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特開2024-47550極低温流体の生産のための設備およびプロセス
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  • 特開-極低温流体の生産のための設備およびプロセス 図1
  • 特開-極低温流体の生産のための設備およびプロセス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047550
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】極低温流体の生産のための設備およびプロセス
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20240329BHJP
   F25J 1/02 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
F25J1/00 C
F25J1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023125972
(22)【出願日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】2209712
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】エムリーヌ・バンドルー
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・マルタン
(72)【発明者】
【氏名】リュドビック・グラナドス
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マルク・ベルンハルト
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA02
4D047AB07
4D047CA06
4D047CA13
4D047CA17
4D047EA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】極低温流体の生産、とりわけ、液化水素の生産のための設備およびプロセスを提供する。
【解決手段】少なくとも1つのコールドボックス3、4の中に位置決めされている、水素が冷却されるための回路2と熱的に交換している1セットの熱交換器5、6、7を備え、設備1は、予冷デバイス8を備え、ガスが冷却されるための回路を第1の決定された温度に予冷するように構成され、設備は、極低温冷却のためのデバイス9を備え、ガスが冷却されるための回路2を、第1の温度よりも低い第2の決定された温度に冷却するように構成され、サイクルガス冷却ユニット15、16、7および/又はサイクルガス加熱ユニット7、15は、ガスが冷却されるための回路の予冷熱交換器の第1のパーツとは区別される1つ又は複数の第1のサイクル熱交換器を備え、第1のサイクル熱交換器は、予冷デバイスの予冷流体回路18との熱的な交換によって冷却される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温流体、とりわけ、液化水素の生産のための設備であって、前記設備は、ガスが冷却されるための冷却回路(2)を備え、
ガスが冷却されるための前記冷却回路(2)は、上流端部(21)と下流端部(22)とを有しており、前記上流端部(21)は、ガスの供給源に接続されるように設計されており、前記下流端部(22)は、少なくとも1つのレシーバーシステム、例えば、極低温貯蔵ユニットに接続されるように設計されており、
前記設備(1)は、少なくとも1つのコールドボックス(3、4)の中に位置決めされている、水素が冷却されるための前記冷却回路(2)と熱的に交換している1セットの熱交換器(5、6、7)を備え、
前記設備(1)は、前記1セットの熱交換器の少なくとも1つの第1のパーツ(5、6)と熱的に交換している予冷のための予冷デバイス(8)を備え、前記予冷デバイスは、ガスが冷却されるための前記冷却回路(2)を第1の決定された温度に予冷するように構成されており、
