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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047536
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】固体冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 21/00 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
F25B21/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102967
(22)【出願日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2022152286
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉本 昭雄
(57)【要約】
【課題】固体冷凍装置において固体冷媒物質の温度を自在に調整できるようにする。
【解決手段】固体冷凍装置は、放熱動作と吸熱動作とを行う。放熱動作では、収容部(11)の内部の固体冷媒物質(12)に所定の力場を印加すると共に熱媒体を収容部(11)の内部流路(13)の第1方向に移動させることにより、固体冷媒物質(12)で発生した温熱を熱媒体によって収容部(11)の外部へ運ぶ。吸熱動作では、固体冷媒物質(12)に所定の力場よりも小さい力場を印加し又は所定の力場を除去すると共に熱媒体を内部流路(13)における第1方向とは反対方向の第2方向に移動させることにより、固体冷媒物質(12)で発生した冷熱を熱媒体によって収容部(11)の外部へ運ぶ。固体冷凍装置は、放熱動作及び吸熱動作の少なくとも一方における熱媒体と固体冷媒物質(12)との間の熱交換量を可変とする熱交換量可変部(30,53,54,61,62,81,82)をさらに備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体冷媒物質(12)、及び熱媒体が前記固体冷媒物質(12)と熱交換して流れる内部流路(13)を有する収容部(11)と、
前記収容部(11)内の前記固体冷媒物質(12)に力場変動を付与して熱量効果を誘発させる力場変調部(15)と、
前記力場変動に応じて前記熱媒体を前記収容部(11)内の前記固体冷媒物質(12)に対して往復的に搬送する熱媒体搬送部(21,21A)とを備え、
前記固体冷媒物質(12)に所定の力場を印加すると共に前記熱媒体を前記内部流路(13)の第1方向に移動させることにより、前記固体冷媒物質(12)で発生した温熱を前記熱媒体によって前記収容部(11)の外部へ運ぶ放熱動作と、前記固体冷媒物質(12)に前記所定の力場よりも小さい力場を印加し又は前記所定の力場を除去すると共に前記熱媒体を前記内部流路(13)における前記第1方向とは反対方向の第2方向に移動させることにより、前記固体冷媒物質(12)で発生した冷熱を前記熱媒体によって前記収容部(11)の外部へ運ぶ吸熱動作とを行う固体冷凍装置であって、
前記放熱動作及び前記吸熱動作の少なくとも一方における前記熱媒体と前記固体冷媒物質(12)との間の熱交換量を可変とする熱交換量可変部(30,53,54,61,62,81,82)をさらに備える、
固体冷凍装置。
【請求項2】
請求項1の固体冷凍装置において、
前記熱交換量可変部(30,53,54,61,62,81,82)は、前記放熱動作及び前記吸熱動作の少なくとも一方における前記熱媒体の単位時間当たりの流量を可変とする、
固体冷凍装置。
【請求項3】
請求項1の固体冷凍装置において、
前記熱交換量可変部(30,53,54,61,62,81,82)は、前記放熱動作及び前記吸熱動作の少なくとも一方における前記熱媒体の搬送時間を可変とする、
固体冷凍装置。
【請求項4】
請求項1の固体冷凍装置において、
前記熱交換量可変部(30,53,54,61,62,81,82)は、前記放熱動作及び前記吸熱動作の少なくとも一方における前記熱媒体の搬送タイミングを可変とする、
固体冷凍装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項の固体冷凍装置において、
前記固体冷媒物質(12)は、磁気作業物質(12)であり、
前記力場変調部(15)は、前記磁気作業物質(12)に磁場変動を付与する磁場変調部(15)である、
固体冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、磁気熱量効果を利用して冷熱及び温熱を作り出す磁気冷凍装置が知られている。特許文献1には、磁気熱量効果を有する磁気作業物質を用いた磁気ヒートポンプ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-11799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気作業物質は、そのキュリー温度付近で最も磁気熱量効果(発熱量、吸熱量)が大きくなる。ところが、磁気冷凍装置が長期間運転を停止していると、磁気作業物質の温度が周囲温度(磁気作業物質が室外にある場合は外気温)と同じになってしまい、キュリー温度から外れた状態となる場合がある。また、磁気冷凍装置の運転中であっても、急激な負荷の変動等により、磁気作業物質の温度がキュリー温度から外れた状態となる場合がある。このような状態では、磁気作業物質がキュリー温度付近から外れた状態であるために、磁気冷凍装置は所定の能力を発揮することができない。このため、磁気作業物質の温度を調整する手段が必要となる。
【0005】
それに対して、特許文献1には、装置の起動時等に磁気作業物質の温度を制御(温調)するためにペルチェ素子等の別熱源を用いることが提案されている。
【0006】
しかしながら、磁気作業物質の温調のために別熱源を利用すると、別熱源が消費するエネルギーにより起動時の効率が低下するという問題が生じる。また、磁気作業物質の温調のために蓄熱源などの補助装置を用いた場合、装置全体のサイズや製造コストが増大してしまうという問題が生じる。また、磁気作業物質の温調のために熱交換器内部や2次冷媒系統の流体の熱を利用した場合、当該流体の温度が磁気作業物質のキュリー温度付近の温度でなければ有効に動作しないという問題がある。
【0007】
