(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047524
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】内視鏡接続機構、内視鏡アダプタ、および、内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/06 20060101AFI20240329BHJP
A61B 1/04 20060101ALI20240329BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A61B1/06 520
A61B1/04 520
A61B1/00 632
【審査請求】未請求
【請求項の数】37
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045922
(22)【出願日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】63/409,849
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】南 卓平
(72)【発明者】
【氏名】三井 博史
(72)【発明者】
【氏名】石田 翔平
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF07
4C161HH02
4C161HH04
4C161JJ11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】内視鏡のコネクタに配設されている導光部材を損傷することのない、簡単な構成で、漏光が防止されている内視鏡接続機構を提供する。
【解決手段】光源装置と内視鏡のコネクタとを接続する内視鏡接続機構は、前記コネクタに設けられ導光部材を内包する筒が挿抜される孔を有する接続口金と、前記孔の内部に設けられた光シャッタ50と、を具備し、前記光シャッタは、第1部分51と第2部分52と第3部分53とを含み、前記第1部分は、固定端である第1端51Aを有し、前記第3部分は自由端である第6端53B、を有し、前記筒が前記孔に挿入されていない状態では、前記第3部分は、照明光の光路OPに位置し、前記筒が前記孔に挿入された状態では、前記第3部分は前記光路の外に位置する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡に照明光を供給する光源装置と前記内視鏡のコネクタとを接続する内視鏡接続機構であって、前記内視鏡接続機構は、
前記コネクタの筒が挿抜される孔を有する接続口金と、前記孔の内部に設けられた少なくとも1つの光シャッタと、を具備し、
前記接続口金の前記筒は、導光部材を内包しており、
前記光シャッタは、第1部分と第2部分と第3部分とを含み、前記第1部分は、固定端である第1端と、第2端と、を有し、前記第2部分は、前記第2端と接する第3端と、第4端と、を有し、前記第3部分は、前記第4端と接する第5端と、自由端である第6端と、を有し、
前記筒が前記孔に挿入されていない状態では、前記第3部分は、前記照明光の光路に位置し、
前記筒が前記孔に挿入された状態では、前記第1部分は前記筒に押圧され、前記第3部分は前記光路の外に位置することを特徴とする内視鏡接続機構。
【請求項2】
前記第1部分は、前記第2端が前記第1端よりも前記光路に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項3】
前記第1部分が前記筒によって押圧されると、前記第2端は前記光路から離れる方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項4】
前記光シャッタは、前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とが同一平面上に位置していない、片持ち板バネであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項5】
前記第2部分は、前記第3端が、前記第4端よりも前記光路に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項6】
前記第2部分は、前記第3端を有する斜面と、前記斜面から延設され、前記第4端を有する平行面とを有し、
前記筒が前記孔に挿入されていない状態では、前記平行面は、前記光路に対して略平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項7】
前記第3部分は、前記第5端が、前記第6端よりも前記光路の光軸から離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項8】