また、前記設備(1)は、前記1セットの熱交換器の少なくとも1つの第2のパーツ(7)と熱的に交換している極低温冷却のための極低温冷却デバイス(9)を備え、
前記極低温冷却デバイスは、ガスが冷却されるための前記冷却回路(2)を、前記第1の決定された温度よりも低い第2の決定された温度に冷却するように構成されており、
前記予冷デバイス(8)は、予冷流体閉回路(18)の冷凍機を備え、前記予冷流体閉回路(18)は、予冷流体の圧縮のための圧縮デバイス(28)と、前記予冷流体の膨張のための予冷流体膨張デバイス(38)と、前記予冷流体のための少なくとも1つのサーモサイフォン(48)とを備え、
前記予冷流体閉回路(18)は、前記1セットの熱交換器の前記第1のパーツ(5、6)のうちの少なくとも1つとの熱交換のための1つ又は複数の部分を備え、
前記極低温冷却デバイス(9)は、作業回路(19)の中のサイクルガスの冷凍のためのサイクルを備えた冷凍機を備え、前記サイクルガスは、水素、ヘリウム、ネオンのうちの少なくとも1つを含み、
前記冷凍機(9)の前記作業回路(19)は、前記サイクルガスの圧縮のための圧縮ユニット(29)と、圧縮された前記サイクルガスの冷却のためのサイクルガス冷却ユニット(15、16、7)と、圧縮及び冷却された前記サイクルガスの膨張のための膨張ユニット(39)と、膨張された前記サイクルガスの加熱のためのサイクルガス加熱ユニット(7、15)とを備え、
ここで、前記サイクルガス冷却ユニット(15、16、7)及び/又は前記サイクルガス加熱ユニット(7、15)は、ガスが冷却されるための前記冷却回路(2)の予冷熱交換器の前記第1のパーツ(5、6)とは区別される1つ又は複数の第1のサイクル熱交換器(15、16)を備え、また、これらの第1のサイクル熱交換器(15、16)は、前記予冷流体閉回路(18)において、前記予冷デバイス(8)の前記予冷流体閉回路(18)との熱交換によって冷却されており、
前記予冷デバイス(8)は、前記予冷流体の圧縮のための前記圧縮デバイス(28)を構成する1セットの圧縮機(28)と、前記予冷流体膨張デバイス(38)を形成する1セットの膨張タービン(38)と、前記予冷流体のための少なくとも1つのサーモサイフォン(48)とを備え、
前記少なくとも1つのサーモサイフォン(48)は、ガスが冷却されるための前記冷却回路(2)の1セットの予冷交換器の前記第1のパーツの少なくとも1つの熱交換器(6)と熱交換している前記予冷流体閉回路(18)のループに接続されている入力と出力とを備え、
また、前記予冷デバイス(8)は、前記予冷流体のための予冷流体サーモサイフォン(48)を備え、前記予冷流体サーモサイフォン(48)は、少なくとも1つの第1のサイクル熱交換器(15、16)と熱交換している前記予冷流体閉回路(18)のループに接続されている入力と出力とを有しており、
前記1セットの予冷交換器の前記第1のパーツの少なくとも1つの熱交換器(6)と熱交換している前記予冷流体閉回路(18)のループに接続されている入力と出力とを備える前記サーモサイフォン(48)と、少なくとも1つの第1のサイクル熱交換器(15、16)と熱交換している前記予冷流体閉回路(18)の別のループに接続されている入力と出力とを有する前記予冷流体サーモサイフォン(48)とは、前記予冷流体閉回路(18)の中に並列に位置決めされている2つの区別されたサーモサイフォンである、設備。
【請求項2】
ガスが冷却されるための前記冷却回路(2)の予冷のための前記1セットの熱交換器の前記第1のパーツ(5、6)、前記第1のサイクル熱交換器(15、16)、及び前記予冷デバイス(8)の少なくとも一部(38、48)は、単一の第1のコールドボックス(3)の中に位置決めされていることを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記少なくとも1つのサーモサイフォン(48)は、少なくとも1つの入力と少なくとも2つの出力とを備え、前記2つの出力は、2つの区別された熱交換器(5、6、15、16)とのそれぞれの熱交換のために、前記予冷流体閉回路(18)の2つの区別された部分に接続されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項4】
