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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047526
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
G02F1/01 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068741
(22)【出願日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2022152732
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】黒川 宗高
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 智哉
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA03
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102CA09
2K102CA10
2K102DA04
2K102DB05
2K102DC08
2K102DD03
2K102EA02
2K102EA08
2K102EA09
2K102EA17
2K102EA21
2K102EB06
2K102EB10
2K102EB11
2K102EB22
2K102EB25
2K102EB30
(57)【要約】
【課題】温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制することができる光モジュールを提供する。
【解決手段】一実施形態に係る光モジュールは、第1の辺、第1の辺と交差する第2の辺、及び、第2の辺と対向する第3の辺を有する光素子と、光素子が収納される筐体と、筐体の内部に搭載され、光素子が搭載される熱電冷却器と、光素子の第1の辺側に配置される駆動回路と、光素子の第2の辺側に配置される第1のボンディングパッドと、筐体の枠体に設けられ、光素子の第1のボンディングパッドと第1のボンディングワイヤを介して接続される第1の配線パターンと、を備え、熱電冷却器は、複数のペルチェ素子が間隔を空けて配置されている。第2の辺側に位置する複数のペルチェ素子の間隔は、光素子の中央に位置する複数のペルチェ素子の間隔より狭い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の辺、前記第1の辺と交差する第2の辺、及び、前記第2の辺と対向する第3の辺を有する光素子と、
前記光素子が収納される筐体と、
前記筐体の内部に搭載され、前記光素子が搭載される熱電冷却器と、
前記光素子の前記第1の辺側に配置される駆動回路と、
前記光素子の前記第2の辺側に配置される第1のボンディングパッドと、
前記筐体の枠体に設けられ、前記光素子の前記第1のボンディングパッドと第1のボンディングワイヤを介して接続される第1の配線パターンと、
を備え、
前記熱電冷却器は、複数のペルチェ素子が間隔を空けて配置されており、
前記第2の辺側に位置する前記複数の前記ペルチェ素子の間隔は、前記光素子の中央に位置する前記複数の前記ペルチェ素子の間隔より狭い、
光モジュール。
【請求項2】
前記光素子は、第1の信号光が伝搬する第1の光導波路、及び前記第1の信号光とは異なる第2の信号光が伝搬する第2の光導波路を有する多モード干渉器であり、
前記第1の光導波路は、前記多モード干渉器の中央より前記第2の辺側に設けられ、
前記第2の光導波路は、前記多モード干渉器の中央より前記第3の辺側に設けられる、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記光素子の前記第3の辺側に配置される第2のボンディングパッドと、
前記筐体の枠体に設けられ、前記光素子の前記第2のボンディングパッドと第2のボンディングワイヤを介して接続される第2の配線パターンと、
を備え、
前記第3の辺側に位置する前記複数の前記ペルチェ素子の間隔は、前記光素子の中央に位置する前記複数の前記ペルチェ素子の間隔より狭い、
請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記光素子の前記第1の辺側に配置される第3のボンディングパッドと、
前記駆動回路に設けられ、前記光素子の前記第3のボンディングパッドと第3のボンディングワイヤを介して接続される第3の配線パターンと、
を備え、
前記第1の辺側に位置する前記複数の前記ペルチェ素子の間隔は、前記光素子の中央に位置する前記複数の前記ペルチェ素子の間隔より狭い、
請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記駆動回路が発熱体である、
請求項4に記載の光モジュール。
【請求項6】
第1の辺、前記第1の辺と交差する第2の辺、及び、前記第2の辺と対向する第3の辺を有する光素子と、
前記光素子が収納される筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記光素子が搭載される熱電冷却器と、
前記光素子の周囲に位置する第1熱容量部と、
前記光素子の周囲であって、かつ前記第1熱容量部とは異なる場所に位置する第2熱容量部と、
を備え、
前記第1熱容量部における熱容量は、前記第2熱容量部における熱容量よりも大きく、
前記熱電冷却器は、複数のペルチェ素子が間隔を空けて配置されており、
前記第1熱容量部側に位置する前記複数の前記ペルチェ素子の間隔は、前記第2熱容量部側に位置する前記複数の前記ペルチェ素子の間隔より狭い、
光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光送信モジュールが記載されている。光送信モジュールは、光半導体レーザ素子と光結合された光変調素子を有する。光送信モジュールは、主面及び裏面を有する基板と、基板の主面上に第1の温度制御素子を介して設けられ半導体レーザ素子を搭載する第1の搭載部と、基板の主面上に第2の温度制御素子を介して設けられ光変調素子を搭載する第2の搭載部と、を有する温調デバイスを備える。更に、光送信モジュールは、半導体レーザ素子、光変調素子、及び温調デバイスを収容するパッケージと、第1の温度制御素子と第2の温度制御素子との間に配置され基板の主面に固着される中間ブロックとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-174892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マッハツェンダ(MZI)変調器を備えた光モジュールにおいて、マッハツェンダ変調器は、量子閉じ込めシュタルク効果、及びポッケルス効果等の電気光学効果による屈折率変化を用いて位相の調整を行う。マッハツェンダ変調器は互いに平行に延びる2本の導波路を有する。この2本の導波路の温度分布が不均一になるとp、n間の光路長が変わり、位相がずれるということが生じうる。よって、温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制することが求められうる。
