IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

特開2024-4754タイヤ通信機ID登録システム、タイヤ通信機ID登録方法、及び登録ツール
<>
  • 特開-タイヤ通信機ID登録システム、タイヤ通信機ID登録方法、及び登録ツール 図1
  • 特開-タイヤ通信機ID登録システム、タイヤ通信機ID登録方法、及び登録ツール 図2
  • 特開-タイヤ通信機ID登録システム、タイヤ通信機ID登録方法、及び登録ツール 図3
  • 特開-タイヤ通信機ID登録システム、タイヤ通信機ID登録方法、及び登録ツール 図4
  • 特開-タイヤ通信機ID登録システム、タイヤ通信機ID登録方法、及び登録ツール 図5
  • 特開-タイヤ通信機ID登録システム、タイヤ通信機ID登録方法、及び登録ツール 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004754
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】タイヤ通信機ID登録システム、タイヤ通信機ID登録方法、及び登録ツール
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B60C23/04 140A
B60C23/04 140E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104558
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】武智 和洋
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 彰人
(57)【要約】
【課題】登録精度を向上できるタイヤ通信機ID登録システム、タイヤ通信機ID登録方法、及び登録ツールを提供する。
【解決手段】ダブルタイヤ26の各タイヤ通信機4を内外輪と対応付けて登録する場合、登録ツール30をダブルタイヤ26の外輪43の側面43aにおいて周方向に一周させる。タイヤ通信機ID登録システム29は、この一周操作の最中、内外輪の各々に取付けられたタイヤ通信機4と登録ツール30との間で繰り返し通信される電波の受信信号強度を測定する。タイヤ通信機ID登録システム29は、測定された前記受信信号強度に基づき、登録ツール30と通信した各タイヤ通信機4と内外輪との紐付けを判定するとともに、その判定結果を登録する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の各々のタイヤに取付けられたタイヤ通信機から前記タイヤの空気圧情報を送信させ、前記空気圧情報を車体の受信機で受信して前記タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムに使用されるタイヤ通信機ID登録システムであって、
前記タイヤ通信機の位置登録に用いる登録ツールと前記車両のダブルタイヤに取付けられた前記タイヤ通信機との少なくとも一方に設けられ、前記タイヤ通信機及び前記登録ツールの間で通信される電波の受信信号強度を測定する測定部と、
前記登録ツールが前記ダブルタイヤの外輪の側面において周方向に一周操作されるとき、前記ダブルタイヤの内外輪の各々に取付けられた前記タイヤ通信機と前記登録ツールとの間で繰り返し通信される電波の前記受信信号強度を、前記測定部に測定させる測定要求部と、
測定された前記受信信号強度に基づき、前記登録ツールと通信した各タイヤ通信機と前記内外輪との紐付けを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を前記受信機に登録する登録部と
を備えるタイヤ通信機ID登録システム。
【請求項2】
前記登録ツールは、前記外輪の側面で周方向に一周操作される最中、前記内外輪の各々に取付けられた前記タイヤ通信機に対し、応答を要求するトリガ電波を送信し、
前記タイヤ通信機は、前記トリガ電波を受信すると、前記タイヤ通信機ごとに設定されたディレイ時間を経過した後に、前記登録ツールに応答電波を送信する
請求項1に記載のタイヤ通信機ID登録システム。
【請求項3】
前記ディレイ時間は、ランダムに設定される
請求項2に記載のタイヤ通信機ID登録システム。
【請求項4】
前記測定要求部は、最初、前記登録ツールから前記タイヤ通信機に前記トリガ電波を送信して応答させることにより、前記内外輪の各々に取付けられた前記タイヤ通信機の通信機IDを収集し、その後の通信において、前記通信機ID及びディレイ情報を紐付けした前記トリガ電波を前記各タイヤ通信機に送信することにより、前記タイヤ通信機の各々に対し、個別の前記ディレイ時間を設定する
請求項2に記載のタイヤ通信機ID登録システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記受信信号強度の分布に基づき、高い値の前記受信信号強度が分布する前記タイヤ通信機を、前記外輪に取付けられた前記タイヤ通信機と判定し、低い値の前記受信信号強度が分布する前記タイヤ通信機を、前記ダブルタイヤの内輪に取付けられた前記タイヤ通信機と判定する
請求項1に記載のタイヤ通信機ID登録システム。
【請求項6】