前記1セットの熱交換器の前記第2のパーツ(7)は、水素が冷却されるための前記冷却回路(2)と前記極低温冷却デバイス(9)の前記作業回路(19)との間の熱交換を保証する少なくとも1つの第2のサイクル熱交換器(7)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の設備。
【請求項5】
前記第2のサイクル熱交換器(7)は、膨張ユニット(39)の中への通過の前のサイクルガスを搬送する前記極低温冷却デバイス(9)の前記作業回路(19)の第1の部分と熱交換し、前記膨張ユニット(39)の中への通過の後のサイクルガスを搬送する前記極低温冷却デバイス(9)の前記作業回路(19)の第2の部分と熱交換していることを特徴とする、請求項4に記載の設備。
【請求項6】
前記第2のサイクル熱交換器(7)は、前記第1のコールドボックス(3)とは区別された第2のコールドボックス(4)の中に位置していることを特徴とする、請求項4又は5に記載の設備。
【請求項7】
前記予冷流体閉回路(18)は、1セットのバルブ(58)及び/又は圧縮機を備え、前記1セットのバルブ(58)及び/又は圧縮機は、異なる圧力において並列に2つのサーモサイフォン(48)の動作圧力を制御するように構成されており、好ましくは、前記サーモサイフォンから来る、及び共通の前記圧縮デバイス(28)から戻る前記予冷流体閉回路の2つのループのフロー圧力を均等化するように構成されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の設備。
【請求項8】
前記予冷流体は、窒素又はMRCタイプの混合物(冷却剤の混合物)のうちの1つを備えるか又はそれによって構成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の設備。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の設備を使用して、極低温流体、とりわけ、液化水素を生産するためのプロセスであって、前記プロセスは、前記予冷デバイス(8)によって、65Kから100Kの間の、好ましくは、77Kから90Kの間の第1の温度に、ガスが冷却されるための前記冷却回路(2)のフローを予冷するステップと、前記予冷デバイス(8)を介して、77Kから90Kの間の温度にサイクル流体を予冷するステップと、前記極低温冷却デバイス(9)を介して、18Kから25Kの間の、好ましくは、20Kから23Kの間の第2の決定された温度に、ガスが冷却されるための前記冷却回路(2)を冷却するステップと、を備える、プロセス。
【請求項10】
ガスが冷却されるための前記冷却回路(2)を第1の決定された温度に予冷するように構成されている少なくとも1つのサイクル熱交換器(15、16)及び/又は少なくとも1つの熱交換器(5、6)は、サーモサイフォン(48)から退出する前記予冷流体閉回路(18)の予冷流体のフローと熱交換しており、前記サーモサイフォンは、1.5バールから3.5バールの間の圧力において、及び80.8Kから89.6Kの間の対応する温度において動作することを特徴とする、請求項9に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温流体の生産のための設備およびプロセスに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、極低温流体、とりわけ、液化水素の生産のための設備であって、設備は、ガスが冷却されるための回路を備え、ガスが冷却されるための回路は、上流端部と下流端部とを有しており、上流端部は、ガスの供給源に接続されるように設計されており、下流端部は、少なくとも1つのレシーバーシステム、たとえば、極低温貯蔵ユニットに接続されるように設計されており、設備は、少なくとも1つのコールドボックスの中に位置決めされている、水素が冷却されるための回路と熱的に交換している1セットの熱交換器を備え、設備は、1セットの熱交換器の少なくとも1つの第1のパーツと熱的に交換している予冷のためのデバイスを備え、デバイスは、ガスが冷却されるための回路を第1の決定された温度に予冷するように構成されており、また、設備は、1セットの熱交換器の少なくとも1つの第2のパーツと熱的に交換している極低温冷却のためのデバイスを備え、デバイスは、ガスが冷却されるための回路を、第1の温度よりも低い第2の決定された温度に冷却するように構成されており、予冷デバイスは、予冷流体閉回路冷凍機を備え、回路は、予冷流体の圧縮のためのデバイスと、予冷流体の膨張のためのデバイスと、予冷流体のための少なくとも1つのサーモサイフォンとを備え、前記回路は、1セットの熱交換器の第1のパーツのうちの少なくとも1つと熱的に交換している1つまたは複数の部分を備え、極低温冷却デバイスは、作業回路の中のサイクルガスの冷凍のためのサイクルを備えた冷凍機を備え、サイクルガスは、水素、ヘリウム、ネオンのうちの少なくとも1つを備え、冷凍機の作業回路は、サイクルガスの圧縮のためのユニットと、圧縮されたサイクルガスの冷却のためのユニットと、圧縮および冷却されたサイクルガスの膨張のためのユニットと、膨張されたサイクルガスの加熱のためのユニットとを備える、設備に関する。
【背景技術】
【0003】
水素の液化のためのプロセスは、2つの連続したパーツ:1)予冷と、2)液化を保証する冷却とに分割されている。予冷は、予冷デバイスによって実施されることが可能であり、予冷デバイスは、たとえば、コールドボックスの中で窒素サイクル(または、別の予冷流体)を使用する。窒素サイクルの最適化は、コールドボックスのコンパクトさと性能(消費される電力)との間の妥協点である。
【0004】
予冷は、一般的に、適当な熱力学サイクルを介して冷温を作り出す閉じられた予冷流体ループを使用する予冷デバイスを介して実施される。冷温は、たとえば、予冷流体のフローの膨張のためのタービンによって作り出される。冷却されることとなる水素は、最終的な予冷交換器においてサブクールされ、コールド端部におけるその温度は、予冷流体のためのサーモサイフォンのおかげで効率的に制御される。また、液化を保証する液化サイクルの流体は、予冷ユニットの主交換器において予冷される。
【0005】
この公知の解決策は、予冷コールドボックスの中に大型の熱交換器を提供することを必要にする。対応するコールドボックスは、容積が大きい。そのうえ、エネルギー効率は、最適ではない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、先行技術の上述の不利益のうちのいくつかまたはすべてを排除することである。
【0007】
この目的のために、本発明による設備(それは、そのうえ、上記のプリアンブルによって与えられる一般的な定義に適合している)は、サイクルガス冷却ユニットおよび/またはサイクルガス加熱回路が、ガスが冷却されるための回路の予冷熱交換器の第1のパーツとは区別される1つまたは複数の第1のサイクル熱交換器を備え、これらの第1のサイクル熱交換器は、また、予冷デバイスの予冷流体回路との熱的な交換によって冷却されるということを実質的に特徴とする。
【0008】
加えて、本発明の実施形態は、以下の特性のうちの1つまたは複数を備えることが可能である:
- 第1のサイクル熱交換器は、サーモサイフォンから退出する回路の予冷流体フローと熱的に交換している少なくとも1つの熱交換器とを備える;
- ガスが冷却されるための回路の予冷のための1セットの熱交換器の第1のパーツ、第1のサイクル熱交換器、および、予冷デバイスの少なくとも一部は、単一の第1のコールドボックスの中に位置決めされている;
- 予冷流体回路において、予冷デバイスは、予冷流体の圧縮のためのデバイスを構成する1セットの圧縮機と、予冷流体膨張デバイスを形成する1セットの膨張タービンと、予冷流体のための少なくとも1つのサーモサイフォンとを備え、少なくとも1つのサーモサイフォンは、ガスが冷却されるための回路の1セットの予冷交換器の第1のパーツの少なくとも1つの熱交換器と熱的に交換している予冷流体回路のループに接続されている入力と出力とを備える;
- 予冷デバイスは、少なくとも1つの第1のサイクル熱交換器と熱的に交換している予冷流体回路のループに接続されている入力と出力とを備えた予冷流体のためのサーモサイフォンを備える;
- サーモサイフォンは、1セットの予冷交換器の第1のパーツの少なくとも1つの熱交換器と熱的に交換している予冷流体回路のループに接続されている入力と出力とを備え、少なくとも1つの第1のサイクル熱交換器と熱的に交換している予冷流体回路の別のループに接続されている入力と出力とを有する予冷流体サーモサイフォンは、予冷流体回路の中に並列に位置決めされている2つの区別されたサーモサイフォンである;
