(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047432
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】触覚生成装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240329BHJP
G06F 3/041 20060101ALN20240329BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/041 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153045
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】石井 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】福島 岳行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 由香里
(72)【発明者】
【氏名】岸本 純明
(72)【発明者】
【氏名】清水 寛之
(72)【発明者】
【氏名】濤川 雄一
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC17
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】異なる位置において異なる触覚を表現することが可能な触覚生成装置を提供すること。
【解決手段】触覚生成装置100は、第1部材10と、第1部材10に対向して設けられた第2部材20と、第1部材10と第2部材20との間で異なる位置に設けられ、電圧が印加されることで第1部材10と第2部材20とが対向する方向に各々振動する圧電振動子30aおよび圧電振動子30dと、圧電振動子30aおよび圧電振動子30dに電圧としてそれぞれ異なる波形の信号を供給する駆動装置40と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材に対向して設けられた第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間で異なる位置に設けられ、電圧が印加されることで前記第1部材と前記第2部材とが対向する方向に各々振動する第1圧電振動子および第2圧電振動子と、
前記第1圧電振動子および前記第2圧電振動子に前記電圧としてそれぞれ異なる波形の信号を供給する駆動装置と、を備える触覚生成装置。
【請求項2】
前記第1部材および前記第2部材の少なくとも一方は、前記第1圧電振動子と前記第2圧電振動子との間に溝部を有する、請求項1に記載の触覚生成装置。
【請求項3】
前記第1部材および前記第2部材の少なくとも一方は、前記第1圧電振動子および前記第2圧電振動子の少なくとも一方の周囲に、前記第1圧電振動子および前記第2圧電振動子の前記少なくとも一方を囲む溝部を有する、請求項1に記載の触覚生成装置。
【請求項4】
前記第2部材の前記第1部材とは反対側の面または前記第1部材と前記第2部材との間に設けられた表示装置を備え、
前記第1圧電振動子および前記第2圧電振動子は、前記表示装置より外側において前記第1部材と前記第2部材との間に設けられる、請求項1または2に記載の触覚生成装置。
【請求項5】
前記第2部材は表示ディスプレイであり、
前記第1圧電振動子と前記第2圧電振動子は、平面視において前記表示ディスプレイに重なる位置で前記第1部材と前記第2部材との間に設けられる、請求項1または2に記載の触覚生成装置。
【請求項6】
前記第1圧電振動子は、前記第1部材の対向する側面のうちの一方の側面の傍において前記第1部材と前記第2部材との間に設けられ、
前記第2圧電振動子は、前記対向する側面のうちの他方の側面の傍において前記第1部材と前記第2部材との間に設けられる、請求項1または2に記載の触覚生成装置。
【請求項7】
前記第1圧電振動子は、前記第1部材の平面視における角部近傍に位置して前記第1部材と前記第2部材との間に設けられ、
前記第2圧電振動子は、前記第1部材の平面視における他の角部近傍に位置して前記第1部材と前記第2部材との間に設けられる、請求項1または2に記載の触覚生成装置。
【請求項8】
前記第1圧電振動子および前記第2圧電振動子は、圧電体層と前記圧電体層を挟む第1電極および第2電極とを有し、前記第1電極と前記第2電極との間に前記電圧が印加されることで前記第1部材と前記第2部材とが対向する方向に伸縮する圧電素子を備える、請求項1または2に記載の触覚生成装置。
【請求項9】
前記圧電素子は、前記第1部材と前記第2部材とが対向する前記方向に押圧される、請求項8に記載の触覚生成装置。
