(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047531
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】立体表示装置及び立体表示方法
(51)【国際特許分類】
G02B 30/26 20200101AFI20240329BHJP
H04N 13/305 20180101ALI20240329BHJP
H04N 13/398 20180101ALI20240329BHJP
G03B 35/18 20210101ALI20240329BHJP
【FI】
G02B30/26
H04N13/305
H04N13/398
G03B35/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087913
(22)【出願日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2022152079
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】桃井 芳晴
(72)【発明者】
【氏名】小澤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 孝至
【テーマコード(参考)】
2H059
2H199
【Fターム(参考)】
2H059AA35
2H059AB01
2H059AB02
2H059AB13
2H199BA17
2H199BA19
2H199BA20
2H199BA34
2H199BB03
2H199BB04
2H199BB06
2H199BB23
2H199BB52
2H199BB59
(57)【要約】
【課題】奥行きを確保しつつ、より鮮明な3次元映像を好適に表示する。
【解決手段】立体表示装置1は、表示部10と、立体像の要素画像を表示部10に表示させる表示駆動部17と、表示部10の背面側に配置された第1レンズアレイであって、所定のピッチで配列した複数の第1シリンドリカルレンズを含む第1レンズアレイと、第1レンズアレイの背面側に配置された第2レンズアレイであって、第1シリンドリカルレンズよりも広いピッチで配列した複数の第2シリンドリカルレンズを含む第2レンズアレイと、各第2シリンドリカルレンズの背面側に配置された複数の線光源51と、表示部10と第1レンズアレイとの間に配置され、各第1シリンドリカルレンズの各焦点位置を含む位置に配置された拡散シート81と、を有する光源制御部15と、要素画像を照明する線光源51を駆動させる光源駆動部19と、を備える。
【選択図】
図29
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
立体像の要素画像を前記表示部に表示させる表示駆動部と、
光源制御部であって、
前記表示部の背面側に配置された第1レンズアレイであって、所定のピッチで配列した複数の第1シリンドリカルレンズを含む第1レンズアレイと、
前記第1レンズアレイの背面側に配置された第2レンズアレイであって、前記第1シリンドリカルレンズよりも広いピッチで配列した複数の集光レンズを含む第2レンズアレイと、
各集光レンズの背面側に配置された複数の光源と、
前記表示部と前記第1レンズアレイとの間に配置され、各第1シリンドリカルレンズの各焦点位置を含む位置に配置された拡散シートと、
を有する光源制御部と、
前記要素画像を照明する前記光源を駆動させる光源駆動部と、
を備えた立体表示装置。
【請求項2】
前記集光レンズは、第2シリンドリカルレンズであり、
前記第2レンズアレイは、前記第1シリンドリカルレンズよりも広いピッチで配列した複数の前記第2シリンドリカルレンズを含む、
請求項1に記載の立体表示装置。
【請求項3】
前記表示駆動部は、前記立体像の表示位置を表す複数の要素画像を表示し、第1の要素画像及び第2の要素画像を含む前記複数の要素画像を切り替えながら、前記表示部に表示させ、
前記光源駆動部は、各要素画像を照明する前記複数の光源を順次駆動し、前記第1の要素画像を照明する第1の光源及び前記第2の要素画像を照明する第2の光源を含む複数の光源を順次駆動させる、
請求項2に記載の立体表示装置。
【請求項4】
前記表示駆動部は、前記複数の要素画像をフィールド分割で切り替えて表示させ、
前記光源駆動部は、フィールドの切り替わりに応じて、切り替わり後の前記要素画像に対応する前記光源を点灯させる、
請求項2または3に記載の立体表示装置。
【請求項5】
前記拡散シートにおいて、前記複数の光源の光が集光する点は、相互にずれている、
請求項2または3に記載の立体表示装置。
【請求項6】
前記表示部に平行な面内の一方向に並んだ前記複数の光源における両端の前記光源間の幅に対する前記第2レンズアレイと前記複数の光源の列との間の距離の比は、前記拡散シート上の前記複数の光源の前記集光点における両端の前記集光点間の幅に対する前記拡散シートと前記第1レンズアレイとの間の距離の比と等しい、
請求項5に記載の立体表示装置。
【請求項7】
前記光源制御部は、各第1シリンドリカルレンズの表面に配置され、各第1シリンドリカルレンズの周辺部分を透過した光を遮蔽し、各第1シリンドリカルレンズの中央部分を透過させるスリットが形成された遮蔽板をさらに有する、
請求項2または3に記載の立体表示装置。
【請求項8】
前記第2レンズアレイにおいて、複数の前記第2シリンドリカルレンズは、前記表示部の画素の配列の垂直方向及び水平方向に千鳥配列するように配置された、
請求項2または3に記載の立体表示装置。
【請求項9】
前記光源駆動部は、前記表示部に平行な面内の一方向に並んだ前記複数の光源を順次駆動させる際に、駆動させた前記光源から少なくとも1つの前記光源を空けた位置の前記光源を次に駆動させる、
請求項2または3に記載の立体表示装置。
【請求項10】
前記表示部に平行な面内の一方向に並んだ前記複数の光源における両端の前記光源間の幅を1ピッチとした場合に、前記光源駆動部は、駆動させた前記光源から少なくとも半ピッチを空けた位置の前記光源を次に駆動させる、
請求項2または3に記載の立体表示装置。
【請求項11】
前記第1シリンドリカルレンズ及び前記第2シリンドリカルレンズの機能を前記光源によって再生できるようにホログラム光学素子に記録し、
前記第1シリンドリカルレンズ及び前記第2シリンドリカルレンズの代わりに前記光源と前記表示部との間に配置された前記ホログラム光学素子と、
をさらに備えた、
請求項2または3に記載の立体表示装置。
【請求項12】
前記集光レンズは、正六角形レンズであり、
前記第2レンズアレイは、前記第1シリンドリカルレンズよりも広いピッチで配列した複数の前記正六角形レンズを含み、
複数の前記正六角形レンズは、前記表示部の画素の配列方向に千鳥配列するように配置された、
請求項1に記載の立体表示装置。
【請求項13】
前記表示部に平行な面内の一方向に並んだ前記複数の光源における両端の前記光源間の幅にN個の前記光源がある場合に、前記光源駆動部は、駆動させた前記光源からずらし量Mを空けた位置の前記光源を次に駆動させる、ただし、Nは、Mで割り切れない整数であり、MがN/2以上では、Mは、(N-M)の負の整数として扱い、Mの絶対値が、N/2以下の最大値である、
請求項12に記載の立体表示装置。
【請求項14】
前記複数の前記光源は、前記表示部に平行な面内の列方向及び前記列方向に交差する行方向にマトリックス状に複数行及び複数列で並び、
同一列に配置された前記複数の前記光源は、同時に点灯されるように駆動され、
前記第1レンズアレイにおける複数の第1シリンドリカルレンズの稜線は、前記列方向に延びている、
請求項12に記載の立体表示装置。
【請求項15】
前記表示部に平行な面内の列方向及び前記列方向に交差する行方向にマトリックス状に並んだ前記複数の光源における前記行方向の両端の前記光源間の幅に対する前記第2レンズアレイと前記複数の光源の列との間の距離の比は、前記拡散シート上の前記複数の光源の集光点における両端の前記集光点間の幅に対する前記拡散シートと前記第1レンズアレイとの間の距離の比と等しく、
前記集光点間の幅が前記表示部のサブ画素幅の2倍以下である、
請求項12に記載の立体表示装置。
【請求項16】
前記光源制御部は、
前記第2レンズアレイと、前記複数の前記光源と、の間に配置された第3レンズアレイであって、前記複数の前記光源に対応した複数のキャップレンズを含む前記第3レンズアレイをさらに備えた、
請求項12に記載の立体表示装置。
【請求項17】
前記光源制御部において、
前記複数の前記光源は、千鳥配列するように配置され、
前記キャップレンズは、正六角形レンズである、
請求項16に記載の立体表示装置。
【請求項18】
前記光源制御部において、
前記第3レンズアレイは、2層に重ねた積層シリンドリカルレンズアレイであって、前記第2レンズアレイの背面側に配置された上層シリンドリカルレンズアレイ及び前記上層シリンドリカルレンズアレイの背面側に配置された下層シリンドリカルレンズアレイを含み、
前記複数の前記光源は、前記表示部に平行な面内の行方向及び前記行方向に交差する列方向にマトリックス状に複数行及び複数列で並び、
前記上層シリンドリカルレンズアレイに含まれた各シリンドリカルレンズの稜線は、前記列方向または前記行方向に延び、
前記下層シリンドリカルレンズアレイに含まれた各シリンドリカルレンズの稜線は、前記列方向及び前記行方向のうち、前記上層シリンドリカルレンズアレイにおける各シリンドリカルレンズの稜線が延びる方向と異なる方向に延びている、
請求項16に記載の立体表示装置。
【請求項19】
前記光源制御部において、
前記光源の間隔を間隔PLEDとし、前記第2レンズアレイと前記複数の前記光源の列との距離を距離fcとし、前記第3レンズアレイと前記第2レンズアレイとの距離を距離dcapとしたときに、前記第3レンズアレイにおける前記キャップレンズの間隔Pcapは、
Pcap=dcap・PLED/fc
である、
請求項16に記載の立体表示装置。
【請求項20】
表示部と、
立体像の要素画像を前記表示部に表示させる表示駆動部と、
光源制御部であって、
前記表示部の背面側に配置された第1レンズアレイであって、所定のピッチで配列した複数の第1シリンドリカルレンズを含む第1レンズアレイと、
前記第1レンズアレイの背面側に配置された第2レンズアレイであって、前記第1シリンドリカルレンズよりも広いピッチで配列した複数の集光レンズを含む第2レンズアレイと、
各所定レンズの背面側に配置された複数の光源と、
前記表示部と前記第1レンズアレイとの間に配置され、各第1シリンドリカルレンズの各焦点位置を含む位置に配置された拡散シートと、
を有する光源制御部と、
前記要素画像を照明する前記光源を駆動させる光源駆動部と、
を備えた立体表示装置において、
前記複数の要素画像を前記表示部に表示させ、
前記複数の光源を順次駆動させる、
立体表示方法。
【請求項21】
前記立体像の異なる角度もしくは表示位置を表す複数の要素画像を表示し、前記複数の要素画像を前記表示部に表示させる際に、第1の要素画像及び第2の要素画像を含む前記複数の要素画像を切り替えながら、前記表示部に表示させ、
各要素画像を照明する前記複数の光源を順次駆動し、前記複数の光源を順次駆動させる際に、前記第1の要素画像を照明する第1の光源及び前記第2の要素画像を照明する第2の光源を含む複数の光源を順次駆動させる、
請求項20に記載の立体表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立体表示装置及び立体表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
立体映像を表示する技術は、古くから提案されている(例えば、特許文献1参照)。特に、立体映像を表示する技術として、ライトフィールド(light field)技術が注目されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5760428号公報
【特許文献2】特許第6791058号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Boyang Liu, Xinzhu Sang, Xunbo Yu, Xin Gao, Li Liu, Chao Gao, Peiren Wang, Yang Le, and Jingyan Du, "Time-multiplexed light field display with 120-degree wide viewing angle," Opt. Express (2019) 27, 35728-35739
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ライトフィールド技術は、理論上、解像度に限界があるという問題がある。したがって、奥行きを確保しつつ、解像度を向上させる3次元表示が望まれている。
