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特開2024-47528情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047528
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240329BHJP
【FI】
G05D1/02 T
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077318
(22)【出願日】2023-05-09
(62)【分割の表示】P 2022153138の分割
【原出願日】2022-09-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】市川 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 政晃
(72)【発明者】
【氏名】蕨野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】木戸 美冬
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 陽介
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301AA10
5H301BB05
5H301BB11
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD17
5H301FF11
5H301GG09
5H301LL01
5H301LL02
5H301LL08
5H301QQ02
(57)【要約】
【課題】自律走行するロボットが円滑にエレベータに乗車できるようにする。
【解決手段】自律走行するロボット2がエレベータを待機する位置としてあらかじめ定められた待機位置である指定待機位置のうちロボット2を待機させることが可能である待機位置である待機候補位置の中から、ロボット2がエレベータに乗車するために待機させる位置である一つの選択待機位置を決定する待機位置決定部131と、待機位置決定部131が決定した選択待機位置に移動するようロボットに指示するロボット制御部132と、を有する情報処理装置1である。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行するロボットが走行するフロアの情報であって、前記ロボットがエレベータを待機する位置としてあらかじめ定められた待機位置である複数の指定待機位置と、前記指定待機位置に対応するエレベータの行先と、を含むフロア情報を記憶する記憶部と、
前記ロボットの行先を含む、エレベータへの乗車を要求するための乗車要求を取得する取得部と、
前記複数の指定待機位置のうち、前記乗車要求に含まれる行先に対応する指定待機位置の中から、前記ロボットが前記エレベータに乗車するために待機させる位置である一つの選択待機位置を決定する待機位置決定部と、
前記待機位置決定部が決定した選択待機位置に移動するよう前記ロボットに指示するロボット制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記フロア情報は、前記複数の指定待機位置それぞれに対応する複数の前記エレベータそれぞれが人とロボットの共用が可能なエレベータであるかを示す種別を含み、
前記待機位置決定部は、前記フロア情報に含まれる前記エレベータの種別に基づいて、前記選択待機位置を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記待機位置決定部は、前記種別が人とロボットの共用が可能でないことを示すエレベータの指定待機位置を、前記種別が人とロボットの共用が可能であることを示すエレベータの指定待機位置より優先的に選択待機位置として決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記待機位置決定部は、前記ロボットが人間に対する情報伝達機能を有さない場合に、複数の前記指定待機位置のうち前記種別が人とロボットの共用が可能でないことを示すエレベータの待機位置を選択待機位置として決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記フロア情報は、前記複数の指定待機位置と異なる、前記ロボットがフロア内において退避可能な位置として予め指定された退避位置をさらに含み、
前記ロボット制御部は、前記ロボットを前記指定待機位置のいずれかに待機させることができない場合、前記ロボットを前記退避位置に移動するよう前記ロボットを制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ロボットが退避可能な空きスペースであって、前記フロアの前記指定待機位置及び前記退避位置と異なるスペースである退避スペースを特定する退避スペース特定部をさらに有し、
前記ロボット制御部は、前記ロボットを前記指定待機位置及び前記退避位置のいずれかに待機させることができない場合、前記ロボットを前記退避スペースに移動するよう前記ロボットを制御する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ロボットが退避可能な空きスペースであって、前記フロアの前記指定待機位置と異なるスペースである退避スペースを特定する退避スペース特定部をさらに有し、
前記ロボット制御部は、前記ロボットを前記指定待機位置のいずれかに待機させることができない場合、前記ロボットを前記退避スペースに移動するよう前記ロボットを制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ロボットの優先度を特定する優先度特定部を有し、
前記待機位置決定部は、複数の前記指定待機位置から前記ロボットの選択待機位置を決定できない場合、前記ロボットより優先度が低い他のロボットの選択待機位置を前記ロボットの選択待機位置として決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記待機位置決定部は、前記ロボットより優先度が低い他のロボットの選択待機位置を前記ロボットの選択待機位置として決定した場合、該他のロボットの選択待機位置をさらに決定する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記ロボットの選択待機位置を他のロボットの選択待機位置として決定した回数又は前記ロボットが前記エレベータを待機している時間を取得する待機状況取得部をさらに有し、
前記優先度特定部は、前記ロボットの選択待機位置を他のロボットの選択待機位置として決定した回数又は前記ロボットが前記エレベータを待機している時間が閾値を超えた場合に、前記ロボットの優先度をより高くする、