前記測定要求部は、前記ダブルタイヤの輪数よりも多い前記タイヤ通信機と通信が確立してしまった場合、通信相手の絞り込みを実行することにより、前記ダブルタイヤに取付けられた前記タイヤ通信機のみと通信する
請求項1に記載のタイヤ通信機ID登録システム。
【請求項7】
前記登録ツールを前記外輪の側面で周方向に回す操作は、複数周実行され、
前記判定部は、周ごとの判定結果の一致性を確認することにより、判定結果の確定を実行する
請求項1に記載のタイヤ通信機ID登録システム。
【請求項8】
車両の各々のタイヤに取付けられたタイヤ通信機から前記タイヤの空気圧情報を送信させ、前記空気圧情報を車体の受信機で受信して前記タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムに使用されるタイヤ通信機ID登録方法であって、
前記タイヤ通信機の位置登録に用いる登録ツールを、ダブルタイヤの外輪の側面において周方向に一周させ、この一周操作の最中に、前記ダブルタイヤの内外輪の各々に取付けられた前記タイヤ通信機と前記登録ツールとの間で繰り返し通信される電波の受信信号強度を、前記タイヤ通信機及び前記登録ツールの一方に測定させることと、
測定された前記受信信号強度に基づき、前記登録ツールと通信した各タイヤ通信機と前記内外輪との紐付けを判定することと、
前記紐付けの判定結果を前記受信機に登録することと、
を前記タイヤ通信機の位置登録を行うタイヤ通信機ID登録システムに実行させるタイヤ通信機ID登録方法。
【請求項9】
車両の各々のタイヤに取付けられたタイヤ通信機から前記タイヤの空気圧情報を送信させ、前記空気圧情報を車体の受信機で受信して前記タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムに使用される登録ツールであって、
前記登録ツールがダブルタイヤの外輪の側面において周方向に一周操作されるとき、前記ダブルタイヤの内外輪の各々に取付けられた前記タイヤ通信機と前記登録ツールとの間で繰り返し通信される電波の受信信号強度を、前記タイヤ通信機及び前記登録ツールの一方に測定させる測定要求部と、
測定された前記受信信号強度に基づき、前記登録ツールと通信した各タイヤ通信機と前記内外輪との紐付けを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を前記受信機に登録する登録部と
を備える登録ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ通信機ID登録システム、タイヤ通信機ID登録方法、及び登録ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、タイヤ空気圧監視システムにおいて、タイヤ通信機のIDをタイヤ位置と対応付けて受信機に登録する技術が周知である。特許文献1は、登録ツールを用いて無線によりタイヤ通信機からIDを収集するとともに、これを受信機に中継する処理を、各タイヤ通信機において行うことにより、タイヤ通信機のIDとタイヤ位置との対応付けを登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-201332号公報
【特許文献2】特開2014-196103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献2に開示されるように、車軸の各端部に2つずつタイヤが装着された車両(トラックなど)において、圧力や温度を検出するセンサを各タイヤに取付けることにより、各タイヤの空気圧を監視する場合がある。すなわち、ダブルタイヤの各タイヤにセンサを取付け、ダブルタイヤのタイヤ1つひとつにおいて空気圧を監視する車両も存在する。
【0005】
このような車両の場合、ダブルタイヤのタイヤ対は、極めて近い位置状態をとって配置される。このため、ダブルタイヤの各タイヤのセンサから順に、登録ツールによってIDを無線で収集しようとしても、目的とするセンサのIDを受信できないことも想定される。よって、IDの登録を正しく実行できない懸念があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するタイヤ通信機ID登録システムは、車両の各々のタイヤに取付けられたタイヤ通信機から前記タイヤの空気圧情報を送信させ、前記空気圧情報を車体の受信機で受信して前記タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムに使用される構成であって、前記タイヤ通信機の位置登録に用いる登録ツールと前記車両のダブルタイヤに取付けられた前記タイヤ通信機との少なくとも一方に設けられ、前記タイヤ通信機及び前記登録ツールの間で通信される電波の前記受信信号強度を測定する測定部と、前記登録ツールが前記ダブルタイヤの外輪の側面において周方向に一周操作されるとき、前記ダブルタイヤの内外輪の各々に取付けられた前記タイヤ通信機と前記登録ツールとの間で繰り返し通信される電波の受信信号強度を、前記測定部に測定させる測定要求部と、測定された前記受信信号強度に基づき、前記登録ツールと通信した各タイヤ通信機と前記内外輪との紐付けを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を前記受信機に登録する登録部と、を備える。
