IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本発條株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-屈曲構造体及びワッシャー 図1
  • 特開-屈曲構造体及びワッシャー 図2
  • 特開-屈曲構造体及びワッシャー 図3
  • 特開-屈曲構造体及びワッシャー 図4
  • 特開-屈曲構造体及びワッシャー 図5
  • 特開-屈曲構造体及びワッシャー 図6
  • 特開-屈曲構造体及びワッシャー 図7
  • 特開-屈曲構造体及びワッシャー 図8
  • 特開-屈曲構造体及びワッシャー 図9
  • 特開-屈曲構造体及びワッシャー 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047417
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】屈曲構造体及びワッシャー
(51)【国際特許分類】
   B25J 18/06 20060101AFI20240329BHJP
   F16B 21/08 20060101ALI20240329BHJP
   F16B 43/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B25J18/06
F16B21/08
F16B43/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153025
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】平田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】保戸田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】早川 悠暉
【テーマコード(参考)】
3C707
3J034
3J037
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707BS18
3C707CU07
3C707CY03
3C707HT04
3J034AA20
3J034BA06
3J034CA03
3J037AA02
3J037BA01
3J037BB06
3J037DA05
3J037DB02
3J037KA04
(57)【要約】
【課題】端部部材を屈曲部に簡易且つ強固に取り付けることを可能とすることが可能な屈曲構造体を提供する。
【解決手段】軸方向に対して弾性的に屈曲可能な屈曲部7と、屈曲部7の軸方向の端部に取り付けられる基部3と、屈曲部7の端部に軸方向に突設され、基部3に結合される結合アーム21と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に対して弾性的に屈曲可能な屈曲部と、
該屈曲部の前記軸方向の端部に取り付けられる端部部材と、
前記屈曲部の前記端部に前記軸方向に突設され前記端部部材に結合される結合アームと、
を備える屈曲構造体。
【請求項2】
請求項1の屈曲構造体であって、
前記端部部材は、前記結合アームが固着される固着部を外周面上に有する、
屈曲構造体。
【請求項3】
請求項2の屈曲構造体であって、
前記結合アームは、板状であり、
前記固着部は、前記結合アームを沿わせる平面状である、
屈曲構造体。
【請求項4】
請求項3の屈曲構造体であって、
前記結合アームは、複数設けられ、それぞれ弾性を有して前記端部部材を保持し、
前記端部部材の固着部は、前記結合アームに応じて複数設けられ、それぞれ前記結合アームを弾接させた前記端部部材の保持状態で固着される、
屈曲構造体。
【請求項5】
請求項1の屈曲構造体であって、
前記端部部材は、前記結合アームを挿入により係合させる係合孔を有する、
屈曲構造体。
【請求項6】
請求項1の屈曲構造体であって、
前記端部部材及び前記結合アームの一方は、凸部を有し、
前記端部部材及び前記結合アームの他方は、前記凸部を係合させる凹部を有する、
屈曲構造体。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項の屈曲構造体であって、
前記屈曲部の前記端部を構成する結合部材を備え、
前記結合アームは、前記結合部材に設けられた、
屈曲構造体。
【請求項8】
請求項7の屈曲構造体であって、
前記屈曲部は、前記軸方向に積層されると共に溶接によって積層状態が保持された複数のウェーブワッシャーを備え、
前記結合部材は、前記複数のウェーブワッシャーの端部に積層されると共に該積層状態が溶接によって保持されるワッシャーである、
