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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047425
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】火災監視システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/12 20060101AFI20240329BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
G08B17/12 A
G08B17/00 E
G08B17/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153037
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】戸丸 卓真
(72)【発明者】
【氏名】今井 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】古谷 聡司
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA13
5C085AB01
5C085BA36
5C085CA20
5G405AA01
5G405AB05
5G405AC02
5G405CA29
5G405CA31
(57)【要約】
【課題】火源が防火対象物の傾斜面に位置することで生じる、火源位置の計算誤差を低減する。
【解決手段】火災探査手段は、平坦面と、当該平坦面に隣接する傾斜面とを有する防火対象物を監視対象とし、旋回および俯仰可能なように電動雲台に取り付けられた赤外線カメラを備える。火源位置算出手段は、火災探査手段の設置位置と、火源を捉えている赤外線カメラの旋回角および俯仰角とに基づいて火源位置を算出する。この火災位置算出手段は、算出した火源位置が平面視で傾斜面と重なる場合には、火源位置が、火源を捉えている赤外線カメラの光軸と傾斜面の側面視での交点、または当該交点を含む区画となるように補正する。
【選択図】図17

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦面と、当該平坦面に隣接する傾斜面とを有する防火対象物を監視対象とする火災探査手段であって、旋回および俯仰可能なように電動雲台に取り付けられた赤外線カメラを備える火災探査手段と、
前記火災探査手段の設置位置と、火源を捉えている前記赤外線カメラの旋回角および俯仰角とに基づいて火源位置を算出する火源位置算出手段と
を備え、
前記火源位置算出手段は、前記算出した火源位置が平面視で前記傾斜面と重なる場合に、前記火源位置が、前記火源を捉えている前記赤外線カメラの光軸と前記傾斜面の側面視での交点、または当該交点を含む区画となるように補正する
ことを特徴とする火災監視システム。
【請求項2】
前記火災位置算出手段は、所定の補正テーブルを参照して、前記火源位置を、前記交点または前記交点を含む区画となるように補正することを特徴とする、請求項1に記載の火災監視システム。
【請求項3】
前記防火対象物は、観客を収容可能なすり鉢状の施設であり、
前記傾斜面には客席が設けられている
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の火災監視システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アリーナやホール等の大きな利用空間をもつ施設における火災の監視と消火を行う火災検出消火システムとして、走査型火災検出装置と放水ノズル装置を組合わせたシステムが記載されている。このような火災検出消火システムにあっては、警戒区域を上部から見渡せる位置に、走査型の火災検出装置を設置し、光学的な水平走査と垂直走査によって警戒区域を二次元走査し、赤外線センサに対する入射光の受光信号が閾値レベルを越えたときに火源と判断する。制御装置は、火源を検出したときの火災検出装置の水平及び垂直走査角に基づき火源の座標位置を求め、放水ノズル装置の放水方向と放水距離を制御する。例えば放水ノズル装置は、俯仰角を固定した放水ノズルを水平回りに旋回自在に備えており、放水ノズルの旋回制御により火源に放水方向を設定し、放水距離は放水ノズルに供給する放水圧力によって設定する。
【0003】
この火災検出消火システムは、自動放水モードと手動放水モードを有する。自動放水モードは、放水銃の放水準備が完了した後に、監視員が手動放水操作スイッチを操作することなく、予め定めた自動放水条件を満足したときに自動的に放水を開始するモードである。一方、手動放水モードは、放水銃の放水準備が完了した後に、監視員が手動放水操作スイッチを操作して手動により放水を開始させるモードである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-258136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この火災検出システムを、すり鉢状の防火対象物(例えば、野球場)に設置する場合を想定する。
図18は、すり鉢状の防火対象物1800の側断面の例を示す。同図に示す防火対象物1800は、平坦面1801と傾斜面1802を有する。傾斜面1802の上縁には、走査型の火災検出装置1803が設置されている。
【0006】
この防火対象物1800の平坦面1801で火災(火源1804)が発生した場合を想定する。この場合、火災検出装置1803から火源1804までの平面視での距離d1は、下式(1)を用いて算出することができる。
d=h×tanθ・・・(1)
この(1)式において、dは、火災検出装置1803から火源までの平面視での距離を表し、hは、火災検出装置1803の設置高さを表し、θは、火源撮影時の火災検出装置1803の俯角を表す。
【0007】
次に、この防火対象物1800の傾斜面1802で火災(火源1805)が発生した場合を想定する。この場合、上記の式(1)を用いて火源1805までの距離を算出すると、算出される距離はd2となる。この距離d2は、実際の距離d3と異なる。この誤った距離d2に基づいて火源1805の位置座標を算出すると、誤った位置座標が算出されることになる。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、火源が防火対象物の傾斜面に位置することで生じる、火源位置の計算誤差を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る火災監視システムは、平坦面と、当該平坦面に隣接する傾斜面とを有する防火対象物を監視対象とする火災探査手段であって、旋回および俯仰可能なように電動雲台に取り付けられた赤外線カメラを備える火災探査手段と、前記火災探査手段の設置位置と、火源を捉えている前記赤外線カメラの旋回角および俯仰角とに基づいて火源位置を算出する火源位置算出手段とを備え、前記火災位置算出手段は、前記算出した火源位置が平面視で前記傾斜面と重なる場合には、前記火源位置が、前記火源を捉えている前記赤外線カメラの光軸と前記傾斜面の側面視での交点、または当該交点を含む区画となるように補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、火源が防火対象物の傾斜面に位置することで生じる、火源位置の計算誤差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本放水砲システムの警戒範囲の一例を示す。
