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特開2024-47429ガスクロマトグラフおよびキャリアガス使用量表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047429
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ガスクロマトグラフおよびキャリアガス使用量表示方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/86 20060101AFI20240329BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
G01N30/86 D
G01N30/26 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153041
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】坂本 雄紀
(72)【発明者】
【氏名】長尾 優
(57)【要約】
【課題】試料ガスの成分の分析の際のキャリアガスの使用量を容易に把握することが可能なガスクロマトグラフおよびキャリアガス使用量表示方法を提供する。
【解決手段】このガスクロマトグラフ100は、試料ガス生成部3と、導入された試料ガスの成分を分離する分離カラム6と、試料ガスの成分の分析の際に試料ガス生成部3から分離カラム6へ試料ガスを搬送するキャリアガスを試料ガス生成部3に供給するガス供給源101と、試料ガスの成分の分析の分析時間Tm、および、ガス供給源101から試料ガス生成部3に供給されるキャリアガスの流量Afに基づいて、キャリアガスの分析時使用量Au1を取得する制御部10と、制御部10において取得された分析時使用量Au1を表示する表示部12とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入された試料から試料ガスを生成する試料ガス生成部と、
前記試料ガス生成部において生成された前記試料ガスを導入するように接続され、導入された前記試料ガスの成分を分離する分離カラムと、
前記試料ガスの成分の分析の際に前記試料ガス生成部から前記分離カラムへ前記試料ガスを搬送するキャリアガスを前記試料ガス生成部に供給するガス供給源と、
前記試料ガスの成分の分析の分析時間、および、前記ガス供給源から前記試料ガス生成部に供給される前記キャリアガスの流量に基づいて、前記キャリアガスの分析時使用量を取得する制御部と、
前記制御部において取得された前記分析時使用量を表示する表示部とを備える、ガスクロマトグラフ。
【請求項2】
前記制御部は、ユーザにより設定された、前記分析時間および前記キャリアガスの流量を含む分析条件に基づいて、前記分析時使用量の推定値を取得し、取得された前記分析時使用量の推定値を前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項1に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項3】
前記制御部は、前記ガス供給源から前記試料ガス生成部を介して前記分離カラムへ供給される前記キャリアガスの流量、および、前記ガス供給源から前記試料ガス生成部を介して外部に排出される前記キャリアガスの排出量の各々を取得したことに基づいて、前記キャリアガスの流量を取得する制御を行うように構成されている、請求項2に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項4】
前記制御部は、前記分析時間に基づいて取得された、前記試料ガスの成分の分析を行わない待機状態の時間、および、ユーザにより設定された、前記待機状態において前記ガス供給源から前記試料ガス生成部に供給される前記キャリアガスの流量を含む待機条件に基づいて、待機時使用量の推定値を取得し、取得された前記待機時使用量の推定値を前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項2に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項5】
前記制御部は、前記試料ガスの成分の分析を複数回順次行うバッチ分析の際に1分析毎の前記分析時使用量の推定値と前記バッチ分析において行われる分析の回数とに基づいて、前記キャリアガスのバッチ分析時使用量の推定値を取得し、取得した前記バッチ分析時使用量の推定値を前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項2に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項6】
前記制御部は、1日における前記試料ガスの成分の分析の回数と前記分析時使用量の推定値とに基づいて、1日分使用量の推定値を取得し、取得した前記1日分使用量の推定値を前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項2に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項7】
前記制御部は、前記1日分使用量の推定値および所定期間に基づいて、所定期間使用量の推定値を取得し、取得した前記所定期間使用量の推定値を前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項6に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項8】
前記ガス供給源は、前記キャリアガスが充填されたガスボンベを含み、
前記制御部は、前記分析時使用量の推定値および前記ガスボンベのボンベ容量に基づいて、前記ガスボンベの残量の推定値を取得し、取得された前記ガスボンベの残量の推定値を前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項2に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項9】
前記ガス供給源は、前記キャリアガスが充填されたガスボンベを含み、
前記制御部は、1日における前記試料ガスの成分の分析の回数と前記分析時使用量の推定値とに基づいて、1日分使用量の推定値を取得するとともに、前記1日分使用量の推定値および前記ガスボンベのボンベ容量に基づいて、前記ガスボンベが空になるまでの残り推定日数を取得し、取得した前記残り推定日数を前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項2に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項10】
前記分離カラムに流れる前記キャリアガスと同じガスを検出器ガスとして流しつつ、前記分離カラムにおいて分離された成分を検出する検出器をさらに備え、
前記制御部は、ユーザにより設定された、前記分析時間、前記キャリアガスの流量の推定値、および、前記ガス供給源から前記検出器に供給される前記検出器ガスの流量の推定値に基づいて、前記分析時使用量の推定値を取得し、前記分析時使用量の推定値を前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項2に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項11】
試料ガス生成部において試料から生成された試料ガスを分析する分析時間、および、前記試料ガスを分離カラムに搬送するキャリアガスをガス供給源から前記試料ガス生成部に供給する前記キャリアガスの流量に基づいて、前記キャリアガスの分析時使用量を取得するステップと、
