(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047506
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】発光表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 13/18 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
G09F13/18 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022165051
(22)【出願日】2022-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】597073645
【氏名又は名称】ナルックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105393
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 直哉
(72)【発明者】
【氏名】田部井 達也
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA27
5C096BA02
5C096CB02
5C096CC06
5C096CD02
5C096CD33
5C096CE25
5C096FA05
5C096FA09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】帯状の発光エリア全体を均一に静的発光させることができ、色や明るさのグラデーションで静的発光させることができ、さらに途切れなく滑らかに光が流れるような動的発光をさせることが可能であり、表示エリア外の余分なスペースを節約できる薄型省電力の発光表示装置を、安価に提供する。
【解決手段】帯状の発光エリア5を有する導光体1の少なくとも一方の短辺2箇所にLED2A~2Dが配置され、導光体のLED近傍には入射面からの入射光を集光して進行方向を長辺の所定エリアに向けて導光させるための集光反射面4A~4Dが形成され、導光体長辺には各々のLEDから到達した光を長辺略垂直方向へと進行方向を変えて反射させるための鋸歯凹凸6が形成され、発光エリア5に対応する導光体背面には該鋸歯凹凸から反射された光を外部へと出射させるための反射出射プリズム8が長辺略平行方向の稜線で形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の発光エリアを有する導光体とLEDとからなり、導光体の少なくとも一方の短辺に2個以上のLEDが配置され、導光体のLED近傍には入射面からの入射光を集光して長辺の所定エリアに向けて導光させるための集光反射面が各々に形成され、該所定エリアには各々のLEDから到達した光を長辺略垂直方向へと進行方向を変えて反射させるための鋸歯凹凸が配列形成され、発光エリアに対応する導光体背面には該鋸歯凹凸から反射された光を外部へと出射させるための反射出射プリズムが長辺略平行方向の稜線で配列形成され、LEDの発光順序や発光強度や発光色を変化させることで発光エリア内の輝度グラデーションや発光色グラデーションを変化させて動的な演出表示を行うことを特徴とする発光表示装置。
【請求項2】
導光体の帯状等の外形形状が長方形ではなく、緩やかに湾曲した形状で、反射出射プリズムは稜線が湾曲した長辺に沿わせるように湾曲させて形成され、湾曲状に形成された導光体の大径側に鋸歯凹凸が形成され、鋸歯凸凹で反射出射プリズムに略直交方向に進行方向を変えた後に、反射出射プリズムで出射されて、請求項1と同様にLEDの発光順序や発光強度や発光色を変化させることで、発光エリア内の輝度グラデーションや発光色グラデーションを変化させて動的な演出表示を行うことを特徴とする発光表示装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを使用した発光表示装置に関する。詳しくは導光体の発光により動的な表現のできる発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光する領域が変化・移動するLED表示装置が、遊技機や自動販売機などの演出装置、誘導灯、広告看板、店舗ディスプレイ、車両用ターンシグナルランプ、浄水器のインジケータ、自律移動搬送車用の方向指示表示など、様々な用途で使われている。一般的に用いられているのは、多数のLEDを発光エリア内に直接に配列させて、順次点滅させていく方式のものであるが、このような表示装置は、個々のLEDの発光がツブ状に光って見えるものである。
【0003】