図2図2は、放水砲システムの系統の一例を示す。
図3図3は、放水砲201の配置と防護範囲の例を示す。
図4図4は、火災探査装置203の外観の一例を示す。
図5図5は、火災探査装置203の配置と警戒範囲の一例を示す。
図6図6は、火災探査装置203の配置と警戒範囲の一例を示す。
図7図7は、放水砲・火災探査制御盤205の機能構成の例を示す。
図8図8は、放水砲中央操作盤207の機能構成の例を示す。
図9図9は、自動モードの動作シーケンス900の一例を示す。
図10図10は、手動モードの動作シーケンス1000の一例を示す。
図11図11は、平常探査の動作フロー1100の一例を示す。
図12図12は、定点探査の動作フロー1200の一例を示す。
図13図13は、A探査の動作フロー1300の一例を示す。
図14図14は、B探査の動作フロー1400の一例を示す。
図15図15は、火源位置算出フロー1500の一例を示す。
図16図16は、火災探査装置203の平面の一例を示す。
図17図17は、防火対象物1700の側断面の一例を示す。
図18図18は、防火対象物1800の側断面の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.実施形態
1-1.構成
本実施形態は、放水型ヘッド等を用いるスプリンクラー設備(以下、「放水砲システム」という。)である。この放水砲システムは、大空間または高天井部分を有する防火対象物で発生した火災に対し、有効に感知するための火災監視システムと、有効に消火を行うための消火システムを組み合わせたスプリンクラー設備である。
【0013】
この放水砲システムは、放水砲、遠隔操作弁、消火ポンプ、火災探査装置、火災探査制御盤、放水砲・火災探査制御盤、放水砲中央操作盤、放水砲現地操作盤および放水砲情報処理盤等で構成されている。
【0014】
火災探査装置が火災を覚知すると、詳細な火源位置の特定作業に移行し、火源位置が確定すると、放水する放水砲を選択し照準を合わせる。自動モードの場合はタイマが作動し、カウントダウンが終了すると自動的に該当する遠隔操作弁の開放および消火ポンプの起動により放水砲から放水が開始される。
【0015】
放水位置の微調整が必要な場合は、火災探査装置の可視カメラで撮影された映像を放水砲中央操作盤で確認、操作し、放水砲の向きを調整することができる。また、現地で直接火源を確認し、放水砲現地操作盤を操作して調整することも可能である。
【0016】
本放水砲システムの防火対象物は開閉式屋根を備え、その閉鎖時には大空間を内包する構造物である。主として野球に使用し、多数の人々を収容可能である。
この防火対象物は、すり鉢状の施設であり、平坦面と、平坦面に隣接する傾斜面とを有する。傾斜面には客席が設けられている。
【0017】
図1は、本放水砲システムの警戒範囲の一例を示す。本放水砲システムは、同図に示すフィールド部分101(太い実線で囲まれた領域)と観客席102(破線で囲まれた領域)を警戒する。
【0018】
次に、図2は、放水砲システムの系統の一例を示す。
防護範囲には、放水砲201と、放水砲201の放水を制御するための遠隔操作弁202が配置されている。遠隔操作弁202は、放水砲201と消火ポンプ211を連結する給水管に設置されている。
【0019】
また防護範囲には、火災探査装置203と、火災探査装置203を制御するための放水砲・火災探査制御盤205および火災探査制御盤206が配置されている。火災探査装置203は、火災探査装置中継盤204を介して放水砲・火災探査制御盤205または火災探査制御盤206と信号線で接続されている。放水砲・火災探査制御盤205は、遠隔操作弁202と信号線で接続されている。
【0020】
また防護範囲には、放水砲201を操作するための放水砲現地操作盤208が配置されている。この放水砲現地操作盤208は、放水砲201と放水砲・火災探査制御盤205の各々と信号線で接続されている。
【0021】
ポンプ室には、消火ポンプ211と、消火ポンプ211を制御するためのポンプ制御盤212が配置されている。
【0022】
防災センタには、放水砲情報処理盤209と、放水砲中央操作盤207と、受信機210が配置されている。放水砲情報処理盤209は、放水砲中央操作盤207と受信機210の各々と信号線で接続されている。また放水砲情報処理盤209は、火災探査装置中継盤204、放水砲・火災探査制御盤205、火災探査制御盤206およびポンプ制御盤212の各々とも信号線で接続されている。
以下、主要な構成機器について説明する。
【0023】
放水砲201は、広範囲に放水するための可動式小型ヘッドである。この放水砲201は、火災探査装置203等の情報に基づいて火源方向に自動旋回し、火源までの距離に応じて放水角度および放水形状が3段階(遠方、中間、近傍)に変化することで、火災に対して有効に散水する。
【0024】
図3は、放水砲201の配置と防護範囲の例を示す。
放水砲201は、1塁側客席部分と、3塁側客席部分と、センター側バックスクリーン付近の3箇所に配置されている。各放水砲からの放水には、火源までの距離に応じて遠方301、中間302、近傍303の3つの放水パターンがある。
【0025】
次に、遠隔操作弁202は、放水砲201の放水および放水停止を制御するための弁である。火災が発生して放水する放水砲201が選択されると、自動制御または手動操作により該当する遠隔操作弁202が開放されて、放水砲201より放水が開始される。
【0026】
火災探査装置203は、防火対象物に設定された監視エリアを探査し、その画像を取得する火災探査手段である。取得された画像は、火災探査装置中継盤204を介して放水砲・火災探査制御盤205、火災探査制御盤206および放水砲情報処理盤209に送信される。
【0027】
図4は、火災探査装置203の外観の一例を示す。図4(a)は左側面を示し、図4(b)は正面を示し、図4(c)は右側面を示し、図4(d)は平面を示す。
火災探査装置203は、水平旋回用の電動雲台401と、電動雲台401に載置された垂直旋回用の電動雲台402と、電動雲台402の回転軸に、略水平方向に並べて取り付けられた赤外線カメラ403および可視カメラ404とからなる。
【0028】
電動雲台401は、Z軸を中心にして赤外線カメラ403と可視カメラ404を略水平面内で旋回させる。
電動雲台402は、X軸を中心にして赤外線カメラ403と可視カメラ404を略垂直面内で旋回させる。
赤外線カメラ403および可視カメラ404は、電動雲台401および402により旋回および俯仰可能となっており、12箇所の異なる監視位置に順次停止して画像を取得可能となっている。
【0029】
赤外線カメラ403と可視カメラ404はいずれも、平面視で電動雲台401の旋回軸(Z軸)上に設けられていない。赤外線カメラ403は平面視で距離d1だけ旋回軸(Z軸)から離れており、可視カメラ404は平面視で距離d2だけ旋回軸(Z軸)から離れている(図4(d)参照)。
【0030】
図5および図6は、火災探査装置203の配置と警戒範囲の一例を示す。図5は特に第1探査モードの警戒範囲を示し、図6は特に第2探査モードの警戒範囲を示す。
火災探査装置203は、基本的には1台の放水砲201につき1台設置され、具体的には、1塁側客席部分と、3塁側客席部分と、センター側バックスクリーン付近の3箇所に配置されている。しかし、それだけでは全警戒範囲を監視できないため、センターバックスクリーン上の天井屋根付近(以下、「大窓」という。)に追加で1台の火災探査装置203が設置されている。
