(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004744
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20240110BHJP
B62M 6/55 20100101ALI20240110BHJP
B62M 9/123 20100101ALI20240110BHJP
【FI】
B62M6/45
B62M6/55
B62M9/123
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104539
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(57)【要約】
【課題】モータを好適に制御できる人力駆動車用の制御装置を提供する。
【解決手段】人力駆動車用の制御装置は、制御部を備え、前記人力駆動車は、人力駆動力が入力されるように構成されるクランク軸と、前記クランク軸に接続される第1回転体と、車輪と、前記車輪に接続される第2回転体と、前記第1回転体および前記第2回転体に係合して、前記第1回転体と前記第2回転体との間において駆動力を伝達するように構成される伝達体と、前記伝達体を駆動するように構成されるモータと、を含み、前記制御部は、前記モータを制御するように構成され、予め定める条件が満たされる場合、前記モータによる前記第1回転体の回転トルクが予め定めるトルク以下に維持されるように前記モータを駆動するように構成され、前記予め定める条件は、前記クランク軸の回転が停止している第1条件を含み、前記予め定めるトルクは、1Nm以上かつ10Nm以下である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
制御部を備え、
前記人力駆動車は、人力駆動力が入力されるように構成されるクランク軸と、前記クランク軸に接続される第1回転体と、車輪と、前記車輪に接続される第2回転体と、前記第1回転体および前記第2回転体に係合して、前記第1回転体と前記第2回転体との間において駆動力を伝達するように構成される伝達体と、前記伝達体を駆動するように構成されるモータと、を含み、
前記制御部は、
前記モータを制御するように構成され、
予め定める条件が満たされる場合、前記モータによる前記第1回転体の回転トルクが予め定めるトルク以下に維持されるように前記モータを駆動するように構成され、
前記予め定める条件は、前記クランク軸の回転が停止している第1条件を含み、
前記予め定めるトルクは、1Nm以上かつ10Nm以下である、制御装置。
【請求項2】
前記予め定めるトルクは、2Nm以上かつ10Nm以下である、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記予め定めるトルクは、前記人力駆動車の変速比率に応じて設定される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
人力駆動車用の制御装置であって、
制御部を備え、
前記人力駆動車は、人力駆動力が入力されるように構成されるクランク軸と、前記クランク軸に接続される第1回転体と、車輪と、前記車輪に接続される第2回転体と、前記第1回転体および前記第2回転体に係合して、前記第1回転体と前記第2回転体との間において駆動力を伝達するように構成される伝達体と、前記伝達体を駆動するように構成されるモータと、を含み、
前記制御部は、
前記モータを制御するように構成され、
予め定める条件が満たされる場合、前記モータを予め定める電流値以下において駆動することによって前記伝達体を駆動するように構成され、
前記予め定める条件は、前記クランク軸の回転が停止している第1条件を含み、
前記予め定める電流値は、前記モータの待機電流値よりも大きく、かつ、5A以下である、制御装置。
【請求項5】
前記予め定める電流値は、2A以下である、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記人力駆動車は、前記クランク軸の回転速度に対する前記車輪の回転速度の変速比率を変更するために前記伝達体を操作するように構成されるディレーラをさらに含み、
前記予め定める条件は、前記ディレーラが前記伝達体を操作することによって前記変速比率を変更する第2条件をさらに含む、請求項1または4に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記人力駆動車の車速が予め定める第1車速以下の場合、前記人力駆動力または前記クランク軸の回転速度の少なくとも1つに応じて、前記人力駆動車に推進力を付与するように前記モータを駆動するように構成され、
前記ディレーラを制御するように構成され、
前記人力駆動車の車速が、前記予め定める第1車速を含む予め定める車速範囲において、前記予め定める条件が満たされる場合、前記ディレーラを動作させないように構成される、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記予め定める条件は、前記車輪が回転している第3条件をさらに含む、請求項1または4に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記クランク軸の回転速度が予め定める回転速度以下の場合に、前記クランク軸の回転が停止していると判定するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1回転体の回転速度が、推定回転速度以下になるように、前記モータを駆動するように構成され、
前記推定回転速度は、前記人力駆動車の変速比率および前記人力駆動車の車速によって算出される、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記予め定める条件が満たされる場合、前記モータの負荷に応じて、前記モータの駆動を停止するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記予め定める条件が満たされることに基づいて前記モータの駆動を開始した後、前記モータの負荷が予め定める負荷以上の場合、前記モータの駆動を停止するように構成される、請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記予め定める条件は、前記クランク軸に入力される前記人力駆動力が予め定める駆動力以上である条件が満たされた後に、前記第1条件が満たされる第4条件を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されている人力駆動車は、車両に駆動力を伝達できるモータを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0052594号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の1つは、モータを好適に制御できる人力駆動車用の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、制御部を備え、前記人力駆動車は、人力駆動力が入力されるように構成されるクランク軸と、前記クランク軸に接続される第1回転体と、車輪と、前記車輪に接続される第2回転体と、前記第1回転体および前記第2回転体に係合して、前記第1回転体と前記第2回転体との間において駆動力を伝達するように構成される伝達体と、前記伝達体を駆動するように構成されるモータと、を含み、前記制御部は、前記モータを制御するように構成され、予め定める条件が満たされる場合、前記モータによる前記第1回転体の回転トルクが予め定めるトルク以下に維持されるように前記モータを駆動するように構成され、前記予め定める条件は、前記クランク軸の回転が停止している第1条件を含み、前記予め定めるトルクは、1Nm以上かつ10Nm以下である。