前記筒が前記孔に挿入されていない状態では、前記第3部分は、前記光路に略垂直に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項9】
前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とは、折り曲げられている1つの板金によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項10】
前記光シャッタは、前記第1端、前記第2端、前記第3端、前記第4端、および前記第5端は、前記光路に直交する方向の幅が同じであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項11】
前記第1部分は、前記筒が前記孔に挿入された状態でも、前記導光部材とは接触しないことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項12】
前記筒が前記孔に挿入されていない状態において、前記第1部分の前記光路に対する第1の角度は、前記筒の先端外周と前記導光部材の先端外周とを結ぶ直線の前記光路に対する第2の角度よりも、小さいことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項13】
前記光シャッタは、前記第1端と接する第7端を有する第4部分をさらに含み、
前記第4部分は、前記第7端を有する接続部分と、前記接続部分から延設された第1の固定部分および第2の固定部分と、を含み、
前記第1の固定部分および前記第2の固定部分は、前記光路をはさんで対向配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項14】
前記第4部分の一部は、前記接続部分とは異なる平面上に位置することを特徴とする請求項13に記載の内視鏡接続機構。
【請求項15】
前記接続部分の貫通孔を挿通し、前記第4部分を前記接続口金に固定するねじを有することを特徴とする請求項13に記載の内視鏡接続機構。
【請求項16】
前記接続口金は、前記第4部分の一部が嵌合する凹を有することを特徴とする請求項13に記載の内視鏡接続機構。
【請求項17】
前記接続口金は、前記第4部分の前記接続部分が固定される面とは異なる面に前記凹を有することを特徴とする請求項16に記載の内視鏡接続機構。
【請求項18】
前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分と前記第4部分とは、折り曲げられている1つの板金によって構成されていることを特徴とする請求項13に記載の内視鏡接続機構。
【請求項19】
前記光路をはさんで対向配置されている、2つの光シャッタである第1の光シャッタと第2の光シャッタとを具備することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項20】
前記第1の光シャッタと前記第2の光シャッタとは、同一形状であることを特徴とする請求項19に記載の内視鏡接続機構。
【請求項21】
前記筒の外径は、前記第1の光シャッタの前記第1端と、前記第2の光シャッタの前記第1端との間隔よりも小さく、前記第1の光シャッタの前記第2端と前記第2の光シャッタの前記第2端との間隔よりも大きいことを特徴とする請求項19に記載の内視鏡接続機構。
【請求項22】
前記光源装置と前記内視鏡の前記コネクタとの間を中継するアダプタに設けられることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項23】
前記内視鏡は、単回使用後に処分されるシングルユース内視鏡であることを特徴とする請求項22に記載の内視鏡接続機構。
【請求項24】
前記光源装置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項25】
前記内視鏡に対して前記照明光を供給する前記光源装置と、前記内視鏡と電気信号を授受する制御回路と、が一体となった電気機器に設けられることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡接続機構。
【請求項26】
前記光源装置、および、前記光源装置と前記内視鏡の前記コネクタとの間を中継するアダプタに、それぞれ設けられることを特徴とする請求項11に記載の内視鏡接続機構。
【請求項27】
内視鏡に照明光を供給する光源装置と前記内視鏡のコネクタとの間を接続する内視鏡アダプタであって、
前記コネクタの筒が挿抜される孔を有する接続口金と、前記孔の内部に設けられた少なくとも1つの光シャッタと、を具備し、
前記コネクタの前記筒は導光部材を内包しており、