【0031】
このとき、センター側の火災探査装置203は、大窓、3塁側、1塁側の火災探査装置203により警戒範囲が包含されるため、平常時は休止状態とする。また、大窓の火災探査装置203と1塁側または3塁側の火災探査装置203の2台の組合せにより殆どの警戒範囲を監視可能であるため、残りの1台は定点探査によって残った部分の監視を行う。この制御を行うために2種類の探査モード(表1参照)を定義し、タイマにて一定時間毎に切り替えて運用する。
【0032】
【表1】
【0033】
ここで平常探査とは、火災探査装置203が一定角度毎に停止し、熱画像を取り込み、監視範囲全体を探査する探査方法である。火災探査装置203は、一巡していなくても、火源を見つけたタイミングで火源概略位置を通知する。
一方、定点探査とは、火災探査装置203が固定の角度にて、熱画像を取り込み探査する探査方法である。火災探査装置203は火源を見つけたタイミングで火源概略位置を通知する。
【0034】
上述した図5は第1探査モードの監視範囲を示している。同図において実線501は、1塁側の火災探査装置203の警戒範囲を示し、一点鎖線502は、3塁側の火災探査装置203の警戒範囲を示し、二点鎖線503は、大窓の火災探査装置203の警戒範囲を示している。
一方、上述した図6は第2探査モードの監視範囲を示している。同図において実線601は、1塁側の火災探査装置203の警戒範囲を示し、一点鎖線602は、3塁側の火災探査装置203の警戒範囲を示し、二点鎖線603は、大窓の火災探査装置203の警戒範囲を示している。
【0035】
次に、放水砲・火災探査制御盤205について説明する。
放水砲・火災探査制御盤205は、火災探査装置203を制御し、そこから届く画像から火源の有無および位置を特定し、放水砲情報処理盤209へ情報を送出する。また、放水砲・火災探査制御盤205は、放水砲情報処理盤209からの制御指令を受けて、放水砲201の放水パターンおよび旋回、ならびに火災探査装置203の可視カメラ404の俯仰および旋回を制御する。
【0036】
図7は、この放水砲・火災探査制御盤205の機能構成の例を示す。
放水砲・火災探査制御盤205は、平常探査部701、定点探査部702、A探査部703、B探査部704および放水砲制御部705を備える。これらの機能は、プロセッサが、メモリに格納されている制御プログラムを実行することで提供される。
【0037】
まず平常探査部701は、平常探査を実行する。具体的には平常探査部701は、赤外線カメラ403を一定角度毎に停止させ、画像を取り込み、監視範囲全体を探査する。その際、平常探査部701は、各監視位置において、赤外線カメラ403により取得された画像を解析して、最高温度位置の温度と火災判定温度設定値を比較する。この比較処理で参照される火災判定温度設定値は、利用者により予め設定される閾値である。
【0038】
また平常探査部701は、上記の最高温度位置がマスク領域に含まれるか否かを判定する。この判定で参照されるマスク領域は、火災判定の対象から除外するために利用者により予め設定される領域であって、12箇所の監視位置の各々について個別に設定される。そのため利用者は、火災判定の対象から除外する領域を、12箇所の監視位置の各々について個別に設定することができる。
【0039】
平常探査部701は、上記の比較および判定の結果、最高温度位置の温度が火災判定温度設定値を超えており、かつ、最高温度位置が、監視位置に対応するマスク領域に含まれていない場合に、火災と判定する。
【0040】
平常探査部701は、火災判定後、火源概略位置を算出する。
その際、平常探査部701は、まず、火災探査装置203の設置位置を示す座標値(設定値)を取得する。ここで取得される座標値は、より詳細には、火災探査装置203の電動雲台401の設置位置を示す値である。
また平常探査部701は、火災探査装置203の電動雲台401の旋回軸から赤外線カメラ403までの平面視における距離を示す値(設定値)を取得する。そして平常探査部701は、取得した座標値を、同じく取得した距離を示す値で補正して、補正値を算出する。
【0041】
具体的には平常探査部701は、下式(2)および(3)を用いて、座標値(x,y,z)のx座標およびy座標の補正値を算出する。
X´=x+Acos(α)・・・(2)
Y´=y+Asin(α)・・・(3)
当該式(2)および(3)において、X´、Y´は、x座標、y座標の補正値であり、Aは、電動雲台401の旋回軸から赤外線カメラ403までの平面視における距離(例えば、図4(d)に例示する距離d1)を表し、αは、火源撮像時の赤外線カメラ403の旋回角を表す。
【0042】
なお、この式(1)および(2)の変数x、y、A、α、X´(x+Acos(α))およびY´(y+Asin(α))を図示すると、図16のようになる。図16は、火災探査装置203の平面の例を示している。
【0043】
平常探査部701は、補正値を算出後、算出した補正値と、火源撮像時の赤外線カメラ403の旋回角および俯仰角と、赤外線カメラ403の撮像画像(より具体的には、火源を示す画素位置)とに基づいて火源位置を算出する。
【0044】
具体的には平常探査部701は、まず、赤外線カメラ403の撮像画像に基づいて旋回角と俯仰角を補正する。その際、平常探査部701は、旋回角と俯仰角の補正値として、火源を示す画素を画面の略中心に据えたときに計測される旋回角と俯仰角を算出する。
【0045】
次に平常探査部701は、下式(4)を用いて、火災探査装置203から火源までの平面視での距離を算出する。
D=H×tan(β)・・・(4)
この式(4)において、Dは、火災探査装置203から火源までの平面視での距離を表し、Hは、火災探査装置203の設置高さを表し、βは、火源撮影時の赤外線カメラ403の俯仰角を表す。
平常探査部701は、この式(4)に、火災探査装置203の設置高さ(設定値)と俯仰角の補正値を代入して、火災探査装置203から火源までの平面視での距離を算出する。
【0046】
平常探査部701は、火源までの距離を算出すると、次に下式(5)~(7)を用いて、火源の座標値を算出する。
=X´+D×cos(α)・・・(5)
=Y´+D×sin(α)・・・(6)
=-z・・・(7)
これらの式(5)~(7)において、(x,y,z)は、火源の座標値である。
【0047】
平常探査部701は、火源位置を算出後、所定の補正テーブルを参照して、算出した火源位置を補正する。この際に参照する補正テーブルは、火源位置の計算誤差を補正するためのテーブルである。ここで言う計算誤差とは、図18を参照して説明した、火源が防火対象物の傾斜面に位置することで生じる計算誤差のことである。
【0048】
補正テーブルには、火源の座標値(原点は火災探査装置203の設置位置)と、それに対応する正しい座標値を含む区画とが予め対応付けられている。平常探査部701は、この補正テーブルを参照することで、算出した火源位置に対応する正しい区画を特定することができる。例えば、図17を参照して説明すると、平常探査部701は、算出した火源位置1703が平面視で傾斜面1702と重なる場合に、火源位置1703を、当該火源を捉えている赤外線カメラ403の光軸1705と傾斜面1702の交点1704を含む区画に補正する。
一方、算出した火源位置1706が平坦面1701に位置する場合には、補正テーブルを参照した平常探査部701は、火源位置1706を含む区画を特定する。
