(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047500
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240329BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B41J2/01 109
B41J2/01 303
B41J2/01 307
B41J2/175 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153158
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】田中 智之
(72)【発明者】
【氏名】達川 淳平
(72)【発明者】
【氏名】竹内 智也
(72)【発明者】
【氏名】竹島 翔一
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB37
2C056EC11
2C056EC12
2C056EC33
2C056EC34
2C056EC35
2C056FA10
2C056FB01
2C056FB07
2C056HA02
2C056HA07
2C056HA10
2C056HA11
2C056HA37
2C056HA38
(57)【要約】
【課題】記録媒体の記録面に合わせて柄を記録することができる、インクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】第二移動機は、記録媒体及び第一移動機を第二座標軸方向に相対移動させる。インクジェットヘッドは、第一移動機によって記録ユニットが第一座標軸方向に移動している移動状態で、複数のノズルから記録面にインクを吐出する。記録面が凸状又は凹状で且つ第二座標軸方向に沿った表面形状を有する場合、回転機は、移動状態で、インクジェットヘッドを回転軸を中心として回転させ、吐出面を仮想直線と平行とし、第三移動機は、移動状態で、インクジェットヘッドを第三座標軸方向に移動させ、吐出面の基準位置と記録面の対向位置との間の垂直方向における離間距離を一定とする。仮想直線は、吐出面に垂直な垂直方向において吐出面の基準位置から最も近い記録面の対向位置を通り且つ垂直方向に直交する。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の記録面にインクを吐出する記録ユニットと、
前記記録ユニットを第一座標軸方向に移動させる第一移動機と、
前記記録媒体及び前記第一移動機を前記第一座標軸方向に直交する第二座標軸方向に相対移動させる第二移動機と、を備え、
前記記録ユニットは、
前記インクを吐出する複数のノズルを含むインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドを前記第二座標軸方向に沿った回転軸を中心として回転させる回転機と、
前記インクジェットヘッドを前記第一座標軸方向及び前記第二座標軸方向の両方向に直交する第三座標軸方向に移動させる第三移動機と、を含み、
前記インクジェットヘッドは、前記第一移動機によって前記記録ユニットが前記第一座標軸方向に移動している移動状態で、前記複数のノズルから前記記録面に前記インクを吐出し、
前記回転機は、前記記録面が前記第一座標軸方向において前記第三座標軸方向の第一側に凸状又は前記第三座標軸方向の第二側に凹状で且つ前記第二座標軸方向に沿った表面形状を有する場合、前記移動状態で、前記インクジェットヘッドを前記回転軸を中心として回転させ、前記複数のノズルが開口する前記インクジェットヘッドの吐出面を前記吐出面に垂直な垂直方向において前記吐出面の基準位置から最も近い前記記録面の対向位置を通り且つ前記垂直方向に直交する仮想直線と平行とし、
前記第三移動機は、前記記録面が前記表面形状を有する場合、前記移動状態で、前記インクジェットヘッドを前記第三座標軸方向に移動させ、前記基準位置と前記対向位置との間の前記垂直方向における離間距離を一定とする、インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記記録ユニットは、
前記インクジェットヘッドを搭載するキャリッジと、
前記キャリッジを支持する支持具と、
前記インクジェットヘッドに供給される前記インクを貯留するサブタンクと、
前記サブタンク及び前記インクジェットヘッドを接続し、前記サブタンクから前記インクジェットヘッドに前記インクを流す、接続流路と、を含み、
前記回転機及び前記サブタンクは、前記支持具に設けられ、
前記第三移動機は、前記支持具を鉛直方向に一致する前記第三座標軸方向に移動させ、
前記支持具は、前記キャリッジを前記回転軸を中心として回転自在に支持し、
前記サブタンクは、前記支持具で前記キャリッジに搭載された前記インクジェットヘッドより鉛直方向上側となる前記第三座標軸方向の第一側に設けられ、
前記回転機は、前記キャリッジを前記垂直方向が前記第三座標軸方向に沿い且つ鉛直方向下側となる前記第三座標軸方向の第二側に向けて前記複数のノズルから前記インクを吐出する状態の前記インクジェットヘッドにおける前記吐出面より前記第三座標軸方向の第一側で且つ前記サブタンクより前記第三座標軸方向の第二側となる位置に設定された前記回転軸を中心として回転させる、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記接続流路は、
前記回転軸を中心として回転する回転部と、
前記サブタンク及び前記回転部を接続し、前記サブタンクから流出した前記インクが流れる、上流部と、
前記回転部及び前記インクジェットヘッドを接続し、前記インクジェットヘッドに流入する前記インクが流れる、下流部と、を含み、
前記下流部は、前記回転軸に一致する位置に前記回転軸に沿って設けられ、
前記回転部は、前記上流部に対して前記下流部を前記回転軸を中心として回転させる、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記記録ユニットとして、
前記記録面に前記インクとしての第一インクを吐出する第一記録ユニットと、
前記記録面に前記インクとしての第二インクを吐出する第二記録ユニットと、を備え、
前記第一移動機は、
前記第一記録ユニットを前記第一座標軸方向に移動させ、
前記第二記録ユニットを前記第一座標軸方向に移動させる、請求項1から請求項3の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記第一記録ユニットは、前記記録面に第一色の前記第一インクを吐出し、
前記第二記録ユニットは、前記記録面に前記第一色とは異なる第二色の前記第二インクを吐出する、請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、印刷装置を開示する。印刷装置は、三次元の曲面を有するワークに対して液滴を吐出して所定の画像を印刷する。印刷装置は、印刷ユニットと、ワーク駆動ユニットと、制御部とを備える。印刷装置は、架台と、門型のガントリーとを有する。ガントリーは、架台から立設する。架台には、ワーク駆動ユニットが設けられる。ガントリーには、印刷ユニットが設けられる。印刷ユニットは、ワークの印刷面よりも上方に配置される。印刷ユニットは、X軸直動機構と、複数のインクジェット部とを有する。X軸直動機構は、ガントリーに取り付けられる。複数のインクジェット部は、X軸直動機構にそれぞれ取り付けられる。複数のインクジェット部は、X軸直動機構によって主走査方向にそれぞれ移動する。X軸直動機構は、リニアモータ式の駆動機構で構成される。X軸直動機構は、複数のインクジェット部をX方向にそれぞれ別々に駆動させる。インクジェット部は、主走査方向に移動しながらワークに向かって液滴を吐出することで、ワークの表面に画像を印刷する。ワーク駆動ユニットは、インクジェット部に対してワークを相対移動させる。画像は、副走査方向にも印刷される。副走査方向は、主走査方向に直交する。インクジェット部は、ヘッド部と、硬化部とを有する。硬化部は、インクを硬化させる。ワーク駆動ユニットの先端には、固定治具が取り付けられる。固定治具には、ワークが固定される。ワーク駆動ユニットは、固定治具に固定されたワークを印刷ユニットの下方に搬送する。ワーク駆動ユニットは、Y軸直動機構、Z軸直動機構、A軸回転機構及びB軸回転機構の4軸の駆動機構を有する。Y軸直動機構は、架台に載置され、ワークを副走査方向に移動させる。Z軸直動機構は、Y軸直動機構に取り付けられ、ワークを上下方向に移動させる。A軸回転機構は、A軸を中心にワークを旋回させる。A軸は、X方向に延びる。固定治具は、B軸回転機構に取り付けられる。B軸回転機構は、B軸を中心にワークを旋回させる。B軸は、Z方向に延びる。ワーク駆動ユニットは、Y軸直動機構、Z軸直動機構、A軸回転機構及びB軸回転機構を動作させることでインクジェット部の下方にワークを移動させる。ワークの位置及び姿勢は、ワーク駆動ユニットによって調整される。この他、ワーク駆動ユニットは、Y軸直動機構、Z軸直動機構、A軸回転機構、B軸回転機構及びC軸回転機構の5軸の駆動機構を有する。C軸回転機構は、C軸を中心にワークを旋回させる。C軸は、Z方向に延びる。ワーク駆動ユニットの駆動機構の数を増やすことで、ワークの姿勢の調整幅をさらに広げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドの複数のノズルから記録媒体の表面にインクを吐出し、記録媒体の記録面に柄を記録する。記録媒体の例としては、電気機器の筐体(外殻)、車両用及び建築用の内装材及び外装材、及び家具が挙げられる。即ち、記録媒体は、記録面に柄が記録された状態で各種製品を形成する部材となり、又は各種製品用の部品となる。このような記録媒体では、記録面が立体形状を有することがある。