【請求項10】
前記圧電素子は、ねじによって前記第1部材と前記第2部材とが対向する前記方向に押圧される、請求項9に記載の触覚生成装置。
【請求項11】
前記第1圧電振動子および前記第2圧電振動子の少なくとも一方は、前記第1部材と前記圧電素子との間に設けられ、前記第1部材のヤング率および前記圧電体層のヤング率より大きなヤング率を有する第3部材、および、前記第2部材と前記圧電素子との間に設けられ、前記第2部材のヤング率および前記圧電体層のヤング率より大きなヤング率を有する第4部材、の少なくとも一方を備える、請求項8に記載の触覚生成装置。
【請求項12】
前記圧電体層、前記第1電極、および前記第2電極は各々複数設けられ、前記複数の第1電極および前記複数の第2電極は前記方向において互い違いに設けられ、前記複数の圧電体層の1つは前記複数の第1電極の1つと前記複数の第2電極の1つに前記方向において挟まれる、請求項8に記載の触覚生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ランジュバン型振動子の振動により触覚を生成する触覚生成装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異なる位置において異なる触覚を表現することが可能な触覚生成装置が求められている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、異なる位置において異なる触覚を表現することが可能な触覚生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1部材と、前記第1部材に対向して設けられた第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間で異なる位置に設けられ、電圧が印加されることで前記第1部材と前記第2部材とが対向する方向に各々振動する第1圧電振動子および第2圧電振動子と、前記第1圧電振動子および前記第2圧電振動子に前記電圧としてそれぞれ異なる波形の信号を供給する駆動装置と、を備える触覚生成装置である。
【0007】
上記構成において、前記第1部材および前記第2部材の少なくとも一方は、前記第1圧電振動子と前記第2圧電振動子との間に溝部を有する構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記第1部材および前記第2部材の少なくとも一方は、前記第1圧電振動子および前記第2圧電振動子の少なくとも一方の周囲に、前記第1圧電振動子および前記第2圧電振動子の前記少なくとも一方を囲む溝部を有する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記第2部材の前記第1部材とは反対側の面または前記第1部材と前記第2部材との間に設けられた表示装置を備え、前記第1圧電振動子および前記第2圧電振動子は、前記表示装置より外側において前記第1部材と前記第2部材との間に設けられる構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記第2部材は表示ディスプレイであり、前記第1圧電振動子と前記第2圧電振動子は、平面視において前記表示ディスプレイに重なる位置で前記第1部材と前記第2部材との間に設けられる構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記第1圧電振動子は、前記第1部材の対向する側面のうちの一方の側面の傍において前記第1部材と前記第2部材との間に設けられ、前記第2圧電振動子は、前記対向する側面のうちの他方の側面の傍において前記第1部材と前記第2部材との間に設けられる構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記第1圧電振動子は、前記第1部材の平面視における角部近傍に位置して前記第1部材と前記第2部材との間に設けられ、前記第2圧電振動子は、前記第1部材の平面視における他の角部近傍に位置して前記第1部材と前記第2部材との間に設けられる構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記第1圧電振動子および前記第2圧電振動子は、圧電体層と前記圧電体層を挟む第1電極および第2電極とを有し、前記第1電極と前記第2電極との間に前記電圧が印加されることで前記第1部材と前記第2部材とが対向する方向に伸縮する圧電素子を備える構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記圧電素子は、前記第1部材と前記第2部材とが対向する前記方向に押圧される構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記圧電素子は、ねじによって前記第1部材と前記第2部材とが対向する前記方向に押圧される構成とすることができる。
