(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047477
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/505 20060101AFI20240329BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A61F13/505
A61F13/56 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153116
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 基文
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200CA11
3B200DE02
3B200DE03
(57)【要約】
【課題】二つ折りの廃棄形状を保持できると共に、廃棄者がトップシートに触れにくくできる吸収性物品を提供すること。
【解決手段】パッド本体10と、パッド本体10の外側面の第1端部10aに配置されてアウター物品に係合可能な係合部20とを備えた吸収性物品1であって、係合部20は、パッド本体10の内側面に係合可能であり、パッド本体10の第2端部10bには、パッド本体10の内側面を覆い、ポケット部Pを形成するポケットシート30を設けた。そして、パッド本体10は、第1端部10aに、パッド本体10が二つ折りされたとき、幅方向Wの中間部が長手方向Lに沿って内側に屈曲された状態でポケット部Pに差し込まれる差込部Sを有し、第2端部10bに、差込部Sがポケット部Pに差し込まれたとき、長手方向Lに沿って内側に屈曲されて差込部Sを挟み込むと共に、幅方向Wの両側部の少なくとも一部が係合部20に係合する包囲部Hを有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートとバックシートとこれらの間に配置された吸収体とを有し、着用者の前後に対応する長手方向に延びるパッド本体と、前記パッド本体の外側面に設けられ、アウター物品に係合可能な係合部と、を備え、前記アウター物品に装着されて使用される吸収性物品であって、
前記係合部は、少なくとも前記パッド本体の前記長手方向の一方の端部に配置されると共に前記パッド本体に係合可能であり、
前記パッド本体の前記長手方向の他方の端部には、前記パッド本体の内側面を覆い、前記長手方向の中間部に向かって開放したポケット部を形成するポケットシートが設けられ、
前記パッド本体は、前記長手方向の一方の端部に、前記トップシートを内側にして前記長手方向の中間部に設定された折曲線で二つ折りされたとき、前記長手方向に直交する幅方向の中間部が前記長手方向に沿って内側に屈曲された状態で前記ポケット部に差し込まれる差込部を有し、
前記長手方向の他方の端部に、前記差込部が前記ポケット部に差し込まれたとき、前記長手方向に沿って内側に屈曲されて前記差込部を挟み込むと共に、前記幅方向の両側部の少なくとも一部が前記係合部に係合する包囲部を有する
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載された吸収性物品において、
前記ポケットシートは、前記ポケット部を形成する開放した縁部が、前記幅方向の両端部から前記幅方向の中央部に向かうにつれて、前記パッド本体の前記長手方向の外方に近づくように斜めに設定されている
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1に記載された吸収性物品において、
前記ポケットシートは、前記幅方向の中間部に、前記長手方向に延びる破断可能なミシン目が設けられている
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された吸収性物品において、
前記パッド本体は、前記差込部に、前記長手方向に沿って折り曲げやすくする折り部が形成されている
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された吸収性物品において、
前記パッド本体は、前記包囲部に、前記パッド本体が前記係合部に係合する係合力よりも強い力で前記係合部に係合可能な被係合部材が設けられている