本開示の目的は、磁気冷凍装置等の固体冷凍装置において固体冷媒物質の温度を自在に調整できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様は、収容部(11)と、力場変調部(15)と、熱媒体搬送部(21,21A)とを備える固体冷凍装置である。前記収容部(11)は、固体冷媒物質(12)と、熱媒体が前記固体冷媒物質(12)と熱交換して流れる内部流路(13)とを有する。前記力場変調部(15)は、前記収容部(11)内の前記固体冷媒物質(12)に力場変動を付与して熱量効果を誘発させる。前記熱媒体搬送部(21,21A)は、前記力場変動に応じて前記熱媒体を前記収容部(11)内の前記固体冷媒物質(12)に対して往復的に搬送する。前記固体冷凍装置は、放熱動作と、吸熱動作とを行う。前記放熱動作では、前記固体冷媒物質(12)に所定の力場を印加すると共に前記熱媒体を前記内部流路(13)の第1方向に移動させることにより、前記固体冷媒物質(12)で発生した温熱を前記熱媒体によって前記収容部(11)の外部へ運ぶ。前記吸熱動作では、前記固体冷媒物質(12)に前記所定の力場よりも小さい力場を印加し又は前記所定の力場を除去すると共に前記熱媒体を前記内部流路(13)における前記第1方向とは反対方向の第2方向に移動させることにより、前記固体冷媒物質(12)で発生した冷熱を前記熱媒体によって前記収容部(11)の外部へ運ぶ。前記固体冷凍装置は、前記放熱動作及び前記吸熱動作の少なくとも一方における前記熱媒体と前記固体冷媒物質(12)との間の熱交換量を可変とする熱交換量可変部(30,53,54,61,62,81,82)をさらに備える。
【0009】
第1の態様では、熱交換量可変部(30,53,54,61,62,81,82)により、放熱動作又は吸熱動作における熱媒体と固体冷媒物質(12)との間の熱交換量を可変とする。このため、放熱動作での蓄温熱量と吸熱動作での蓄冷熱量とのバランスを変えて、固体冷媒物質(12)を所定の温度に制御することができる。
【0010】
本開示の第2の態様は、前記第1の態様において、前記熱交換量可変部(30,53,54,61,62,81,82)は、前記放熱動作及び前記吸熱動作の少なくとも一方における前記熱媒体の単位時間当たりの流量を可変とする。
【0011】
第2の態様では、放熱動作又は吸熱動作における熱媒体の単位時間当たりの流量を変えることにより、熱媒体と固体冷媒物質(12)との間の熱交換量を可変とできる。
【0012】
本開示の第3の態様は、前記第1又は第2の態様において、前記熱交換量可変部(30,53,54,61,62,81,82)は、前記放熱動作及び前記吸熱動作の少なくとも一方における前記熱媒体の搬送時間を可変とする。
【0013】
第3の態様では、放熱動作又は吸熱動作における熱媒体の搬送時間を変えることにより、熱媒体と固体冷媒物質(12)との間の熱交換量を可変とできる。
【0014】
本開示の第4の態様は、前記第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、前記熱交換量可変部(30,53,54,61,62,81,82)は、前記放熱動作及び前記吸熱動作の少なくとも一方における前記熱媒体の搬送タイミングを可変とする。
【0015】
第4の態様では、放熱動作又は吸熱動作における熱媒体の搬送タイミングを変えることにより、熱媒体と固体冷媒物質(12)との間の熱交換量を可変とできる。
【0016】
本開示の第5の態様は、前記第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、前記固体冷媒物質(12)は、磁気作業物質(12)であり、前記力場変調部(15)は、前記磁気作業物質(12)に磁場変動を付与する磁場変調部(15)である。
【0017】
第5の態様では、磁気冷凍装置において磁気作業物質(12)を所定の温度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態に係る磁気冷凍装置の配管系統図である。
図2図2は、実施形態に係る磁気冷凍装置において単一の収容部にカスケード状に配置された複数の固体冷媒物質の温度と磁気熱量効果との関係を模式的に表した図である。
図3図3は、実施形態に係る磁気冷凍装置において複数の部分収容部にカスケード状に配置された複数の固体冷媒物質の温度と磁気熱量効果との関係を模式的に表した図である。
図4図4は、実施形態に係る磁気冷凍装置が行う放熱動作及び吸熱動作を説明するための配管系統図である。
図5図5は、実施形態に係る磁気冷凍装置において熱交換量可変部により磁気作業物質の温度を下げるメカニズムを示す図である。
図6図6は、実施形態に係る磁気冷凍装置において熱交換量可変部により磁気作業物質の温度を上げるメカニズムを示す図である。
図7図7は、実施形態に係る磁気冷凍装置の通常運転時における磁場及び熱媒体流量の時間変化を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る磁気冷凍装置において熱媒体の単位時間当たりの流量を変化させたときの磁場及び熱媒体流量の時間変化を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る磁気冷凍装置において熱媒体の搬送時間を変化させたときの磁場及び熱媒体流量の時間変化を示す図である。
図10図10は、変形例1に係る磁石回転型の磁気冷凍装置の通常運転時における磁場及び熱媒体流量の時間変化を示す図である。
図11図11は、変形例1に係る磁石回転型の磁気冷凍装置において熱媒体の搬送タイミングを変化させたときの磁場及び熱媒体流量の時間変化を示す図である。
図12図12は、変形例2に係る磁気冷凍装置の放熱動作時の配管系統図である。
図13図13は、変形例2に係る磁気冷凍装置の吸熱動作時の配管系統図である。
図14図14は、変形例3に係る磁気冷凍装置の放熱動作時の配管系統図である。
図15図15は、変形例3に係る磁気冷凍装置の吸熱動作時の配管系統図である。
図16図16は、変形例4に係る磁気冷凍装置の配管系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0020】
(実施形態)
実施形態について説明する。本実施形態の磁気冷凍装置(1)は、磁気熱量効果を利用して熱媒体の温度を調節する固体冷凍装置であって、例えば空気調和装置に適用される。この場合、磁気冷凍装置(1)は、空調対象の空間の空気の温度を調節する。空調対象の空間は、例えば室内空間である。磁気冷凍装置(1)は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う。
【0021】
<磁気冷凍装置の構成>
図1に示すように、磁気冷凍装置(1)は、熱媒体が充填される熱媒体回路(C)を備える。熱媒体回路(C)では、充填された熱媒体が搬送される。熱媒体は、例えば冷媒、水、ブラインなどを含む。
【0022】
磁気冷凍装置(1)は、主として、収容部(11)と、力場変調部である磁場変調部(15)と、第1熱交換器(16)と、第2熱交換器(17)と、熱媒体搬送部である往復式ポンプ(21)と、制御部(30)とを備える。収容部(11)、第1熱交換器(16)、第2熱交換器(17)、及び往復式ポンプ(21)は、熱媒体配管を介して互いに接続されて熱媒体回路(C)を構成する。