請求項8又は9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記フロアに存在する障害物の情報を取得する障害物情報取得部を有し、
前記待機位置決定部は、障害物が存在しない指定待機位置の中から選択待機位置を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する、
自律走行するロボットの行先を含む、エレベータへの乗車を要求するための乗車要求を取得するステップと、
前記ロボットが走行するフロアの情報であって、前記ロボットがエレベータを待機する位置としてあらかじめ定められた待機位置である複数の指定待機位置と、前記指定待機位置に対応するエレベータの行先と、を含むフロア情報を参照し、前記複数の指定待機位置のうち、前記乗車要求に含まれる行先に対応する指定待機位置の中から、前記ロボットが前記エレベータに乗車するために待機させる位置である一つの選択待機位置を決定するステップと、
前記決定するステップにおいて決定した選択待機位置に移動するよう前記ロボットに指示するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
自律走行するロボットの行先を含む、エレベータへの乗車を要求するための乗車要求を取得するステップと、
前記ロボットが走行するフロアの情報であって、前記ロボットがエレベータを待機する位置としてあらかじめ定められた待機位置である複数の指定待機位置と、前記指定待機位置に対応するエレベータの行先と、を含むフロア情報を参照し、前記複数の指定待機位置のうち、前記乗車要求に含まれる行先に対応する指定待機位置の中から、前記ロボットが前記エレベータに乗車するために待機させる位置である一つの選択待機位置を決定するステップと、
前記決定するステップにおいて決定した選択待機位置に移動するよう前記ロボットに指示するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行するロボットをエレベータに乗降させるようロボットに代わってエレベータの戸を制御する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022―19590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、ロボットがエレベータを待機する位置がエレベータから遠い場合や待機位置からエレベータへの導線が確保できない場合等において、ロボットが到着したエレベータに円滑に乗車できず、エレベータの円滑な運行を阻害するという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、自律走行するロボットが円滑にエレベータに乗車できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置においては、自律走行するロボットが走行するフロアの情報であって、前記ロボットがエレベータを待機する位置としてあらかじめ定められた待機位置である複数の指定待機位置と、前記指定待機位置に対応するエレベータの行先と、を含むフロア情報を記憶する記憶部と、前記ロボットの行先を含む、エレベータへの乗車を要求するための乗車要求を取得する取得部と、前記複数の指定待機位置のうち、前記乗車要求に含まれる行先に対応する指定待機位置の中から、前記ロボットが前記エレベータに乗車するために待機させる位置である一つの選択待機位置を決定する待機位置決定部と、前記待機位置決定部が決定した選択待機位置に移動するよう前記ロボットに指示するロボット制御部と、を有する。
【0007】
前記フロア情報は、前記複数の指定待機位置それぞれに対応する複数の前記エレベータそれぞれが人とロボットの共用が可能なエレベータであるかを示す種別を含み、前記待機位置決定部は、前記フロア情報に含まれる前記エレベータの種別に基づいて、前記選択待機位置を決定してもよい。
【0008】
前記待機位置決定部は、前記種別が人とロボットの共用が可能でないことを示すエレベータの指定待機位置を、前記種別が人とロボットの共用が可能であることを示すエレベータの指定待機位置より優先的に選択待機位置として決定してもよい。
【0009】
前記待機位置決定部は、前記ロボットが人間に対する情報伝達機能を有さない場合に、複数の前記指定待機位置のうち前記種別が人とロボットの共用が可能でないことを示すエレベータの待機位置を選択待機位置として決定してもよい。
【0010】
前記フロア情報は、前記複数の指定待機位置と異なる、前記ロボットがフロア内において退避可能な位置として予め指定された退避位置をさらに含み、前記ロボット制御部は、前記ロボットを前記指定待機位置のいずれかに待機させることができない場合、前記ロボットを前記退避位置に移動するよう前記ロボットを制御してもよい。
【0011】
前記ロボットが退避可能な空きスペースであって、前記フロアの前記指定待機位置及び前記退避位置と異なるスペースである退避スペースを特定する退避スペース特定部をさらに有し、前記ロボット制御部は、前記ロボットを前記指定待機位置及び前記退避位置のいずれかに待機させることができない場合、前記ロボットを前記退避スペースに移動するよう前記ロボットを制御してもよい。
【0012】
前記ロボットが退避可能な空きスペースであって、前記フロアの前記指定待機位置と異なるスペースである退避スペースを特定する退避スペース特定部をさらに有し、前記ロボット制御部は、前記ロボットを前記指定待機位置のいずれかに待機させることができない場合、前記ロボットを前記退避スペースに移動するよう前記ロボットを制御してもよい。
【0013】
前記ロボットの優先度を特定する優先度特定部を有し、前記待機位置決定部は、複数の前記指定待機位置から前記ロボットの選択待機位置を決定できない場合、前記ロボットより優先度が低い他のロボットの選択待機位置を前記ロボットの選択待機位置として決定してもよい。
【0014】
前記待機位置決定部は、前記ロボットより優先度が低い他のロボットの選択待機位置を前記ロボットの選択待機位置として決定した場合、該他のロボットの選択待機位置をさらに決定してもよい。
【0015】
前記ロボットの選択待機位置を他のロボットの選択待機位置として決定した回数又は前記ロボットが前記エレベータを待機している時間を取得する待機状況取得部をさらに有し、前記優先度特定部は、前記ロボットの選択待機位置を他のロボットの選択待機位置として決定した回数又は前記ロボットが前記エレベータを待機している時間が閾値を超えた場合に、前記ロボットの優先度をより高くしてもよい。
【0016】
前記フロアに存在する障害物の情報を取得する障害物情報取得部を有し、前記待機位置決定部は、障害物が存在しない指定待機位置の中から選択待機位置を決定してもよい。
【0017】