第1側面の制御装置によれば、クランク軸の回転が停止している場合、モータによる第1回転体の回転トルクが予め定めるトルク以下に維持されるようにモータを駆動するため、モータによって伝達体に駆動力を伝達させつつ、モータによる人力駆動車への推進力の付与が抑制される状態になるように、モータを好適に制御できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記予め定めるトルクは、2Nm以上かつ10Nm以下である。
第2側面の制御装置によれば、クランク軸の回転が停止している場合、モータによって伝達体に駆動力を伝達させつつ、モータによる人力駆動車への推進力の付与をより好適に抑制できる。
【0007】
本開示の第1または第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記予め定めるトルクは、前記人力駆動車の変速比率に応じて設定される。
第3側面の制御装置によれば、予め定める条件が満たされる場合、変速比率に応じてモータを好適に制御できる。
【0008】
本開示の第4側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、制御部を備え、前記人力駆動車は、人力駆動力が入力されるように構成されるクランク軸と、前記クランク軸に接続される第1回転体と、車輪と、前記車輪に接続される第2回転体と、前記第1回転体および前記第2回転体に係合して、前記第1回転体と前記第2回転体との間において駆動力を伝達するように構成される伝達体と、前記伝達体を駆動するように構成されるモータと、を含み、前記制御部は、前記モータを制御するように構成され、予め定める条件が満たされる場合、前記モータを予め定める電流値以下において駆動することによって前記伝達体を駆動するように構成され、前記予め定める条件は、前記クランク軸の回転が停止している第1条件を含み、前記予め定める電流値は、前記モータの待機電流値よりも大きく、かつ、5A以下である。
第4側面の制御装置によれば、クランク軸の回転が停止している場合、モータを予め定める電流値以下において駆動するため、モータによって伝達体に駆動力を伝達させつつ、モータによる人力駆動車への推進力の付与が抑制される状態になるように、モータを好適に制御できる。
【0009】
本開示の第4側面に従う第5側面の制御装置において、前記予め定める電流値は、2A以下である。
第5側面の制御装置によれば、クランク軸の回転が停止している場合、モータによって伝達体に駆動力を伝達させつつ、モータによる人力駆動車への推進力の付与をより好適に抑制できる。
【0010】
本開示の第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の制御装置において、前記人力駆動車は、前記クランク軸の回転速度に対する前記車輪の回転速度の変速比率を変更するために前記伝達体を操作するように構成されるディレーラをさらに含み、前記予め定める条件は、前記ディレーラが前記伝達体を操作することによって前記変速比率を変更する第2条件をさらに含む。
第6側面の制御装置によれば、クランク軸の回転が停止している場合、かつ、変速比率を変更する場合、モータによる人力駆動車への推進力の付与が抑制される状態になるように、モータを好適に制御できる。第6側面の制御装置によれば、変速比率を変更しない場合、制御部は、モータを駆動させないため、消費費力を低減できる。
【0011】
本開示の第6側面に従う第7側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の車速が予め定める第1車速以下の場合、前記人力駆動力または前記クランク軸の回転速度の少なくとも1つに応じて、前記人力駆動車に推進力を付与するように前記モータを駆動するように構成され、前記ディレーラを制御するように構成され、前記人力駆動車の車速が、前記予め定める第1車速を含む予め定める車速範囲において、前記予め定める条件が満たされる場合、前記ディレーラを動作させないように構成される。
第7側面の制御装置によれば、人力駆動車の車速が、予め定める第1車速を含む予め定める車速範囲において、予め定める条件が満たされる場合、ディレーラを動作させないため、ディレーラの動作の頻度を少なくできる。したがって、制御部は、消費電力を低減できる。
【0012】
本開示の第1から第7側面のいずれか1つに従う第8側面の制御装置において、前記予め定める条件は、前記車輪が回転している第3条件をさらに含む。
第8側面の制御装置によれば、クランク軸の回転が停止している場合、かつ、車輪が回転している場合、モータによる人力駆動車への推進力の付与が抑制される状態になるように、モータを好適に制御できる。第8側面の制御装置によれば、車輪が回転していない場合、制御部は、モータを駆動させないため、消費電力を低減できる。
【0013】
本開示の第1から第8側面のいずれか1つに従う第9側面の制御装置において、前記制御部は、前記クランク軸の回転速度が予め定める回転速度以下の場合に、前記クランク軸の回転が停止していると判定するように構成される。
第9側面の制御装置によれば、クランク軸が完全に停止していなくても、モータによって伝達体に駆動力を伝達させつつ、モータによる人力駆動車への推進力の付与が抑制される状態になるように、モータを好適に制御できる。
【0014】
本開示の第1から第9側面のいずれか1つに従う第10側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1回転体の回転速度が、推定回転速度以下になるように、前記モータを駆動するように構成され、前記推定回転速度は、前記人力駆動車の変速比率および前記人力駆動車の車速によって算出される。
第10側面の制御装置によれば、第1回転体の回転速度が、推定回転速度以下になるように、モータを駆動するように構成されるため、モータによって伝達体に駆動力を伝達させつつ、モータによる人力駆動車への推進力の付与が抑制される状態になるように、モータを好適に制御できる。
【0015】
本開示の第1から第10側面のいずれか1つに従う第11側面の制御装置において、前記制御部は、前記予め定める条件が満たされる場合、前記モータの負荷に応じて、前記モータの駆動を停止するように構成される。
第11側面の制御装置によれば、予め定める条件が満たされる場合、モータの負荷が高い状態においてモータを駆動することが抑制される。
【0016】
本開示の第11側面に従う第12側面の制御装置において、前記制御部は、前記予め定める条件が満たされることに基づいて前記モータの駆動を開始した後、前記モータの負荷が予め定める負荷以上の場合、前記モータの駆動を停止するように構成される。
第12側面の制御装置によれば、予め定める条件が満たされる場合、モータの負荷が予め定める負荷以上の状態においてモータを駆動することが抑制される。
【0017】
本開示の第1から第12側面のいずれか1つに従う第13側面の制御装置において、前記予め定める条件は、前記クランク軸に入力される前記人力駆動力が予め定める駆動力以上である条件が満たされた後に、前記第1条件が満たされる第4条件を含む。
第13側面の制御装置によれば、クランク軸に入力される人力駆動力が予め定める駆動力以上である条件が満たされた後に、クランク軸の回転が停止している場合、モータによる人力駆動車への推進力の付与が抑制される状態になるように、モータを好適に制御できる。
【発明の効果】
【0018】
本開示の人力駆動車用の制御装置は、モータを好適に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態の人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の側面図である。
【
図2】
図1の人力駆動車の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1の人力駆動車用のドライブユニットの断面図である。
【
図4】
図2の制御部によって実行され、モータおよびディレーラを制御する処理のフローチャートである。
【