前記分析時使用量を表示部に表示するステップとを備える、キャリアガス使用量表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクロマトグラフおよびキャリアガス使用量表示方法に関し、特に、キャリアガスを供給するガス供給源を備えるガスクロマトグラフおよびキャリアガス使用量表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャリアガスを供給するガス供給源を備えるガスクロマトグラフが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、キャリアガスを供給するガスボンベ(ガス供給源)を備えるガスクロマトグラフ装置(ガスクロマトグラフ)が開示されている。このガスクロマトグラフ装置は、試料気化室と、カラム(分離カラム)と、上記ガスボンベと、圧力ゲージとを備えている。試料気化室は、注入された試料を気化させて試料ガスを生成するように構成されている。カラムは、試料ガスの成分を分離するように構成されている。ガスボンベは、試料ガスをカラム内に導入するキャリアガスを充填するように構成されている。圧力ゲージは、ガスボンベ内の圧力を検出するため、ガスボンベに取り付けられている。ガスクロマトグラフ装置では、試料気化室において気化された試料ガスを分析する際、ガスボンベからキャリアガスを流すことにより、キャリアガスとともに試料ガスが試料気化室からカラムに導入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-185953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には明記されていないが、上記特許文献1のような従来のガスクロマトグラフでは、オペレータは、ガスボンベの配置箇所に行き、圧力ゲージの検出値を確認した後、検出値から計算したガスボンベ内のキャリアガスの残量を記録することを定期的に行っている。この場合、オペレータは、記録されたキャリアガスの差分から試料ガスの成分の分析の際のキャリアガスの使用量を把握することが可能である一方、オペレータは、ガス供給源の配置箇所に行き、圧力ゲージの検出値を確認しなければならないので、試料ガスの成分の分析の際のキャリアガスの使用量を把握する作業が煩雑である。そこで、試料ガスの成分の分析の際のキャリアガスの使用量を容易に把握することが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、試料ガスの成分の分析の際のキャリアガスの使用量を容易に把握することが可能なガスクロマトグラフおよびキャリアガス使用量表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるガスクロマトグラフは、注入された試料から試料ガスを生成する試料ガス生成部と、試料ガス生成部において生成された試料ガスを導入するように接続され、導入された試料ガスの成分を分離する分離カラムと、試料ガスの成分の分析の際に試料ガス生成部から分離カラムへ試料ガスを搬送するキャリアガスを試料ガス生成部に供給するガス供給源と、試料ガスの成分の分析の分析時間、および、ガス供給源から試料ガス生成部に供給されるキャリアガスの流量に基づいて、キャリアガスの分析時使用量を取得する制御部と、制御部において取得された分析時使用量を表示する表示部とを備える。
【0008】
また、この発明の第2の局面におけるキャリアガス使用量表示方法は、試料ガス生成部において試料から生成された試料ガスを分析する分析時間、および、試料ガスを分離カラムに搬送するキャリアガスをガス供給源から試料ガス生成部に供給するキャリアガスの流量に基づいて、キャリアガスの分析時使用量を取得するステップと、分析時使用量を表示部に表示するステップとを備える。
【発明の効果】
【0009】
上記第1の局面におけるガスクロマトグラフ、および、上記第2の局面におけるキャリアガス使用量表示方法では、上記のように、試料ガスの成分の分析の分析時間、および、ガス供給源から試料ガス生成部に供給されるキャリアガスの流量に基づいて、キャリアガスの分析時使用量を取得するとともに、取得された分析時使用量を表示する。これにより、ユーザは、ガス供給源の配置箇所に行かなくても、表示部により分析時使用量を確認することができるので、試料ガスの成分の分析の際のキャリアガスの使用量を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態によるガスクロマトグラフの構成を示した模式図である。
図2】第1実施形態によるガスクロマトグラフの表示部に表示されたスプリット分析の設定を行う分析時キャリアガス使用量表示画面を示した模式図である。
図3】第1実施形態によるガスクロマトグラフの表示部に表示されたスプリットレス分析の設定を行う分析時キャリアガス使用量表示画面を示した模式図である。
図4】第1実施形態によるガスクロマトグラフの表示部に表示されたバッチ分析時キャリアガス使用量表示画面を示した模式図である。
図5】第1実施形態によるガスクロマトグラフの表示部に表示された待機時キャリアガス使用量表示画面を示した模式図である。
図6】第1実施形態によるガスクロマトグラフの表示部に表示された他のキャリアガス使用量情報表示画面を示した模式図である。
図7】第1実施形態によるガスクロマトグラフの中央制御部において処理されるキャリアガス使用量表示方法を示したフローチャートである。
図8】第2実施形態によるガスクロマトグラフの構成を示した模式図である。
図9】第2実施形態によるガスクロマトグラフの表示部に表示されたスプリット分析の設定を行う分析時キャリアガス使用量表示画面を示した模式図である。
図10】第1実施形態によるガスクロマトグラフの表示部に表示された分析時検出ガス使用量表示画面を示した模式図である。
図11】第1および第2実施形態の変形例によるガスクロマトグラフの表示部に表示された他のキャリアガス使用量情報表示画面を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
[第1実施形態]
まず、図1図7を参照して、本発明の第1実施形態によるガスクロマトグラフ100の構成について説明する。
【0013】
図1に示すように、ガスクロマトグラフ100は、食品、代謝物および生体試料などといった試料を気化した試料ガスを分析する装置である。ガスクロマトグラフ100は、たとえば、水中の揮発性化合物(VOCs)、食品中残留農薬分析、動物(植物)の代謝物分析(メタボロミクス)および生体試料中の薬毒物分析などの分析を行うために用いられる。
【0014】
ガスクロマトグラフ100では、試料ガスの成分の分析の際に試料ガスを搬送するために、不活性ガスであるキャリアガスを流す必要がある。このため、ガスクロマトグラフ100には、ガスボンベ101が接続されている。ガスボンベ101は、キャリアガスを充填した容器である。キャリアガスは、たとえば、ヘリウムガスである。ガスボンベ101は、キャリアガス導入流路Fw1によりガスクロマトグラフ100にキャリアガスを供給するように接続されている。ガスボンベ101には、ガスボンベ101内の圧力を検出するため、圧力ゲージ101aが取り付けられている。なお、ガスボンベ101は、特許請求の範囲の「ガス供給源」の一例である。
【0015】
具体的には、ガスクロマトグラフ100は、ガス流量制御器1と、オートサンプラ2と、試料ガス生成部3と、パージ流量制御器4と、スプリット流量制御器5と、分離カラム6と、インターフェース部7と、検出器8と、分析制御部9と、中央制御部10と、操作部11と、表示部12と、データ処理部13とを備えている。なお、中央制御部10は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0016】
ガス流量制御器1は、ガスボンベ101から試料ガス生成部3に供給されるキャリアガスの流量もしくは圧力を制御するフローコントローラである。ガス流量制御器1は、キャリアガス導入流路Fw1に取り付けられている。
【0017】
オートサンプラ2は、試料ガス生成部3に対して試料を自動的に注入するように構成されている。オートサンプラ2は、液体の試料が貯留されたシリンジ21と、微量の液体試料を試料ガス生成部3に注入するニードル22とを含んでいる。オートサンプラ2では、ニードル22を試料ガス生成部3に挿入することにより、シリンジ21内の液体の試料が試料ガス生成部3に注入される。
【0018】
試料ガス生成部3は、注入された試料から試料ガスを生成するように構成されている。試料ガス生成部3は、ヒータ31と、セプタム32と、試料気化室33とを含んでいる。ヒータ31は、試料を気化させることが可能な温度まで、試料気化室33を加熱するように構成されている。セプタム32は、ニードル22を試料ガス生成部3に挿入したことにより、試料気化室33から試料が漏れないようにする隔壁である。試料気化室33は、生成された試料ガスを一時的に貯留する容器である。
【0019】
試料ガス生成部3は、ヒータ31により試料気化室33を加熱したことによりセプタム32から発せられるガスをキャリアガスとともに試料気化室33の外部に排出するように第1キャリアガス排出流路Fw2に接続されている。試料ガス生成部3は、生成された試料ガスの分離カラム6への供給量を調整するため、生成された試料ガスをキャリアガスとともに外部に排出するように第2キャリアガス排出流路Fw3に接続されている。