本発明の第2の態様の情報処理方法においては、コンピュータが実行する、自律走行するロボットの行先を含む、エレベータへの乗車を要求するための乗車要求を取得するステップと、前記ロボットが走行するフロアの情報であって、前記ロボットがエレベータを待機する位置としてあらかじめ定められた待機位置である複数の指定待機位置と、前記指定待機位置に対応するエレベータの行先と、を含むフロア情報を参照し、前記複数の指定待機位置のうち、前記乗車要求に含まれる行先に対応する指定待機位置の中から、前記ロボットが前記エレベータに乗車するために待機させる位置である一つの選択待機位置を決定するステップと、前記決定するステップにおいて決定した選択待機位置に移動するよう前記ロボットに指示するステップと、を有する。
【0018】
本発明の第3の態様のプログラムにおいては、コンピュータに、自律走行するロボットの行先を含む、エレベータへの乗車を要求するための乗車要求を取得するステップと、前記ロボットが走行するフロアの情報であって、前記ロボットがエレベータを待機する位置としてあらかじめ定められた待機位置である複数の指定待機位置と、前記指定待機位置に対応するエレベータの行先と、を含むフロア情報を参照し、前記複数の指定待機位置のうち、前記乗車要求に含まれる行先に対応する指定待機位置の中から、前記ロボットが前記エレベータに乗車するために待機させる位置である一つの選択待機位置を決定するステップと、前記決定するステップにおいて決定した選択待機位置に移動するよう前記ロボットに指示するステップと、を実行させる。
【0019】
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、自律走行するロボットが円滑にエレベータに乗車できるようにするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】情報処理システムSの概要を説明する図である。
図2】情報処理システムSにおける処理の概要を説明する図である。
図3】情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
図4】記憶部12が記憶するフロア情報のデータ構造の一例を示す図である。
図5】記憶部12が記憶する待機状態情報のデータ構造の一例を示す図である。
図6】待機位置を決定する処理を説明する図である。
図7】記憶部12が記憶する退避位置情報のデータ構造の一例を示す図である。
図8】待機位置を決定する処理を説明する図である。
図9】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図10】変形例にかかるロボット2Dの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの概要を説明する図である。情報処理システムSは、自律走行するロボットをエレベータに乗車させるためにロボットを制御するシステムである。情報処理システムSは、情報処理装置1とロボット2とを有する。
【0023】
情報処理装置1は、ロボット2がエレベータに乗車するために待機する位置を選択し、選択した位置で待機するようロボット2を制御する。情報処理装置1は、例えばサーバである。情報処理装置1は、エレベータを制御するための制御装置と一体に構成されてもよいし、エレベータを制御するための制御装置と連携可能に構成されてもよい。
【0024】
ロボット2は、自律走行するロボットである。ロボット2は、建物の内部を移動し清掃や配達などのサービスを提供する。ロボット2は、情報処理装置1とエレベータの利用に関するデータを送受信する。ロボット2は、ロボット2を管理するロボット管理サーバ(不図示)を経由して情報処理装置1とデータを送受信してもよい。
【0025】
図1図2を用いて情報処理装置1がロボット2の待機位置を決定する方法について説明する。図1は、情報処理装置1が管理対象とする建物のエレベータホールの状況を示している。エレベータホールには予め指定待機位置S1が指定されている。指定待機位置S1は、ロボット2がエレベータを待機する位置として指定された位置である。なお、指定待機位置S1は、エレベータホールの周辺等に指定されてもよい。
【0026】
情報処理装置1は、ロボット2から乗車要求を取得する(図2における(1))。乗車要求は、エレベータへ乗車することを要求するメッセージである。乗車要求は、エレベータに乗車するロボット2を示すロボットID(Identification)(ロボット識別情報とも言う)とロボット2の行先を示す情報とを含む。乗車要求には、ロボット2が所在するフロア、及びフロアにおける位置が含まれていてもよい。情報処理装置1は、障害物情報を取得する(図2における(2))。障害物情報は、フロアに所在する障害物の位置を示す情報である。
【0027】
情報処理装置1は、障害物情報に基づいて待機候補位置S2を特定する(図2における(3))。待機候補位置S2は、指定待機位置S1のうちロボット2が待機可能な待機位置である。具体的には、情報処理装置1は、ロボット2の行先へ到達するエレベータに乗車可能な指定待機位置S1のうち、障害物がない指定待機位置S1を待機候補位置S2として特定する。
【0028】
情報処理装置1は、待機候補位置S2のうちロボット2が待機する位置である選択待機位置を決定する(図2における(4))。情報処理装置1は、決定した選択待機位置へ移動することをロボット2に指示する(図2における(5))。
【0029】
情報処理システムSがこのように構成されることで、ロボット2を円滑にエレベータに乗車できる位置に待機させることができ、その結果、自律走行するロボット2が円滑にエレベータに乗車することができる。
【0030】
なお、上記の例においては情報処理装置1がロボット2から乗車要求を取得したことを契機に待機位置を決定する例を説明したがこれに限られない。例えば、ロボット2が所定の位置に移動したことを情報処理装置1が検出したことを、契機にロボット2の選択待機位置を決定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。この場合、情報処理装置1は、エレベータホールに設置されたカメラやセンサからロボット2の位置を特定してもよいし、ロボット2から取得したロボット2の位置情報に基づいてロボット2の位置を特定してもよい。
【0031】
図3は、情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、待機位置決定部131、ロボット制御部132、障害物情報取得部133、待機候補位置特定部134、退避スペース特定部135、ロボット情報取得部136、優先度特定部137及び待機状況取得部138を有する。
【0032】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、それぞれのフロアにおける地図情報を記憶している。
【0033】
記憶部12は、ロボット2が走行するフロアの情報であって、ロボット2がエレベータを待機する位置としてあらかじめ定められた待機位置である複数の指定待機位置S1を含むフロア情報を記憶する。図4は記憶部12が記憶するフロア情報のデータ構造の一例を示す図である。フロア情報においては、「フロア」、「指定待機位置」、「エレベータ」を含む。