前記光シャッタは、第1部分と第2部分と第3部分とを含み、前記第1部分は、固定端である第1端と、第2端と、を有し、前記第2部分は、前記第2端と接する第3端と、第4端と、を有し、前記第3部分は、前記第4端と接する第5端と、自由端である第6端と、を有し、
前記筒が前記孔に挿入されていない状態では、前記第3部分は、前記照明光の光路に位置し、
前記筒が前記孔に挿入された状態では、前記第1部分が前記筒に押圧され移動したことによって、前記第3部分は前記光路の外に位置することを特徴とする内視鏡アダプタ。
【請求項28】
前記光路をはさんで対向配置されている第1の光シャッタと第2の光シャッタとを具備することを特徴とする請求項27に記載の内視鏡アダプタ。
【請求項29】
前記光シャッタは、前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とが、1つの板金からなることを特徴とする請求項27に記載の内視鏡アダプタ。
【請求項30】
前記内視鏡は、単回使用後に処分されるシングルユース内視鏡であり、
リユース内視鏡に対応した前記光源装置と、前記内視鏡との間を中継することを特徴とする請求項27に記載の内視鏡アダプタ。
【請求項31】
前記内視鏡は、繰り返し使用されるリユース内視鏡であることを特徴とする請求項27に記載の内視鏡アダプタ。
【請求項32】
コネクタを有する内視鏡と、前記内視鏡に対して照明光を供給する光源装置と前記コネクタとの間を接続するアダプタと、を具備し、
前記コネクタは、導光部材を内包する筒を有し、
前記アダプタは、前記筒が挿抜される孔を有する接続口金と、前記孔の内部に設けられた少なくとも1つの光シャッタと、を有し、
前記光シャッタは、第1部分と第2部分と第3部分とを含み、前記第1部分は、固定端である第1端と、第2端と、を有し、前記第2部分は、前記第2端と接する第3端と、第4端と、を有し、前記第3部分は、前記第4端と接する第5端と、自由端である第6端と、を有し、
前記筒が前記孔に挿入されていない状態では、前記第3部分は、前記照明光の光路に位置し、
前記筒が前記孔に挿入された状態では、前記第1部分が前記筒に押圧され移動したことによって、前記第3部分は前記光路の外に位置することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項33】
前記光シャッタの前記第1部分は、前記導光部材とは接触しないことを特徴とする請求項32に記載の内視鏡システム。
【請求項34】
前記筒の先端部の側面は、傾斜していることを特徴とする請求項32に記載の内視鏡システム。
【請求項35】
前記導光部材は、前記筒の先端面から突出していることを特徴とする請求項32に記載の内視鏡システム。
【請求項36】
第1の光シャッタおよび第2の光シャッタを具備し、
前記第1の光シャッタと前記第2の光シャッタは、同じ形状であり、
前記第1の光シャッタと前記第2の光シャッタは、前記光路をはさんで対向配置されていることを特徴とする請求項32に記載の内視鏡システム。
【請求項37】
前記光源装置は、前記アダプタが接続されていない状態では、前記照明光の外部への漏洩を防止する第3の光シャッタを有することを特徴とする請求項32に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置と内視鏡とを接続する内視鏡接続機構、光源装置と内視鏡とを接続する内視鏡アダプタ、および、光源装置と内視鏡を具備する内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、細長い挿入部を被検体の内部に挿入することによって、外部からは見えない領域の観察等に用いられる。内視鏡は、被検体の内部を照明する照明光を供給する光源装置とともに内視鏡システムを構成している。
【0003】
内視鏡のコネクタが光源装置と接続されることによって、照明光が挿入部の先端部まで導光される。光源装置には、コネクタが接続されていない状態において照明光が外部に漏れるのを防止するために、可動式の遮光部材が設けられている。
【0004】
特開2002-136479号公報には、照明光の光路である開口を閉塞する遮光ばねを有する光源装置が開示されている。内視鏡のコネクタの先端が、遮光ばねを押圧すると、遮光ばねが開き、内視鏡に照明光が供給される。
【0005】
特開2012-70981号公報には、内視鏡のコネクタの側面のピンによって、遮光板を光路から待避する光源装置が開示されている。
【0006】
一方、近年、単回使用の後に処分されるシングルユース内視鏡が使用されている。繰り返し使用されるリユース内視鏡の光源装置に、シングルユース内視鏡を、接続するために、シングルユース内視鏡と光源装置との間にアダプタが設けられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-136479号公報