【0007】
前記課題を解決するタイヤ通信機ID登録方法は、車両の各々のタイヤに取付けられたタイヤ通信機から前記タイヤの空気圧情報を送信させ、前記空気圧情報を車体の受信機で受信して前記タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムに使用される方法であって、前記タイヤ通信機の位置登録に用いる登録ツールを、ダブルタイヤの外輪の側面において周方向に一周させ、この一周操作の最中に、前記ダブルタイヤの内外輪の各々に取付けられた前記タイヤ通信機と前記登録ツールとの間で繰り返し通信される電波の受信信号強度を、前記タイヤ通信機及び前記登録ツールの一方に測定させることと、測定された前記受信信号強度に基づき、前記登録ツールと通信した各タイヤ通信機と前記内外輪との紐付けを判定することと、前記紐付けの判定結果を前記受信機に登録することと、を前記タイヤ通信機の位置登録を行うタイヤ通信機ID登録システムに実行させる。
【0008】
前記課題を解決する登録ツールは、車両の各々のタイヤに取付けられたタイヤ通信機から前記タイヤの空気圧情報を送信させ、前記空気圧情報を車体の受信機で受信して前記タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムに使用される構成であって、前記登録ツールがダブルタイヤの外輪の側面において周方向に一周操作されるとき、前記ダブルタイヤの内外輪の各々に取付けられた前記タイヤ通信機と前記登録ツールとの間で繰り返し通信される電波の受信信号強度を、前記タイヤ通信機及び前記登録ツールの一方に測定させる測定要求部と、測定された前記受信信号強度に基づき、前記登録ツールと通信した各タイヤ通信機と前記内外輪との紐付けを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を前記受信機に登録する登録部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、登録精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】タイヤ通信機ID登録システムの構成図である。
図2】登録作業の流れを示す説明図である。
図3】(a)、(b)は登録ツールの操作の仕方を示す説明図である。
図4】登録作業の通信シーケンス図である。
図5】ダブルタイヤ以外の他のタイヤとも通信確立した状態を示す説明図である。
図6】受信信号強度の分布を示す発生確率図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態を説明する。
(タイヤ空気圧監視システム1の概説)
図1に示すように、車両2は、タイヤ3の各々の空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)1を備える。タイヤ空気圧監視システム1は、タイヤ3において空気圧を計測して空気圧情報Sprを無線によって送信するタイヤ通信機4を備える。本例のタイヤ空気圧監視システム1は、規定のタイミングでタイヤ通信機4が自ら空気圧情報Sprを送信する方式、又は、車体5に設けられたイニシエータ(図示略)の電波に応答して空気圧情報Sprを送信する方式のいずれでもよい。
【0012】
タイヤ通信機4は、各タイヤ3に取付けられている。タイヤ通信機4は、例えば、タイヤ3の内部に埋め込まれたタイヤマウントセンサ、又は、タイヤ栓に取付けられたタイヤバルブである。タイヤ通信機4は、タイヤ3の回転方向に沿って、タイヤ3と同期回転する。
【0013】
タイヤ通信機4は、タイヤ通信機4の作動を制御する通信機制御部9を備える。通信機制御部9には、タイヤ通信機4の各々に付与された固有のIDである通信機IDがメモリ(図示略)に書き込まれている。タイヤ通信機4は、タイヤ3の空気圧を検出する圧力検出部10を備える。圧力検出部10は、例えば、圧力センサである。通信機制御部9は、圧力検出部10から信号を入力する。
【0014】
タイヤ通信機4は、通信を実行するアンテナ12を備える。アンテナ12は、例えば、電波受信を実行する受信アンテナ12aと、電波送信を実行する送信アンテナ12bとを備える。受信アンテナ12aは、例えば、LF(Low Frequency)帯の電波を受信する。送信アンテナ12bは、例えば、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を送信する。通信機制御部9は、受信アンテナ12a及び送信アンテナ12bを介して、無線通信を実行する。
【0015】
タイヤ通信機4は、所定タイミングのとき、空気圧情報Sprを送信アンテナ12bから送信する。空気圧情報Sprは、例えば、圧力検出部10によって検出された圧力情報と、通信機制御部9のメモリに登録された通信機IDとを含む。タイヤ通信機4は、例えば、空気圧を通知すべきと判断したタイミングのとき、又は、イニシエータ(図示略)から電波送信の指示を受信したとき、空気圧情報Sprを送信する。
【0016】