【0034】
「フロア」は、フロアを示す情報である。「フロア」においては、「フロアID」、「ビル名」、「階」を含む。フロアIDは、フロアを識別するIDである。「ビル名」は、その指定待機位置が設定されている建物を示す。「階」は、「ビル名」が示す建物においてその指定待機位置が設定されているフロアを示す。
【0035】
「指定待機位置」は、そのフロアにおける指定待機位置の位置を示す情報であり、「待機位置ID」と「位置情報」とを含む。「待機位置ID」は、指定待機位置を識別するためのIDである。「位置情報」は、その指定待機位置の所在する位置を示す位置情報である。
【0036】
「エレベータ」は、その指定待機位置において待機し、乗車することができるエレベータの情報であり、「エレベータID」、「行先」及び「種別」を含む。「エレベータID」はエレベータを示すIDである。「行先」は、そのエレベータが到着するフロアを示す。「種別」はそのエレベータの種別を示す情報である。種別は例えば、人とロボットとが共用できる「共用」、ロボット専用のエレベータを示す「専用」又は貨物用エレベータを示す「貨物用」と表現される。「指定待機位置」は複数のエレベータと関連付けられていてもよい。「エレベータ」に複数の情報がある場合、その指定待機位置から乗車可能なエレベータが複数存在することを示す。すなわち、フロア情報においては、複数の指定待機位置それぞれに対応する複数のエレベータそれぞれの用途と、を含む。
【0037】
記憶部12は、待機状態情報を記憶してもよい。待機状態情報は、指定待機位置それぞれについて、選択待機位置として選択されているか否かを示す情報である。図5は、記憶部12が記憶する待機状態情報のデータ構造の一例を示す情報である。
【0038】
待機状態情報は、「指定待機位置」と「状態」とを有する。待機状態情報の「指定待機位置」は、「フロアID」、「ビル名」、「階」及び「待機位置ID」を含む。「フロアID」、「ビル名」、「階」及び「待機位置ID」はそれぞれ、上述のとおりである。「状態」は、「ロボットID」と「優先度」とを有する。「ロボットID」は、その指定待機位置が選択待機位置として決定されているロボットのロボットIDを示す。「ロボットID」に情報が無い場合は、その指定待機位置がいずれのロボットの選択待機位置としても決定されていない(空いている)ことを示す。優先度は、ロボットIDが示すロボットの優先度である。優先度の詳細については後述する。
【0039】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、待機位置決定部131、ロボット制御部132、障害物情報取得部133、待機候補位置特定部134、退避スペース特定部135、ロボット情報取得部136、優先度特定部137及び待機状況取得部138として機能する。
【0040】
待機位置決定部131は、自律走行するロボット2がエレベータを待機する位置としてあらかじめ定められた待機位置である指定待機位置S1のうちロボット2を待機させることが可能である待機位置である待機候補位置S2の中から、ロボット2がエレベータに乗車するために待機させる位置である一つの選択待機位置を決定する。待機位置決定部131は、ロボット2から取得した乗車要求に基づいて選択待機位置を決定する。具体的には乗車要求に含まれる行先階を示す情報がフロア情報における「行先」と対応する指定待機位置S1を抽出し、待機候補位置S2とする。なお、後述するように障害物の情報をさらに考慮して待機候補位置S2を特定してもよい。
【0041】
また、待機位置決定部131は、乗車要求に含まれるロボット2が所在するフロアと行先階を示す情報とが、フロア情報における「フロア」と「行先」とにそれぞれ対応する指定待機位置S1を待機候補位置S2として特定してもよい。
【0042】
待機位置決定部131は、待機候補位置S2から選択待機位置を決定する。待機候補位置S2が複数ある場合、一例として待機位置決定部131は、選択待機位置のうちロボット2が乗車するフロアに最も早く到着するエレベータに乗車可能な待機候補位置S2を選択待機位置として決定してもよい。この場合、待機位置決定部131は、エレベータの状態を示す情報を、エレベータを制御する制御装置から取得し、ロボット2が乗車するフロアに最も早く到着するエレベータを特定する。
【0043】
ロボット制御部132は、待機位置決定部131が決定した選択待機位置に移動するようロボット2に指示する。ロボット制御部132は、制御情報をロボット2に送信する。制御情報は、選択待機位置へ移動することを指示する情報であり、待機位置決定部131が決定した選択待機位置を含む。ロボット制御部132は、ロボット2に指示した選択待機位置とロボット2のロボットIDとを関連付けて記憶部12が記憶する待機状態情報に記憶させる。なお、ロボット制御部132は、一例として、選択待機位置を決定したロボットがエレベータに乗車したことを示す通知を受信した場合、記憶部12が指定待機位置情報から当該ロボットの情報を削除してもよい。
【0044】
ところで、指定待機位置S1上に障害物がある場合に待機候補位置S2から除外するよう情報処理装置1が構成されることで、ロボット2をエレベータに円滑に乗車させることができる。
【0045】
障害物情報取得部133は、フロアに存在する障害物の情報を取得する。一例として、障害物情報取得部133は、フロアに設置されたカメラ又はロボット2に搭載されたカメラからフロアに存在する障害物を撮像した画像データを取得する。障害物は例えば人、ロボット又は荷物等である。
【0046】
待機候補位置特定部134は、複数の指定待機位置S1のうち、障害物が存在しない指定待機位置S1を待機候補位置S2として特定する。一例として、待機候補位置特定部134は、障害物情報取得部133が取得した画像データを画像解析し、フロアに設定された指定待機位置S1上の障害物を特定し、障害物が存在しない指定待機位置S1を待機候補位置S2として特定する。また、待機候補位置特定部134は、指定待機位置S1の面積に対する障害物が占有する床面積の比率が所定の閾値より小さい場合にその指定待機位置S1を待機候補位置S2と特定してもよい。この場合の閾値はロボット2を安全に待機させることが可能な占有率に基づいて決定され、例えば20%である。
【0047】
なお、障害物情報取得部133は、フロアに設置されたカメラが撮像した画像を画像解析することにより生成された、指定待機位置S1それぞれについての障害物の有無を示す情報を取得し、待機候補位置特定部134は、取得した障害物の有無を示す情報に基づいて、障害物がない指定待機位置S1を待機候補位置S2として特定してもよい。また、障害物を検出する方法は画像データに限られず、障害物情報取得部133は、フロアに設置されたセンサが検出したデータに基づいて障害物の情報を取得してもよい。
【0048】