【0020】
パージ流量制御器4は、第1キャリアガス排出流路Fw2の流量を制御するフローコントローラである。パージ流量制御器4は、第1キャリアガス排出流路Fw2に取り付けられている。スプリット流量制御器5は、第2キャリアガス排出流路Fw3の流量を制御するフローコントローラである。スプリット流量制御器5は、第2キャリアガス排出流路Fw3に取り付けられている。
【0021】
分離カラム6は、試料ガス生成部3から導入された試料ガスの成分を分離するように構成されている。このように、分離カラム6は、試料ガス生成部3において生成された試料ガスを導入するように試料ガス生成部3と接続されている。
【0022】
具体的には、分離カラム6は、カラム61と、カラムオーブン62とを含んでいる。カラム61は、キャピラリカラムである。カラム61は、試料気化室33の下流端とインターフェース部7とを接続している。カラムオーブン62は、ヒータ62aでカラムオーブン62内を加熱することによりカラム61を加熱する加熱器具である。カラムオーブン62内には、カラム61が収容されている。
【0023】
インターフェース部7は、試料ガスが通過する試料ガス導入管71をヒータ72により加熱することによって、分離カラム6から検出器8に向かう試料ガスを円滑に流すように構成されている。インターフェース部7は、分離カラム6と検出器8とを接続している。試料ガス導入管71は、カラム61の下流端と検出器8とを接続している。
【0024】
検出器8は、分離カラム6において分離された各成分を検出するためのものである。この場合、検出器8は、質量分析計(Mass Spectrometry:MS)である。検出器8は、チャンバ81と、イオン源82と、イオンレンズ83と、4重極マスフィルタ84と、イオン検出器85と、ヒータ86と、ロータリポンプ87と、ターボ分子ポンプ88とを含んでいる。
【0025】
チャンバ81は、イオン源82、イオンレンズ83、4重極マスフィルタ84、イオン検出器85およびヒータ86を内部に収容している。チャンバ81の内部は、ロータリポンプ87(図1ではRPと表示)およびターボ分子ポンプ88(図1ではTMPと表示)を含む真空ポンプにより略真空になるまで排気されている。イオン源82は、試料ガス由来のイオンを生成するように構成されている。イオンレンズ83は、イオン源82で生成されたイオンを収束しつつ輸送するように構成されている。4重極マスフィルタ84は、4本のロッド電極によりイオンを質量電荷比m/zに応じて分離するように構成されている。イオン検出器85は、4重極マスフィルタ84を通過したイオンを検出するように構成されている。ヒータ86は、イオン源82を加熱するように構成されている。
【0026】
分析制御部9は、ガス流量制御器1、オートサンプラ2、試料ガス生成部3、パージ流量制御器4、スプリット流量制御器5、分離カラム6、インターフェース部7、および、検出器8の動作を制御することにより、試料の分析する制御を行うように構成されている。分析制御部9は、CPU(Central Processing Unit)10aと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリおよびHDD(Hard Disk Drive)を有する記憶部10bとを有している。
【0027】
中央制御部10は、ユーザによる操作部11への入力操作を受け付けるとともに、受け付けた入力操作に基づいて所定の情報を表示部12に表示する制御などを行うように構成されている。中央制御部10は、分析制御部9に対して試料ガスの分析の開始および終了の各々の信号を送信する制御を行うように構成されている。中央制御部10は、分析制御部9に対して試料ガスの分析の際の分析条件を送信する制御を行うように構成されている。ここで、操作部11は、キーボードおよびマウス等のポインティングデバイスなどを含む。また、表示部12は、液晶ディスプレイなどにより構成されている。
【0028】
中央制御部10は、CPU11aと、ROMおよびRAMなどのメモリおよびHDDを有する記憶部11bとを有している。
【0029】
データ処理部13は、図示しないA/D変換器によりデジタルデータに変換されたイオン検出器85の検出信号を処理した後の処理後デジタルデータを中央制御部10に送信する制御を行うように構成されている。データ処理部13は、図示しない、CPUと、ROMおよびRAMなどのメモリを有している。
【0030】
(分析時キャリアガス使用量表示画面)
図2および図3に示すように、第1実施形態の中央制御部10は、試料ガスの分析を行う前に、試料ガスの分析に使用されるキャリアガスの使用量の推定値を示した分析時キャリアガス使用量表示画面G1を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。分析時キャリアガス使用量表示画面G1は、試料を分析する際に使用されるキャリアガスの使用量をユーザに認識させるための画面である。図2および図3には、試料ガスの分析の一例として、試料ガスの成分の分析を複数回順次行うバッチ分析のうちの1回の分析の設定内容を示す分析時キャリアガス使用量表示画面G1が示されている。
【0031】
ここで、図2および図3のバッチ分析の一例では、分析時キャリアガス使用量表示画面G1におけるバッチ分析条件欄Bcに、第1~第4分析の4回のバッチ分析が示されている。バッチ分析条件欄Bcには、バッチ分析の際の温度などが示されている。このように、図2および図3のバッチ分析の一例では、第1~第4分析の4回の分析を順次行うことが示されている。なお、バッチ分析では、2回、3回、または、5回以上の分析が順次行われてもよい。
【0032】
また、図2の分析時キャリアガス使用量表示画面G1に示すスプリットとは、スプリット分析を示す。スプリット分析とは、分析の際に気化した試料ガスの一部を分離カラム6に流入させ、残りの試料ガスを第2キャリアガス排出流路Fw3から排出させながら、試料ガスの分析を行う分析を示す。図3の分析時キャリアガス使用量表示画面G1に示すスプリットレスとは、スプリットレス分析を示す。スプリットレス分析とは、分析開始から所定時間(サンプリング時間)の間、第2キャリアガス排出流路Fw3を閉じた状態で、気化した試料ガスを分離カラム6に流入させた後、第2キャリアガス排出流路Fw3を開いて、気化した試料ガスの一部を分離カラム6に流入させ、残りの試料ガスを第2キャリアガス排出流路Fw3から排出させながら、試料ガスの分析を行う分析を示す。
【0033】
1回の分析の設定内容を示す分析時キャリアガス使用量表示画面G1に示されたキャリアガスの分析時使用量Au1は、試料ガスの成分の分析の分析時間Tm、および、ガスボンベ101から試料ガス生成部3に供給されるキャリアガスの流量Afに基づく中央制御部10の処理により取得される。
【0034】
ここで、分析時間Tmおよびキャリアガスの流量Afについて説明する。
【0035】
分析時間Tmは、検出時間と準備時間とを合計した合計時間である。すなわち、試料ガスの成分の分析では、分離カラム6のカラムオーブン62の温度は、初期の第1温度Te1から第2温度Te2まで上昇させて維持した後、次の分析を行うために第2温度Te2から初期の第1温度Te1まで下げられる。初期の第1温度Te1から第2温度Te2まで上昇させて維持する時間が、試料を気化させた試料ガスの成分を検出する検出時間である。また、次の分析を行うために第2温度Te2から初期の第1温度Te1まで下げる時間は、準備時間である。したがって、分析時間Tmは、試料ガスの成分を検出ために初期の第1温度Te1から第2温度Te2まで上昇させて維持した後、次の分析を行うために第2温度Te2から初期の第1温度Te1まで下げるまでの時間である。検出時間および準備時間の各々は、試料ガスの成分の分析の前に、ユーザにより予め設定された数値が登録された分析条件ファイルに記録されている。分析時間Tmは、検出時間および準備時間に基づいて算出された数値が分析条件ファイルに記録されている。
【0036】
キャリアガスの流量Afは、図2に示すように、試料ガスの成分の分析をスプリット分析により行う場合、カラム流量Af1、パージ流量Af2およびスプリット比Af3に基づいて取得される流量である。カラム流量Af1は、分析を行う際にカラム61に流れるキャリアガスの流量である。パージ流量Af2は、第1キャリアガス排出流路Fw2を介して試料ガス生成部3から外部に排出するキャリアガスの流量である。スプリット比Af3は、第2キャリアガス排出流路Fw3を介して試料ガス生成部3から外部に排出するキャリアガスの流量(以下、スプリット排出量と記載する)を設定するための比である。第2キャリアガス排出流路Fw3から外部に排出されるスプリット排出量は、カラム流量Af1とスプリット比Af3との乗算により取得される。キャリアガスの流量Afは、カラム流量Af1と、パージ流量Af2と、スプリット排出量とを合計した流量である。
【0037】
試料ガスの成分の分析をスプリット分析により行う場合のキャリアガスの流量Afの数値の計算の一例を示す。ユーザが、たとえば、分析時キャリアガス使用量表示画面G1のカラム流量Af1の欄に、カラム流量Af1を1[mL/min]とする入力操作を行う。ユーザが、たとえば、分析時キャリアガス使用量表示画面G1のパージ流量Af2の欄に、パージ流量Af2を17[mL/min]とする入力操作を行う。ユーザが、たとえば、分析時キャリアガス使用量表示画面G1のスプリット比Af3の欄に、スプリット比Af3を10とする入力操作を行う。これらにより、キャリアガスの流量Af(全流量)は、28[mL/min]と算出される。この結果、分析時使用量Au1は、キャリアガスの流量Afと分析時間Tmとの乗算により280[mL]と算出される。
【0038】
また、キャリアガスの流量Afは、図3に示すように、試料ガスの成分の分析をスプリットレス分析により行う場合、カラム流量Af1、パージ流量Af2、スプリット比Af3およびサンプリング時間Saに基づいて取得される流量である。カラム流量Af1、パージ流量Af2およびスプリット比Af3は、スプリット分析の場合の説明と同じであるので、説明を省略する。サンプリング時間Saは、スプリット流量制御器5を閉じる時間である。ここで、キャリアガスの流量Afのうちサンプリング時間Saの間の流量は、カラム流量Af1とパージ流量Af2との加算により取得される。
【0039】
試料ガスの成分の分析をスプリットレス分析により行う場合のキャリアガスの流量Afの数値の計算の一例を示す。ユーザが、たとえば、分析時キャリアガス使用量表示画面G1のカラム流量Af1の欄に、カラム流量Af1を1[mL/min]とする入力操作を行う。ユーザが、たとえば、分析時キャリアガス使用量表示画面G1のパージ流量Af2の欄に、パージ流量Af2を17[mL/min]とする入力操作を行う。ユーザが、たとえば、分析時キャリアガス使用量表示画面G1のスプリット比Af3の欄に、スプリット比Af3を10とする入力操作を行う。これらにより、キャリアガスの流量Af(全流量)は、28[mL/min]と算出される。また、ユーザが、たとえば、分析時キャリアガス使用量表示画面G1のサンプリング時間Saの欄に、サンプリング時間Saを1[min]とする入力操作を行う。この結果、分析時使用量Au1は、キャリアガスの流量Afと分析時間Tmとの乗算により270[mL]と算出される。
【0040】
上記したキャリアガスの流量Af、カラム流量Af1、パージ流量Af2、スプリット比Af3および分析時間Tmの設定は、試料ガスの成分の分析の前に行われる。すなわち、キャリアガスの流量Af、カラム流量Af1、パージ流量Af2、スプリット比Af3および分析時間Tmは、試料ガスの成分の分析を行うための分析条件である。
【0041】
このように、図2および図3に示すように、中央制御部10は、ユーザの入力操作により設定された、分析時間Tmおよびキャリアガスの流量Afを含む分析条件に基づいて、分析時使用量Au1の推定値を取得し、取得された分析時使用量Au1の推定値を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。
【0042】
具体的には、中央制御部10は、スプリット分析を行う場合、ユーザの入力操作を受け付けたことにより設定された、カラム流量Af1、パージ流量Af2およびスプリット比Af3の各々を取得したことに基づいて、キャリアガスの流量Afを算出(取得)する制御を行うように構成されている。また、中央制御部10は、スプリットレス分析を行う場合、ユーザの入力操作を受け付けたことにより設定された、カラム流量Af1、パージ流量Af2、スプリット比Af3およびサンプリング時間Saの各々を取得したことに基づいて、キャリアガスの流量Afを算出(取得)する制御を行うように構成されている。ここで、カラム流量Af1は、ガスボンベ101から試料ガス生成部3を介して分離カラム6へ供給されるキャリアガスの流量(供給量)に関する数値である。また、パージ流量Af2、スプリット比Af3およびサンプリング時間Saは、キャリアガスの排出量に関する数値である。
【0043】
(バッチ分析時キャリアガス使用量表示画面)
図4に示すように、中央制御部10は、試料ガスの分析を行っている最中に、試料ガスの分析結果およびバッチ分析が完了するまでに要する時間などだけでなく、バッチ分析時使用量Au2の推定値が表示されたバッチ分析時キャリアガス使用量表示画面G2を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。バッチ分析時キャリアガス使用量表示画面G2は、バッチ分析の際に使用されるキャリアガスの使用量をユーザに認識させるための画面である。バッチ分析時キャリアガス使用量表示画面G2は、分析時キャリアガス使用量表示画面G1とは別個のウィンドウである。
【0044】
具体的には、中央制御部10は、試料ガスの成分の分析を複数回順次行うバッチ分析の際に1分析毎の分析時使用量Au1の推定値とバッチ分析において行われる分析の回数とに基づいて、キャリアガスのバッチ分析時使用量Au2の推定値を算出(取得)し、算出(取得)したバッチ分析時使用量Au2の推定値を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。なお、図4にはバッチ分析時使用量Au2の推定値として一例として2.4Lと表示されているが、バッチ分析時使用量Au2の推定値は、2.4Lに限られない。
【0045】
(待機時キャリアガス使用量表示画面)
図5に示すように、中央制御部10は、試料ガスの分析を行う前に、中央制御部10において取得された待機時使用量Au3を含む待機時キャリアガス使用量表示画面G3を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。待機時キャリアガス使用量表示画面G3は、ガスクロマトグラフ100の待機状態の際に使用されるキャリアガスの使用量をユーザに認識させるための画面である。待機時キャリアガス使用量表示画面G3は、分析時キャリアガス使用量表示画面G1およびバッチ分析時キャリアガス使用量表示画面G2とは別個のウィンドウである。ここで、待機状態とは、試料ガスの分析が行われていないガスクロマトグラフ100の状態である。すなわち、待機状態とは、次の分析を開始するまでに準備時間よりも長い時間空いているので、現在の分析の終了後から次の分析の開始まで次の分析の初期温度付近の温度にガスクロマトグラフ100の温度を維持する状態を示す。
【0046】
待機状態の設定内容を示す待機時キャリアガス使用量表示画面G3に示されたキャリアガスの待機時使用量Au3は、試料ガスの成分の分析を行わない待機時間Tw、および、待機状態においてガスボンベ101から試料ガス生成部3に供給されるキャリアガスの流量Awに基づく中央制御部10の処理により取得される。待機時間Twとは、次の分析を開始するまでに準備時間よりも長い時間空く場合における、現在の分析の終了後から次の分析の開始までの時間を示す。なお、待機時間Twは、特許請求の範囲の「待機状態の時間」の一例である。
【0047】
ここで、待機時間Twおよびキャリアガスの流量Awについて説明する。
【0048】
待機時間Twは、分析時間Tmに基づいて中央制御部10により算出(取得)される。このように、待機時間Twは、試料ガスの分析の前に予め設定されている。キャリアガスの流量Awは、待機状態における、カラム流量Aw1、パージ流量Aw2およびスプリット比Aw3に基づいて取得される流量である。カラム流量Aw1、パージ流量Aw2およびスプリット比Aw3は、それぞれ、カラム流量Af1、パージ流量Af2およびスプリット比Af3に相当するので、説明を省略する。
【0049】
待機状態の場合のキャリアガスの流量Awの数値の計算の一例を示す。ユーザが、たとえば、待機時キャリアガス使用量表示画面G3のカラム流量Aw1の欄に、カラム流量Aw1を0.5[mL/min]とする入力操作を行う。ユーザが、たとえば、待機時キャリアガス使用量表示画面G3のパージ流量Aw2の欄に、パージ流量Aw2を4.5[mL/min]とする入力操作を行う。ユーザが、たとえば、待機時キャリアガス使用量表示画面G3のスプリット比Aw3の欄に、スプリット比Aw3を10とする入力操作を行う。待機時キャリアガス使用量表示画面G3の待機時間Twの欄には、たとえば、分析時間Tmに基づいて待機時間Twが80[min]と設定されている。これらにより、キャリアガスの流量Aw(全流量)は、10[mL/min]と算出される。その結果、キャリアガスの流量Awと待機時間Twの乗算に基づいて、待機時使用量Au3が800[mL]と取得される。