【0006】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、奥行きを確保しつつ、より鮮明な3次元映像を好適に表示する立体表示装置及び立体表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかる立体表示装置は、表示部と、立体像の要素画像を前記表示部に表示させる表示駆動部と、光源制御部であって、前記表示部の背面側に配置された第1レンズアレイであって、所定のピッチで配列した複数の第1シリンドリカルレンズを含む第1レンズアレイと、前記第1レンズアレイの背面側に配置された第2レンズアレイであって、前記第1シリンドリカルレンズよりも広いピッチで配列した複数の第2シリンドリカルレンズを含む第2レンズアレイと、各第2シリンドリカルレンズの背面側に配置された複数の光源と、前記表示部と前記第1レンズアレイとの間に配置され、各第1シリンドリカルレンズの各焦点位置を含む位置に配置された拡散シートと、を有する光源制御部と、前記要素画像を照明する前記光源を駆動させる光源駆動部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様にかかる立体表示方法は、表示部と、立体像の要素画像を前記表示部に表示させる表示駆動部と、光源制御部であって、前記表示部の背面側に配置された第1レンズアレイであって、所定のピッチで配列した複数の第1シリンドリカルレンズを含む第1レンズアレイと、前記第1レンズアレイの背面側に配置された第2レンズアレイであって、前記第1シリンドリカルレンズよりも広いピッチで配列した複数の第2シリンドリカルレンズを含む第2レンズアレイと、各第2シリンドリカルレンズの背面側に配置された複数の光源と、前記表示部と前記第1レンズアレイとの間に配置され、各第1シリンドリカルレンズの各焦点位置を含む位置に配置された拡散シートと、を有する光源制御部と、前記要素画像を照明する前記光源を駆動させる光源駆動部と、を備えた立体表示装置において、前記複数の要素画像を前記表示部に表示させ、前記複数の光源を順次駆動させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、奥行きを確保しつつ、より鮮明な3次元映像を好適に表示する立体表示装置及び立体表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】関連する立体表示装置の表示原理を説明するための図である。
【
図2】関連する立体表示装置の表示原理を説明するための図である。
【
図3】関連する立体表示装置の表示原理を説明するための図である。
【
図4】関連する立体表示装置の視域を説明するための図である。
【
図5】関連する立体表示装置の奥行と限界空間周波数との関係を示す図である。
【
図6】関連する立体表示装置の視域角とレンズ画素間の距離とを説明するための図である。
【
図7】実施形態1に係る2種類の表示方式における観察方法を説明するための図である。
【
図8】実施形態1に係る立体表示装置の概略断面図である。
【
図9】実施形態1に係る立体表示装置の概略断面図である。
【
図10】実施形態1に係る立体表示装置において、対応関係にある第2レンズ素子及び光源ユニットの断面図である。
【
図11】実施形態1に係る光源ユニットの鳥瞰図である。
【
図12】実施形態1に係るエリア制御を説明するための図である。
【
図13】実施形態1に係るデプスエリアにおける光源駆動のフィールド制御を説明するための図である。
【
図14】実施形態1に係る視域角と第1レンズ素子のレンズピッチとの関係を示す図である。
【
図15】実施形態1に係る立体表示装置1の機能構成を示すブロック図である。
【
図16】実施形態1に係る光源駆動と表示駆動のタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図17】実施形態1に係る光源駆動と表示駆動のタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図18】実施形態1に係る多視点画像から第1画像を生成する方法を説明するための図である。
【
図19】実施形態1に係るエリア分割を説明するための図である。
【
図20】実施形態1の第1変形例に係るシリンドリカルレンズアレイ及びレンチキュラシートの配置を示す図である。
【
図21】実施形態1の第1変形例に係るレンチキュラシートの第1レンズ素子及び視差画像の配置を示す図である。
【
図22】実施形態1の第1変形例に係る異方性拡散シートの配置を示す図である。
【
図23】実施形態2に係る立体表示装置を例示した概略断面図である。
【
図24】実施形態2に係る立体表示装置において、拡散シートと要素画素との関係を例示した図である。
【
図25】実施形態3に係る立体表示装置において、スリットを有する遮蔽板を例示した概略断面図である。
【
図26】実施形態4に係る立体表示装置において、シリンドリカルレンズアレイにおける第2レンズ素子の配置を例示した上面図である。
【
図27】実施形態4に係る立体表示装置において、シリンドリカルレンズアレイにおける第2レンズ素子の配置を例示した斜視図である。
【
図28】実施形態4に係る立体表示装置において、拡散シートを通して見たシリンドリカルレンズアレイを例示した上面図である。
【
図29】実施形態5に係る立体表示装置を例示した概略断面図である。
【
図30】実施形態5に係る時間多重のフィールド制御を例示した図である。
【
図31】実施形態5に係る立体表示装置において、光源制御部における光源の設置幅と集光点変位幅を例示した図である。
【
図32】実施形態5に係る立体表示装置において、集光パターンを例示した図である。
【
図33】比較例に係る立体表示装置において、視域多重を時間多重した画面表示を例示した図である。
【
図34】実施形態6に係る立体表示装置において、集光パターンを例示した図である。
【
図35】実施形態6に係る立体表示装置において、集光パターンを例示した図である。
【
図36】実施形態7に係る立体表示装置において、記録光学系を例示した構成図である。
【
図37】実施形態7に係る立体表示装置において、再生光学系を例示した構成図である。
【
図38】実施形態8に係る立体表示装置において、集光パターンを例示した図である。
【
図39】実施形態8に係る立体表示装置において、5分割2ずらし点灯順を例示した図である。
【
図40】実施形態9に係る立体表示装置において、第1レンズアレイのレンチキュラシート、第2レンズアレイの集光レンズ及び光源の配置を例示した平面図である。
【
図41】実施形態9に係る立体表示装置において、表示部、拡散シート、第1レンズアレイのレンチキュラシート、第2レンズアレイの集光レンズ及び光源の配置を例示した概略断面図である。
【
図42】実施形態9に係る立体表示装置において、拡散シート面における集光パターンを例示した図である。
【
図43】実施形態9に係る立体表示装置において、第2レンズアレイの集光レンズ及び光源の配置を例示した平面図である。
【
図44】実施形態9に係る立体表示装置において、第1レンズアレイのレンチキュラシートの配置を例示した平面図である。
【
図45】実施形態9に係る立体表示装置において、コントラストを例示したグラフであり、横軸は、空間周波数を示し、縦軸は、コントラストを示す。
【
図46】実施形態10に係る立体表示装置において、光源制御部を例示した断面図である。
【
図47】実施形態10に係る立体表示装置において、第3レンズアレイとしてハニカムレンズアレイを例示した平面図である。
【
図48】実施形態10に係る立体表示装置において、第3レンズアレイとして2層のレンチキュラシートを例示した図である。
【
図49】実施形態10に係る立体表示装置において、光源制御部を例示した断面図である。
【
図50】実施形態10に係る立体表示装置において、光源制御部を例示した断面図である。
【
図51】実施形態10に係る立体表示装置において、第3レンズアレイのキャップレンズの位置と光量との関係を例示したグラフであり、横軸は、キャップレンズの位置を示し、縦軸は、光量を示す。
【
図52】実施形態10に係る立体表示装置において、光源間の距離とキャップレンズ間との関係を例示した図である。
【
図53】実施形態11に係る立体表示装置を例示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0012】
<発明者による事前検討>
立体映像を表示する技術(以下、立体表示技術と呼ぶ)は古くから提案されている。立体表示技術は、眼鏡を用いる方式と、眼鏡を用いない方式とで分類できる。
【0013】
眼鏡を用いる方式では、眼鏡をかける煩わしさや観察位置によってゆがみが生じることなどの問題点が知られている。
【0014】
眼鏡を用いない方式では、水平視差の方式と、水平及び垂直の両方の視差が得られる方式とがある。上述の特許文献1は、シャッター(shutter)、プリズム(prism)及びレンチキュラシート(lenticular sheet)などを組み合わせたバックライト(back light)光学系のシャッターを切り替えることにより、バックライト光源の光を、左右それぞれの目に時分割で届ける技術を開示している。これにより、眼鏡なしの高精細な3次元表示が可能となる。しかし、シャッターを使うことにより光の効率が落ちることと、広い範囲で自然な運動視差が得られないという問題点があった。
【0015】
ここで、眼鏡なしに3次元表示を実現する立体表示装置の具体的な課題について、
図1~
図6を用いて説明する。
【0016】
以降の説明において、立体像表示装置の表示部の主面と垂直な方向(奥行方向)をZ軸方向とし、表示部の主面と平行な方向であって、画面左右方向をX軸方向とし、表示部の主面と平行な方向であって、画面上下方向(垂直走査方向とも呼ぶ)をY軸方向とする。
【0017】
図1~
図3は、関連する立体表示装置の表示原理を説明するための図である。
図4は、関連する立体表示装置の視域を説明するための図である。
図5は、関連する立体表示装置の奥行と限界空間周波数との関係を示す図である。
図6は、関連する立体表示装置の視域角とレンズ画素間の距離とを説明するための図である。
【0018】
図1~
図6に示すように、立体表示装置100は、光線再生型の立体表示装置である。例えば、立体表示装置100は、インテグラルフォトグラフィディスプレイ(integral photography display)またはライトフィールドディスプレイ(light field display)といった裸眼立体ディスプレイである。具体的には、立体表示装置100は、多視点画像群を表示することにより、ユーザの両眼視差またはユーザが視点を移動させた場合に生じる運動視差を生じさせて、ユーザに立体映像を知覚させる。立体表示装置100は、表示部10と、レンズアレイ(lens arry)200と、光源300と、を有している。
【0019】
レンズアレイ200は、複数のレンズ素子201が配列されたものである。レンズ素子201は、射出瞳とも呼ばれ、表示部10に表示された要素画像の光線の射出方向を制御する。
【0020】
表示部10は、LCD(Liqiud Crystal Display:液晶ディスプレイ)、OLED(Organic Light Emitting Diode:有機発光ダイオード)などであって、その表示領域の形状は4角形であり、複数の画素11(表示画素)を有する。例えば、表示部10は、画素11A、11B、11Cを有する。
図1に示すように、関連する立体表示装置100では、画素11の上にレンズ素子201を配置することによって、画素11からの光が、指向性を有するようになる。例えば、画素11とレンズ素子201の主点との距離がレンズ素子201の焦点距離である場合に、画素11からの光は、レンズ素子201を通して、平行光として発せられる。
【0021】
図1の例では、レンズ素子201-1の下において、中央にある画素11Aからの光は、実線で示されるように、上方向に発せられる。また、右側にある画素11Bからの光は、破線で示されるように、左上方向に発せられる。また、左側にある画素11Cからの光は、一点鎖線で示されるように、右上方向に発せられる。このように、レンズ素子201の下の画素11からの光は、それぞれ、ある方向の光として表現され得る。
【0022】
図1に示すように、画素11からの光が指向性を有するため、
図2に示すように、画素11ごとの光線の集合として、1点の奥行きのある点を表現できる。たとえば、点PAは、各レンズ素子201の下の画素11Aからの光が集まった点である。点PBは、各レンズ素子201の下の画素11Bからの光が集まった点である。なお、各レンズ素子201の下の画素11Aは撮影された物体の同じ位置に対応し、その位置は点PAで再現される。同様に、各レンズ素子201の下の画素11Bは撮影された物体の同じ位置に対応し、その位置は点PBで再現される。このように、立体表示装置100は、3次元の奥行きを持った点を、空間上のある1点に集光される光で表現している。
【0023】
ここで、各レンズ素子201の下の画素11の数は有限である。