屈曲構造体。
【請求項9】
軸方向に対して弾性的に屈曲可能な屈曲部の前記軸方向の端部に端部部材を取り付けるためのワッシャーであって、
前記軸方向に突設され前記端部部材の外周部に結合される結合アームを備えた、
ワッシャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットやマニピュレーター等の関節機能部に供される屈曲構造体及びこの屈曲構造体に用いられるワッシャーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の屈曲構造体としては、特許文献1のように、屈曲可能な屈曲部の軸方向の端部に端部部材を取り付けたものが知られている。
【0003】
屈曲部は、複数のウェーブワッシャーを積層すると共に、この積層状態がウェーブワッシャー相互間をレーザー溶接することで保持されて形成される。
【0004】
屈曲部には、端部部材が更に積層されて取り付けられる。端部部材の屈曲部への取付けでは、レーザー溶接を用いれば、簡易な工程で強固な結合が得ることができる。
【0005】
しかし、屈曲部と端部部材との間は、積層方向からレーザー光を照射することができないので、側方からレーザー光を照射する必要があり、十分な結合強度が得られなかった。
【0006】
こうした問題は、屈曲部が積層したウェーブワッシャーである場合だけでなく、コイルばねやベローズ等の他の屈曲部においても同様に生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第WO2019/073860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、屈曲部の軸方向の端部に端部部材を簡易且つ強固に取り付けることができなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、軸方向に対して弾性的に屈曲可能な屈曲部と、該屈曲部の前記軸方向の端部に取り付けられる端部部材と、前記屈曲部の前記端部に前記軸方向に突設され前記端部部材に結合される結合アームと、を備える屈曲構造体を提供する。
【0010】
また、本発明は、軸方向に対して弾性的に屈曲可能な屈曲部の前記軸方向の端部に端部部材を取り付けるためのワッシャーであって、前記軸方向に突設され前記端部部材に結合される結合アームを備えた、ワッシャーを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、屈曲部から延設された結合アームを端部部材に結合するため、端部部材を屈曲部に簡易且つ強固に取り付けることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施例1に係る屈曲構造体を示す斜視図である。
図2図2は、図1の屈曲構造体の屈曲部を示す斜視図である。
図3図3は、図1の屈曲構造体に用いられる基部と結合ワッシャーとの関係を示す斜視図である。
図4図4は、図3の基部と結合ワッシャーとを示す分解斜視図である。
図5図5は、図4の結合ワッシャーの結合アームの加工前の状態を示す斜視図である。
図6図6(A)及び(B)は、屈曲構造体の製造を示す斜視図である。
図7図7は、本発明の実施例2に係る屈曲構造体の一部を示す断面図である。
図8図8は、本発明の実施例3に係る屈曲構造体の基部及び端部ワッシャーの関係を示す斜視図である。
図9図9は、図8の基部及び結合ワッシャーの分解斜視図である。
図10図10は、図8の基部及び結合ワッシャーの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
端部部材を屈曲部に簡易且つ強固に取り付けることを可能とするという目的を、屈曲部から延設された結合アームを端部部材に結合することにより実現した。
【0014】
屈曲構造体1は、屈曲部7と、端部部材3と、結合アーム21とを備える。屈曲部7は、軸方向に対して弾性的に屈曲可能な部材である。端部部材3は、屈曲部7の軸方向の端部に取り付けられる部材である。結合アーム21は、屈曲部7の端部に軸方向に突設され端部部材3に結合される。
【0015】
結合アーム21の端部部材3への結合態様は、固着、嵌合、係合等があり、結合アーム21及び端部部材3は、結合態様に応じた構成を有すればよい。
【0016】
端部部材3は、結合アーム21が固着される固着部13を外周面上に有してもよい。
【0017】
この場合、結合アーム21は、板状であり、固着部13は、結合アーム21を沿わせる平面状である構成としてもよい。
【0018】