【0023】
収容部(11)は、固体冷媒物質である磁気作業物質(12)と、熱媒体が固体冷媒物質(12)と熱交換して流れる内部流路(13)とを有する。収容部(11)は、中空状のケースないしカラムである。収容部(11)の内部には、磁気作業物質(12)が充填される。
【0024】
磁気作業物質(12)は、磁場が印加される、あるいは印加された磁場が強くなることにより、発熱する。磁気作業物質(12)は、磁場が除去される、あるいは印加された磁場が弱くなると吸熱する。磁気作業物質(12)の材料としては、例えば、Gd5(Ge0.5Si0.54、La(Fe1-xSix13、La(Fe1-xCoxSiy13、La(Fe1-xSix13y、Mn(As0.9Sb0.1)等を用いることができる。
【0025】
磁気作業物質(12)は、熱量効果が最大となるキュリー温度が異なる複数の物質から構成されてもよい。この場合、当該複数の物質は、内部流路(13)に沿ってキュリー温度の高低順(つまりカスケード状)に配置される。例えば図2に示すように、単一の収容部(11)において、5種類の磁気作業物質(12)である第1物質(12a)、第2物質(12b)、第3物質(12c)、第4物質(12d)、及び第5物質(12e)が、高温側から低温側に向かって順に配置されてもよい。各種の磁気作業物質(12)はキュリー温度、つまり温度と磁気熱量効果との関係が互いに異なる。本例では、第1物質(12a)のキュリー温度をTa、第2物質(12b)のキュリー温度をTb、第3物質(12c)のキュリー温度をTc、第4物質(12d)のキュリー温度をTd、第5物質(12e)をTeとすると、Ta>Tb>Tc>Td>Teの関係を満たしている。
【0026】
図2に示すカスケード配置に代えて、例えば図3に示すように、収容部(11)を、熱媒体回路(C)において互いに直列接続された複数の部分収容部(11a~11e)から構成し、複数の部分収容部(11a~11e)のそれぞれが、複数の物質(12a~12e)のうちの対応する物質を収容するようにしてもよい。
【0027】
磁場変調部(15)は、収容部(11)内の磁気作業物質(12)に磁場変動を付与して熱量効果を誘発させる。磁場変調部(15)は、例えば磁場を変調可能な電磁石で構成される。磁場変調部(15)は、第1変調動作と第2変調動作とを行う。第1変調動作では、磁気作業物質(12)に所定の磁場を印加する。第2変調動作では、所定の磁場よりも小さい磁場を印加し又は所定の磁場を除去する。
【0028】
第1熱交換器(16)は、磁気作業物質(12)により加熱された熱媒体と室内空気とを熱交換させる室内熱交換器であってもよい。或いは、第1熱交換器(16)は、磁気作業物質(12)により加熱された熱媒体と、図示を省略する利用ユニット(例えば、エアハンドリングユニット)を流れる二次冷媒とを熱交換させてもよい。第2熱交換器(17)は、磁気作業物質(12)により冷却された熱媒体と室外空気とを熱交換させる室外熱交換器であってもよい。或いは、第2熱交換器(17)は、磁気作業物質(12)により冷却された熱媒体と、図示を省略する熱源ユニット(例えばクーリングタワー)を流れる二次冷媒とを熱交換させてもよい。熱媒体回路(C)において、第1熱交換器(16)と第2熱交換器(17)とは、収容部(11)の内部流路(13)を介して接続される。
【0029】
往復式ポンプ(21)は、磁場変動に応じて熱媒体を収容部(11)内の磁気作業物質(12)に対して往復的に搬送する。往復式ポンプ(21)は、例えばピストンポンプで構成される。往復式ポンプ(21)は、ポンプケース(22)と、ピストン(23)と、駆動機構(図示省略)とを有する。ピストン(23)は、ポンプケース(22)の内部に配置される。ピストン(23)は、ポンプケース(22)の内部を2つの室に区画する。熱媒体回路(C)において、ポンプケース(22)の一方の室(以下、第1室という)が第1熱交換器(16)と接続し、ポンプケース(22)の他方の室(以下、第2室という)が第2熱交換器(17)と接続する。前記の駆動機構は、ピストン(23)に連結するロッドと、該ロッドに連結するクランクと、該クランクを駆動する電動機とを有する。電動機がクランクを回転駆動すると、ロッドが進退する。これにより、ポンプケース(22)内でピストン(23)の往復運動が行われる。
【0030】
具体的には、往復式ポンプ(21)では、第1搬送動作と第2搬送動作とが交互に繰り返し行われる。第1搬送動作では、ピストン(23)が第1室を拡大させ且つ第2室を縮小させる方向に移動する。これにより、第2室から熱媒体が吐出され、熱媒体回路(C)において熱媒体が順次、第2熱交換器(17)、収容部(11)(内部流路(13))、第1熱交換器(16)の方へ移動し、第1室に吸入される。第2搬送動作では、ピストン(23)が第1室を縮小させ且つ第2室を拡大させる方向に移動する。これにより、第1室から熱媒体が吐出され、熱媒体回路(C)において熱媒体が順次、第1熱交換器(16)、収容部(11)(内部流路(13))、第2熱交換器(17)の向へ移動し、第2室に吸入される。
【0031】
制御部(30)は、例えば磁場変調部(15)及び往復式ポンプ(21)のそれぞれの動作を制御する。制御部(30)は、例えば、マイクロコンピュータと、マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリデバイス(具体的には半導体メモリ)とを用いて構成される。制御部(30)は、磁場変調部(15)及び往復式ポンプ(21)のそれぞれと通信回線を介して接続される。
【0032】
<磁気冷凍装置の運転動作>
磁気冷凍装置(1)は、放熱動作(ホットブロー)と、吸熱動作(コールドブロー)とを行う。放熱動作では、磁気作業物質(12)に所定の磁場を印加すると共に熱媒体を内部流路(13)の第1方向に移動させることにより、磁気作業物質(12)で発生した温熱を熱媒体によって収容部(11)の外部、例えば第1熱交換器(16)へ運び放熱させる。吸熱動作では、磁気作業物質(12)に所定の磁場よりも小さい磁場を印加し又は所定の磁場を除去すると共に熱媒体を内部流路(13)における第1方向とは反対方向の第2方向に移動させることにより、磁気作業物質(12)で発生した冷熱を熱媒体によって収容部(11)の外部、例えば第2熱交換器(17)へ運び吸熱させる。
【0033】
具体的には、図4(a)、(b)に示すように、放熱動作では、磁場変調部(15)の第1変調動作(励磁)と、往復式ポンプ(21)の第1搬送動作とが行われる。放熱動作では、収容部(11)の内部流路(13)で熱媒体が加熱される。加熱された熱媒体は、第1熱交換器(16)で放熱する。
【0034】
また、図4(c)、(d)に示すように、吸熱動作では、磁場変調部(15)の第2変調動作(消磁)と、往復式ポンプ(21)の第2搬送動作とが行われる。吸熱動作では、収容部(11)の内部流路(13)で熱媒体が冷却される。冷却された熱媒体は、第2熱交換器(17)で吸熱する。