【0005】
発明者は、インクジェット記録装置によって次の態様の立体形状を有する記録面に合わせて柄を記録することができる技術を検討した。この態様は、第一座標軸方向において第三座標軸方向に凸状又は凹状で且つ第二座標軸方向に沿った表面形状を有する。第二座標軸方向は、第一座標軸方向に直交する。第三座標軸方向は、第一座標軸方向及び第二座標軸方向の両方向に直交する。
【0006】
本発明は、記録媒体の記録面に合わせて柄を記録することができる、インクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、記録媒体の記録面にインクを吐出する記録ユニットと、前記記録ユニットを第一座標軸方向に移動させる第一移動機と、前記記録媒体及び前記第一移動機を前記第一座標軸方向に直交する第二座標軸方向に相対移動させる第二移動機と、を備え、前記記録ユニットは、前記インクを吐出する複数のノズルを含むインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを前記第二座標軸方向に沿った回転軸を中心として回転させる回転機と、前記インクジェットヘッドを前記第一座標軸方向及び前記第二座標軸方向の両方向に直交する第三座標軸方向に移動させる第三移動機と、を含み、前記インクジェットヘッドは、前記第一移動機によって前記記録ユニットが前記第一座標軸方向に移動している移動状態で、前記複数のノズルから前記記録面に前記インクを吐出し、前記回転機は、前記記録面が前記第一座標軸方向において前記第三座標軸方向の第一側に凸状又は前記第三座標軸方向の第二側に凹状で且つ前記第二座標軸方向に沿った表面形状を有する場合、前記移動状態で、前記インクジェットヘッドを前記回転軸を中心として回転させ、前記複数のノズルが開口する前記インクジェットヘッドの吐出面を前記吐出面に垂直な垂直方向において前記吐出面の基準位置から最も近い前記記録面の対向位置を通り且つ前記垂直方向に直交する仮想直線と平行とし、前記第三移動機は、前記記録面が前記表面形状を有する場合、前記移動状態で、前記インクジェットヘッドを前記第三座標軸方向に移動させ、前記基準位置と前記対向位置との間の前記垂直方向における離間距離を一定とする、インクジェット記録装置である。
【0008】
このインクジェット記録装置によれば、記録面に対する吐出面の向きと記録面及び吐出面の間隔とを一定に維持しつつ、記録ユニットを第一座標軸方向に移動させることができる。
【0009】
前記記録ユニットは、前記インクジェットヘッドを搭載するキャリッジと、前記キャリッジを支持する支持具と、前記インクジェットヘッドに供給される前記インクを貯留するサブタンクと、前記サブタンク及び前記インクジェットヘッドを接続し、前記サブタンクから前記インクジェットヘッドに前記インクを流す、接続流路と、を含み、前記回転機及び前記サブタンクは、前記支持具に設けられ、前記第三移動機は、前記支持具を鉛直方向に一致する前記第三座標軸方向に移動させ、前記支持具は、前記キャリッジを前記回転軸を中心として回転自在に支持し、前記サブタンクは、前記支持具で前記キャリッジに搭載された前記インクジェットヘッドより鉛直方向上側となる前記第三座標軸方向の第一側に設けられ、前記回転機は、前記キャリッジを前記垂直方向が前記第三座標軸方向に沿い且つ鉛直方向下側となる前記第三座標軸方向の第二側に向けて前記複数のノズルから前記インクを吐出する状態の前記インクジェットヘッドにおける前記吐出面より前記第三座標軸方向の第一側で且つ前記サブタンクより前記第三座標軸方向の第二側となる位置に設定された前記回転軸を中心として回転させる、ようにしてもよい。
【0010】
この構成によれば、回転軸をサブタンクより第三座標軸方向の第二側の位置に設定することができる。キャリッジを介した回転軸を中心とするインクジェットヘッドの回転では、目標とする設定値に対して実際の回転量(回転角)に「Δθ」の誤差が生じることも想定される。比較例を想定する。比較例では、インクジェットヘッドの回転の中心となる仮想回転軸がサブタンクより第三座標軸方向の第二側に位置する。回転軸から基準位置までの距離「A」は、仮想回転軸から基準位置までの距離「B」より短くなる(A<B)。上述の構成(前者)及び比較例の構成(後者)で回転量に同じ「Δθ」の誤差が生じた場合、前者で生じる基準位置の位置ずれ量は「2πA×Δθ/360°」であり、後者で生じる基準位置の位置ずれ量は「2πB×Δθ/360°」である。つまり、前者で生じる基準位置の位置ずれ量を後者で生じる基準位置の位置ずれ量の「A/B」倍と小さくすることができる。
【0011】
前記接続流路は、前記回転軸を中心として回転する回転部と、前記サブタンク及び前記回転部を接続し、前記サブタンクから流出した前記インクが流れる、上流部と、前記回転部及び前記インクジェットヘッドを接続し、前記インクジェットヘッドに流入する前記インクが流れる、下流部と、を含み、前記下流部は、前記回転軸に一致する位置に前記回転軸に沿って設けられ、前記回転部は、前記上流部に対して前記下流部を前記回転軸を中心として回転させる、ようにしてもよい。
【0012】
この構成によれば、接続流路をキャリッジを介した回転軸を中心とするインクジェットヘッドの回転に追従させることができる。接続流路とは異なり、回転部が設けられていない仮想流路を想定する。仮想流路は、サブタンク及びインクジェットヘッドを接続する。この場合、仮想流路は、次の長さを有する。この長さは、キャリッジを介した回転軸を中心とするインクジェットヘッドの回転に対応する。即ち、仮想流路の長さは、この回転に対応するための遊び分の長さだけ長く設定される。接続流路では、このような遊び分の長さを縮小又は省略することができる。
【0013】
前記記録ユニットとして、前記記録面に前記インクとしての第一インクを吐出する第一記録ユニットと、前記記録面に前記インクとしての第二インクを吐出する第二記録ユニットと、を備え、前記第一移動機は、前記第一記録ユニットを前記第一座標軸方向に移動させ、前記第二記録ユニットを前記第一座標軸方向に移動させる、ようにしてもよい。
【0014】
この構成によれば、第一記録ユニット及び第二記録ユニットを独立して動作させることができる。第一記録ユニット及び第二記録ユニットのそれぞれで、記録面に対する吐出面の向きと記録面及び吐出面の間隔とを一定に維持しつつ、第一記録ユニット及び第二記録ユニットをそれぞれ第一座標軸方向に移動させることができる。
【0015】
前記第一記録ユニットは、前記記録面に第一色の前記第一インクを吐出し、前記第二記録ユニットは、前記記録面に前記第一色とは異なる第二色の前記第二インクを吐出する、ようにしてもよい。
【0016】
この構成によれば、第一インク及び第二インクで柄を記録することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、記録媒体の記録面に合わせて柄を記録することができる、インクジェット記録装置を得ることができる。
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す斜視図である。柄の記録動作開始前の状態を示す。
【
図2】柄の記録動作中のインクジェット記録装置の概略構成の一例を一部を省略して示す斜視図である。インクジェット記録装置は、第一色用の記録ユニット、第二色用の記録ユニット、第三色用の記録ユニット及び第四色用の記録ユニットが第一座標軸方向の第三側の移動端に移動した状態を示す。
【