【0005】
本開示は、温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制することができる光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る光モジュールは、第1の辺、第1の辺と交差する第2の辺、及び、第2の辺と対向する第3の辺を有する光素子と、光素子が収納される筐体と、筐体の内部に搭載され、光素子が搭載される熱電冷却器と、光素子の第1の辺側に配置される駆動回路と、光素子の第2の辺側に配置される第1のボンディングパッドと、筐体の枠体に設けられ、光素子の第1のボンディングパッドと第1のボンディングワイヤを介して接続される第1の配線パターンと、を備え、熱電冷却器は、複数のペルチェ素子が間隔を空けて配置されている。第2の辺側に位置する複数のペルチェ素子の間隔は、光素子の中央に位置する複数のペルチェ素子の間隔より狭い。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る光モジュールの内部構造を示す部分断面図である。
図2図2は、図1の光モジュールの光素子を示す平面図である。
図3図3は、図1の光モジュールの熱電冷却器及び変調素子を模式的に示す平面図である。
図4図4は、実施例1に係る光モジュール、及び比較例1に係る光モジュールの幅方向における温度の分布を示すグラフである。
図5図5は、実施例1に係る光モジュール、及び比較例1に係る光モジュールの幅方向における温度の分布を示す図4とは別のグラフである。
図6図6は、実施例1に係る光モジュール、及び比較例1に係る光モジュールの位相シフトを示すグラフである。
図7図7は、第1変形例に係る光モジュールの内部構造を示す部分断面図である。
図8図8は、第2変形例に係る光モジュールの熱電冷却器及び変調素子を模式的に示す平面図である。
図9図9は、実施例2に係る光モジュール、及び比較例2に係る光モジュールの幅方向における温度の分布を示すグラフである。
図10図10は、実施例2に係る光モジュール、及び比較例2に係る光モジュールの幅方向における温度の分布を示す図9とは別のグラフである。
図11図11は、実施例2に係る光モジュール、及び比較例2に係る光モジュールの位相シフトを示すグラフである。
図12図12は、第3変形例に係る光モジュールの熱電冷却器及び変調素子を模式的に示す平面図である。
図13図13は、実施例3に係る光モジュール、及び比較例2に係る光モジュールの幅方向における温度の分布を示すグラフである。
図14図14は、実施例3に係る光モジュール、及び比較例2に係る光モジュールの幅方向における温度の分布を示す図13とは別のグラフである。
図15図15は、第4変形例に係る光モジュールの熱電冷却器及び変調素子を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示に係る光モジュールの実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る光モジュールは、(1)第1の辺、第1の辺と交差する第2の辺、及び、第2の辺と対向する第3の辺を有する光素子と、光素子が収納される筐体と、筐体の内部に搭載され、光素子が搭載される熱電冷却器と、光素子の第1の辺側に配置される駆動回路と、光素子の第2の辺側に配置される第1のボンディングパッドと、筐体の枠体に設けられ、光素子の第1のボンディングパッドと第1のボンディングワイヤを介して接続される第1の配線パターンと、を備え、熱電冷却器は、複数のペルチェ素子が間隔を空けて配置されている。第2の辺側に位置する複数のペルチェ素子の間隔は、光素子の中央に位置する複数のペルチェ素子の間隔より狭い。
【0010】
この光モジュールでは、熱電冷却器に光素子が搭載される。光素子及び熱電冷却器は筐体に収納される。光素子は、第2の辺と、第2の辺に対向する第3の辺とを有する。光素子の第2の辺側には第1のボンディングパッドが配置されている。筐体の枠体は、光素子の第1のボンディングパッドと第1のボンディングワイヤを介して接続される第1の配線パターンを有する。第1のボンディングパッド及び第1のボンディングワイヤは、第2の辺側に設けられるので、第2の辺側では、光素子の中央と比較して熱の流出入が生じやすい。この光モジュールでは、熱電冷却器に複数のペルチェ素子が間隔を空けて配置されており、第2の辺側に位置する複数のペルチェ素子の間隔が光素子の中央に位置する複数のペルチェ素子の間隔より狭い。従って、光素子の中央と比較して第2の辺側にペルチェ素子が密に配置されているので、第2の辺側における熱の流出入の影響を低減できる。よって、光素子の温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制できる。
【0011】
(2)上記(1)において、光素子は、第1の信号光が伝搬する第1の光導波路、及び第1の信号光とは異なる第2の信号光が伝搬する第2の光導波路を有する多モード干渉器であってもよい。第1の光導波路は、多モード干渉器の中央より第2の辺側に設けられ、第2の光導波路は、多モード干渉器の中央より第3の辺側に設けられてもよい。この場合、第2の辺側に位置する第1の光導波路の温度と、第3の辺側に位置する第2の光導波路の温度とを均一に近づけることができる。
【0012】
(3)上記(1)または(2)において、光モジュールは、光素子の第3の辺側に配置される第2のボンディングパッドと、筐体の枠体に設けられ、光素子の第2のボンディングパッドと第2のボンディングワイヤを介して接続される第2の配線パターンと、を備えてもよい。第3の辺側に位置する複数のペルチェ素子の間隔は、光素子の中央に位置する複数のペルチェ素子の間隔より狭くてもよい。この場合、第2のボンディングパッド及び第2のボンディングワイヤは、第3の辺側に設けられるので、第3の辺側では、光素子の中央と比較して熱の流出入が生じやすい。この光モジュールでは、第3の辺側に位置する複数のペルチェ素子の間隔が光素子の中央に位置する複数のペルチェ素子の間隔より狭い。従って、光素子の中央と比較して第3の辺側にペルチェ素子が密に配置されているので、第3の辺側における熱の流出入の影響を低減できる。よって、光素子の温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制できる。
【0013】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、光モジュールは、光素子の第1の辺側に配置される第3のボンディングパッドと、駆動回路に設けられ、光素子の第3のボンディングパッドと第3のボンディングワイヤを介して接続される第3の配線パターンと、を備えてもよい。第1の辺側に位置する複数のペルチェ素子の間隔は、光素子の中央に位置する複数のペルチェ素子の間隔より狭くてもよい。この場合、第3のボンディングパッド及び第3のボンディングワイヤは、第1の辺側に設けられるので、第1の辺側では、光素子の中央と比較して熱の流出入が生じやすい。この光モジュールでは、第1の辺側に位置する複数のペルチェ素子の間隔が光素子の中央に位置する複数のペルチェ素子の間隔より狭い。従って、光素子の中央と比較して第1の辺側にペルチェ素子が密に配置されているので、第1の辺側における熱の流出入の影響を低減できる。よって、光素子の温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制できる。