さらに、結合アーム21は、複数設けられ、それぞれ弾性を有して端部部材3を保持してもよい。この場合、端部部材3の固着部13は、結合アーム21に応じて複数設けられ、それぞれ結合アーム21を弾接させた端部部材3の保持状態で固着される。
【0019】
端部部材3は、結合アーム21を挿入により係合させる係合孔29を有してもよい。
【0020】
端部部材3及び結合アーム21の一方は、凸部23を有し、端部部材3及び結合アーム21の他方は、凸部23を係合させる凹部25を有する構成としてもよい。
【0021】
屈曲構造体1は、屈曲部7の端部を構成する結合部材19を備え、結合アーム21は、結合部材19に設けられた構成としてもよい。
【0022】
屈曲部7は、軸方向に積層されると共に溶接によって積層状態が保持された複数のウェーブワッシャー17を備え、結合部材19は、複数のウェーブワッシャー17の端部に積層されると共にその積層状態が溶接によって保持されるワッシャーであってもよい。
【0023】
かかる屈曲構造体1の結合部材19は、結合アーム21を備えるワッシャーであってもよい。
【実施例0024】
[屈曲構造体の構成]
図1は、本発明の実施例1に係る屈曲構造体を示す斜視図である。図2は、図1の屈曲構造体の屈曲部を示す斜視図である。図3は、図1の屈曲構造体に用いられる基部と結合ワッシャーとの関係を示す斜視図である。図4は、図3の基部と結合ワッシャーとを示す分解斜視図である。図5は、図4の結合ワッシャーの結合アームの加工前の状態を示す斜視図である。
【0025】
屈曲構造体1は、マニピュレーター、ロボット、アクチュエーターのような医療用や産業用等の各種の機器の関節機能部に適用されるものである。関節機能部は、屈曲・伸展する関節としての機能を有する装置、機構、デバイス等である。
【0026】
本実施例の屈曲構造体1は、基部3と、可動部5と、屈曲部7とを備えている。
【0027】
基部3は、金属や樹脂等で形成された柱状体、例えば円柱状体からなり、屈曲部7の軸方向の一方の端部に取り付けられる端部部材を構成する。軸方向とは、屈曲構造体1の軸心に沿った方向を意味し、軸心に対して僅かに傾斜した方向も含む。
【0028】
この基部3は、マニピュレーターのシャフトの端部等に結合される。なお、基部3は、柱状体に限られず、屈曲構造体1が適用される機器に応じて適宜の形態とする。
【0029】
本実施例の基部3は、相対的に大径の大径部3aと相対的に小径の小径部3bとで構成されている。大径部3aには、屈曲構造体1の駆動用のワイヤーを挿通する挿通孔9aが周方向に複数、例えば4つ設けられている。大径部3aの内周には、マニピュレーターのエンドエフェクタ用の配線やケーブルを挿通する挿通孔9bが設けられている。挿通孔9bは、小径部3bも貫通する。
【0030】
この挿通孔9bを除く部分が本実施例において端部部材である基部3の外周部となる。小径部3bは、挿通孔9aに対応して凹部11を備えている。周方向とは、屈曲構造体1の外周に沿った方向をいう。
【0031】
この基部3は、後述する結合アーム21が固着される固着部13を外周面上に有する。本実施例では、大径部3aの外周面上に固着部13が設けられている。固着部13の数は、二つとなっているが、一つ又は三つ以上とすることも可能である。
【0032】
これら固着部13は、それぞれ結合アーム21を沿わせる平面状となっている。本実施例の固着部13は、屈曲構造体1の軸方向に沿うと共に相互に平行な矩形平面からなる。
【0033】
なお、固着部13は、軸方向に沿わずに、傾斜した平面状とすることも可能である。また、固着部13は、平面ではなく、周方向に沿った曲面であってもよい。固着部13が周方向に沿った曲面の場合は、大径部3aを単純な円柱形状とすればよい。また、固着部13は、相互に平行である必要はない。さらに、軸方向に複数の凹凸を有する波形状の面等であってもよい。
【0034】
可動部5は、屈曲部7により、軸方向に対して変位可能に基部3に支持される。この可動部5には、屈曲構造体1が適用される機器に応じたエンドエフェクタ等が取り付けられる。
【0035】
かかる可動部5は、金属や樹脂等によって形成された柱状体、例えば円柱状体からなり、屈曲部7の軸方向の他方の端部に取り付けられる端部部材を構成する。なお、屈曲部7の軸方向の他方の端部は、基部3が取り付けられる一方の端部に対する軸方向の反対側の端部をいう。可動部5は、基部3と同様、屈曲構造体1が適用される機器に応じて適宜の形態とされ、金属や樹脂等による柱状体に限られるものではない。
【0036】
可動部5には、屈曲構造体1の駆動用のワイヤーを挿通状態で結合する挿通孔15aが周方向に複数、例えば4つ設けられている。可動部5の内周には、マニピュレーターのエンドエフェクタ用の配線やケーブルを挿通する挿通孔15bが設けられている。