図3】柄の記録動作中のインクジェット記録装置の概略構成の一例を一部を省略して示す斜視図である。インクジェット記録装置は、第一色用の記録ユニットが記録面の第一傾斜面に第一インクを吐出している状態を示す。
【
図4】柄の記録動作中のインクジェット記録装置の概略構成の一例を一部を省略して示す斜視図である。インクジェット記録装置は、第一色用の記録ユニットが記録面の頂面の第一座標軸方向の第三側の領域に第一インクを吐出し、第二色用の記録ユニットが第一傾斜面に第二インクを吐出している状態を示す。
【
図5】柄の記録動作中のインクジェット記録装置の概略構成の一例を一部を省略して示す斜視図である。インクジェット記録装置は、第一色用の記録ユニットが頂面の第一座標軸方向の第四側の領域に第一インクを吐出し、第二色用の記録ユニットが頂面の第一座標軸方向の第三側の領域に第二インクを吐出し、第三色用の記録ユニットが第一傾斜面に第三インクを吐出している状態を示す。
【
図6】柄の記録動作中のインクジェット記録装置の概略構成の一例を一部を省略して示す斜視図である。インクジェット記録装置は、第一色用の記録ユニットが記録面の第二傾斜面に第一インクを吐出し、第二色用の記録ユニットが頂面の第一座標軸方向の第四側の領域に第二インクを吐出し、第三色用の記録ユニットが頂面の第一座標軸方向の第三側の領域に第三インクを吐出し、第四色用の記録ユニットが第一傾斜面に第四インクを吐出している状態を示す。
【
図7】柄の記録動作中のインクジェット記録装置の概略構成の一例を一部を省略して示す斜視図である。インクジェット記録装置は、第二色用の記録ユニットが第二傾斜面に第二インクを吐出し、第三色用の記録ユニットが頂面の第一座標軸方向の第四側の領域に第三インクを吐出し、第四色用の記録ユニットが頂面の第一座標軸方向の第三側の領域に第四インクを吐出している状態を示す。
【
図8】柄の記録動作中のインクジェット記録装置の概略構成の一例を一部を省略して示す斜視図である。インクジェット記録装置は、第三色用の記録ユニットが第二傾斜面に第二インクを吐出し、第四色用の記録ユニットが頂面の第一座標軸方向の第四側の領域に第四インクを吐出している状態を示す。
【
図9】柄の記録動作中のインクジェット記録装置の概略構成の一例を一部を省略して示す斜視図である。インクジェット記録装置は、第四色用の記録ユニットが第二傾斜面に第四インクを吐出している状態を示す。
【
図10】柄の記録動作中のインクジェット記録装置の概略構成の一例を一部を省略して示す斜視図である。インクジェット記録装置は、第一色用の記録ユニット、第二色用の記録ユニット、第三色用の記録ユニット及び第四色用の記録ユニットが第一座標軸方向の第四側の移動端に移動した状態を示す。
【
図11】柄の記録動作終了時のインクジェット記録装置の概略構成の一例を一部を省略して示す斜視図である。
【
図12】第一傾斜面への柄の記録動作中の記録ユニットの概略構成の一例を示す斜視図である。記録ユニットは、
図3の第一色用の記録ユニット、
図4の第二色用の記録ユニット、
図5の第三色用の記録ユニット又は
図6の第四色用の記録ユニットに対応する。第二移動機のレール及び支持台は、記録ユニットに対応する部分を示す。
【
図13】頂面の第一座標軸方向の第三側の領域への柄の記録動作中の記録ユニットの概略構成の一例を示す斜視図である。記録ユニットは、
図4の第一色用の記録ユニット、
図5の第二色用の記録ユニット、
図6の第三色用の記録ユニット又は
図7の第四色用の記録ユニットに対応する。第二移動機のレール及び支持台は、記録ユニットに対応する部分を示す。
【
図14】頂面の第一座標軸方向の第四側の領域への柄の記録動作中の記録ユニットの概略構成の一例を示す斜視図である。記録ユニットは、
図5の第一色用の記録ユニット、
図6の第二色用の記録ユニット、
図7の第三色用の記録ユニット又は
図8の第四色用の記録ユニットに対応する。第二移動機のレール及び支持台は、記録ユニットに対応する部分を示す。
【
図15】第二傾斜面への柄の記録動作中の記録ユニットの概略構成の一例を示す斜視図である。記録ユニットは、
図6の第一色用の記録ユニット、
図7の第二色用の記録ユニット、
図8の第三色用の記録ユニット又は
図9の第四色用の記録ユニットに対応する。第二移動機のレール及び支持台は、記録ユニットに対応する部分を示す。
【
図16】頂面への柄の記録動作中の記録ユニットの概略構成の一例を示す部分断面図である。記録ユニットは、
図4,5の第一色用の記録ユニット、
図5,6の第二色用の記録ユニット、
図6,7の第三色用の記録ユニット又は
図7,8の第四色用の記録ユニットに対応する。切断位置は、
図13,14のI-I線に対応する。第二移動機のレール及び支持台は、記録ユニットに対応する部分を示す。
【
図17】記録ユニットの概略構成の一例を示す底面図である。インクジェットヘッドの吐出面を示す。
【
図18】柄の記録動作中の記録ユニットの概略構成の一例を示す部分断面正面図である。記録ユニットは、記録面上を第一座標軸方向に移動している状態を示す。インクジェット記録装置を第二座標軸方向の第五側から見た状態に対応する。記録ユニットをインクジェットヘッドの位置で切断した切断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成に置換してもよい。本発明は、他の構成を含んでもよい。図面は、所定の構成を模式的に示す。各図面は、他の図面との対応、又は図面中の構成を特定する後述の数値との対応が正確ではない場合もある。ハッチングは、切断面を示す。一点鎖線は、中心線である。二点鎖線は、想像線である。破線は、かくれ線である。
【0020】
<インクジェット記録装置10>
インクジェット記録装置10について
図1~11を参照して説明する。実施形態では、インクジェット記録装置10を、第一座標軸方向、第二座標軸方向、第三座標軸方向及び垂直方向Vによって特定する。記録媒体15についても、インクジェット記録装置10に設けられた状態(
図1参照)を基準とし、第一座標軸方向、第二座標軸方向、第三座標軸方向によって特定する。第二座標軸方向は、第一座標軸方向に直交する。第三座標軸方向は、第一座標軸方向及び第二座標軸方向の両方向に直交する。第三座標軸方向を鉛直方向とする。この場合、第一座標軸方向及び第二座標軸方向は水平方向となる。第三座標軸方向の一方側を「第一側」といい、第一側とは反対となる第三座標軸方向の他方側を「第二側」という。第三座標軸方向の第一側を鉛直方向上側とし、第三座標軸方向の第二側を鉛直方向下側とする。第一座標軸方向の一方側を「第三側」といい、第三側とは反対となる第一座標軸方向の他方側を「第四側」という。第二座標軸方向の一方側を「第五側」といい、第五側とは反対となる第二座標軸方向の他方側を「第六側」という。垂直方向Vについては後述する。
【0021】
インクジェット記録装置10は、記録ユニット21,22,23,24と、第一移動機75と、第二移動機85とを備える(
図1参照)。この他、インクジェット記録装置10は、メインタンク101,102,103,104と、インク流路106,107,108,109とを備える。インクジェット記録装置10は、記録ユニット21,22,23,24、第一移動機75及び第二移動機85を動作させて記録媒体15の記録面16に柄を記録する(
図2~11参照)。
図2~11では、インク流路106,107,108,109のそれぞれで中間部の図示は省略する。
【0022】
記録面16は、第一座標軸方向において第三座標軸方向の第一側に凸状又は第三座標軸方向の第二側に凹状で且つ第二座標軸方向に沿った表面形状を有する。実施形態では、記録面16は、第一座標軸方向において第三座標軸方向の第一側に凸状で且つ第二座標軸方向に沿った表面形状を有する。更に、実施形態では、この表面形状は、第一傾斜面17、頂面18及び第二傾斜面19を含み、第一傾斜面17、頂面18及び第二傾斜面19がこの順で第一座標軸方向の第三側から第四側に連なる。第一傾斜面17は、第一座標軸方向の第三側から第四側に向かうに従い、第三座標軸方向の第二側から第一側に傾斜する。第一傾斜面17は、第一座標軸方向の第四側で頂面18の第一座標軸方向の第三側と連なる。頂面18は、水平とする。第二傾斜面19は、第一座標軸方向の第三側から第四側に向かうに従い、第三座標軸方向の第一側から第二側に傾斜する。第二傾斜面19は、第一座標軸方向の第三側で頂面18の第一座標軸方向の第四側と連なる。記録面16は、全体として第三座標軸方向の第一側に凸状で第二座標軸方向に沿った表面形状を有する。
図11で記録面16に付した模様は、柄に対応する。
図6~10及び後述する
図13~16では、柄の図示は省略する。
【0023】
記録ユニット21は、記録面16に第一インクを吐出する(
図3~6及び