ロボット専用のエレベータに優先的にロボット2を乗車させることで、ロボット専用のエレベータを待機可能な待機位置を優先的に選択するよう情報処理装置1が構成されることで、人の往来を円滑にさせることができる。その結果、エレベータを円滑に運行させることができる。
【0049】
待機位置決定部131は、用途がロボット専用であるエレベータの待機候補位置S2を、用途がロボット非専用のエレベータの待機候補位置S2より優先的に選択待機位置として決定する。待機位置決定部131は、待機候補位置S2が複数ある場合において、フロア情報が示すエレベータの「種別」が「専用」であるエレベータを待機できる待機候補位置S2を「共用」(又は「貨物用」)であるエレベータのみを待機可能な待機候補位置S2より優先的に選択待機位置として決定する。
【0050】
ところで、ロボット2の仕様に基づいて、ロボット2を乗車させるエレベータの種別を制御するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0051】
ロボット情報取得部136は、ロボット2を識別するロボットIDを取得する。ロボット情報取得部136は、乗車要求に含まれるロボットIDを取得する。ロボット情報取得部136は、取得したロボットIDに基づいてロボット2の仕様を外部装置(例えばロボット管理サーバ)に問い合わせる。ロボット2の仕様は、例えばロボット2が人間に対する情報伝達機能(以下、単に伝達機能とも言う。)の有無である。情報伝達機能は例えば、音声出力機能や警告表示機能等のヒューマンインターフェースである。なお、ロボット情報取得部136は、乗車要求に含まれる伝達機能の有無を示す情報を取得してもよい。
【0052】
待機位置決定部131は、ロボットIDに対応するロボット2が人間に対する情報伝達機能を有さない場合に、複数の待機候補位置S2のうち用途がロボット専用であるエレベータの待機位置を選択待機位置として決定する。待機位置決定部131は、ロボット情報が取得したロボット2の仕様が伝達機能を有さない場合、待機候補位置S2のうちロボット専用エレベータに乗車可能な待機位置を選択待機位置として決定する。具体的には、待機位置決定部131は、待機候補位置S2のうち、フロア情報において「種別」が「専用」であるエレベータと関連付けられた待機候補位置S2を選択待機位置として決定する。
【0053】
なお、待機位置決定部131は、待機候補位置S2が複数ある場合においてロボット2の仕様が伝達機能を有する場合、人とロボット2が共用できるエレベータ(「種別」が「共用」)に乗車可能な待機位置を優先的に選択待機位置として決定してもよい。
【0054】
[退避する場所を選択]
ところで、全ての待機指定位置に障害物があり待機候補位置S2を特定できない場合、指定待機位置S1の占有が解消されるまでの間、ロボット2を安全かつ往来を妨げない場所に退避させる必要がある。そこで、このような場合に予め退避する場所として定められた退避位置に、ロボット2を退避させるよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0055】
図6は、この場合に情報処理装置1が待機位置を決定する処理を説明する図である。図6においては、エレベータホールの外に退避位置S3が設定されている。この場合、記憶部12においては、フロアごとの退避位置S3の場所を示す退避位置情報を記憶する。図7は、記憶部12が記憶する退避位置情報のデータ構造を示す図である。図7においては、「フロア」と「退避位置」とが関連付けて記憶されている。「フロア」は前述したとおりである。「退避位置」は、そのフロアにおける退避位置S3の位置を示す情報である。
【0056】
ロボット制御部132は、ロボット2を待機候補位置S2のいずれかに待機させることができない場合、ロボット2を退避位置S3に移動するようロボット2を制御する。すなわち、ロボット2が所在するフロアにおける指定待機位置S1から待機候補位置S2を待機候補位置特定部134が特定できない場合、ロボット制御部132は、そのフロアにおける退避位置S3の位置を含む制御情報をロボット2に送信する。なお、障害物情報取得部133が取得した退避位置S3における障害物の情報に基づいて、退避位置S3に退避可能か否かをロボット制御部132が判定し、退避位置S3に退避可能と判定される場合に、そのフロアにおける退避位置S3の位置を含む制御情報を送信するよう情報処理装置1が構成されてもよい。退避可能か否かの判断は一例として、退避位置S3における障害物の有無又は退避位置S3の面積に対する障害物が占有する床面積の比率に基づいて判定する。
【0057】
なお、フロアにおいて退避位置S3が設定されていない場合等においては、フロアの状況から退避可能なスペース(以下、退避スペースと言う)を特定し、特定したスペースにロボット2を退避させるよう情報処理装置1が構成されてもよい。退避スペースは、フロアにおいて人やロボットの往来を妨げない場所である。
【0058】
退避スペース特定部135は、ロボット2が退避可能な空きスペースであって、フロアの指定待機位置S1及び退避位置S3と異なるスペースである退避スペースを特定する。具体的には、障害物情報取得部133は、フロア内の障害物の情報を取得する。一例として、障害物情報取得部133は、ロボットに搭載されたカメラ又はフロア内に設置されたカメラが撮像した画像データを取得する。そして、障害物情報取得部133は、取得した画像データを画像認識し、障害物の位置を特定する。退避スペース特定部135は、フロア内の障害物の位置とフロアの地図情報とに基づいて退避スペースを特定する。ロボット制御部132は、ロボット2を待機候補位置S2及び退避位置S3のいずれかに待機させることができない場合、ロボット2を退避スペースに移動するようロボット2を制御する。すなわち、特定した退避スペースの位置を含む制御情報をロボット2に送信する。
【0059】
なお、退避位置S3に障害物が存在する場合等の退避位置S3にロボット2を退避させることができない場合に退避スペースに退避させるよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0060】
ロボット制御部132は、ロボット2を待機候補位置S2のいずれかに待機させることができない場合、ロボット2を退避スペースに移動するようロボット2を制御する。すなわち、障害物情報取得部133が特定した障害物の位置に基づいてフロアにおける退避位置S3にロボット2を退避させることができないと判定される場合に、退避スペース特定部135は、上述のとおり退避スペースを特定し、ロボット制御部132は、特定した退避スペースの位置を含む制御情報をロボット2に送信し、特定した退避スペースに移動するようロボット2を制御する。
【0061】
情報処理装置1がこのように構成されることで、エレベータホールにおける人の往来を妨げず、安全にロボット2を待機させることが可能となる。
【0062】
[優先度に基づく制御]