タイヤ空気圧監視システム1は、タイヤ通信機4から送信された空気圧情報Sprを受信して各タイヤ3の空気圧を監視する受信機14を車体5に備える。受信機14は、タイヤ通信機4から送信される空気圧情報Sprを受信するアンテナ15と、受信した空気圧情報Sprに基づきタイヤ3の空気圧を監視する監視制御部16とを備える。監視制御部16のメモリ17には、通信機IDとタイヤ位置とが紐付けて登録されている。すなわち、どの通信機IDがどの取付位置のタイヤ3と対応しているのかがメモリ17に登録されている。アンテナ15は、例えば、UHF帯の電波を受信する。
【0017】
監視制御部16は、タイヤ通信機4から送信された空気圧情報Sprをアンテナ15で受信すると、空気圧情報Sprに含まれる通信機IDを確認する。監視制御部16は、通信機IDがメモリ17に登録されていれば、同一電波内に含まれる空気圧情報Sprを確認する。監視制御部16は、タイヤ空気圧が閾値以下であれば、タイヤ空気圧が低圧である旨を、タイヤ位置を対応付けて表示部18に表示する。監視制御部16は、この空気圧確認を、受信する空気圧情報Sprごとに実行することにより、各タイヤ3の空気圧の異常有無を運転者に通知する。
【0018】
(車両2の一例)
図2に示すように、車両2は、例えば、荷の運送車両21である。運送車両21は、例えば、トラックやトレーラーなどである。運送車両21は、運転席及び走行駆動源を有する駆動部22と、駆動部22によって牽引される貨物部23とを有する。運送車両21は、車体前後方向に並ぶ複数の車軸24を備える。本例の車軸24は、駆動部22に設けられた第1車軸24aと、貨物部23に設けられた4つの第2車軸24b~第5車軸24eとを含む。
【0019】
第1車軸24a及び第2車軸24bの両端には、タイヤ3が1つのみのシングルタイヤ25が取付けられている。第1車軸24aのシングルタイヤ25は、ハンドル操作によって転舵される。第3車軸24c~第5車軸24eの両端には、タイヤ3が2つ並ぶダブルタイヤ26が取付けられている。
【0020】
(タイヤ通信機ID登録システム29の概説)
図1に示す通り、タイヤ空気圧監視システム1は、通信機IDとタイヤ位置との紐付けを登録する機能(タイヤ通信機ID登録システム29)を備える。本例のタイヤ通信機ID登録システム29は、登録ツール30を用いることにより、通信機ID及びタイヤ位置の紐付け登録を実行する。本例のタイヤ通信機ID登録システム29は、例えば、ダブルタイヤ26の内外輪を区別した登録を実行する。
【0021】
登録ツール30は、ツール制御部31、送信アンテナ32、受信アンテナ33、操作部34、ディスプレイ35及びデータ出力部36を備える。ツール制御部31は、例えば、通信機ID及びタイヤ位置を紐付けるタイヤ通信機ID登録の処理を実行する。送信アンテナ32は、例えば、LF帯の電波を送信可能であって、タイヤ通信機4に電波送信を実行する。受信アンテナ33は、例えば、UHF帯の電波を受信可能であって、タイヤ通信機4から送信された電波を受信する。操作部34は、例えば、プッシュ操作式のボタンである。ディスプレイ35は、例えば、タッチパネルである。
【0022】
データ出力部36は、ツール制御部31によって実行された紐付け判定の判定結果を、受信機14に出力する。データ出力部36は、判定結果を無線で出力するもの、又は判定結果を有線で出力するもの、のいずれでもよい。無線出力の場合、データ出力部36は、例えば、UHF帯の電波を送信する通信モジュールである。有線出力の場合、データ出力部36は、例えば、受信機14に一端が接続されたケーブルの他端を接続するコネクタである。
【0023】
タイヤ通信機ID登録システム29は、測定部39、測定要求部40、判定部41、及び登録部42を備える。測定部39、測定要求部40、判定部41、及び登録部42は、登録ツール30をダブルタイヤ26の外輪43の側面43aを一周させる作業を通じて、通信機ID及びタイヤ位置の紐付けの登録を実行する。測定部39は、例えば、タイヤ通信機4(通信機制御部9)に設けられる。測定要求部40、判定部41、及び登録部42は、例えば、ツール制御部31に設けられる。
【0024】
測定要求部40は、登録ツール30をダブルタイヤ26の外輪43の側面43aにおいて周方向に一周させる。測定要求部40は、登録ツール30の一周操作の最中に、タイヤ通信機4及び登録ツール30の間で繰り返し通信される電波の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を、測定部39に測定させる。本例の場合、受信信号強度の測定は、例えば、タイヤ通信機4で実行される。このように、本例の測定部39は、登録ツール30から受信した電波の受信信号強度を測定する。
【0025】
判定部41は、測定部39によって測定された受信信号強度に基づき、登録ツール30と通信した各タイヤ通信機4とダブルタイヤ26の内外輪との紐付けを判定する。本例の判定部41は、ダブルタイヤ26の1つひとつのタイヤ通信機4ごとに複数取得する受信信号強度の傾向を確認することにより、タイヤ通信機4がダブルタイヤ26の内外輪のどちらに取付けられているのかを判定する。具体的には、判定部41は、高い受信信号強度が分布するタイヤ通信機4を、外輪43に取付けられたタイヤ通信機4と判定するとともに、低い受信信号強度が分布するタイヤ通信機4を、内輪44に取付けられたタイヤ通信機4と判定する。
【0026】