図6~3参照)。記録ユニット22は、記録面16に第二インクを吐出する(
図4~7及び
図7~4参照)。記録ユニット23は、記録面16に第三インクを吐出する(
図5~8及び
図8~5参照)。記録ユニット24は、記録面16に第四インクを吐出する(
図6~9及び
図9~6参照)。この他、記録ユニット21,22,23,24については後述する。
【0024】
実施形態では、第一インクは第一色の着色剤を含有し、第二インクは第二色の着色剤を含有し、第三インクは第三色の着色剤を含有し、第四インクは第四色の着色剤を含有する。着色剤の例としては、顔料及び染料が挙げられる。実施形態では、第二色は第一色とは異なり、第三色は第一色及び第二色とは異なり、第四色は第一色、第二色及び第三色とは異なる。第一色、第二色、第三色及び第四色の組み合わせの例としては、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの組み合わせが挙げられる。但し、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色は例示である。第二色は第一色と同じであってもよく、第三色は第一色又は第二色と同じであってもよく、第四色は第一色、第二色又は第三色と同じであってもよい。換言すれば、第二インクは第一インクと同色であってもよく、第三インクは第一インク又は第二インクと同色であってもよく、第四インクは第一インク、第二インク又は第三インクと同色であってもよい。第一インク、第二インク、第三インク及び第四インクのインク色(第一色、第二色、第三色及び第四色)は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0025】
第一移動機75は、記録ユニット21,22,23,24をそれぞれ第一座標軸方向に移動させる(
図2~10及び
図10~2参照)。インクジェット記録装置10は、第一移動機75として直動機構を採用する。第一移動機75として採用可能な直動機構の例としては、リニアモータアクチュエータが挙げられる。実施形態では、第一移動機75としてリニアモータアクチュエータを例示する。この場合、第一移動機75は、固定子76と、可動子81,82,83,84とを含む。固定子76は、第一座標軸方向に沿って設けられる。固定子76は、インクジェット記録装置10の架台に設けられる。実施形態では、インクジェット記録装置10の架台の図示は省略する。
【0026】
可動子81は、固定子76との間で可動子81に作用する推進力によって固定子76上を第一座標軸方向の第三側から第四側へと移動する(
図2~10参照)。可動子81は、固定子76との間で可動子81に作用する推進力によって固定子76上を第一座標軸方向の第四側から第三側へと移動する(
図10~2参照)。可動子81には、記録ユニット21が設けられる。第一移動機75は、可動子81を第一座標軸方向に移動させることで、記録ユニット21を第一座標軸方向に移動させる。即ち、第一移動機75は、記録ユニット21を第一座標軸方向の第三側から第四側及び第一座標軸方向の第四側から第三側へと往復移動させる。
【0027】
可動子82は、固定子76との間で可動子82に作用する推進力によって固定子76上を第一座標軸方向の第三側から第四側へと移動する(
図2~10参照)。可動子82は、固定子76との間で可動子82に作用する推進力によって固定子76上を第一座標軸方向の第四側から第三側へと移動する(
図10~2参照)。可動子82には、記録ユニット22が設けられる。第一移動機75は、可動子82を第一座標軸方向に移動させることで、記録ユニット22を第一座標軸方向に移動させる。即ち、第一移動機75は、記録ユニット22を第一座標軸方向の第三側から第四側及び第一座標軸方向の第四側から第三側へと往復移動させる。
【0028】
可動子83は、固定子76との間で可動子83に作用する推進力によって固定子76上を第一座標軸方向の第三側から第四側へと移動する(
図2~10参照)。可動子83は、固定子76との間で可動子83に作用する推進力によって固定子76上を第一座標軸方向の第四側から第三側へと移動する(
図10~2参照)。可動子83には、記録ユニット23が設けられる。第一移動機75は、可動子83を第一座標軸方向に移動させることで、記録ユニット23を第一座標軸方向に移動させる。即ち、第一移動機75は、記録ユニット23を第一座標軸方向の第三側から第四側及び第一座標軸方向の第四側から第三側へと往復移動させる。
【0029】
可動子84は、固定子76との間で可動子84に作用する推進力によって固定子76上を第一座標軸方向の第三側から第四側へと移動する(
図2~10参照)。可動子84は、固定子76との間で可動子84に作用する推進力によって固定子76上を第一座標軸方向の第四側から第三側へと移動する(
図10~2参照)。可動子84には、記録ユニット24が設けられる。第一移動機75は、可動子84を第一座標軸方向に移動させることで、記録ユニット24を第一座標軸方向に移動させる。即ち、第一移動機75は、記録ユニット24を第一座標軸方向の第三側から第四側及び第一座標軸方向の第四側から第三側へと往復移動させる。
【0030】
直動機構としてのリニアモータアクチュエータは公知である。インクジェット記録装置10は、第一移動機75として公知のリニアモータアクチュエータを採用することができる。従って、第一移動機75の構造に関するこの他の説明は省略する。
【0031】
第二移動機85は、記録媒体15及び第一移動機75を第二座標軸方向に相対移動させる(
図1,2,10,11参照)。換言すれば、第二移動機85は、記録媒体15と記録ユニット21,22,23,24とを第二座標軸方向に相対移動させる。実施形態では、柄の記録動作中、第二移動機85によるこの相対移動は、記録媒体15を第二座標軸方向の第五側から第六側に移動させて行われる。即ち、第二移動機85は、柄の記録動作中、記録媒体15を第二座標軸方向の第五側から第六側に移動させる。記録媒体15は、第二座標軸方向の第五側から第六側への移動途中、次の移動経路を通過する。この移動経路には、第一移動機75によって記録ユニット21,22,23,24が第一座標軸方向に移動する。
【0032】
第二移動機85は、柄の記録動作中、次の第一主走査及び第二主走査に対応させて記録媒体15を第二座標軸方向の第五側から第六側に移動させる。第一主走査では、第一移動機75は記録ユニット21,22,23,24をこの順でそれぞれ第一座標軸方向の第三側から第四側へと移動させる(
図2~10参照)。第二主走査では、第一移動機75は記録ユニット24,23,22,21をこの順でそれぞれ第一座標軸方向の第四側から第三側へと移動させる(
図10~2参照)。即ち、柄の記録動作中、第二移動機85による記録媒体15の移動は、第一主走査に伴う記録ユニット21,22,23,24の第一座標軸方向の第四側の移動端への到達(
図10参照)、及び第二主走査に伴う記録ユニット24,23,22,21の第一座標軸方向の第三側の移動端への到達(
図2参照)に応じて間欠的に行われる。
【0033】
第二移動機85は、記録媒体15を第二座標軸方向の第五側から第六側に1回当たり搬送距離T(
図10,2参照)だけ移動させる。搬送距離Tは、ノズル領域N(後述する
図17参照)の第二座標軸方向の寸法に応じて決定してもよい。例えば、搬送距離Tは、ノズル領域Nの第二座標軸方向の寸法以下に設定される。ノズル領域Nについては後述する。
【0034】
インクジェット記録装置10は、第二移動機85として直動機構を採用する。第二移動機85として採用可能な直動機構の例としては、ボールねじ、駆動機及びガイドの組み合わせが挙げられる。実施形態では、第二移動機85として前述の組み合わせを例示する。この場合、第二移動機85は、ボールねじ86と、駆動機89と、ガイド90,91と、載置台94と、支持台95とを含む(
図1参照)。第二移動機85は、ガイド90,91としてリニアガイドを採用する。但し、ガイド90,91は、リニアシャフト及びブッシュの組み合わせとしてもよく、又はボールスプラインとしてもよい。ブッシュの例としては、リニアブッシュが挙げられる。ガイド90,91の仕様は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0035】
ボールねじ86のねじ軸87は、第二座標軸方向に沿って回転自在に設けられる。ボールねじ86のナット88は、ねじ軸87の回転に応じて第二座標軸方向に移動する。駆動機89は、ねじ軸87に連結される。駆動機89としては、モータのような回転機を採用することができる。駆動機89の例としては、サーボモータが挙げられる。駆動機89としてのサーボモータは、エンコーダを含む。駆動機89は、ねじ軸87を回転させる。