ところで、同時期に複数のロボット2がエレベータに乗車する場合であって、全てのロボット2を指定待機位置S1で待機させることができない場合、優先度に基づいて指定待機位置S1で待機させるロボット2を決定してもよい。このように情報処理装置1が構成されることで、リソース(例えばエレベータの台数や指定待機位置の数等)に制限がある場合であっても、優先度の高いサービスの提供を阻害させにくいようにすることができる。
【0063】
図8を用いてこの場合の選択待機位置を決定する処理について説明する。図8においては、ロボット2Aから乗車要求を受信した際にロボット2B及び2Cが選択待機位置においてエレベータを待機している。
【0064】
優先度特定部137は、ロボット2の優先度を特定する。優先度は、同時期にエレベータを乗車することを要求するロボット2が複数存在する場合に、いずれのロボット2の乗車を優先させるべきかを判断するための情報である。優先度は、例えば1以上の整数で表現され、値が大きいほど優先されることを表す。一例として、優先度特定部137は、乗車要求に含まれるロボットIDに対応するロボット2の優先度をロボット管理サーバに問い合わせ、ロボット2の優先度を特定する。また、乗車要求にロボット2の優先度が含まれていてもよい。
【0065】
待機位置決定部131は、複数の待機候補位置S2からロボット2の選択待機位置を決定できない場合、ロボット2より優先度が低い他のロボットの選択待機位置をロボット2の選択待機位置として決定する。待機候補位置S2から選択待機位置を決定できない場合、ロボット2Aの行先へ到達するエレベータに乗車可能な選択待機位置で待機している他のロボット2B及び2Cの優先度と、乗車要求を送信したロボット2Aの優先度を比較する。乗車要求を送信したロボット2Aの優先度が高い場合、ロボット制御部132は、選択待機位置で待機している優先度の低いロボット2を退避位置S3又は退避スペースに退避させる。すなわち、ロボット2Bの優先度は1であり、ロボット2Cの優先度は2であるため、ロボット制御部132は、優先度2の方が優先度1より優先されるため、最も優先度が低いロボット2Bを退避位置S3又は退避スペースに退避させる。そして、待機位置決定部131は、ロボット2Bのために選択されていた選択待機位置をロボット2Aの選択待機位置として決定する。ロボット制御部132は、記憶部12が記憶する待機状態情報において、決定した指定待機位置の待機位置IDと、ロボット2AのロボットIDと、を関連付けて記憶させる。この場合、ロボット制御部132は、退避位置S3又は退避スペースに退避させたロボットのロボット識別情報を待機状態情報から削除してもよいし、当該ロボットが退避位置S3又は退避スペースにおいて退避していることを待機状態情報に記憶させてもよい。
【0066】
優先度に基づいて制御する場合、ロボット制御部132は、選択待機位置を決定したロボット2の優先度をさらに関連付けて記憶部12が記憶する待機状態情報に記憶させてもよい。
【0067】
上述した通り、ロボット2の行先階やロボット2の仕様によって利用できるエレベータが異なるため、優先度が高いロボット2に選択待機位置を譲ったロボット2のために再度選択待機位置を決定することができる場合がある。そこで、待機位置決定部131は、ロボット2より優先度が低い他のロボットの選択待機位置をロボット2の選択待機位置として決定した場合、該他のロボットの選択待機位置をさらに決定してもよい。すなわち、図8においては、選択待機位置をロボット2Aに譲ったロボット2Bのために再度選択待機位置を決定してもよい。情報処理装置1がこのように構成されることで、優先度の高いロボット2の待機時間を減少させることができる。
【0068】
エレベータの稼働状況によっては優先度の低いロボット2はエレベータを待機する時間が長くなり、ロボット2が提供するサービスの品質を低下させてしまうおそれがある。そこで、所定時間以上待機しているロボット2の優先度を上げるよう制御し、優先的にエレベータに乗車させるよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0069】
待機状況取得部138は、ロボット2の選択待機位置を他のロボットの選択待機位置として決定した回数又はロボット2がエレベータを待機している時間を取得する。待機状況取得部138は、乗車要求を取得してからロボット2がエレベータに乗車するまでの時間を計測してもよいし、ロボット2又はロボット管理サーバからロボット2がエレベータを待機している時間を取得してもよい。待機状況取得部138は、ロボット2が乗車要求を送信してからロボット2が待機している時間(すなわちエレベータに乗車するまでの時間)又は選択待機位置が他のロボットの選択待機位置として決定された回数をカウントし、ロボットIDと関連付けて管理してもよい。
【0070】
優先度特定部137は、ロボット2の選択待機位置を他のロボットの選択待機位置として決定した回数又はロボット2がエレベータを待機している時間が閾値を超えた場合に、ロボット2の優先度をより高くする。閾値は、待機時間が長期化することによりロボット2が提供する品質を悪化させないように設定された時間又は回数である。閾値は例えば回数で設定される場合は3回、5回等と設定され、時間で設定される場合は、5分、10分等と設定される。
【0071】
閾値はロボット2が提供するサービスごとに異なるよう設定されてもよい。この場合、ロボット情報取得部136は、ロボットIDに対応するロボット2が提供するサービスを特定し、優先度特定部137は、特定されたロボット2が提供するサービスに対応する閾値を特定する。
【0072】
なお、優先度の低い他のロボットが待機している選択待機位置を含む待機候補位置S2から優先度の高いロボット2の選択待機位置を選択するよう情報処理装置1が構成されてもよい。具体的には、待機候補位置特定部134は、記憶部12が記憶する待機状態情報に基づいて、ロボット2の優先度より低い他のロボットの選択待機位置を特定する。ロボット2の優先度より低い他のロボットの選択待機位置がある場合、障害物が存在しない指定待機位置S1に加え、ロボット2の優先度より低い他のロボットの選択待機位置を待機候補位置として特定する。そして、待機位置決定部131は、特定した待機候補位置からロボット2の選択待機位置を決定する。
【0073】
情報処理装置1がこのように構成されることで、優先度の高いロボットによりエレベータに乗車するために便利な選択待機位置を決定することが可能となる。その結果、例えば、サイズの大きい物を運送するロボット等が円滑にエレベータに乗車することが可能になる。
【0074】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図9は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。図9におけるフローチャートは、乗車要求を取得する時点から開始している。待機位置決定部131は、乗車要求を取得する(S01)。障害物情報取得部133は、障害物情報を取得する(S02)。待機候補位置特定部134は、記憶部12が記憶するフロア情報と障害物情報取得部133が取得した障害物情報とに基づいて待機候補位置S2を特定する(S03)。