図3に示す例では、説明のため、各レンズ素子201の下には、画素11A、11B、11Cの3つの画素11があるとしている。例えば、レンズ素子201-1の下には、画素11A-1、11B-1、11C-1の3つの画素11がある。そして、隣のレンズ素子201では、隣のレンズ素子201の下の画素11によって光線が表現される。したがって、1つのレンズ素子201-1では、そのレンズ素子201-1の直下の要素画像の範囲で、光線が表現されることとなる。つまり、このレンズ素子201-1で表現できる点の範囲は、このレンズ素子201-1の主点PCと要素画像の幅とによって決まる角度の範囲(視域角θ)となる。視域角θの外については、隣のレンズ素子201の下の要素画像による光が現れる。したがって、意図した立体像を表現することができない。したがって、要素画像からレンズ素子201を通して表示される表示範囲の重なる範囲が、観察できる範囲(視域)となる。
【0024】
図4の例では、ハッチングされた領域Vrが、表示部10の画面の端から端までの表示範囲が重なる部分にあたる視域を表している。画面両端の視域角を少し内側に向くように設計され両端からの光がハッチングされた領域で観察できることを示している。画面内の視域角は画面内で連続的に変化しており、両端からの光線が交わる領域では画面内のすべての光線が観察できるため、この領域Vrが表示範囲となる。
【0025】
次に、
図5及び
図6を参照しながら、立体表示装置100によって表示される立体像の奥行量と空間周波数との関係について説明する。
【0026】
図5に示すように、立体表示装置100によって表示される3次元映像は、当該3次元映像を構成する画素が表示される位置が表示部10から離れるにしたがって、表示できる空間周波数が粗くなる性質を持っている。これは、要素画像を構成する画素が幅を持っているからである。ここで、画素の幅をP
p、レンズ素子201と表示部10に表示される画素との距離(以下、「レンズ画素間距離」と称する。)をg、空間周波数をν(cycle/mm)としたとき表示される限界の奥行量D
Lは以下の式(1)で表すことができる。
【数1】
【0027】
しかし、レンズアレイ200のレンズ素子201のレンズ幅より細かい空間周波数で3次元映像を表示することはできない。そのため、表示部10に近い部分では、表示される3次元映像の空間周波数は、レンズ素子201のレンズ幅で決まる空間周波数となる。表示部10から離れた奥行(レンズ幅で空間周波数が制限されない奥行)に、より細かい空間周波数で3次元映像を表示しようとする場合には、レンズ画素間距離gを大きくすればよい。
【0028】
ここで、
図6に示すように、要素画像幅E
pと視域角θとレンズ画素間距離gとの関係は、以下の式(2)で表すことができる。
【数2】
【0029】
式(2)から分かるように、要素画像幅Epが同じ場合に、レンズ画素間距離gを大きくすると、視野角θが狭くなってしまう。一方、要素画像幅Epを広くすると、レンズ幅も広くなり、空間周波数νが粗くなってしまう。すなわち、奥行量DLと視域角θと最大となる空間数周波数νとは、それぞれトレードオフの関係になっている。したがって広い範囲で運動視差を有する光線再生型の立体装置において、頭打ちになる解像度よりも鮮明な3次元表示を実現することが望まれている。
【0030】
なお、上述の非特許文献1には、特許文献1と同様に時分割を利用して、眼鏡なしに3次元表示を実現する技術を開示している。非特許文献1に記載の技術は、複数の光源を時分割で切り替えるシリンドリカルレンズのバックライトと、LCD前面のレンチキュラシートとによって、複数の視差方向の表示範囲を広げることが可能になる。しかし、表示するフィールドの解像度は1/視差数に低下するという問題点があった。
【0031】
以下の実施形態の少なくとも1つは、上述した課題を解決するものである。
【0032】
<実施形態1>
まず、実施形態1について説明する。本実施形態の立体表示装置は、シリンドリカルレンズアレイと表示部背面のレンチキュラシートを備え、複数の光源を時分割で切り替える。これにより、複数の視差方向の表示範囲を広げることを可能とする。さらに、本実施形態の立体表示装置は、視差表示方式に加えて、光源の発光範囲を広げた高精細表示方式も取り得る。そして、本実施形態の立体表示装置は、照明態様を表示部の領域(エリア)又はフィールド毎に異ならせ、エリア又はフィールド毎に表示内容を最適化することで、奥行きを確保しつつ、より鮮明な3次元映像を好適に表示する。
図7は、実施形態1に係る2種類の表示方式における観察方法を説明するための図である。
【0033】
(視差表示方式の観察方法)
視差表示方式においては、立体表示装置1は、立体像92を表示する。上述したように、視差表示方式においては視域が限定される。ユーザ96及び97は、視域内から楽な姿勢で、立体表示装置1上に表示された立体像92を観察する。
【0034】
立体像92は立体表示装置1からの光線の集合として構成されている。人間は、両眼を使って対象を見ることで起こる両眼視差、すなわち、左右の目における網膜像の差異によって奥行きを知覚する。また、運動視差、すなわち、観察者と対象物との相対的な運動によって生じる網膜像の変化によっても奥行を知覚する。このため、ユーザ96、97は立体像92を観察することができる。
【0035】
ユーザ96及び97は、視域内で頭を左右に動かしたときに、それぞれの位置で異なる立体像92を観察することができる。
図1には、左右にユーザ96及び97が示されている。ユーザ96及び97は、異なる方向から立体像92を観察しているため、それぞれ、異なる立体像92を観察することができる。例えば、立体像92としてリンゴを表示しているときに、ユーザ96は、右側面を観察し、ユーザ97は、左側面を観察することができる。
【0036】
ここで、ユーザ96及び97が立体像92を観察する角度を「観察角度」と呼ぶこととする。観察角度は、Z軸方向と、ユーザ96及び97が観察する方向とがなす角度(但し絶対値が90°以下)である。立体像92を基準として、Z軸正方向にいるユーザ(不図示)の観察角度は0°であり、ユーザ96の観察角度θaは、-45°であり、ユーザ97の観察角度θbは、45°である。
【0037】
ユーザ96及び97が立体像92を観察する方向は、ユーザ96及び97に対して立体像92が表示される方向(立体像92の表示方向)と逆であるため、観察角度は「表示角度」とも呼ばれる。表示角度は、Z軸方向と、立体像92の表示方向とがなす角度(但し絶対値が90°以下)である。
【0038】
なお、本実施形態1では、立体表示装置1は、立体像92の1シーンの奥行を表現するために、表示角度範囲毎に、デプスエリアの要素画像を時分割(フィールド分割)で表示する。立体表示装置1は、一例として、フィールドF1、F2、F3を3つに分割して表示する。フィールドF1は、表示角度範囲が-30~30°である立体像92を表示するフィールドである。フィールドF2は、表示角度範囲が-60°~-30°である立体像92を表示するフィールドである。フィールドF3は、表示角度範囲が30°~60°である立体像92を表示するフィールドである。3種類のフィールドを高速で繰り返すことで、観察角度が-60°~60°までのユーザ96及び97が、立体像92を観察することができる。
【0039】
割り当てられた表示角度範囲の中央の表示角度に対応する表示方向を、主表示方向と呼ぶ。表示角度範囲が-30~30°である場合には、主表示方向は、表示角度0°の表示方向である。表示角度範囲が-60~-30°である場合には、主表示方向は、表示角度-45°の表示方向である。表示角度範囲が30~60°である場合には、主表示方向は、表示角度45°の表示方向である。
【0040】
(高精細表示方式の観察方法)
高精細表示方式においては、立体表示装置1は、2次元像94を+Z軸方向に表示する。そして、ユーザ96及び97は、立体表示装置1上に表示された2次元像94を2次元像として知覚する。したがって、観察される2次元像94は、観察角度に関わらず一様である。
【0041】
実施形態1は、立体表示装置1が光源の発光をエリアに分割し、エリア毎に、視差表示方式か高精細表示方式かを選択可能とすることを特徴とする。このようにエリア毎に表示方式を異ならせることを「エリア分割」と呼び、エリアに応じた態様で表示駆動及び光源駆動を実施することを「エリア制御」と呼ぶ。
【0042】
立体表示装置1は、視差表示方式が適用されるエリアについては、立体像92を表示する。視差表示方式が適用されるエリアは、デプスエリアとも呼ばれる。一方で、立体表示装置1は、高精細表示方式が適用されるエリアについては、2次元像94を表示する。高精細表示方式が適用されるエリアは、高精細エリアとも呼ばれる。以下では、立体像92及び2次元像94をまとめて、表示像と呼ぶことがある。
【0043】
次に、上述した2種類の表示方式を1装置で実現する立体表示装置1の構成について、
図8~9を用いて説明する。
図8~9は、実施形態1に係る立体表示装置1の概略断面図である。
【0044】
図8は、視差表示方式を適用時の立体表示装置1を示す。立体表示装置1は、上述した表示部10に加えて、主に光源制御部15を備える。
【0045】
視差表示方式が適用された場合には、表示部10は、ユーザに表示像の奥行成分(立体像92)を認識させるための複数の第1画像を表示する。第1画像は、多視点画像のうち、その第1画像が対応するフィールドの表示角度範囲に対応する画像を合成した2次元の要素画像である。表示される第1画像は、対応する表示像の表示方向がフィールド毎に異なる。多視点画像は、被写体を複数の異なる視点から撮影した画像であり、コンピュータグラフィックス(CG)により生成された画像を含む。
【0046】
光源制御部15は、光線の射出方向を制御する部材である。光源制御部15は、レンチキュラシート40と、シリンドリカルレンズアレイ30と、複数の光源ユニット50とを有する。
【0047】
レンチキュラシート40は、第1レンズアレイとも呼ばれる。レンチキュラシート40は、表示部10の背面側に配置される。レンチキュラシート40は、所定のピッチで配列した複数の第1レンズ素子41を含んでいる。第1レンズ素子41は、第1シリンドリカルレンズとも呼ばれる射出瞳である。第1レンズ素子41は、円柱を母線に平行な面で切り取った半円柱状を有する。実施形態1では、第1レンズ素子41は、稜線の延伸方向、つまり半円柱の軸方向が、Y軸方向と略平行になるように配置される。
【0048】
シリンドリカルレンズアレイ30は、第2レンズアレイとも呼ばれる。シリンドリカルレンズアレイ30は、レンチキュラシート40の背面側に配置される。
【0049】
シリンドリカルレンズアレイ30は、レンチキュラシート40に含まれる第1レンズ素子41のピッチよりも広いピッチで配列した複数の第2レンズ素子31を含んでいる。換言すると、第1レンズ素子41は密に配置され、第2レンズ素子31は疎に配置されている。第2レンズ素子31は、第2シリンドリカルレンズとも呼ばれる射出瞳である。第2レンズ素子31は、入射光を平行光に変換するコリメータとして機能する。
図8に示す第2レンズ素子31は、半円柱状の表面のX軸方向両端部に微細な複数のノコギリ状の突起を形成したフレネルレンズであるが、ノコギリ状の突起は有しなくてもよい。なお、フレネルレンズを用いると、レンズの厚さを薄くできる。
【0050】
複数の光源ユニット50の各々は、シリンドリカルレンズアレイ30に含まれる各第2レンズ素子31の背面側に配置される。各光源ユニット50は、複数の線光源51と、各線光源51に対応して設けられる遮光壁52とを有する。複数の線光源51は、例えば、線光源51A、51B及び51Cを含む。遮光壁52は、各線光源51A、51B及び51Cに対応するように、遮光壁52A、52B及び52Cを含む。
【0051】
線光源51は、単一光源とも称する。線光源51は、例えばLEDである。線光源51は、表示部10の画素11の配列の垂直方向、つまりY軸方向に沿って延伸している。1つの光源ユニット50に含まれる線光源51は、各々が異なる表示方向の角度範囲(表示角度範囲)に対応して設けられる。具体的には、各線光源51は、1つの光源ユニット50において、表示部10の画素11の配列の水平方向、つまりX軸方向に所定の間隔を置いて配列している。また、各線光源51は、断面視において第2レンズ素子31の主点PFを中心として、焦点距離df離れた同心円状に配置される。このように配置されることによって球面収差の影響を受けにくくなる。
【0052】
一例として、立体表示装置1は、各光源ユニット50に含まれる線光源51のうち、各フィールドで1本の線光源51を点灯する。本図に示すように、線光源51A-1から放射された光は、シリンドリカルレンズアレイ30の第2レンズ素子31-1において、+Z軸方向に平行になるように変換される。平行光化された光は、レンチキュラシート40に含まれる第1レンズ素子41-1によって点PD-1において集光される。点PD-1において集光された光は、その後、+Z軸方向に向かうにつれて拡散し、点PD-1よりも+Z軸方向に配置された表示部10を照明する。線光源51B-1及び51C-1も同様である。
