(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047504
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】木材、厚紙、段ボールなど、薄い板状の素材を型抜き加工などして作成したパーツを使用して、多層階建て構造の〈ビールなどの飲料缶ストッカー〉を組み上げ、例えば2階建てとして組み上げた際には、2階手前部分に横向きに置いた飲料缶が、2階手前部分から1階奥を経由して、1階手前部分まで自動的に転がり下りてくるようにした、飲料缶の保持・取り出し器具。
(51)【国際特許分類】
F25D 25/00 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
F25D25/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022165049
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】519378399
【氏名又は名称】橋本 昌明
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌明
(57)【要約】
【課題】本発明は、板状の素材を型抜きなどの低コストで加工し、折り曲げ・差し込みなど簡便な作業で組み上げ、床をスロープ状に保った多層階建て構造にして、補充した缶が最上層階手前部分から最上階奥へと転がり、最下層へ移動し、最下層の奥から手前部分へと自動的に転がり移動してくることで、補充した順番を守りつつ、取り出しやすくする器具を提供する。
【解決手段】板状のパーツ1、2、3を折り曲げ、嵌合し製造コストを抑えつつ、実用性を意識し例えば2階建て構造に組み立てることで、飲料缶の充分な保管量の確保及び取り出し簡便化を可能にした構造物を、主として家庭用冷蔵庫内に常備設置することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の素材を、型抜きなどの低コストで加工し、折り曲げ・差し込みなど簡便な作業で組み上げ、スロープ状の床を利用した多層階建ての構造により、保管した順番に缶を最上階手前部分から最下層手前部分へと、自動的に移動させるよう工夫した、主として冷蔵庫内に設置する、飲料缶の保管及び取り出し器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄い板状の素材を型抜きなどで加工し、それを折り曲げ、差し込むだけの簡単な作業により、緩い角度のスロープ状の床を多階構造とするように組み上げ、最上階の手前部分から補充した飲料缶を、保管した順番に最下層の手前部分から取り出すために、自動的に移動させるよう工夫した、主として家庭用冷蔵庫内に設置することを意識した、飲料缶の保管及び取り出し器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料缶の保持・取り出し器具には、二つの方向性があった。一つ目は、四方に缶が転がり出るのを防ぐための〈壁〉を設けた、スロープ状のトレー型器具である。二つ目は、横向きに置いた飲料缶を、スロープ構造を利用して手前から奥へ、続いて奥から手前へと連続で下ろし、下方の取り出し口まで移動させる、飲料缶用自動販売機内の構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許庁ホームページより検索したが、先行技術としては見つけることができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、これらには次のような問題点があった。
(イ)「トレー型器具」の場合、取り出しやすくするために、スロープの奥の方から手前へと飲料缶を転がすため、取り出した後の飲料缶補充は、必ず最も奥の方へ手を入れなければならず、非常にやりづらかった。
(ロ)「トレー型器具」の場合、冷蔵庫内の奥行きを考慮すると、横にした飲料缶は3本程度しか並べられず、補充が頻繁になり面倒さがあった。同時に、冷えた缶のストックが最大で3本というのは少なすぎて物足りないことが問題だった。
(ハ)「トレー型器具」の場合、従来品はプラスチックの成型品であり、製造にあたっては高価な金型が必要となり、これが製造コストを圧迫することになっていた。
(二)「自動販売機内構造」の場合、高さがあり過ぎて家庭用冷蔵庫内には到底収まらず、しかも金属製のため、たとえ多層構造の最低限度である「2階建て構造亅に高さを抑えたとしても、重量・コストいずれをとっても非常に大仰なものとなる。
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