【0035】
磁気冷凍装置(1)において、以上に説明した放熱動作と吸熱動作とを繰り返すサイクル(AMR(Active Magnetic Refrigerator)サイクル)を行うと、収容部(11)内の磁気作業物質(12)が磁場変動により温熱、冷熱を発生しつつ再生するので、収容部(11)内に温度勾配が生成される結果、収容部(11)の高温端と低温端との間に大きな温度差が生成される。
【0036】
第1熱交換器(16)が室内熱交換器であり、第2熱交換器(17)が室外熱交換器である場合、磁気作業物質(12)により加熱された熱媒体は、第1熱交換器(16)で室内空気に放熱し、室内空気が加熱される一方、磁気作業物質(12)により冷却された熱媒体は、第2熱交換器(17)で室外空気から吸熱する。これにより、暖房運転が可能となる。
【0037】
尚、本実施形態では、収容部(11)の長手方向に沿って内部流路(13)が配置される場合、言い換えると、収容部(11)の長手方向の両端にそれぞれ内部流路(13)の高温側出入ポート及び低温側出入ポートが配置される場合を例として説明したが、内部流路(13)の配置構成は、これに限定されるものではない。例えば、収容部(11)の同じ面に、内部流路(13)の高温側出入ポート及び低温側出入ポートが配置されてもよい。この場合も、内部流路(13)において低温側出入ポートから高温側出入ポートへ熱媒体が流れる向きが「第1方向」であり、高温側出入ポートから低温側出入ポートへ熱媒体が流れる向きが「第2方向」である。
【0038】
<熱交換量可変部>
本実施形態の磁気冷凍装置(1)においては、制御部(30)が往復式ポンプ(21)を制御することにより、放熱動作及び吸熱動作の少なくとも一方における熱媒体と磁気作業物質(12)との間の熱交換量を可変とする。すなわち、本実施形態では、制御部(30)と往復式ポンプ(21)とによって熱交換量可変部が構成される。尚、制御部(30)は、往復式ポンプ(21)と別体に設けてもよいし、或いは、制御部(30)の機能のうち熱交換量可変機能を担う部分を往復式ポンプ(21)と一体に設けてもよい。
【0039】
以下に述べるように、熱交換量可変部によって、磁気作業物質(12)の温調が可能となる。AMRサイクルにおける放熱動作(ホットブロー)では、磁気熱量効果によって磁気作業物質(12)が生成した温熱が、収容部(11)の低温端から高温端の向きに流れる熱媒体によって、収容部(11)の高温端から外部(第1熱交換器(16))へ供給される。このとき、磁気作業物質(12)が生成した温熱の全てが収容部(11)の高温端に運ばれるわけではなく、当該温熱の一部が磁気作業物質(12)自身に蓄熱される。一方、吸熱動作(コールドブロー)においても同様に、磁気作業物質(12)が生成した冷熱の全てが収容部(11)の低温端に運ばれるわけではなく、当該冷熱の一部が磁気作業物質(12)自身に蓄熱される。このように、温熱及び冷熱を生成する磁気作業物質(12)自身が蓄熱を行うことにより、磁気作業物質(12)の再生が行われる。このため、磁気作業物質(12)の温度は、放熱動作での蓄温熱量と吸熱動作での蓄冷熱量とのバランスで決まる。言い換えると、放熱動作で高温端に運ぶ温熱量と、吸熱動作で低温端に運ぶ冷熱量とのバランスによって、磁気作業物質(12)の温度が決まる。従って、熱交換量可変部によって、放熱動作での蓄温熱量と吸熱動作での蓄冷熱量とのバランスを変えることにより、磁気作業物質(12)の温度を上昇させたり下降させたりすることが可能となる。
【0040】
例えば図5に示すように、「放熱動作で高温端へ運ぶ温熱量」が「吸熱動作で低温端へ運ぶ冷熱量」よりも大きくなると、「放熱動作で磁気作業物質(以下、単に材料と言うこともある)が蓄熱する温熱量」が「吸熱動作で材料が蓄熱する冷熱量」よりも小さくなり、材料温度(カスケード配置の場合は材料温度勾配)が低下する。
【0041】
また、図6に示すように、「放熱動作で高温端へ運ぶ温熱量」が「吸熱動作で低温端へ運ぶ冷熱量」よりも小さくなると、「放熱動作で材料が蓄熱する温熱量」が「吸熱動作で材料が蓄熱する冷熱量」よりも大きくなり、材料温度(カスケード配置の場合は材料温度勾配)が上昇する。
【0042】
熱交換量可変部は、放熱動作及び吸熱動作の少なくとも一方における熱媒体の単位時間当たりの流量を可変とすることによって、熱媒体と固体冷媒物質(12)との間の熱交換量を可変としてもよい。
【0043】
図7は、磁気冷凍装置(1)の通常運転時における磁場及び熱媒体流量の時間変化を示す。図7に示すように、通常運転では、放熱動作と吸熱動作とで熱媒体の移動量は同じに設定される。具体的には、放熱動作での熱媒体の単位時間当たりの流量、及び熱媒体の搬送時間をそれぞれfH、tHとし、吸熱動作での熱媒体の単位時間当たりの流量、及び熱媒体の搬送時間をそれぞれfC、tCとすると、fC≒fH、tC≒tHであり、放熱動作での熱媒体の移動量fH×tHと、吸熱動作での熱媒体の移動量fC×tCとはほぼ等しくなる。
【0044】
図8は、磁気冷凍装置(1)において熱媒体の単位時間当たりの流量を変化させたときの磁場及び熱媒体流量の時間変化を示す。詳しくは、図8では、放熱動作での熱媒体の単位時間当たりの流量fHを通常運転時よりも小さくし、吸熱動作での熱媒体の単位時間当たりの流量fCを通常運転時よりも大きくしている。すなわち、fH<fCに設定している。尚、熱媒体の搬送時間については、通常運転時と同じtC≒tHであり、磁場変化も通常運転時と同じである。この場合、放熱動作での熱媒体の移動量fH×tHよりも、吸熱動作での熱媒体の移動量fC×tCの方が大きくなるため、「放熱動作で磁気作業物質(12)が蓄熱する温熱量」が「吸熱動作で磁気作業物質(12)が蓄熱する冷熱量」よりも大きくなるので、磁気作業物質(12)の温度が上昇する。従って、磁気冷凍装置(1)の起動時に磁気作業物質(12)の温度がキュリー温度よりも低くなっている場合、熱交換量可変部つまり制御部(30)及び往復式ポンプ(21)により、図8に示すような熱媒体の流量制御を行うことによって、磁気作業物質(12)の温度をキュリー温度に近づけることができる。これにより、磁気冷凍装置(1)の起動を迅速に行うことができる。また、磁気冷凍装置(1)の運転中の急激な負荷変動等に起因して磁気作業物質(12)の温度がキュリー温度から外れ、磁気冷凍装置(1)が所定の能力を発揮できなくなった場合にも、磁気作業物質(12)の温度を迅速にキュリー温度に近づけることにより、磁気冷凍装置(1)に所定の能力を発揮させることができる。
【0045】