【0050】
上記したキャリアガスの流量Aw、カラム流量Aw1、パージ流量Aw2、スプリット比Aw3および待機時間Twの設定は、試料ガスの成分の分析の前に行われる。すなわち、キャリアガスの流量Aw、カラム流量Aw1、パージ流量Aw2、スプリット比Aw3および待機時間Twは、待機状態においてガスクロマトグラフ100の機能を保持するための待機条件である。
【0051】
このように、中央制御部10は、分析時間Tmに基づいて取得された、試料ガスの成分の分析を行わない待機時間Tw、および、ユーザの入力操作により設定された、待機状態においてガスボンベ101から試料ガス生成部3に供給されるキャリアガスの流量Awを含む待機条件に基づいて、待機時使用量Au3の推定値を取得し、取得された待機時使用量Au3の推定値を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。
【0052】
(他のキャリアガス使用量情報表示画面)
図6に示すように、中央制御部10は、試料ガスの分析を行う前に、キャリアガス使用量情報表示画面G4を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。キャリアガス使用量情報表示画面G4は、他のキャリアガスの使用量に関する情報をユーザに認識させるための画面である。キャリアガス使用量情報表示画面G4には、分析時および待機時の各々のキャリアガスの使用量に基づく他のキャリアガス使用量情報として、使用量合計Ae1の推定値、1日分使用量Ae2の推定値、現在使用量Ae3の推定値および残り推定日数Ae4が表示されている。キャリアガス使用量情報表示画面G4は、分析時キャリアガス使用量表示画面G1、バッチ分析時キャリアガス使用量表示画面G2および待機時キャリアガス使用量表示画面G3とは別個のウィンドウである。なお、図6のキャリアガス使用量情報表示画面G4に示された数値はあくまで一例である。
【0053】
ここで、使用量合計Ae1は、ガスクロマトグラフ100を起動してからの日数と1日分使用量Ae2の推定値との乗算に基づいて取得される。1日分使用量Ae2は、1日における試料ガスの成分の分析の回数と分析時使用量Au1の推定値との乗算に基づいて取得される。現在使用量Ae3は、1日分使用量Ae2を24時間で除算することに基づいて取得される。残り推定日数Ae4は、ガスボンベ101のボンベ容量Vgを1日分使用量の推定値で除算することに基づいて取得される。ここで、ボンベ容量Vgは、ユーザの入力操作により予め取得されている。
【0054】
このように、中央制御部10は、1日における試料ガスの成分の分析の回数と分析時使用量Au1の推定値とに基づいて、1日分使用量Ae2の推定値を取得し、取得した1日分使用量Ae2の推定値を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。
【0055】
また、中央制御部10は、1日における試料ガスの成分の分析の回数と分析時使用量Au1の推定値とに基づいて、1日分使用量Ae2の推定値を取得するとともに、1日分使用量Ae2の推定値およびガスボンベ101のボンベ容量Vgに基づいて、ガスボンベ101が空になるまでの残り推定日数Ae4を取得し、取得した残り推定日数Ae4を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。
【0056】
中央制御部10は、空になったガスボンベを交換した際のユーザによる操作部11を介した入力操作を受け付けたことに基づいて、試料ガスの成分の分析の回数分だけ積算されたキャリアガスの使用量を0に戻す制御を行うように構成されている。すなわち、使用量合計Ae1、1日分使用量Ae2、現在使用量Ae3および残り推定日数Ae4の数値が、0に戻される。
【0057】
(キャリアガス使用量表示方法)
次に、図7を参照して、中央制御部10において実施されるキャリアガス使用量表示方法について以下に説明する。
【0058】
図7に示すように、ステップS1において、分析時キャリアガス使用量表示画面G1が表示されたか否かが判断される。この際、分析時キャリアガス使用量表示画面G1を表示部12に表示するためのユーザの入力操作が行われている。分析時キャリアガス使用量表示画面G1が表示された場合にはステップS2に進み、分析時キャリアガス使用量表示画面G1が表示されていない場合にはキャリアガス使用量表示方法を終了する。
【0059】
ステップS2において、試料ガス生成部3において試料から生成された試料ガスを分析する分析時間Tm、および、試料ガスを分離カラム6に搬送するキャリアガスをガスボンベ101から試料ガス生成部3に供給するキャリアガスの流量Afに基づいて、キャリアガスの分析時使用量Au1の推定値が取得される。ステップS3において、分析時使用量Au1の推定値が表示部12に表示される。
【0060】
ステップS4において、バッチ分析時キャリアガス使用量表示画面G2が表示されたか否かが判断される。この際、バッチ分析時キャリアガス使用量表示画面G2を表示部12に表示するためのユーザの入力操作が行われている。バッチ分析時キャリアガス使用量表示画面G2が表示された場合にはステップS5に進み、バッチ分析時キャリアガス使用量表示画面G2が表示されていない場合にはステップS7に進む。
【0061】
ステップS5において、分析時使用量Au1とバッチ分析において行われる分析の回数とに基づいて、キャリアガスのバッチ分析時使用量Au2の推定値が取得される。ステップS6において、バッチ分析時使用量Au2の推定値が表示部12に表示される。
【0062】
ステップS7において、待機時キャリアガス使用量表示画面G3が表示されたか否かが判断される。この際、待機時キャリアガス使用量表示画面G3を表示部12に表示するためのユーザの入力操作が行われている。待機時キャリアガス使用量表示画面G3が表示された場合にはステップS8に進み、待機時キャリアガス使用量表示画面G3が表示されていない場合にはステップS10に進む。
【0063】
ステップS8において、待機状態におけるキャリアガスの流量Awと待機時間Twとに基づいて、キャリアガスの待機時使用量Au3の推定値が取得される。ステップS9において、待機時使用量Au3の推定値が表示部12に表示される。
【0064】
ステップS10において、キャリアガス使用量情報表示画面G4が表示されたか否かが判断される。この際、キャリアガス使用量情報表示画面G4を表示部12に表示するためのユーザの入力操作が行われている。キャリアガス使用量情報表示画面G4が表示された場合にはステップS11に進み、キャリアガス使用量情報表示画面G4が表示されていない場合にはキャリアガス使用量表示方法が終了する。
【0065】
ステップS11において、1日における試料ガスの成分の分析の回数と分析時使用量Au1の推定値との乗算に基づいて1日分使用量Ae2の推定値を取得するとともに、1日分使用量Ae2の推定値に基づいて、使用量合計Ae1の推定値、現在使用量Ae3の推定値および残り推定日数Ae4が取得される。ステップS12において、使用量合計Ae1の推定値、1日分使用量Ae2の推定値、現在使用量Ae3の推定値および残り推定日数Ae4が表示部12に表示される。ステップS12の後、キャリアガス使用量表示方法が終了する。
【0066】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0067】