- 少なくとも1つのサーモサイフォンは、少なくとも1つの入力と少なくとも2つの出力とを備え、2つの出力は、2つの区別された熱交換器とのそれぞれの熱的な交換のために、予冷流体回路の2つの区別された部分に接続されている;
- 1セットの熱交換器の第2のパーツは、水素が冷却されるための回路と極低温冷却デバイスの作業回路との間の熱的な交換を保証する少なくとも1つの第2のサイクル熱交換器を備える;
- 第2のサイクル熱交換器は、膨張ユニットの中への通過の前のサイクルガスを搬送するデバイスの作業回路の第1の部分と、前記膨張ユニットの中への通過の後のサイクルガスを搬送するデバイスの作業回路の第2の部分と熱的に交換している;
- 第2のサイクル熱交換器は、第1のコールドボックスとは区別された第2のコールドボックスの中に位置している;
- 予冷流体は、窒素または「MRC」タイプの混合物のうちの1つを備えるかまたはそれによって構成されている。
【0009】
また、本発明は、上記または下記に説明されている特性のいずれかによる設備を使用して、極低温流体、とりわけ、液化水素の生産のためのプロセスに関し、プロセスは、予冷デバイスによって、65Kから100Kの間の、好ましくは、77Kから90Kの間の第1の温度に、ガスが冷却されるための回路のフローを予冷するステップと、予冷デバイスを介して、77Kから90Kの間の温度に、サイクル流体を予冷するステップと、極低温冷却デバイスを介して、18Kから25Kの間の、好ましくは、20Kから23Kの間の第2の決定された温度に、ガスが冷却されるためのガス回路を冷却するステップとを備える。
【0010】
他の可能な際立った特徴によれば、
- ガスが冷却されるための回路を第1の決定された温度に予冷するように構成されている少なくとも1つのサイクル熱交換器および/または少なくとも1つの熱交換器は、サーモサイフォンから退出する回路の予冷流体のフローと熱的に交換しており、サーモサイフォンは、1.5バールから3.5バールの間の圧力において、および、80.8Kから89.6Kの間の対応する温度において動作する。
【0011】
また、本発明は、特許請求の範囲の文脈において上記または下記に説明されている特性の任意の組み合わせを備える任意の代替的なデバイスまたはプロセスに関することも可能である。
【0012】
さらなる特定の特徴および利点は、図を参照して提供される以下の説明を読むと明らかになることとなる。
【0013】
本発明は、以下の説明を読むことからより良好に理解されることとなり、以下の説明は、単なる例としておよび添付の図面を参照して与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】設備の第1の例の構造および動作の例を図示する概略部分図。
図2】設備の第2の例の構造および動作の例を図示する概略部分図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図の全体を通して、同じ参照符号は、同じエレメントに関する。
【0016】
この詳細な説明において、以下の実施形態は、例である。説明は1つまたは複数の実施形態に言及しているが、これは、特性が単一の実施形態のみに適用されるということを意味するものではない。異なる実施形態の簡単な特性は、特許請求の範囲の文脈において他の実施形態を提供するために、組み合わせられおよび/または相互交換されることが可能である。
【0017】
図1]に概略的に図示されている極低温流体の生産のための設備1は、ガス(とりわけ、水素)が冷却/液化されるための回路2を備える。ガスが冷却されるためのこの回路2は、上流端部21と下流端部22とを有しており、上流端部21は、ガスの供給源に接続されるように設計されており、下流端部22は、少なくとも1つのレシーバーシステム(たとえば、液化ガス極低温貯蔵ユニット)に接続されるように設計されている。
【0018】
設備1は、1セットの熱交換器5、6、7を備え、それは、少なくとも1つのコールドボックス3、4の中に位置決めされており、水素が冷却されるための回路2と熱的に交換している。
【0019】