【0049】
なお、変形例として平常探査部701は、火源位置を補正する際に、区画ではなく座標値に補正してもよい。例えば、図17を参照して説明すると、平常探査部701は、算出した火源位置1703が平面視で傾斜面1702と重なる場合に、火源位置1703を、当該火源を捉えている赤外線カメラ403の光軸1705と傾斜面1702の交点1704に補正してもよい。
【0050】
以上説明した火源位置の算出方法では、火災探査装置203の設置位置が赤外線カメラ403の旋回軸ズレ量に基づいて補正される。その結果、当該補正を行わない場合と比較して、火源位置の測定誤差が減少する。
加えて、上記の算出方法では、一旦算出された火源位置が補正テーブルを用いて補正される。その結果、火源が防火対象物の傾斜面に位置することで生じる計算誤差が低減される。
なお、平常探査の詳細な処理については後述する。
【0051】
次に、定点探査部702について説明する。
定点探査部702は定点探査を実行する。具体的には定点探査部702は、赤外線カメラ403が固定の角度にて、熱画像を取り込み探査する。その際、定点探査部702は、予め指定された監視位置において、赤外線カメラ403により取得された画像を解析して、最高温度位置の温度と火災判定温度設定値を比較する。この比較処理で参照される火災判定温度設定値は、利用者により予め設定される閾値である。
【0052】
また定点探査部702は、上記の最高温度位置がマスク領域に含まれるか否かを判定する。この判定で参照されるマスク領域は、火災判定の対象から除外するために利用者により予め設定される領域であって、12箇所の監視位置の各々について個別に設定される。そのため利用者は、火災判定の対象から除外する領域を、12箇所の監視位置の各々について個別に設定することができる。
【0053】
定点探査部702は、上記の比較および判定の結果、最高温度位置の温度が火災判定温度設定値を超えており、かつ、最高温度位置が、監視位置に対応するマスク領域に含まれていない場合に、火災と判定する。
【0054】
定点探査部702は、火災判定後、火源概略位置を算出する。この火源概略位置の算出方法は、平常探査部701と共通するため、説明を省略する。
定点探査の詳細な処理については後述する。
【0055】
次に、A探査部703について説明する。
A探査部703はA探査を実行する。A探査は、平常探査または定点探査で火災が検知された場合に、火災を検知した火災探査装置203を除く3台の火災探査装置203において一斉に実行される探査である。このA探査は、平常探査では火災を検知した監視位置以降の探査が行われないのに対し、火災検知に関わらず、すべての監視位置について少なくとも1回ずつ探査が行われる点において、平常探査と相違する。
【0056】
次に、B探査部704について説明する。
B探査部704はB探査を実行する。このB探査は、A警報を発した火災探査装置203において火点が赤外線カメラ403で撮影する画面の中心になるよう移動して探査し、より詳細な位置情報を取得する探査である。
【0057】
具体的にはB探査部704は、平常探査部701、定点探査部702またはA探査部703により火災と判定された場合に、最高温度位置が赤外線カメラ403の画面の略中心になるように電動雲台401および402を制御する。その際、B探査部704は、制御する電動雲台402の俯仰角が所定の条件を満たすか否かを判定する。この判定で考慮される所定の条件とは、電動雲台402の俯仰角が0°(水平)以下であるという条件である。この条件を満たさない場合には、火源が太陽光である可能性が高いため、B探査部704は、平常探査部701等による火災判定を取り消す。そのため、火災の誤検出が防止される。
【0058】
B探査部704は、電動雲台401および402を制御後、最高温度位置を含む複数の画像を赤外線カメラ403から取得する。そしてB探査部704は、取得した画像を解析して、各画像において最高温度を特定する。最高温度を特定後、B探査部704は、特定した最高温度が強制発報判定温度以上である場合に、当該最高温度を強制発報置換温度に補正する。この補正処理で参照される強制発報判定温度とは、利用者により予め設定される閾値であり、本実施形態では400℃に設定されている。一方、強制発報置換温度とは、利用者により予め設定される補正値であり、本実施形態では1000℃に設定されている。この強制発報置換温度には、強制発報判定温度よりも高い温度が設定される。
【0059】
強制発報判定温度を400℃に設定した場合、炎の温度(本システムでは300℃程度と計測される)は400℃未満であるため、強制発報置換温度に補正されない。一方、太陽光の温度(本システムでは600℃程度と計測される)は400℃以上であるため、強制発報置換温度(1000℃)という固定値に補正される。この補正の結果、後述する画像間で温度を比較する処理において、より確実に火災の誤検出を防止できる。
【0060】
B探査部704は、上記の温度補正の後、上記の複数の画像間で補正値を比較する。この比較の結果、温度差が所定の閾値以下である場合には、B探査部704は、平常探査部701等による火災判定を取り消す。これは、画像間で温度差が無い又は少ないということは、それらの画像が表す火源が、温度が揺らぐ炎ではなく、太陽光やその金属反射である可能性が高いからである。このように温度差が所定の閾値以下である場合に火災判定を取り消すことで、火災の誤検出を防止できる。
【0061】
一方、上記の比較の結果、温度差が所定の閾値を超える場合には、B探査部704は、赤外線カメラ403から取得した上記の最高温度位置を含む画像から火源位置を算出する。この火源位置の算出方法は、平常探査部701と共通するため、説明を省略する。
【0062】
以上まとめると、B探査部704は、平常探査部701等により火災と判定された場合であって、電動雲台402の俯仰角が0°(水平)以下であるという所定の条件を満たし、複数の画像間の温度差が所定の閾値を超えているときに、赤外線カメラ403から取得した上記の最高温度位置を含む画像から火源位置を特定する。
なお、B探査のより詳細な処理については後述する。
【0063】
次に、放水砲制御部705について説明する。
放水砲制御部705は、放水砲中央操作盤207から送信される放水砲制御指令を受けて、放水砲201が火源を向くように制御する。
【0064】
次に、火災探査制御盤206について説明する。
火災探査制御盤206は、放水砲・火災探査制御盤205から放水砲制御部705を排除したものであり、上述した大窓の火災探査装置203に対して設置されている。
【0065】
放水砲中央操作盤207は、放水砲システムを統括して管理するためのものである。この放水砲中央操作盤207は、火災発生時には火災探査装置203の可視カメラ404がとらえた画像をTVモニタに映出し、また放水砲情報処理盤209から送られてきた各種の情報および作動状況をLCDモニタおよび操作部に表示する。操作部では、可視カメラ404および放水砲201の制御や切り替え操作、放水操作などを行うことができる。
【0066】
図8は、この放水砲中央操作盤207の機能構成の例を示す。
放水砲中央操作盤207は、放水砲制御指令部801、自動放水判定部802、放水制御指令部803および通知部804を備える。これらの機能は、プロセッサが、メモリに格納されている制御プログラムを実行することで提供される。
【0067】