近年、人工知能やロボット技術が多方面に適用されるに従い、機械から人へと伝達すべき情報は飛躍的に高度化・多様化してきており、ヒューマン・マシン・インターフェイスの重要性が高まっている。例えば、自動車の先進運転支援システムにおいては、システムの作動状態や支援状態をドライバーが適切に理解できる情報伝達が必要であり、正面の計器盤から視線を外しているドライバーに対しても、天井や床など室内空間の様々な箇所から直感的に理解しやすい発光表示をドライバーに対して行なうようになってきている。ここで伝達される情報は、その緊急性と重大性に応じて、警報/注意喚起/情報共有、と様々であり、重要なことは、情報の性格に適した表示設計がされていることである。
【0004】
光の色や動きによって情報伝達する動的発光表示装置を天井や床などに配置することで、直感的に理解しやすい表示を行なう方法が構想されている。しかしながら、このような用途で多数のLEDを発光エリアに配列した表示装置を用いた場合、個々のLEDが過度に刺激的に光ることから、常時点灯させてさりげなく伝えるような情報表示には適さない。また、こうした発光表示にはインテリア性も重視されるが、LEDのツブ状感が現れる発光は落ち着きある空間演出を損ねるために望ましくない。こうした背景があり、発光エリア全体を均一な輝度で静的発光させることができて、なおかつ、光が滑らかに穏やかに流れるような動的発光ができる表示装置が求められている。
【0005】
また近年、空気清浄機や浄水器などの機器において、ユーザーに機器の作動状態を視覚的に分かりやすく伝えるために、色変化や光の動きで伝達する表示装置を備えたものが増えてきている。こうした用途の表示装置においては、安らぎを与える視覚効果やインテリア性が重視されることから、やはり、光が滑らかに穏やかに流れるような動的発光ができる表示装置が強く求められている。
【0006】
LEDを直接に配列させる表示装置であっても、LEDを狭いピッチで配列させて前方に拡散板を設ける構造とすることで、LEDのツブ状感を無くすことは可能ではある。しかしながらそのためには、きわめて多くのLEDを使用し、これを個々に点灯制御する必要が生じるため、電子回路や配線が複雑になり、装置コストが高くなってしまうという問題が生じる。
【0007】
こうした問題を解消するために、導光体を使用する発光演出装置が提案されている。たとえば特許文献1には、発光エリアを持つ主導光部と、それ自体は光らずに主導光部に繋がりLEDの光を導くための副導光部とを備えた発光表示装置が提案されている。この発光表示装置によれば、少ないLED個数で静的な均一発光と、滑らかな動的発光とを行なうことが可能となる。また、導光体を用いることにより薄型の表示装置が実現できることになる。しかしながら、この表示装置には以下のような欠点がある。▲1▼帯状の発光エリアに沿わせて副導光部を配置させる余分なスペースが必要なため、適用に制約がでる。▲2▼美観のために副導光部を目隠しする構造が必要で、適用に制約がでる。▲3▼導光体の固定や目隠し構造が複雑になるためにコストが高くなる。▲4▼複雑な形状の導光体を使用することから、導光体の金型加工や成形やハンドリングなどで様々な困難が発生し、コストを押し上げる要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記のような状況に鑑み、帯状の発光エリア全体を均一に静的発光させることができ、色や明るさのグラデーションで静的発光させることができ、さらに途切れなく滑らかに光が流れるような動的発光をさせることが可能であり、発光エリア外の余分なスペースを節約できる薄型省電力の発光表示装置を、安価に提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、滑らかな動的な光演出を行う帯状の発光表示装置の課題を解決するべくなされたもので、
帯状の発光エリアを有する導光体とLEDとからなり、導光体の少なくとも一方の短辺に2個以上のLEDが配置され、導光体のLED近傍には入射面からの入射光を集光して長辺の所定エリアに向けて導光させるための集光反射面が各々に形成され、該所定エリアには各々のLEDから到達した光を長辺略垂直方向へと進行方向を変えて反射させるための鋸歯凹凸が配列形成しており、発光エリアに対応する導光体背面には該鋸歯凹凸から反射された光を外部へと出射させるための反射出射プリズムが長辺略平行方向の稜線で配列形成し、LEDの発光順序や発光強度や発光色を変化させることで発光エリア内の輝度グラデーションや発光色グラデーションを変化させて動的な演出表示を行うことを特徴とする発光表示装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の表示装置の構成要素であるLEDと導光体との代表的構成を示したもので、正面方向(観察者側)から見た図である。以下、導光体表示面の長手方向をX軸、表示面内で直行する方向をY軸、導光体の厚み方向をZ軸(観察者側をプラス方向)とする。4つのLEDが帯状導光体1の両短辺に配置されており、LED2AとLED2Bが左側短辺に、LED2CとLED2Dが右側短辺に配置されている。