登録部42は、判定部41の判定結果を受信機14に登録する。登録部42は、登録ツール30に設けられたデータ出力部36を通じて、判定結果を受信機14に登録する。判定結果の登録は、無線通信又は有線通信のいずれでもよい。無線通信の場合、登録部42は、データ出力部36から判定結果を受信機14に送信することにより、受信機14に判定結果を登録する。また、有線通信の場合、登録部42は、データ出力部36に接続されたケーブルを通じて判定結果を受信機14に出力することにより、受信機14に判定結果を登録する。
【0027】
次に、本実施形態のタイヤ通信機ID登録システム29(タイヤ通信機ID登録方法、登録ツール30)の作用について説明する。
(通信機IDの登録作業の流れ)
図2に示す通り、本例の場合、通信機IDの登録順序は、例えば、第5車軸右側ダブルタイヤ26e、第4車軸右側ダブルタイヤ26c、第3車軸右側ダブルタイヤ26a、第2車軸右側シングルタイヤ25c、第1車軸右側シングルタイヤ25a、第1車軸左側シングルタイヤ25b、第2車軸左側シングルタイヤ25d、第3車軸左側ダブルタイヤ26b、第4車軸左側ダブルタイヤ26d、第5車軸左側ダブルタイヤ26fの順に予め指定されているものとする。この登録順は、例えば、登録ツール30から作業者に通知されてもよい。また、登録順もこの限りではない。
【0028】
(登録の具体的処理)
図3(a)に示すように、登録ツール30は、まず、第5車軸右側ダブルタイヤ26eについて、通信機ID及びタイヤ位置の紐付けを判定するモードに入る。すなわち、登録ツール30は、いま通信機IDを登録する対象が第5車軸右側ダブルタイヤ26eであることを認識した上で、この第5車軸右側ダブルタイヤ26eに取付くタイヤ通信機4に対し、判定を実行する。
【0029】
このとき、測定要求部40は、例えば、第5車軸右側ダブルタイヤ26eの外輪43の側面43aに登録ツール30を位置させる旨のアナウンスを、作業者に対して実行する。このアナウンスは、例えば、登録ツール30の画面に文字表示することにより実行してもよいし、登録ツール30のスピーカから音声によって実行してもよい。
【0030】
作業者は、登録ツール30のアナウンスに従い、1番目の登録対象である第5車軸右側ダブルタイヤ26eに対し、外輪43の側面43aに登録ツール30を近づける。なお、登録ツール30は、外輪43の側面43aであれば、どの位置に配置してもよい。そして、登録ツール30に設けられた操作開始ボタン(図示略)を操作する。操作開始ボタンは、例えば、メカスイッチ、又は画面上のタッチボタンのいずれでもよい。
【0031】
図4に、登録作業の通信シーケンス図を図示する。なお、同図においては、ダブルタイヤ26の外輪43に取付けられたタイヤ通信機4を「第1タイヤ通信機4a」とし、ダブルタイヤ26の内輪44に取付けられたタイヤ通信機4を「第2タイヤ通信機4b」とする。
【0032】
ステップ101において、測定要求部40は、登録ツール30の操作開始ボタンが操作されると、位置判定のためのトリガ電波Strの送信を開始する。最初に送信されるトリガ電波Strは、各タイヤ通信機4の通信機IDを収集するためにタイヤ通信機4を応答させる第1トリガ電波Str1である。第1トリガ電波Str1は、例えば、LF帯の電波であって、送信アンテナ32から送信される。第1トリガ電波Str1は、例えば、タイヤ通信機4に応答を要求できる電波であればよく、どのような信号内容を有していてもよい。第1トリガ電波Str1は、第1タイヤ通信機4a及び第2タイヤ通信機4bの両方に届く。第1タイヤ通信機4a及び第2タイヤ通信機4bは、第1トリガ電波Str1を受信アンテナ12aで受信する。
【0033】
ステップ102において、第1タイヤ通信機4a及び第2タイヤ通信機4bは、第1トリガ電波Str1を受信すると、応答電波Sresを登録ツール30に送信する。このときに送信される応答電波Sresは、例えば、自身に登録された通信機IDを含む第1応答電波Sres1である。第1応答電波Sres1は、例えば、UHF帯の電波であって、ディレイ時間Tの経過後に送信アンテナ12bから送信される。本例の第1応答電波Sres1は、ランダムディレイ後(ランダム時間T0の経過後)に登録ツール30に送信される。なお、ランダム時間T0は、第1タイヤ通信機4a及び第2タイヤ通信機4bの各々で異なる値をとることが好ましい。
【0034】
ステップ103において、測定要求部40は、第1タイヤ通信機4a及び第2タイヤ通信機4bから送信された第1応答電波Sres1を受信アンテナ33で受信すると、これら第1応答電波Sres1に含まれる通信機IDをメモリ17に記憶する。これにより、登録ツール30は、第1タイヤ通信機4a及び第2タイヤ通信機4bの各々から通信機IDを収集する。
【0035】
ここで、図5に示すように、ダブルタイヤ26の輪数よりも多いタイヤ通信機4と通信が確立してしまった場合は、例えば、登録ツール30に近いと判定し得る所定の2つに絞り込む。絞込方法としては、例えば、通信する電波の受信信号強度を比較し、受信信号強度が高いものを通信相手に設定する方法がある。また、これ以外の絞込方法としては、例えば、登録ツール30のLF帯の電波の出力強度を、2つのタイヤ通信機4のみが応答する状態となるまで、徐々に小さくしていく方法がある。
【0036】
