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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047482
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】画像投影装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240329BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240329BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153125
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】濱田 由莉
(72)【発明者】
【氏名】村上 一臣
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA15
2H199DA18
2H199DA32
2H199DA33
2H199DA46
3D344AA03
3D344AA19
3D344AA26
3D344AA28
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】虚像を投影する方向を変化させることが可能な画像投影装置を提供する。
【解決手段】虚像を表示するための表示部に対して投影画像を投影する画像投影装置(100)であって、画像光を照射する画像照射部(10)と、画像光を反射する第1反射部(30)と、第1反射部(30)で反射された画像光を反射する第2反射部(40)と、第1反射部(30)と第2反射部(40)の間において画像光の光路上に配置され、画像光の光路を変更する光路変更部(50)とを備える画像投影装置(100)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
虚像を表示するための表示部に対して投影画像を投影する画像投影装置であって、
画像光を照射する画像照射部と、
前記画像光を反射する第1反射部と、
前記第1反射部で反射された前記画像光を反射する第2反射部と、
前記第1反射部と前記第2反射部の間において前記画像光の光路上に配置され、前記画像光の光路を変更する光路変更部とを備えることを特徴とする画像投影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像投影装置であって、
前記第1反射部で反射された前記画像光は、前記第1反射部と前記第2反射部の間における中間結像位置において、中間結像されることを特徴とする画像投影装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像投影装置であって、
前記光路変更部は、前記中間結像位置よりも前記第2反射部に近い位置に配置されていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像投影装置であって、
前記画像光は、第1画像光および第2画像光を含み、
前記光路変更部は、前記第1画像光または前記第2画像光の何れか一方の光路上に配置されていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像投影装置であって、
前記第1画像光は、前記表示部を介して前記第2画像光よりも遠方に前記虚像を表示し、
前記光路変更部は、前記第1画像光の光路上に配置されていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項6】
請求項4に記載の画像投影装置であって、
前記第1画像光と前記第2画像光の光路は、前記第1反射部と前記第2反射部の間における交差位置において交差し、
前記光路変更部は、前記交差位置よりも前記第2反射部に近い位置に配置されていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像投影装置であって、
前記第1反射部または第2反射部の角度を変更する反射鏡角度変更部を備えることを特徴とする画像投影装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
前記光路変更部は、プリズム、平行平板、レンズの何れか一つを含むことを特徴とする画像投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投影装置に関し、特に虚像を表示するための表示部に対して投影画像を投影する画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両内に各種情報を表示する装置として、アイコンを点灯表示する計器盤が用いられている。また、表示する情報量の増加とともに、計器盤に画像表示装置を埋め込むことや、計器盤全体を画像表示装置で構成することも提案されている。