【0037】
なお、可動部5は、基部3と同様に固着部13を有する構成としてもよい。この場合、基部3の固着部13を省略することも可能である。
【0038】
屈曲部7は、複数のウェーブワッシャー17と、結合部材としての結合ワッシャー19とを備え、全体として筒状に形成されている。なお、屈曲部7は、二重コイル構造のコイルばね、単純なコイルばね、或いはベローズ等の他の筒状体を採用してもよい。また、屈曲部7は、内部に二重コイル構造のコイルばね等の軸方向の圧縮を抑制するインナー部材を備えてもよい。
【0039】
複数のウェーブワッシャー17は、軸方向で積層されると共に積層状態が保持されている。ウェーブワッシャー17の弾性変形により、弾性的に屈曲及び伸展が可能となっている。
【0040】
各ウェーブワッシャー17は、金属等によって閉または開環状に形成された板材である。本実施例のウェーブワッシャー17は、ステンレスからなる円環状の板材であり、内外周間の径方向の幅及び板厚が一定となっている。ウェーブワッシャー17の平面視における外径は、基部3の大径部3a及び可動部5と同程度となっている。なお、ウェーブワッシャー17の幅及び板厚は、周方向で変動させることも可能である。
【0041】
このウェーブワッシャー17は、隣接するウェーブワッシャー17に対して当接部分が溶接、例えばレーザー溶接によって結合されている。
【0042】
本実施例において、ウェーブワッシャー17は、周方向に複数の山部17aを有し、隣接する山部17a間に谷部17bを有する。軸方向で隣接するウェーブワッシャー17間では、一方のウェーブワッシャー17の山部17aが他方のウェーブワッシャーの谷部17bに当接している。これら当接する山部17a及び谷部17bが、レーザー溶接によって結合されている。
【0043】
なお、山部17a及び谷部17bは、相互に当接しなくてもよく、例えば、相互に若干周方向にずれて傾斜部17cに当接する形態としてもよい。また、ウェーブワッシャー17の形状や材質等は、要求される特性等に応じて適宜変更することが可能である。
【0044】
ウェーブワッシャー17の内周には、マニピュレーターのエンドエフェクタ用の配線やケーブルを挿通する挿通孔17dが設けられている。この挿通孔17dに対し、平面視において径方向の外側へ凹状となる凹部17eが周方向に複数、例えば4つ設けられ、屈曲構造体1の駆動用のワイヤーを挿通するようになっている。
【0045】
結合ワッシャー19は、複数のウェーブワッシャー17の端部に軸方向で積層されると共に溶接、例えばレーザー溶接によって積層状態が保持されている。これにより、結合ワッシャー19は、屈曲部7の端部を構成する結合部材として機能する。
【0046】
本実施例において、結合ワッシャー19は、複数のウェーブワッシャー17の一方の端部にのみ積層されて屈曲部7の一端部のみを構成している。ただし、結合ワッシャー19は、複数のウェーブワッシャー17の両端部に積層されて屈曲部7の両端部を構成してもよい。
【0047】
この結合ワッシャー19は、屈曲部7の軸方向の端部に端部部材である基部3を取り付けるためのものである。本実施例の結合ワッシャー19は、金属等によって閉または開環状に形成された板材である。なお、結合部材は、平ワッシャーである結合ワッシャー19の他、ウェーブワッシャー等を採用することも可能であり、形態は自由である。
【0048】
本実施例の結合ワッシャー19は、ステンレスからなる円環状の板材としての平ワッシャーであり、内外周間の径方向の幅及び板厚が一定となっている。結合ワッシャー19の外径は、ウェーブワッシャー17の平面視における外径と同程度となっている。なお、結合ワッシャー19の外径は、後述する結合アーム21が設けられていない部分でのものをいう。
【0049】
この結合ワッシャー19は、屈曲構造体1の駆動用のワイヤーを挿通する挿通孔19aが周方向に複数、例えば4つ設けられている。結合ワッシャー19の内周には、マニピュレーターのエンドエフェクタ用の配線やケーブルを挿通する挿通孔19bが設けられている。結合ワッシャー19の外周には、結合アーム21が設けられている。
【0050】
結合アーム21は、屈曲部7の端部に軸方向に突設され、基部3に結合されるものである。
【0051】
なお、結合アーム21の軸方向への突設は、結合アーム21が軸方向に沿って行われる必要はなく、結合アーム21の先端が基端に対して軸方向で偏倚した位置にあるように行われればよい。
【0052】
本実施例の結合アーム21は、基部3の平面状の固着部13に沿って位置する平板である。このため、結合アーム21は、基部3の固着部13に対応して結合ワッシャー19の外周縁に複数設けられている。