【0014】
(5)上記(4)において、駆動回路が発熱体であってもよい。駆動回路は、光素子の第1の辺側に配置されている。この光モジュールでは、上記のように、駆動回路が配置されている光素子の第1の辺側にペルチェ素子が密に配置されている。よって、駆動回路からの熱の流出入の影響を低減できるので、光素子の温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制できる。
【0015】
別の実施形態に係る光モジュールは、(6)第1の辺、第1の辺と交差する第2の辺、及び、第2の辺と対向する第3の辺を有する光素子と、光素子が収納される筐体と、筐体の内部に配置され、光素子が搭載される熱電冷却器と、光素子の周囲に位置する第1熱容量部と、光素子の周囲であって、かつ第1熱容量部とは異なる場所に位置する第2熱容量部と、を備える。第1熱容量部における熱容量は、第2熱容量部における熱容量よりも大きい。熱電冷却器は、複数のペルチェ素子が間隔を空けて配置されている。第1熱容量部側に位置する複数のペルチェ素子の間隔は、第2熱容量部側に位置する複数のペルチェ素子の間隔より狭い。
【0016】
この光モジュールでは、熱電冷却器に光素子が搭載され、光素子及び熱電冷却器は筐体に収納される。光素子は、第2の辺と、第2の辺に対向する第3の辺とを有する。光素子の周囲には、第1熱容量部と、第1熱容量部とは異なる場所に位置する第2熱容量部とが配置されている。第1熱容量部における熱容量は、第2熱容量部における熱容量よりも大きい。よって、第1熱容量部は、第2熱容量部と比較して、光素子への熱の流出入が生じやすい。この光モジュールでは、熱電冷却器に複数のペルチェ素子が間隔を空けて配置されており、第1熱容量部側に位置する複数のペルチェ素子の間隔が第2熱容量部側に位置する複数のペルチェ素子の間隔より狭い。従って、第2熱容量部側と比較して、第1熱容量部側にペルチェ素子が密に配置されているので第1熱容量部側における熱の流出入の影響を低減できる。よって、光素子の温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制できる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る光モジュールの具体例を以下で図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示され、特許請求の範囲と均等の範囲における全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載したものに限定されない。
【0018】
図1は、一例としての光モジュール1の内部構造を示す部分断面図である。図1に示されるように、光モジュール1は、直方体状の筐体2と、筐体2から延び出す入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4とを備える。入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4のそれぞれは円柱状を呈する。筐体2は、第1方向D1に沿って延びる第1側壁2bと、第1方向D1に交差する第2方向D2に沿って延びる一対の第2側壁2cと、光モジュール1の各部品が搭載される底壁2dとを有する。第1方向D1は光モジュール1の長手方向であり、第2方向D2は光モジュール1の幅方向である。
【0019】
第1側壁2bは、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延在している。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する方向であり、光モジュール1の高さ方向に相当する。一対の第2側壁2cは第1方向D1に沿って並んでおり、各第2側壁2cは第2方向D2及び第3方向D3の双方に延在している。底壁2dは、第1側壁2b及び第2側壁2cの第3方向D3の一端において第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在している。一対の第1側壁2b、及び一対の第2側壁2cは、第3方向D3から見たときに枠状を呈する筐体2の枠体2gを構成する。
【0020】
一対の第2側壁2cのうちの一方からは入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4が第1方向D1に沿って延び出している。入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4は、第2方向D2に沿って並んでいる。入力アセンブリ3は、光モジュール1の外部から光モジュール1の内部に入力光L1を入力する部位である。出力アセンブリ4は、光モジュール1の内部から光モジュール1の外部に出力光L4を出力する部位である。入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4のそれぞれにはレンズが内蔵されている。入力アセンブリ3は入力アセンブリ3のレンズを保持するレンズホルダ3bを有し、出力アセンブリ4は出力アセンブリ4のレンズを保持するレンズホルダ4bを有する。
【0021】
光モジュール1は、底壁2dに搭載された光学用ベース11と、光学用ベース11に搭載されたフィルタ12及び複合フィルタブロック13とを備える。フィルタ12は、入力アセンブリ3からの入力光L1を透過する。フィルタ12は入力光L1を複合フィルタブロック13に入力する。複合フィルタブロック13は、フィルタ12から見て入力アセンブリ3とは反対側に配置されている。複合フィルタブロック13は、入力された入力光L1を反射する複数の反射面13bを有する。
【0022】
複数の反射面13bは、第1の反射面13c、第2の反射面13d、第3の反射面13f及び第4の反射面13gを含む。第1の反射面13c及び第2の反射面13dは第2方向D2に沿って並んでいる。第2方向D2における第3の反射面13fの位置は、第2方向D2における第1の反射面13cの位置、及び第2方向D2における第2の反射面13dの位置からずれている。第2方向D2における第4の反射面13gの位置は、第2方向D2における第1の反射面13cの位置、及び第2方向D2における第2の反射面13dの位置からずれている。第3の反射面13f及び第4の反射面13gは第2方向D2に沿って並んでいる。
【0023】
フィルタ12から第1方向D1に沿って複合フィルタブロック13に入射した入力光L1は、第1の反射面13cにおいて第2方向D2に反射する。第1の反射面13cにおいて反射した入力光L1は、第2の反射面13dにおいて第1方向D1に反射して入力アセンブリ3とは反対側に出射する。
【0024】
複合フィルタブロック13には、出力アセンブリ4とは反対側から第1方向D1に沿って後に詳述する出力光L2及び出力光L3が入力する。出力光L2は第3の反射面13fにおいて第2方向D2に反射する。第3の反射面13fにおいて反射した出力光L2は、第4の反射面13gにおいて第1方向D1に反射する。出力光L3は、第4の反射面13gを透過する。複合フィルタブロック13は、出力光L2及び出力光L3を出力光L4として出力アセンブリ4に出射する。出力アセンブリ4に出射した出力光L4は光モジュール1の外部に出力される。