【0003】
しかし、計器盤は車両のフロントガラス(ウィンドシールド)より下方に位置しているため、計器盤に表示された情報を運転者が視認するには、運転中に視線を下方に移動させる必要があるため好ましくない。そこで、フロントガラスに画像を投影して、運転者が車両の前方を視認したときに情報を読み取れるようにするヘッドアップディスプレイ(以下HUD:Head Up Display)も提案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0004】
また、より多くの情報を提示するために、運転支援HUD装置を用いて複数の画像をウィンドシールドに投影することも提案されている。しかし、複数の画像を異なる距離に虚像として投影して結像するためには、画像照射部と投影光学系を複数備える必要があり、インストルメントパネル内に収容するためには設計の自由度が低いという問題があった。そこで本願出願人は、一つの画像照射部内に複数の画像を表示し、プリズム等の光分岐部によって各画像の光路を分岐することで、省スペース化を図った画像投影装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-119248号公報
【特許文献2】特開2019-119262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし従来の画像投影装置では、ウィンドシールドを介して投影される虚像は、車両前方の風景に重ね合わされるため、車両前方の状況によっては視認しにくい領域が発生する場合がある。また、車両が走行する道路の勾配によって、運転者が自然に視線を向ける方向や角度も変化する。また、運転者の身長や座席位置などによって、虚像を視認しやすい俯角も変化する。しかし、従来の画像投影装置では、虚像が投影される上下方向への角度を変化させることができず、虚像の視認性を状況に応じて調整することが困難であった。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、虚像を投影する方向を変化させることが可能な画像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の画像投影装置は、虚像を表示するための表示部に対して投影画像を投影する画像投影装置であって、画像光を照射する画像照射部と、前記画像光を反射する第1反射部と、前記第1反射部で反射された前記画像光を反射する第2反射部と、前記第1反射部と前記第2反射部の間において前記画像光の光路上に配置され、前記画像光の光路を変更する光路変更部とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような本発明の画像投影装置では、第1反射部と第2反射部の間に配置された光路変更部で画像光の光路を変更するため、虚像を投影する方向を変化させることが可能となる。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記第1反射部で反射された前記画像光は、前記第1反射部と前記第2反射部の間における中間結像位置において、中間結像される。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記光路変更部は、前記中間結像位置よりも前記第2反射部に近い位置に配置されている。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記画像光は、第1画像光および第2画像光を含み、前記光路変更部は、前記第1画像光または前記第2画像光の何れか一方の光路上に配置されている。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記第1画像光は、前記表示部を介して前記第2画像光よりも遠方に前記虚像を表示し、前記光路変更部は、前記第1画像光の光路上に配置されている。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記第1画像光と前記第2画像光の光路は、前記第1反射部と前記第2反射部の間における交差位置において交差し、前記光路変更部は、前記交差位置よりも前記第2反射部に近い位置に配置されている。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記第1反射部または第2反射部の角度を変更する反射鏡角度変更部を備える。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記光路変更部は、プリズム、平行平板、レンズの何れか一つを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、虚像を投影する方向を変化させることが可能な画像投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る画像投影装置100の構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る画像投影装置100の構成を示す模式図である。