設備1は、1セットの熱交換器(または、ガスが冷却されるための回路2の予冷のための交換器5、6)の少なくとも1つの第1のパーツ5、6と熱的に交換している予冷デバイス8を備える。予冷デバイス8は、ガスが冷却されるための回路2を第1の決定された温度に(たとえば、65Kから100Kの間に、好ましくは、77Kから90Kの間に)冷却するように構成されている。
【0020】
また、設備1は、1セットの熱交換器の少なくとも1つの第2のパーツ7(さらに下流)と熱的に交換している極低温冷却のためのデバイス9を備える。冷却デバイス9は、ガスが冷却されるための回路2を、第1の温度から、第1の温度よりも低い第2の決定された温度に(たとえば、18Kから25Kの間に、好ましくは、20Kから23Kの間に)冷却するように構成されている。
【0021】
図示されているように、1セットの熱交換器のこの第2のパーツ7は、水素が冷却されるための回路2と以降で説明されている極低温冷却デバイス9の作業回路19との間の熱的な交換を保証する少なくとも1つの第2のサイクル熱交換器7を備える。
【0022】
予冷デバイス8は、たとえばSongwut Krasae-inによる博士論文(「Efficient Hydrogen Liquefaction Processes」ISBN978-82-471-1869-6.r、43ページおよび44ページ)に提案されているコンポーネントから構成された予冷流体(たとえば、窒素)または冷却剤流体の混合物(MRC:mixture of refrigerant fluids)のための閉回路冷凍機18を備える。回路18は、直列におよび/または並列に位置決めされており、予冷流体の圧縮のためのデバイス28(直列および/または並列になった1つまたは複数の圧縮機)と、予冷流体の膨張のためのデバイス38(直列および/または並列になった1つまたは複数のタービンまたはバルブ)と、予冷流体のための少なくとも1つのサーモサイフォン48とを備える。
【0023】
回路18は、1セットの熱交換器の第1のパーツ5、6の少なくとも1つの熱交換器との熱的な交換のための1つまたは複数の部分を備える。
【0024】
したがって、予冷流体は、回路18において圧縮-冷却-膨張-加熱のサイクルを受け、それは、ガスが冷却されるための回路2と熱的に交換した状態に置かれている回路の少なくとも1つの端部において、コールドパワーを作り出す。
【0025】
とりわけ、ガスが冷却されるための回路2は、少なくとも1つの最終的な交換器6(上流から下流に向かう最終的なもの)において予冷され、コールド端部におけるその温度は、サーモサイフォン48によって発生させられる予冷流体のフローのおかげで効率的に制御されることが可能である。
【0026】
サーモサイフォン48は、膨張-収縮および浮力に基づく流体(ガスおよび/または液体)の循環のためのシステムであり、循環は、進入/退出する流体の異なるフローの間の温度の差によって保証される。
【0027】
サーモサイフォン48は、たとえば、ガスが冷却されるための回路2の少なくとも1つの予冷熱交換器6と熱的に交換している予冷流体回路18のループに接続されている少なくとも1つの入力と1つの出力とを備える。サーモサイフォン48は、たとえば、下側流体入力と、流体の加熱のための内側チャンバーと、このチャンバーの上部に位置決めされている垂直ダクト(ベント)と、入力の軸線に対して垂直方向になっている流体出力とを備える。
【0028】
極低温冷却デバイス9は、その一部に関して、作業回路19の中のサイクルガスのための冷凍サイクル冷凍機を備える。サイクルガスは、好ましくは、水素、ヘリウム、ネオンのうちの少なくとも1つを備える。
【0029】
冷凍機9の作業回路19は、好ましくは、閉じられており、また、サイクルガスの圧縮のためのユニット29(直列および/または並列になった1つまたは複数の圧縮機)と、圧縮されたサイクルガスの冷却のためのユニット15、16、7(1つまたは複数の熱交換器)と、圧縮および冷却されたサイクルガスの膨張のためのユニット39(直列および/または並列になった1つまたは複数のタービンまたはバルブ)と、膨張されたサイクルガスの加熱のためのユニット7、15(直列および/または並列になった1つまたは複数の圧縮機)とを備える。
【0030】