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された吸収性物品において、
前記パッド本体は、前記差込部と前記折曲線との間に、前記幅方向の両端部から前記幅方向の中央部に向かうにつれて、前記長手方向の外方に近づく方向に延びる第2折り部が形成されている
ことを特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、着用者の肌に接するトップシートと、バックシートと、これらの間に配置された吸収体とを有するパッド本体を備え、アウター物品に装着されて使用される吸収性物品が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。このような吸収性物品は、使用後、廃棄者によって汚損したトップシートを内側にして折り畳まれたり、丸められたりした状態で廃棄される。
【0003】
ここで、特許文献1には、パッド本体の長手方向の両端部の外側面に、それぞれ接着部が設けられた吸収性物品が開示されている。特許文献1に開示の吸収性物品は、廃棄時に接着部が設けられた領域(パッド本体の長手方向の両端部)がトップシート側に折り曲げられ、接着部同士が接着することで、トップシートを内側にした二つ折りの廃棄形状を保持する。また、特許文献2には、パッド本体の外側面に展開可能な後処理テープが設けられた吸収性物品が開示されている。特許文献2に開示の吸収性物品では、使用後にパッド本体が丸められ、後処理テープが巻きつけられて丸めた状態の廃棄形状が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6938820号
【特許文献2】実用新案登録第3237902号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の吸収性物品では、廃棄する際、接着部が設けられたパッド本体の両端部をそれぞれトップシート側に折り曲げる必要がある。このため、パッド本体を折り曲げる際に、廃棄者がトップシートに触れるおそれがある。また、パッド本体は、丸めて廃棄される際、長手方向の一端部から、長手方向に沿って丸められることが一般的である。このとき、廃棄者は、パッド本体の長手方向の他端部を押さえる必要があり、特許文献2に開示の吸収性物品においてもトップシートに触れてしまうことがある。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、二つ折りの廃棄形状を保持できると共に、廃棄時に廃棄者がトップシートに触れにくくできる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、トップシートとバックシートとこれらの間に配置された吸収体とを有し、着用者の前後に対応する長手方向に延びるパッド本体と、前記パッド本体の外側面に設けられ、アウター物品に係合可能な係合部と、を備え、前記アウター物品に装着されて使用される吸収性物品であって、前記係合部は、少なくとも前記パッド本体の前記長手方向の一方の端部に配置されると共に前記パッド本体の内側面に係合可能であり、前記パッド本体の前記長手方向の他方の端部には、前記パッド本体の内側面を覆い、前記長手方向の中間部に向かって開放したポケット部を形成するポケットシートが設けられ、前記パッド本体は、前記長手方向の一方の端部に、前記トップシートを内側にして前記長手方向の中間部に設定された折曲位置で二つ折りされたとき、前記長手方向に直交する幅方向の中間部が前記長手方向に沿って内側に屈曲された状態で前記ポケット部に差し込み可能な差込部を有し、前記長手方向の他方の端部に、前記差込部が前記ポケット部に差し込まれたとき、前記長手方向に沿って内側に屈曲されて前記差込部を挟み込むと共に、前記幅方向の両側部の少なくとも一部が前記係合部に係合する包囲部を有する構成とした。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明の吸収性物品は、二つ折りの廃棄形状を保持できると共に、廃棄時に廃棄者がトップシートに触れにくくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の吸収性物品を内側からみたときの一部を破断した平面図である。
【
図2】実施例1の吸収性物品を外側からみたときの平面図である。
【
図6】実施例1の吸収性物品において、差込部を外側から摘まんでパッド本体を二つ折りする状態を示す説明図である。