【0053】
これら結合アーム21は、軸方向に沿って平行に延設されている。ただし、結合アーム21は、軸方向に沿わずに、固着部13と共に傾斜した平板状とすることも可能である。また、結合アーム21は、固着部13に応じて相互に平行である必要はない。また結合アーム21は、平板である必要はなく、軸方向に複数の凹凸を有する波形状の板等であってもよい。また、結合アーム21は、板状以外にも、棒状、筒状、椀状等の各種の形態を採用可能である。
【0054】
なお、結合アーム21は、固着部13に対応して設けられればよいので、結合ワッシャー19上での位置を外周縁以外としてもよい。例えば、結合ワッシャー19を基部3よりも大径に形成し、基部3から径方向にはみ出した外周領域に結合アーム21を設けることも可能である。また、外周領域自体を結合アームとしてもよい。
【0055】
本実施例において、結合アーム21の平面形状は、矩形状となっているが、他の幾何学形状であってもよい。なお、平面形状は、結合アーム21の厚み方向から見た形状をいう。
【0056】
結合アーム21の軸方向の長さは、固着部13の長さと同一であり、結合アーム21の幅は、固着部13の幅よりも短い。なお、結合アーム21の長さは、固着部13の長さよりも短く又は長くしてもよく、結合アーム21の幅は、固着部13の幅と同一かそれよりも長くしてもよい。
【0057】
結合アーム21は、それぞれ弾性を有している。これにより、結合アーム21は、基部3の固着部13に弾接し、基部3を保持した状態で固着部13に固着される。これにより、本実施例の結合アーム21は、基部3の外周部に結合されている。ただし、結合アーム21は、基部3に結合できればよいので、基部3に対する結合箇所は、必ずしも外周部でなくてよい。
【0058】
なお、弾接は、弾性をもって当接することであるが、結合アーム21は、基部3に弾接する必要はない。また、結合アーム21の数は、二つとなっているが、固着部13と共に一つ又は三つ以上とすることも可能である。
【0059】
結合アーム21と固着部13との固着は、溶接によって行われている。本実施例では、基部3と結合アーム21との結合を、結合アーム21と固着部13との固着並びに結合アーム21の固着部13への弾接で担っている。従って、屈曲部7と基部3とを強固に結合することができる。また、結合アーム21と固着部13との固着は、結合アーム21の固着部13への弾接の分だけ固着力を低減させ、溶接よりも固着力の弱い固着とすることも可能である。例えば、固着は、接着やはんだ付け等であってもよい。
【0060】
結合アーム21の固着部13への固着箇所は、結合アーム21の中心部である。ただし、結合アーム21の固着箇所は、本実施例のように溶接で結合アーム21の固着が行われる場合、結合強度を確保できる限りにおいて、溶接痕の一部又は全部が結合アーム21の矩形形状の範囲内に位置すればよい。つまり、結合アーム21は、固着箇所を適宜選択可能とする。
【0061】
結合アーム21の形成は、図5のように、プレス等によって結合ワッシャー19と一体に結合アーム19を打抜いた後、曲げ加工によって起立されることで容易に行うことができる。
【0062】
[屈曲構造体の製造]
図6(A)及び(B)は、屈曲構造体1の製造を示す斜視図である。
【0063】
本実施例の屈曲構造体1の製造では、可動部5に対して複数のウェーブワッシャー17を積み上げて屈曲部7を形成した後、形成された屈曲部7の端部に基部3を取り付ける。ただし、基部3に対してウェーブワッシャー17を積み上げて屈曲部7を形成し、屈曲部7の端部に可動部5を取り付けてもよい。
【0064】
本実施例の屈曲部7の形成では、図6(A)のように、まず可動部5上に複数のウェーブワッシャー17を軸方向で積層し、レーザー溶接によって積層状態を保持する。
【0065】
レーザー溶接は、ウェーブワッシャー17を積層する度に、その上からレーザー光を照射することで行われる。これにより、可動部5とウェーブワッシャー17との間及び隣接するウェーブワッシャー17間が結合される。なお、レーザー光は、炭酸ガスレーザー、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザー、ファイバーレーザー等の適宜のものを採用すればよい。
【0066】
次いで、図6(B)のように、積層された複数のウェーブワッシャー17上に軸方向で結合ワッシャー19を積層し、軸方向からのレーザー溶接によって積層状態を保持する。これにより、屈曲部7が形成される。この状態では、結合アーム21が屈曲部7の端部から軸方向に突出している。
【0067】