図8に示すような熱媒体の流量制御に代えて、図9に示すように、熱媒体の搬送時間を変化させてもよい。詳しくは、図9では、放熱動作での熱媒体の搬送時間tHを通常運転時と同じにし、吸熱動作での熱媒体の搬送時間tCを通常運転時よりも小さくしている。すなわち、tH>tCに設定している。尚、熱媒体の単位時間当たりの流量については、通常運転時と同じfC≒fHであり、磁場変化も通常運転時と同じである。この場合、放熱動作での熱媒体の移動量fH×tHの方が、吸熱動作での熱媒体の移動量fC×tCよりも大きくなるため、「放熱動作で磁気作業物質(12)が蓄熱する温熱量」が「吸熱動作で磁気作業物質(12)が蓄熱する冷熱量」よりも小さくなるので、磁気作業物質(12)の温度が低下する。従って、磁気冷凍装置(1)の起動時に磁気作業物質(12)の温度がキュリー温度よりも高くなっている場合、熱交換量可変部つまり制御部(30)及び往復式ポンプ(21)により、図9に示すような熱媒体の流量制御を行うことによって、磁気作業物質(12)の温度をキュリー温度に近づけることができる。これにより、磁気冷凍装置(1)の起動を迅速に行うことができる。また、磁気冷凍装置(1)の運転中の急激な負荷変動等に起因して磁気作業物質(12)の温度がキュリー温度から外れ、磁気冷凍装置(1)が所定の能力を発揮できなくなった場合にも、磁気作業物質(12)の温度を迅速にキュリー温度に近づけることにより、磁気冷凍装置(1)に所定の能力を発揮させることができる。
【0046】
尚、図8図9では、熱媒体の単位時間当たりの流量、及び熱媒体の搬送時間のいずれか一方のみを可変としたが、これに代えて、熱媒体の単位時間当たりの流量、及び熱媒体の搬送時間の両方を可変としてもよい。
【0047】
<実施形態の特徴>
以上に説明したように、本実施形態において、磁気冷凍装置(1)は、収容部(11)と、磁場変調部(15)と、熱媒体搬送部(21)とを備える。収容部(11)は、磁気作業物質(12)と、熱媒体が磁気作業物質(12)と熱交換して流れる内部流路(13)とを有する。磁場変調部(15)は、収容部(11)内の磁気作業物質(12)に磁場変動を付与して熱量効果を誘発させる。熱媒体搬送部(21)は、磁場変動に応じて熱媒体を収容部(11)内の磁気作業物質(12)に対して往復的に搬送する。磁気冷凍装置(1)は、放熱動作と、吸熱動作とを行う。放熱動作では、磁気作業物質(12)に所定の磁場を印加すると共に熱媒体を内部流路(13)の第1方向に移動させることにより、磁気作業物質(12)で発生した温熱を熱媒体によって収容部(11)の外部へ運ぶ。吸熱動作では、磁気作業物質(12)に所定の磁場よりも小さい磁場を印加し又は所定の磁場を除去すると共に熱媒体を内部流路(13)における第1方向とは反対方向の第2方向に移動させることにより、磁気作業物質(12)で発生した冷熱を熱媒体によって収容部(11)の外部へ運ぶ。磁気冷凍装置(1)において、制御部(30)と往復式ポンプ(21)とは、放熱動作及び吸熱動作の少なくとも一方における熱媒体と磁気作業物質(12)との間の熱交換量を可変とする熱交換量可変部を構成する。
【0048】
本実施形態の磁気冷凍装置(1)によると、熱交換量可変部により、放熱動作又は吸熱動作における熱媒体と磁気作業物質(12)との間の熱交換量を可変とするため、放熱動作での磁気作業物質(12)の蓄温熱量と、吸熱動作での磁気作業物質(12)の蓄冷熱量とのバランスを変えることができる。従って、機器や部材の追加によるコストアップや効率低下を回避しつつ、磁気作業物質(12)の温度を所定の温度(キュリー温度)に近づける制御を実現できるので、磁気冷凍装置(1)の起動や所定の能力の発揮を迅速に行うことができる。
【0049】
本実施形態の磁気冷凍装置(1)において、熱交換量可変部は、放熱動作及び吸熱動作の少なくとも一方における熱媒体の単位時間当たりの流量及び/又は熱媒体の搬送時間を可変とすることにより、熱媒体と磁気作業物質(12)との間の熱交換量を可変としてもよい。
【0050】
(変形例1)
前記実施形態の磁気冷凍装置(1)では、中空状のケースないしカラムで構成された収容部(11)の内部に磁気作業物質(12)を充填し、磁場を変調可能な電磁石で構成された磁場変調部(15)を用いて、収容部(11)内の磁気作業物質(12)に磁場変動を付与し、図7図9に示すように、磁場をパルス状に変化させた。
【0051】
それに対して、本変形例の磁気冷凍装置(1)は、磁気回路が回転する方式の磁気ヒートポンプ装置である。本変形例では、収容部(11)は、例えば、環状に配列された複数の熱交換ブロックが収納される環状収容部である。各熱交換ブロックは、例えば環状扇形状であってもよい。環状収容部の軸方向において熱交換ブロックを挟むように磁場印加機構が配置される。磁場印加機構は、熱交換ブロックに近接して配置される少なくとも1つの磁場印加部と、磁場印加部を支持し且つ磁路を形成するためのヨークとを有する。磁場印加部は、環状収容部の軸方向に熱交換ブロックを挟む一対の磁石で構成される。磁場印加部は、所定数の熱交換ブロックとオーバーラップする。磁場印加部の配置数は、磁気回路の極数に等しい。環状収容部の中央部開口を通って環状収容部の軸方向に延びるように回転機構が配置される。磁場印加機構は、回転機構によって環状収容部の周方向に回転する。環状収容部つまり熱交換ブロックは固定されてもよい。磁場印加部と熱交換ブロックとは、同軸の周方向に均等配置される。これにより、磁場印加機構の回転に伴い、励磁される熱交換ブロックは時々刻々変化するので、言い換えると、熱交換ブロック内の磁気作業物質に磁場変動が付与されるので、磁石回転型の磁気冷凍装置が構成される。すなわち、本変形例では、磁場変調部(15)は、磁場印加機構と回転機構とから構成される。
【0052】
図10は、本変形例の磁気冷凍装置(1)の通常運転時における磁場及び熱媒体流量の時間変化を示す。図10に示すように、通常運転では、放熱動作と吸熱動作とで熱媒体の移動量は同じに設定される。具体的には、放熱動作での熱媒体の単位時間当たりの流量、及び熱媒体の搬送時間をそれぞれfH、tHとし、吸熱動作での熱媒体の単位時間当たりの流量、及び熱媒体の搬送時間をそれぞれfC、tCとすると、fC≒fH、tC≒tHであり、放熱動作での熱媒体の移動量fH×tHと、吸熱動作での熱媒体の移動量fC×tCとはほぼ等しくなる。
【0053】
本変形例では、磁場印加部(磁石)が所定の回転速度で回転移動するため、図10に示すように、各熱交換ブロックの磁気作業物質(12)においては、励磁状態と消磁状態との間の中間的な磁場が付与される状態が存在する。この中間的な磁場が付与されるタイミングで熱媒体を流して磁気作業物質(12)と熱交換させると、磁気熱量効果が十分に発生していないため、励磁状態や消磁状態と比べて、熱交換量が小さくなる。
【0054】
この磁石回転型の磁気冷凍装置の特性を利用して、本変形例では、熱交換量可変部つまり制御部(30)及び往復式ポンプ(21)は、放熱動作及び吸熱動作の少なくとも一方における熱媒体の搬送タイミングを可変とすることによって、熱媒体と固体冷媒物質(12)との間の熱交換量を可変とする。
【0055】