図3】第1画像光L1の光路を光路変更部50で変更して、第2反射部40への入射位置を変化させた例を示す模式図である。
図4】光路変更部50として平行平板を用いた場合の光路の変更を示す模式図である。
図5】第2実施形態に係る画像投影装置200の構成を示すブロック図である。
図6】第2実施形態に係る画像投影装置200の構成を示す模式図である。
図7】光路変更部50としてプリズムを用いた場合の光路の変更を示す模式図である。
図8】光路変更部50としてレンズを用いた場合の光路の変更を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。図1は、本実施形態に係る画像投影装置100の構成を示すブロック図である。図2は、本実施形態に係る画像投影装置100の構成を示す模式図である。図1に示すように、画像投影装置100は、画像照射部10と、光路調整部20と、第1反射部30と、第2反射部40と、光路変更部50と、制御部60を備えている。図2に示すように、画像投影装置100から投影された第1画像光L1と第2画像光L2は、ウィンドシールド(表示部)WSで反射されて運転者の視点位置に照射される。運転者は、第1画像光L1と第2画像光L2が入射してきた光路の延長上に結像された虚像P1,P2を視認する。
【0020】
画像照射部10は、制御部60からの画像情報に基づいて、画像を含んだ光照射する部分である。画像照射部10の具体的構成は限定されず、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置、レーザ光源と光変調素子の組み合わせ等の従来公知のものを用いることができる。図2に示した例では、液晶表示装置の背面側から発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)により光を照射するものを用いている。後述するように、画像照射部10は、遠方画像と近方画像をそれぞれ表示する遠方表示領域と近方表示領域を含んで構成されている。
【0021】
光路調整部20は、画像照射部10から照射される画像の光を第1画像光L1と第2画像光L2に分岐するとともに、両者の光路長に差を生じさせる光学部材である。図2に示した例では、遠方表示領域で表示される第1画像を第1画像光L1とし、近方表示領域で表示される第2画像を第2画像光L2として分岐する。光路調整部20は光を分岐する光学部材であれば構造は限定されず、プリズムを用いるとしてもよく、反射鏡で光の入射角と反射角を異ならせる等の手法を用いるとしてもよい。
【0022】
図2に示した例では光路調整部20として反射プリズムを用い、反射プリズムを画像照射部10の遠方表示領域と近方表示領域に重ねて配置している。反射プリズムとしては、透光性材料で構成された断面が平行四辺形の部材が挙げられる。平行四辺形の対向する一対の面は光の入射面および出射面であり、入射面と反射面に隣接する一対の面は、入射した光が全反射する角度で切り出されて反射面が形成されている。遠方表示領域から照射された第1画像光L1は、光路調整部20の反射面によって繰り返し反射された後に出射される。近方表示領域から照射された第2画像光L2は、光路調整部20を透過して出射される。したがって、第1画像光L1と第2画像光L2の光路は、異なる光路長で第1反射部30に到達する。図2では光路調整部20の反射プリズムとして、反射面として全反射する角度で切り出された例を示しているが、反射面での反射は全反射でなくともよい。
【0023】
ここで、光路調整部20を画像照射部10に重ねて配置するとは、平面視において光路調整部20を配置した領域が画像照射部10の画像表示領域と重複することを意味している。また、光路調整部20と画像照射部10が接触している場合も非接触の場合も重ねて配置に含まれるものとする。また、光路調整部20と画像照射部10の間に光を透過する光学部材や、両者の間隔を維持するための保持部材を介在させている場合も、重ねて配置に含まれる。
【0024】
第1反射部30は、光路調整部20から出射された第1画像光L1および第2画像光L2が入射し、第1画像光L1および第2画像光L2を第2反射部40方向に反射する光学部材である。図2に示した例では、第1反射部30として第1画像光L1および第2画像光L2を虚像P1,P2として投影するために必要な光学設計された凹面形状の自由曲面ミラーを示している。
【0025】
第2反射部40は、第1反射部30で反射された第1画像光L1および第2画像光L2が入射し、第1画像光L1および第2画像光L2をウィンドシールドWS方向に反射する光学部材である。図2に示した例では、第2反射部40として第1画像光L1および第2画像光L2を虚像P1,P2として投影するために必要な光学設計された凹面形状の自由曲面ミラーを示している。
【0026】