図1でねじ軸87の先端外周に示す弧状の矢印は、ねじ軸87の回転方向を示す。実施形態では、駆動機89は第二座標軸方向の第五側に配置され、ねじ軸87の先端は第二座標軸方向の第六側に配置される。ガイド90は、ボールねじ86の第一座標軸方向の第三側に設けられる。ガイド91は、ボールねじ86の第一座標軸方向の第四側に設けられる。ガイド90,91では、レール92が第二座標軸方向に沿って設けられ、ブロック93がレール92上を第二座標軸方向に移動する。載置台94は、ナット88及びガイド90,91のブロック93に固定される。載置台94には、記録媒体15が載せ置かれる。載置台94は、記録媒体15を支持する。
【0036】
支持台95は、ボールねじ86、駆動機89及びガイド90,91を支持する。即ち、支持台95は、第二座標軸方向の第五側で駆動機89を支持し、第二座標軸方向の第六側でボールねじ86の先端を回転自在に支持する。支持台95は、第一座標軸方向の第三側でガイド90を支持し、第一座標軸方向の第四側でガイド91を支持する。
【0037】
インクジェット記録装置10では、駆動機89がねじ軸87を所定の方向に回転させることで、ナット88が第二座標軸方向の第五側から第六側に移動する(
図10参照)。この場合、駆動機89は、ねじ軸87を次の回転量だけ回転させる。この回転量は、ナット88の第二座標軸方向の第五側から第六側への移動量を搬送距離Tとする。載置台94は、第二座標軸方向の第五側から第六側に搬送距離Tだけ移動するナット88と同じ向きに同じ量(搬送距離T)だけ移動する。駆動機89がねじ軸87を前述の方向とは反対方向に回転させることで、ナット88が第二座標軸方向の第六側から第五側に移動する。この場合、駆動機89は、ねじ軸87を次の回転量だけ回転させる。例えば、この回転量は、ナット88の第二座標軸方向の位置を
図1へと戻す。載置台94は、第二座標軸方向の第六側から第五側に移動するナット88と同じ向きに同じ量だけ移動する。
【0038】
ガイド90,91は、上述したような載置台94の第二座標軸方向の第五側から第六側への移動及び第二座標軸方向の第六側から第五側への移動をガイドする。換言すれば、載置台94は、ガイド90,91によってガイドされた状態で第二座標軸方向の第五側から第六側及び第二座標軸方向の第六側から第五側に移動する。
【0039】
記録媒体15は、載置台94を第二座標軸方向の第五側の移動端に移動させた状態で載置台94上に載せ置かれる(
図1参照)。これに伴い、記録媒体15はインクジェット記録装置10に設けられる。記録媒体15は、載置台94を第二座標軸方向の第六側の移動端に移動させた状態で載置台94上から取り除かれる(
図11参照)。これに伴い、記録媒体15はインクジェット記録装置10から回収される。
【0040】
但し、このような記録媒体15の載せ置き及び取り除きは例示である。記録媒体15は、柄の記録動作終了後、載置台94を第二座標軸方向の第五側の移動端に移動させた状態で載置台94上から取り除かれてもよい。インクジェット記録装置10で柄の記録動作が実行される場合、第二移動機85は、記録媒体15及び第一移動機75の相対移動を、記録媒体15を第二座標軸方向の第六側から第五側に移動させて行ってもよい。例えば、第二移動機85は、記録媒体15が載置台94に載せ置かれた後、載置台94上の記録媒体15を第一移動機75より第二座標軸方向の第六側に移動させる。その後、第二移動機85は、上記同様、載置台94を第二座標軸方向の第六側から第五側に搬送距離Tずつ間欠的に移動させる。
【0041】
インクジェット記録装置10では、次の第一事項、第二事項及び第三事項は諸条件を考慮して適宜決定される。第一事項は、記録媒体15を載置台94に載せ置く位置に関する。第二事項は、記録媒体15を載置台94から取り除く位置に関する。第三事項は、記録媒体15を移動させる第二座標軸方向の向きに関する。
【0042】
メインタンク101は、第一インクを貯留する。インク流路106は、メインタンク101及び記録ユニット21を接続する。第一インクは、メインタンク101からインク流路106を流れて記録ユニット21に供給される。
【0043】
メインタンク102は、第二インクを貯留する。インク流路107は、メインタンク102及び記録ユニット22を接続する。第二インクは、メインタンク102からインク流路107を流れて記録ユニット22に供給される。
【0044】
メインタンク103は、第三インクを貯留する。インク流路108は、メインタンク103及び記録ユニット23を接続する。第三インクは、メインタンク103からインク流路108を流れて記録ユニット23に供給される。
【0045】
メインタンク104は、第四インクを貯留する。インク流路109は、メインタンク104及び記録ユニット24を接続する。第四インクは、メインタンク104からインク流路109を流れて記録ユニット24に供給される。
【0046】
<記録ユニット21,22,23,24>
記録ユニット21,22,23,24は、記録ユニット21が第一インクを吐出し、記録ユニット22が第二インクを吐出し、記録ユニット23が第三インクを吐出し、記録ユニット24が第四インクを吐出する点で相違する。但し、記録ユニット21,22,23,24は、機械的には同じ構造を有する。
【0047】
実施形態では、記録ユニット21,22,23,24を区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「記録ユニット20」という。第一インク、第二インク、第三インク及び第四インクを区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「インク」という。メインタンク101,102,103,104を区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「メインタンク100」という。インク流路106,107,108,109を区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「インク流路105」という。
【0048】
記録ユニット21,22,23,24についての説明は、一部の説明を除き、記録ユニット21,22,23,24を区別することなく、記録ユニット20に基づき
図12~18を参照して行う。この場合、記録ユニット20、インク、メインタンク100及びインク流路105の組み合わせは次の通りである。即ち、記録ユニット20が記録ユニット21に対応する場合、この記録ユニット20に関し、インクは第一インクであり、メインタンク100はメインタンク101であり、インク流路105はインク流路106である。記録ユニット20が記録ユニット22に対応する場合、この記録ユニット20に関し、インクは第二インクであり、メインタンク100はメインタンク102であり、インク流路105はインク流路107である。記録ユニット20が記録ユニット23に対応する場合、この記録ユニット20に関し、インクは第三インクであり、メインタンク100はメインタンク103であり、インク流路105はインク流路108である。記録ユニット20が記録ユニット24に対応する場合、この記録ユニット20に関し、インクは第四インクであり、メインタンク100はメインタンク104であり、インク流路105はインク流路109である。
【0049】
記録ユニット20は、インクジェットヘッド30と、キャリッジ40と、支持具45と、回転機50と、サブタンク55と、接続流路60と、第三移動機65とを含む(
図12~16参照)。
【0050】
インクジェットヘッド30は、吐出面32に複数のノズル31を含む(
図16,17参照)。
図16,17では、複数のノズル31のうちの一部のノズル31に対して符号「31」を付している。吐出面32は、移動状態で記録面16と垂直方向Vに対向する(
図18参照)。移動状態では、第一移動機75によって記録ユニット20が第一座標軸方向に移動する(
図2~10及び
図10~2参照)。垂直方向Vは、吐出面32に垂直となる。吐出面32が水平な状態である場合(
図13,14参照)、垂直方向Vは第三座標軸方向に一致する(
図18で「頂面18」上に位置する2個の「記録ユニット20」参照)。複数のノズル31は、吐出面32で開口する(
図16~18参照)。
【0051】
複数のノズル31は、吐出面32で第二座標軸方向に整列する(