【0025】
光モジュール1は、底壁2dに搭載された温調デバイス(熱電冷却器)21と、温調デバイス21に搭載された変調素子用キャリア22と、変調素子用キャリア22に搭載された変調素子(光素子)30とを備える。光モジュール1は、入力レンズ系24と、第1の出力レンズ系25と、第2の出力レンズ系26とを備える。温調デバイス21は、TEC(Thermo Electric Cooler)である。
【0026】
変調素子30は、例えば、リン化インジウム(InP)基板上にマッハツェンダ干渉計が形成された多モード干渉器である。また、変調素子30は、Si基板上に光導波路が形成された素子であってもよい。一例として、変調素子30は、リン化インジウム(InP)、二酸化ケイ素(SiO)及びベンゾシクロブテン(BCB)を含む。温調デバイス21及び変調素子30については後に詳述する。入力レンズ系24は、変調素子30と複合フィルタブロック13との間に搭載されている。第1の出力レンズ系25及び第2の出力レンズ系26は、入力レンズ系24の第2方向D2の両側のそれぞれに搭載されている。
【0027】
光モジュール1は、変調素子30から見て複合フィルタブロック13とは反対側に位置するヒートシンク41と、ヒートシンク41に搭載されたドライバIC(駆動回路)42とを備える。図2は、変調素子30を示す平面図である。変調素子30は、例えば、複数の光導波路を有する多モード干渉器である。図2に示されるように、変調素子30は、例えば、変調器チップ31と、入力ポート32と、第1の出力ポート33bと、第2の出力ポート33cと、分岐部34と、第1の合波部35bと、第2の合波部35cと、光導波路36a~36hと、第1のモニタポート37bと、第2のモニタポート37cとを有する。
【0028】
図1及び図2に示されるように、変調器チップ31の平面形状は、例えば、長方形状である。変調器チップ31は、第1方向D1に延在する辺31b,31cと、第2方向D2に延在する辺31d,31fとを有する。入力ポート32は、複合フィルタブロック13(第2の反射面13d)から出力した入力光L1が入力レンズ系24を介して入力する光ポートである。入力ポート32は、辺31dに位置する。例えば、入力ポート32は、辺31dの第2方向D2の中央に位置する。変調素子30の辺31f(第1の辺)側にドライバIC42が配置されている。
【0029】
第1の出力ポート33bは出力光(第1の信号光)L2を第1の出力レンズ系25に出力する光ポートであり、第2の出力ポート33cは出力光(第2の信号光)L3を第2の出力レンズ系26に出力する光ポートである。第1の出力ポート33bから出力した出力光L2は、第1の出力レンズ系25を透過して複合フィルタブロック13に入射する。第2の出力ポート33cから出力した出力光L3は第2の出力レンズ系26を透過して複合フィルタブロック13に入射する。第1の出力ポート33b及び第2の出力ポート33cは、変調器チップ31の辺31dに設けられている。第1の出力ポート33b及び第2の出力ポート33cは、入力ポート32に対して互いに対称となる位置に配置されている。
【0030】
分岐部34は、入力ポート32から入力された入力光L1を光導波路36a~36hに分岐する。第1の合波部35bは、光導波路36e~36hを伝搬した信号光の(複数の信号光の一部)を合波して第1の出力ポート33bに出力光L2として提供する。第2の合波部35cは、光導波路36a~36dを伝搬した信号光(複数の信号光の残部)を合波して第2の出力ポート33cに出力光L3として提供する。
【0031】
変調素子30は、変調電極38a~38hと、親位相調整電極38j~38mと、子位相調整電極(不図示)とを有する。変調電極38a~38hは、光導波路36a~36hのそれぞれに設けられる。変調電極38a~38hは、変調された電圧信号を光導波路36a~36hに与えて光導波路36a~36hを通る光の屈折率を変化させる。これにより、光導波路36a~36hを伝搬する光の位相が変調される。
【0032】
変調電極38a~38hのそれぞれの一端は、配線パターンを介して信号入力用のRFパッド39a~39hのそれぞれと電気的に接続されている。信号入力用のRFパッド39a~39hはドライバIC42に電気的に接続されている。変調電極38a~38hのそれぞれの他端は、配線パターンを介して信号終端用の信号パッド40a~40hのそれぞれと電気的に接続されている。親位相調整電極38j~38mは、配線パターンを介してバイアスパッド39j~39mのそれぞれと電気的に接続されている。子位相調整電極は、配線パターンを介して調整信号入力用のバイアスパッド40j~40qのそれぞれと接続されている。
【0033】
図3は、温調デバイス21、変調素子30及びドライバIC42を模式的に示す平面図である。図3に示されるように、ドライバIC42は電極パッド42bを有する。電極パッド42bは、ドライバIC42の変調素子30側の端部において第2方向D2に沿って並んでいる。光モジュール1は、筐体2の枠体2gに設けられた配線パターン(第1の配線パターン)2hを有する。配線パターン2hは、筐体2の第2方向D2の端部において第1方向D1に沿って並んでいる。変調素子30はドライバIC42に対向する位置に電極パッド30cを有し、電極パッド30cは第2方向D2に沿って並んでいる。光モジュール1は、電極パッド30c及び電極パッド42bを互いに電気的に接続するボンディングワイヤW2を有する。
【0034】
例えば、変調素子30は制御端子(第1のボンディングパッド)30bを有する。制御端子30bは、辺31c(第2の辺)側において第1方向D1に沿って並んでいる。配線パターン2hは、変調素子30の制御端子30bとボンディングワイヤ(第1のボンディングワイヤ)W1を介して接続されている。更に、光モジュール1は、サーミスタ28を有する。サーミスタ28は、例えば、変調素子30及び複合フィルタブロック13の間に配置されている。サーミスタ28は、ボンディングワイヤW3を介して枠体2gに設けられたパッド2jに電気的に接続されている。
【0035】
温調デバイス21は、複数のペルチェ素子27を有する。複数のペルチェ素子27は、第1方向D1に沿って並ぶと共に、第2方向D2に沿って並ぶように格子状に配列されている。複数のペルチェ素子27は、間隔Sを空けて配置されている。例えば、第2方向D2に沿って並ぶ2つのペルチェ素子27の間隔Sは、第2方向D2におけるペルチェ素子27の位置に応じて異なる。辺31c側(変調素子30の制御端子30b側、又は、筐体2の配線パターン2h側)に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sは、辺31b側に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sよりも狭い。すなわち、辺31b側と比較して辺31c側の方が複数のペルチェ素子27が密に配置されている。
【0036】