図11は、本変形例の磁気冷凍装置(1)において熱媒体の搬送タイミングを変化させたときの磁場及び熱媒体流量の時間変化を示す。詳しくは、図11では、熱媒体の単位時間当たりの流量及び熱媒体の搬送時間については、通常運転時と同じfH≒fC、tC≒tHであるが、吸熱動作での熱媒体の搬送タイミングを、意図的に熱交換量が小さくなるタイミングに設定し、それにより、磁気作業物質(12)の蓄熱量つまり温度を調整している。尚、磁場変化は通常運転時と同じである。
【0056】
本変形例では、放熱動作での熱交換量の方が、吸熱動作での熱交換量よりも大きくなるため、「放熱動作で磁気作業物質(12)が蓄熱する温熱量」が「吸熱動作で磁気作業物質(12)が蓄熱する冷熱量」よりも小さくなるので、磁気作業物質(12)の温度が低下する。従って、磁気冷凍装置(1)の起動時に磁気作業物質(12)の温度がキュリー温度よりも高くなっている場合、熱交換量可変部つまり制御部(30)及び往復式ポンプ(21)により、図11に示すような熱媒体の流量制御を行うことによって、磁気作業物質(12)の温度をキュリー温度に近づけることができる。これにより、磁気冷凍装置(1)の起動や所定の能力の発揮を迅速に行うことができる。
【0057】
尚、図11では、熱媒体の搬送タイミングのみを可変としたが、これに加えて、熱媒体の単位時間当たりの流量、及び/又は熱媒体の搬送時間を可変としてもよい。
【0058】
(変形例2)
図12及び図13はそれぞれ、本変形例の磁気冷凍装置(1)の放熱動作時及び吸熱動作時の配管系統図である。図12及び図13において、図1に示す前記実施形態の磁気冷凍装置(1)と同じ構成要素には同じ符号を付している。本変形例が前記実施形態と異なっている主な点は以下の通りである。
【0059】
図12及び図13に示すように、本変形例では、収容部(11)の内部に、第1内部流路(13A)と第2内部流路(13B)とが形成される。第1内部流路(13A)には、低温端から高温端に向けて熱媒体が流れる。第1内部流路(13A)の低温側入口ポートの上流及び高温側出口ポートの下流にはそれぞれ逆止弁(CV1)、(CV3)が設けられる。第2内部流路(13B)には、高温端から低温端に向けて熱媒体が流れる。第2内部流路(13B)の高温側入口ポートの上流及び低温側出口ポートの下流にはそれぞれ逆止弁(CV2)、(CV4)が設けられる。第1内部流路(13A)の低温側入口ポート及び高温側出口ポートはそれぞれ、第2熱交換器(17)の流出部及び第1熱交換器(16)の流入部と接続される。第2内部流路(13B)の高温側入口ポート及び低温側出口ポートはそれぞれ、第1熱交換器(16)の流出部及び第2熱交換器(17)の流入部と接続される。
【0060】
本変形例では、前記実施形態の磁気冷凍装置(1)の往復式ポンプ(21)に代えて、熱媒体搬送部として、一方向式のポンプ(21A)及び四方切換弁(41)が設けられている。四方切換弁(41)は、第1ポート、第2ポート、第3ポート、及び第4ポートをそれぞれ有する。図12図13において、四方切換弁(41)の第1ポートは1を丸で囲んだ記号とし、四方切換弁(41)の第2ポートは2を丸で囲んだ記号とし、四方切換弁(41)の第3ポートは3を丸で囲んだ記号とし、四方切換弁(41)の第4ポートは4を丸で囲んだ記号としている。四方切換弁(41)の第1ポートは、ポンプ(21A)の流出部と接続される。四方切換弁(41)の第2ポートは、熱媒体回路(C)の分岐(B1)を経由して、第1内部流路(13A)の低温側入口ポート及び第2熱交換器(17)の流出部にそれぞれ接続される。四方切換弁(41)の第3ポートは、熱媒体回路(C)の分岐(B2)を経由して、第2内部流路(13B)の高温側入口ポート及び第1熱交換器(16)の流出部にそれぞれ接続される。四方切換弁(41)の第4ポートは、ポンプ(21A)の流入部と接続される。ポンプ(21A)及び四方切換弁(41)の動作制御は制御部(30)によって行われる。ポンプ(21A)及び四方切換弁(41)は、通信回線を介して制御部(30)と接続される。
【0061】
本変形例では、熱媒体回路(C)における四方切換弁(41)の第2ポートと分岐(B1)との間の部分と、熱媒体回路(C)における四方切換弁(41)の第3ポートと分岐(B2)との間の部分とを接続するバイパス回路(50)が設けられている。バイパス回路(50)は、第1流路(51)と第2流路(52)とを有する。
【0062】
第1流路(51)には、熱媒体回路(C)における四方切換弁(41)の第2ポートと分岐(B1)との間に位置する分岐(B3)から、熱媒体回路(C)における四方切換弁(41)の第3ポートと分岐(B2)との間に位置する分岐(B4)まで熱媒体が流れる。第1流路(51)には、逆止弁(CV5)と、第1制御弁(53)とが設けられる。第1制御弁(53)は、その開度を細かく調節可能な流量調節弁であってもよい。第1制御弁(53)の動作制御は制御部(30)によって行われる。第1制御弁(53)は、通信回線を介して制御部(30)と接続される。
【0063】
第2流路(52)には、熱媒体回路(C)における四方切換弁(41)の第3ポートと分岐(B2)との間に位置する分岐(B5)から、熱媒体回路(C)における四方切換弁(41)の第2ポートと分岐(B1)との間に位置する分岐(B6)まで熱媒体が流れる。第2流路(52)には、逆止弁(CV6)と、第2制御弁(54)とが設けられる。第2制御弁(54)は、その開度を細かく調節可能な流量調節弁であってもよい。第2制御弁(54)の動作制御は制御部(30)によって行われる。第2制御弁(54)は、通信回線を介して制御部(30)と接続される。
【0064】
本変形例の磁気冷凍装置(1)の放熱動作では、図12に示すように、四方切換弁(41)において、第1ポートと第2ポートとを連通させ、第3ポートと第4ポートとを連通させた状態で、磁気作業物質(12)に所定の磁場を印加する。ポンプ(21A)から送出された熱媒体は、四方切換弁(41)を経由して、収容部(11)の第1内部流路(13A)に流入し、第1内部流路(13A)で熱媒体が加熱される。加熱された熱媒体は、第1熱交換器(16)で放熱した後、四方切換弁(41)を経由してポンプ(21A)に戻る。
【0065】
本変形例の磁気冷凍装置(1)の吸熱動作では、図13に示すように、四方切換弁(41)において、第1ポートと第3ポートとを連通させ、第2ポートと第4ポートとを連通させた状態で、磁気作業物質(12)に所定の磁場よりも小さい磁場を印加し又は所定の磁場を除去する。ポンプ(21A)から送出された熱媒体は、四方切換弁(41)を経由して、収容部(11)の第2内部流路(13B)に流入し、第2内部流路(13B)で熱媒体が冷却される。冷却された熱媒体は、第2熱交換器(17)で吸熱した後、四方切換弁(41)を経由してポンプ(21A)に戻る。
【0066】
図12に示す放熱動作においては、第1制御弁(53)の開度調整によって、バイパス回路(50)の第1流路(51)による圧損を制御できるので、収容部(11)の第1内部流路(13A)に流入する熱媒体の単位時間当たりの流量を可変とすることができる。
【0067】