まず放水砲制御指令部801は、放水砲中央操作盤207が、放水砲情報処理盤209から送信されるB警報を受信すると、放水砲・火災探査制御盤205に対して放水砲制御指令を送信する。送信される放水砲制御指令は、放水砲201が火源を向くように制御するように指令する。
【0068】
自動放水判定部802は、放水砲・火災探査制御盤205または火災探査制御盤206により特定された火源位置が自動放水対象エリアに含まれるか否かを判定する。この判定処理で参照される自動放水対象エリアは、利用者により予め設定されるエリアであり、自動放水の対象となるエリアである。本実施形態ではこの自動放水対象エリアに客席が含まれない。
【0069】
放水制御指令部803は、放水砲・火災探査制御盤205等により特定された火源位置が自動放水対象エリアに含まれる場合に、その火源位置に対する放水砲201からの放水を自動的に開始させる。
【0070】
通知部804は、放水砲・火災探査制御盤205等により特定された火源位置が自動放水対象エリアに含まれない場合に、上記の自動放水に代えて、利用者に対する手動放水の促し(言い換えると、利用者に対する、自動放水しない旨の通知)を行う。
ここで、上記の通り、本実施形態では自動放水対象エリアに客席が含まれない。そのため、火源位置が客席に位置する場合には、自動放水が行われず、代わりに手動放水が行われる。手動放水であれば、客席からある程度離れた位置に向けて放水を開始し、放水を観客に周知させた後に火源方向に放水を向けることで、放水が観客に直撃することを防止することができる。
【0071】
次に、放水砲現地操作盤208について説明する。
放水砲現地操作盤208は、現地で火災の状況を確認しながら直接放水砲201を操作するために放水砲201の直近に設置されている。万が一、放水砲中央操作盤207および放水砲情報処理盤209からの制御系にシステム故障が発生した場合も、放水砲現地操作盤208からの手動操作が可能となっている。
【0072】
放水砲情報処理盤209は、放水砲・火災探査制御盤205および火災探査制御盤206からの火源位置情報の収集および火源位置の判断、可視カメラ404の映像信号の受信およびカメラの制御を行う。加えて放水砲情報処理盤209は、放水砲中央操作盤207および放水砲現地操作盤208との連携により各種機器への制御指令や警報、表示を行う。
【0073】
受信機210は、自動火災報知設備として設置される火災受信機である。この受信機210は、放水、自動/手動の状態、システムの異常などの表示、警報を行う。
【0074】
1-2.動作
放水砲システムは、防災センタに設置される放水砲中央操作盤207により監視、操作を行う運用管理体制となっており、火災発生時には所定の動作フローにより速やかな初期消火活動を行う。所定の動作フローには、火災探査による火災検出があり、この火災探査による火災検出には自動モードと手動モードがある。以下、これらの自動モードと手動モードについて説明する。
【0075】
1-2-1.自動モード
図9は、自動モードの動作シーケンス900の一例を示す。
まず、放水砲・火災探査制御盤205Aは、平常探査または定点探査を常時実行する(ステップ901)。そして、平常探査または定点探査の結果、火災を検出すると、放水砲・火災探査制御盤205Aは、火災の発生と火源概略位置を示す探査結果を放水砲情報処理盤209に通知する(ステップ902)。放水砲情報処理盤209は、この探査結果を受信すると、放水砲中央操作盤207に対してA警報を通知する(ステップ903)。放水砲中央操作盤207は、このA警報を受信すると、LCDモニタにA警報を表示する。
【0076】
放水砲・火災探査制御盤205Aは、上記の探査結果の送信後、B探査を実行する(ステップ904)。そして、B探査の結果、火災を検出すると、放水砲・火災探査制御盤205Aは、火災の発生と火源詳細位置を示す探査結果を放水砲情報処理盤209に通知する(ステップ905)。放水砲情報処理盤209は、この探査結果を受信すると、放水砲中央操作盤207に対してB警報を通知する(ステップ906)。放水砲中央操作盤207は、このB警報を受信すると、LCDモニタとTVモニタに火災メッセージを表示する。また放水砲中央操作盤207は、放水砲情報処理盤209を介して受信機210へ移報する。
【0077】
加えて放水砲中央操作盤207は、放水砲201と放水パターンを選択する(ステップ907)。そして、放水砲中央操作盤207は、放水砲情報処理盤209を介して放水砲・火災探査制御盤205Aに対して放水砲制御指令を送信する(ステップ908)。放水砲・火災探査制御盤205Aは、この放水砲制御指令を受信すると、この指令に基づいて放水砲201Aを制御する(ステップ909)。この制御の結果、放水砲201Aは火源を指向する。
【0078】
放水砲中央操作盤207は、上記の放水砲制御指令の送信後、火源詳細位置が自動放水エリアに含まれるか否かを判定する(ステップ910)。この判定の結果、火源詳細位置が自動放水エリアに含まれる場合には、放水砲中央操作盤207は、2台目の放水砲・火災探査制御盤205からB警報を受信するまで待機する。一方、この判定の結果、火源詳細位置が自動放水エリアに含まれない場合には、放水砲中央操作盤207は、LCDモニタに、火災区画と「自動放水エリアではありません。現場を確認し、適切な初期消火を行ってください。」というメッセージを表示する。そして放水砲中央操作盤207は、後述するステップ918以降を実行しない。
【0079】
ここで、上記の通り、本実施形態では自動放水対象エリアに客席が含まれない。そのため、火源位置が客席に位置する場合には、自動放水が行われず、代わりに手動放水が行われる。手動放水であれば、客席からある程度離れた位置に向けて放水を開始し、放水を観客に周知させた後に火源方向に放水を向けることで、放水が観客に直撃することを防止することができる。
なお、手動放水に代えて、その他の消火設備(例えば、屋内消火栓)を用いた消火活動が行われてもよい。
【0080】
なお、放水砲中央操作盤207による上記の手動放水の促しは、メッセージの表示に限られず、音声出力により行われてもよい。
【0081】
放水砲情報処理盤209は、上記のB警報の通知後、他のすべての放水砲・火災探査制御盤205と火災探査制御盤206に対してA探査開始指令を送信する(ステップ911)。以下の説明では、放水砲・火災探査制御盤205Bが、このA探査開始指令を受信した場合について説明する。
【0082】
放水砲・火災探査制御盤205Bは、A探査開始指令を受信すると、A探査を実行する(ステップ912)。そして、A探査の結果、火災を検出すると、放水砲・火災探査制御盤205Bは、火災の発生と火源概略位置を示す探査結果を放水砲情報処理盤209に通知する(ステップ913)。放水砲情報処理盤209は、この探査結果を受信すると、放水砲中央操作盤207に対してA警報を通知する(ステップ914)。
【0083】
放水砲・火災探査制御盤205Bは、上記の探査結果の送信後、B探査を実行する(ステップ915)。そして、B探査の結果、火災を検出すると、放水砲・火災探査制御盤205Bは、火災の発生と火源詳細位置を示す探査結果を放水砲情報処理盤209に通知する(ステップ916)。放水砲情報処理盤209は、この探査結果を受信すると、放水砲中央操作盤207に対してB警報を通知する(ステップ917)。
【0084】
放水砲中央操作盤207は、このB警報を受信すると、15秒タイマによるカウントダウンを開始する(ステップ918)。そして、カウント値が零になると、放水砲中央操作盤207は、放水砲情報処理盤209に対してポンプ起動指令を送信する(ステップ919)。放水砲情報処理盤209は、このポンプ起動指令を受信すると、消火ポンプ211を起動させる(ステップ920)。