【0075】
待機候補位置特定部134は、待機候補位置S2があるか否かを判定する(S04)。待機候補位置S2がある場合(S04におけるYES)、待機位置決定部131は、待機候補位置S2の中から選択待機位置を決定する(S05)。そして、選択待機位置でエレベータを待機することをロボット2に指示し(S06)、情報処理装置1は処理を終了する。
【0076】
待機候補位置S2がない場合(S04におけるNO)、待機位置決定部131は、優先度の低い他のロボットの選択待機位置があるか否かを判定する(S07)。優先度の低い他のロボットの選択待機位置がある場合(S07におけるYES)、待機位置決定部131は、優先度の低い他のロボットの選択待機位置を、乗車要求を送信したロボット2の選択待機位置として決定する(S08)。
【0077】
優先度の低い他のロボットの選択待機位置がない場合(S07におけるNO)、ロボット制御部132は、退避位置S3にロボット2を退避させることが可能か否かを判断する(S09)。退避位置S3にロボット2を退避させることが可能な場合(S09におけるYES)、ロボット制御部132は、退避位置S3へ移動することをロボット2に指示する(S10)。そして、所定の時間が経過するまで待機し、S02に戻り処理を繰り返す。
【0078】
退避位置S3にロボット2を退避させることができない場合(S09におけるNO)、退避スペース特定部135は、退避スペースを特定する(S11)。そして退避スペースへ移動することをロボット2に指示する(S12)。そして、所定の時間が経過するまで待機し、S02に戻り処理を繰り返す。
【0079】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように情報処理装置1においては、エレベータを待機するための指定待機位置S1のうちロボット2が待機可能な待機候補位置S2の中から選択待機位置を決定し、選択待機位置に移動するようロボット2を制御することにより、自律走行するロボット2が円滑にエレベータに乗車できるようにすることができる。
【0080】
<変形例>
以上の説明においては、情報処理装置1が選択待機位置等を決定し、選択待機位置に移動するようロボット2に指示する例について説明したが、ロボット2が選択待機位置を決定するよう構成されてもよい。図10は、変形例にかかるロボット2Dの構成を示すブロック図である。
【0081】
ロボット2Dは、通信部21、位置検出手段22、記憶部23及び制御部24を有する。制御部24は、待機位置決定部241、ロボット制御部242、障害物情報取得部243、待機候補位置特定部244及び退避スペース特定部245を有する。
【0082】
通信部21、記憶部23、制御部24、制御部24は、待機位置決定部241、ロボット制御部242、障害物情報取得部243、待機候補位置特定部244及び退避スペース特定部245はそれぞれ通信部11、記憶部12、制御部13、待機位置決定部131、ロボット制御部132、障害物情報取得部133、待機候補位置特定部134及び退避スペース特定部135に対応する。以下では既に説明済みの内容と重複する内容については説明を省略する。
【0083】
位置検出手段22は、ロボット2Dの位置を検出し、位置情報を生成する。位置検出手段22は、例えばGPSにより位置を検出してもよいし、建物内に設置されたマーカとの位置関係に基づいて位置を検出してもよい。
【0084】
記憶部23は、ロボット2DのロボットID、伝達機能の有無等の情報を記憶する。制御部24は、記憶部23に記憶されたプログラムを実行することにより待機位置決定部241、ロボット制御部242、障害物情報取得部243、待機候補位置特定部244及び退避スペース特定部245として機能する。
【0085】
待機位置決定部241は、ロボット管理サーバから行先を示す情報を取得する。待機位置決定部241は、ロボット管理サーバから取得した行先を示す情報と位置検出手段が生成したロボット2Dの位置情報と、記憶部23に記憶されたフロア情報とに基づいて、上述のように選択待機位置を決定する。
【0086】
ロボット制御部242は、待機位置決定部241が決定した選択待機位置にロボット2Dが移動するようロボット2Dの移動手段を制御する。
[変形例による効果]
変形例のように構成することで、円滑にエレベータに乗車することができるロボットを簡易な構成で提供することができる。
【0087】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0088】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0089】
1 情報処理装置
2 ロボット
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
21 通信部
22 位置検出手段
23 記憶部
24 制御部
131 待機位置決定部
132 ロボット制御部
133 障害物情報取得部
134 待機候補位置特定部
135 退避スペース特定部
136 ロボット情報取得部
137 優先度特定部
138 待機状況取得部
241 待機位置決定部
242 ロボット制御部
243 障害物情報取得部
244 待機候補位置特定部
245 退避スペース特定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行するロボットが走行するフロアの情報であって、前記ロボットがエレベータを待機する位置としてあらかじめ定められた待機位置である複数の指定待機位置と、前記複数の指定待機位置それぞれに対応するエレベータの行先と、該エレベータそれぞれが人とロボットの共用が可能なエレベータであるかを示す種別と、を含むフロア情報を記憶する記憶部と、
前記ロボットの行先を含む、エレベータへの乗車を要求するための乗車要求を取得する取得部と、
前記複数の指定待機位置のうち、前記乗車要求に含まれる行先に対応する指定待機位置の中から、前記ロボットが前記エレベータに乗車するために待機させる位置である一つの選択待機位置を決定する待機位置決定部と、
前記待機位置決定部が決定した選択待機位置に移動するよう前記ロボットに指示するロボット制御部と、
を有し、
前記待機位置決定部は、前記ロボットが人間に対する情報伝達機能を有さない場合に、複数の前記指定待機位置のうち前記種別が人とロボットの共用が可能でないことを示すエレベータの待機位置を選択待機位置として決定する、
報処理装置。
【請求項2】
自律走行するロボットが走行するフロアの情報であって、前記ロボットがエレベータを待機する位置としてあらかじめ定められた待機位置である複数の指定待機位置と、前記指定待機位置に対応するエレベータの行先と、前記複数の指定待機位置と異なる、前記ロボットがフロア内において退避可能な位置として予め指定された退避位置と、を含むフロア情報を記憶する記憶部と、