測定要求部40は、第1トリガ電波Str1に対して複数の第1応答電波Sres1(通信機ID)を受信すると、いま登録対象としているタイヤ3がダブルタイヤ26であると認識する。この場合、測定要求部40は、例えば、第5車軸右側ダブルタイヤ26eの外輪43の側面43aで登録ツール30を一周操作させる旨のアナウンスを、作業者に対して実行する。アナウンスは、例えば、登録ツール30の画面に文字表示することにより実行してもよいし、登録ツール30のスピーカから音声によって実行してもよい。
【0037】
続いて、図3(b)に示すように、作業者は、登録ツール30の一周操作のアナウンスに従って、登録ツール30を外輪43の軸L1回りに沿って一周させる。このとき、登録ツール30は、例えば、外輪43のサイドウォール部に沿って軸L1回りに一周操作される。また、登録ツール30の一周操作は、例えば、一定速度で行うとよい。
【0038】
図4に示す通り、ステップ104において、測定要求部40は、通信機IDの収集後、外輪43の第1タイヤ通信機4aに受信信号強度を測定させるための第2トリガ電波Str2と、内輪44の第2タイヤ通信機4bに受信信号強度を測定させるための第3トリガ電波Str3とを、送信アンテナ32から送信する。第2トリガ電波Str2及び第3トリガ電波Str3は、例えば、LF帯の電波であって、送信アンテナ32から送信される。
【0039】
第2トリガ電波Str2は、第1タイヤ通信機4aの通信機IDと、第1タイヤ通信機4aがとるべきディレイ時間T1を通知するディレイ情報と、を含む。第3トリガ電波Str3は、第2タイヤ通信機4bの通信機IDと、第2タイヤ通信機4bがとるべきディレイ時間T2を通知するディレイ情報と、を含む。なお、第2トリガ電波Str2及び第3トリガ電波Str3は、同時に送信されてもよいし、異なるタイミングで送信されてもよい。
【0040】
ステップ105において、第1タイヤ通信機4aは、第2トリガ電波Str2内の第1タイヤ通信機4aの通信機IDに基づき、第2トリガ電波Str2を受信する。このとき、第1タイヤ通信機4aは、第2トリガ電波Str2を受信した際の受信信号強度を測定部39で測定する。第1タイヤ通信機4aは、測定した受信信号強度を登録ツール30に通知するにあたり、第2トリガ電波Str2によって指示されたディレイ時間T1の間、待機する。
【0041】
ステップ106において、第2タイヤ通信機4bは、第3トリガ電波Str3内の第2タイヤ通信機4bの通信機IDに基づき、第3トリガ電波Str3を受信する。このとき、第2タイヤ通信機4bは、第3トリガ電波Str3を受信した際の受信信号強度を測定部39で測定する。第2タイヤ通信機4bは、測定した受信信号強度を登録ツール30に通知するにあたり、第3トリガ電波Str3によって指示されたディレイ時間T2の間、待機する。
【0042】
ステップ107において、第1タイヤ通信機4aは、ディレイ時間T1の経過後、応答電波Sresを登録ツール30に送信する。このときに送信される応答電波Sresは、例えば、第1タイヤ通信機4aの通信機IDと、測定部39で測定した受信信号強度のデータとを含む第2応答電波Sres2である。第2応答電波Sres2は、例えば、UHF帯の電波であって、送信アンテナ12bから送信される。
【0043】
ステップ108において、第2タイヤ通信機4bは、ディレイ時間T2の経過後、応答電波Sresを登録ツール30に送信する。このときに送信される応答電波Sresは、例えば、第2タイヤ通信機4bの通信機IDと、測定部39で測定した受信信号強度のデータとを含む第3応答電波Sres3である。第3応答電波Sres3は、例えば、UHF帯の電波であって、送信アンテナ12bから送信される。
【0044】
ステップ109において、登録ツール30、第1タイヤ通信機4a、及び第2タイヤ通信機4bは、前述のステップ104~ステップ108の処理を繰り返す。すなわち、登録ツール30から第2トリガ電波Str2及び第3トリガ電波Str3が周期的に送信されることにより、第1タイヤ通信機4a及び第2タイヤ通信機4bで測定される受信信号強度が収集される。
【0045】
ステップ110において、測定要求部40は、繰り返し処理の終了条件が成立すると、トリガ電波Str(第2トリガ電波Str2、第3トリガ電波Str3)の送信を停止する。繰り返し処理の終了条件は、例えば、登録ツール30において操作終了ボタン(図示略)が操作されたことである。
【0046】
ステップ111において、判定部41は、第1タイヤ通信機4a及び第2タイヤ通信機4bから収集した受信信号強度に基づき、第1タイヤ通信機4a及び第2タイヤ通信機4bの各々が内外輪のどちらに取付けられているのかを判定する。すなわち、判定部41は、第1タイヤ通信機4a及び第2タイヤ通信機4bに対する内外輪の判定を実行する。
【0047】
ところで、登録ツール30を外輪43の側面43aに位置させたとき、第1タイヤ通信機4aは、第2タイヤ通信機4bよりも手前に位置する。このため、登録ツール30を外輪43の側面43aに沿って軸L1回りに一周させたとき、測定される受信信号強度は、奥側の第2タイヤ通信機4bで測定されるものよりも、手前側の第1タイヤ通信機4aで測定されるものの方が大きい値をとる可能性が高い。
【0048】
図6に示すように、受信信号強度に対する発生確率(発生頻度)の変化を表す特性図を図示する。内輪44に取付けられた第2タイヤ通信機4bの場合、低めの受信信号強度の発生確率が高くなる。一方、外輪43に取付けられた第1タイヤ通信機4aの場合、高めの受信信号強度の発生確率が高くなる。