【
図7】実施例1の吸収性物品において、差込部をポケット部に差し込んだ状態を示す説明図である。
【
図8】実施例1の吸収性物品において、包囲部で差込部を挟んだ状態を示す説明図である。
【
図9】第1変形例の吸収性物品を内側からみたときの一部を破断した平面図である。
【
図10】第2変形例の吸収性物品を内側からみたときの一部を破断した平面図である。
【
図11】第3変形例の吸収性物品を外側からみたときの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による吸収性物品を実施するための形態は、図面に示す実施例1に基づいて以下の通り説明される。なお、以下の説明では、着用者の身体の前後に対応する方向が「長手方向L」とされ、長手方向Lに直交する方向が「幅方向W」とされる。また、長手方向L及び幅方向Wの双方に直交する方向が「厚さ方向T」とされる。さらに、厚さ方向Tにおいて、着用者に近い方が「内側(肌側)」とされ、アウター物品に近い方が「外側(非肌側)」とされる。
【0011】
実施例1における吸収性物品1は、使い捨て紙オムツ、失禁パンツ、おむつカバー、下着等のアウター物品の内側に装着して使用されるものであり、具体的には尿取りパッドや失禁パッド等として知られるものである。実施例1の吸収性物品1は、
図1に示されたように、パッド本体10と、係合部20(
図2参照)と、ポケットシート30と、を備えている。
【0012】
パッド本体10は、トップシート11と、バックシート12と、吸収体13と、を有する。パッド本体10は、トップシート11とバックシート12の間に吸収体13を挟み込んだ状態で、少なくとも周縁部を含む適宜の領域がホットメルト等の接着剤や溶着等によって固定されて形成されている。また、パッド本体10は、厚さ方向Tから見た平面視において、長手方向Lに沿って延びる長方形状を呈している。
【0013】
トップシート11は、パッド本体10がアウター物品に装着された際、着用者の肌に接するものであり、体液を速やかに透過させる透液性のシート材からなる。トップシート11を構成するシート材は、有孔又は無孔の不織布が好適に用いられる。また、不織布を構成する素材繊維は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、及びこれらの混紡繊維、並びに綿等の天然繊維を単独又は二種以上組み合わせて用いることができる。また、不織布の加工法は、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等が挙げられる。なお、これらの加工法のうち、スパンレース法は、柔軟性に富む不織布を製造できる点で好ましい。また、スパンボンド法は、ドレープ性に富む不織布を製造できる点で好ましく、サーマルボンド法は嵩高でソフトな不織布を製造できる点で好ましい。また、不織布を構成する素材繊維は、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維等が用いられてもよい。
【0014】
なお、トップシート11が着用者の肌に接することから、トップシート11の表面が吸収性物品1の使用面となり、使用によって汚損される。
【0015】
バックシート12は、パッド本体10がアウター物品に装着された際、アウター物品に接するものであり、体液を透過させない不透液性(遮水性)のシート材からなる。すなわち、バックシート12を構成するシート材は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の液不透過性プラスチックシートや、プラスチック製のシートの外側に不織布を積層したラミネート不織布、さらには防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布の積層シート等が好適に用いられる。また、バックシート12は、ムレ防止の観点から、透湿性を有するシート材が用いられてもよい。遮水・透湿性シート材は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シート等を用いることができる。
【0016】