辺31c側に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sは、変調素子30の中央に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sより狭い。光素子(変調素子30)の中央とは、第3方向D3から見た場合における光素子(変調素子30)の中央を示している。例えば、最も辺31c側に位置するペルチェ素子27と2番目に辺31c側に位置するペルチェ素子27との間隔S1は、2番目に辺31c側に位置するペルチェ素子27と3番目に辺31c側に位置するペルチェ素子27との間隔S2より狭い。間隔S2は3番目に辺31c側に位置するペルチェ素子27と4番目に辺31c側に位置するペルチェ素子27との間隔S3より狭い。一例として、間隔S1は0.15mm、間隔S2は0.2mm、間隔S3は0.25mmである。変調素子30の中央に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sは、間隔S3と同一であってもよい。
【0037】
次に、本実施形態に係る光モジュール1から得られる作用効果について説明する。光モジュール1では、温調デバイス21に変調素子30が搭載される。変調素子30及び温調デバイス21は筐体2に収納される。変調素子30は、辺31cと、辺31cに対向する辺31bとを有する。変調素子30の辺31c側には第1のボンディングパッドとして制御端子30bが配置されている。筐体2の枠体2gは、変調素子30の制御端子30bとボンディングワイヤW1を介して接続される配線パターン2hを有する。制御端子30b及びボンディングワイヤW1は、辺31c側に設けられるので、辺31c側では、辺31b側と比較して熱の流出入が生じやすい。光モジュール1では、温調デバイス21に複数のペルチェ素子27が間隔Sを空けて配置されており、辺31c側に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sは辺31b側に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sより狭い。従って、辺31b側と比較して辺31c側にペルチェ素子27が密に配置されているので、辺31b側における熱の流出入の影響を低減できる。よって、変調素子30の温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制できる。
【0038】
すなわち、制御端子30b及びボンディングワイヤW1は、辺31c側に設けられるので、辺31c側では、変調素子30の中央と比較して熱の流出入が生じやすい。光モジュール1では、辺31c側に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sは、変調素子30の中央に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sより狭い。従って、変調素子30の中央と比較して辺31c側にペルチェ素子27が密に配置されている。よって、辺31c側における熱の流出入の影響を低減でき、変調素子30の温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制できる。
【0039】
前述したように、変調素子30は、第1の信号光である出力光L2が伝搬する第1の光導波路36e~36h、及び出力光L2とは異なる第2の信号光である出力光L3が伝搬する第2の光導波路36a~36dを有する多モード干渉器であってもよい。第1の光導波路36e~36hは、多モード干渉器の中央より辺31b側に設けられ、第2の光導波路36a~36dは、多モード干渉器の中央より辺31c側に設けられてもよい。この場合、辺31b側に位置する第1の光導波路36e~36hの温度と、辺31c側に位置する第2の光導波路36a~36dの温度とを均一に近づけることができる。
【0040】
図4は、実施例1に係る光モジュールにおける変調素子の温度分布と、比較例1に係る光モジュールにおける変調素子の温度分布の解析結果(光モジュールの温度が35℃であるときにおける変調素子の温度分布と、光モジュールの温度が75℃であるときにおける変調素子の温度分布との差)を示すグラフである。実施例1に係る光モジュールは、前述した光モジュール1と同一である。比較例1に係る光モジュールは、幅方向(第2方向D2)に沿って並ぶ2つのペルチェ素子の間隔が互いに同一である(複数のペルチェ素子が均一に配置されている)点が光モジュール1とは異なる。図4の横軸は幅方向(X方向)における変位を示しており、図4の縦軸は変調素子の制御端子とは反対側の端部(辺31b)中央を0とした場合におけるX方向に延びる線Z上(図3参照)の温度差を示している。図4に示されるように、比較例1に係る光モジュールでは、制御端子側に近づくほど温度が高くなっている。一方、実施例1に係る光モジュールでは、制御端子側に近づいても温度上昇が0.05℃以下に抑えられており温度分布を均一に近づけられていることが分かる。
【0041】
図5は、実施例1に係る光モジュールにおける変調素子の温度分布と、比較例1に係る光モジュールにおける変調素子の温度分布の解析結果(光モジュールの温度が35℃であるときにおける変調素子の温度分布と、光モジュールの温度が-5℃であるときにおける変調素子の温度分布との差)を示すグラフである。図5に示されるように、比較例1に係る光モジュールでは、制御端子側に近づくほど温度が低くなっている。一方、実施例1に係る光モジュールでは、制御端子側に近づいても温度低下が0.05℃以下に抑えられており温度分布を均一に近づけられていることが分かる。
【0042】
図6は、実施例1に係る光モジュール、及び比較例1に係る光モジュールのそれぞれにおける第1の光導波路及び第2の光導波路の位相シフトの解析結果を示すグラフである。図6に示されるように、比較例1に係る光モジュールでは、第1の光導波路において0.45π/℃の位相シフトが生じ、第2の光導波路において2.88π/℃の位相シフトが生じた。これに対し、実施例1に係る光モジュールでは、第1の光導波路において0.37π/℃の位相シフトが生じ、第2の光導波路において0.89π/℃の位相シフトが生じた。このように、制御端子に近づくほとペルチェ素子の配置が密となる実施例1では、ペルチェ素子の配置が均一である比較例1と比較して位相シフトを抑えられる。特に、実施例1に係る光モジュールでは、幅方向における位相シフトを顕著に抑えられることが分かった。
【0043】
次に、本開示に係る光モジュールの種々の変形例について説明する。後述する種々の変形例に係る光モジュールの一部の構成は、前述した光モジュール1の一部の構成と同一である。よって、以下の説明では、光モジュール1の構成の説明と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。
【0044】
図7は、第1変形例に係る光モジュール1Aの内部構造を示す斜視図である。光モジュール1Aの一部の構成は、前述した光モジュール1の一部の構成と同一であるため、以下では、光モジュール1の説明と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。光モジュール1Aは、光モジュール1とは異なる光学部品を備える。光モジュール1Aは2つの温調デバイス21を有し、2つの温調デバイス21は第1方向D1に沿って並んでいる。2つの温調デバイス21は、第1の温調デバイス21A1、及び第2の温調デバイス21A2である。