【0053】
したがって、点PDは、
図8におけるレンズ素子201の主点である点PCと同様の役割を果たす。また、点PDは、仮想的な光源とみることもできる。
【0054】
ここで、表示部10は、レンチキュラシート40から、レンチキュラシート40の焦点距離の約2倍離れた位置に配置されてよい。約2倍とは、2倍であってもよいし、1.9倍以上2.1倍以下であってもよい。このように配置すると、集光された光と画素11との関係から、観察する方向によって異なる画素11が照明される。換言すれば、画素11が指向性を有することになる。
【0055】
1本の線光源51で第1画像を照明した場合には、立体表示装置1は、レンチキュラシート40の第1レンズ素子41のピッチに依存する解像度で表示することができる。
【0056】
一般的に、光源となるLEDの幅は、画素11に比べると大きく、平行光化した場合の光線の広がりが大きくなりやすい傾向がある。したがって、シリンドリカルレンズアレイ30の第2レンズ素子31のピッチを疎にして焦点距離を長くとることで、相対的に光線の広がりを狭くすることができる。これによって、レンチキュラシート40の第1レンズ素子41によって集光された点PDの幅を狭くできる。その結果、表示像のクロストークを減らすことができる。
【0057】
図9は、高精細表示方式を適用時の立体表示装置1を示している。なお、
図9は、立体表示装置1の構成要素の配置が
図8と同様であるが、表示部10に表示される画像の種別、光源の点灯態様、及び光の進行状態が、
図8と異なる。
【0058】
高精細表示方式が適用された場合には、立体表示装置1の表示部10は、ユーザに立体像92の平面成分(2次元像94)を認識させるための少なくとも1つの第2画像を表示する。第2画像は、2次元画像である。
【0059】
立体表示装置1は、高精細表示方式において1つの光源ユニット50に含まれる幅広光源を点灯する。幅広光源は、単一光源よりも発光幅が広い。本実施形態1では、立体表示装置1は、1つの光源ユニット50に含まれる線光源51のうち、点灯する線光源51の数を、視差表示方式において点灯する線光源51の数よりも増やす。一例として、立体表示装置1は、各光源ユニット50に含まれる線光源51のうち、3本の線光源51A、51B及び51Cを点灯する。これにより、複数の線光源51が、より広い範囲を照明する面光源として機能する。面光源で照明した場合には、シリンドリカルレンズアレイ30の第2レンズ素子31の焦点面Fでは、1点に集光せず広い範囲を照明することになる。したがって、全ての画素11は、一様に照明されるため、全ての画素11がどの観察方向からでも観察できるようになる。この場合、立体表示装置1は、表示部10の表示解像度で第2画像を表示できる。なお、立体表示装置1の各光源ユニット50が、線光源51とは異なる面光源を備える場合には、立体表示装置1は、高精細表示方式において、幅広光源として当該面光源を点灯させてもよい。
【0060】
立体表示装置1は、上述した2つの照明方法をエリア毎に組み合わせることによって、高精細かつ奥行を有する映像を表示できる。
【0061】
図10は、実施形態1に係る立体表示装置1において、対応関係にある第2レンズ素子31及び光源ユニット50の断面図である。
図10に示すように、対応関係にある第2レンズ素子31及び光源ユニット50は、遮光壁52によって閉じた系を構成する。
【0062】
光源ユニット50の遮光壁52は、光を遮蔽する材質からなり、外部からの光の入射を阻害する。光源ユニット50の遮光壁52は、複数の線光源51を支持する台座としても機能する。遮光壁52は、線光源51の光軸が、対応する主表示方向に向くように線光源51を支持する。
【0063】
遮光壁52Aは、断面視においてX軸方向に沿うように配置される。遮光壁52Aは、主表示方向の表示角度が0°である線光源51Aを支持している。遮光壁52Aは、+X軸方向の端部が遮光壁52Bに接続され、-X軸方向の端部が遮光壁52Cに接続される。遮光壁52Bは、断面視においてX軸方向から45°傾くように配置される。遮光壁52Bは主表示方向の表示角度が-45°である線光源51Bを支持している。遮光壁52Cは、断面視においてX軸方向から-45°傾くように配置される。遮光壁52Cは主表示方向の表示角度が45°である線光源51Cを支持している。
【0064】
図11は、実施形態1に係る光源ユニット50の鳥瞰図である。
図11に示すように、複数の光源ユニット50は、第2レンズ素子31と同様に、X軸方向に沿って接続される。隣接する光源ユニット50における線光源51A間の距離は、シリンドリカルレンズアレイ30に含まれる第2レンズ素子31のピッチと等しい。線光源51B間の距離及び線光源51C間の距離も同様である。
【0065】
遮光壁52Bは、+X軸方向の端部が、隣接する光源ユニット50の遮光壁52Cに接続される。遮光壁52Cは、-X軸方向の端部が、隣接する光源ユニット50の遮光壁52Bに接続される。接続される遮光壁52B及び遮光壁52Cは、+Z軸方向に向かうほどX軸方向に互いに近づく。
【0066】
つまり、遮光壁52B、52Cは、自己の光源ユニット50の線光源51Aと、隣接する光源ユニット50の線光源51Aとの間に配置され、隣接する光源ユニット50から、対応するシリンドリカルレンズアレイ30への光の入射を阻害するように構成される。これにより、対応しない光源ユニット50の光による、対応しない角度への光の射出を防ぐことができる。一般的に、対応しない角度への光の射出によって、いわゆる繰り返し3次元像が形成されると、複数の光源ユニット50によって、対応する角度へ平行光を入射させるときの邪魔になってしまう。しかし、上述の構成をとることで、繰り返し3次元像が形成されることを防ぐことができる。
【0067】
また、複数の光源ユニット50の各々は、表示部10のY軸方向に沿って配列する光源ブロックBL1、BL2、…BLnを含んでいる。具体的には、各光源ユニット50に含まれる光源ブロックBLは、Y軸方向に沿って互いに接続される。より具体的には光源ブロックBL1に含まれる遮光壁52A、52B、52CのY軸正方向の端部が、それぞれ、光源ブロックBL2に含まれる遮光壁52A、52B、52CのY軸負方向の端部に接続される。
【0068】
図12は、実施形態1に係るエリア制御を説明するための図である。立体表示装置1は、表示部10を、デプスエリアAR1と高精細エリアAR2とに分割する。そして、立体表示装置1は、エリアの種別に応じた画像を表示し、エリアの種別に応じた光源を駆動させて照明する。
【0069】
具体的には、デプスエリアAR1では、立体表示装置1の表示部10は、現在のフィールドに対応する第1画像を表示する。そして、デプスエリアAR1では、立体表示装置1の光源ユニット50は、3つの線光源51のうち、現在のフィールドに対応する線光源51を点灯する。
【0070】
高精細エリアAR2では、立体表示装置1の表示部10は、フィールドに関わらず予め定められた第2画像を表示する。そして、高精細エリアAR2では、立体表示装置1の光源ユニット50は、3つの線光源51の全てを点灯する。
【0071】
図13は、実施形態1に係るデプスエリアAR1における光源駆動のフィールド制御を説明するための図である。
図13に示すように、フィールドF1において、シリンドリカルレンズアレイ30の第2レンズ素子31の背面に設置された線光源51Aから放射された光は、シリンドリカルレンズアレイ30の第2レンズ素子31において正面に正対する平行光となる。そして、平行光がレンチキュラシート40の第1レンズ素子41によって集光される。この光は、第1レンズ素子41の焦点距離と、第1レンズ素子41のピッチと、照明する平行光の角度とで決まる表示角度範囲の光として、表示部10を照明する。つまり、立体表示装置1は、立体像92を表現する光線を、この表示角度範囲に再現できる。
【0072】
ここで、仮に、このフィールドF1の表示角度範囲を±30°=60°の範囲とする。その場合に、フィールドF2において、シリンドリカルレンズアレイ30の第2レンズ素子31に対して焦点距離dfだけ離れた線光源51Bを点灯する。このとき、第2レンズ素子31によって平行化された光は、45°の角度を持ってレンチキュラシート40の第1レンズ素子41に入射する。そして、光が-30°から-60°の表示角度範囲の光として表示部10を照明する。したがって、この場合には、立体表示装置1は、-30°から-60°の表示角度範囲で光線を再現できる。
【0073】
また、フィールドF3において、線光源51Cを点灯した場合には、フィールドF2と同様の原理により、立体表示装置1は、30°から60°の表示角度範囲の光線を再現できる。この3つの異なるフィールドで表示像を同期させて繰り返し表示した場合には、立体表示装置1は、-60°から60°までの120°の角度範囲を再現するディスプレイとなる。なお、120°の角度を視域角と呼ぶ。
【0074】
図14は、実施形態1に係る視域角と第1レンズ素子41のレンズピッチp
lとの関係を示す図である。視域角θを得るために、N個(Nは、自然数)のフィールドで視域を拡大した場合には、レンチキュラシート40の第1レンズ素子41の焦点距離は、次の式で表される。
【0075】
【0076】
例えば、3フィールドの場合、中心の第1レンズ素子41の角度範囲θ
cは、次の式で表される。
【数4】
【0077】
また、右側の第1レンズ素子41の角度範囲θ
rは、次の式で表される。
【数5】
左側の第1レンズ素子41の角度範囲θ
lもθ
rと同様である。
【0078】
フィールド分割による表示角度範囲を拡大したディスプレイでは、表示像との同期が重要な役割を果たす。
図15は、実施形態1に係る立体表示装置1の機能構成を示すブロック図である。立体表示装置1は、光源制御部15及び表示部10に加え、表示像生成部16と、表示駆動部17と、光源駆動部19とを備える。
【0079】
表示像生成部16は、多視点画像に基づいて、第1画像及び第2画像を生成する。表示像生成部16は、生成した画像を、表示駆動部17に供給する。表示像生成部16は、例えば、映像再生機器である。
【0080】
表示駆動部17は、視差表示方式に対応する第1画像と、高精細表示方式に対応する第2画像とを、エリア分割で表示部10に入力して表示させる。そして表示駆動部17は、第1画像が表示されるエリアについては、各表示角度範囲に対応する第1画像をフィールド分割で切り替えて、表示部10に表示させる。
【0081】
光源駆動部19は、各光源ユニット50に含まれる線光源51のうち、第2画像の照明に用いる線光源の数が、第1画像の照明に用いる線光源の数よりも多くなるように、複数の光源ユニット50をエリア制御で駆動する。光源駆動部19は、例えば、LED点灯回路である。
【0082】
ここで、表示部10に入力される第1画像に対応する角度範囲は、点灯する線光源51が対応している角度範囲と一致することが求められる。角度範囲の一致を実現するために、表示駆動部17は、同期部18を有する。
【0083】
同期部18は、同期回路である。同期部18は、画像表示の移り変わりを検出し、同期信号を光源駆動部19に供給する。そして、視差表示方式において、光源駆動部19は、各フィールドの表示角度範囲に応じた線光源51を駆動させるフィールド信号を光源ユニット50に送信する。こうすることで、光源駆動部19は、フィールドの切り替わりに応じて、切り替わり後の第1画像に対応する表示角度範囲に応じた線光源51を点灯することができる。したがって、表示部10に表示される第1画像と光源ユニット50とが同期し、表示角度範囲を広げることができる。
【0084】
図16~
図17は、実施形態1に係る光源駆動と表示駆動のタイミングチャートの一例を示す図である。
【0085】
一般的に、LCDは、画面の上端から下端まで(本実施形態1では、表示部10のY軸正方向側の端部から負方向側の端部まで)の各走査位置で画面切り替えのタイミングがずれている。表示駆動部17は、このような垂直走査の周期で、表示部10に表示させる第1画像を、フィールドに応じた第1画像に切り替える。そして、光源駆動部19は、垂直走査の周期で、点灯させる線光源51を、フィールドに応じた線光源51に切り替える。
【0086】
図16では、一例として、光源駆動部19は、フィールドに応じた線光源51に含まれる光源ブロックBLを、その光源ブロックBLがY軸方向のどの位置に配置されているかに関わらず、一様に点灯させる。なお、本図において、斜線が付されている部分が点灯していない時間を示し、斜線が付されていない部分が点灯している時間を示している。この場合には、点灯時間が長ければ長いほど、画面の上端と下端との駆動タイミングにずれが生じるため、クロストークCTが生じる。
【0087】
そこで、