第1実施形態では、上記のように、ガスクロマトグラフ100は、試料ガスの成分の分析の分析時間Tm、および、ガスボンベ101から試料ガス生成部3に供給されるキャリアガスの流量に基づいて、キャリアガスの分析時使用量Au1を取得するとともに、取得された分析時使用量Au1を表示する表示部12を備える。これにより、ユーザは、ガスボンベ101の配置箇所に行かなくても、表示部12により分析時使用量Au1を確認することができるので、試料ガスの成分の分析の際のキャリアガスの使用量を容易に把握することができる。また、ユーザが試料ガスの成分の分析の際のキャリアガスの使用量を認識することができるので、分析の際の使用量が多いかまたは少ないかをユーザが認識することができる。この結果、分析の際のキャリアガスの使用量が少なくなるような分析の設定を行うようにユーザに意識付けさせることができる。また、ユーザが表示部12により分析時使用量Au1を確認することができるので、試料ガスの成分の分析の際のキャリアガスの使用量を容易に把握することができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、中央制御部10は、ユーザにより設定された、分析時間Tmおよびキャリアガスの流量Afを含む分析条件に基づいて、分析時使用量Au1の推定値を取得する制御を行うように構成されている。中央制御部10は、取得された分析時使用量Au1の推定値を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。これにより、ユーザが試料ガスの成分の分析の際の使用量の推定値を認識することができるので、分析の際のキャリアガスの使用量が多いかまたは少ないかをユーザが判断することができる。この結果、ユーザが分析の際のキャリアガスの使用量を多いと判断した場合、分析の際のキャリアガスの使用量が少なくなるように分析の設定の変更を行うことができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、中央制御部10は、ガスボンベ101から試料ガス生成部3を介して分離カラム6へ供給されるキャリアガスの流量Af、および、ガスボンベ101から試料ガス生成部3を介して外部に排出されるキャリアガスの排出量Af2(Af3、Sa)の各々を取得したことに基づいて、キャリアガスの流量Afを取得する制御を行うように構成されている。これにより、ガスボンベ101から試料ガス生成部3に供給されたキャリアガスの流量Afは、分離カラム6へ供給されたキャリアガスの流量と外部に排出されたキャリアガスの流量との合計であるので、キャリアガスの流量Afを適切に取得することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、中央制御部10は、分析時間Tmに基づいて取得された、試料ガスの成分の分析を行わない待機状態の時間Tw、および、ユーザにより設定された、待機状態においてガスボンベ101から試料ガス生成部3に供給されるキャリアガスの流量Awを含む待機条件に基づいて、待機時使用量Au3の推定値を取得する制御を行うように構成されている。中央制御部10は、取得された待機時使用量Au3の推定値を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。これにより、分析時使用量Au1だけでなく待機時使用量Au3もユーザが認識することができるので、待機状態のキャリアガスの使用量が多いかまたは少ないかもユーザが認識することができる。この結果、待機状態のキャリアガスの使用量が少なくなるような待機状態の設定を行うようにユーザに意識付けさせることができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、中央制御部10は、試料ガスの成分の分析を複数回順次行うバッチ分析の際に1分析毎の分析時使用量Au1の推定値とバッチ分析において行われる分析の回数とに基づいて、キャリアガスのバッチ分析時使用量Au2の推定値を取得する制御を行うように構成されている。中央制御部10は、取得したバッチ分析時使用量Au2の推定値を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。これにより、バッチ分析の際のキャリアガスの使用量の推定値をユーザが認識することができるので、バッチ分析の際のキャリアガスの使用量が多いかまたは少ないかをユーザが判断することができる。この結果、ユーザがバッチ分析の際のキャリアガスの使用量が多いと判断した場合、バッチ分析の際のキャリアガスの使用量が少なくなるようにバッチ分析の設定を変更することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、中央制御部10は、1日における試料ガスの成分の分析の回数と分析時使用量Au1の推定値とに基づいて、1日分使用量Ae2の推定値を取得する制御を行うように構成されている。中央制御部10は、取得した1日分使用量Ae2の推定値を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。これにより、表示部12に1日分使用量Ae2が表示されることにより、ユーザが1日のキャリアガスのおおよその使用量を容易に確認することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、ガスボンベ101は、キャリアガスが充填されたガスボンベ101を含んでいる。中央制御部10は、1日における試料ガスの成分の分析の回数と分析時使用量Au1の推定値とに基づいて、1日分使用量Ae2の推定値を取得するとともに、1日分使用量Ae2の推定値およびガスボンベ101のボンベ容量Vgに基づいて、ガスボンベ101が空になるまでの残り推定日数Ae4を取得する制御を行うように構成されている。中央制御部10は、取得した残り推定日数Ae4を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。これにより、ユーザがガスボンベ101の交換時期を認識することができるので、ユーザはガスボンベ101の交換を適切な時期に行うことができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、キャリアガス使用量表示方法は、試料ガス生成部3において試料から生成された試料ガスを分析する分析時間Tm、および、試料ガスを分離カラム6に搬送するキャリアガスをガスボンベ101から試料ガス生成部3に供給するキャリアガスの流量Afに基づいて、キャリアガスの分析時使用量Au1を取得するステップS2を備えている。キャリアガス使用量表示方法は、分析時使用量Au1を表示部12に表示するステップS3を備えている。これにより、ユーザは、ガスボンベ101の配置箇所に行かなくても、表示部12により分析時使用量Au1を確認することができるので、試料ガスの成分の分析の際のキャリアガスの使用量を容易に把握することができる。
【0075】
[第2実施形態]
図8図10を参照して、第2実施形態によるガスクロマトグラフ200の構成について説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、キャリアガスの流量Afの推定値だけでなく、検出器208を流れる検出器ガスの流量Awも合わせた分析時使用量Au1の推定値が、表示部12に表示されている。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
【0076】
図8図10を参照して、本発明の第2実施形態によるガスクロマトグラフ200は、ガス流量制御器1と、オートサンプラ2と、試料ガス生成部3と、パージ流量制御器4と、スプリット流量制御器5と、分離カラム6と、インターフェース部7と、検出器208と、分析制御部9と、中央制御部10と、操作部11と、表示部12と、データ処理部13とを備えている。また、ガスクロマトグラフ200には、ガスボンベ101が接続されている。なお、ガスボンベ101は、特許請求の範囲の「ガス供給源」の一例である。また、中央制御部10は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0077】
検出器208は、分離カラム6において分離された各成分を検出するためのものである。検出器208は、放電イオン化検出器(Dielectric - Barrier Discharge Ionization Detector)である。検出器208は、分離カラム6に流れるキャリアガスと同じガスを検出器ガスとして流しつつ、分離カラム6において分離された成分を検出する。ここで、検出器ガスは、たとえば、ヘリウムガスである。検出器208とガスボンベ101とは、キャリアガス導入流路Fw1、および、キャリアガス導入流路Fw1から分岐した分岐流路Fw4により接続されている。
【0078】
(分析時キャリアガス使用量表示画面)
図9および図10に示すように、第2実施形態の中央制御部10は、試料ガスの分析を行う前に、分析時キャリアガス使用量表示画面G1を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。
【0079】