前記ロボットの行先を含む、エレベータへの乗車を要求するための乗車要求を取得する取得部と、
前記複数の指定待機位置のうち、前記乗車要求に含まれる行先に対応する指定待機位置の中から、前記ロボットが前記エレベータに乗車するために待機させる位置である一つの選択待機位置を決定する待機位置決定部と、
前記ロボットが退避可能な空きスペースであって、前記フロアの前記指定待機位置及び前記退避位置と異なるスペースである退避スペースを特定する退避スペース特定部と、
前記待機位置決定部が決定した選択待機位置に移動するよう前記ロボットに指示するロボット制御部と、
を有し、
前記ロボット制御部は、前記ロボットを前記指定待機位置のいずれかに待機させることができない場合、前記ロボットを前記退避位置に移動するよう前記ロボットを制御し、前記ロボットを前記指定待機位置及び前記退避位置のいずれかに待機させることができない場合、前記ロボットを前記退避スペースに移動するよう前記ロボットを制御する、
報処理装置。
【請求項3】
前記待機位置決定部は、前記種別が人とロボットの共用が可能でないことを示すエレベータの指定待機位置を、前記種別が人とロボットの共用が可能であることを示すエレベータの指定待機位置より優先的に選択待機位置として決定する、
請求項1に記載の報処理装置。
【請求項4】
前記フロア情報は、前記複数の指定待機位置と異なる、前記ロボットがフロア内において退避可能な位置として予め指定された退避位置をさらに含み、
前記ロボット制御部は、前記ロボットを前記指定待機位置のいずれかに待機させることができない場合、前記ロボットを前記退避位置に移動するよう前記ロボットを制御する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ロボットが退避可能な空きスペースであって、前記フロアの前記指定待機位置と異なるスペースである退避スペースを特定する退避スペース特定部をさらに有し、
前記ロボット制御部は、前記ロボットを前記指定待機位置のいずれかに待機させることができない場合、前記ロボットを前記退避スペースに移動するよう前記ロボットを制御する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ロボットの優先度を特定する優先度特定部を有し、
前記待機位置決定部は、複数の前記指定待機位置から前記ロボットの選択待機位置を決定できない場合、前記ロボットより優先度が低い他のロボットの選択待機位置を前記ロボットの選択待機位置として決定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記待機位置決定部は、前記ロボットより優先度が低い他のロボットの選択待機位置を前記ロボットの選択待機位置として決定した場合、該他のロボットの選択待機位置をさらに決定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ロボットの選択待機位置を他のロボットの選択待機位置として決定した回数又は前記ロボットが前記エレベータを待機している時間を取得する待機状況取得部をさらに有し、
前記優先度特定部は、前記ロボットの選択待機位置を他のロボットの選択待機位置として決定した回数又は前記ロボットが前記エレベータを待機している時間が閾値を超えた場合に、前記ロボットの優先度をより高くする、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記ロボットの選択待機位置を他のロボットの選択待機位置として決定した回数又は前記ロボットが前記エレベータを待機している時間を取得する待機状況取得部をさらに有し、
前記優先度特定部は、前記ロボットの選択待機位置を他のロボットの選択待機位置として決定した回数又は前記ロボットが前記エレベータを待機している時間が閾値を超えた場合に、前記ロボットの優先度をより高くする、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記フロアに存在する障害物の情報を取得する障害物情報取得部を有し、
前記待機位置決定部は、障害物が存在しない指定待機位置の中から選択待機位置を決定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
コンピュータが実行する、
自律走行するロボットの行先を含む、エレベータへの乗車を要求するための乗車要求を取得するステップと、
前記ロボットが走行するフロアの情報であって、前記ロボットがエレベータを待機する位置としてあらかじめ定められた待機位置である複数の指定待機位置と、前記複数の指定待機位置それぞれに対応するエレベータの行先と、該エレベータそれぞれが人とロボットの共用が可能なエレベータであるかを示す種別と、を含むフロア情報を参照し、前記複数の指定待機位置のうち、前記乗車要求に含まれる行先に対応する指定待機位置の中から、前記ロボットが前記エレベータに乗車するために待機させる位置である一つの選択待機位置を決定するステップと、
前記決定するステップにおいて決定した選択待機位置に移動するよう前記ロボットに指示するステップと、
を有し、
前記決定するステップにおいては、前記ロボットが人間に対する情報伝達機能を有さない場合に、複数の前記指定待機位置のうち前記種別が人とロボットの共用が可能でないことを示すエレベータの待機位置を選択待機位置として決定する、
報処理方法。
【請求項12】
コンピュータが実行する、
自律走行するロボットの行先を含む、エレベータへの乗車を要求するための乗車要求を取得するステップと、
前記ロボットが走行するフロアの情報であって、前記ロボットがエレベータを待機する位置としてあらかじめ定められた待機位置である複数の指定待機位置と、前記指定待機位置に対応するエレベータの行先と、前記複数の指定待機位置と異なる、前記ロボットがフロア内において退避可能な位置として予め指定された退避位置と、を含むフロア情報を参照し、前記複数の指定待機位置のうち、前記乗車要求に含まれる行先に対応する指定待機位置の中から、前記ロボットが前記エレベータに乗車するために待機させる位置である一つの選択待機位置を決定するステップと、
前記ロボットが退避可能な空きスペースであって、前記フロアの前記指定待機位置及び前記退避位置と異なるスペースである退避スペースを特定するステップと、
前記決定するステップにおいて決定した選択待機位置に移動するよう前記ロボットに指示するステップと、
を有し、
前記指示するステップにおいては、前記ロボットを前記指定待機位置のいずれかに待機させることができない場合、前記ロボットを前記退避位置に移動するよう前記ロボットを制御し、前記ロボットを前記指定待機位置及び前記退避位置のいずれかに待機させることができない場合、前記ロボットを前記退避スペースに移動するよう前記ロボットを制御する、
報処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
請求項11から12のいずれか1項に記載の情報処理方法を実行させるプログラム。