図17では、同期部18は、表示駆動部17による垂直走査の位置と、光源駆動部19が点灯又は消灯させる光源ブロックBLの垂直位置とを同期する。具体的には、光源駆動部19は、同期信号が示すフィールドが切り替わるタイミングで、次のフィールドに応じた線光源51の点灯を開始し、同期信号に基づいて、その線光源51に含まれる光源ブロックBLを垂直走査方向に向かって点灯させていく。また、光源駆動部19は、同期信号に基づいて、前のフィールドで点灯していた線光源51に含まれる光源ブロックBLを、垂直走査方向に向かって消灯させていく。これにより、点灯時間を長くしてもクロストークが生じづらくなる。
【0088】
図18は、実施形態1に係る多視点画像から第1画像を生成する方法を説明するための図である。なお、以下の説明では、説明を明確にするため、水平方向について考える。
【0089】
図18の左側は、多視点画像を撮影する方法を示す。多視点画像は、要素画像幅(第1画像幅)に対応する画素数に対応する数のカメラ60によって、物体90を撮影することで生成される。例えば、第1画像幅が画素11個分の長さである場合には、11方向の多視点画像が必要となる。したがって、11方向を撮影するカメラ60A~60Kによって、物体90を11方向から撮影した11方向の多視点画像が撮影される。なお、実写撮影だけでなく、コンピュータグラフィックス(CG)でも、同様に、第1画像幅に対応する画素数に対応する数と同じ数のカメラ60が必要になる。
【0090】
図18の右側は、多視点画像によって立体像Vを再現した状態を示す。まず、表示像生成部16は、指向性を持つ上記多視点画像群の画素を並び替えることによって、複数の第1画像を生成する。具体的には、表示像生成部16は、多視点画像群に含まれる画素を、レンチキュラシート40の各第1レンズ素子41の位置に応じてサンプリングし、第1画像を生成する。例えば、表示像生成部16は、-30°から-60°に対応する多視点画像から合成した第1画像と、-30°から30°に対応した多視点画像から合成した第1画像と、30°から60°に対応した多視点画像から合成した第1画像と生成する。そして、表示駆動部17に駆動された表示部10は、3種類の第1画像を、3つのフィールドで順番に表示する。そして、表示中の第1画像Eが照明されることで、カメラ60A~60Kに対応する光線9A~9Kが第1画像Eから発せられる。これにより立体像Vが再現される。
【0091】
そして、表示駆動部17は、3種類の第1画像を、3つのフィールドで順番に表示部10に表示する。このとき、光源駆動部19は、表示中の第1画像の表示角度範囲に対応した線光源51を、表示の切り替わりと同期して点灯させる。
【0092】
図19は、実施形態1に係るエリア分割方法を説明するための図である。
図19に示すように、光源ユニット50の線光源51の点灯数を増やして点灯範囲を広げると、視差がなく高精細な表示が実現できる。表示像生成部16は、表示像の奥行(デプス)に応じて、表示像を、高精細エリアとデプスエリアとに分ける。
【0093】
エリアは、表示像のデプスを用いることで最適化される。CGでは、比較的容易にデプスマップを出力することが可能である。したがって、表示像生成部16は、デプスマップの情報に基づいて、表示像の基準面(表示部10付近)に対して、デプスの少ないエリアを高精細エリアとして容易に特定できる。例えば、表示像生成部16は、多視点画像に含まれる、視差が所定閾値以下の画像領域を、高精細エリアとしてよい。また、例えば、表示像生成部16は、多視点画像に含まれる、視差が所定閾値より大きい画像領域を、デプスエリアとしてよい。
【0094】
そして、表示像生成部16は、高精細エリアについては、被写体を所定の視点から撮影した画像を、第2画像として生成する。所定の視点とは、例えば、正面である。なお、表示像生成部16は、デプスエリアについては、
図18で説明した方法により、第1画像を生成する。
【0095】
そして、光源駆動部19が上記エリア分割に基づいて光源ユニット50を制御することで、高精細エリアでは、表示部10の画素11を全て使った高精細な表示でき、デプスエリアでは、奥行を表現できる。ユーザに高精細でかつ奥行を有する表示であるように知覚させることが可能となる。
【0096】
なお、表示像生成部16は、表示データを作成する際に、高精細な表示を基準面近くに配置してもよいし、連続するフレームを解析し、高精細な画像となるデプスを基準面に指定することで、工夫してもよい。
【0097】
このように実施形態1では、立体表示装置1は、2種類のレンズアレイを組み合わせた簡易な構成で、視差表示方式及び高精細表示方式をエリア分割で表示できる。これにより、視差表示方式による解像度低下の問題を軽減することができる。したがって、奥行きを確保しつつ、より鮮明な3次元映像を好適に表示することができる。
【0098】
実施形態1は、以下のように変形を加えることができる。
【0099】
<実施形態1の第1変形例>
図20は、実施形態1の第1変形例に係るシリンドリカルレンズアレイ30及びレンチキュラシート40の配置を示す図である。
【0100】
基本的には、シリンドリカルレンズアレイ30も、線光源51も、レンチキュラシート40も、表示部10の画面に対して垂直方向に沿うように配置することで、水平方向に視差をつけることができる。しかし、レンチキュラシート40の稜線を垂直方向に沿わせると、画素のパターンと干渉するためにモアレが生じる。レンチキュラシート40の稜線は、第1レンズ素子41の半円柱形の軸と平行な線である。
【0101】
そこで、
図20に示すように、本変形例の立体表示装置1aは、レンチキュラシート40を垂直方向よりも少し傾けることによって、モアレを解消する。具体的には、シリンドリカルレンズアレイ30の稜線は、表示部10の画素11の配列の垂直方向に沿っており、レンチキュラシート40の稜線は、上記垂直方向に対して予め定められた角度φだけ傾斜してよい。
【0102】
また、立体表示装置1aは、レンチキュラシート40の傾斜角度と、垂直方向の画素11の位置関係とに基づいて、視差を割り当ててよい。
【0103】
図21は、実施形態1の第1変形例に係るレンチキュラシート40の第1レンズ素子41及び第1画像の配置を示す図である。1つの画素11は、RGBの3つのサブ画素を有する。サブ画素は、それぞれ観察される方向が異なるため、立体表示装置1は、各サブ画素について視差を割り当ててもよい。また、Y軸方向についても、シリンドリカルレンズアレイ30の稜線とレンチキュラシート40の稜線とのズレで異なる方向に光線が飛ぶため、立体表示装置1aは、これにも視差を割り当ててもよい。本図では、一例として、X軸方向に9画素の幅を持つレンチキュラシート40をtan1/4だけ傾けて配置させている。これにより36方向の視差を割り当てることができる。厳密にいえば、1つの画素11に含まれるRGBに対して、同じ表示方向を割り当てるが、画素位置によって、表示方向にはズレが生じる。このため、実質的に108方向の視差が割り当てられることになる。表示像生成部16は、多視点画像を36枚用いて、RGBごとに多視点画像を1/3ずつずらしながら補間した画像を、第1画像として合成する。これにより、36枚の多視点画像で、より正確な表示が行える。
【0104】
また、実施形態1の第1変形例において、立体表示装置1aは、光源制御部15において、異方性拡散シートをさらに備えていてもよい。
【0105】
図22は、実施形態1の第1変形例にかかる異方性拡散シート80の配置を示す図である。異方性拡散シート80は、レンチキュラシート40と表示部10との間のXY平面に配置される。具体的には、異方性拡散シート80は、レンチキュラシート40の結像面、つまり、Z軸方向においてレンチキュラシート40から、レンチキュラシート40の略焦点距離だけ離れた位置に配置される。略焦点距離とは、焦点距離であってよいが、焦点距離の0.9倍以上1.1以下の距離であってもよい。異方性拡散シート80は、レンチキュラシート40の稜線方向に光を拡散する作用を、異方性拡散シート80の主面と平行な方向であって、レンチキュラシート40の稜線に直交する方向に拡散する作用よりも強くする。これにより、レンチキュラシート40の稜線方向と直交する方向の集光分布への作用が減り、集光分布における稜線と直交する方向の幅が広がりにくくなる。したがって、表示像のクロストークを軽減できる。また、レンチキュラシート40の稜線に沿った方向には表示像のクロストークに影響を与えないため、当該方向に光を積極的に拡散できる。
【0106】
ここで、シリンドリカルレンズアレイ30では、レンズ周囲又はレンズ接合面に輝度ムラが生じやすい。しかし、レンチキュラシート40の稜線がシリンドリカルレンズアレイ30の稜線に対して傾斜をつけ、積極的に拡散可能な上記方向に光を拡散させることで、シリンドリカルレンズアレイ30のレンズ周囲又はレンズ接合面に生じる輝度ムラを軽減することができる。
【0107】
<実施形態2>
次に、実施形態2に係る立体表示装置を説明する。例えば、特許文献2には、画素毎のレンズと拡散シート(Sheet)とを組み合わせた光学系によって、光効率を上げ、クロストークを減らすことにより、眼鏡なしに高画質な立体表示を可能とする技術が開示されている。しかしながら、特許文献2の技術は、表示する解像度が1/視差数に低下するという課題を有している。また、特許文献2の技術は、レンズでLCDを覆う方式であり、広い範囲で自然な運動視差を得られないという課題を有している。
【0108】
本実施形態の立体表示装置は、拡散シートを備えており、レンチキュラシート40の画角よりも表示範囲を拡げるようにしている。
図23は、実施形態2に係る立体表示装置を例示した概略断面図である。
図23に示すように、本実施形態の立体表示装置2において、光源制御部15aは、さらに、拡散シート81を有している。拡散シート81は、表示部10とレンチキュラシート40との間に配置され、各第1レンズ素子41の各焦点位置を含む位置に配置されている。具体的には、拡散シート81は、各第1レンズ素子41の各焦点位置を含む平面上に配置されている。拡散シート81は、透過した光を、X軸方向及びY軸方向を含む等方的に拡散させる。拡散シート81は、薄いものが好ましい。
【0109】
線光源51A~51Cは、各第2レンズ素子31の背面側に配置されている。例えば、線光源51Aから出射した光は、シリンドリカルレンズアレイ30における各第2レンズ素子31によって、平行光に変換される。各第2レンズ素子31によって平行光に変換された光は、レンチキュラシート40における各第1レンズ素子41によって集光される。各第1レンズ素子41によって集光された光は、拡散シート81が配置された各焦点位置で集光する。各焦点位置で集光した光は、その後、光束が拡がるように進む。各焦点位置を含む位置には、光を拡散させる拡散シート81が配置されている。よって、拡散シート81を透過した拡散光は、拡散シート81がない状態よりも光束を拡げることができる。拡散シート81を透過した拡散光は、表示部10に入射する。
【0110】
図24は、実施形態2に係る立体表示装置2において、拡散シート81と要素画素との関係を例示した図である。
図24に示すように、視域の角度範囲θは、拡散シート81と表示部10との間の距離g、及び、要素画素幅Epによって、前述の(2)式で表すことができる。要素画素幅Epは、レンチキュラシート40における各第1レンズ素子41のピッチqと、ほぼ同じ間隔で配置されている。拡散シート81と表示部10との間の距離は、拡散シート81とレンチキュラシート40との間の距離より短くなっている。拡散シート81で拡散された光は、要素画像幅Ep以上に広がるように表示部10を照明する。このように配置することにより、集光された光と画素との関係から、観察する方向で異なる画素が照明される。逆に言えば、画素が指向性を持つことになり、前述したような光線再生型の立体表示装置2として機能する。
【0111】
一般的に、レンチキュラシート40で集光できる範囲は、およそ45°程度に限られている。そのため、レンチキュラシート40で構成された立体表示装置の表示角度範囲は、45°に限られていた。これに対して、本実施形態の立体表示装置2は、拡散シート81を備えている。よって、拡散シート81で光を拡げることにより、表示範囲を拡大することができる。
【0112】
<実施形態3>
次に、実施形態3を説明する。本実施形態では、遮蔽板を用いている。
図25は、実施形態3に係る立体表示装置において、スリット(slit)を有する遮蔽板を例示した概略断面図である。
図25に示すように、本実施形態の立体表示装置3において、光源制御部15bは、遮蔽板82をさらに有している。遮蔽板82は、レンチキュラシート40の表面に配置されている。遮蔽板82には、複数のスリット83が設けられている。各スリット83は、各第1レンズ素子41の中央部分に配置されている。よって、遮蔽板82は、各第1レンズ素子41の周辺部分を透過した光を遮蔽し、各第1レンズ素子41の中央部分を透過させる複数のスリット83が形成されている。
【0113】