【0049】
このため、判定部41は、第1タイヤ通信機4a及び第2タイヤ通信機4bの受信信号強度の大小の傾向を比較する。この比較するパラメータは、例えば、受信信号強度の平均値や最頻値である。そして、判定部41は、受信信号強度が高めの傾向をとるものを、外輪43に取付けられたタイヤ通信機4と判定する。本例の場合は、第1タイヤ通信機4aが外輪43に取付けられ、第2タイヤ通信機4bが内輪44に取付けられていると判定される。
【0050】
図4に示す通り、ステップ112において、登録部42は、通信機ID及びタイヤ位置の紐付けの判定をし終えると、その判定結果を受信機14に登録する。本例の場合、第5車軸右側ダブルタイヤ26eの登録モード下でタイヤ通信機4の位置登録を実行しているため、内外輪の判定が完了したときには、外輪43に取付く第1タイヤ通信機4aが「第5車軸右側ダブルタイヤ26eの外輪43のタイヤ通信機4」として判定され、内輪44に取付く第2タイヤ通信機4bが「第5車軸右側ダブルタイヤ26eの内輪44のタイヤ通信機4」として判定される。
【0051】
そして、登録部42は、この判定結果を、データ出力部36を通じて受信機14に登録する。すなわち、登録部42は、タイヤ通信機4の通信機IDとタイヤ位置とを紐付けて受信機14のメモリ17に書き込む。
【0052】
第5車軸右側ダブルタイヤ26eのタイヤ通信機4の通信機IDの登録が済むと、登録の順番に従って、今度は第4車軸右側ダブルタイヤ26cについてタイヤ通信機ID登録の作業を実行する。なお、第4車軸右側ダブルタイヤ26cでの登録作業は、第5車軸右側ダブルタイヤ26eでの作業と同様であるので、詳細を省略する。そして、登録順に沿って、シングルタイヤ25及びダブルタイヤ26の各々において登録作業を実行していく。なお、シングルタイヤ25の場合は、通信が確立するタイヤ通信機4が1つのみであるため、通信で得た通信機IDを、そのままタイヤ位置と紐付けて登録する。
【0053】
そして、タイヤ通信機ID登録システム29は、シングルタイヤ25及びダブルタイヤ26の全てで前述の紐付けの作業が済むと、タイヤ通信機ID登録の処理を完了する。なお、タイヤ通信機ID登録の完了は、例えば、表示部18にその旨を表示するなどして作業者に通知されるとよい。
【0054】
(実施形態の効果)
上記実施形態のタイヤ通信機ID登録システム29(タイヤID登録方法、登録ツール30)によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0055】
(1)タイヤ空気圧監視システム1は、車両2の各々のタイヤ3に取付けられたタイヤ通信機4からタイヤ3の空気圧情報Sprを送信させ、空気圧情報Sprを車体5の受信機14で受信してタイヤ3の空気圧を監視する。タイヤ通信機ID登録システム29は、このタイヤ空気圧監視システム1に使用される。タイヤ通信機ID登録システム29は、測定部39、測定要求部40、判定部41、及び登録部42を備える。測定部39は、タイヤ通信機4の位置登録に用いる登録ツール30と車両2のダブルタイヤ26に取付けられたタイヤ通信機4との少なくとも一方に設けられ、タイヤ通信機4及び登録ツール30の間で通信される電波の受信信号強度を測定する。測定要求部40は、登録ツール30がダブルタイヤ26の外輪43の側面43aにおいて周方向に一周操作されるとき、ダブルタイヤ26の内外輪の各々に取付けられたタイヤ通信機4と登録ツール30との間で繰り返し通信される電波の前記受信信号強度を、測定部39に測定させる。判定部41は、測定された受信信号強度に基づき、登録ツール30と通信した各タイヤ通信機4と内外輪との紐付けを判定する。登録部42は、判定部41の判定結果を受信機14に登録する。
【0056】
本構成によれば、登録ツール30をダブルタイヤ26の外輪43の側面43aにおいて周方向に一周させた場合、外輪43のタイヤ通信機4及び登録ツール30の通信で得られる受信信号強度と、内輪44のタイヤ通信機4及び登録ツール30の通信で得られる受信信号強度とは、それぞれ特定の傾向が生じ易い。このため、明確な傾向が生じる受信信号強度から、タイヤ通信機4が内外輪のどちらに取付いているのかを判定することが可能となる。よって、タイヤ通信機4とタイヤ位置との紐付けの登録を精度よく行うことができる。
【0057】
(2)登録ツール30は、外輪43の側面43aで周方向に一周操作される最中、内外輪の各々に取付けられたタイヤ通信機4に対し、応答を要求するトリガ電波Strを送信する。タイヤ通信機4は、トリガ電波Strを受信すると、タイヤ通信機4ごとに設定されたディレイ時間Tの経過後に、登録ツール30に応答電波Sresを送信する。この構成によれば、各タイヤ通信機4は、トリガ電波Strの受信後、応答電波Sresを時間差で送信する。このため、各タイヤ通信機4から登録ツール30に送信される応答電波Sresが衝突し難くなる。よって、測定すべき受信信号強度が欠ける状況が生じ難くなるので、登録精度の向上に一層寄与する。
【0058】
(3)ディレイ時間Tは、ランダムに設定される。この構成によれば、簡易な方法でディレイ時間Tを設定できる。