吸収体13は、体液を吸収して保持する液体吸収材である。吸収体13は、例えば吸収性ポリマー粒子とパルプ繊維を含んで構成され、クレープ紙や不織布等からなる図示しないコアラップシートによって包まれてもよい。吸収体13は、トップシート11及びバックシート12よりも小さい外形に形成され、トップシート11及びバックシート12から長手方向L及び幅方向Wにはみ出ない形状及び大きさを有する。吸収体13は、単層であっても複層であってもよい。
【0017】
また、パッド本体10の幅方向Wの両側部には、立体ギャザーを形成するギャザーシート14が設けられている。ギャザーシート14は、長手方向Lに延びる細長いシート材であり、例えば、撥水性又は不透液性の不織布等によって形成されている。ギャザーシート14は、幅方向Wの一端部が、例えばホットメルト等の接着剤や溶着等によってパッド本体10に固定される。また、ギャザーシート14の幅方向Wの他端部には、長手方向Lに伸縮可能な弾性伸縮材14aが設けられている。弾性伸縮材14aは、ここでは、幅方向Wに並列された複数の糸状又は帯状の合成ゴム等によって構成され、所定の伸張状態でギャザーシート14に固定されている。
【0018】
そして、弾性伸縮材14aが自身の収縮力によって収縮して自然長に戻ることで、ギャザーシート14の幅方向Wの他端部が、トップシート11から着用者側に起立し、壁様の立体ギャザーとなる。吸収性物品1は、立体ギャザーによって足周りからの体液の漏れ(横漏れ)を抑制する。なお、ギャザーシート14の長手方向Lの両端部では、ギャザーシート14の全面が倒伏状態でパッド本体10の内側面に接着される。
【0019】
そして、実施例1のパッド本体10は、長手方向Lの一方の端部(以下、第1端部10aという)に差込部Sを有し、長手方向Lの他方の端部(以下、第2端部10bという)に包囲部Hを有する。さらに、パッド本体10は、長手方向Lの中間部に折曲線O1が設定されている。折曲線O1とは、パッド本体10の長手方向Lの中心位置を通り、幅方向Wに延びる仮想線である。なお、吸収性物品1は、未使用の製品として供給されたときの形態として、パッド本体10が予め二つ折りに畳まれた状態にされていることがある。この場合、折曲線O1は、実際にパッド本体10が折り曲げられて折り曲げ癖となった線である。
【0020】
差込部Sは、パッド本体10がトップシート11を内側にして折曲線O1で二つ折りされたとき、幅方向Wの中間部が長手方向Lに沿って内側に屈曲された状態で後述するポケット部Pに差し込まれる領域である。差込部Sでは、外側から中心線O2に沿って摘ままれた際、幅方向Wの中間部が、長手方向Lに沿って内側に屈曲されて起立する。また、差込部Sが外側から中心線O2に沿って摘ままれたとき、差込部Sの幅方向Wの両端部は、互いに反対方向に延在したままの平坦な形状を維持する。なお、「中心線O2」とは、パッド本体10の幅方向Wの中心位置を通り、長手方向Lに延びる仮想線である。
【0021】
さらに、実施例1の差込部Sには、長手方向Lに沿ってパッド本体10を内側に折り曲げやすくする折り部15が形成されている。折り部15は、例えば、パッド本体10の内側面や内部に形成されると共に、長手方向Lに沿って線状或いは破線状に延びるスリットやエンボス等によって構成される。なお、折り部15の長手方向Lの長さXは任意に設定可能であるが、
図2に示されたように、係合部20を跨ぐように形成されることが望ましく、パッド本体10の全長にわたって形成されてもよい。また、折り部15は、中心線O2に沿って配置されることが望ましい。
【0022】
包囲部Hは、差込部Sがポケット部Pに差し込まれたとき、長手方向Lに沿って内側に屈曲されて、ポケット部Pに差し込まれた差込部Sを幅方向Wに沿って挟み込む領域である。また、包囲部Hは、長手方向Lに沿って内側に屈曲されたとき、幅方向Wの両側部の一部が係合部20に係合する。
【0023】
係合部20は、
図2に示されたように、パッド本体10の外側面、すなわちバックシート12のアウター物品側の表面に設けられ、第1端部10aと第2端部10bに配置されている。係合部20は、アウター物品及びパッド本体10の内側面の双方に係合可能な部材であり、アウター物品や着用者の肌を傷めないものであれば特に限定されないが、例えば、メカニカルフックテープや、ズレ止め用ホットメルト等によって構成される。また、実施例1の係合部20は、
図2に示されたように、中心線O2を跨いで幅方向Wに沿って帯状に延びている。
【0024】