【0012】
導光体には、LED2A~Dに近接した箇所に、それぞれ一対の集光反射面4A~4Dが形成されている。導光体の上下長辺には鋸歯凹凸6が配列形成されている。有効エリア5の導光体背面(観察者の反対側)には、光を反射させて導光体外部へと出射させる反射出射プリズム8が長手略平行方向の稜線で配列形成されている。
図1には、反射出射プリズムの稜線を実線で示している。導光体の表面(観察者側の面)は全面鏡面となっている。
【0013】
図2は、LED2Aからの光が集光反射面4Aで集光される前後の光路を示したものである。LED2Aから放射された光は、入射面3Aから導光体内部へと取り込まれる。集光反射面はXY平面内で放物線に類似した一対の曲線となっており、LED2Aから放射状に広がる光を、XY平面内で一定の角度範囲内に整列させるように反射させて、上側長辺の所定エリア7Aへと導光させる。ここで、所定エリアには到達せずに、意図する発光表示に寄与しない光も一部発生するが、主たる有効光は所定エリアへと導光されることになる。
【0014】
図3は、LED2Bからの光が集光反射面4Bで集光される前後の光路を示したものである。一対の集光反射面4Bは同様にLED2Bから放射状に広がる光を、XY平面内で一定の角度範囲内に整列させるように反射させて、下側長辺の所定エリア7Bへと導光させる。
図1においてLED2Cと2Dからの光も同様な原理で、それぞれに上側長辺と下側長辺の所定エリア7B、7Cへと導光される。
【0015】
上下長辺には鋸歯凹凸が形成されており、LEDから到達した光を長辺略垂直方向へと進行方向を変えるように反射させる。反射出射プリズムは、長辺略平行方向の稜線で連続的な溝、もしくは凸条として形成されている。鋸歯凹凸で反射され進行方向を変えた光は、反射出射プリズムで反射されて正面方向へと出射される。ここで、集光反射面から鋸歯凹凸までの導光経路においては、反射出射プリズムの稜線方向と導光方向とのXY平面内で成す角度が小さいため(平行に近いため)、反射出射プリズムに当たった光が正面方向に出射されることは無い。
一方で、鋸歯凹凸で反射されて進行方向が変更された後の導光経路においては、反射出射プリズムの稜線方向と導光方向とがほぼ直交方向となるため、プリズム面に当たった光が反射されて正面方向へと出射される。
【0016】
図4は、反射出射プリズムの断面図であり、プリズム面に到達した光が反射され正面方向(Z軸プラス方向)へと進行方向を変える光路を矢印で示した。出射される割合は反射出射プリズム8の高さHとピッチPにより変化するため、高さやピッチを徐変させる設計により、発光エリア内の輝度分布は適切にコントロールできる。反射出射プリズムのピッチは観察者にそのまま目視されるため、通常の目視距離で目障りとならないようにする上では、ピッチは2mm以下とすることが望ましい。
図1は、可視化するために望ましいピッチよりも粗く図示している。
【0017】
図5は鋸歯凹凸に到達した光が反射されて進行方向を変える光路を説明したものである。鋸歯凹凸としては、左右両側からの光を反射出射プリズムの稜線と略直交方向に反射させる対称鋸歯凹凸6αと片側からの光を反射出射プリズムの稜線と略直交方向に反射させる非対称鋸歯凹凸6βとの二種類がある。
【0018】
6βの反射面形状は、6αの反射面形状よりも広い角度で進入して来た光を反射出射プリズム稜線と略直交方向へと反射させることができる(A)。一方で6βの反射面形状で右から到達した光が反射される方向は、反射出射プリズムの直交方向から大きくずれるため、観察者方向へと出射される光にはならない(B)。このように、6βの反射面形状にはメリットとデメリットとがあるが、LEDに近いエリアではメリットが勝ることになる。各々のLED発光に応じた発光エリアが適切に設定されるように、対称鋸歯凹凸エリアと非対称鋸歯凹凸エリアとを区分けする。
【0019】
図6は、6α、6βとのエリアの区分けを図示したものである。左右両側から到達した光を表示発光に利用したいエリアに関しては、6αが形成されている。なお、6βについては鈍角側が外側(LED方向)へ向くように配列される。ここで、配列した全ての鋸歯凹凸の形状が同一である必要は無く、形成される位置に応じて反射面の角度をわずかに変えた方が表示を明るくするために好適な場合もある。また、鋸歯凹凸の反射面を緩やかに湾曲した面とすることにより反射後の進行方向角度が広がるため、視野角度特性の改善に繋がる。
【0020】
図7には、LED2A~Dそれぞれに対応する上下長辺の所定エリアと、輝度分布との関係を図示する。LED2A~Dそれぞれの光を単独発光させたとき、短手中央での輝度分布は9A~Dとなる。それぞれの輝度プロファイルは、隣同士で重なり合うような分布となっている。二つ以上のLEDを同時に点灯したときの輝度分布は、単独点灯時の輝度分布の和となるが、隣同士で重なり合うようなプロファイルとなっていることが、連続的に発光領域を変化させる演出効果を生みだす上で重要であり、また、全体を均一な輝度で同時点灯させる上でも重要である。単独点灯時の輝度分布は、集光反射面の形状やLEDの配置位置などによって制御できる。