図16,17参照)。実施形態では、複数のノズル31は吐出面32で1列に配置される。但し、このような吐出面32における複数のノズル31の配置は例示である。吐出面32における複数のノズル31の配置は、複数列であってもよい。複数のノズル31が吐出面32に2列で配置されるとする。この場合、半数のノズル31が1列目のノズル列を形成し、残りのノズル31が2列目のノズル列を形成する。2列のノズル列は、吐出面32で次の方向に隣り合う。この方向は、吐出面32内で第二座標軸方向に直交する。2列のノズル列は、第二座標軸方向に所定量だけずれて配置される。即ち、複数のノズル31は、吐出面32で2列の千鳥状に配置される。複数のノズル31の配置は諸条件を考慮して適宜決定される。
【0052】
インクジェットヘッド30は、移動状態(
図2~10及び
図10~2参照)で、複数のノズル31から記録面16にインクを吐出する。その際、インクジェットヘッド30は、複数のノズル31から垂直方向Vにインクを吐出する(
図16,18参照)。
図16,18では、ノズル31から吐出されたインクの図示は省略する。インクは、記録面16に着弾する。
【0053】
図12の記録ユニット20でインクジェットヘッド30が複数のノズル31からインクを吐出したとする。
図12の記録ユニット20は、
図18で第一傾斜面17上に位置する記録ユニット20に対応する。この場合、インクは、第一傾斜面17に着弾する。
【0054】
図13の記録ユニット20でインクジェットヘッド30が複数のノズル31からインクを吐出したとする。
図13の記録ユニット20は、
図18で頂面18の第一座標軸方向の第三側の領域上に位置する記録ユニット20に対応する。この場合、インクは、頂面18の第一座標軸方向の第三側の領域に着弾する。
【0055】
図14の記録ユニット20でインクジェットヘッド30が複数のノズル31からインクを吐出したとする。
図14の記録ユニット20は、
図18で頂面18の第一座標軸方向の第四側の領域上に位置する記録ユニット20に対応する。この場合、インクは、頂面18の第一座標軸方向の第四側の領域に着弾する。
【0056】
図15の記録ユニット20でインクジェットヘッド30が複数のノズル31からインクを吐出したとする。
図15の記録ユニット20は、
図18で第二傾斜面19上に位置する記録ユニット20に対応する。この場合、インクは、第二傾斜面19に着弾する。
【0057】
インクジェットヘッド30は、記録面16上で複数のノズル31から記録面16に向けて垂直方向Vにインクを吐出し、記録面16に柄を記録する(
図12~16,18参照)。即ち、記録ユニット21のインクジェットヘッド30は、記録面16上で複数のノズル31から記録面16に向けて垂直方向Vに第一インクを吐出し、記録面16に柄を第一インクによって記録する。記録ユニット22のインクジェットヘッド30は、記録面16上で複数のノズル31から記録面16に向けて垂直方向Vに第二インクを吐出し、記録面16に柄を第二インクによって記録する。記録ユニット23のインクジェットヘッド30は、記録面16上で複数のノズル31から記録面16に向けて垂直方向Vに第三インクを吐出し、記録面16に柄を第三インクによって記録する。記録ユニット24のインクジェットヘッド30は、記録面16上で複数のノズル31から記録面16に向けて垂直方向Vに第四インクを吐出し、記録面16に柄を第四インクによって記録する。
【0058】
インクジェットヘッド30は、供給口33と、内部流路34とを含む(
図16参照)。供給口33には、接続流路60が接続される。インクは、接続流路60から供給口33を通過してインクジェットヘッド30内に流入する。内部流路34は、供給口33と複数のノズル31とを繋ぐ。供給口33から流入したインクは、内部流路34を流れて複数のノズル31に到達する。
【0059】
内部流路34は、本流部35と、複数の支流部36とを含む。本流部35は、供給口33から連続し、第二座標軸方向に沿って形成される。供給口33から流入したインクは、本流部35を流れる。複数の支流部36は、本流部35から分岐し、複数のノズル31にそれぞれ繋がる。本流部35から流入したインクは、支流部36をそれぞれ流れて複数のノズル31にそれぞれ到達する。
図16では、複数の支流部36のうちの1本の支流部に対して符号「36」を付している。
【0060】
キャリッジ40は、インクジェットヘッド30を搭載する(
図12~16参照)。支持具45は、インクジェットヘッド30が搭載されたキャリッジ40を支持する。支持具45は、キャリッジ40を回転軸Rを中心として回転自在に支持する。回転軸Rは、第二座標軸方向に沿って設けられる。記録ユニット20では、キャリッジ40及び支持具45は共に3個のフレームを一体とした枠状の構造を有する。
【0061】
記録ユニット20は、回転機50としてサーボモータを採用する。回転機50としてのサーボモータは、エンコーダを含む。回転機50は、支持具45に設けられる。回転機50は、次の状態で支持具45に固定される(
図16参照)。この状態では、回転機50としてのサーボモータのシャフトがキャリッジ40に固定される。回転機50は、キャリッジ40を回転軸Rを中心として回転させる(
図12~16,18参照)。これに伴い、回転機50は、インクジェットヘッド30を回転軸Rを中心として回転させる。
図12~15で回転軸Rを中心とする円弧の矢印は、インクジェットヘッド30(キャリッジ40)の回転方向を示す。記録ユニット20では、回転軸Rは次の位置に設定される。この位置は、次の状態のインクジェットヘッド30の吐出面32より第三座標軸方向の第一側である。この状態では、垂直方向Vが第三座標軸方向に沿い且つインクジェットヘッド30がインクを第三座標軸方向の第二側に向けて吐出する。更に、この位置は、サブタンク55より第三座標軸方向の第二側となる。
【0062】
サブタンク55は、インクを貯留する(
図12~16参照)。インクは、メインタンク100から流出し、インク流路105を流れてサブタンク55に流入する。サブタンク55は、支持具45に設けられる。サブタンク55は、支持具45でキャリッジ40に搭載されたインクジェットヘッド30より第三座標軸方向の第一側に設けられる。記録ユニット20は、インクジェットヘッド30(キャリッジ40)の回転に関わらず、サブタンク55を一定の姿勢に維持する。
【0063】
接続流路60は、サブタンク55及びインクジェットヘッド30を接続する(
図12~16参照)。接続流路60は、サブタンク55からインクジェットヘッド30にインクを流す。接続流路60は、回転部61と、上流部62と、下流部63とを含む。回転部61は、回転軸Rを中心として回転する。回転部61の例としては、回転軸受を含む回転機構が挙げられる。上流部62は、サブタンク55及び回転部61を接続する。上流部62には、サブタンク55から流出したインクが流れる。下流部63は、回転部61及びインクジェットヘッド30を接続する。下流部63は、供給口33に繋がる。下流部63には、インクジェットヘッド30に流入するインクが流れる。
【0064】
下流部63は、回転軸Rに一致する位置に回転軸Rに沿って設けられる(
図16参照)。回転部61は、上流部62及び下流部63を相対回転させる。即ち、回転部61は、上流部62に対して下流部63を回転軸Rを中心として回転(相対回転)させる。接続流路60では、下流部63が上流部62に対して回転軸Rを中心として回転(相対回転)する。換言すれば、回転部61は、下流部63に対して上流部62を回転軸Rを中心として回転(相対回転)させる。接続流路60では、上流部62が下流部63に対して回転軸Rを中心として回転(相対回転)する。
【0065】
接続流路60では、公知の回転継手を採用することができる(
図12~16参照)。接続流路60で回転継手を採用する場合、この回転継手は回転部61を含む。更に、回転継手が供給口33に直接設けられるとする(
図16参照)。この場合、この回転継手は回転部61及び下流部63を含み、この回転継手には上流部62としての管が流入側に接続される。回転継手は、既に実用化された公知の継手である。従って、回転継手に関するこの他の説明は省略する。
【0066】
第三移動機65は、インクジェットヘッド30を第三座標軸方向に移動させる(
図12~15,18参照)。即ち、第三移動機65は、インクジェットヘッド30を第三座標軸方向の第二側から第一側に移動させ、インクジェットヘッド30を第三座標軸方向の第一側から第二側に移動させる。但し、インクジェット記録装置10では、第三移動機65によるインクジェットヘッド30の第三座標軸方向への移動は、支持具45を第三座標軸方向の第二側から第一側及び第三座標軸方向の第一側から第二側に移動させて行われる。即ち、第三移動機65は、支持具45に取り付けられ、支持具45を第三座標軸方向の第二側から第一側及び第三座標軸方向の第一側から第二側に移動させる。
【0067】