具体的には、中央制御部10は、ユーザにより設定された、分析時間Tm、キャリアガスの流量Afの推定値、および、ガスボンベ101から検出器208に供給される検出器ガスの流量Adの推定値に基づいて、分析時使用量Au1の推定値を取得し、分析時使用量Au1の推定値を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。なお、図9に示された、カラム流量Af1の数値、パージ流量Af2の数値、スプリット比Af3の数値、キャリアガスの流量Afの数値、分析時間Tmの数値、および、分析時使用量Au1の数値は一例であり、これらの数値限定されない。
【0080】
ここで、検出器ガスの流量Adは、分析を行う際に検出器208に流れるキャリアガスの流量である。検出器ガスの流量Adは、試料ガスの成分の分析の前に、ユーザの入力操作により予め設定されている。すなわち、中央制御部10は、ユーザによる、分析時検出ガス使用量表示画面Gdの検出器ガスの流量Adの欄への数値(たとえば、47[mL/min])の入力操作を受け付けたことに基づいて、検出器ガスの流量Adの数値を設定する制御を行うように構成されている。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態の構成と同様である。
【0081】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、ガスクロマトグラフ200は、試料ガスの成分の分析の分析時間Tm、および、ガスボンベ101から試料ガス生成部3に供給されるキャリアガスの流量に基づいて、キャリアガスの分析時使用量Au1を取得するとともに、取得された分析時使用量Au1を表示する表示部12を備える。これにより、試料ガスの成分の分析の際の使用量を容易に把握することができる。
【0082】
また、第2実施形態では、上記のように、ガスクロマトグラフ200は、分離カラム6に流れるキャリアガスと同じガスを検出器ガスとして流しつつ、分離カラム6において分離された成分を検出する検出器208を備えている。中央制御部10は、ユーザにより設定された、分析時間Tm、キャリアガスの流量Afの推定値、および、ガスボンベ101から検出器208に供給される検出器ガスの流量Adの推定値に基づいて、分析時使用量Au1の推定値を取得する制御を行うように構成されている。中央制御部10は、分析時使用量Au1の推定値を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。これにより、キャリアガスと同じガスボンベ101から供給される検出器ガスの使用量も含めて分析時使用量Au1の推定値として表示部12に表示することができるので、ユーザが試料ガスの分析の際のガスの使用量の推定値を適切に把握することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態の効果と同様である。
【0083】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0084】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、キャリアガスは、ヘリウムである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、キャリアガスは、水素または窒素などの代替キャリアガスであってもよい。また、この場合、第2実施形態の検出器ガスも、キャリアガスと同じ代替キャリアガスに変更する。
【0085】
また、第1および第2実施形態では、表示部12には、分析時使用量Au1の推定値が表示される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、表示部には、試料ガスの分析を行っている際に流量センサにより計測したキャリアガスの流量の積算値に基づく分析時使用量の実測値が表示されてもよい。
【0086】
また、第1および第2実施形態では、表示部12には、使用量合計Ae1の推定値、1日分使用量Ae2の推定値、現在使用量Ae3の推定値および残り推定日数Ae4を含む他のキャリアガス使用量情報表示画面G4が表示される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図11に示す変形例のように、表示部12には、使用量合計Ae1の推定値、1日分使用量Ae2の推定値、現在使用量Ae3の推定値および残り推定日数Ae4だけでなく、1週間使用量Ae5の推定値(特許請求の範囲の「所定期間使用量の推定値」の一例)、1ヵ月使用量Ae6の推定値(特許請求の範囲の「所定期間使用量の推定値」の一例)、および、ボンベ残量Ae7(特許請求の範囲の「ガスボンベの残量」の一例)が表示されてもよい。
【0087】
すなわち、中央制御部10は、1日分使用量Ae2の推定値および所定期間(たとえば、1週間または1ヵ月)に基づいて、所定期間使用量Ae5(Ae6)の推定値を取得し、取得した所定期間使用量Ae5(Ae6)の推定値を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。これにより、表示部12に所定期間使用量Ae5(Ae6)が表示されることにより、ユーザが所定期間のキャリアガスのおおよその使用量を容易に確認することができる。
【0088】
また、中央制御部10は、分析時使用量Au1の推定値およびガスボンベ101のボンベ容量Vgに基づいて、ボンベ残量Ae7(ガスボンベ101の残量)の推定値を取得し、取得されたボンベ残量Ae7の推定値を表示部12に表示する制御を行うように構成されている。これにより、ユーザがガスボンベ101のおおよそのボンベ残量Ae7を認識することができるので、ユーザがガスボンベ101のおおよその交換時期を認識することができる。
【0089】
また、第1および第2実施形態では、他のキャリアガス使用量情報表示画面G4は、表示部12に表示される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、キャリアガス使用量情報表示画面は、表示部だけでなく分離カラムまたは検出器に設けられたモニタにも表示されてもよい。
【0090】
また、第1および第2実施形態では、表示部12には、分析時キャリアガス使用量表示画面G1に分析時使用量Au1を表示するとともに、分析時キャリアガス使用量表示画面G1とは別個の待機時キャリアガス使用量表示画面G3に待機時使用量Au3が表示される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、表示部には、分析時使用量および待機時使用量の両方が表示された表示画面が表示されてもよい。
【0091】
また、上記第1および第2実施形態では、中央制御部10(制御部)は、ユーザの入力操作により設定された、分析時間Tmおよびキャリアガスの流量Afを含む分析条件に基づいて、分析時使用量Au1の推定値を取得する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、ユーザの入力操作により設定された待機状態の時間に基づいて取得された分析時間、および、ユーザの入力操作により設定された待機状態の際のキャリアガスの流量に基づいて取得された分析の際のキャリアガスの流量に基づいて、分析時使用量の推定値を取得する制御を行うように構成されていてもよい。
【0092】
また、上記第1および第2実施形態では、カラム61は、キャピラリカラムである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、カラムは、パックドカラムおよびその他のカラムであってもよい。
【0093】
また、上記第1実施形態では、中央制御部10(制御部)は、スプリット分析を行う場合、ユーザの入力操作を受け付けたことにより設定された、カラム流量Af1、パージ流量Af2およびスプリット比Af3の各々を取得したことに基づいて、キャリアガスの流量Afを取得する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、スプリット分析を行う場合、ユーザにより設定された、カラム流量、パージ流量およびスプリット比を記憶部から読み出して取得したことに基づいて、キャリアガスの流量を取得する制御を行うように構成されていてもよい。
【0094】
また、上記第1および第2実施形態では、中央制御部10(制御部)は、スプリットレス分析を行う場合、ユーザの入力操作を受け付けたことにより設定された、カラム流量Af1、パージ流量Af2、スプリット比Af3およびサンプリング時間Saの各々を取得したことに基づいて、キャリアガスの流量Afを取得する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、スプリットレス分析を行う場合、ユーザにより設定された、カラム流量、パージ流量、スプリット比およびサンプリング時間の各々を記憶部から読み出して取得したことに基づいて、キャリアガスの流量を取得する制御を行うように構成されていてもよい。