【0021】
図8には、動的な演出を行う場合の輝度分布の変化原理を示す。一例として、初めにLED2Aの電流値(=光束)を上げ、続いてLED2B、LED2C、LED2Dの電流値について次々と時間差を設けて上げていく場合を示した。LED2Aの電流値50%のときの輝度分布をA50とし、電流値100%のときの輝度分布をA100と表記している。観察される輝度分布Lは、個々のLEDによる輝度分布の総和となるため、L1→L2→L3→・・L8へと変化する。個々のLEDの電流値を連続的に変化させることにより、左から右方向へと光の帯が強まりながら伸びるような発光演出が実現されることになる。また、4つのLEDを同時点灯した場合には、全体が継ぎ目の無い均一な輝度分布で発光することになる。
【0022】
本発明の発光表示装置では、前記のような輝度変化による演出表示に加えて、RGBの3つのチップを1つのパッケージとしたものを用いることで、色のグラデーションを動的に変化させる演出表示を行うことも可能である。LED2Aを青(B)、LED2BとLED2Cを緑(G)、LED2Dを赤(R)で同時点灯すれば、青―水色-緑―黄―赤 とグラデーションで色が変化している表示となる。
【0023】
それぞれのLEDの発光色や発光強度を変化させることによって、動的な演出表示が様々なバリエーションで行えることになる。一例として、先ずLED2A~Dの全てを青に点灯させておいて、次に赤色の発光を、前記のように、LED2A、2B、2C、2Dの発光強度を順次、連続的に変化させると、青色の背景色の上をマゼンタ色のグラデーションを持った帯状発光が左から右へと滑らかに移動する演出となる。
【0024】
本発明の表示装置の発光は、鋸歯凹凸のピッチが縞状に配列した発光となる。この縞の角度は観察方向に伴い変化するため、薄い導光体に奥行きがあるよう錯覚させる立体感を持った発光となり、感性的価値を高める。鋸歯凹凸のピッチは発光の立体感や質感に影響するため、そのピッチが重要である。
【0025】
室内で用いられる一般的な発光表示装置では、概ね30cm~1m程度の距離からの見栄えが重要となり、そうした用途において望ましい鋸歯凹凸のピッチは0.5~5mmである。
【0026】
本発明での導光体内の光の挙動として、演出意図に寄与せずに、望ましくないノイズ発光を起す光もある程度は生まれる。入光面、集光反射面、鋸歯凹凸、これらいずれにも該当しない外周端面については、黒塗りや黒色テープ貼附といった処置を施すことが、光を吸収してノイズ発光を除く目的で効果的である。
【0027】
本発明においては、発光エリアは導光体の背面に自由な意匠で形成することが可能である。
図9にはその例を示した。ハッチング部が発光エリアであるが、(A)のように波のような意匠としたり、(B)のように文字や記号を配置した意匠とすることができる。これらの場合には、発光エリア内の背面に長手略平行方向の稜線となる反射出射プリズムを形成し、発光エリア以外の背面を鏡面とすればよい。また本発明においては、厚み方向(Z方向)に湾曲させことも可能で、様々な形状に拡張できる。
【0028】
本発明においては、導光体の外形形状は長方形に限定されるものではなく、緩やかに湾曲した形状とすることも可能である。この場合、反射出射プリズムは、稜線が湾曲した長辺に沿わせるよう湾曲させて形成される。
【0029】
図10は、円弧状の発光エリアを有する発光表示装置の構成例を示したものである。LED2A~LED2Dまでの光は、集光反射面4A~4Dにより集光される。先の実施例においては、LED2A~2Dの所定エリアが互い違いに上下辺へと設定されていたが、本構成例においては、いずれの所定エリアも上辺(大径側)に設定されている。大径側の長辺には鋸歯凹凸6が形成され、鋸歯凹凸で反射出射プリズムに略直交方向進行方向を変えた後に、反射出射プリズムで出射される。
【0030】
本発明においては、LEDの個数は両短辺に2個ずつと限定されるものではなく、3個以上配置することも可能である。個々のLEDを集光反射面によって一定の角度範囲内に整列させるように反射させて、長辺の所定エリアへと導光させることが本発明の要件であり、所定エリアを上下どちらの長辺にどのような順番で設けるかについて、多数のバリエーションがある。所定エリアまでの導光経路において反射出射プリズムの稜線と導光方向との成す角度(XY平面内での)が小さければ、本発明の基本原理は成り立つ。
【0031】
本発明の表示装置においては、複数のLEDを同一の基盤上に載せることで、電子部品やハーネスのコストを抑えることができるため、特に大きな利点が生まれる。
【0032】