【0016】
上記構成において、前記第1圧電振動子および前記第2圧電振動子の少なくとも一方は、前記第1部材と前記圧電素子との間に設けられ、前記第1部材のヤング率および前記圧電体層のヤング率より大きなヤング率を有する第3部材、および、前記第2部材と前記圧電素子との間に設けられ、前記第2部材のヤング率および前記圧電体層のヤング率より大きなヤング率を有する第4部材、の少なくとも一方を備える構成とすることができる。
【0017】
上記構成において、前記圧電体層、前記第1電極、および前記第2電極は各々複数設けられ、前記複数の第1電極および前記複数の第2電極は前記方向において互い違いに設けられ、前記複数の圧電体層の1つは前記複数の第1電極の1つと前記複数の第2電極の1つに前記方向において挟まれる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、異なる位置において異なる触覚を表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1(a)は、実施例1に係る触覚生成装置の平面図、
図1(b)は、
図1(a)のA-A断面図、
図1(c)は、
図1(a)のB-B断面図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1(a)における圧電振動子近傍を拡大した平面図、
図2(b)は、
図1(b)における圧電振動子近傍を拡大した断面図である。
【
図3】
図3は、実施例1における圧電素子の断面図である。
【
図4】
図4(a)および
図4(b)は、実施例1において駆動装置が圧電振動子に供給する変調波の第1の例を示す図である。
【
図5】
図5(a)および
図5(b)は、実施例1において駆動装置が圧電振動子に供給する変調波の第2の例を示す図である。
【
図6】
図6(a)は、実施例2に係る触覚生成装置の平面図、
図6(b)は、実施例2における第1部材の平面図、
図6(c)は、
図6(a)のA-A断面図である。
【
図7】
図7は、実施例2の変形例における圧電振動子近傍の断面図である。
【
図8】
図8(a)は、実施例3に係る触覚生成装置の平面図、
図8(b)は、
図8(a)のA-A断面図である。
【
図9】
図9(a)は、
図8(b)における圧電振動子近傍の断面図、
図9(b)は、
図9(a)における第2部材およびねじの断面図である。
【
図10】
図10は、実施例3の変形例に係る触覚生成装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例0021】
図1(a)は、実施例1に係る触覚生成装置100の平面図、
図1(b)は、
図1(a)のA-A断面図、
図1(c)は、
図1(a)のB-B断面図である。
図1(a)では、第2部材20を透視して複数の圧電振動子30a~30dを図示している。第1部材10の上面の法線方向をZ方向、Z方向に直交する方向をX方向およびY方向とする。
図1(a)から
図1(c)に示すように、触覚生成装置100は、第1部材10上に第1部材10に対向して第2部材20が設けられ、第1部材10と第2部材20との間に複数の圧電振動子30a~30dが設けられている。第1部材10および第2部材20は例えば板状部材である。圧電振動子30aは、第1部材10を平面視したときの角部14近傍において第1部材10と第2部材20との間に設けられ、圧電振動子30bは、角部15近傍において第1部材10と第2部材20との間に設けられている。圧電振動子30cは、角部16近傍において第1部材10と第2部材20との間に設けられ、圧電振動子30dは、角部17近傍において第1部材10と第2部材20との間に設けられている。言い換えると、圧電振動子30a、30bは第1部材10の対向する一対の側面のうちの一方の側面11の傍において第1部材10と第2部材20との間に設けられ、圧電振動子30c、30dは他方の側面12の傍において第1部材10と第2部材20との間に設けられている。第1部材10と第2部材20とは、空隙18を挟んでZ方向において対向している。
【0022】