なお、係合部20は、少なくともパッド本体10の第1端部10aに設けられていればよい。また、係合部20は、パッド本体10の長手方向Lに沿って、第1端部10aから第2端部10bに至るまで直線状に延び且つ幅方向Wに所定間隔をあけて配置された複数の線状を呈してもよいし、バックシート12の全面に設けられてもよい。さらに、三個以上の係合部20が、長手方向Lに沿って所定の間隔をあけて配置されてもよい。
【0025】
そして、パッド本体10の一方の端縁10cから一方の係合部20までの長手方向Lに沿った距離αは任意に設定される。また、パッド本体10の他方の端縁10dから他方の係合部20までの長手方向Lに沿った距離βは、包囲部Hが長手方向Lに沿って内側に屈曲されたときに他方の係合部20が包囲部Hに係合可能となる距離に設定される。
【0026】
ポケットシート30は、パッド本体10の第2端部10bに設けられ、パッド本体10の内側面を覆うシート材である。ポケットシート30は、例えばバックシート12と同様の体液を透過させない不透液性(遮水性)のシート材によって構成される。
【0027】
また、ポケットシート30は、幅方向Wの両縁部31a、31bが長手方向Lに平行に延び、長手方向Lの外方縁部31cが幅方向Wに平行に延び、さらに長手方向Lの内方縁部31dが、幅方向Wの中央部を中心に楔状に切り欠かれており、平面視で五角形状を呈している。そして、ポケットシート30は、
図3に示されたように、幅方向Wの両縁部31a、31bに沿った部分と、長手方向Lの外方縁部31cに沿った部分とがパッド本体10に接合されている。また、ポケットシート30の長手方向Lの内方縁部31dは、トップシート11に接合されていない。なお、
図3では、ポケットシート30がパッド本体10に接合される部分にドットを付して示している。
【0028】
これにより、ポケットシート30は、トップシート11に接合されていない内方縁部31dを開口縁とし、パッド本体10の長手方向Lの中間部(折曲線O1)に向かって開放したポケット部Pを形成する(
図4及び
図5参照)。つまり、ポケットシート30の長手方向Lの内方縁部31dは、ポケット部Pを形成する開放した縁部である。
【0029】
また、ポケットシート30の長手方向Lの内方縁部31dは、楔状に切り欠かれたことで、幅方向Wの両端部から幅方向Wの中央部に向かうにつれて、パッド本体10の長手方向Lの外方に近づくように斜めに設定されている。
【0030】
さらに、ポケットシート30の大きさは任意に設定することができるが、パッド本体10が有する差込部Sを、隙間なく収納可能なポケット部Pを形成する大きさに設定されることが望ましい。つまり、ポケットシート30の幅方向Wの長さは、パッド本体10の幅方向Wの長さよりも短くなるように設定される。
【0031】
実施例1の吸収性物品1の作用は、以下の通り説明される。
【0032】
実施例1の吸収性物品1は、使用後にトップシート11を内側にした状態で、パッド本体10の長手方向Lの中間部に設定された折曲線O1で二つ折りされてから廃棄される。このとき、吸収性物品1を廃棄する廃棄者は、まず、パッド本体10の差込部Sを中心線O2に沿って外側から摘まむ。これにより、
図6に示されたように、パッド本体10は、差込部Sにおいて、幅方向Wの中間部が長手方向Lに沿って内側に屈曲されて起立する。
【0033】
ここで、差込部Sには、折り部15が形成されている。このため、廃棄者は、差込部Sを長手方向Lに沿って内側に容易に折り曲げることができる。
【0034】
また、差込部Sでは、幅方向Wの中間部が起立するが、幅方向Wの両端部は、互いに反対方向に延在したままの平坦な形状が維持される(
図6参照)。このため、差込部Sは、外側から摘ままれた際、平面視において、隅角部Gを有する矩形状を呈する。
【0035】
次に、廃棄者は、トップシート11を内側にして、パッド本体10を折曲線O1で二つに折り畳む。そして、廃棄者は、パッド本体10の外側を摘まんだまま、差込部Sをトップシート11とポケットシート30との間に差し込む。すなわち、パッド本体10の差込部Sは、
図7に示されたように、幅方向Wの中間部が長手方向Lに沿って内側に屈曲された状態で、ポケット部Pに差し込まれる。
【0036】
ここで、ポケットシート30は、長手方向Lの内方縁部31dが、幅方向Wの両端部から幅方向Wの中央部に向かうにつれて、パッド本体10の長手方向Lの外方に近づくように斜めに設定されている。そのため、トップシート11に接合されていない内方縁部31dとトップシート11との間が大きく開いてポケット部Pを臨ませることができる。これにより、差込部Sは、隅角部Gがポケット部Pに容易に(円滑に)差し込まれると共に、起立した幅方向Wの中間部はポケット部Pに差し込まれない。このため、パッド本体10は、差込部Sの起立した部分とポケットシート30との干渉が回避された状態で、仮固定される。