【0045】
光モジュール1Aは、第1の温調デバイス21A1に搭載された波長可変光源用ベース51と、波長可変光源用ベース51に搭載された波長可変光源用キャリア52と、波長可変光源用キャリア52に搭載された波長可変光源素子53とを有する。更に、光モジュール1Aは、波長可変光源用ベース51に搭載された複数のレンズ54と、複数の波長制御用モニタ素子55と、サーミスタ56と、エタロンフィルタ57と、アイソレータ58とを有する。複数のレンズ54には波長可変光源素子53から出力された光L11が入力し、アイソレータ58には複数のレンズ54を透過した光L11が入力する。
【0046】
光モジュール1Aは、第2の温調デバイス21A2に搭載された変調素子用ベース61と、変調素子用ベース61に搭載された変調素子用キャリア62とを有し、変調素子用キャリア62に前述した変調素子30が搭載されている。光モジュール1Aは、変調素子用ベース61に搭載された複合フィルタブロック63、偏波合成フィルタ64及び変調出力光強度モニタ用受光素子65とを有する。複合フィルタブロック63及び偏波合成フィルタ64にはアイソレータ58を透過した光L11が入力する。偏波合成フィルタ64において、出力光L2及び出力光L3は、合波されて複合フィルタブロック63に入射する。合波された出力光L2及び出力光L3の一部は複合フィルタブロック63を透過してスリーブ付きの出力アセンブリ4から光モジュール1の外部に出力する。合波された出力光L2及び出力光L3の残部は複合フィルタブロック63において反射されて変調出力光強度モニタ用受光素子65にモニタされる。
【0047】
光モジュール1Aは、第1の光路調整フィルタ71と、ミラー72と、第2の光路調整フィルタ73と、偏波分離フィルタ74と、第1レンズ部75b、第2レンズ部75c及び第3レンズ部75dを有するレンズ75と、復調素子用キャリア76とを有する。第1の光路調整フィルタ71、ミラー72、第2の光路調整フィルタ73、偏波分離フィルタ74、レンズ75及び復調素子用キャリア76は筐体2の底壁2dに搭載されている。
【0048】
光モジュール1Aは、ヒートシンク41に搭載されたTIA(Trans Impedance Amplifier)77と、復調素子用キャリア76に搭載された復調素子78と、筐体2から入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4とは反対側に延び出すFPC(Flexible Printed Circuit)79を有する。入力アセンブリ3から光モジュール1の内部に入力した入力光L1は、第1の光路調整フィルタ71を透過して偏波分離フィルタ74に入射する。
【0049】
偏波分離フィルタ74に到達した入力光L1の一部は偏波分離フィルタ74を透過してレンズ75の第1レンズ部75bに入力する。偏波分離フィルタ74に到達した入力光L1の残部は偏波分離フィルタ74において2回反射してレンズ75の第3レンズ部75dに入力する。第2の光路調整フィルタ73及びミラー72には、複合フィルタブロック63から第2方向D2に光L11が入力する。光L11は、ミラー72において第1方向D1に反射してレンズ75の第2レンズ部75cに入力する。以上、第1変形例に係る光モジュール1Aについて説明した。この光モジュール1Aでも、前述した光モジュール1と同様の作用効果が得られる。
【0050】
図8は、第2変形例に係る光モジュール1Bの温調デバイス21B、変調素子30B、ドライバIC42、及び筐体2Bの枠体2kを模式的に示す平面図である。図8に示されるように、光モジュール1Bは、筐体2Bの枠体2kに設けられた配線パターン2p(第2の配線パターン)を更に有する。配線パターン2pは、変調素子30Bから見て配線パターン2hとは反対側において第1方向D1に沿って並んでいる。変調素子30Bは、制御端子(第2のボンディングパッド)30dをさらに有する。制御端子30dは、辺31b(第3の辺)側において第1方向D1に沿って並んでいる。配線パターン2pは、変調素子30Bの制御端子30dとボンディングワイヤ(第2のボンディングワイヤ)W4を介して接続されている。
【0051】
温調デバイス21Bは複数のペルチェ素子27を有する。辺31b側(変調素子30の制御端子30d側、又は筐体2Bの配線パターン2p側)に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sは、変調素子30の中央に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sよりも狭い。すなわち、変調素子30の中央と比較して辺31b側の方が複数のペルチェ素子27が密に配置されている。
【0052】
例えば、最も辺31b側に位置するペルチェ素子27と2番目に辺31b側に位置するペルチェ素子27との間隔S11は、2番目に辺31b側に位置するペルチェ素子27と3番目に辺31b側に位置する間隔S12より狭い。間隔S12は、3番目に辺31b側に位置するペルチェ素子27と4番目に辺31b側に位置するペルチェ素子27との間隔S13より狭い。一例として、間隔S11は0.15mm、間隔S12は0.2mm、間隔S13は0.25mmである。
【0053】
以上、第2変形例に係る光モジュール1Bは、変調素子30Bの辺31b側に配置される制御端子30dと、筐体2Bの枠体2kに設けられ、変調素子30Bの制御端子30dとボンディングワイヤW4を介して接続される配線パターン2pと、を備える。辺31b側に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sは、変調素子30Bの中央に位置する複数のペルチェ素子27の間隔より狭い。制御端子30d及びボンディングワイヤW4は、辺31b側に設けられるので、辺31bでは、変調素子30Bの中央と比較して熱の流出入が生じやすい。光モジュール1Bでは、辺31b側に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sが変調素子30Bの中央に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sより狭い。従って、変調素子30Bの中央と比較して辺31b側にペルチェ素子27が密に配置されているので、辺31b側における熱の流出入の影響を低減できる。よって、変調素子30Bの温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制できる。
【0054】
図9は、実施例2に係る光モジュールにおける変調素子の温度分布と、比較例2に係る光モジュールにおける変調素子の温度分布の解析結果(光モジュールの温度が35℃であるときにおける変調素子の温度分布と、光モジュールの温度が75℃であるときにおける変調素子の温度分布との差)を示すグラフである。実施例2に係る光モジュールは、前述した光モジュール1Bと同一である。比較例2に係る光モジュールは、幅方向(第2方向D2)に沿って並ぶ2つのペルチェ素子27の間隔が互いに同一である(複数のペルチェ素子が均一に配置されている)点が光モジュール1Bとは異なる。図9の横軸は幅方向における変位を示しており、図9の縦軸は変調素子の辺31b中央を0とした場合のX方向に延びる線Z上(図8参照)における温度差を示している。図9に示されるように、実施例2に係る光モジュールでは、比較例2と比べ、X方向にわたって温度変化が0.05℃以下に抑えられており温度分布を均一に近づけられていることが分かる。