レンチキュラシート40で集光させた場合に、各第1レンズ素子41の収差によって、各第1レンズ素子41の周辺部分を透過した光は、焦点位置に集光されず、拡散シート81における焦点位置の周囲に拡がる。焦点位置の周囲を照明すると、表示方向に対応する画素でない画素が照明されてしまう。よって、そのような各第1レンズ素子41の周辺部分を透過した光は、立体像のクロストークになり、立体表示の品質の低下につながる。そこで、スリット83が設けられた遮蔽板82を用いて、各第1レンズ素子41の周辺部分の光を制限する。これにより、クロストークを低減し、立体表示の品質を向上させることができる。
【0114】
一般的なバリアを用いた立体表示では、集光することがないため、クロストークを削減するために狭い開口を用いる。そのため、バリアを用いた立体表示は、光効率が非常に悪い。明るい表示を行うためには、LED等の光源を強く光らせる必要があり、消費電力が大きくなる問題があった。これに対して、本実施形態では、遮蔽板82を用いても、各第1レンズ素子41によって集光されるため、開口幅よりも狭い集光点を作り出すことができる。よって、光効率を向上させ、消費電力を低下させることができる。
【0115】
<実施形態4>
次に、実施形態4を説明する。本実施形態は、シリンドリカルレンズアレイ30における第2レンズ素子31を千鳥配列に配置した例である。
【0116】
図26は、実施形態4に係る立体表示装置において、シリンドリカルレンズアレイ30における第2レンズ素子31の配置を例示した上面図である。
図27は、実施形態4に係る立体表示装置において、シリンドリカルレンズアレイ30における第2レンズ素子31の配置を例示した斜視図である。
図28は、実施形態4に係る立体表示装置において、拡散シート81を通して見たシリンドリカルレンズアレイ30を例示した上面図である。
【0117】
図26及び
図27に示すように、本実施形態の光源制御部15cは、千鳥配列した複数の第2レンズ素子31を含むシリンドリカルレンズアレイ30を有している。すなわち、シリンドリカルレンズアレイ30において、複数の第2レンズ素子31は、X軸方向及びY軸方向に千鳥配列するように配置されている。例えば、複数の第2レンズ素子31がX軸方向に並んだ列の各第2レンズ素子31は、Y軸方向に隣り合う列の各第2レンズ素子31に対して半ピッチずれている。
【0118】
+Z軸方向からシリンドリカルレンズアレイ30を見た場合に、第2レンズ素子31の稜線部分の光量は、端部の光量と異なっている。よって、シリンドリカルレンズアレイ30を透過した光量の面内の均一性は低下している。しかしながら、
図28に示すように、拡散シート81を通すことにより、シリンドリカルレンズアレイ30を透過した光量の面内の均一性を向上させることができる。このように、本実施形態の立体表示装置3は、拡散シート81を用いて水平方向と垂直方向に光を拡散させ、表示部10を照明する。それに加えて、複数の第2レンズ素子31を千鳥配置にすること、及び、拡散シート81を用いることにより、第2レンズ素子31の稜線部分の光量で、第2レンズ素子31の端部部分の光量不足を補うことができ、面内の均一性を向上させることができる。
【0119】
本実施形態によれば、光源ユニット50の各線光源51から出射した光を、シリンドリカルレンズアレイ30、レンチキュラシート40及び拡散シート81に通すことにより、レンチキュラシート40の画角よりも表示範囲を広げることができる。また、上述した構成に通すことにより、高精細な表示を可能にすることができる。よって、光源ユニット50の発光をフィールドに分け、表示内容を最適化することで、高精細且つ奥行きを持つ立体表示を可能とすることができる。
【0120】
<実施形態5>
次に、実施形態5の立体表示装置を説明する。本実施形態の立体表示装置は、時間多重により立体像を表示させる。
図29は、実施形態5に係る立体表示装置を例示した概略断面図である。
図29に示すように、本実施形態の立体表示装置5は、表示部10、表示駆動部17、光源制御部15d、光源駆動部19を備えている。
【0121】
表示駆動部17は、立体像92の要素画像を表示部10に表示させる。表示駆動部17は、立体像92の表示方向が異なる複数の要素画像を表示部10に表示させてもよい。表示駆動部17は、立体像の異なる角度もしくは表示位置を表す複数の要素画像を表示してもよい。複数の要素画像は、例えば、複数の第1画像でもよい。光源制御部15dは、レンチキュラシート40、シリンドリカルレンズアレイ30、複数の線光源51、拡散シート81を有している。各第2レンズ素子31の背面側に複数の線光源51が配置されている。複数の線光源51は、例えば、表示部10に平行なXY面内のX軸方向に並んでいる。光源駆動部19は、各要素画像を照明する複数の線光源51を順次駆動させてもよい。光源駆動部19は、各要素画像を照明する各線光源51を順次駆動させてもよい。
【0122】
光源駆動部19は、シリンドリカルレンズアレイ30の背面の相対的に同じ位置に配置された線光源51を発光させる。線光源51Aから出射した光は、例えば、本図において、実線で示されている。線光源51Bから出射した光は、例えば、点線で示されている。線光源51Cから出射した光は、例えば、本図において、一点鎖線で示されている。
【0123】
各線光源51から出射した光は、シリンドリカルレンズアレイ30における各第2レンズ素子31によって、平行光に変換される。各第2レンズ素子31によって平行光に変換された光は、レンチキュラシート40における各第1レンズ素子41によって集光される。各第1レンズ素子41によって集光された光は、拡散シート81が配置された各焦点位置で集光する。各焦点位置で集光した光は、その後、光束が拡がるように進む。各焦点位置を含む位置には、光を拡散させる拡散シート81が配置されている。よって、拡散シート81を透過した拡散光は、拡散シート81がない状態よりも光束を拡げることができる。拡散シート81を透過した拡散光は、表示部10に入射する。このように、拡散シート81を用いることにより、広範囲の立体映像を表示することができる。
【0124】
図29では、1つの第2レンズ素子31の背面に3つの線光源51A~51Cが示されている。なお、第2レンズ素子31の背面に配置される線光源51は、3つに限らず、2個でもよいし、4個以上でもよい。
【0125】
シリンドリカルレンズアレイ30における第2レンズ素子31の光軸上の線光源51Aを発光させると、レンチキュラシート40における各第1レンズ素子41の光軸上の集光点に集光される。第2レンズ素子31の光軸よりも少しずれた線光源51Bを発光させると、平行光の角度が少しずれる。前述の線光源51Aの集光点よりもずれた位置に集光される。同様に、第2レンズ素子31の光軸よりも少しずれた線光源51Cを発光させると、平行光の角度が少しずれる。前述の線光源51A及び51Bの集光点よりもずれた位置に集光される。
【0126】
このように、本実施形態では、拡散シート81において、複数の線光源51の光が集光する点は、相互にずれている。これらの集光点を中心に要素画像の光線は再生される。これらの集光点を集光パターンとして、立体像92は、認識される。このような線光源51A~51Cの発光と表示部10の表示とを同期させて順次切り替え表示を行う。
【0127】
図30は、実施形態5に係る時間多重のフィールド制御を例示した図である。
図30において、横軸は、時間の経過を示す。上段は、観察角度が0°を示し、下段は、観察角度が60°を示す。
図30に示すように、立体表示装置5は、線光源51Aによる解像度多重Iの要素画像、線光源51Bによる解像度多重IIの要素画像、線光源51Cによる解像度多重IIIの要素画像を順次表示させる。各要素画像の集光パターンは、それぞれのフィールドでずれて観察される。
図30に示すように、例えば、解像度多重Iの要素画像では、リンゴのヘタが見えており、解像度多重IIの要素画像では、リンゴのヘタが隠れている。これにより、集光位置によって立体画像における要素画像のパターン間の画素が補間されるため、解像度多重の立体像92を表示することができる。
【0128】
このように、表示駆動部17は、立体像92の表示位置を表す複数の要素画像を表示する。表示駆動部17は、第1の要素画像及び第2の要素画像を含む複数の要素画像を切り替えながら、表示部10に複数の要素画像を表示させてもよい。光源駆動部19は、要素画像を照明する光源を駆動させる。具体的には、光源駆動部19は、各要素画像を照明する複数の光源を順次駆動する。光源駆動部19は、第1の要素画像を照明する第1の線光源51及び第2の要素画像を照明する第2の光源を含む複数の線光源51を順次駆動させてもよい。表示駆動部17は、複数の要素画像をフィールド分割で切り替えて表示させてもよい。光源駆動部19は、フィールドの切り替わりに応じて、切り替わり後の要素画像に対応する線光源51を点灯させてもよい。
【0129】
図31は、実施形態5に係る立体表示装置5において、光源制御部15dにおける線光源51の設置幅d
C及び集光点変位幅d
Lを例示した図である。
図31に示すように、レンチキュラシート40の要素画像幅を補完できる幅を集光点変位幅d
Lとして、遮蔽板82を設置しないでクロストークを生じないレンチキュラシート40の焦点距離f
Lを決める。そして、線光源51の設置幅d
Cが線光源51のサイズで決まっている場合に、シリンドリカルレンズアレイ30の焦点距離f
Cは、それぞれの三角形が相似関係になることから次の(6)式及び(7)式で表すことができる。
【0130】
【0131】
このように、表示部10に平行な面内の一方向(X軸方向)に並んだ複数の線光源51における両端の線光源51間の設置幅d
Cに対する複数の線光源51の列とシリンドリカルレンズアレイ30との間の距離f
Cの比は、拡散シート81上の複数の線光源51の集光点における両端の集光点間の集光点変位幅d
Lに対する拡散シート81とレンチキュラシート40との間の距離f
Lの比と等しい。なお、距離及び比が等しいとは、厳密に等しいだけでなく、部材の形状による誤差及び製造上の誤差を含む範囲で等しいことを意味する。
この時に、
図32に示すように、拡散シート81上の集光点間の集光点変位幅d
Lは、レンチキュラシート40のレンズピッチL
pで表すことができる。この時に任意の整数であるmフィールドで時間多重をする場合、L
pをm分割した等間隔で線光源が並ぶことで解像度を等間隔に補完することができる。こうした場合に、集光点変位幅d
Lは、線光源51間の距離がd
L/(m-1)であることから式(8)及び(9)で表すことができる。このように配列した集光面を設計するためには、式(8)及び(9)で求めた集光変位幅d
Lを式(7)に代入してシリンドリカルレンズの焦点距離を設計すればよい。
【数8】
【数9】
【0132】
要素画素ピッチが3画素の場合には、要素画像幅を3フィールドで等間隔に画素を補完すれば、立体表示が表示部10の解像度と同じ表示が可能になる。LCD等の表示部10には、液晶の反応速度に限界があり、視域多重で時間多重を行うとフリッカー(Flicker)を感じやすくなる。
【0133】
図33は、比較例に係る立体表示装置において、視域多重を時間多重した画面表示を例示した図である。
図33に示すように、-30°、0°及び+30°の3つのフィールドで角度多重を行うと、表示されている角度以外の表示は、黒画面として認識される。画面全体の輝度変化が大きいために、比較例の立体表示装置は、フリッカーを感じやすくなる。一方、
図30に示すように、解像度多重の場合である本実施形態の立体表示装置5は、画面全体の輝度変化が少なく、同じフィールドを用いた表示においてもフリッカーを感じにくい特性を有する。
【0134】
本実施形態によれば、解像度多重による時間多重を用いることにより、解像度を向上させることができる。本実施形態における上記以外の構成及び効果は、実施形態1~4の記載に含まれている。
【0135】
<実施形態6>
次に、実施形態6の立体表示装置を説明する。
図34及び
図35は、実施形態6に係る立体表示装置において、集光パターンを例示した図である。例えば、本実施形態の立体表示装置6は、シリンドリカルレンズアレイ30における各第2レンズ素子31の背面に、6個の線光源51A~51Fを配置されている。線光源51A~51Fは、この順で、X軸方向に並んでいる。
【0136】
図34に示すように、ある時間に、線光源51Aが発光することにより、要素画像が表示される。次のタイミングで、線光源51Aの+X軸方向側の隣の線光源51Bが発光することにより、要素画像が表示される。このように、要素画像のピッチを6分割された状態とした場合に、集光パターンは、隣接する位置にフィールドが変わった時に点灯するように示している。この場合には、集光パターンの変位量が小さく、速度が遅いため、動く線光源51として目で追える可能性がある。
【0137】
一方、
図35に示すように、ある時間に、線光源51Aが発光することにより、要素画像が表示される。次のタイミングで、線光源51Aの+X軸方向側に3つ目の線光源51Dが発光することにより、要素画像が表示される。このように、要素画像のピッチを6分割された状態とした場合に、集光パターンは、要素画像のピッチの約1/2ピッチ位置に点灯するように示している。このように点灯することによって集光パターンの変位量の絶対値が最大になり、目で追いにくくなる。