図5】変更例の制御部によって実行され、モータを制御する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態>
図1から
図4を参照して、人力駆動車用の制御装置70が説明される。人力駆動車は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。例えば、人力駆動車は、マウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車が有する車輪の数は限定されない。例えば、人力駆動車は、1輪車および2輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するE-bikeを含む。E-bikeは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、それぞれの実施形態において、人力駆動車は、自転車として説明される。
【0021】
人力駆動車10は、クランク軸12と、第1回転体14と、車輪16と、第2回転体18と、伝達体20と、モータ22と、を含む。クランク軸12は、人力駆動力が入力されるように構成される。第1回転体14は、クランク軸12に接続される。第2回転体18は、車輪16に接続される。伝達体20は、第1回転体14および第2回転体18に係合して、第1回転体14と第2回転体18との間において駆動力を伝達するように構成される。
【0022】
例えば、人力駆動車10は、車体24をさらに含む。例えば、車体24は、フレーム26を含む。例えば、車輪16は、前輪16Fと、後輪16Rと、を含む。例えば、クランク軸12は、フレーム26に対して回転可能である。例えば、人力駆動車10は、クランク28を含む。クランク28は、クランク軸12および2つのクランクアーム28A,28Bを含む。例えば、クランクアーム28Aは、クランク軸12の軸方向の第1端部に設けられ、クランクアーム28Bは、クランク軸12の軸方向の第2端部に設けられる。例えば、人力駆動車10は、2つのペダル30を含む。例えば、クランクアーム28Aには、2つのペダル30のうちの1つが連結される。クランクアーム28Bには、2つのペダル30のうちの他の1つが連結される。例えば、後輪16Rは、クランク軸12が回転することによって駆動される。例えば、後輪16Rは、フレーム26に支持される。
【0023】
フレーム26には、フロントフォーク32を介して前輪16Fが取り付けられる。フロントフォーク32には、ステム34を介してハンドルバー36が連結される。
【0024】
例えば、人力駆動車10は、駆動機構38をさらに含む。例えば、前輪16Fおよび後輪16Rの少なくとも1つと、クランク28とは、駆動機構38によって連結される。本実施形態では、後輪16Rとクランク28とが、駆動機構38によって連結される。
【0025】
例えば、駆動機構38は、少なくとも1つの第1回転体14、少なくとも1つの第2回転体18、および、伝達体20を含む。少なくとも1つの第1回転体14は、クランク軸12に接続される。少なくとも1つの第2回転体18は、車輪16に接続される。伝達体20は、少なくとも1つの第1回転体14および少なくとも1つの第2回転体18に係合して、少なくとも1つの第1回転体14と少なくとも1つの第2回転体18との間において駆動力を伝達するように構成される。例えば、伝達体20は、少なくとも1つの第1回転体14の回転力を少なくとも1つの第2回転体18に伝達する。
【0026】
例えば、少なくとも1つの第1回転体14と、クランク軸12とは、同軸に配置される。少なくとも1つの第1回転体14と、クランク軸12とは、同軸に配置されなくてもよい。例えば、少なくとも1つの第1回転体14と、クランク軸12とが、同軸に配置されない場合、少なくとも1つの第1回転体14と、クランク軸12とは、第1伝達機構を介して接続される。第1伝達機構は、複数の歯車を含んでいてもよく、スプロケットおよびチェーンを含んでいてもよく、プーリおよびベルトを含んでいてもよく、シャフトおよびベベルギアを含んでいてもよい。例えば、少なくとも1つの第1回転体14は、少なくとも1つの第1スプロケットを含む。
【0027】
例えば、少なくとも1つの第2回転体18と、後輪16Rとは、同軸に配置される。少なくとも1つの第2回転体18と、後輪16Rとは、同軸に配置されなくてもよい。例えば、少なくとも1つの第2回転体18と、後輪16Rとが、同軸に配置されない場合、少なくとも1つの第2回転体18と、後輪16Rとは、第2伝達機構を介して接続される。第2伝達機構は、複数の歯車を含んでいてもよく、スプロケットおよびチェーンを含んでいてもよく、プーリおよびベルトを含んでいてもよく、シャフトおよびベベルギアを含んでいてもよい。例えば、少なくとも1つの第2回転体18は、少なくとも1つの第2スプロケットを含む。
【0028】
少なくとも1つの第2回転体18と、後輪16Rとは、第3ワンウェイクラッチを介して接続される。例えば、第3ワンウェイクラッチは、ローラクラッチ、スプラグクラッチ、および、ラチェットクラッチの少なくとも1つを含む。第3ワンウェイクラッチは、第1回転体14の前転に伴って、第2回転体18が回転する場合に、第2回転体18から後輪16Rに駆動力を伝達し、後輪16Rが前転する速度が、第2回転体18が前転する速度よりも高い場合に、後輪16Rと第2回転体18との相対回転を許容するように構成される。
【0029】
例えば、人力駆動車10は、バッテリ40をさらに含む。バッテリ40は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。例えば、バッテリ40は、制御装置70、および、モータ22に電力を供給するように構成される。例えば、バッテリ40は、制御装置70と有線または無線によって通信可能に接続される。例えば、バッテリ40は、電力線通信(PLC;Power Line Communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によって制御装置70と通信可能である。
【0030】
人力駆動車10は、例えば、変速装置42をさらに含む。変速装置42は、例えば、人力駆動車10における人力駆動力の伝達経路に設けられ、かつ、変速比率を変更するように構成される。変速比率は、例えば、クランク28の回転速度に対する車輪16の回転速度の比率である。車輪16の回転速度は、例えば、駆動輪の回転速度を含む。
【0031】
変速装置42は、例えば、ディレーラ42Aおよび内装変速機の少なくとも1つを含む。本実施形態の人力駆動車10は、ディレーラ42Aをさらに含む。本実施形態の変速装置42は、ディレーラ42Aを含む。ディレーラ42Aは、クランク軸12の回転速度に対する車輪16の回転速度の変速比率を変更するために伝達体20を操作するように構成される。ディレーラ42Aは、例えば、フロントディレーラ、および、リアディレーラの少なくとも1つを含む。ディレーラ42Aがフロントディレーラ、および、リアディレーラの少なくとも1つを含む場合、伝達体20は、チェーンを含む。
【0032】
ディレーラ42Aは、例えば、複数のスプロケットのうちの1つに係合する伝達体20を、複数のスプロケットのうちの他の1つに移動させる。変速装置42が内装変速機を含む場合、内装変速機は、例えば、後輪16Rのハブに設けられる。内装変速機は、CVT(Continuously Variable Transmission)を含んでいてもよい。変速装置42は、例えば、電動アクチュエータ44を含む。電動アクチュエータ44は、例えば、変速装置42を動作するように構成される。電動アクチュエータ44は、例えば、ディレーラ42Aを動作するように構成される。
【0033】