【0085】
また放水砲中央操作盤207は、放水砲情報処理盤209に対して遠隔操作弁開放指令を送信する(ステップ921)。放水砲情報処理盤209は、この遠隔操作弁開放指令を受信すると、放水砲201Aのための遠隔操作弁202Aを開放する(ステップ922)。この結果、放水砲201Aから火源に対して放水が行われる。
【0086】
放水の結果、鎮火し、放水砲中央操作盤207において復旧操作が行われると、消火ポンプ211が停止する。
以上が自動モードについての説明である。
【0087】
1-2-2.手動モード
図10は、手動モードの動作シーケンス1000の一例を示す。
手動モードの動作シーケンスは、ステップ901からステップ917まで自動モードの動作シーケンスと共通する。これらのステップについては説明を省略する。
【0088】
放水砲中央操作盤207は、2回目のB警報を受信後、カウントダウンを開始せずに待機している。この状態の放水砲中央操作盤207において、火災を確認したセンタ要員が放水キーを操作すると(ステップ1001)、放水砲中央操作盤207は、放水砲情報処理盤209に対してポンプ起動指令を送信する(ステップ1002)。放水砲情報処理盤209は、このポンプ起動指令を受信すると、消火ポンプ211を起動させる(ステップ1003)。
【0089】
また放水砲中央操作盤207は、放水砲情報処理盤209に対して遠隔操作弁開放指令を送信する(ステップ1004)。放水砲情報処理盤209は、この遠隔操作弁開放指令を受信すると、放水砲201Aのための遠隔操作弁202Aを開放する(ステップ1005)。この結果、放水砲201Aから火源に対して放水が行われる。
【0090】
また別の放水方法として、放水砲現地操作盤208を使った放水方法がある。この場合、センタ要員は、現地に駆けつけて火災を確認する。そしてセンタ要員は、放水砲201Aを操作するための放水砲現地操作盤208Aを操作して、操作権を取得する。その上でセンタ要員は、放水砲201Aの旋回操作と放水パターン選択を行い、放水キーを操作する(ステップ1006)。この操作を受けて放水砲現地操作盤208Aは、放水砲情報処理盤209に対してポンプ起動指令を送信する(ステップ1007)。放水砲情報処理盤209は、このポンプ起動指令を受信すると、消火ポンプ211を起動させる(ステップ1008)。
【0091】
また放水砲現地操作盤208Aは、放水砲情報処理盤209に対して遠隔操作弁開放指令を送信する(ステップ1009)。放水砲情報処理盤209は、この遠隔操作弁開放指令を受信すると、放水砲201Aのための遠隔操作弁202Aを開放する(ステップ1010)。この結果、放水砲201Aから火源に対して放水が行われる。
【0092】
放水の結果、鎮火し、放水砲中央操作盤207において復旧操作が行われると、消火ポンプ211が停止する。
以上が手動モードについての説明である。
【0093】
1-2-3.平常探査
図11は、平常探査の動作フロー1100の一例を示す。同図に示す平常探査は、放水砲・火災探査制御盤205または火災探査制御盤206の平常探査部701により実行される。
【0094】
平常探査部701は、火災探査装置203の赤外線カメラ403を、12箇所の監視位置のうちのいずれかに移動させる(ステップ1101)。加えて平常探査部701は、移動先の監視位置に対応するマスクデータを取得する(ステップ1102)。そして平常探査部701は、監視位置に移動した赤外線カメラ403により撮像された熱画像を取得する(ステップ1103)。
【0095】
熱画像を取得後、平常探査部701は、取得した熱画像を解析して最高温度の画素を抽出する(ステップ1104)。その際、平常探査部701は、熱画像を上下方向に4分割することで形成される4つのエリアの各々について最高温度の画素を抽出する。ただし、平常探査部701は、上記取得したマスクデータが示すマスク領域からは画素を抽出しない。
【0096】
各エリアから画素を抽出後、平常探査部701は、各画素の最高温度に対して距離換算を行う(ステップ1105)。具体的には平常探査部701は、各画素の最高温度に対して、対応するエリアに応じた補正係数を掛ける。例えば平常探査部701は、第1のエリア内の画素の最高温度に対しては、第1のエリアに対応する補正係数を掛ける。
【0097】
距離換算後、平常探査部701は、計算した換算値を火災判定温度設定値と比較する(ステップ1106)。この比較の結果、いずれの換算値も火災判定温度設定値以下である場合には(ステップ1106のNO)、平常探査部701はステップ1101に戻り、赤外線カメラ403を次の監視位置に移動させる。一方、この比較の結果、いずれかの換算値が火災判定温度設定値を超えている場合には(ステップ1106のYES)、平常探査部701は次に、火災判定温度設定値を超える換算値を有する画素数を設定数と比較する(ステップ1107)。
【0098】
この比較の結果、画素数が設定数未満である場合には(ステップ1107のNO)、平常探査部701はステップ1101に戻り、赤外線カメラ403を次の監視位置に移動させる。一方、この比較の結果、画素数が設定数以上である場合には(ステップ1107のYES)、平常探査部701は火源概略位置を算出する(ステップ1108)。その際、平常探査部701は、赤外線カメラ403の旋回角および俯角と上記の取得画像から火源概略位置を算出する。この火源概略位置の算出方法については、火源位置算出フロー1500として後述する。
【0099】
火源概略位置の算出後、平常探査部701は、火災の発生と火源概略位置を示す探査結果を放水砲情報処理盤209に通知する(ステップ1109)。
以上が平常探査についての説明である。
【0100】
1-2-4.定点探査
図12は、定点探査の動作フロー1200の一例を示す。同図に示す定点探査は、放水砲・火災探査制御盤205または火災探査制御盤206の定点探査部702により実行される。
【0101】
定点探査部702は、火災探査装置203の赤外線カメラ403を、予め指定された監視位置に移動させる(ステップ1201)。加えて定点探査部702は、移動先の監視位置に対応するマスクデータを取得する(ステップ1202)。そして定点探査部702は、監視位置に移動した赤外線カメラ403により撮像された熱画像を取得する(ステップ1203)。
【0102】
熱画像を取得後、定点探査部702は、取得した熱画像を解析して最高温度の画素を抽出する(ステップ1204)。その際、定点探査部702は、熱画像を上下方向に4分割することで形成される4つのエリアの各々について最高温度の画素を抽出する。ただし、定点探査部702は、上記取得したマスクデータが示すマスク領域からは画素を抽出しない。
【0103】
各エリアから画素を抽出後、定点探査部702は、各画素の最高温度に対して距離換算を行う(ステップ1205)。具体的には定点探査部702は、各画素の最高温度に対して、対応するエリアに応じた補正係数を掛ける。
【0104】
距離換算後、定点探査部702は、計算した換算値を火災判定温度設定値と比較する(ステップ1206)。この比較の結果、いずれの換算値も火災判定温度設定値である場合には(ステップ1206のNO)、定点探査部702はステップ1203に戻り、次の熱画像を取得する。一方、この比較の結果、いずれかの換算値が火災判定温度設定値を超えている場合には(ステップ1206のYES)、定点探査部702は次に、火災判定温度設定値を超える換算値を有する画素数を設定数と比較する(ステップ1207)。