【特許文献2】特開2012-70981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、内視鏡のコネクタに配設されている導光部材を損傷することのない簡単な構成で漏光が防止されている内視鏡接続機構、内視鏡のコネクタに配設されている導光部材を損傷することのない簡単な構成で漏光が防止されている接続機構を有する内視鏡アダプタ、および、内視鏡のコネクタに配設されている導光部材を損傷することのない簡単な構成で漏光が防止されている接続機構を有する内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の内視鏡接続機構は、内視鏡に照明光を供給する光源装置と前記内視鏡のコネクタとを接続する内視鏡接続機構であって、前記コネクタの筒が挿抜される孔を有する接続口金と、前記孔の内部に設けられた少なくとも1つの光シャッタと、を具備し、前記接続口金の前記筒は、導光部材を内包しており、前記光シャッタは、第1部分と第2部分と第3部分とを含み、前記第1部分は、固定端である第1端と、第2端と、を有し、前記第2部分は、前記第2端と接する第3端と、第4端と、を有し、前記第3部分は、前記第4端と接する第5端と、自由端である第6端と、を有し、前記筒が前記孔に挿入されていない状態では、前記第3部分は、前記照明光の光路に位置し、前記筒が前記孔に挿入された状態では、前記第1部分は前記筒に押圧され、前記第3部分は前記光路の外に位置する。
【0010】
実施形態の内視鏡アダプタは、内視鏡に照明光を供給する光源装置と前記内視鏡のコネクタとの間を接続する内視鏡アダプタであって、前記コネクタの筒が挿抜される孔を有する接続口金と、前記孔の内部に設けられた少なくとも1つの光シャッタと、を具備し、前記コネクタの前記筒は導光部材を内包しており、前記光シャッタは、第1部分と第2部分と第3部分とを含み、前記第1部分は、固定端である第1端と、第2端と、を有し、前記第2部分は、前記第2端と接する第3端と、第4端と、を有し、前記第3部分は、前記第4端と接する第5端と、自由端である第6端と、を有し、前記筒が前記孔に挿入されていない状態では、前記第3部分は、前記照明光の光路に位置し、前記筒が前記孔に挿入された状態では、前記第1部分が前記筒に押圧され移動したことによって、前記第3部分は前記光路の外に位置する。
【0011】
実施形態の内視鏡システムは、コネクタを有する内視鏡と、前記内視鏡に対して照明光を供給する光源装置と前記コネクタとの間を接続するアダプタと、を具備し、前記コネクタは、導光部材を内包する筒を有し、前記アダプタは、前記筒が挿抜される孔を有する接続口金と、前記孔の内部に設けられた少なくとも1つの光シャッタと、を有し、前記光シャッタは、第1部分と第2部分と第3部分とを含み、前記第1部分は、固定端である第1端と、第2端と、を有し、前記第2部分は、前記第2端と接する第3端と、第4端と、を有し、前記第3部分は、前記第4端と接する第5端と、自由端である第6端と、を有し、前記筒が前記孔に挿入されていない状態では、前記第3部分は、前記照明光の光路に位置し、前記筒が前記孔に挿入された状態では、前記第1部分が前記筒に押圧され移動したことによって、前記第3部分は前記光路の外に位置する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、内視鏡のコネクタに配設されている導光部材を損傷することのない簡単な構成で漏光が防止されている内視鏡接続機構、内視鏡のコネクタに配設されている導光部材を損傷することのない簡単な構成で漏光が防止されている接続機構を有する内視鏡アダプタ、および、内視鏡のコネクタに配設されている導光部材を損傷することのない簡単な構成で漏光が防止されている接続機構を有する内視鏡システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態の内視鏡システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態の内視鏡システムの要部の斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態の接続機構の斜視分解図である。
【
図4】
図4は、実施形態の接続機構の光シャッタの斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、実施形態の接続機構の動作を説明するための断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態の接続機構の動作を説明するための断面図である。
【
図7B】