ディレーラ42Aは、クランク軸12の回転速度に対する車輪16の回転速度の変速比率を変更するために伝達体20を操作するように構成される。例えば、ディレーラ42Aは、人力駆動車10における人力駆動力の伝達経路に設けられ、かつ、変速比率を変更するように構成される。例えば、ディレーラ42Aは、伝達体20を操作して、少なくとも1つの第1回転体14および少なくとも1つの第2回転体18の少なくとも1つと、伝達体20との係合状態を変更することによって変速比率を変更させる。変速比率と、車輪16の回転速度と、クランク軸12の回転速度との関係は、式(1)によって表される。式(1)において、Rは、変速比率を示す。式(1)において、Wは、車輪16の回転速度を示す。式(1)において、Cは、クランク軸12の回転速度を示す。
式(1):R=W(rpm)/C(rpm)
【0034】
例えば、ディレーラ42Aは、変速比率を少なくとも1つの変速ステージごとに変更可能である。例えば、ディレーラ42Aは少なくとも1つの変速ステージを変更するために伝達体20を操作するように構成される。例えば、少なくとも1つの変速ステージは、少なくとも1つの第1回転体14および少なくとも1つの第2回転体18の少なくとも1つに応じて設定される。例えば、少なくとも1つの変速ステージが複数の変速ステージを含む場合、複数の変速ステージのそれぞれには、異なる変速比率が設定される。例えば、変速ステージが高くなるほど、変速比率は大きくなる。
【0035】
例えば、少なくとも1つの第1回転体14が複数の第1回転体14を含み、かつ、少なくとも1つの第2回転体18が複数の第2回転体18を含む場合、変速ステージは、複数の第1回転体14のうちの1つおよび複数の第2回転体18のうちの1つの組み合わせに応じて設定される。例えば、少なくとも1つの第1回転体14が1つの第1回転体14を含み、少なくとも1つの第2回転体18が複数の第2回転体18を含む場合、変速ステージは、複数の第2回転体18の数に応じて設定される。例えば、少なくとも1つの第1回転体14が複数の第1回転体14を含み、少なくとも1つの第2回転体18が1つの第2回転体18を含む場合、変速ステージは、複数の第1回転体14の数に応じて設定される。
【0036】
例えば、ディレーラ42Aは、複数のスプロケットのうちの1つに係合するチェーンを、複数のスプロケットのうちの他の1つに移動させる。例えば、複数のスプロケットのうちの、歯数が最小のスプロケットはディレーラ42Aによって実現可能な最小の変速段数と対応する。例えば、複数のスプロケットのうちの、歯数が最大のスプロケットは、ディレーラ42Aによって実現可能な最大の変速段数と対応する。
【0037】
ディレーラ42Aがフロントディレーラを含む場合、例えば、複数の第1回転体14は、2枚以上3枚以下の第1スプロケットを含む。例えば、複数の第1回転体14は、2枚の第1スプロケットを含む。
【0038】
ディレーラ42Aがフロントディレーラを含む場合、例えば、ディレーラ42Aは、変速動作において複数の第1回転体14のうちの1つから複数の第1回転体14のうちの他の1つに伝達体20を移動させるように構成される。フロントディレーラは、伝達体20を操作して、少なくとも1つの第1回転体14と、伝達体20との係合状態を変更することによって変速比率を変更させる。例えば、複数の第1回転体14は、複数の第1スプロケットを含む。
【0039】
例えば、ディレーラ42Aがリアディレーラを含む場合、少なくとも1つの第2回転体18は、2枚以上20枚以下の第2スプロケットを含む。例えば、複数の第2回転体18は、12枚の第2スプロケットを含む。
【0040】
モータ22は、伝達体20を駆動するように構成される。例えば、モータ22は、人力駆動力に応じて、人力駆動車10に推進力を付与するように構成される。例えば、モータ22は、1または複数の電気モータを含む。例えば、モータ22に含まれる電気モータは、例えば、ブラシレスモータである。例えば、モータ22は、2つのペダル30から少なくとも1つの第2回転体18までの人力駆動力の動力伝達経路に回転力を伝達するように構成される。例えば、モータ22は、少なくとも1つの第1回転体14を介して伝達体20を駆動する。本実施形態では、モータ22は、人力駆動車10のフレーム26に設けられ、第1回転体14に回転力を伝達するように構成される。
【0041】
人力駆動車10は、モータ22が設けられるハウジング46をさらに含む。モータ22およびハウジング46を含んで、ドライブユニット48が構成される。ハウジング46は、フレーム26に取り付けられる。ハウジング46は、クランク軸12を回転可能に支持する。モータ22は、例えば、少なくとも1つの第1回転体14を介さずに、伝達体20に回転力を伝達するように構成されてもよい。例えば、モータ22が少なくとも1つの第1回転体14を介さずに、伝達体20に回転力を伝達するように構成される場合、モータ22の出力軸または出力軸の力が伝達される伝達部材に伝達体20と係合するスプロケットが設けられる。
【0042】
例えば、ドライブユニット48は、出力部50をさらに含む。例えば、出力部50と、クランク軸12とは、同軸に配置される。例えば、出力部50は、人力駆動力とモータ22の出力とが伝達されるように構成される。例えば、出力部50は、クランク軸12の回転力とモータ22の出力とが伝達されるように構成される。例えば、出力部50は、筒形状を有する。例えば、出力部50は、回転中心軸心まわりにおいて、クランク軸12の外周部に設けられる。例えば、少なくとも1つの第1回転体14は、出力部50と一体回転するように出力部50の第1端部50Aに連結される。
【0043】
例えば、ドライブユニット48は、減速機52を含む。例えば、減速機52は、モータ22と人力駆動力の動力伝達経路との間に設けられる。例えば、減速機52は、少なくとも1つの減速部分を含む。例えば、少なくとも1つの減速部分は、第1減速部分52A、第2減速部分52Bと、第3減速部分52Cとを含む。減速機52は、1つ、2つ、または、4つ以上の減速部分を含んでいてもよい。
【0044】
例えば、第1減速部分52Aは、モータ22の回転トルクが伝達される。例えば、第1減速部分52Aは、例えば、互いに噛み合う2つの歯車を含む。第1減速部分52Aは、歯車に代えて、ベルトおよびプーリを含んでもよい。第1減速部分52Aは、歯車に代えて、スプロケットおよびチェーンを含んでもよい。
【0045】
例えば、第2減速部分52Bは、第1減速部分52Aを介してモータ22の回転トルクが伝達される。例えば、第2減速部分52Bは、例えば、互いに噛み合う2つの歯車を含む。第2減速部分52Bは、歯車に代えて、ベルトおよびプーリを含んでもよい。第2減速部分52Bは、歯車に代えて、スプロケットおよびチェーンを含んでもよい。
【0046】
例えば、第3減速部分52Cは、第2減速部分52Bを介してモータ22の回転トルクが伝達される。例えば、第3減速部分52Cは、出力部50にモータ22の回転トルクを伝達する。例えば、第3減速部分52Cは、例えば、互いに噛み合う2つの歯車を含む。第3減速部分52Cは、歯車に代えて、ベルトおよびプーリを含んでもよい。第3減速部分52Cは、歯車に代えて、スプロケットおよびチェーンを含んでもよい。
【0047】
例えば、ドライブユニット48は、第1ワンウェイクラッチ54をさらに含む。例えば、第1ワンウェイクラッチ54は、クランク軸12から少なくとも1つの第1回転体14までの動力伝達経路の間に設けられる。例えば、第1ワンウェイクラッチ54は、クランク軸12と出力部50との間に設けられる。
【0048】
例えば、第1ワンウェイクラッチ54は、クランク軸12が前転した場合に、第1回転体14を前転させ、クランク軸12が後転した場合に、クランク軸12と少なくとも1つの第1回転体14との相対回転を許容するように構成される。例えば、第1ワンウェイクラッチ54は、ローラクラッチ、スプラグクラッチ、および、ラチェットクラッチの少なくとも1つを含む。
【0049】
例えば、ドライブユニット48は、第2ワンウェイクラッチ56をさらに含む。例えば、第2ワンウェイクラッチ56は、モータ22から少なくとも1つの第1回転体14までの動力伝達経路の間に設けられる。例えば、第2ワンウェイクラッチ56は、減速機52に設けられる。
【0050】