第1反射部30および第2反射部40の反射面は、ウィンドシールドWSを介して第1画像光L1および第2画像光L2を虚像P1,P2として投影するために、運転者の視点方向に光径が拡大するように設計されている。ここで、視点方向に光径が拡大するとは、反射後に光径が一貫して拡大する場合だけでなく、光径が縮小して中間地点において結像した後に拡大する場合も含む。
【0027】
図2では、第1画像光L1と第2画像光L2の光路を一本の直線として描いている。しかし、実際の第1画像光L1と第2画像光L2は、画像照射部10において所定の面積で表示されたものであり、進行方向に垂直な方向に所定の面積をもっている。また、第1画像光L1と第2画像光L2は、第1反射部30で反射されて光径が縮小されながら進行し、第1反射部30と第2反射部40の間の中間結像位置F(図示省略)において中間結像されるとしてもよい。
【0028】
第1反射部30で反射された第1画像光L1と第2画像光L2を中間結像位置Fで結像させる場合には、第1画像光L1と第2画像光L2の通過する断面積は、第1反射部30と第2反射部40の間の中間結像位置Fで最小となる。したがって、中間結像位置Fよりも第2反射部40に近い位置に光路変更部50を配置すると、光路変更部50のサイズを小型化して画像投影装置100の小型化と軽量化を図ることができる。
【0029】
また図2では、第1画像光L1と第2画像光L2の光路は、第1反射部30と第2反射部40の間における交差位置において交差している。交差位置を通過した後の第1画像光L1と第2画像光L2は、光路が分離されて第2反射部40に進行するため、交差位置よりも第2反射部40に近い位置に光路変更部50を配置することが好ましい。
【0030】
光路変更部50は、第1反射部30と第2反射部40の間において、第1画像光L1の光路上に配置され、第1画像光L1の光路を変更する光学部材である。光路変更部50は、図示を省略する駆動部を備えており、制御部60からの制御信号によって駆動部が駆動されて、光路に対する光路変更部50の角度を変化させることが可能とされている。駆動部の構成は限定されないが、例えば光路変更部50の角度を変更するモータ装置や、光の進行方向を電気的に制御する光学素子等を用いることができる。駆動部としてモータ装置を用いる場合には、回転角度を精密に制御することができるステッピングモータを用いることが好ましい。
【0031】
図2に示した例では、光路変更部50を第1画像光L1の光路上に配置した例を示しているが、第2画像光L2の光路上に配置して、第2画像光L2の光路を変更するとしてもよい。運転者から遠い位置に結像される虚像P1のほうが、車両の前方における風景と重ね合わされるため、虚像P1の視認性を向上させるためには、第1画像光L1の光路上に光路変更部50を配置して虚像P1の俯角を変更することが好ましい。また、図2では、光路変更部50として平行平板を用いた例を示したが、屈折や反射で光路を変更することができる光学部材を用いることができ、プリズムやレンズ、反射鏡を用いるとしてもよい。光路変更部50による光路の変更についての説明は後述する。
【0032】
制御部60は、画像投影装置100の各部と情報通信可能に接続されて、各部を制御する部分である。制御部60の構成は限定されないが、一例として情報処理を行うためのCPU(Central Processing Unit)や、メモリ装置、記録媒体、情報通信装置等を備えるものが挙げられる。制御部60は、予め定められたプログラムに従って各部の動作を制御し、画像を含んだ情報(画像情報)を画像照射部10に送出する。
【0033】
ウィンドシールドWSは、車両の運転席前方に設けられて可視光を透過する部分である。ウィンドシールドWSは、車両の内側面では第2反射部40から入射した第1画像光L1および第2画像光L2を視点方向に対して反射し、車両の外部からの光を視点方向に対して透過するため、本発明における表示部に相当している。ここでは表示部としてウィンドシールドWSを用いた例を示したが、ウィンドシールドWSとは別に表示部としてコンバイナーを用意し、第2反射部40からの光を視点方向に反射するとしてもよい。また、車両の前方に位置するものに限定されず、搭乗者の視点に対して画像を投影するものであれば側方や後方に配置するとしてもよい。
【0034】
虚像P1,P2は、ウィンドシールドWSで反射された第1画像光L1および第2画像光L2が運転者等の視点(アイボックス)に到達した際に、空間中に結像されたように表示される画像である。虚像P1,P2が結像される位置は、画像照射部10から照射された光が、第1反射部30、第2反射部40およびウィンドシールドWSで反射された後に視点方向に進行する際の拡がり角度によって決まる。
【0035】
画像投影装置100では、画像照射部10の遠方表示領域に表示された遠方画像が第1画像光L1として照射され、近方表示領域に表示された近方画像が第2画像光L2として照射される。遠方表示領域に表示される遠方画像としては、注意喚起の画像や緊急情報等の運転に関する補助的な情報が挙げられる。また、近方表示領域に表示される近方画像としては、速度と音量インジケータ、進行方向ガイド等が挙げられる。