【0037】
そして、廃棄者は、パッド本体10の差込部Sをポケット部Pに差し込んだ後、パッド本体10の包囲部Hの外側を押さえ、包囲部Hを長手方向Lに沿って内側に折り曲げる。これにより、包囲部Hによってポケット部Pに差し込まれた状態の差込部Sが挟まれる。また、このとき、
図8に示されたように、包囲部Hの内側面は、幅方向Wの両側部の一部が係合部20に係合する。
【0038】
この結果、実施例1の吸収性物品1では、パッド本体10が、トップシート11を内側にして、長手方向Lの中間部で二つ折りされた状態で仮固定される。このため、吸収性物品1は、廃棄時に開いて、トップシート11が露出することを防止できる。また、実施例1の吸収性物品1は、折り重なったパッド本体10の間に隙間が生じにくく、臭い漏れや体液の染み出しを抑制することができる。
【0039】
さらに、実施例1の吸収性物品1は、パッド本体10の差込部Sが外側から摘ままれることで、差込部Sの幅方向Wの中間部が、長手方向Lに沿って内側に屈曲される。そして、差込部Sは、外側が摘ままれたままポケット部Pに差し込まれる。さらに、パッド本体10の包囲部Hは、外側から押さえられて内側に向かって屈曲し、幅方向Wの両端部の一部が係合部20に係合する。
【0040】
このように、廃棄者は、吸収性物品1を廃棄する際、パッド本体10の外側を摘まんだり押さえたりしてパッド本体10を廃棄形状にすることができる。これにより、実施例1の吸収性物品1では、廃棄時、廃棄者が使用面であるトップシート11に触れにくくできる。
【0041】
なお、廃棄者は、吸収性物品1を廃棄する際、先にパッド本体10を折曲線O1で二つ折りにする。そして、廃棄者は、パッド本体10を二つ折りにした後、差込部Sを外側から摘まんで差込部Sをポケット部Pに差し込んでもよい。
【0042】
この場合、パッド本体10は、二つ折りにされてから差込部Sがポケット部Pに差し込まれるため、廃棄者は、さらにトップシート11に触れにくくなる。
【0043】
また、実施例1の吸収性物品1では、ポケットシート30の長手方向Lの内方縁部31dが、幅方向Wの両端部から幅方向Wの中央部に向かうにつれて、パッド本体10の長手方向Lの外方に近づくように斜めに設定されている。
【0044】
そのため、差込部Sがポケット部Pに差し込まれる際、差込部Sのうち、折り曲げられて起立した部分が、ポケットシート30に干渉することがない。これにより、廃棄者は、差込部Sをポケット部Pに容易に(円滑に) 差し込むことができ、さらにトップシート11に触れにくくなる。
【0045】
また、実施例1の吸収性物品1では、差込部Sに、長手方向Lに沿ってパッド本体10を折り曲げやすくする折り部15が形成されている。これにより、廃棄者によって差込部Sの外側が摘ままれた際、差込部Sは、折り部15を起点して折り曲がる。このため、パッド本体10の差込部Sは、長手方向Lに沿って内側に容易に折り曲がることができる。これにより、廃棄者は、パッド本体10を容易に廃棄形状に変形させることができる。
【0046】
以上、本発明の吸収性物品を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、実施例1に限られるものではなく、各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0047】
実施例1の吸収性物品1では、ポケットシート30の長手方向Lの内方縁部31dが楔状に切り欠かれ、内方縁部31dが、幅方向Wの両端部から幅方向Wの中央部に向かうにつれて、パッド本体10の長手方向Lの外方に近づくように斜めに設定された例が示された。しかしながら、ポケットシート30の形状は、実施例1に限らない。
【0048】
例えば、
図9に示された第1変形例の吸収性物品1Aに設けられたポケットシート40のように、長手方向Lの内方縁部41dが切り欠かれていなくてもよい。この場合、内方縁部41dは幅方向Wに平行に延びており、ポケットシート40は平面視で矩形状を呈する。これにより、ポケットシート40によってパッド本体10の内側面が覆われる面積を実施例1の吸収性物品1よりも拡大することができる。さらに、第1変形例の吸収性物品1Aは、ポケットシート40によって、パッド本体10の第2端部10bから、長手方向Lの外方に向かう体液の流れを阻止することができる。