例えば、第2ワンウェイクラッチ56は、モータ22の回転力を出力部50に伝達するように構成される。例えば、第2ワンウェイクラッチ56は、クランク軸12が前転した場合に、クランク軸12の回転力がモータ22に伝達されることを抑制するように構成される。例えば、第2ワンウェイクラッチ56は、ローラクラッチ、スプラグクラッチ、および、ラチェットクラッチの少なくとも1つを含む。
【0051】
例えば、人力駆動車10は、車速検出部58をさらに含む。例えば、車速検出部58は、制御部72と有線または無線によって通信可能に接続される。例えば、車速検出部58は、人力駆動車10の車速に関する情報を検出するように構成される。例えば、車速検出部58は、車輪16の回転速度に関する情報を検出するように構成される。例えば、車速検出部58は、前輪16Fおよび後輪16Rの少なくとも1つに設けられる磁石を検出するように構成される。
【0052】
例えば、車速検出部58は、車輪16が1回転する間に、予め定める回数の検出信号を出力するように構成される。例えば、予め定める回数は、1である。例えば、車速検出部58は、車輪16の回転速度に応じた信号を出力する。制御部72は、車輪16の回転速度に応じた信号と、車輪16の周長に関する情報とに基づいて人力駆動車10の車速を算出できる。例えば、記憶部74には車輪16の周長に関する情報が記憶される。
【0053】
例えば、人力駆動車10は、人力駆動力検出部60をさらに含む。人力駆動力検出部60は、制御部72と有線または無線によって通信可能に接続される。人力駆動力検出部60は、人力駆動力によってクランク軸12に与えられるトルクに応じた信号を出力するように構成される。人力駆動力によってクランク軸12に与えられるトルクに応じた信号は、人力駆動車10に入力される人力駆動力に関する情報を含む。
【0054】
例えば、人力駆動力検出部60は、人力駆動力の伝達経路、または、人力駆動力の伝達経路に含まれる部材の近傍に含まれる部材に設けられる。例えば、人力駆動力の伝達経路に含まれる部材は、クランク軸12、クランク軸12と少なくとも1つの第1回転体14との間において人力駆動力を伝達する部材を含む。例えば、人力駆動力検出部60は、クランク軸12から出力部50に人力駆動力を伝達するように構成される動力伝達部に設けられる。例えば、動力伝達部は、クランク軸12の外周部に設けられる。
【0055】
人力駆動力検出部60は、歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。人力駆動力検出部60は、人力駆動力に関する情報を取得できればどのような構成であってもよい。
【0056】
例えば、人力駆動力検出部60は、クランクアーム28A,28B、または、2つのペダル30のうちの少なくとも1つに設けられてもよい。例えば、人力駆動力検出部60が2つのペダル30のうちの少なくとも1つに設けられる場合、人力駆動力検出部60は、2つのペダル30のうちの少なくとも1つに与えられる圧力を検出するセンサを含んでいてもよい。例えば、人力駆動力検出部60は、伝達体20に含まれるチェーンに設けられてもよい。例えば、人力駆動力検出部60がチェーンに設けられる場合、人力駆動力検出部60は、チェーンの張力を検出するセンサを含んでいてもよい。
【0057】
例えば、人力駆動車10は、クランク回転状態検出部62をさらに含む。例えば、クランク回転状態検出部62は、制御部72と有線または無線によって通信可能に接続される。クランク回転状態検出部62は、クランク軸12および少なくとも1つの第1回転体14の少なくとも1つの回転量を検出する。例えば、クランク回転状態検出部62は、クランク軸12の回転速度に応じた情報を検出するように構成される。例えば、クランク回転状態検出部62は、少なくとも1つの第1回転体14の回転速度に応じた情報を検出するように構成される。クランク軸12の回転速度に応じた情報は、クランク軸12の角加速度を含む。少なくとも1つの第1回転体14の回転速度に応じた情報は、少なくとも1つの第1回転体14の角加速度を含む。
【0058】
例えば、クランク回転状態検出部62は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含む。クランク回転状態検出部62は、周方向に複数の磁極が並ぶ環状の磁石を含む。環状の磁石は、クランク軸12、少なくとも1つの第1回転体14、または、クランク軸12から少なくとも1つの第1回転体14までの動力伝達経路の間に設けられる。例えば、環状の磁石は、1つのS極と、1つのN極とを含む。1つのS極と、1つのN極とは、クランク軸12の軸線まわりに、それぞれ180°連続して延びる。
【0059】
例えば、クランク回転状態検出部62は、クランク軸12の回転速度、および、少なくとも1つの第1回転体14の回転速度の少なくとも1つに応じた信号を出力する。例えば、クランク回転状態検出部62は、クランク軸12の回転速度、および、少なくとも1つの第1回転体14の回転速度の少なくとも1つが1回転する間において、クランク軸12の回転角度に対応する検出信号を出力するように構成される。クランク回転状態検出部62は、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、または、トルクセンサなどを含んでいてもよい。
【0060】
例えば、クランク回転状態検出部62は、人力駆動車10のフレーム26に設けられる。例えば、クランク回転状態検出部62がフレーム26に設けられる場合、クランク回転状態検出部62は、車速センサを含んで構成されていてもよい。クランク回転状態検出部62が車速センサを含む場合、制御部72は、車速センサによって検出される車速と、変速比率とに応じてクランク軸12の回転速度を算出するように構成されてもよい。例えば、クランク回転状態検出部62は、ドライブユニット48に設けられてもよい。
【0061】
クランク回転状態検出部62は、少なくとも1つの第2回転体18の回転量を検出するように構成されてもよい。クランク回転状態検出部62は、少なくとも1つの第2回転体18の回転速度に応じた情報を検出するように構成されてもよい。例えば、少なくとも1つの第2回転体18の回転速度に応じた情報は、少なくとも1つの第2回転体18の角加速度を含む。例えば、クランク回転状態検出部62は、少なくとも1つの第2回転体18の回転速度に応じた信号を出力してもよい。
【0062】
人力駆動車用の制御装置70は、制御部72を備える。例えば、制御部72は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。例えば、制御部72に含まれる演算処理装置は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。
【0063】
例えば、制御部72に含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。例えば、演算処理装置の一部は、人力駆動車10に設けられ、演算処理装置の他の一部は、インターネットに接続されるサーバに設けられてもよい。演算処理装置が、相互に離れた複数の場所に設けられる場合、演算処理装置の各部分は、無線通信装置を介して相互に通信可能に接続される。制御部72は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0064】
例えば、制御装置70は、記憶部74をさらに備える。例えば、記憶部74は、制御部72と有線または無線によって通信可能に接続される。例えば、記憶部74には、制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報が記憶される。例えば、記憶部74は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。例えば、不揮発性メモリは、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。例えば、揮発性メモリは、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0065】