【0138】
換言すれば、各第2レンズ素子31の背面に配置された複数の線光源51における両端の線光源51間の幅を1ピッチとした場合に、光源駆動部19は、駆動させた線光源51から少なくとも半ピッチを空けた位置の線光源51を次に駆動させてもよい。なお、光源駆動部19は、複数の線光源51を順次駆動させる際に、駆動させた線光源51から少なくとも1つの線光源51を空けた位置の線光源51を次に駆動させてもよい。
【0139】
このような集光パターンの制御を行い、できるかぎり目で追えないような表示を行うことで、解像度多重の効果を向上させることができる。また、集光パターンの制御として表示像の動きを判別し、静止状態の部分のみに解像度多重を適用することによって動画解像度の低下を防ぐこともできる。
【0140】
<実施形態7>
次に、実施形態7の立体表示装置を説明する。本実施形態の立体表示装置は、ホログラム光学素子(Holographic Optical Elemrnt、HOE)を用いている。上述したように、立体表示装置を、シリンドリカルレンズアレイ30及びレンチキュラシート40を含む結像光学系で構成した場合には、均一性(Uniformity)を向上させるために、シリンドリカルレンズアレイ30とレンチキュラシート40との間の距離を離す必要がある。そうすると、光源制御部15の厚みが増してしまう。そこで、シリンドリカルレンズアレイ30及びレンチキュラシート40を含む結像光学系を、HOEに置き換える。HOEは、再生時に生じるムラを逆算して記録時に記録することで再生時にムラを低減させ、光源制御部15の厚みを薄くすることができる。
【0141】
図36は、実施形態7に係る立体表示装置において、ホログラム光学素子の記録光学系を例示した構成図である。
図37は、実施形態7に係る立体表示装置において、再生光学系を例示した構成図である。
図36及び
図37に示すように、本実施形態の立体表示装置7は、記録光学系で記録されたホログラム光学素子を再生光学系として備えている。記録光学系は、例えば、シリンドリカルレンズアレイ30とレンチキュラシート40で形成される集光パターンをフォトポリマー73等のHOEに記録させる。再生光学系は、HOEに記録された集光パターンをLEDなどの点光源によって再生させる。
【0142】
図36に示すように、記録光学系は、レンズ71、レンズ72、フォトポリマー73、ハーフミラー74を有している。フォトポリマー73は、ホログラムを記録することでHOEとして機能する。レンチキュラシート40によって形成させる集光パターン76の複数の線光源151を作成する。そして、線光源151を含む物体光をレンズ71によりフォトポリマー73の奧に実像75として結像する。この際に、線光源151を含む物体光の光軸上におけるレンズ71からの光をフォトポリマー73で、レンズ72により点PHに集光させた参照光と干渉させる。これにより、線光源151の集光パターンの実像75と参照光との干渉縞をフォトポリマー73に記録する。線光源の実像75は、立体表示装置7でシリンドリカルレンズアレイ30とレンチキュラシート40で形成される集光パターンと等しくなる倍率で設計されており、再生時の点光源と等しい収束光の参照光で記録することによって、点光源を照明した場合にシリンドリカルレンズアレイ30とレンチキュラシート40で形成される集光パターンが再生される。
【0143】
図37に示すように、再生光学系は、LED77、フォトポリマー73、拡散シート81を有している。実際の立体表示装置7では、この再生光学系がバックライトとして複数表示部背面に設置され、これまで説明した立体表示装置と同じく立体像を表示する。再生光学系では、記録光学系の点PHに相当する位置にLED77を配置させる。LED77は点PHとほぼ同じ距離に複数配置される。そして、各LED77を、実像75を再生させるための点光源とみなし、フォトポリマー73を照明する。各LED77によってフォトポリマー73を照明することにより、フォトポリマー73に記録された線光源151の実像75を再生する。フォトポリマー73よりも+Z軸方向側には拡散シート81が配置されている。拡散シート81よりも+Z軸方向側には表示部10が配置させている。これにより、再生させた実像75は、拡散シート81に像を結び拡散された後、表示部10を照明する。LED77の照明位置によって、再生される線光源151の再生像の位置が変わるため、異なる集光パターン位置が再現できる。このため、解像度多重の立体表示が可能になる。
【0144】
各LED77が配置された光源面のLED設置幅をd
Hとし、フォトポリマー73から拡散シート81までの距離をf
Lとし、要素画像幅をd
Lとした場合に、光源面からフォトポリマー73までの距離f
Hは、次の(10)式及び(11)式で表すことができる。この時ホログラムでなかったときと同様に、
図32に示すように、拡散シート81上の集光点間の集光点変位幅d
Lは、レンチキュラシート40のレンズピッチL
pで表すことができる。この時に任意の整数であるmフィールドで時間多重をする場合、L
pをm分割した等間隔で線光源が並ぶことで解像度を等間隔に補完することができる。こうした場合に、集光点変位幅d
Lは線光源間の距離がd
L/(m-1)であることから式(8)及び(9)で表すことができる。このように配列した集光面を設計するためには式(8)及び(9)で求めた集光変位幅d
Lを式(11)に代入してシリンドリカルレンズの焦点距離を設計すればよい。
【0145】
【0146】
効率が良い厚いホログラムを用いる場合には、角度選択性が高く、dHの幅が狭くなる可能性がある。HOEの幅に対して、光源設置範囲が狭くなることも考えられる。細かい制御が可能なモノリシックマイクロLEDディスプレイ(Monolithic Micro LED Display)を用いて再生することも考えられる。このように、本実施形態の立体表示装置7は、第1シリンドリカルレンズ及び第2シリンドリカルレンズの機能を光源によって再生できるようにホログラム光学素子に記録し、第1シリンドリカルレンズ及び第2シリンドリカルレンズの代わりに光源と表示部10との間に配置されたホログラム光学素子とをさらに備える。これにより、ホログラム光学素子を用いて立体表示することができる。
【0147】
以上説明した実施形態1~7の立体表示装置により、線光源51を、シリンドリカルレンズアレイ30、レンチキュラシート40及び拡散シート81によって、レンチキュラシート40の画角よりも表示範囲を広げることができる。また、各線光源51の照明による異なる集光位置からの光で異なる要素画像の表示を可能にし、各線光源51の発光をフィールドに分けて表示することができる。これにより、高解像度、高精細かつ奥行きを持つ立体表示をすることができる。
【0148】
<実施形態8>
次に、実施形態8を説明する。本実施形態は、前述の実施形態6において、光源の点灯パターンを指定のずらし量にして、フリッカ(Flicker)を感じにくくする例である。
図38は、実施形態8に係る立体表示装置1008において、集光パターンを例示した図である。集光パターンは、レンチキュラシート40の間隔ごとに繰り返して照明され、光源の数で分割し照明する。この分割数をここでNと表す。つまり、N列の光源が集光レンズ背面にある状態に相当する。照明をフィールド分割で切り替えて表示した場合に、前のフィールドで照明した光源の隣の光源で照明した場合、
図38の左図が前フィールドの照明条件で、次フィールドの照明条件が右図に相当する。集光パターンとして、N分割された隣接した光源で照明したため、1ずれた部分で照明された。このずらし量をここでMとする。よってMとNとは整数となる。
図39は、実施形態8に係る立体表示装置1008において、5分割2ずらし点灯順を例示した図である。図内に記入された数字は点灯する順番のフィールドを表す。この例の場合では、1番から順に点灯し5番まで点灯したのちまた1番が点灯する。ずらし数が大きけばフィールド間の点灯する間隔が大きくなるため、見た目の速度が増す。ここで、
図38に示すように、以下の条件を満たすようなN分割のMずらしを考える。
【0149】
1)mod(M、N)≠0、すなわち、M/Nの余りが0でない。
2)Mの絶対値は、N/2以下の最大値。ただし、M>N/2の場合には、mod(M、N)は、(N-M)と等しいため負として扱い、|M|(絶対値)としては最大値がN/2となる。
この1)と2)の両方の条件を満たす条件が望ましい。
【0150】
例えば、10分割の4ずらし、9分割の4ずらし、8分割の3ずらし、7分割の3ずらし、5分割の2ずらし等の光源の点灯順がこの条件を満たす。
図39は、5分割の2ずらしを示しているため、この条件を満たした点灯順となる。
【0151】
1)の条件の理由は、以下のとおりである。すなわち、M/Nが割り切れる場合には、一定の間隔で点灯することができないため、速度が不連続になり、フリッカーを感じやすくなる。
【0152】
2)の条件の理由は、以下のとおりである。すなわち、見た目の速度は、Mが大きいほど大きくなるためである。
【0153】
このように、表示部10に平行な面内の一方向に並んだ複数の光源における両端の光源間の幅にN個の光源がある場合に、光源駆動部19は、駆動させた光源からずらし量Mを空けた位置の光源を次に駆動させる。ただし、Nは、Mで割り切れない整数であり、Mの絶対値は、N/2以下の最大値である。MがN/2以上では、Mは、(N-M)の負の整数として扱う。
【0154】
本実施形態の立体表示装置1008によれば、フリッカーを感じにくくすることができる。一般的に、50Hz以下では、人は、フリッカーを感じる。しかしながら、50Hz以下の場合においても人間の視力以下の微細パターン(Pattern)は分解できないため、フリッカーを感じにくくなることと、同様に動体視力以下の動きのパターンは認識できないためフリッカーが感じにくくなる。一般的にパターン間隔が視力(1分で視力1.0)以下であれば、分解できない。また、動体視力として、5°(Degree)/s以上のパターンは、視認できない。ディスプレイを遠方から観察する場合には、パターンの角度間隔は狭くなり、ディスプレイの近傍から観察する場合にはパターンの角速度が速くなる。そのため、指定するずらし数によって見た目の速度を早くし、一定の速度のパターンとすることでフリッカーを感じにくくすることができる。
【0155】
<実施形態9>
次に、実施形態9を説明する。
図40は、実施形態9に係る立体表示装置1009において、第1レンズアレイのレンチキュラシート40、第2レンズアレイの集光レンズ1030及び光源1051の配置を例示した平面図である。
図41は、実施形態9に係る立体表示装置1009において、表示部10、拡散シート81、第1レンズアレイのレンチキュラシート40、第2レンズアレイの集光レンズ1030及び光源1051の配置を例示した概略断面図である。
図42は、実施形態9に係る立体表示装置1009において、拡散シート81面における集光パターンを例示した図である。
図43は、実施形態9に係る立体表示装置1009において、第2レンズアレイの集光レンズ1030及び光源1051の配置を例示した平面図である。
図44は、実施形態9に係る立体表示装置1009において、第1レンズアレイのレンチキュラシート40の配置を例示した平面図である。
図45は、実施形態9に係る立体表示装置1009において、コントラスト(Contrast)を例示したグラフであり、横軸は、空間周波数を示し、縦軸は、コントラストを示す。
【0156】
図40及び
図41に示すように、本実施形態の立体表示装置1009において、光源制御部1015は、拡散シート81、第1レンズアレイとしてのレンチキュラシート40、第2レンズアレイとしての複数の集光レンズ(Collimated lens)1030、複数の光源1051を含んでいる。第2レンズアレイは、ハニカムレンズアレイ(Honeycomb Lens Array)として構成されている。第2レンズアレイに含まれた複数の集光レンズ1030は、正六角形レンズ1031である。したがって、第2レンズアレイは、レンチキュラシート40における第1レンズ素子(第1シリンドリカルレンズ)41よりも広いピッチで配列した複数の正六角形レンズ1031を含む。複数の正六角形レンズ1031は、表示部10の画素の配列方向に千鳥配列するように配置されている。
【0157】
本実施形態において、各光源1051は、微小な矩形状でもよいし、点状でもよい。複数の光源1051は、表示部10に平行な面内の列方向及び前記列方向に交差する行方向にマトリックス状に複数行及び複数列で並んでいる。同一列に配置された複数の光源1051は、同時に点灯されるように駆動されてもよい。第1レンズアレイにおける複数の第1レンズ素子(第1シリンドリカルレンズ)41の稜線は、列方向に延びている。このような構成により、本実施形態の立体表示装置1009は、以下の特徴を有している。
【0158】
1)第2レンズアレイの集光レンズ1030は、ハニカムレンズ配列、すなわち、ハニカム状の配列に配置されている。これにより、レンズの配置を効率的にすることができる。よって、ムラなく光量を向上させることができる。