図13に示す吸熱動作においては、第2制御弁(54)の開度調整によって、バイパス回路(50)の第2流路(52)による圧損を制御できるので、収容部(11)の第2内部流路(13B)に流入する熱媒体の単位時間当たりの流量を可変とすることができる。
【0068】
従って、本変形例の磁気冷凍装置(1)においては、制御部(30)が第1制御弁(53)及び第2制御弁(54)を制御することにより、放熱動作及び吸熱動作の少なくとも一方における熱媒体と磁気作業物質(12)との間の熱交換量を可変とすることができる。すなわち、本変形例では、制御部(30)と第1制御弁(53)及び第2制御弁(54)とによって熱交換量可変部が構成される。
【0069】
尚、制御部(30)は、第1制御弁(53)及び第2制御弁(54)と別体に設けてもよいし、或いは、制御部(30)の機能のうち熱交換量可変機能を担う部分を第1制御弁(53)及び第2制御弁(54)と一体に設けてもよい。
【0070】
また、本変形例の熱交換量可変部によるバイパス回路(50)(第1流路(51)及び第2流路(52))の開放は、高温の熱媒体と低温の熱媒体との混合が生じない程度の短時間に制限することが好ましい。
【0071】
(変形例3)
図14及び図15はそれぞれ、本変形例の磁気冷凍装置(1)の放熱動作時及び吸熱動作時の配管系統図である。図14及び図15において、図12図13に示す前記変形例2の磁気冷凍装置(1)と同じ構成要素には同じ符号を付している。本変形例が前記変形例2と異なっている主な点は以下の通りである。
【0072】
図14及び図15に示すように、本変形例では、前記変形例2の磁気冷凍装置(1)のバイパス回路(50)に代えて、締切弁(61,62)が設けられる。具体的には、熱媒体回路(C)における四方切換弁(41)の第2ポートと分岐(B1)との間に第1締切弁(61)が設けられ、熱媒体回路(C)における四方切換弁(41)の第3ポートと分岐(B2)との間に第2締切弁(62)が設けられている。第1締切弁(61)及び第2締切弁(62)は、任意のタイミングで開閉が可能に構成される。第1締切弁(61)及び第2締切弁(62)の動作制御は制御部(30)によって行われる。第1締切弁(61)及び第2締切弁(62)は、通信回線を介して制御部(30)と接続される。
【0073】
本変形例の磁気冷凍装置(1)の放熱動作では、図14に示すように、四方切換弁(41)において、第1ポートと第2ポートとを連通させ、第3ポートと第4ポートとを連通させた状態で、磁気作業物質(12)に所定の磁場を印加する。ポンプ(21A)から送出された熱媒体は、四方切換弁(41)及び第1締切弁(61)を経由して、収容部(11)の第1内部流路(13A)に流入し、第1内部流路(13A)で熱媒体が加熱される。加熱された熱媒体の一部は、第1熱交換器(16)で放熱した後、第2締切弁(62)及び四方切換弁(41)を経由してポンプ(21A)に戻る。
【0074】
本変形例の磁気冷凍装置(1)の吸熱動作では、図15に示すように、四方切換弁(41)において、第1ポートと第3ポートとを連通させ、第2ポートと第4ポートとを連通させた状態で、磁気作業物質(12)に所定の磁場よりも小さい磁場を印加し又は所定の磁場を除去する。ポンプ(21A)から送出された熱媒体は、四方切換弁(41)及び第2締切弁(62)を経由して、収容部(11)の第2内部流路(13B)に流入し、第2内部流路(13B)で熱媒体が冷却される。冷却された熱媒体は、第2熱交換器(17)で吸熱した後、第1締切弁(61)及び四方切換弁(41)を経由してポンプ(21A)に戻る。
【0075】
本変形例の磁気冷凍装置(1)においては、制御部(30)が第1締切弁(61)及び第2締切弁(62)を制御することによって、放熱動作及び吸熱動作の少なくとも一方における熱媒体の搬送時間及び/又は搬送タイミングを可変とすることができる。これにより、放熱動作及び吸熱動作の少なくとも一方における熱媒体と磁気作業物質(12)との間の熱交換量を可変とすることができる。すなわち、本変形例では、制御部(30)と第1締切弁(61)及び第2締切弁(62)とによって熱交換量可変部が構成される。例えば、第1締切弁(61)及び第2締切弁(62)を用いて、熱媒体の搬送時間を短くしたり、熱媒体の搬送タイミングを磁場変動に対して意図的にずらすことによって、熱交換量を減らすことができる。
【0076】
尚、制御部(30)は、第1締切弁(61)及び第2締切弁(62)と別体に設けてもよいし、或いは、制御部(30)の機能のうち熱交換量可変機能を担う部分を第1締切弁(61)及び第2締切弁(62)と一体に設けてもよい。
【0077】
また、本変形例において、第1締切弁(61)及び第2締切弁(62)のうちの一方のみを設けても、同様の効果を得ることができる。或いは、第1締切弁(61)及び第2締切弁(62)に代えて、締切弁機能を持つ四方切換弁(41)を設けても、同様の効果を得ることができる。
【0078】
(変形例4)
図16は、本変形例の磁気冷凍装置(1)の配管系統図である。図16において、図1に示す前記実施形態の磁気冷凍装置(1)と同じ構成要素には同じ符号を付している。本変形例が前記実施形態と異なっている主な点は以下の通りである。
【0079】
図16に示すように、本変形例の磁気冷凍装置(1)は、収容部(11)と磁場変調部(15)とからそれぞれ構成された2つの磁気冷凍ユニット(10)、具体的には、第1磁気冷凍ユニット(10A)及び第2磁気冷凍ユニット(10B)を備える。各磁気冷凍ユニット(10)において、収容部(11)の内部に、第1内部流路(13A)と第2内部流路(13B)とが形成される。第1内部流路(13A)には、低温端から高温端に向けて熱媒体が流れる。第1内部流路(13A)の低温側入口ポートの上流には逆止弁(CVA)が設けられる。第2内部流路(13B)には、高温端から低温端に向けて熱媒体が流れる。第2内部流路(13B)の低温側出口ポートの下流には逆止弁(CVB)が設けられる。
【0080】
各磁気冷凍ユニット(10)の第1内部流路(13A)の低温側入口ポートは、第2熱交換器(17)の流出部と接続される。各磁気冷凍ユニット(10)の第1内部流路(13A)の高温側出口ポートは、第1三方弁(71)及びポンプ(21A)を経由して第1熱交換器(16)の流入部と接続される。
【0081】
各磁気冷凍ユニット(10)の第2内部流路(13B)の高温側入口ポートは、第2三方弁(72)を経由して第1熱交換器(16)の流入部と接続される。各磁気冷凍ユニット(10)の第2内部流路(13B)の低温側出口ポートはそれぞれ、第2熱交換器(17)の流入部と接続される。
【0082】
本変形例では、前記実施形態の磁気冷凍装置(1)の往復式ポンプ(21)に代えて、熱媒体搬送部として、一方向式のポンプ(21A)並びに第1三方弁(71)及び第2三方弁(72)が設けられている。
【0083】