例えば、制御装置70は、モータ22の駆動回路をさらに備えていてもよい。例えば、制御部72と、駆動回路とは、ハウジング46に設けられる。制御部72と、駆動回路とは、同一の回路基板に設けられてもよい。例えば、駆動回路は、制御部72と有線または無線によって通信可能に接続される。例えば、駆動回路は、制御部72からの制御信号に応じてモータ22を駆動させる。
【0066】
例えば、駆動回路は、モータ22に電気的に接続される。例えば、駆動回路は、バッテリ40からモータ22への電力の供給を制御する。例えば、駆動回路は、インバータ回路を含む。例えば、インバータ回路は、複数のトランジスタを含む。例えば、インバータ回路は、直列に接続される一対のトランジスタからなる複数のインバータ部が並列に接続される構成を含む。例えば、インバータ回路は、インバータ回路に流れる電流を検出する電流センサを有してもよい。例えば、電流センサは、制御部72と有線または無線によって通信可能に接続される。
【0067】
制御部72は、モータ22を制御するように構成される。例えば、制御部72は、人力駆動車10の状態に応じてモータ22を制御するように構成される。例えば、制御部72は、人力駆動車10に入力される人力駆動力に応じて推進力を変更するように、モータ22を制御するように構成される。例えば、制御部72は、人力駆動力検出部60によって検出される人力駆動力に応じて、モータ22を制御するように構成される。
【0068】
例えば、制御部72は、クランク回転状態検出部62によって検出されるクランク軸12の回転速度、および、少なくとも1つの第1回転体14の回転速度の少なくとも1つに応じて、モータ22を制御するように構成される。例えば、制御部72は、車速検出部58によって検出される人力駆動車10の車速に応じて、モータ22を制御するように構成される。制御部72は、人力駆動車10の車速が予め定める第1車速以下の場合、人力駆動力またはクランク軸12の回転速度の少なくとも1つに応じて、人力駆動車10に推進力を付与するようにモータ22を駆動するように構成される。予め定める第1車速は、例えば、法令によって規定される速度である。予め定める第1車速は、例えば、25km/h、または、27.5km/hである。
【0069】
制御部72は、ドライブユニット48の外部から送信される情報に応じて、モータ22を駆動するように構成されてもよい。ドライブユニット48の外部から送信される情報は、ユーザが操作可能なアシスト操作装置の操作信号を含んでいてもよい。
【0070】
例えば、制御部72は、モータ22によるアシストレベルが、予め定めるアシストレベルになるようにモータ22を制御するように構成される。例えば、アシストレベルは、人力駆動車10に入力される人力駆動力に対するモータ22の出力の比率、モータ22の出力の最大値、および、モータ22の出力が低下する場合におけるモータ22の出力変動の抑制レベルの少なくとも1つを含む。
【0071】
例えば、制御部72は、人力駆動力に対するアシスト力の比率が予め定める比率になるように、モータ22を制御するように構成される。例えば、人力駆動力は、ユーザがクランク軸12を回転させることによって発生する人力駆動車10の推進力に対応する。例えば、人力駆動力は、ユーザがクランク軸12を回転させることによって、少なくとも1つの第1回転体14に入力される駆動力に対応する。
【0072】
例えば、アシスト力は、モータ22の出力に応じて第1回転体14に入力される駆動力を含む。例えば、アシスト力は、モータ22の回転によって発生する人力駆動車10の推進力に対応する。例えば、ドライブユニット48が減速機52を含む場合、アシスト力は、減速機52の出力に対応する。
【0073】
予め定める比率は、一定ではなく、人力駆動力に応じて変化してもよい。予め定める比率は、一定ではなく、クランク軸12の回転速度および少なくとも1つの第1回転体14の回転速度の少なくとも1つに応じて変化してもよい。予め定める比率は、一定ではなく、人力駆動車10の車速に応じて変化してもよい。予め定める比率は、一定ではなく、人力駆動力、クランク軸12の回転速度および少なくとも1つの第1回転体14の回転速度の少なくとも1つ、および、車速のうちのいずれか2つ、または、全てに応じて変化してもよい。
【0074】
例えば、人力駆動力は、トルクおよび仕事率の少なくとも1つによって表される。例えば、人力駆動力がトルクによって表される場合、人力駆動力は人力トルクと記載される。例えば、人力駆動力の仕事率は、クランク軸12に与えられるトルクとクランク軸12の回転速度との積である。
【0075】
例えば、アシスト力は、トルクおよび仕事率の少なくとも1つによって表される。例えば、アシスト力がトルクによって表される場合、アシスト力はアシストトルクと記載される。例えば、アシスト力が仕事率によって表される場合、アシスト力はアシスト仕事率と記載される。例えば、アシスト仕事率は、減速機52の出力トルクと減速機52の出力軸の回転速度との積である。例えば、人力駆動力に対するアシスト力の比率は、人力トルクに対するアシストトルクの比率であってもよく、人力仕事率に対するアシスト仕事率の比率であってもよい。
【0076】
例えば、制御部72は、アシスト力が最大アシスト力以下になるようにモータ22を制御するように構成される。例えば、制御部72は、アシストトルクが最大アシストトルク以下になるようにモータ22を制御するように構成される。例えば、最大アシストトルクは、20Nm以上200Nm以下の範囲の値である。例えば、最大アシストトルクは、モータ22の出力特性、および、制御モードの少なくとも1つによって決定される。制御部72は、アシスト仕事率が最大値アシスト仕事率以下になるようにモータ22を制御するように構成されてもよい。
【0077】
例えば、制御部72は、ディレーラ42Aを制御するように構成される。例えば、制御部72は、変速指示に応じてディレーラ42Aを制御するように構成される。例えば、変速指示は、ユーザが操作可能な変速操作装置からの出力、および、変速条件の少なくとも1つと対応する。例えば、変速指示は、変速比率を大きくするための変速指示、および、変速比率を小さくするための変速指示を含む。変速条件は、例えば、人力駆動車10の走行環境および走行状態の少なくとも1つに関する。人力駆動車10の走行環境は、例えば、路面の勾配、および、路面抵抗の少なくとも1つを含む。人力駆動車10の走行状態は、例えば、車速、クランク軸12の回転速度、人力駆動力、および、人力駆動車10の傾斜角度の少なくとも1つを含む。
【0078】
制御部72は、予め定める条件が満たされる場合、モータ22が伝達体20を駆動するようにモータ22を制御するように構成される。制御部72は、予め定める条件が満たされる場合、モータ22の駆動条件が満たされるようにモータ22を制御するように構成される。モータ22の駆動条件は、例えば、モータ22による駆動によって、人力駆動車10に推進力が付与されないようにモータ22を駆動するための条件を含む。モータ22の駆動条件は、例えば、人力駆動車10の車輪16が接地し、かつ、人力駆動車10が停止している状態において、モータ22による駆動によって、車輪16が回転しないようにモータ22を駆動するための条件を含む。制御部72は、予め定める条件が満たされる場合、例えば、ディレーラ42Aによる変速が可能なように伝達体20が駆動し、かつ、車輪16が回転しないようにモータ22を駆動する。
【0079】
予め定める条件は、クランク軸12の回転が停止している第1条件を含む。第1条件は、例えば、ライダによるペダリングの停止を判定可能な条件である。クランク軸12の回転が停止している状態は、例えば、クランク軸12の回転速度が予め定める回転速度以下である状態を含む。例えば、制御部72は、クランク軸12の回転速度が予め定める回転速度以下の場合に、クランク軸12の回転が停止していると判定するように構成される。例えば、制御部72は、クランク軸12の回転速度が予め定める回転速度以下の場合、第1条件が満たされると判定する。予め定める回転速度は、例えば、5rpm以下かつ0rpm以上である。予め定める回転速度は、例えば、3rpmである。予め定める回転速度は、0rpmよりも大きくてもよい。予め定める回転速度は、ライダがペダリングを停止している状態においてクランク軸12が揺動する場合の回転速度に基づいて設定されてもよい。制御部72は、人力駆動力が停止判定駆動力以下の場合に、クランク軸12の回転が停止していると判定するように構成されてもよい。停止判定駆動力は、例えば、1Nm以上かつ5Nm以下の人力トルクである。