インクジェット記録装置10は、第三移動機65として直動機構を採用する。第三移動機65として採用可能な直動機構の例としては、ボールねじ、駆動機及びガイドの組み合わせが挙げられる。実施形態では、第三移動機65として前述の組み合わせを例示する。この場合、第三移動機65は、ボールねじ66と、駆動機69と、ガイド70とを含む(
図12~15参照)。第三移動機65は、ガイド70としてリニアシャフト71及びリニアブッシュ72の組み合わせを採用する。
【0068】
ボールねじ66のねじ軸67は、第三座標軸方向に沿って回転自在に設けられる。ボールねじ66のナット68は、ねじ軸67の回転に応じて第三座標軸方向に移動する。駆動機69は、ねじ軸67に連結される。駆動機69としては、モータのような回転機を採用することができる。駆動機69の例としては、サーボモータが挙げられる。駆動機69としてのサーボモータは、エンコーダを含む。駆動機69は、ねじ軸67を回転させる。
図12~15でねじ軸67の外周に示す弧状の矢印は、ねじ軸67の回転方向を示す。ガイド70では、リニアシャフト71が第三座標軸方向に沿って設けられる。ガイド70では、リニアブッシュ72がリニアシャフト71に沿って第三座標軸方向に移動する。駆動機69は、取付具73に設けられる。取付具73は、可動子80に固定される。第三移動機65では、ナット68及びリニアブッシュ72が支持具45に固定される。これに伴い、第三移動機65が支持具45及び可動子80を接続し、記録ユニット20が第一移動機75に取り付けられる。
【0069】
駆動機69がねじ軸67を所定の方向に回転させることで、ナット68が第三座標軸方向の第二側から第一側に移動する。支持具45は、第三座標軸方向の第二側から第一側に移動するナット68と同じ向きに同じ量だけ移動する。駆動機69がねじ軸67を前述の方向とは反対方向に回転させることで、ナット68が第三座標軸方向の第一側から第二側に移動する。支持具45は、第三座標軸方向の第一側から第二側に移動するナット68と同じ向きに同じ量だけ移動する。ガイド70は、このような支持具45の第三座標軸方向への移動をガイドする。換言すれば、支持具45は、ガイド70によってガイドされた状態で第三座標軸方向の第二側から第一側及び第三座標軸方向の第一側から第二側に移動する。これに伴い、インクジェットヘッド30、キャリッジ40、回転機50、サブタンク55及び接続流路60は、支持具45と共に第三座標軸方向の第二側から第一側及び第三座標軸方向の第一側から第二側に移動する。
【0070】
回転機50は、移動状態(
図2~10及び
図10~2参照)で、インクジェットヘッド30(キャリッジ40)を回転軸Rを中心として回転させ、吐出面32を次の仮想直線Lと平行とする(
図12~15,18参照)。仮想直線Lは、対向位置P2を通り、更に、垂直方向Vに直交する。対向位置P2は、垂直方向Vにおいて基準位置P1から最も近い記録面16の位置である(
図16,17参照)。基準位置P1は、吐出面32のノズル領域Nの中心としてもよい(
図16,17参照)。ノズル領域Nには、吐出面32で複数のノズル31が設けられる。
【0071】
ノズル領域Nは、次の第一辺、第二辺、第三辺及び第四辺を四辺とする矩形の形状ということもできる(
図17参照)。第一辺及び第二辺は第一座標軸方向に沿い、第三辺及び第四辺は第二座標軸方向に沿う。第一辺は、複数のノズル31で最も第二座標軸方向の第五側にあるノズル31(
図17の「ノズル31A」参照)の第二座標軸方向の第五側端と接する。第二辺は、複数のノズル31で最も第二座標軸方向の第六側にあるノズル31(
図17の「ノズル31B」参照)の第二座標軸方向の第六側端と接する。第三辺は、複数のノズル31で最も第一座標軸方向の第三側にあるノズル31の第一座標軸方向の第三側端と接する。第四辺は、複数のノズル31で最も第一座標軸方向の第四側にあるノズル31の第一座標軸方向の第四側端と接する。
【0072】
実施形態では、ノズル31の数は9個であり、9個のノズル31は同一形状を有し且つ第二座標軸方向に1列に配列される。基準位置P1が吐出面32のノズル領域Nの中心であるとする。この場合、基準位置P1は、9個のノズル31のうちの中央のノズル31の位置に一致する。実施形態では、第一傾斜面17は一定の角度で傾斜した平面であり、頂面18は水平面であり、第二傾斜面19は一定の角度で傾斜した平面である。この場合、記録ユニット20が第一傾斜面17上を第一座標軸方向に移動している移動状態では、次の仮想直線Lは第一傾斜面17に沿う(
図18で「第一傾斜面17」上に位置する「記録ユニット20」参照)。この仮想直線Lは、第一傾斜面17の対向位置P2を通る(
図18で「第一傾斜面17」に沿った二点鎖線で示す「仮想直線L」参照)。記録ユニット20が頂面18上を第一座標軸方向に移動している移動状態では、次の仮想直線Lは頂面18に沿う(
図18で「頂面18」上に位置する2個の「記録ユニット20」参照)。この仮想直線Lは、頂面18の対向位置P2を通る(
図18で「頂面18」に沿った二点鎖線で示す「仮想直線L」参照)。記録ユニット20が第二傾斜面19上を第一座標軸方向に移動している移動状態では、次の仮想直線Lは第二傾斜面19に沿う(
図18で「第二傾斜面19」上に位置する「記録ユニット20」参照)。この仮想直線Lは、第二傾斜面19の対向位置P2を通る(
図18で「第二傾斜面19」に沿った二点鎖線で示す「仮想直線L」参照)。
【0073】
第三移動機65は、移動状態(
図2~10及び
図10~2参照)で、記録面16に対してインクジェットヘッド30を第三座標軸方向に移動させ、基準位置P1と対向位置P2との間の垂直方向Vにおける離間距離Dを一定とする(
図18参照)。離間距離Dは、「0mm<離間距離D≦10mm」に設定してもよい。離間距離Dは、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0074】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0075】
(1)インクジェット記録装置10は、記録媒体15の記録面16に柄を記録する。記録面16は、第一傾斜面17と、頂面18と、第二傾斜面19とを含み、全体として第三座標軸方向の第一側に凸状で第二座標軸方向に沿った表面形状を有する。インクジェット記録装置10は、記録ユニット21,22,23,24と、第一移動機75と、第二移動機85とを備える(
図1参照)。
【0076】
記録ユニット21は、記録面16に第一インクを吐出する(
図3~6及び
図6~3参照)。記録ユニット22は、記録面16に第二インクを吐出する(
図4~7及び
図7~4参照)。記録ユニット23は、記録面16に第三インクを吐出する(
図5~8及び
図8~5参照)。記録ユニット24は、記録面16に第四インクを吐出する(
図6~9及び
図9~6参照)。第一移動機75は、記録ユニット21を第一座標軸方向に移動させる(
図2~10及び
図10~2参照)。第二移動機85は、記録媒体15及び第一移動機75を第二座標軸方向に相対移動させる(
図1,2,10,11参照)。
【0077】
記録ユニット21,22,23,24としての記録ユニット20は、インクジェットヘッド30と、回転機50と、第三移動機65とを含む(
図12~16参照)。インクジェットヘッド30は、複数のノズル31を含む(
図16,17参照)。複数のノズル31は、インクを吐出する。回転機50は、インクジェットヘッド30を回転軸Rを中心として回転させる(
図12~16,18参照)。第三移動機65は、インクジェットヘッド30を第三座標軸方向に移動させる(
図12~15,18参照)。
【0078】
インクジェットヘッド30は、移動状態(
図2~10及び
図10~2参照)で、複数のノズル31から記録面16にインクを吐出する(
図12~16,18参照)。回転機50は、移動状態で、インクジェットヘッド30を回転軸Rを中心として回転させ、吐出面32を仮想直線Lと平行とする(
図12~15,18参照)。第三移動機65は、移動状態で、インクジェットヘッド30を第三座標軸方向に移動させ、基準位置P1と対向位置P2との間の垂直方向Vにおける離間距離Dを一定とする(
図18参照)。
【0079】
インクジェット記録装置10によれば、記録ユニット21,22,23,24を独立して動作させることができる。記録ユニット21,22,23,24のそれぞれで、記録面16に対する吐出面32の向きと記録面16及び吐出面32の間隔とを一定に維持しつつ、記録ユニット21,22,23,24をそれぞれ第一座標軸方向に移動させることができる。インクジェット記録装置10では、記録面16に合わせて柄を記録することができる。
【0080】