図7Bは、実施形態の接続機構の動作を説明するための断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態の接続機構の光シャッタの作製方法を説明するための平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態の変形例1の接続機構の動作を説明するための断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態の変形例2の内視鏡システムの構成図である。
【
図11】
図11は、実施形態の変形例3の内視鏡システムの構成図である。
【
図12】
図12は、実施形態の変形例4の内視鏡システムの構成図である。
【
図13】
図13は、参考例の内視鏡のコネクタの斜視分解図である。
【
図14】
図14は、参考例の内視鏡のコネクタの斜視分解図である。
【
図15】
図15は、参考例の内視鏡のコネクタの斜視分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。なお、実施形態に基づく図面は、模式的なものである。図面の各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる。図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。一部の構成要素の図示、符号の付与を省略する。
【0015】
図1および
図2に示す本実施形態の内視鏡システム9は、内視鏡1と、内視鏡アダプタ20(以下、「アダプタ20」という。)と、照明光を供給する光源装置41Aを含む周辺装置ユニット40と、を有する。
【0016】
内視鏡1は、挿入部31と、操作部35と、ユニバーサルコード36と、を有する。細長い挿入部31は、被検体に挿入される。操作部35は、挿入部31の基端に設けられている。ユニバーサルコード36は操作部35から延設されている。ユニバーサルコード36の基端にコネクタ10が設けられている。
【0017】
操作部35は、湾曲操作ノブ、および、内視鏡機能を操作するボタンを有する。挿入部31は、先端側から順に、先端部32と、湾曲部33と、軟性管34と、を有する。先端部32は撮像ユニット(不図示)を有する。湾曲自在な湾曲部33は先端部32の基端に設けられている。細長い軟性管34は、湾曲部33の基端に設けられている。
【0018】
周辺装置ユニット40は、プロセッサ41、モニタ42、流体供給装置としての給気装置43、および、キーボード44などが架台に載置されている。プロセッサ41は、光源装置41Aと、内視鏡1と電気信号を授受する制御回路41Bと、が一体となった電気機器である。制御回路41Bは、内視鏡システム9の全体の制御を行うとともに、撮像ユニットが出力する画像信号を処理する。プロセッサ41が処理した画像はモニタ42に表示される。キーボード44は、使用者によるプロセッサ41へのデータ入力等に用いられる。給気装置43は、加圧された気体、例えば、空気、炭酸ガス、または、窒素ガスを供給する。図示しないが、周辺装置ユニット40には、内視鏡1に水を供給する給水装置が含まれていてもよい。
【0019】
上述した内視鏡システム9の構成は一例であり、本発明の内視鏡システムは上述の構成に限定されない。
【0020】
内視鏡1は、単回使用後に処分される、いわゆるシングルユース内視鏡である。内視鏡1は、洗浄して繰り返し使用される、いわゆる、リユース内視鏡とは、プロセッサ41との接続構成が異なる。アダプタ20は、リユース内視鏡用のプロセッサ41と、内視鏡1のコネクタ10とを接続するために用いられる中継アダプタである。シングルユース内視鏡を、アダプタを用いて、光源装置と接続することで、内視鏡は、コネクタ10を複雑な構成とする必要がないため、安価である。また、アダプタ20は繰り返し使用されるため、アダプタ20を有する内視鏡システム9は、1回使用するのに要する費用が安価である。
【0021】
アダプタ20は、レセプタクル部とプラグ部と、を有する。レセプタクル部には、内視鏡1のコネクタ10が挿入される。プラグ部は、プロセッサ41のコネクタ(レセプタクル)41Cに挿入される。プラグ部には、ライトガイド口金21と、複数の電気接点22と、が配設されている。ライトガイド口金21には光源装置41Aからの照明光が入射する。電気接点22は、プロセッサ41の電気接点(不図示)と接続される。レセプタクル部には、コネクタ10に照明光を導光する内視鏡接続機構60(以下、「接続機構60」という。)と、コネクタ10の電気接点13と接続される複数の電気接点23と、が配設されている。
【0022】
コネクタ10には複数の電気接点13が配設されている。コネクタ10の筒であるライトガイド口金11には、導光部材12、例えば、複数の光ファイバーからなるファイバー束が内包されている(
図5B等参照)。導光部材12は、フッ素系樹脂等でもよい。
【0023】