【0080】
予め定める条件は、ディレーラ42Aが伝達体20を操作することによって変速比率を変更する第2条件をさらに含む。第2条件は、例えば、変速指示と対応する。例えば、制御部72は、変速指示がある場合、第2条件が満たされると判定する。
【0081】
例えば、予め定める条件は、車輪16が回転している第3条件をさらに含む。制御部72は、車速が予め定める車速以上の場合に、車輪16が回転していると判定するように構成される。例えば、制御部72は、車速が予め定める車速以上の場合、第3条件が満たされると判定する。
【0082】
例えば、予め定める条件は、クランク軸12に入力される人力駆動力が予め定める駆動力以上である条件が満たされた後に、第1条件が満たされる第4条件を含む。第4条件は、例えば、ライダが人力駆動車10に乗車していることを判定可能な条件である。予め定める人力駆動力は、例えば、人力駆動車10の車輪16が地面から浮いた状態において、作業者が手によってクランク軸12を回転させる場合に人力駆動力検出部60によって検出される人力駆動力に基づいて設定される。予め定める人力駆動力は、例えば、停止判定駆動力よりも大きい。予め定める人力駆動力は、停止判定駆動力以下であってもよい。予め定める人力駆動力は、例えば、人力トルクが5Nm以上かつ40Nm以下の範囲のトルクである。
【0083】
制御部72は、例えば、クランク軸12に入力される人力駆動力が予め定める駆動力以上である条件が満たされた後、予め定める期間以内に第1条件が満たされると、第4条件が満たされると判定する。制御部72は、例えば、予め定める駆動力以上が複数回検出された後、第1条件が満たされると、第4条件が満たされると判定する。制御部72は、例えば、予め定める駆動力以上と予め定める駆動力未満との繰り返しが複数回検出された後、第1条件が満たされると、第4条件が満たされると判定する。
【0084】
予め定める条件が、第1条件、第2条件、第3条件、および、第4条件の全てを含む場合、制御部72は、例えば、ライダが乗車した人力駆動車10が走行中、かつ、クランク軸12の回転速度が予め定める回転速度以下の場合に変速指示があると、予め定める条件が満たされると判定する。例えば、制御部72は、ライダが乗車した人力駆動車10が走行中、かつ、クランク軸12の回転が停止している場合において、変速指示があると、モータ22を駆動し、かつ、変速指示に応じてディレーラ42Aを制御するように構成される。
【0085】
ライダが乗車した人力駆動車10が走行中、かつ、クランク軸12の回転が停止している場合において、変速指示がある場合は、例えば、車速の低下に応じて変速比率を予め定める変速比率以下にする場合を含む。ライダが乗車した人力駆動車10が走行中、かつ、クランク軸12の回転が停止している場合において、変速指示がある場合は、例えば、ライダによるペダリングの停止中に、変速操作装置が操作される場合を含む。
【0086】
モータ22の駆動条件は、第1駆動条件、および、第2駆動条件の少なくとも1つを含む。制御部72は、予め定める条件が満たされる場合、例えば、第1駆動条件および第2駆動条件の両方が満たされるようにモータ22を制御するように構成される。
【0087】
第1駆動条件は、モータ22による第1回転体14の回転トルクが予め定めるトルク以下に維持されるようにモータ22を駆動する条件を含む。例えば、制御部72は、予め定める条件が満たされる場合、モータ22による第1回転体14の回転トルクが予め定めるトルク以下に維持されるようにモータ22を駆動するように構成される。予め定めるトルクは、1Nm以上かつ10Nm以下である。例えば、予め定めるトルクは、2Nm以上かつ10Nm以下である。例えば、予め定めるトルクは、人力駆動車10の車輪16が接地し、かつ、人力駆動車10が停止している状態において、モータ22の駆動によって車輪16が回転しないトルクである。
【0088】
例えば、予め定めるトルクは、人力駆動車10の変速比率に応じて設定される。予め定めるトルクは、変速比率に関わらず一定であってもよい。予め定めるトルクが人力駆動車10の変速比率に応じて設定される場合、例えば、変速比率が予め定める変速比以下の場合における予め定めるトルクは、変速比率が予め定める変速比を超える場合における予め定めるトルクとは異なっていてもよい。変速比率が予め定める変速比以下の場合における予め定めるトルクは、2Nmであり、例えば、変速比率が予め定める変速比を超える場合における予め定めるトルクは、5Nmである。予め定めるトルクは、変速比率に応じて3段階以上に設定されてもよい。予め定めるトルクは、変速比率が小さいほど、大きくなるように設定されてもよい。予め定めるトルクは、変速比率が小さいほど、小さくなるように設定されてもよい。
【0089】
第2駆動条件は、モータ22を予め定める電流値以下において駆動することによって伝達体20を駆動する条件を含む。例えば、制御部72は、予め定める条件が満たされる場合、モータ22を予め定める電流値以下において駆動することによって伝達体20を駆動するように構成される。予め定める電流値は、モータ22の待機電流値よりも大きく、かつ、5A以下である。例えば、予め定める電流値は、2A以下である。例えば、予め定める電流値は、1.5A以下である。例えば、予め定める電流値は、1.2Aである。例えば、予め定める電流値は、1Aである。待機電流値は、例えば、モータ22の無負荷状態における電流値である。
【0090】
例えば、制御部72は、第1回転体14の回転速度が、推定回転速度以下になるように、モータ22を駆動するように構成される。推定回転速度は、人力駆動車10の変速比率および人力駆動車10の車速によって算出される。例えば、予め定める条件が満たされる場合、制御部72は、第1回転体14の回転速度が、推定回転速度以下になるように、モータ22を駆動するように構成される。車輪16が回転している状態においてクランク軸12が回転していない場合、推定回転速度は、クランク軸12の実際の回転速度以上の値になる。推定回転速度は、例えば、式(2)によって算出される。式(2)において、CXは、推定回転速度を示す。式(2)において、Vは、車速を示す。式(2)において、Rは、変速比率を示す。式(2)において、Lは、車輪16の周長を示す。
式(2):CX(rpm)=[V(km/h)×1000]/[R×60×L(m)]
【0091】
例えば、制御部72は、人力駆動車10の車速が、予め定める第1車速を含む予め定める車速範囲において、予め定める条件が満たされる場合、ディレーラ42Aを動作させないように構成される。予め定める車速範囲は、例えば、20km/h以上かつ30km/h以下の範囲でもよく、22km/h以上かつ28km/h以下の範囲でもよい。例えば、制御部72は、車速が、予め定める第1車速を含む予め定める車速範囲外において、第2条件が満たされる場合、ディレーラ42Aを動作させ、かつ、伝達体20を駆動するようにモータ22を駆動するように構成される。例えば、制御部72は、車速が、予め定める第1車速よりも速い場合に、予め定める条件が満たされる場合、ディレーラ42Aを動作させず、かつ、モータ22を駆動させないように構成される。
【0092】
例えば、制御部72は、予め定める条件が満たされる場合、モータ22の負荷に応じて、モータ22の駆動を停止するように構成される。例えば、制御部72は、予め定める条件が満たされることに基づいてモータ22の駆動を開始した後、モータ22の負荷が予め定める負荷以上の場合、モータ22の駆動を停止するように構成される。予め定める負荷は、例えば、伝達体20、第1回転体14、および、第2回転体18の少なくとも1つへの異物等の噛み込みを判定可能な値が設定される。