第2部材20は、固定部材によって第1部材10に固定されている。例えば、第2部材20は、固定部材80と固定部材83により第1部材10に固定されている。固定部材80は、例えばボルト等のねじである。軸部81と傘部82とが一体構成されている。軸部81は、第1部材10を貫通する貫通孔84および第2部材20を貫通する貫通孔85を貫き、第1部材10の-Z方向に抜けていて、ここでナット等の固定部材83が締め付け固定されている。傘部82は、第2部材20より+Z方向側に配置されている。これにより、第2部材20は、固定部材80、83により第1部材10に固定されている。なお、他の固定方法としては、軸部81に設けられた雄ねじとなるねじ山が、第1部材10の貫通孔84の内面に設けられた雌ねじとなるねじ山に嵌め合わされることにより固定されてもよいし、第2部材20が第1部材10に嵌合することで固定されてもよい。圧電振動子30a~30dは、主にZ方向に振動する。駆動装置40は、圧電振動子30a~30dに電圧を印加することにより圧電振動子30a~30dを振動させる。
【0023】
図2(a)は、
図1(a)における圧電振動子30a近傍を拡大した平面図、
図2(b)は、
図1(b)における圧電振動子30a近傍を拡大した断面図である。
図2(a)では、第2部材20を透視して支持部材34a、34bおよび圧電素子32を図示している。なお、圧電振動子30b~30dは圧電振動子30aと同じ構造および同じように第1部材10と第2部材20との間に設けられているため、
図2(a)および
図2(b)では圧電振動子30aを例に説明し、圧電振動子30b~30dの説明は省略する。
【0024】
図2(a)および
図2(b)に示すように、第1部材10に凹部13が形成されている。圧電振動子30aは、凹部13に挿入されて、第1部材10と第2部材20との間に設けられている。圧電振動子30aは、-Z側から順に設けられた支持部材34a、圧電素子32、および支持部材34bを有する。支持部材34a、圧電素子32、および支持部材34bは、第2部材20が第1部材10に固定されることで、第1部材10と第2部材20との間にこの順で固定されている。支持部材34aは、第1部材10に接触しているが接合されてはいない。支持部材34bは、第2部材20に接触しているが接合されてはいない。
【0025】
第1部材10および第2部材20の材料は、例えば金属または樹脂である。支持部材34a、34bの材料は、第1部材10、第2部材20、および圧電素子32よりヤング率の大きい材料であり、例えばステンレスである。支持部材34a、34bの形状は直方体であり、圧電素子32の形状は支持部材34a、34bより平面視において小さな直方体である。支持部材34a、34bのX方向およびY方向の幅は一例として4.5mmである。支持部材34a、34bのZ方向の高さは一例として1.0mmである。圧電素子32のX方向およびY方向の幅は一例として3.5mmである。圧電素子32のZ方向の高さは一例として3.0mmである。なお、第1部材10、第2部材20、および支持部材34a、34bの材料、形状、および寸法は適宜設計できる。
【0026】
図3は、実施例1における圧電素子32の断面図である。
図3に示すように、圧電素子32は、複数の圧電体層51からなる圧電体50、複数の第1電極52、および複数の第2電極54を備える。複数の圧電体層51は、Z方向に積層されている。圧電体層51、第1電極52、および第2電極54は、XY平面に広がる平板状である。複数の第1電極52と複数の第2電極54は、Z方向において互い違いに設けられている。1つの圧電体層51は、Z方向において1つの第1電極52と1つの第2電極54とに挟まれている。
【0027】
圧電体50の-X側の側面に第1外部電極53が設けられ、圧電体50の+X側の側面に第2外部電極55が設けられている。複数の第1電極52は、第1外部電極53に電気的に接続する。複数の第2電極54は、第2外部電極55に電気的に接続する。第1外部電極53と第2外部電極55との間に電圧を印加することで、逆電圧効果により、圧電体50は矢印59のようにZ方向に伸縮する。このように、第1電極52と第2電極54に電圧を印加することで、第1電極52と第2電極54が圧電体層51を挟む方向であるZ方向に伸縮する振動モードを縦変位型モードまたはd33モードという。
【0028】
圧電体50は、第1領域56、第2領域57、および第3領域58を備えている。第1領域56と第2領域57は、Z方向において交互に設けられている。第3領域58は、Z方向において最も外側の第1領域56の外に設けられている。第1領域56は、Z方向において第1電極52と第2電極54とが一定間隔で交互に設けられた領域である。第2領域57および第3領域58は、第1電極52および第2電極54が設けられていない領域である。なお、第2領域57は設けられていない場合でもよい。第2領域57を設けることで信頼性が向上する効果が期待できる。
【0029】