また、本変形例では、第1磁気冷凍ユニット(10A)の第2内部流路(13B)の高温側入口ポートと第2三方弁(72)との間に第1制御弁(81)が設けら、第2磁気冷凍ユニット(10B)の第2内部流路(13B)の高温側入口ポートと第2三方弁(72)との間に第2制御弁(82)が設けられる。第1制御弁(81)及び第2制御弁(82)は、その開度を細かく調節可能な流量調節弁であってもよい。第1制御弁(81)及び第2制御弁(82)の動作制御は制御部(30)によって行われる。第1制御弁(81)及び第2制御弁(82)は、通信回線を介して制御部(30)と接続される。
【0084】
本変形例の磁気冷凍装置(1)において、第1磁気冷凍ユニット(10A)が放熱動作を行うとき、第2磁気冷凍ユニット(10B)は吸熱動作を行い、第1磁気冷凍ユニット(10A)が吸熱動作を行うとき、第2磁気冷凍ユニット(10B)は放熱動作を行う。すなわち、第1磁気冷凍ユニット(10A)の動作と第2磁気冷凍ユニット(10B)の動作とは逆位相の関係にある。
【0085】
具体的には、第1磁気冷凍ユニット(10A)の放熱動作では、磁気作業物質(12)に所定の磁場を印加することにより第1内部流路(13A)で加熱された熱媒体は、第1三方弁(71)及びポンプ(21A)を経由して第1熱交換器(16)に流入して放熱した後、第2三方弁(72)、第1制御弁(81)、第2内部流路(13B)、及び第2熱交換器(17)を通過して、第1内部流路(13A)に再流入する。このとき、第2磁気冷凍ユニット(10B)の吸熱動作では、磁気作業物質(12)に所定の磁場よりも小さい磁場を印加し又は所定の磁場を除去することにより第2内部流路(13B)で冷却された熱媒体は、第2熱交換器(17)に流入して吸熱した後、第1内部流路(13A)、第1三方弁(71)、ポンプ(21A)、第1熱交換器(16)、第2三方弁(72)、及び第2制御弁(82)を通過して、第2内部流路(13B)に再流入する。
【0086】
一方、第1磁気冷凍ユニット(10A)の吸熱動作では、磁気作業物質(12)に所定の磁場よりも小さい磁場を印加し又は所定の磁場を除去することにより第2内部流路(13B)で冷却された熱媒体は、第2熱交換器(17)に流入して吸熱した後、第1内部流路(13A)、第1三方弁(71)、ポンプ(21A)、第1熱交換器(16)、第2三方弁(72)、及び第1制御弁(81)を通過して、第2内部流路(13B)に再流入する。このとき、第2磁気冷凍ユニット(10B)の放熱動作では、磁気作業物質(12)に所定の磁場を印加することにより第1内部流路(13A)で加熱された熱媒体は、第1三方弁(71)及びポンプ(21A)を経由して第1熱交換器(16)に流入して放熱した後、第2三方弁(72)、第2制御弁(82)、第2内部流路(13B)、及び第2熱交換器(17)を通過して、第1内部流路(13A)に再流入する。
【0087】
本変形例の磁気冷凍装置(1)においては、制御部(30)が第1制御弁(81)及び第2制御弁(82)を制御することにより、各磁気冷凍ユニット(10)の放熱動作及び吸熱動作の少なくとも一方における熱媒体の単位時間当たりの流量を可変とすることができる。これにより、各磁気冷凍ユニット(10)の放熱動作及び吸熱動作の少なくとも一方における熱媒体と磁気作業物質(12)との間の熱交換量を可変とすることができる。すなわち、本変形例では、制御部(30)と第1制御弁(81)及び第2制御弁(82)とによって熱交換量可変部が構成される。
【0088】
尚、制御部(30)は、第1制御弁(81)及び第2制御弁(82)と別体に設けてもよいし、或いは、制御部(30)の機能のうち熱交換量可変機能を担う部分を第1制御弁(81)及び第2制御弁(82)と一体に設けてもよい。
【0089】
本変形例の磁気冷凍装置(1)においては、前述のように、第1磁気冷凍ユニット(10A)の動作と第2磁気冷凍ユニット(10B)の動作とは逆位相の関係にある。このため、例えば、第1磁気冷凍ユニット(10A)の放熱動作での熱媒体の流量を下げると、第2磁気冷凍ユニット(10B)の吸熱動作での熱媒体の流量も下がる結果、第1磁気冷凍ユニット(10A)の材料温度は上がるが、第2磁気冷凍ユニット(10B)の材料温度は下がる。従って、両方の磁気冷凍ユニット(10)の材料温度を同時に上げたり下げたりすることはできない。しかし、第1磁気冷凍ユニット(10A)の材料温度TAと、第2磁気冷凍ユニット(10B)の材料温度TBとがずれている場合、例えば、TA<TBの場合やTA>TBの場合、制御部(30)が第1制御弁(81)及び第2制御弁(82)を制御することにより、TA=TBの状態に調整することができる。
【0090】
(その他の実施形態)
以上の実施形態及び変形例では、固体冷凍装置である磁気冷凍装置について例示してきたが、固体冷凍装置は、磁気作業物質(12)に磁気熱量効果を誘発する磁気冷凍以外の他の方式を用いたものであってもよい。尚、本開示において、固体冷媒物質には、柔軟結晶などの液体と固体の中間の性質を有するものも含む。
【0091】
他の方式の固体冷凍装置としては、例えば、1)固体冷媒物質に電気熱量効果を誘発する方式、2)固体冷媒物質に圧力熱量効果を誘発する方式、3)固体冷媒物質に弾性熱量効果を誘発する方式のものが挙げられる。
【0092】
1)の方式の固体冷凍装置では、力場印加部(以下、誘発部ともいう)が固体冷媒物質に電場変動を付与する。これにより、固体冷媒物質が強誘電体から常誘電体へ相転移するなどして、固体冷媒物質が発熱又は吸熱する。
【0093】
2)の方式の固体冷凍装置では、誘発部が固体冷媒物質に圧力変動を付与することによって、固体冷媒物質が相転移して発熱又は吸熱する。
【0094】
3)の方式の固体冷凍装置では、誘発部が固体冷媒物質に応力変動を付与することによって、固体冷媒物質が相転移して発熱又は吸熱する。
【0095】
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態及び変形例は、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。また、以上に述べた「第1」、「第2」、・・・という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上に説明したように、本開示は、固体冷凍装置、特に磁気冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0097】
1 磁気冷凍装置(固体冷凍装置)
11 収容部
12 磁気作業物質(固体冷媒物質)
13 内部流路
15 磁場変調部(力場変調部)
21 往復式ポンプ(熱媒体搬送部)
21A ポンプ(熱媒体搬送部)
30 制御部(熱交換量可変部)
53,54 制御弁(熱交換量可変部)
61,62 締切弁(熱交換量可変部)
81,82 制御弁(熱交換量可変部)
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