光源装置41Aからの照明光は、プロセッサ41のコネクタ41C、アダプタ20のライトガイド口金21、および、コネクタ10のライトガイド口金11を経由して、内視鏡1の先端部32まで導光される。一方、電気信号は、電気接点22、電気接点23、および、電気接点13を経由して、プロセッサ41と内視鏡1との間で送受信される。
【0024】
光源装置41Aが、照明光が外部に漏れるのを防止する遮光部材を有していても、光源装置41Aにアダプタが接続されると、内視鏡がアダプタに接続されていない状態では、レセプタクル部から照明光が外部に漏れる。
【0025】
図3に示すように、本実施形態の接続機構60は、筒であるライトガイド口金11が挿抜される孔H70を有する接続口金70と第1の光シャッタ50Aと、第2の光シャッタ50Bと、を具備する。以下、第1の光シャッタ50Aを光シャッタ50Aといい、第2の光シャッタ50Bを、光シャッタ50Bという。孔H70の内部に、光路OPを挾んで対向配置された2つの光シャッタ50A、50Bは、同一形状である。以下、2つの光シャッタ50A、50Bのそれぞれを、光シャッタ50という。
【0026】
光シャッタ50を有するアダプタ20は、光源装置41Aと接続されているが、コネクタ10と接続されていない状態でも、照明光が外部に漏れることがない。また、アダプタ20は、光源装置41Aが遮光機能を有していなくとも、照明光が外部に漏れることがない。
【0027】
接続機構60は、光シャッタ50を接続口金70に固定するねじ71を有する。ねじ71は、光シャッタ50の貫通孔H50を挿通し、接続口金70の穴H71にねじ込まれる。光シャッタ50は、接着剤等を用いて、接続口金70に固定されていてもよい。
【0028】
また、接続口金70は、光シャッタ50の一部が嵌合する凹C70を有する。このため、接続機構60は、光シャッタ50の接続口金70への取り付け、および、光シャッタ50の接続口金70に対する位置決めが容易である。
【0029】
図4に示すように、光シャッタ50は、第1部分51と第2部分52と第3部分53と第4部分54とが連設されている。後述するように、第1部分51と第2部分52と第3部分53と第4部分54とは、平板状の1つの板金を折り曲げ加工することで作製される、片持ち板バネである。折り曲げ加工によって、第1部分51と第2部分52と第3部分53と第4部分54とは、同一平面上に位置していない。
【0030】
第1部分51は、固定端である第1端51Aと、第2端51Bと、を有する。第2部分52は、第2端51Bと接する第3端52Aと、第4端52Bと、を有する。第3部分53は、第4端52Bと接する第5端53Aと、自由端である第6端53Bと、を有する。第2端51Bと第3端52A、および、第4端52Bと第5端53Aは、折り曲げ部である。
【0031】
光シャッタ50は、固定端である第1端51Aが、例えば、ヒンジで接続口金70に固定されている剛性板でもよい。
【0032】
光路OPの周囲に配置されている第1部分51は、光路OPに対して傾斜しており、第2端51Bが第1端51Aよりも光路OPに近い位置に配置されている。第1部分51は、第2端51Bが光路OPに最も近い位置に配置されている。
【0033】
光路OPの周囲に配置されている第2部分52は、第3端52Aを有する斜面52P1と、斜面52P1から延設され、第4端52Bを有する平行面52P2とを有する。斜面52P1は光路OPに対して傾斜している。平行面52P2は、光路OPに対して略平行である。第2部分52は、第3端52Aが最も光路OPに近い位置に配置されている。
【0034】
第3部分53は、第5端53Aが、第6端53Bよりも光路OPの光軸Oから離れた位置に配置されている。第3部分53は、第5端53Aが光路OPから最も離れた位置に配置されている。第3部分53は、光路を遮蔽する遮光板である。
【0035】
第4部分54は、光シャッタ50を接続口金70に保持する保持部分である。第4部分54は、第1端51Aと接する第7端54Aを有する。第4部分54は、第7端54Aを有する接続部分54Bと、接続部分54Bから延設された第1の固定部分54Cおよび第2の固定部分54Dと、を含む。第4部分54は、複数箇所が折り曲げられている。このため、第1の固定部分54Cおよび第2の固定部分54Dは、光路OPをはさんで対向配置されている。接続部分54B、第1の固定部分54Cの一部、および、第2の固定部分54Dの一部は、異なる平面上に位置する。
【0036】
光シャッタ50では、第1端51A、第2端51B、第3端52A、第4端52B、および前記第5端53Aは、光路OPに直交する方向の幅Wが同じであるが、幅Wは異なっていてもよい。
【0037】
図5Aおよび
図5Bに示すように、コネクタ10のライトガイド口金11が、アダプタ20の孔H70に挿入されていない状態(第1の状態)では、光シャッタ50の第3部分53は、照明光の光路OPに位置する。なお。