圧電体層51の材料としては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr、Ti)O3)、チタン酸バリウム系材料(BaTiO3、BaはCaでもよく、TiはZrでもよい)、チタン酸ビスマス系材料(BiTiO3、Biの一部がNaでもよい)、およびニオブ酸アルカリ系材料(NaNbO3、NaはLiまたはKでもよい)を用いることができる。第1電極52、第2電極54、第1外部電極53、および第2外部電極55の材料としては、例えば銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、および金(Au)等の金属を用いることができる。圧電素子32は、表面に第1電極52および第2電極54が形成された圧電体シートを積層し、焼結することにより形成される焼結体からなるチップである。
【0030】
圧電素子32の±Z側の表面におけるZ方向の変位量をΔZ、圧電体層51の積層数をN、第1電極52と第2電極54との間に印加される電圧をV、逆圧電定数に関連した定数をd33とすると、ΔZ=d33×V×Nと表される。
【0031】
第1部材10と第2部材20との間に設けられた圧電振動子30a~30dは、駆動装置40から電圧が印加されることでZ方向に振動する。駆動装置40は、複数の圧電振動子30a~30dに電圧として信号を供給する。ここでは、駆動装置40は、圧電振動子30a、30bに同じ波形の信号を供給し、圧電振動子30c、30dに同じ波形で且つ圧電振動子30a、30bとは異なる波形の信号を供給する場合を例に説明する。駆動装置40は、信号として例えば異なる波形の変調波を圧電振動子30a~30dに供給する。なお、駆動装置40は、圧電振動子30a~30dそれぞれに異なる波形の信号を供給する場合でもよい。
【0032】
図4(a)および
図4(b)は、実施例1において駆動装置40が圧電振動子30a~30dに供給する変調波の第1の例を示す図である。
図4(a)は、圧電振動子30a、30bに供給される変調波60aを示し、
図4(b)は、圧電振動子30c、30dに供給される変調波60bを示している。
図4(a)および
図4(b)における横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。
【0033】
図4(a)に示すように、圧電振動子30a、30bに供給される変調波60aでは、周期T1(周波数f1)の搬送波62aが用いられる。変調波60aの包絡線64aは信号波に対応する。信号波は周期T2(周波数f2)である。搬送波62aは正弦波であるが、図では簡略化のために三角波で図示している。信号波は正弦波である。変調波60aは、搬送波62aが信号波により振幅変調されている。
【0034】
図4(b)に示すように、圧電振動子30c、30dに供給される変調波60bでは、
図4(a)と同様に、周期T1(周波数f1)の搬送波62aが用いられる。変調波60bの包絡線64bは信号波に対応する。信号波は周期T2(周波数f2)とは異なる周期T3(周波数f3)である。信号波は、
図4(a)と同様に正弦波である。変調波60bは、搬送波62aが信号波により振幅変調されている。
【0035】
図4(a)および
図4(b)の例では、搬送波62aは正弦波である。搬送波62aの周波数f1は、人体の皮膚の受容器であるパチニ小体が敏感に感じる周波数としてもよい。このような周波数は例えば100Hz以上かつ500Hz以下であり、例えば150Hzから250Hzである。
図4(a)および
図4(b)の例では、信号波は正弦波である。信号波の周波数f2、f3は、人体の皮膚の受容器であるマイスナー小体が敏感に感じる周波数としてもよい。このような周波数は例えば1Hz以上かつ60Hz以下であり、例えば3Hz以上かつ40Hz以下である。例えば、
図4(a)において、搬送波62aの周波数f1を250Hzとし、信号波の周波数f2を30Hzとした場合、圧電振動子30a、30bの振動による触覚は跳ね上がるシャワー感となる。
図4(b)において、搬送波62aの周波数f1を250Hzとし、信号波の周波数f3を3Hzとした場合、圧電振動子30c、30dの振動により触覚はジュワー感となる。このように、圧電振動子30a~30dに供給される信号は、搬送波の波形および周波数が同じで、かつ、信号波の波形は例えば正弦波と同じだが周波数が異なる場合でもよい。すなわち、変調波の包絡線64a、64bの形状が異なる場合でもよい。
【0036】
図5(a)および
図5(b)は、実施例1において駆動装置40が圧電振動子30a~30dに供給する変調波の第2の例を示す図である。
図5(a)は、圧電振動子30a、30bに供給される変調波60aを示し、
図5(b)は、圧電振動子30c、30dに供給される変調波60cを示している。
図5(a)および
図5(b)における横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。
【0037】