【0095】
また、上記第1および第2実施形態では、中央制御部10(制御部)は、試料ガスの分析を行っている最中に、バッチ分析時キャリアガス使用量表示画面G2を表示部12に表示する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、試料ガスの分析を行う前に、バッチ分析時キャリアガス使用量表示画面を表示部に表示する制御を行うように構成されていてもよい。
【0096】
また、上記第2実施形態では、中央制御部10(制御部)は、ユーザにより設定された、分析時間Tm、キャリアガスの流量Afの推定値、および、ガスボンベ101から検出器208に供給される検出器ガスの流量Adの推定値に基づいて、分析時使用量Au1の推定値を取得し、分析時使用量Au1の推定値を表示部12に表示する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、ユーザにより設定された、分析時間、キャリアガスの流量の推定値、および、ガス供給源から検出器に供給される検出器ガスの流量の推定値を記憶部から読み出したことに基づいて、分析時使用量の推定値を取得し、分析時使用量の推定値を表示部に表示する制御を行うように構成されていてもよい。
【0097】
また、上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、中央制御部10(制御部)の制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【0098】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0099】
(項目1)
注入された試料から試料ガスを生成する試料ガス生成部3と、
前記試料ガス生成部3において生成された前記試料ガスを導入するように接続され、導入された前記試料ガスの成分を分離する分離カラム6と、
前記試料ガスの成分の分析の際に前記試料ガス生成部3から前記分離カラム6へ前記試料ガスを搬送するキャリアガスを前記試料ガス生成部3に供給するガス供給源101と、
前記試料ガスの成分の分析の分析時間Tm、および、前記ガス供給源101から前記試料ガス生成部3に供給される前記キャリアガスの流量Afに基づいて、前記キャリアガスの分析時使用量Au1を取得する制御部10と、
前記制御部10において取得された前記分析時使用量Au1を表示する表示部12とを備える、ガスクロマトグラフ100(200)。
【0100】
(項目2)
前記制御部10は、ユーザにより設定された、前記分析時間Tmおよび前記キャリアガスの流量Afを含む分析条件に基づいて、前記分析時使用量Au1の推定値を取得し、取得された前記分析時使用量Au1の推定値を前記表示部12に表示する制御を行うように構成されている、項目1に記載のガスクロマトグラフ100(200)。
【0101】
(項目3)
前記制御部10は、前記ガス供給源101から前記試料ガス生成部を介して前記分離カラム6へ供給される前記キャリアガスの流量Af、および、前記ガス供給源101から前記試料ガス生成部を介して外部に排出される前記キャリアガスの排出量Af2(Af3、Sa)の各々を取得したことに基づいて、前記キャリアガスの流量Afを取得する制御を行うように構成されている、項目2に記載のガスクロマトグラフ100(200)。
【0102】
(項目4)
前記制御部10は、前記分析時間Tmに基づいて取得された、前記試料ガスの成分の分析を行わない待機状態の時間Tw、および、ユーザにより設定された、前記待機状態において前記ガス供給源101から前記試料ガス生成部3に供給される前記キャリアガスの流量Awを含む待機条件に基づいて、待機時使用量Au3の推定値を取得し、取得された前記待機時使用量Au3の推定値を前記表示部12に表示する制御を行うように構成されている、項目2に記載のガスクロマトグラフ100(200)。
【0103】
(項目5)
前記制御部10は、前記試料ガスの成分の分析を複数回順次行うバッチ分析の際に1分析毎の前記分析時使用量Au1の推定値と前記バッチ分析において行われる分析の回数とに基づいて、前記キャリアガスのバッチ分析時使用量Au2の推定値を取得し、取得した前記バッチ分析時使用量Au2の推定値を前記表示部12に表示する制御を行うように構成されている、項目2に記載のガスクロマトグラフ100(200)。
【0104】
(項目6)
前記制御部10は、1日における前記試料ガスの成分の分析の回数と前記分析時使用量Au1の推定値とに基づいて、1日分使用量Ae2の推定値を取得し、取得した前記1日分使用量Ae2の推定値を前記表示部12に表示する制御を行うように構成されている、項目2に記載のガスクロマトグラフ100(200)。
【0105】
(項目7)
前記制御部10は、前記1日分使用量Ae2の推定値および所定期間に基づいて、所定期間使用量Ae5(Ae6)の推定値を取得し、取得した前記所定期間使用量Ae5(Ae6)の推定値を前記表示部12に表示する制御を行うように構成されている、項目6に記載のガスクロマトグラフ100(200)。
【0106】
(項目8)
前記ガス供給源101は、前記キャリアガスが充填されたガスボンベ101を含み、
前記制御部10は、前記分析時使用量Au1の推定値および前記ガスボンベ101のボンベ容量Vgに基づいて、前記ガスボンベの残量Ae7の推定値を取得し、取得された前記ガスボンベの残量Ae7の推定値を前記表示部12に表示する制御を行うように構成されている、項目2に記載のガスクロマトグラフ100(200)。
【0107】
(項目9)
前記ガス供給源101は、前記キャリアガスが充填されたガスボンベ101を含み、
前記制御部10は、1日における前記試料ガスの成分の分析の回数と前記分析時使用量Au1の推定値とに基づいて、1日分使用量Ae2の推定値を取得するとともに、前記1日分使用量Ae2の推定値および前記ガスボンベのボンベ容量Vgに基づいて、前記ガスボンベが空になるまでの残り推定日数Ae4を取得し、取得した前記残り推定日数Ae4を前記表示部12に表示する制御を行うように構成されている、項目2に記載のガスクロマトグラフ100(200)。
【0108】
(項目10)
前記分離カラム6に流れる前記キャリアガスと同じガスを検出器ガスとして流しつつ、前記分離カラム6において分離された成分を検出する検出器208をさらに備え、
前記制御部10は、ユーザにより設定された、前記分析時間Tm、前記キャリアガスの流量Afの推定値、および、前記ガス供給源101から前記検出器208に供給される前記検出器ガスの流量Adの推定値に基づいて、前記分析時使用量Au1の推定値を取得し、前記分析時使用量Au1の推定値を前記表示部12に表示する制御を行うように構成されている、項目2に記載のガスクロマトグラフ200。
【0109】
(項目11)
試料ガス生成部3において試料から生成された試料ガスを分析する分析時間Tm、および、前記試料ガスを分離カラム6に搬送するキャリアガスをガス供給源101から前記試料ガス生成部3に供給する前記キャリアガスの流量Afに基づいて、前記キャリアガスの分析時使用量Au1を取得するステップS2と、
前記分析時使用量Au1を表示部12に表示するステップS3とを備える、キャリアガス使用量表示方法。
【符号の説明】
【0110】
3 試料ガス生成部
6 分離カラム
8、208 検出器
10 中央制御部(制御部)
12 表示部
100、200 ガスクロマトグラフ
101 ガスボンベ(ガス供給源)
Ad 検出器ガスの流量
Ae4 推定日数
Ae5 所定期間使用量
Ae7 ボンベ残量(ガスボンベの残量)
Af (分析時の)キャリアガスの流量
Af1 カラム流量(分析時に供給されるキャリアガスの流量)
Af2 パージ流量(分析時に排出されるキャリアガスの流量)
Af3 スプリット比(分析時に排出されるキャリアガスの流量)
Au1 分析時使用量
Au2 バッチ分析時使用量
Au3 待機時使用量
Aw (待機状態の)キャリアガスの流量
Aw1 カラム流量(待機状態の際に供給されるキャリアガスの流量)
Aw2 パージ流量(待機状態の際に供給されるキャリアガスの流量)
Aw3 スプリット比(待機状態の際に供給されるキャリアガスの流量)
Tm 分析時間
Tw 待機時間(待機状態の時間)
Vg ボンベ容量
図1
図2
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