【0055】
図10は、実施例2に係る光モジュールにおける変調素子の温度分布と、比較例2に係る光モジュールにおける変調素子の温度分布の解析結果(光モジュールの温度が35℃であるときにおける変調素子の温度分布と、光モジュールの温度が-5℃であるときにおける変調素子の温度分布との差)を示すグラフである。図10に示されるように、実施例2に係る光モジュールでは、比較例2と比べ、X方向にわたって温度変化が0.05℃以下に抑えられており温度分布を均一に近づけられていることが分かる。
【0056】
図11は、実施例2に係る光モジュール、及び比較例2に係る光モジュールのそれぞれにおける第1の光導波路及び第2の光導波路の位相シフトの解析結果を示すグラフである。図11に示されるように、比較例2に係る光モジュールでは、第1の光導波路において0.73π/℃の位相シフトが生じ、第2の光導波路において3.06π/℃の位相シフトが生じた。これに対し、実施例2に係る光モジュールでは、第1の光導波路において0.47π/℃の位相シフトが生じ、第2の光導波路において0.5π/℃の位相シフトが生じた。このように、制御端子30dに近づくほどペルチェ素子の配置が密となる実施例2では、ペルチェ素子の配置が均一である比較例2と比較して位相シフトを抑えられる。特に、実施例2に係る光モジュールでは、幅方向における位相シフトを顕著に抑えられることが分かった。
【0057】
図12は、第3変形例に係る光モジュール1Cの温調デバイス21C、変調素子30C、ドライバIC42、及び筐体2Bの枠体2kを模式的に示す平面図である。ドライバIC42は発熱体である。図12に示されるように、光モジュール1Cにおいて、温調デバイス21Cが複数のペルチェ素子27を有する。第1方向D1に沿って並ぶ2つのペルチェ素子27の間隔Tは、第1方向D1におけるペルチェ素子27の位置に応じて異なる。第1の辺である辺31f(変調素子30Cの電極パッド30c側、又は駆動回路であるドライバIC42側)に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Tは、変調素子30Cの中央に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Tよりも狭い。すなわち、変調素子30Cの中央と比較して辺31f側の方が複数のペルチェ素子27が密に配置されている。
【0058】
例えば、最も辺31f側に位置するペルチェ素子27と2番目に辺31f側に位置するペルチェ素子27との間隔T1は、2番目に辺31f側に位置するペルチェ素子27と3番目に辺31f側に位置する間隔T2より狭い。間隔T2は、3番目に辺31f側に位置するペルチェ素子27と4番目に辺31f側に位置するペルチェ素子27との間隔T3より狭い。一例として、間隔T1は0.15mm、間隔T2は0.2mm、間隔T3は0.25mmである。
【0059】
光モジュール1Cは、変調素子30Cの辺31f側に配置されるボンディングワイヤW2と、ドライバIC42に設けられ、変調素子30の電極パッド30c(第3のボンディングパッド)とボンディングワイヤW2(第3のボンディングワイヤ)を介して接続される電極パッド42bと、を備える。辺31f側に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Tは、変調素子30Cの中央に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Tより狭い。電極パッド30c及びボンディングワイヤW2は、辺31f側に設けられるので、辺31f側では、変調素子30Cの中央と比較して熱の流出入が生じやすい。光モジュール1Cでは、辺31f側に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Tが変調素子30Cの中央に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Tより狭い。従って、変調素子30Cの中央と比較して辺31f側にペルチェ素子27が密に配置されているので、辺31f側における熱の流出入の影響を低減できる。よって、変調素子30Cの温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制できる。
【0060】
光モジュール1Cにおいて、駆動回路であるドライバIC42は発熱体であり、ドライバIC42は変調素子30Cの辺31f側に配置されている。光モジュール1Cでは、上記のように、ドライバIC42が配置されている変調素子30Cの辺31f側にペルチェ素子27が密に配置されている。よって、発熱体であるドライバIC42からの熱の流出入の影響を低減できるので、変調素子30Cの温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制できる。
【0061】
図13は、実施例3に係る光モジュールにおける変調素子の温度分布と、比較例2に係る光モジュールにおける変調素子の温度分布の解析結果(光モジュールの温度が35℃であるときにおける変調素子の温度分布と、光モジュールの温度が75℃であるときにおける変調素子の温度分布との差)を示すグラフである。実施例3に係る光モジュールは、前述した光モジュール1Cと同一である。図13の横軸は幅方向における変位を示しており、図13の縦軸は変調素子の辺31b中央を0とした場合におけるX方向に延びる線Z上(図12参照)の温度差を示している。図13に示されるように、実施例3に係る光モジュールでは、比較例2と比べ、辺31bから離隔しても温度変化が0.05℃以下に抑えられており温度分布を均一に近づけられていることが分かる。
【0062】
図14は、実施例3に係る光モジュールにおける変調素子の温度分布と、比較例2に係る光モジュールにおける変調素子の温度分布の解析結果(光モジュールの温度が35℃であるときにおける変調素子の温度分布と、光モジュールの温度が-5℃であるときにおける変調素子の温度分布との差)を示すグラフである。図14に示されるように、実施例3に係る光モジュールでは、比較例2と比べ、X方向にわたって温度変化が0.05℃以下に抑えられており温度分布を均一に近づけられていることが分かる。
【0063】
図15は、第4変形例に係る光モジュール1Dの温調デバイス21D、変調素子30D、ドライバIC42、及び筐体2Bの枠体2kを模式的に示す平面図である。光モジュール1Dは、ボンディングワイヤW4の本数が前述した光モジュール1Bとは異なっている。光モジュール1Dは、変調素子30Dの周囲に位置する第1熱容量部P1と、変調素子30Dの周囲であって、かつ第1熱容量部P1とは異なる場所に位置する第2熱容量部P2とを備える。
【0064】