図5(a)に示すように、圧電振動子30a、30bに供給される変調波60aでは、
図4(a)で説明したように、周期T1(周波数f1)の搬送波62aが用いられる。変調波60aの包絡線64aは信号波に対応する。信号波は周期T2(周波数f2)である。搬送波62aは正弦波であるが、図では簡略化のために三角波で図示している。信号波は正弦波である。変調波60aは、搬送波62aが信号波により振幅変調されている。
【0038】
図5(b)に示すように、圧電振動子30c、30dに供給される変調波60cでは、周期T1(周波数f1)と異なる周期T4(周波数f4)の搬送波62cが用いられる。変調波60cの包絡線64cは信号波に対応する。信号波は周期T2(周波数f2)とは異なる周期T5(周波数f5)である。搬送波62cは正弦波であるが、図では簡略化のために三角波で図示している。信号波は矩形波である。変調波60cは、搬送波62cが信号波により振幅変調されている。
【0039】
図5(a)および
図5(b)の例では、搬送波62a、62cは正弦波である。搬送波62a、62cの周波数f1、f4は、人体の皮膚の受容器であるパチニ小体が敏感に感じる周波数としてもよい。
図5(a)の例では信号波が正弦波であり、
図5(b)の例では信号波が矩形波であるが、信号波は三角波またはのこぎり波等のその他の場合でもよい。信号波の周波数f2、f5は、人体の皮膚の受容器であるマイスナー小体が敏感に感じる周波数としてもよい。このように、圧電振動子30a~30dに供給される信号は、搬送波の波形は例えば正弦波と同じだが周波数が異なり、かつ、信号波の波形および周波数が異なる場合でもよい。
【0040】
図4(a)および
図4(b)、並びに、
図5(a)および
図5(b)の例では、圧電振動子30a~30dに供給される信号が変調波である場合を例に示したが、その他の信号が供給される場合でもよい。また、これらの例では、圧電振動子30a、30bに同じ波形の信号が供給され、圧電振動子30c、30dに同じ波形の信号が供給されているが、圧電振動子30a~30dそれぞれに異なる波形の信号が供給される場合でもよい。圧電振動子30a~30dに供給される信号は、搬送波および信号波の少なくとも一方の波形および/または周波数が異なっていればよい。
【0041】
以上のように、実施例1によれば、
図1(a)および
図1(b)のように、第1部材10と第2部材20との間の異なる位置に、それぞれ電圧が印加されることで第1部材10と第2部材20とが対向するZ方向に振動する圧電振動子30a(第1圧電振動子)と圧電振動子30d(第2圧電振動子)が設けられている。
図4(a)および
図4(b)、並びに、
図5(a)および
図5(b)のように、圧電振動子30aと圧電振動子30dには駆動装置40から異なる波形の信号が供給される。圧電振動子30a、30dはともにZ方向に振動することから、圧電振動子30a、30dの振動はXY平面方向には伝わり難い。このため、圧電振動子30a、30dに異なる波形の信号を供給することで、圧電振動子30aが設けられた箇所と圧電振動子30dが設けられた箇所とで触覚を異ならせることができる。
【0042】
また、実施例1では、
図1(b)のように、圧電振動子30aは第1部材10の対向する1対の側面のうち一方の側面11の傍において第1部材10と第2部材20との間に設けられ、圧電振動子30dは第1部材10の他方の側面12の傍において第1部材10と第2部材20との間に設けられている。これにより、圧電振動子30aが設けられた箇所に圧電振動子30dの振動が伝わることが抑制され、圧電振動子30dが設けられた箇所に圧電振動子30aの振動が伝わることが抑制される。よって、圧電振動子30aが設けられた箇所と圧電振動子30dが設けられた箇所とで異なる触覚が得られやすくなる。互いの振動が伝わり難くなる点から、圧電振動子30aは、平面視において側面11と側面12との間をX方向において4分割した領域のうち最も側面11側に位置する領域内に設けられる場合が好ましく、8分割した領域のうち最も側面11側に位置する領域内に設けられる場合がより好ましく、12分割した領域のうち最も側面11側に位置する領域内に設けられる場合が更に好ましい。同様に、圧電振動子30dは、平面視において側面11と側面12との間をX方向において4分割した領域のうち最も側面12側に位置する領域内に設けられる場合が好ましく、6分割した領域のうち最も側面12側に位置する領域内に設けられる場合がより好ましく、8分割した領域のうち最も側面12側に位置する領域内に設けられる場合が更に好ましい。
【0043】
また、実施例1では、