【0159】
2)光源1051の配置をレンチキュラシート40の稜線の傾きに沿った方向に並べている。よって、集光レンズ1030に入射する光の光量を向上させることができる。また、光源1051の配置がレンチキュラシート40の稜線の傾きに沿っていると、集光幅が広がらないので、クロストーク(Crosstalk)を低減することができる。よって、スリット(Slit)を用いなくてもクロストークを低減することができる。これは、レンチキュラシート40の稜線の傾きに沿って配置された光源1051の列は、集光レンズ1030の略焦点距離の位置に配置され、光源1051それぞれが平行光としてレンチキュラシート40によってレンチキュラシート40の略焦点距離に配置された拡散シート81を照明した場合に、光源それぞれの平行光がレンチキュラシート40の稜線上に集光する光となるためである。
【0160】
これまで説明してきたように、複数の光源1051は集光レンズ1030の略焦点距離の位置に設置され、それぞれの光源1051で照明した場合に平行光として照明され、レンチキュラシート40の略焦点距離の位置に拡散シート81が設置されている場合に、光源1051と集光レンズ1030との位置関係と、レンチキュラシート40と拡散シート81の位置関係は相似関係となる。そのため、
図41~
図44に示すように、表示部10に平行な面内の他方向に並んだ複数の光源1051における両端の光源1051間の幅(d
SW)に対する第2レンズアレイと複数の光源1051の列との間の距離(f
C)の比(d
SW/f
C)は、拡散シート81上の複数の光源1051の集光点における両端の集光点間の幅(d
FW)に対する拡散シート81と第1レンズアレイとの間の距離(f
L)の比(d
FW/f
L)と等しい。すなわち、下記(12)式を満たす。
【0161】
【0162】
図45に示すように、表示部10のサブ画素幅に対する集光点間の幅が1倍及び2倍の場合には、コントラストは、図に示される範囲において大きくなっている。一方、表示部10のサブ画素幅に対する集光点間の幅が3倍よりも大きくなると、コントラストは低いレベルで推移する。したがって、集光点間の幅(d
FW)が表示部10のサブ画素幅の2倍以下であると、コントラストを向上させることができる。このように、高精細化された3D表示をクロストークの少ない表示にすることができる。また、このように、クロストークは、集光幅に比例するが一方、表示部10のサンプリング間隔の最小単位がサブ画素幅であるため、表示部10におけるサブ画素幅以下は比例しない。よって、このような関係を考慮することにより、最適な集光レンズ32の光学設計を可能とすることができる。
【0163】
<実施形態10>
次に、実施形態10に係る立体表示装置を説明する。
図46は、実施形態10に係る立体表示装置1010において、光源制御部1015aを例示した断面図である。
図47は、実施形態10に係る立体表示装置1010において、第3レンズアレイとしてハニカムレンズアレイ1021を例示した平面図である。
図48は、実施形態10に係る立体表示装置1010において、第3レンズアレイとして2層のレンチキュラシート1022及び1023を例示した図である。
図49及び
図50は、実施形態10に係る立体表示装置1010において、光源制御部1015aを例示した断面図である。
図51は、実施形態10に係る立体表示装置1010において、第3レンズアレイのキャップレンズ1020の位置と光量との関係を例示したグラフであり、横軸は、キャップレンズ1020の位置を示し、縦軸は、光量を示す。
図52は、実施形態10に係る立体表示装置1010において、光源1051間の距離とキャップレンズ1020間の距離との関係を例示した図である。
【0164】
図46~
図50に示すように、本実施形態の立体表示装置1010において、光源制御部1015aは、集光レンズ1030を含む第2レンズアレイと、複数の光源1051と、の間に配置された第3レンズアレイをさらに備えている。第3レンズアレイは、複数の光源1051に対応した複数のキャップレンズ1020を含んでいる。
【0165】
キャップレンズ1020は、光源1051付近に配置されている。1つの光源1051に1つのキャップレンズ1020が対応するように、キャップレンズ1020は配置されている。キャップレンズ1020は、光源1051から拡がる光を集光レンズ1030に集光する機能を有している。これにより、光源1051から取り込む光量を増加させ、光効率を向上させることができる。
【0166】
図47に示すように、光源制御部1015aにおいて、複数の光源1051は、いずれかの方向に千鳥配列するように配置されてもよい。また、キャップレンズ1020は、正六角形レンズでもよい。このように、複数の光源1051の配置を表示部10に平行な面内の列方向及び列方向に交差する行方向の少なくともいずれかに千鳥配置にした場合には、複数のキャップレンズ1020は、ハニカムレンズアレイ1021の構成としてもよい。
【0167】
一方、
図48に示すように、複数の光源1051の配置を列方向及び行方向にマトリックス状に配置にした場合には、複数のキャップレンズ1020は、列方向に稜線が延びた複数のシリンドリカルレンズを含むレンチキュラシート1022と、行方向に稜線が延びた複数のシリンドリカルレンズを含むレンチキュラシート1023と、を重ねたダブルレンチキュラシートにしてもよい。
【0168】
具体的には、光源制御部1051aにおいて、第3レンズアレイは、2層に重ねた積層シリンドリカルレンズアレイであって、第2レンズアレイの背面側に配置された上層シリンドリカルレンズアレイ及び上層シリンドリカルレンズアレイの背面側に配置された下層シリンドリカルレンズアレイを含んでもよい。複数の光源1051は、表示部10に平行な面内の列方向及び列方向に交差する行方向にマトリックス状に複数行及び複数列で並ぶ。上層シリンドリカルレンズアレイに含まれた各シリンドリカルレンズの稜線は、列方向または行方向に延びている。下層シリンドリカルレンズに含まれた各シリンドリカルレンズの稜線は、列方向及び行方向のうち、上層シリンドリカルレンズアレイにおける各シリンドリカルレンズの稜線が延びる方向と異なる方向に延びている。
【0169】
この場合のキャップレンズ1020は、上層シリンドリカルレンズアレイに含まれた各シリンドリカルレンズと下層シリンドリカルレンズに含まれた各シリンドリカルレンズとが重なった部分である。
【0170】
図49に示すように、複数のキャップレンズ1020が配置されるピッチを、複数の光源1051が配置されるピッチに合わせてもよい。また、
図50に示すように、複数のキャップレンズ1020が配置されるピッチを、複数の光源1051が配置されるピッチよりも短くしてもよい。
図50に示すように、複数のキャップレンズ1020のピッチを複数の光源1051のピッチよりも短くすることによって、光源1051から取り込む光量を増加させ、光効率を向上させることができる。以下、そのようなピッチの決定方法を説明する。
【0171】
図51に示すように、キャップレンズ1020の位置を移動させることによってキャップレンズ1024のピッチを変化させると、図中のAの場合における左側に偏った照明分布から、図中のBの場合における左側が膨らんだ照明分布に変化する。そして、図中のCの場合における照明分布のように、キャップレンズ1020のピッチが、光源1051のピッチよりも短いピッチのうち、最適なピッチにおいて、照明分布は最適値を示し、光量は、最大値を示す。
【0172】
さらに、キャップレンズ1020の位置を移動させることによってキャップレンズ1020のピッチを光源1051のピッチに近づけると、図中のD~Fの場合に示すように、照明分布は右側に偏り、光量も減少する。よって、光量が最大となる位置からキャップレンズ1020のピッチを決定してもよい。
【0173】
図52に示すように、光源制御部1015aにおいて、光源1051のピッチ(間隔)を間隔P
LEDとし、集光レンズ1030を含む第2レンズアレイと、複数の光源1051の列との距離を距離fcとする。また、キャップレンズ1020を含む第3レンズアレイと、第2レンズアレイとの距離を距離dcapとする。この場合に、第3レンズアレイにおけるキャップレンズ1020のピッチ(間隔)Pcapは、下記(13)式から決定することが好ましい。
【0174】
【0175】
本実施形態の立体表示装置1010によれば、複数のキャップレンズ1020を含む第3レンズアレイを備えているので、光源1051から取り込む光量を上げ、光効率を向上させることができる。また、第3レンズアレイを用いることにより、集光レンズ1030を均一に照明することに寄与することができる。キャップレンズ1020のピッチを適切に決定することにより、さらに、光源1051から取り込む光量を上げ、光効率を向上させることができる。
【0176】
<実施形態11>
次に、実施形態11を説明する。本実施形態11は、第2レンズアレイにおいて、第2レンズ素子(第2シリンドリカルレンズ)31と、正六角形レンズ1031とを、集光レンズ1030として上位概念化した例である。
【0177】
図53は、実施形態11に係る立体表示装置1011を例示した構成図である。
図53に示すように、立体表示装置1011は、表示部10と、立体像の要素画像を表示部10に表示させる表示駆動部17と、光源制御部1015bであって、表示部10の背面側に配置された第1レンズアレイであって、所定のピッチで配列した複数の第1レンズ素子(第1シリンドリカルレンズ)41を含む第1レンズアレイとしてのレンチキュラシート40と、第1レンズアレイの背面側に配置された第2レンズアレイであって、第1シリンドリカルレンズよりも広いピッチで配列した複数の集光レンズ1030を含む第2レンズアレイと、各集光レンズ1030の背面側に配置された複数の光源1051等と、表示部10と第1レンズアレイとの間に配置され、各第1レンズ素子(第1シリンドリカルレンズ)41の各焦点位置を含む位置に配置された拡散シート81と、を有する光源制御部1015bと、要素画像を照明する前記光源を駆動させる光源駆動部19と、を備える。
【0178】
集光レンズ1030は、第2レンズ素子(第2シリンドリカルレンズ)31でもよい。この場合には、第2レンズアレイは、第1シリンドリカルレンズよりも広いピッチで配列した複数の第2レンズ素子(第2シリンドリカルレンズ)31を含む。
【0179】
また、集光レンズ1030は、正六角形レンズ1031でもよい。この場合には、第2レンズアレイは、第1シリンドリカルレンズよりも広いピッチで配列した複数の正六角形レンズ1031を含む。
【0180】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は、上記実施形態1~11及び変形例に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施形態1~11及び変形例の各構成は、適宜組み合わせてもよい。また、組み合わせる場合には、趣旨を逸脱しない範囲で各構成を変更することが可能である。
【符号の説明】
【0181】
1、1a、2、3、4、5、6、7 立体表示装置
9A、9B、9C、9D、9E、9F 光線
9G、9H、9I、9J、9K 光線
10 表示部
11、11A、11B、11C、11A-1、11B-1、11C-1 画素
15、15a、15b、15c、15d 光源制御部
16 表示像生成部
17 表示駆動部
18 同期部
19 光源駆動部
30 シリンドリカルレンズアレイ(第2レンズアレイ)
31、31-1 第2レンズ素子(第2シリンドリカルレンズ)
40 レンチキュラシート(第1レンズアレイ)
41、41-1 第1レンズ素子(第1シリンドリカルレンズ)
50 光源ユニット
51、51A、51A-1、51B、51B-1、51C、51C-1 線光源
51D、51E、51F、151 線光源
52、52A、52B、52C 遮光壁
60、60A、60B、60C、60D、60E、60F カメラ
60G、60H、60I、60J、60K カメラ
71、72 レンズ
73 フォトポリマー
74 ハーフミラー
75 線光源の実像
76 集光パターン
77 LED
80 異方性拡散シート
81 拡散シート
82 遮蔽板
83 スリット
90 物体
92 立体像
94 2次元像
96、97 ユーザ
100 立体表示装置
200 レンズアレイ
201、201-1 レンズ素子
300 光源
PA、PB、PC、PD、PD-1、PD-2、PD-3 点
PF 主点
F 焦点面
F1、F2、F3 フィールド
BL、BL1、BL2、BLn 光源ブロック
AR1 デプスエリア
AR2 高精細エリア
V 物体像
Vr 領域
1008、1009、1010、1011 立体表示装置
1015、1015a、1015b 光源制御部
1020 キャップレンズ
1021 ハニカムレンズアレイ
1022、1023 レンチキュラシート
1030 集光レンズ
1031 正六角形レンズ
1051 光源