【0049】
また、この場合、
図9に示されたように、ポケットシート40の幅方向Wの中間部に、内方縁部41dから長手方向Lに延びるミシン目42が形成されてもよい。ミシン目42は、長手方向Lに一定の間隔で並ぶ穴やスリットによって構成される。
【0050】
ミシン目42が形成されたことで、第1変形例のポケットシート40は、幅方向Wの中間部が容易に分割可能となる。そのため、第1変形例の吸収性物品1Aは、パッド本体10の差込部Sがポケット部Pに差し込まれた際、ポケットシート40がミシン目42で分割される。これにより、吸収性物品1Aは、ポケットシート40と、差込部Sの起立した部分との干渉を解消することができる。このため、差込部Sは、ポケット部Pに対して適切な位置まで差し込まれることができ、吸収性物品1Aは、安定した廃棄形状となることができる。
【0051】
なお、ポケットシート40にミシン目42が形成される場合は、ポケットシート40の内方縁部41dが幅方向Wに平行に延びていなくてもよい。内方縁部41dは、例えば、パッド本体10の長手方向Lの中間部に向かって凸湾曲状に形成されてもよい。
【0052】
また、
図10に示された第2変形例の吸収性物品1Bのように、包囲部Hの内側面に、パッド本体10が係合部20に係合する係合力よりも強い力で係合部20に係合可能な被係合部材50が設けられてもよい。ここで、被係合部材50は、例えば、メカニカルループテープや、ホットメルトが接着可能な剥離紙等によって構成される。また、被係合部材50は、包囲部Hの内側面のうち、包囲部Hが長手方向Lに沿って内側に屈曲された際、少なくとも係合部20に接触する部分に設けられていればよい。
【0053】
これにより、第2変形例の吸収性物品1Bでは、包囲部Hが長手方向Lに沿って内側に屈曲された際、係合部20に被係合部材50が係合することができる。このため、第2変形例の吸収性物品1Bは、実施例1の吸収性物品1よりも包囲部Hが係合部20に対して外れにくく、安定して廃棄形状に仮固定することができる。
【0054】
また
図11に示された第3変形例の吸収性物品1Cのように、パッド本体10において、差込部Sと折曲線O1との間に、第2折り部16が形成されてもよい。ここで、第2折り部16は、差込部Sに設けられた係合部20と、折曲線O1との間に設けられる。また、第2折り部16は、長手方向Lに沿ってパッド本体10を内側に折り曲げやすくする構造であり、パッド本体10の幅方向Wの両端部から幅方向Wの中央部に向かうにつれて、パッド本体10の長手方向Lの外方に近づく方向に延びている。なお、第2折り部16は、折り部15と同様に、パッド本体10の内側面や内部に形成されると共に、線状或いは破線状に延びるスリットやエンボス等によって構成される。
【0055】
第3変形例の吸収性物品1Cでは、第2折り部16が設けられたことで、廃棄者が差込部Sを摘まんだ際、差込部Sは、第2折り部16を起点にして折り曲がる。このため、廃棄者は、パッド本体10を容易に廃棄形状に変形させることができる。
【0056】
また、パッド本体10の差込部Sは、包囲部Hよりも剛性を高めてもよい。これにより、吸収性物品1は、差込部Sをポケット部Pに差し込む際、差込部Sがよれたり変形したりすることが抑えられ、差込部Sを差し込みやすくできる。なお、差込部Sの剛性は、例えば、包囲部Hよりも、差込部Sにおけるトップシート11やバックシート12の剛性を高めたり、吸収体13の厚みを増したりすることで高くなる。
【0057】
また、実施例1では差込部Sに折り部15が形成され、第3変形例では差込部Sと折曲線O1との間に第2折り部16が形成された例が示された。しかしながら、折り部15や第2折り部16は、必ずしも形成されなくてもよい。また、折り部15と第2折り部16の双方がパッド本体10に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 吸収性物品
10 パッド本体
10a 第1端部(長手方向の一方の端部)
10b 第2端部(長手方向の他方の端部)
11 トップシート
12 バックシート
13 吸収体
20 係合部
30 ポケットシート
P ポケット部
S 差込部
K 包囲部
L 長手方向
W 幅方向