(2)記録ユニット20は、キャリッジ40と、支持具45と、サブタンク55と、接続流路60とを含む(
図12~16参照)。キャリッジ40は、インクジェットヘッド30を搭載する。支持具45は、キャリッジ40を支持する。サブタンク55は、インクジェットヘッド30に供給されるインクを貯留する。接続流路60は、サブタンク55及びインクジェットヘッド30を接続し、サブタンク55からインクジェットヘッド30にインクを流す。回転機50及びサブタンク55は、支持具45に設けられる。
【0081】
第三移動機65は、支持具45を第三座標軸方向に移動させる。支持具45は、キャリッジ40を回転軸Rを中心として回転自在に支持する。サブタンク55は、支持具45でキャリッジ40に搭載されたインクジェットヘッド30より第三座標軸方向の第一側に設けられる。回転機50は、キャリッジ40を次の位置に設定された回転軸Rを中心として回転させる。この位置は、次の状態のインクジェットヘッド30における吐出面32より第三座標軸方向の第一側で且つサブタンク55より第三座標軸方向の第二側となる。この状態では、垂直方向Vが第三座標軸方向に沿い且つインクジェットヘッド30が第三座標軸方向の第二側に向けて複数のノズル31からインクを吐出する。
【0082】
この構成によれば、回転軸Rをサブタンク55より第三座標軸方向の第二側の位置に設定することができる。キャリッジ40を介した回転軸Rを中心とするインクジェットヘッド30の回転では、目標とする設定値に対して実際の回転量(回転角)に「Δθ」の誤差が生じることも想定される。比較例を想定する。比較例では、インクジェットヘッド30の回転の中心となる仮想回転軸がサブタンク55より第三座標軸方向の第二側に位置する。回転軸Rから基準位置P1までの距離「A」は、仮想回転軸から基準位置P1までの距離「B」より短くなる(A<B)。記録ユニット20及び比較例で回転量に同じ「Δθ」の誤差が生じた場合、記録ユニット20で生じる基準位置P1の位置ずれ量は「2πA×Δθ/360°」であり、比較例で生じる基準位置P1の位置ずれ量は「2πB×Δθ/360°」である。つまり、記録ユニット20で生じる基準位置P1の位置ずれ量を比較例で生じる基準位置P1の位置ずれ量の「A/B」倍と小さくすることができる。
【0083】
(3)接続流路60は、回転部61と、上流部62と、下流部63とを含む(
図12~16参照)。回転部61は、回転軸Rを中心として回転する。上流部62は、サブタンク55及び回転部61を接続する。上流部62には、サブタンク55から流出したインクが流れる。下流部63は、回転部61及びインクジェットヘッド30を接続する。下流部63には、インクジェットヘッド30に流入するインクが流れる。下流部63は、回転軸Rに一致する位置に回転軸Rに沿って設けられる。回転部61は、上流部62に対して下流部63を回転軸Rを中心として回転させる。
【0084】
この構成によれば、接続流路60をキャリッジ40を介した回転軸Rを中心とするインクジェットヘッド30の回転に追従させることができる。接続流路60とは異なり、回転部61が設けられていない仮想流路を想定する。仮想流路は、サブタンク55及びインクジェットヘッド30を接続する。この場合、仮想流路は、次の長さを有する。この長さは、キャリッジ40を介した回転軸Rを中心とするインクジェットヘッド30の回転に対応する。即ち、仮想流路の長さは、この回転に対応するための遊び分の長さだけ長く設定される。接続流路60では、このような遊び分の長さを縮小又は省略することができる。
【0085】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
【0086】
(1)インクジェット記録装置10は、記録ユニット20として記録ユニット21,22,23,24を含む(
図1参照)。記録ユニット21,22,23,24は、第一座標軸方向の第三側から第四側に記録ユニット21、記録ユニット22、記録ユニット23及び記録ユニット24の順で設けられる。但し、第一座標軸方向におけるこのような記録ユニット21,22,23,24の設置順は例示である。第一座標軸方向における記録ユニット21,22,23,24の設置順は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、記録ユニット22は記録ユニット21より第一座標軸方向の第四側に設けられていてもよく、又は記録ユニット21,22は第一座標軸方向に隣り合っていなくてもよい。
【0087】
インクジェット記録装置における記録ユニット20の数は、1~3個又は5個以上としてもよい。インクジェット記録装置における記録ユニット20の数は、諸条件を考慮して適宜決定される。インクジェット記録装置で記録ユニット21,22,23,24の一部が省略されるとする。この場合、インクジェット記録装置では、省略される記録ユニット20に対応する要素が省略される。例えば、記録ユニット23,24が省略される場合、可動子83,84、メインタンク103,104及びインク流路108,109が省略される。インクジェット記録装置が記録ユニット21,22,23,24に加えて1個以上の記録ユニットを備えるとする。この場合、インクジェット記録装置では、追加される記録ユニットに対応する可動子、メインタンク及びインク流路が設けられる。
【0088】
(2)第二移動機85は、ボールねじ86と、駆動機89と、ガイド90,91と、載置台94とを含む(
図1参照)。第二移動機は、コンベアとしてもよい。この他、第二移動機では、直動機構としてリニアモータアクチュエータを採用してもよい。第二移動機の仕様は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0089】
第二移動機85は、記録媒体15を第二座標軸方向に移動させる(
図1,2,10,11参照)。第二移動機による記録媒体15及び第一移動機75の第二座標軸方向への相対移動は、第一移動機75を第二座標軸方向に移動させて行ってもよい。この場合、第二移動機は、柄の記録動作中、記録ユニット21,22,23,24の第一座標軸方向の第四側の移動端への到達(
図10参照)、及び記録ユニット24,23,22,21の第一座標軸方向の第三側の移動端への到達(
図2参照)に応じて第一移動機75を第二座標軸方向に間欠的に移動させる。第二移動機は、柄の記録動作中、第一移動機75を第二座標軸方向の第六側から第五側に移動させてもよく、更に、この移動における1回当たりの移動量は、上記同様、搬送距離T(
図10,2参照)としてもよい。柄の記録動作中に第一移動機75を第二座標軸方向に移動させる向き及び1回当たりの移動量は、上記同様、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0090】
(3)記録ユニット20は、第三移動機65を含む(
図12~15参照)。第三移動機65は、ボールねじ66と、駆動機69と、ガイド70とを含む。第三移動機65は、ガイド70としてリニアシャフト71及びリニアブッシュ72の組み合わせを採用する。第三移動機では、直動機構としてリニアモータアクチュエータを採用してもよい。第三移動機では、ガイドはボールスプラインとしてもよく、又はリニアガイドとしてもよい。更に、第三移動機では、ガイドはリニアブッシュ72とは異なるタイプのブッシュを採用してもよい。第三移動機の仕様は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【符号の説明】
【0091】
10 インクジェット記録装置、 15 記録媒体、 16 記録面
17 第一傾斜面、 18 頂面、 19 第二傾斜面
20,21,22,23,24 記録ユニット、 30 インクジェットヘッド
31,31A,31B ノズル、 32 吐出面、 33 供給口、 34 内部流路
35 本流部、 36 支流部、 40 キャリッジ、 45 支持具
50 回転機、 55 サブタンク、 60 接続流路、 61 回転部
62 上流部、 63 下流部、 65 第三移動機、 66 ボールねじ
67 ねじ軸、 68 ナット、 69 駆動機、 70 ガイド
71 リニアシャフト、 72 リニアブッシュ、 73 取付具
75 第一移動機、 76 固定子、 80,81,82,83,84 可動子
85 第二移動機、 86 ボールねじ、 87 ねじ軸、 88 ナット
89 駆動機、 90,91 ガイド、 92 レール、 93 ブロック
94 載置台、 95 支持台
100,101,102,103,104 メインタンク
105,106,107,108,109 インク流路、 D 離間距離
L 仮想直線、 N ノズル領域、 P1 基準位置、 P2 対向位置
R 回転軸、 T 搬送距離、 V 垂直方向