突出する結合アーム21間には基部3を挿入する。すなわち、結合アーム21の軸方向の端部に基部3の固着部13の軸方向の端部を合わせておき、この状態で基部3を結合アーム21間へ軸方向で挿入する。このとき、結合アーム21に対して固着部13がスライドし、基部3の挿入を案内することができる。
【0068】
この挿入により基部3が結合ワッシャー19に軸方向で突き当たると、結合アーム21を固着部13にレーザー溶接により固着する。
【0069】
このとき、結合アーム21によってレーザー溶接のレーザー光の照射領域を確保することができ、結合アーム21と固着部13とのレーザー溶接を確実に行うことができる。また、固着部13は、結合アーム21を沿わせる平面状であるため、結合アーム21と固着部13とのレーザー溶接をより確実に行うことができる。しかも、基部3は、結合アーム21が固着される固着部13を外周面上に有するので、結合アーム21とのレーザー溶接を容易且つ確実に行うことができる。
【0070】
こうして屈曲部7の端部に基部3が結合されて図1の屈曲構造体1が完成する。このように、本実施例では、屈曲部7から延設された結合アーム21を端部部材である基部3の外周部に結合するため、レーザー溶接によって基部3を屈曲部7に簡易且つ強固に取り付けることを可能とする。
【0071】
この結果、可動部5上での屈曲部7の形成並びに基部3の取付けを全てレーザー溶接で行うことができ、屈曲構造体1の製造を容易に行うことができる。
【0072】
また、屈曲構造体1は、小径化が求められることがあるが、小径化しても結合アーム21と固着部13との十分な固着を行わせることができる。従って、本実施例の屈曲構造体1は、小径化に対応することが可能である。
【実施例0073】
図7は、本発明の実施例2に係る屈曲構造体の一部を示す断面図である。なお、実施例2は、実施例1と対応する構成に同符号を付して重複した説明を省略する。
【0074】
本実施例の屈曲構造体1は、結合アーム21と基部3との結合を凸部23と凹部25との係合によって行ったものである。その他は、実施例1と同様である。
【0075】
凸部23は、平板状の結合アーム21に部分的な湾曲によって形成されている。湾曲による凸部23は、予めプレス等によって結合アーム21に形成するか、或いはカシメ等によって結合アーム21を基部3に結合する際に形成すればよい。なお、凸部23の形状は、特に限定されるものではなく、例えば結合アーム21の板厚を部分的に増加させたものであってもよい。
【0076】
凹部25は、基部3の係合部27に形成されている。係合部27は、凹部25を除き、実施例1の固着部13と同一の平面状の構成となっている。凹部25は、凸部23に対応して設けられ、凸部23を入れ込んで係合させる。
【0077】
かかる実施例2では、実施例1と同様の作用効果を奏することができるのに加え、屈曲部7と基部3との結合をより簡易に行うことができる。
【実施例0078】
図8は、本発明の実施例3に係る屈曲構造体の基部及び端部ワッシャーの関係を示す斜視図である。図9は、図8の基部及び端部ワッシャーの分解斜視図である。図10は、図8の基部及び端部ワッシャーの一部を示す断面図である。なお、実施例3は、実施例1と対応する構成に同符号を付して重複した説明を省略する。
【0079】
本実施例の屈曲構造体1は、基部3が結合アーム21を挿入により係合させる係合孔29を有する。
【0080】
係合孔29は、基部3の大径部3aに軸方向に貫通して設けられている。係合孔29の断面形状は、結合アーム21の断面形状よりも大きく形成されている。
【0081】
結合アーム21は、先端に爪部31を有する。爪部31は、結合アーム21径方向に突出して形成されている。結合アーム21は、係合孔29よりも軸方向に長く形成されており、係合孔29から外部に突出した先端の爪部31が係合孔29の開口縁部29aに係合する。
【0082】
なお、結合アーム21は、爪部31を省略することも可能である。この場合、結合アーム21は、係合孔29内に嵌合する構成とすればよい。また、結合アーム21は、結合ワッシャー19の外周縁に代えて、結合ワッシャー19の内周と外周との間に設けてもよい。この場合、係合孔29は、結合アーム21に対応して内周側に偏倚した位置に設けられる。
【0083】
かかる実施例3においても、実施例1と同様の作用効果を奏することができるのに加え、屈曲部7と基部3との結合をより簡易に行うことができる。
【符号の説明】
【0084】
1 屈曲構造体
3 基部(端部部材)
5 可動部(端部部材)
7 屈曲部
13 固着部
17 ウェーブワッシャー
19 端部ワッシャー(結合部材)
21 結合アーム
23 凸部
25 凹部
29 係合孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10