【0105】
この比較の結果、画素数が設定数未満である場合には(ステップ1207のNO)、定点探査部702はステップ1203に戻り、次の熱画像を取得する。一方、この比較の結果、画素数が設定数以上である場合には(ステップ1207のYES)、定点探査部702は火源概略位置を算出する(ステップ1208)。その際、定点探査部702は、赤外線カメラ403の旋回角および俯角と上記の取得画像から火源概略位置を算出する。この火源概略位置の算出方法については、火源位置算出フロー1500として後述する。
【0106】
火源概略位置の算出後、定点探査部702は、火災の発生と火源概略位置を示す探査結果を放水砲情報処理盤209に通知する(ステップ1209)。
以上が定点探査についての説明である。
【0107】
1-2-5.A探査
図13は、A探査の動作フロー1300の一例を示す。同図に示すA探査は、放水砲・火災探査制御盤205または火災探査制御盤206のA探査部703により実行される。
【0108】
A探査は、処理の実行主体こそ異なるが、処理自体について言えば、平常探査とステップ1101~1109を共有する。これらのステップについてはすでに説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
【0109】
A探査では平常探査と異なり、火災探知にかかわらず、すべての監視位置ついて少なくとも1度は探査を行う。そのためA探査には、ステップ1301および1302が含まれる。
【0110】
このうちステップ1301では、A探査部703は、赤外線カメラ403が監視位置を一巡したか否かを判定する。この判定の結果、赤外線カメラ403が監視位置を一巡していない場合には(ステップ1301のNO)、A探査部703はステップ1101に戻り、赤外線カメラ403を次の監視位置に移動させる。一方、この判定の結果、赤外線カメラ403が監視位置を一巡した場合には(ステップ1301のYES)、A探査部703は次に、火源候補が存在するか否かを判定する(ステップ1302)。
【0111】
具体的にはA探査部703は、赤外線カメラ403が監視位置を一巡する過程でステップ1107の判定において「YES」の判定がなされたか否かを判定する。この判定の結果、「YES」の判定がなされていない場合には(ステップ1302のNO)、A探査部703はステップ1101に戻り、赤外線カメラ403を次の監視位置に移動させる。一方、この判定の結果、「YES」の判定がなされた場合には(ステップ1302のYES)、A探査部703は火源概略位置を算出する(ステップ1108)。その際、A探査部703は、赤外線カメラ403の旋回角および俯角と上記の取得画像から火源概略位置を算出する。この火源概略位置の算出方法については、火源位置算出フロー1500として後述する。
【0112】
火源概略位置の算出後、A探査部703は、火災の発生と火源概略位置を示す探査結果を放水砲情報処理盤209に通知する(ステップ1109)。
以上がA探査についての説明である。
【0113】
1-2-6.B探査
図14は、B探査の動作フロー1400の一例を示す。同図に示すB探査は、放水砲・火災探査制御盤205または火災探査制御盤206のB探査部704により実行される。
【0114】
B探査部704は、平常探査、定点探査またはA探査で取得された火源概略位置に基づいて、火源が画面の略中心になるような赤外線カメラ403の移動角(旋回角および俯角)を算出する(ステップ1401)。移動角を算出後、B探査部704は、算出した俯角が0度以下であるか否かを判定する(ステップ1402)。この判定の結果、算出した俯角が0度より上である場合には(ステップ1402のNO)、火源が太陽光である可能性が高いため、B探査部704はB探査を終了する。そのため、火災の誤検出が防止される。一方、算出した俯角が0°(水平)以下である場合には(ステップ1402のYES)、B探査部704は、火源が画面の略中心になるように赤外線カメラ403を移動させる(ステップ1403)。
【0115】
赤外線カメラ403を移動させた後、B探査部704は、赤外線カメラ403により撮像された複数枚の熱画像を取得する(ステップ1404)。熱画像を取得後、B探査部704は、取得した熱画像を解析して、各熱画像において最高温度の画素を抽出する(ステップ1405)。そしてB探査部704は、抽出した各画素の最高温度に対して距離換算を行う(ステップ1406)。具体的にはB探査部704は、各画素の最高温度を所定の補正式に適用して補正値を算出する。ただし、その際、B探査部704は、最高温度が強制発報判定温度(400℃)以上であれば、上記補正式への適用に代えて、強制発報置換温度(1000℃)に置換する。この補正の結果、後述するステップ1408において、より確実に火災の誤検出を防止できる。
【0116】
距離換算後、B探査部704は、各熱画像において補正値が火災判定温度設定値を超える画素数をカウントする(ステップ1407)。このカウントの結果、すべての熱画像においてカウントした画素数が設定数未満である場合には(ステップ1407のNO)、B探査部704はB探査を終了する。一方、このカウントの結果、いずれかの熱画像においてカウントした画素数が設定数以上である場合には(ステップ1407のYES)、B探査部704は次に、複数の熱画像間で最高温度の補正値を比較する(ステップ1408)。
【0117】
この比較の結果、補正値の最大値と最小値の差分が所定の閾値以下である場合には(ステップ1408のNO)、B探査部704はB探査を終了する。これは、画像間で温度差が無い又は少ないということは、それらの画像が表す火源が、温度が揺らぐ炎ではなく、太陽光やその金属反射である可能性が高いからである。このように温度差が所定の閾値以下である場合に火災判定を取り消すことで、火災の誤検出を防止できる。
B探査終了後は、再度A探査が実行される。
【0118】
一方、この比較の結果、補正値の最大値と最小値の差分が所定の閾値を超える場合には(ステップ1408のYES)、B探査部704は火源詳細位置を算出する(ステップ1409)。その際、B探査部704は、赤外線カメラ403の旋回角および俯角と上記の取得画像から火源詳細位置を算出する。この火源詳細位置の算出方法については、火源位置算出フロー1500として後述する。
【0119】
火源詳細位置の算出後、B探査部704は、火災の発生と火源詳細位置を示す探査結果を放水砲情報処理盤209に通知する(ステップ1410)。
以上がB探査についての説明である。
【0120】
1-2-7.火源位置の算出
図15は、火源位置算出フロー1500の一例を示す。同図に示す火源位置算出フロー1500は、放水砲・火災探査制御盤205または火災探査制御盤206の平常探査部701、定点探査部702、A探査部703およびB探査部704により実行される。以下の説明では、一例として、平常探査部701が火源位置算出フロー1500を実行する場合について説明する。
【0121】
平常探査部701は、火災探査装置203の設置位置を示す座標値(設定値)を取得する(ステップ1501)。
次に平常探査部701は、火災探査装置203の赤外線カメラ403の旋回角および俯仰角を取得する(ステップ1502)。
次に平常探査部701は、火災探査装置203の電動雲台401の旋回軸から赤外線カメラ403までの平面視における距離を示す値(設定値)を取得する(ステップ1503)。
【0122】