(4)測定要求部40は、最初、登録ツール30からタイヤ通信機4にトリガ電波Str(第1トリガ電波Str1)を送信して応答させることにより、内外輪の各々に取付けられたタイヤ通信機4の通信機IDを収集する。測定要求部40は、その後の通信において、通信機ID及びディレイ情報を紐付けしたトリガ電波Str(第2トリガ電波Str2、第3トリガ電波Str3)を各タイヤ通信機4に送信することにより、タイヤ通信機4の各々に対し、個別のディレイ時間Tを設定する。この構成によれば、各タイヤ通信機4に異なるディレイ時間Tを設定することが可能となるので、応答電波Sresの衝突を一層生じ難くすることができる。
【0059】
(5)判定部41は、受信信号強度の分布に基づき、高い値の受信信号強度が分布するタイヤ通信機4を、外輪43に取付けられたタイヤ通信機4と判定し、低い値の受信信号強度が分布するタイヤ通信機4を、内輪44に取付けられたタイヤ通信機4と判定する。この構成によれば、受信信号強度の分布を確認するという簡素な方法によって、タイヤ通信機4が内外輪のどちらに取付いているのかを判定することができる。
【0060】
(6)測定要求部40は、ダブルタイヤ26の輪数よりも多いタイヤ通信機4と通信が確立してしまった場合、通信相手の絞り込みを実行することにより、ダブルタイヤ26に取付けられたタイヤ通信機4のみと通信する。この構成によれば、登録に関係のないタイヤ通信機4を判定の対象とせずに済むので、登録精度の向上に一層寄与する。
【0061】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0062】
・登録ツール30を外輪43の側面43aで周方向に回す操作は、複数周実行されてもよい。そして、判定部41は、周ごとの判定結果の一致性を確認することにより、判定結果の確定を実行してもよい。この構成によれば、登録ツール30を周方向に複数回して得られる受信信号強度の傾向から判定を実行するので、正しい判定結果に集束し易くなる。よって、登録精度の向上に一層寄与する。
【0063】
・ステップ103での通信機IDの収集後、登録ツール30で所定の操作(スイッチ操作や画面タッチ操作など)が行われたことを契機に、ステップ104以降の処理が実行されてもよい。
【0064】
・登録ツール30は、例えば、加速度センサ(例えば、ジャイロセンサ等)を備えていてもよい。この場合、例えば登録ツール30の一周操作の開始をジャイロセンサで検知したとき、ステップ104~ステップ108の繰り返し処理が実行されてもよい。
【0065】
・登録開始時、いま登録対象としているタイヤ3がシングルタイヤ25又はダブルタイヤ26のいずれであるのかを登録ツール30に入力する方式としてもよい。この場合は、例えば、ダブルタイヤ26か否かの指定後、登録ツール30を外輪43の側面43aに位置させて操作開始ボタンを操作した後、直ぐに登録ツール30を軸回りに一周操作する作業としてもよい。
【0066】
・ダブルタイヤ26は、駆動部22に設けられてもよい。
・受信信号強度の測定は、タイヤ通信機4ではなく、登録ツール30が実行してもよい。
【0067】
・ディレイ時間Tは、ランダム設定、又は、個別設定のいずれでもよい。
・繰り返し処理の終了条件は、例えば、受信信号強度の発生確率(分布)が増加から下降に転じたことを検出できたこととしてもよい。
【0068】
・登録ツール30は、専用のツールに限定されず、例えば、タイヤ通信機ID登録システム29用のアプリケーションがダウンロードされたモバイル端末やパーソナルコンピュータでもよい。
【0069】
・ダブルタイヤ26は、2輪に限定されず、定義として3輪以上も含む。
・測定部39、測定要求部40、判定部41、及び登録部42は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよいし、[2]そのようなプロセッサと、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は指令を格納している。メモリ(コンピュータ可読媒体)は、汎用、又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。或いは、上記プロセッサを含むコンピュータに代えて、各種処理の全てを実行する1つ以上の専用のハードウェア回路によって構成された処理回路が用いられてもよい。
【0070】
・測定部39、測定要求部40、判定部41、及び登録部42は、独立したプロセッサから構成されてもよいし、機能の一部分が共用のプロセッサから構築されてもよい。このように、測定部39、測定要求部40、判定部41、及び登録部42は、独立した機能ブロックに限らず、1つの機能ブロックから構成されてもよいし、一部分が共用された機能ブロックから構成されてもよい。
【0071】
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0072】
1…タイヤ空気圧監視システム、2…車両、3…タイヤ、4…タイヤ通信機、5…車体、14…受信機、26…ダブルタイヤ、29…タイヤ通信機ID登録システム、30…登録ツール、39…測定部、40…測定要求部、41…判定部、42…登録部、43…外輪、43a…側面、Spr…空気圧情報、Str…トリガ電波、Sres…応答電波、T…ディレイ時間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6