第1熱容量部P1は、変調素子30Dから見て辺31c側に位置する。第1熱容量部P1は、変調素子30Dの辺31c側に配置される制御端子30bと、ボンディングワイヤW1と、配線パターン2hとを含む。第2熱容量部P2は、変調素子30Dから見て辺31b側に位置する。第2熱容量部P2は、変調素子30Dの辺31b側に配置される制御端子30dと、ボンディングワイヤW4と、配線パターン2pとを含む。ボンディングワイヤW1の数は、ボンディングワイヤW4の数より多い。よって、第1熱容量部P1における熱容量は、第2熱容量部P2における熱容量より大きい。すなわち、第1熱容量部P1から変調素子30Dへの熱流入は、第2熱容量部P2から変調素子30Dへの熱流入より大きい。
【0065】
温調デバイス21Dにおいて、第2方向D2に沿って並ぶ2つのペルチェ素子27の間隔Sは、第2方向D2におけるペルチェ素子27の位置に応じて異なる。第1熱容量部P1側(辺31c側)に位置するペルチェ素子27の間隔Sは、第2熱容量部P2側(辺31b側)に位置するペルチェ素子27の間隔Sよりも狭い。すなわち、第2熱容量部P2側と比較して、第1熱容量部P1側の方がペルチェ素子27が密に配置されている。
【0066】
例えば、最も辺31c側に位置するペルチェ素子27と2番目に辺31c側に位置するペルチェ素子27との間隔S1は、最も辺31b側に位置するペルチェ素子27と2番目に辺31b側に位置するペルチェ素子27との間隔S21より狭い。例えば、2番目に331c側に位置するペルチェ素子27と3番目に辺31c側に位置するペルチェ素子27との間隔S2は、2番目に辺31b側に位置するペルチェ素子27と3番目に辺31b側に位置するペルチェ素子27との間隔S22より狭い。例えば、3番目に辺31c側に位置するペルチェ素子27と4番目に辺31c側に位置するペルチェ素子27との間隔S3は、3番目に辺31b側に位置するペルチェ素子27と4番目に辺31b側に位置するペルチェ素子27との間隔S23と同一である。一例として、間隔S1は0.15mm、間隔S21は0.18mm、間隔S2は0.2mm、間隔S22は0.23mm、間隔S3及び間隔S23は0.25mmである。
【0067】
光モジュール1Dでは、温調デバイス21Dに変調素子30Dが搭載され、変調素子30D及び温調デバイス21Dは筐体2Bに収納される。変調素子30Dは、辺31bと、辺31bに対向する辺31cとを有する。変調素子30Dの周囲には、第1熱容量部P1と、第1熱容量部P1とは異なる場所に位置する第2熱容量部P2とが配置されている。第1熱容量部P1における熱容量は、第2熱容量部P2における熱容量よりも大きい。よって、第1熱容量部P1は、第2熱容量部P2と比較して、変調素子30Dへの熱の流出入が生じやすい。光モジュール1Dでは、温調デバイス21Dに複数のペルチェ素子27が間隔を空けて配置されており、第1熱容量部P1側に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sが第2熱容量部P2側に位置する複数のペルチェ素子27の間隔Sより狭い。従って、第2熱容量部P2側と比較して、第1熱容量部P1側にペルチェ素子27が密に配置されているので第1熱容量部P1側における熱の流出入の影響を低減できる。よって、変調素子30Dの温度分布を均一に近づけて位相のずれを抑制できる。
【0068】
以上、本開示に係る光モジュールの実施形態及び種々の変形例について説明した。しかしながら、本発明は、前述した実施形態又は変形例に限定されない。すなわち、本発明が特許請求の範囲に記載された要旨を変更しない範囲において種々の変形及び変更が可能であることは、当業者によって容易に認識される。例えば、光モジュールの各部品の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述した内容に限られず適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0069】
1,1A,1B,1C,1D…光モジュール
2…筐体
2b…第1側壁
2B…筐体
2c…第2側壁
2d…底壁
2g…枠体
2h…配線パターン(第1の配線パターン)
2j…パッド
2k…枠体
2p…配線パターン(第2の配線パターン)
3…入力アセンブリ
3b…レンズホルダ
4…出力アセンブリ
4b…レンズホルダ
11…光学用ベース
12…フィルタ
13…複合フィルタブロック
13b,13c,13d,13f,13g…反射面
21,21A1,21A2,21B,21C,21D…温調デバイス(熱電冷却器)
22…変調素子用キャリア
24…入力レンズ系
25,26…出力レンズ系
27…ペルチェ素子
28…サーミスタ
30,30B,30C,30D…変調素子(光素子)
30b…制御端子(第1のボンディングパッド)
30c…電極パッド(第3のボンディングパッド)
30d…制御端子(第2のボンディングパッド)
31…変調器チップ
31b…辺(第3の辺)
31c…辺(第2の辺)
31d…辺
31f…辺(第1の辺)
32…入力ポート
33b…出力ポート
33c…出力ポート
34…分岐部
35b,35c…合波部
36a,36b,36c,36d,36e,36f,36g,36h…光導波路
37b…第1のモニタポート
37c…第2のモニタポート
38a,38b,38c,38d,38e,38f,38g,38h…変調電極
38j,38k,38l,38m…親位相調整電極
39a,39b,39c,39d,39e,39f,39g,39h…RFパッド
39j,39k,39l,39m…バイアスパッド
40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g,40h…信号パッド
40j,40k,40l,40m,40n,40o,40p,40q…バイアスパッド
41…ヒートシンク
42…ドライバIC(駆動回路)
42b…電極パッド
51…波長可変光源用ベース
52…波長可変光源用キャリア
53…波長可変光源素子
54…レンズ
55…波長制御用モニタ素子
56…サーミスタ
57…エタロンフィルタ
58…アイソレータ
61…変調素子用ベース
62…変調素子用キャリア
63…複合フィルタブロック
64…偏波合成フィルタ
65…変調出力光強度モニタ用受光素子
71…光路調整フィルタ
72…ミラー
73…光路調整フィルタ
74…偏波分離フィルタ
75…レンズ
75b…第1レンズ部
75c…第2レンズ部
75d…第3レンズ部
76…復調素子用キャリア
77…TIA(Trans Impedance Amplifier)
78…復調素子
79…FPC(Flexible Printed Circuit)
D1…第1方向
D2…第2方向
D3…第3方向
IC42…ドライバ(駆動回路)
L1…入力光
L2…出力光(第1の信号光)
L3…出力光(第2の信号光)
L4…出力光
P1…第1熱容量部
P2…第2熱容量部
S,S1,S2,S3,S3,S11,S12,S13,S21,S22,S23,T,T1,T2,T3…間隔
W1…ボンディングワイヤ(第1のボンディングワイヤ)
W2…ボンディングワイヤ(第3のボンディングワイヤ)
W3…ボンディングワイヤ
W4…ボンディングワイヤ(第2のボンディングワイヤ)
図1
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