電子製品の中には、例えば家庭用エアコンディショナー室内機の表側構造体のように、一部が脱着式の構造体となっているものがある。このような部材を表示点灯させたい場合、脱着式の構造体に直接に電子部品を取り付けるにはコネクタなどを用いてハーネスを取り回す必要が生じる。このようにすると構造が複雑化するので、コストを押し上げる原因となると共に、メンテナンスを煩わしくしたり、故障を起こしやすくしたりする原因となる。これに対して、本発明によれば、本体に固定された(脱着しない)構造体側にLED基盤を設置し、脱着する構造体側に該導光体を設置する仕組みとすることができ、構造が単純で、故障トラブルなどがない発光表示装置が可能となる。
【0033】
本発明の発光表示装置においては、表示に直接かかわるのは、導光体の発光エリアであって、表示にかかわらないLED基盤や集光反射面の部分などは、不透明な部材によって覆い、露出されないようにすることが好ましい。その第一の目的は、非発光時の美観の向上であり、第二の目的は、LED基盤部分が露出していると導光体に入射されず漏れ出る光が直接に観察者の視野に入り表示品位低下を招くことを避けるためである。また、本発明の発光表示装置では、そのままでも動的な発光表示が可能であるが、表示領域の前方に、光を拡散させる拡散板などを設けて導光体からの発光を拡散させて発光させることも可能で、それにより、より柔らかな発光となり、新たな意匠性を付与できる。
【0034】
さらには
図11のように、発光表示装置自体は直接見えないところに配置されていて、導光体から出射された光が、被照面10に照射され、照らされた光を間接的に観察するような使用方法も可能である。
【0035】
本発明の導光体の材料としては、透明性の高い熱可塑性樹脂が好適に用いられ、具体的には、ポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、ポリオレフィン系樹脂などを挙げることができる。導光体は、対応する金型を用いインジェクション成形することにより、安価に量産することができる。
【0036】
反射プリズム8へと到達した光は、一部は観察者側ではなく、背面側へと出射される。この背面側の後方(後ろ側)へ光を反射する材料(拡散反射性あるいは鏡面反射性)を配置することにより、背面側へ出射した光を観察者側へ反射させることで、反射光も表示に利用できるので、目的に応じてこうした構造としても良い。
【0037】
本発明の表示装置の一つの特徴として、導光体が透明なため背面側が透けて見えることが挙げられる。したがって、何らかの構造物の前方や別の表示パネルのような表示物の前方に本発明の表示装置を配置すると、当該表示装置が発光していないときは、後ろ側の前記構造物等が透けて見え、発光したときに本発明の表示装置の発光表示が見える、という使い方が可能である。具体的には、液晶パネルなどの前方に本発明の表示装置を配置することにより、重層的な表示ができることになる。
【0038】
さらには、本発明の表示装置の背面側に、一個以上のLEDを観察者側に向けて発光するように追加して配置させることができる。例えば、背面側のLEDの発光を、本発明の表示装置を透過して見ることができるようにそれぞれの発光を制御することで、LEDの点状の光と本発明の表示装置の帯状の光とで重層的に表示する表示装置を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の発光表示装置によれば、それぞれのLEDからの発光が、それぞれ異なる位置をピークとしたなだらかな山状分布で発光し、その分布は重なり合っているので、LEDの発光強度を連続的に変化させることで光が連続的に滑らかに移動する。これによって光が滑らかに流れるような演出表現が可能となるとともに、同時に点灯させることで、全体が均一に発光する静的発光も可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、帯状の発光表示装置として利用できる。特には、自動車室内イルミネーション、遊技機用イルミネーション、電子機器の作動状態表示のための発光表示装置、ヒューマン・マシン・インターフェイスなどとして好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図2】LED2Aから放射されて集光反射面で反射される光の挙動を説明する図
【
図3】LED2Bから放射されて集光反射面で反射される光の挙動を説明する図
【
図4】反射出射プリズムに到達した光の挙動を説明する図
【
図7】本発明の発光表示装置の構成と輝度分布特性との関係を説明する図
【
図8】輝度分布が連続的に変化する原理を説明する図
【符号の説明】
【0042】
1 導光体
2A~2D LED
3A,3B 入射面
4A~4D 集光反射面
5 発光エリア
6 鋸歯凹凸
7A~7D 所定エリア
8 反射出射プリズム
9 輝度分布
L1~L8 合成された輝度分布
10 被照面