【0036】
第1画像光L1と第2画像光L2は、光路調整部20に入射して、第1画像光L1と第2画像光L2の光路差が生じ、第1反射部30に到達して反射される。第1反射部30で反射された第1画像光L1は、光路変更部50を介して第2反射部40に到達する。また、第1反射部30で反射された第2画像光L2も第2反射部40に到達する。第2反射部40で反射された第1画像光L1と第2画像光L2は、それぞれウィンドシールドWSで反射されて運転者の視点に到達する。第1画像光L1および第2画像光L2は、第1反射部30および第2反射部40によって光径が拡大して視点に到達するため、運転者は第1画像光L1および第2画像光L2による虚像P1,P2が所定距離に結像されているように視認する。ここで、虚像P1,P2の結像位置は、第1画像のほうが第2画像よりも視点位置から遠いものとなっている。
【0037】
図3は、第1画像光L1の光路を光路変更部50で変更して、第2反射部40への入射位置を変化させた例を示す模式図である。本実施形態の画像投影装置100では、駆動部をステッピングモータで構成し、光路変更部50の角度を変更する構成としている。図中では、角度が変更される前の光路変更部50を実線で示し、角度変更された後の光路変更部50を破線で示している。また、光路変更部50の角度が変更される前後の光路を破線矢印で示している。
【0038】
制御部60は、車両に設けられた入力部からの入力指示や、予め定められたプログラムに基づいて、虚像P1を結像させる俯角(車両に対して水平方向からの角度)を決定する。また制御部60は、決定された俯角の角度に応じて、第1画像光L1の光路に対する光路変更部50の角度を算出し、駆動部を制御して光路変更部50を回転動作させる。このとき、駆動部は制御信号に従って駆動され、光路変更部50が紙面に垂直な方向を回転軸として回転され、第1画像光L1の光路に対する角度が変更される。
【0039】
これにより、光路変更部50に入射した第1画像光L1が到達する第2反射部40の反射面における入射位置が変更され、遠方画像である虚像P1の結像位置は紙面上下方向に移動する。ここでは制御部60を画像投影装置100の内部に備える場合を示しているが、画像投影装置100の外部に別途設けられた制御部60で算出された俯角に基づいて、駆動部に対する制御信号を生成し、情報通信手段を用いて駆動部の駆動を制御するとしてもよい。
【0040】
図4は、光路変更部50として平行平板を用いた場合の光路の変更を示す模式図である。図4(a)は、第1画像光L1の光路に対して光路変更部50を垂直に配置した例を示している。図4(b)は、第1画像光L1の入射角度に対して所定角度だけ光路変更部50が傾くように回転させた後の例を示している。図4(a)に示したように、光路変更部50が平行平板からなる場合には、光路変更部50に入射した第1画像光L1は、反対側の面から垂直に出射され、入射前後で光路が変化せず透過する。図4(b)に示したように、光路変更部50に対して所定角度だけ傾斜して第1画像光L1が入射した場合には、第1画像光L1は光路変更部50への入射と光路変更部50からの出射の際にそれぞれ屈折され、光路の中心が変化する。
【0041】
したがって光路変更部50を回転させる前後では、図3に示したように、第1画像光L1の光路が変更され、第2反射部40の反射面における第1画像光L1の入射位置が変化する。また第1画像光L1は、第2反射部40の反射面での入射位置が異なっているため、第2反射部40で反射された後の光路が変化する。また、ウィンドシールドWSに到達する第1画像光L1の光路も変化するため、ウィンドシールドWSで反射されて運転者の視点位置に到達する第1画像光L1の光路も変化する。これにより運転者は、光路変更部50の回転動作の前後において、第1画像光L1で結像される虚像P1の投影される方向が変化したように視認する。
【0042】
図3では第2反射部40で反射された後の第1画像光L1の光路として、光路変更部50を回転動作させる前の第1画像光L1の光路と平行な例を示した。しかし、第1画像光L1の反射角度は、第2反射部40の反射面の形状によって決定されるため、必ずしも光路変更部50の回転動作の前後において平行とは限らない。よって、第2反射部40の反射面形状を適切に設計することで、第2反射部40およびウィンドシールドWSで反射された第1画像光L1の進行角度を変更することもできる。この場合には、ウィンドシールドWSでの反射位置だけではなく、視点位置に到達する際の俯角も変更することができる。
【0043】