図1(a)のように、圧電振動子30aは、第1部材10の平面視における角部14近傍に位置して第1部材10と第2部材20との間に設けられ、圧電振動子30dは、第1部材10の平面視における角部17近傍に位置して第1部材10と第2部材20との間に設けられている。これにより、圧電振動子30aが設けられた箇所に圧電振動子30dの振動が伝わることが抑制され、圧電振動子30dが設けられた箇所に圧電振動子30aの振動が伝わることが抑制される。よって、圧電振動子30aが設けられた箇所と圧電振動子30dが設けられた箇所とで異なる触覚が得られやすくなる。互いの振動が伝わり難くなる点から、圧電振動子30aは、角部14の頂点から角部14で交わる2つの辺それぞれにおいて長さの1/4の範囲内の領域に設けられる場合が好ましく、1/6の範囲内の領域に設けられる場合がより好ましく、1/8の範囲内の領域に設けられる場合が更に好ましい。同様に、圧電振動子30dは、角部17の頂点から角部17で交わる2つの辺それぞれにおいて長さの1/4の範囲内の領域に設けられる場合が好ましく、1/6の範囲内の領域に設けられる場合がより好ましく、1/8の範囲内の領域に設けられる場合が更に好ましい。
【0044】
また、実施例1では、
図3のように、圧電振動子30a~30dは、圧電体層51と圧電体層51を挟む第1電極52および第2電極54とを有し、第1電極52と第2電極54との間に電圧が印加されることで第1部材10と第2部材20とが対向するZ方向に伸縮する圧電素子32を備える。これにより、圧電振動子30a~30dがZ方向に振動する構成を容易に実現できる。
【0045】
また、実施例1では、
図2(b)のように、圧電振動子30aは、第1部材10と圧電素子32との間に支持部材34a(第3部材)を備え、第2部材20と圧電素子32との間に支持部材34b(第4部材)を備える。圧電振動子30b~30dも同じである。圧電体層51にPZTを用いた場合、PZTのヤング率は約60GPaである。第1部材10および第2部材20に樹脂を用いた場合、樹脂のヤング率は10GPa以下である。これに対し、支持部材34a、34bにステンレスを用いた場合、ステンレスのヤング率は約120GPaである。また、アルミニウムのヤング率は約70GPaである。このように、支持部材34aのヤング率は、第1部材10のヤング率および圧電体層51のヤング率より大きい。支持部材34bのヤング率は、第2部材20のヤング率および圧電体層51のヤング率より大きい。ヤング率の大きい支持部材34a、34bを設けることで、圧電素子32に荷重が加わりやすくなり、振動の伝達を強化することができる。支持部材34a、34bのヤング率は、圧電体層51のヤング率並びに第1部材10および第2部材20それぞれのヤング率の1.2倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましい。なお、圧電振動子30a~30dのうちの少なくとも1つが、第1部材10と圧電素子32との間に支持部材34aが設けられて、第2部材20と圧電素子32との間に支持部材34bが設けられている場合でもよい。また、支持部材34a、34bの両方が設けられる場合に限られず、支持部材34aと支持部材34bの少なくとも一方が設けられている場合でもよい。
【0046】
また、実施例1では、
図3のように、圧電素子32は、複数の第1電極52および複数の第2電極54がZ方向において互い違いに設けられ、複数の圧電体層51の1つは、複数の第1電極52のうち1つと複数の第2電極54のうち1つにZ方向において挟まれている。このような構造により、Z方向の変位量を大きくできる。
圧電振動子30a~30fの振動の伝わりを抑制する点から、溝部19、28のZ方向の深さDは、圧電素子32のZ方向の高さの0.5倍以上が好ましく、0.8倍以上がより好ましく、1.0倍以上が更に好ましく、例えば1.5mm以上が好ましく、2.5mm以上がより好ましく、3.0mm以上が更に好ましい。また、溝部19、28のX方向およびY方向の幅Wは、圧電素子32のX方向およびY方向の幅の0.5倍以上が好ましく、0.8倍以上がより好ましく、1.0倍以上が更に好ましく、例えば1.5mm以上が好ましく、3.0mm以上がより好ましく、3.5mm以上が更に好ましい。
実施例2の変形例のように、溝部19、28に振動の伝達を抑制する伝達抑制部材42が設けられていてもよい。伝達抑制部材42としては、例えば振動緩和ジェルまたはゴム等の振動を減衰させることが可能な材料を用いることができる。
なお、実施例2およびその変形例では、第1部材10に溝部19が設けられかつ第2部材20に溝部28が設けられている場合を例に示したが、いずれか一方のみ設けられている場合でもよい。また、圧電振動子30a~30fの全ての周囲に溝部19、28が設けられている場合を例に示したが、圧電振動子30a~30fの少なくとも1つの周囲に溝部19、28が設けられている場合でもよい。