、緩衝部材43と、スタッド42と、を有する。ケース41は、支持部材22に固定されている。緩衝部材43は、ケース41内に配置されている。スタッド42は、緩衝部材43を介してケース41に配置されている。スタッド42は、ブラケット13に固定されている。
【0079】
これによって、後側ダンパマウント14を介してキャブ9を支持部材22に支持することができる。
【0080】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0081】
(A)
上記実施形態では、前側ダンパマウント10は、キャブ9に直接接続されているが、後側ダンパマウント14と同様に、ブラケットを介してキャブ9に接続されていてもよい。また、前側規制部11によって規制される被規制部15は、キャブ9に直接接続されているが、被規制部52と同様にブラケットに設けられていてもよい。
【0082】
さらに、前側ダンパマウント10と前側規制部11は、別々に設けられているが、後側ダンパマウント14と後側規制部12のように、ブラケットと車体フレーム8の間において並んで配置されていてもよい。
【0083】
(B)
上記実施形態では、位置決めピン73がキャブ9に設けられ、位置決め孔63がブラケット13に設けられているが、位置決めピンがブラケットに設けられ、位置決め孔がキャブ9に設けられていてもよい。
【0084】
(C)
上記実施形態では、後側規制部12は円柱状であったが、これに限らなくてもよく、角柱形状であってもよい。
【0085】
(D)
上記実施形態では、ブラケット13をキャブ9に締結するために、4つのボルト71と4つのボルト72と、4つのワッシャ75とを用いたが、このような構成に限られるものではなく、ブラケット13をキャブ9に締結できさえすればよい。
【0086】
(E)
上記実施形態では、作業車両としてブルドーザ1を例に挙げたが、これに限らなくてもよく、ホイールローダ、モータグレーダ、ショベルローダ、ホイールローダ、またはダンプトラック等であってもよく、キャブを備える作業車両であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示によれば、車体フレームに対するキャブの脱着性を改善することが可能な作業車両を提供することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 :ブルドーザ
8 :車体フレーム
9 :キャブ
12 :後側規制部
13 :ブラケット
14 :後側ダンパマウント
図1
図2
図3
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図5
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図10
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図12
図13