【0093】
図4を参照して、制御部72がモータ22およびディレーラ42Aを制御する処理について説明する。制御部72は、例えば、制御部72に電力が供給されると、処理を開始して
図4に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部72は、
図4のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS11からの処理を繰り返す。
【0094】
制御部72は、ステップS11において、予め定める条件が満たされるか否かを判定する。制御部72は、予め定める条件が満たされない場合、処理を終了する。制御部72は、予め定める条件が満たされる場合、ステップS12に移行する。
【0095】
制御部72は、ステップS12において、車速が予め定める車速範囲内か否かを判定する。制御部72は、予め定める車速範囲内ではない場合、処理を終了する。制御部72は、予め定める車速範囲内の場合、ステップS13に移行する。
【0096】
制御部72は、ステップS13において、モータ22の駆動条件が満たされるようにモータ22を駆動し、ステップS14に移行する。制御部72は、ステップS14において、モータ22の負荷が予め定める負荷以上かを判定する。制御部72は、モータ22の負荷が予め定める負荷以上の場合、ステップS15に移行する。制御部72は、モータ22の負荷が予め定める負荷以上ではない場合、ステップS17に移行する。
【0097】
制御部72は、ステップS15において、変速比率を変更するようにディレーラ42Aを制御し、ステップS16に移行する。制御部72は、ステップS16において、変速比率の変更が完了したか否かを判定する。制御部72は、変速比率の変更が完了していない場合、ステップS14に移行する。制御部72は、変速比率の変更が完了している場合、ステップS17に移行する。制御部72は、ステップS16において、例えば、変速比率の変更を開始してから予め定める変速期間が経過した場合、変速比率の変更が完了したと判定する。ステップS16は、省略されてもよい。ステップS16が省略される場合、制御部72は、ステップS15からステップS17に移行する。
【0098】
制御部72は、ステップS17において、モータ22の駆動を停止し、処理を終了する。制御部72は、
図4の処理の実行中に、人力駆動力が第1駆動力よりも大きくなると、モータ22によって人力駆動力の推進が可能なようにモータ22を駆動させるように構成されてもよい。
【0099】
図4の処理において、ステップS12は省略されてもよい。ステップS12が省略される場合、制御部72は、ステップS11における判定がYESの場合、ステップS13に移行する。
図4の処理において、ステップS14は省略されてもよい。ステップS14が省略される場合、制御部72は、ステップS13の処理の後、ステップS15に移行する。ステップS14が省略される場合、制御部72は、ステップS16における判定がNOの場合、ステップS15に移行する。
【0100】
<変更例>
実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用の制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の制御装置は、例えば以下に示される実施形態の変更例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変更例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0101】
・制御部72は、ディレーラ42Aを制御しないように構成されてもよい。制御部72がディレーラ42Aを制御しないように構成される場合、例えば、制御部72は変速操作装置から出力される信号に基づいて、第2条件が満たされるか否かを判定してもよい。制御部72がディレーラ42Aを制御しないように構成される場合、ディレーラ42Aは、電動アクチュエータ44を備えない手動ディレーラであってもよい。
図5を参照して、制御部72がモータ22を制御し、かつ、ディレーラ42Aを制御しない処理について説明する。制御部72は、例えば、制御部72に電力が供給されると、処理を開始して
図5に示すフローチャートのステップS21に移行する。制御部72は、
図5のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS21からの処理を繰り返す。
制御部72は、ステップS21において、予め定める条件が満たされるか否かを判定する。制御部72は、予め定める条件が満たされない場合、処理を終了する。制御部72は、予め定める条件が満たされる場合、ステップS22に移行する。
制御部72は、ステップS22において、モータ22の駆動条件が満たされるようにモータ22を駆動し、ステップS23に移行する。制御部72は、ステップS23において、モータ停止条件が満たされるか否かを判定する。制御部72は、モータ停止条件が満たされない場合、再びステップS23の処理を実行する。制御部72は、モータ停止条件が満たされる場合、ステップS24に移行する。モータ停止条件は、例えば、モータ22が駆動してから予め定める期間が経過する場合に満たされる。予め定める期間は、例えば、人力駆動車10の走行距離が予め定める距離に達するまでの期間を含む。予め定める距離は、例えば、法令に基づいて設定される。予め定める距離は、例えば、2mである。モータ停止条件は、例えば、モータ22の負荷が予め定める負荷以上の場合に満たされてもよい。
制御部72は、ステップS24において、モータ22の駆動を停止し、処理を終了する。制御部72は、
図5の処理の実行中に、人力駆動力が第1駆動力よりも大きくなると、モータ22によって人力駆動力の推進が可能なように、人力駆動力およびクランク軸12の回転速度の少なくとも1つに応じてモータ22を駆動させるように構成されてもよい。
【0102】
・ディレーラ42Aが、電動アクチュエータ44を備えない手動ディレーラである場合、予め定める第1車速は、ディレーラ42Aが、電動アクチュエータ44を備える場合と異なっていてもよい。手動ディレーラは、例えばボーデンケーブルを介して、変速操作装置に接続される。例えば、ディレーラ42Aが、電動アクチュエータ44を備えない手動ディレーラである場合、予め定める第1車速は、ディレーラ42Aが、電動アクチュエータ44を備える場合よりも速い。
【0103】
・制御部72は、人力駆動車10のコースティング時には常に予め定める条件が満たされると判定するように構成されてもよい。コースティング時は、例えば、車輪16が回転し、かつ、クランク軸12の推定回転速度がクランク回転状態検出部62によって検出されるクランク軸12の回転速度以下である場合を含む。
【0104】
・制御部72は、人力駆動車10の走行状態に関わらず、クランク軸12の回転が停止している場合には、常に予め定める条件が満たされると判定するように構成されてもよい。制御部72は、クランク軸12の回転が停止している場合には、人力駆動車10の走行状態に関わらず常にモータ22を駆動させてもよい。
【0105】
・制御部72は、予め定める条件が満たされる場合、かつ、タイヤの空気圧が初期値から予め定める値までの予め定める範囲内の場合、モータ22を駆動しないように構成されてもよい。予め定める範囲は、ライダが人力駆動車10に乗車していない状態を判定するために用いられる。制御部72は、例えば、タイヤの空気圧を検出する検出部の出力に基づいて初期値を取得可能に構成される。初期値は、例えば、ライダが乗車していないときのタイヤの空気圧である。
【0106】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0107】
10…人力駆動車、12…クランク軸、14…第1回転体、16…車輪、18…第2回転体、20…伝達体、22…モータ、42A…ディレーラ、70…制御装置、72…制御部。