図5Bでは接続口金70は図示していない。光シャッタ50の第3部分53は、照明光がアダプタ20の外部に漏れるのを防止する遮光板である。遮蔽時に光路OPに対して略垂直に配置されている遮光板である第3部分53は、光路OPに対して傾斜している遮光板よりも、遮光性能が高い。
【0038】
2つの光シャッタ50の、第3部分53は、光路OPにおいて、少なくとも一部がオーバーラップしている。このため、接続機構60は、遮光性能が高い。
【0039】
なお、筒であるライトガイド口金11の外径D11は、第1の光シャッタ50Aの第1端51Aと、第2の光シャッタ50Bの第1端51Aとの間隔L51Aよりも小さい。外径D11は、前記第1の光シャッタ50Aの前記第2端51Bと前記第2の光シャッタ50Bの前記第2端51Bとの間隔L51Bよりも大きい。また、導光部材12の外径D12は、間隔L51Bよりも小さい。
【0040】
一方、
図6、
図7Aおよび
図7Bに示すように、ライトガイド口金11が、アダプタ20の孔H70に挿入された状態(第2の状態)では、光シャッタ50の第1部分51はライトガイド口金11に押圧され、第2端51Bは光路OPから離れる方向に移動する。このため、第3部分53は光路OPの外に移動する。光シャッタ50Aの第3部分53と、光シャッタ50Bの第3部分53とは、異なる方向に移動して光路OPから待避する。第3部分53が光路OPから待避するため、照明光は、ライトガイド口金11の導光部材12に導光される。
【0041】
なお、接続機構60においては、光シャッタ50は、第1部分51だけがライトガイド口金11と接触する。遮光板である第3部分53は、ライトガイド口金11と接触することはない。
【0042】
導光部材12は、ライトガイド口金11の先端面11SAから突出している。導光部材12は、光シャッタと接触すると、損傷するおそれがあった。
【0043】
図5Bに示すように、内視鏡システム9では、ライトガイド口金11が孔H70に挿入される前の第1の状態において、光シャッタ50の第1部分51の光路OPに対する第1の角度θ1は、ライトガイド口金11の先端外周と導光部材12の先端外周とを結ぶ直線の光路OPに対する第2の角度θ2よりも、小さい。このため、導光部材12は、光シャッタ50と接触することがない。
【0044】
本実施形態の接続機構60は、簡単な構成であり、さらに、導光部材12が、光シャッタ50と接触することがないため、導光部材12が損傷したり摩耗したりすることがない。
【0045】
導光部材12は、ライトガイド口金11の先端面11SAから突出していなくともよい。しかし、ライトガイド口金11の先端面11SAから突出している導光部材12は、ライトガイド口金11の先端面11SAから突出していない導光部材12よりも導光効率が高い。
【0046】
すでに説明したように、光シャッタ50は、第1部分51と第2部分52と第3部分53と第4部分54とが、1つの板金(
図8参照)を、折り曲げ加工することによって作製される。板金は、例えば、厚さ0.5mmのステンレス鋼からなる、第1部分51と第2部分52と第3部分53とは、加工前は、同一平面上に位置している。折り曲げ加工された光シャッタ50は、第1部分51と第2部分52と第3部分53とは、同じ平面上には位置していない。
【0047】
光軸方向において少し離れた位置に配置されている2つの光シャッタ50A、50Bは、同じ構成である。2つの光シャッタ50A、50Bを同じ工程で製造できるため、本実施形態の接続機構60は、製造コストを削減できる。さらに、本実施形態の接続機構60は、2つの光シャッタ50A、50Bを区別する必要がないため、組立が容易である。
【0048】
<変形例>
変形例の接続機構60A等は、実施形態の接続機構60等と類似し、同じ効果を有している。このため、以下の説明においては、実施形態の接続機構60等と同じ機能の構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0049】
<変形例1>
図9に示す本変形例の内視鏡システム9Aでは、接続機構60Aは、光シャッタ50を1つだけ有している。変形例の接続機構60Aは、実施形態の接続機構60よりも構成が簡単である。なお、接続機構60Aの光シャッタ50の遮光板である第3部分53は、接続機構60の第3部分53よりも、大きく、かつ、光軸直交方向の移動距離が大きいことが好ましい。
【0050】
本発明の接続機構は、少なくとも1つの光シャッタ50を有していればよい。本発明の接続機構は、光軸Oを中心に回転対称位置に配置された、3つ以上、例えば、4つの光シャッタを有していてもよい。
【0051】
接続機構60Aでは、ライトガイド口金11の先端部の側面11SSは、光軸に対して平行ではなく、光軸に対して傾斜している。このため、接続機構60Aは、光シャッタ50との接触に起因するライトガイド口金11の摩耗が少ない。実施形態の接続機構60においても、ライトガイド口金11の先端部の側面が傾斜していることが好ましいことは言うまでも無い。