上述したように本実施形態の画像投影装置100では、第1反射部30と第2反射部40の間に配置された光路変更部50を回転駆動させて、第1画像光L1の光路を変更して第2反射部40とウィンドシールドWSでの反射位置を変更するため、虚像P1を投影する俯角を変化させることが可能となる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図5を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。図5は、本実施形態に係る画像投影装置200の構成を示すブロック図である。図6は、本実施形態に係る画像投影装置200の構成を示す模式図である。図5に示すように、画像投影装置200は、画像照射部10と、光路調整部20と、第1反射部30と、第2反射部40と、光路変更部50と、制御部60と、反射鏡角度変更部70を備えている。
【0045】
反射鏡角度変更部70は、制御部60からの制御信号によって駆動され、光路に対する第2反射部40の角度を変化させる部材である。反射鏡角度変更部70の構成は限定されないが、例えばモータ装置を用いることができる。駆動部としてモータ装置を用いる場合には、回転角度を精密に制御することができるステッピングモータを用いることが好ましい。また、図6では反射鏡角度変更部70を第2反射部40に設けて回転駆動する例を示したが、第1反射部30に設けて回転駆動するとしてもよい。
【0046】
図6に示したように画像投影装置200では、反射鏡角度変更部70は紙面に垂直な方向を回転軸として、第2反射部40を回転させて角度を変化させる。この反射鏡角度変更部70による第2反射部40の角度変更によって、第2反射部40の反射面で反射された第1画像光L1および第2画像光L2の進行方向が変更される。第2反射部40で反射された第1画像光L1および第2画像光L2は、ウィンドシールドWSで反射されて運転者の視点位置に到達する。このとき、第1画像光L1および第2画像光L2はウィンドシールドWSへの入射位置と入射角度が変化しているので、第1画像光L1で結像される虚像P1と、第2画像光L2で結像される虚像P2の結像位置は上下方向に変化し、運転者の視点位置からの俯角も変化する。
【0047】
また、光路変更部50は第1反射部30と第2反射部40の間において、第1画像光L1または第2画像光L2の光路上に配置され、第1画像光L1または第2画像光L2の光路を変更することもできる。反射鏡角度変更部70による第2反射部40の角度変化では、第1画像光L1と第2画像光L2の反射角度が同じ角度だけ変化するため、虚像P1,P2の結像位置も同程度変化する。しかし、反射鏡角度変更部70による光路変更と光路変更部50での第1画像光L1の光路変更を併用することで、第1画像光L1と第2画像光L2の光路を独立に制御することが可能となる。
【0048】
上述したように本実施形態の画像投影装置200では、第1反射部30と第2反射部40の間に配置された光路変更部50を回転駆動させるとともに、反射鏡角度変更部70で第1反射部30または第2反射部40を回転駆動させる。これにより、第1画像光L1および第2画像光L2の光路を変更して、虚像P1,P2を投影する俯角を変化させることが可能となる。
【0049】
(変形例1)
図7は、光路変更部50としてプリズムを用いた場合の光路の変更を示す模式図である。
図7(a)は、光路変更部50の回転駆動前の例を示しており、図7(b)は、第1画像光L1の入射角度に対して所定角度だけ光路変更部50を回転させた後の例を示している。図7(a)(b)に示したように、光路変更部50がプリズムからなる場合には、第1画像光L1は光路変更部50への入射と光路変更部50からの出射の際にそれぞれ屈折される。したがって、光路に対するプリズムの傾斜角度が変化すると、光路変更部50への第1画像光L1の入射角度と出射角度が変化し、第1画像光L1の光路が変化する。
【0050】
(変形例2)
図8は、光路変更部50としてレンズを用いた場合の光路の変更を示す模式図である。
図8(a)は、第1画像光L1の光路に対して光路変更部50を垂直に配置した例を示しており、図8(b)は、第1画像光L1の入射角度に対して所定角度だけ光路変更部50を回転させた後の例を示している。図8(a)(b)に示したように、光路変更部50がレンズからなる場合には、第1画像光L1は光路変更部50への入射と光路変更部50からの出射の際にそれぞれ屈折され、焦点距離に応じて集光される。したがって、光路に対するレンズの傾斜角度が変化すると、光路変更部50への第1画像光L1の入射角度と出射角度が変化し、第1画像光L1の光路が変化する。
【0051】
変形例1,2においても、第1反射部30と第2反射部40の間に配置された光路変更部50を回転駆動させて、第1画像光L1の光路を変更して第2反射部40とウィンドシールドWSでの反射位置を変更するため、虚像P1を投影する俯角を変化させることが可能となる。
【0052】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
100,200…画像投影装置
10…画像照射部
20…光路調整部
30…第1反射部
40…第2反射部
50…光路変更部
60…制御部
70…反射鏡角度変更部
P1,P2…虚像
図1
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図8