次に平常探査部701は、ステップ1501で取得した座標値を、ステップ1503で取得した距離を示す値で補正して、補正値を算出する(ステップ1504)。その際、平常探査部701は、上述した式(2)および(3)を用いて、座標値(x,y,z)のx座標およびy座標の補正値を算出する。具体的な計算方法についてはすでに説明済みのため、ここでは説明を省略する。
【0123】
平常探査部701は、補正値を算出後、赤外線カメラ403により撮像された熱画像の熱源画素座標を取得する(ステップ1505)。
平常探査部701は、熱源画素座標を取得後、ステップ1504で算出した補正値と、ステップ1502の旋回角および俯仰角と、ステップ1505で取得した熱源画素座標とに基づいて火源位置を算出する。
【0124】
具体的には平常探査部701は、まず、赤外線カメラ403の撮像画像に基づいて旋回角と俯仰角を補正する(ステップ1506)。その際、平常探査部701は、旋回角と俯仰角の補正値として、火源を示す画素を画面の略中心に据えたときに計測される旋回角と俯仰角を算出する。
【0125】
次に平常探査部701は、上述した式(4)に、火災探査装置203の設置高さ(設定値)と俯仰角の補正値を代入して、火災探査装置203から火源までの平面視での距離を算出する(ステップ1507)。具体的な計算方法についてはすでに説明済みのため、ここでは説明を省略する。
【0126】
平常探査部701は、火源までの距離を算出すると、次に上述した式(5)~(7)を用いて、火源位置を算出する(ステップ1508)。具体的な計算方法についてはすでに説明済みのため、ここでは説明を省略する。
【0127】
平常探査部701は、火源位置を算出後、上述した補正テーブルを参照して、算出した火源位置を補正する(ステップ1509)。その際、平常探査部701は、補正テーブルを参照することで、算出した火源位置に対応する正しい区画を特定する。
以上が火源位置算出フロー1500についての説明である。
【0128】
以上説明した火源位置算出フロー1500では、火災探査装置203の設置位置が赤外線カメラ403の旋回軸ズレ量に基づいて補正される。その結果、当該補正を行わない場合と比較して、火源位置の測定誤差が減少する。
加えて、上記の火源位置算出フロー1500では、一旦算出された火源位置が補正テーブルを用いて補正される。その結果、火源が防火対象物の傾斜面に位置することで生じる計算誤差が低減される。
【0129】
なお、上記の火源位置算出フロー1500では、ステップ1505で熱源画素座標が取得され、取得された熱源画素座標に基づいて火源位置が算出されている。しかし、B探査では熱源が赤外線カメラ403の画面中心になるように当該カメラが制御されるため、熱源画素座標は必然的に画面中心の座標となる。そのため、B探査で火源位置算出フロー1500が実行される場合には、ステップ1505および1506は省略されてもよい。
【0130】
また、算出した火源位置は、放水砲中央操作盤207、放水砲情報処理盤209、放水砲現地操作盤208などに設けられた表示部(LCDモニタ)に表示してもよい。例えば、図1のような、フィールド部分101と観客席102とが示された放水砲システムの警戒範囲を示すマップ上に、算出した火源位置を重ねて表示することで、監視員は、火源位置を確認しやすい。
【0131】
2.変形例
上記の実施形態を下記のように変形してもよい。以下の変形例は互いに組み合わせてもよい。
(1)上記の実施形態では、防火対象物として野球場を想定している。しかし、防火対象物は野球場に限られず、その他の観客を収容可能な施設としてもよい。
【0132】
(2)上記の平常探査およびA探査では、12箇所の監視位置を想定しているが、監視位置の数は防火対象物や、設置する火災探査装置203の数に応じて適宜変更してよい。
【0133】
(3)上記のB探査では、電動雲台402の俯仰角が0°(水平)以下であるという条件を満たさない場合に、平常探査部701等による火災判定を取り消している。しかし、この条件は、あくまで一例であり、俯仰角の閾値は防火対象物に応じて適宜変更してよい。
【0134】
(4)上記のB探査では、強制発報判定温度として400℃を、強制発報置換温度として1000℃を想定している。しかし、これらの値はあくまで一例であり、想定される誤検知対象や、装置の仕様に応じて適宜変更してよい。
【0135】
(5)上記のB探査では、複数の熱画像間で最高温度の補正値を比較し、補正値の最大値と最小値の差分が所定の閾値以下である場合に、平常探査部701等による火災判定を取り消している。この判定方法に代えて、複数の熱画像間で最高温度の補正値が一致する場合に、平常探査部701等による火災判定を取り消してもよい。言い換えると、複数の熱画像間の補正値の差分が零以下である場合に、平常探査部701等による火災判定を取り消してもよい。
【0136】
(6)上記の実施形態では、図7に示す各機能を放水砲・火災探査制御盤205が備え、図8に示す各機能を放水砲中央操作盤207が備えている。しかし、このような機能配置はあくまで一例であり、放水砲・火災探査制御盤205および放水砲中央操作盤207が備える一部または全部の機能を他の機器に分散してもよい。
【0137】
(7)上記の火源位置算出フロー1500で平常探査部701は、上述した式(1)および(2)を用いて、火災探査装置203の設置位置を補正している(ステップ1504参照)。しかし、平常探査部701は、上述した式(1)および(2)に代えて、所定のテーブルを参照して、火災探査装置203の設置位置を補正してもよい。ここで言う所定のテーブルとは、x座標とy座標のそれぞれについて、赤外線カメラ403の旋回角と対応付けて補正値を格納するテーブルである。このテーブルに格納される補正値は、上述した式(1)および(2)を用いて旋回角ごとに予め算出された値である。
平常探査部701は、このテーブルを参照することで、火災探査装置203の設置位置を、電動雲台401の旋回角から赤外線カメラ403までの平面視における距離で補正してもよい。
【0138】
(8)赤外線カメラ403と可視カメラ404は、旋回と俯仰の両方を行うことができる。しかし、これらのカメラは、対象とする監視範囲によっては、旋回と俯仰のうちの一方のみを行えるようにしてもよい。
【0139】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0140】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0141】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
なお、上述の実施例は少なくとも特許請求の範囲に記載の構成を開示している。
【符号の説明】
【0142】
101…フィールド部分、102…観客席、201…放水砲、202…遠隔操作弁、203…火災探査装置、204…火災探査装置中継盤、205…放水砲・火災探査制御盤、206…火災探査制御盤、207…放水砲中央操作盤、208…放水砲現地操作盤、209…放水砲情報処理盤、210…受信機、211…消火ポンプ、212…ポンプ制御盤、
401、402…電動雲台、403…赤外線カメラ、404…可視カメラ、701…平常探査部、702…定点探査部、703…A探査部、704…B探査部、705…放水砲制御部、801…放水砲制御指令部、802…自動放水判定部、803…放水制御指令部、804…通知部

図1
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