【0052】
<変形例2>
図10に示す内視鏡システム9Bでは、内視鏡1のコネクタ10は、プロセッサ41の光源装置41Aに、アダプタを経由することなく、接続されている。光シャッタ50を含む接続機構60は、光源装置41Aに配設されている。
【0053】
<変形例3>
図11に示す内視鏡システム9Cでは、内視鏡1のコネクタ10は、制御回路を有するプロセッサ41とは別体の光源装置41Aに接続されている。光シャッタ50を含む接続機構60は、光源装置41Aのコネクタに配設されている。内視鏡1のコネクタ10から分岐した信号ケーブルは、制御回路を有するプロセッサ41と接続されている。
【0054】
<変形例4>
図12に示す内視鏡システム9Dでは、アダプタ20に、少なくとも1つの光シャッタ50を有する接続機構60が含まれている。さらに光源装置41Aにも、照明光の外部への漏洩を防止する少なくとも1つの第3の光シャッタ50Dを含む接続機構60Dが配設されている。第3の光シャッタ50Dは第1の光シャッタ50Aと略同じ構成であってもよい。
【0055】
内視鏡システム9Dにおいては、光源装置41Aと制御回路41Bとは、プロセッサ41として1つの筐体に収容されている。しかし、内視鏡システム9Dにおいても、内視鏡システム9Cと同じように、光源装置41Aが、制御回路41Bを含むプロセッサ41とは別体であってもよい。
【0056】
内視鏡1は医療用の軟性鏡であるが、別の実施形態の内視鏡は、工業用の内視鏡であってもよいし、軟性管34に替えて硬性の直管を有する硬性鏡であってもよい。また、実施例、変形例の内視鏡1は、使用後に洗浄消毒処理が行われ、繰り返し使用されるリユース内視鏡であってもよい。
【0057】
<参考例>
図13に示す内視鏡1Xのコネクタ10Xの筐体(外装部品)19、
図14に示す内視鏡1Yのコネクタ10Yの筐体19は、いずれも、2つの貫通孔H19A、H19Bを有する。内視鏡1Xでは、貫通孔H19Aに口金18Aが配設されている。口金18Aはモールド管路17Aの一部である。貫通孔H19Bには、ゴム、または、樹脂からなる栓16が、はめこまれている。
【0058】
これに対して、
図14に示す内視鏡1Yでは、貫通孔H19Aには、内視鏡1Xと同じように口金18Aが配設されている。貫通孔H19Bには、副口金18Bが配設されている。副口金18Bには、チューブ17Bが接続されている。
【0059】
内視鏡1Xにおいては、貫通孔H19Bは使用されていない、無駄な孔である。しかし、貫通孔H19Bを有する筐体19は、内視鏡1X、内視鏡1Yのいずれにも使用できる。筐体等の部品を、異なる仕様の内視鏡の共通部品として設計することによって、内視鏡の製造コストの低減を実現できる。
【0060】
内視鏡とプロセッサとを接続するアダプタの筐体においてでも、筐体を異なる仕様のアダプタの共通部品として設計することが好ましいことは言うまでも無い。
【0061】
図15に示す参考例の内視鏡1Zのコネクタ10Zには、樹脂からなる複数の管路が樹脂成形されたモールド管路15を有する。2つに分割された外装部品19A、19Bによって、モールド管路15等の内装部品を挟み込むことによって、コネクタ10Zは作製される。モールド管路15を有するコネクタ10Zは、チューブを有するコネクタよりも、組立が容易である。
【0062】
図示しないが、従来のコネクタは、チューブ等を固定するための、例えば、アルミニウムダイカストからなる固定板を有していた。
【0063】
参考例のコネクタ10Zは、固定板を有していないため、従来のコネクタよりも製造が容易で、かつ、安価である。
【0064】
内視鏡とプロセッサとを接続するアダプタの筐体においてでも、参考例のコネクタ10Zのような構成が好ましいことは言うまでも無い。
【0065】
本発明は、上記した実施形態等に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変、例えば、実施形態の構成要素の組み合わせ等が可能である。
【0066】
本出願は、2022年9月26日に米国に出願された仮出願63/409849号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。
【符号の説明】
【0067】
1…内視鏡
9…内視鏡システム
10…コネクタ
11…ライトガイド口金
12…導光部材
13…電気接点
15…モールド管路
16…栓
19…筐体
20…内視鏡アダプタ
21…ライトガイド口金
41…プロセッサ
41A…光源装置
41B…制御回路
41C…コネクタ
42…モニタ
43…給気装置
44…キーボード
50A…第1の光シャッタ
50B…第2の光シャッタ
50D…第3の光シャッタ
60…内視鏡接続機構