主として製造コスト圧縮のため、成型のための金型が不要となるよう、板材の型抜きという方法論により、まずパーツ1、2、3を用意する。(但し、パーツの成型方法として型抜き加工に限定はしない)パーツ2とパーツ3には突起部分(A)があり、パーツ1には突起を差し込むための穴部分(B)がある。
パーツ1は、側板及び転がる飲料缶を止める役目をする1階奥の壁とが一体となっており、折り線7を予め〈スジ押し加工〉しておく。
パーツ2は2階の床パーツで、突起部分(A)があり、側板の穴部分(B)に差し込む。
パーツ3は1階の床パーツで、突起部分(A)があり、側板と奥の壁の穴部分(B)に差し込む。
パーツ1を7の〈スジ押し〉を利用して折り曲げ、パーツ3の7も折り曲げた上で各パーツの(A)と(B)とを合わせながら組み立てることで、本案の完成となる。
原理的に多層構造なら本発明は4階建て構造、6階建て構造…と増やしても機能するが、家庭用冷蔵庫内での保管量と高さを考慮し、2階建て構造がベストであると判断している。
本発明は、以上を特徴とする、飲料缶の保持・取り出し器具。
【発明の効果】
【0006】
(イ)スロープ状の床を手前⇔奥の傾きが逆向きの2階建てにしたため、庫内に占める幅が「トレー型器具」の従来品と同じままで、倍の保管量(最大で6缶)を確保できること。
(ロ)スロープ状の床を、スロープの斜面を逆向きにした上で2階建て構造にしたことで、1階部分の飲料缶が手前側に転がり来るように設定すると同時に、2階部分の飲料缶は奥へと転がるようにできる。したがって飲料缶の補充は、2階の手前部分に置けることになり、例えば冷蔵内での飲料缶補充が非常に楽になった。
(ハ)一般的に冷蔵庫内のスペースは多くの食品等で占められており「トレー型器具」の従来品のように横に並べた状態では、飲用缶の保管量を増やすことは難しい。しかし通常の使用状況では天地方向への余裕は若干あることが多い。したがって2階建て構造にして天地方向のスペースを生かし、ストック量を倍加することは比較的容易だと考えられる。
(二)「自動販売機内構造」のような高コストになるような素材でも構造でもないため、商品化のハードルが低い。また、加工のみで消費者に販売などすれば、さらにコストを下げることも可能となる。
(ホ)例えば白段ボールなどを素材に使用すれば、企業が宣伝内容を印刷したり、個人が絵を描くなどしてオリジナリティーを出すことなども可能となり、楽しみ方が増える。
(ヘ)飲料缶を補充した順番に確実に1階手前部分から取り出せるため、その時点で最も冷えた缶を間違えることなく手にできる。
(ト)缶ビールなどでは「鮮度」に拘る人も多く、メーカーも力を入れている。確実に補充した順番に飲むことができるため、新・旧のビールが混ざり合うこともなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
3枚のパーツを、スジ押し部を折り曲げた上で突起部分と穴部分を嵌合させて組み立てる。
本発明は以上のような構造である。
本発明の使い方を説明する。
組み立て後の本発明に、2階床の手前部分に横向きで飲料缶を置く。手前から奥へ若干低くなる傾きにより缶は奥へと転がり、本発明の最奥の6部分に設けられた、飲料缶サイズより若干大きめの「穴」から1階へ落ち、そのまま最奥から最前部分まで、2階床とは逆向きの傾きにより転がり、最前部分に設けられたストッパー4で止まる。以降、飲料缶を1缶ずつ入れていけば、最大で6缶(試作品の場合)を保管できることになる。缶の取り出しは必ず1階手前部分の、5の切り欠き部分を用いて、指で缶を挟むように取り出すことにより、確実に入れた順番に出せる。これにより、鮮度の古いもの(=最も冷えている缶)と新しいもの(=冷えていない缶)を取り違えて取り出すような〈失敗〉がなくなる。例えば缶ビールなど「鮮度」にこだわる商品も、特に意識することもなく、楽にしかも効果的に取り出すことができる。1缶を取り出すと2階の手前部分から順に缶が転がることで、2階手前部分のスペースが1缶分空く。補充するには、そこに新たな缶を1缶置けば良い。以降、1缶ずつ1階手前部分から取り出す毎に、1缶ずつ2階手前部分に補充すれば、冷蔵庫に入れた順番を確実に守りながら、飲料缶は自動的に1階手前部分に出てくる。
【符号の説明】
【0009】
1 板状のパーツ(側板…最奥の高い壁〈ストッパー〉と一体)
2 板状のパーツ(2階の床板)
3 板状のパーツ(1階の床板+最前の低い壁〈ストッパー〉と一体)
4 前部ストッパー部(1階の床板3の一部)
5 切り欠き部(側板の一部)
6 飲料缶の2階から1階への上下移動用「穴」(側板の一部)※最奥の壁と一体
7 スジ押し部(折り曲げやすくするための加工)
8 飲料缶
(A-1)~(A-13)凸部分(「突起」部
(B-1)~(B-13)凹部分(「穴」)部
※AとBは、それぞれ同じ番号同士で嵌合させる(例:A-1とB-1、A-5とB-5など)