したがって、作業流体は、圧縮-冷却-膨張-加熱のサイクルを受け、それは、回路19の少なくとも1つの端部においてコールドパワーを作り出し、回路19は、ガスを液化する目的のためにガスが冷却されるための回路2と熱的に交換した状態に置かれている。
【0031】
図示されているように、サイクルガスの冷却のためのユニット15、16、7、および、サイクルガスの加熱のためのユニット7、15は、1つまたは複数の熱交換器(好ましくは、向流)を備えることが可能であり、比較的に冷温のフローと高温のフローとの間の熱的な交換を保証する(それらのそれぞれの加熱および冷却を保証するために)。
【0032】
とりわけ、サイクルガスの予冷および/またはサイクルガスの加熱のために、冷凍機9は、1つまたは複数の第1のサイクル熱交換器15、16を備え、それらは、ガスが冷却されるための回路2を予冷するように構成されている熱交換器の第1のパーツ5、6とは区別されている。
【0033】
加えて、これらの第1のサイクル熱交換器15、16は、予冷デバイス8の予冷流体の回路18との熱的な交換によって冷却されている。
【0034】
換言すれば、ガス(たとえば、水素)が冷却されるための回路2の予冷、および、サイクルガス(たとえば、ヘリウムをベースとする)の予冷は、別個の区別された交換器における予冷流体回路(たとえば、窒素をベースとする)によって実施される。
【0035】
換言すれば、冷凍機サイクル9の作業流体は、少なくとも1つの第1の専用のサイクル熱交換器15、16において予冷され、それは、冷却されることとなる流体の回路2とは交換しない。
【0036】
加えて、このサイクルガスは、熱交換器16において予冷されることが可能であり、コールド端部におけるその温度は、サーモサイフォン48(好ましくは、ガス回路2の予冷を保証する、以前に説明されたサーモサイフォン48とは区別されるサーモサイフォン48)によって発生させられる予冷流体のフローによって効率的に制御されることが可能である。
【0037】
したがって、および、表されているように、第1のサイクル熱交換器15、16に関連付けられるサーモサイフォン48、および、ガスが冷却されるための回路2の少なくとも1つの予冷交換器に関連付けられるサーモサイフォン48は、区別されることが可能であり、たとえば、予冷流体回路18において並列におよび/または直列に位置決めされることが可能である。
【0038】
したがって、専用の熱交換器における予冷流体による冷凍機9のサイクルガスの予冷(冷却されることとなる回路2の予冷とは区別される)は、水素が冷却されるための回路2の予冷および冷凍機9のサイクルガスの予冷を最大化することを可能にする。
【0039】
図示されているように、その膨張および冷却されることとなるガスの回路2とのその熱的な交換の後に、冷凍機9のサイクルガスは、圧縮ユニット29に向けて戻ることによって、(圧縮ユニット28に戻る前に)熱交換器15における予冷流体にキログラムカロリーを生み出すことが可能である。
【0040】
図示されているように、サーモサイフォン48は、少なくとも1つの入力と少なくとも2つの出力とを備えることが可能であり、2つの出力は、関係する熱交換器5、6、15、16と熱的に交換している予冷流体回路18の2つの区別された部分に接続されている。
【0041】
予冷流体のためのサーモサイフォン48は、たとえば、少なくとも1つの第1のサイクル熱交換器15、16と熱的に交換している予冷流体回路18のループに接続されている少なくとも1つの入力と1つの出力とを有している。
【0042】
換言すれば、第1の熱交換器15、16は、サーモサイフォン48から退出する回路18の予冷流体のフローと熱的に交換する少なくとも1つの熱交換器を備える。
【0043】
少なくとも1つの交換器16に接続されているサーモサイフォン48は、冷凍機9のサイクル流体の温度を効率的に制御することを可能にする。
【0044】
予冷液体は、予冷デバイス8によって作り出される。液体予冷流体は、サーモサイフォン48に送られる前に、タービン38またはバルブにおいて膨張されることが可能である。設備が複数のサーモサイフォン48を備えるケースでは、サーモサイフォン48の中の圧力同士は、異なっていることが可能である。サーモサイフォン48によっておよび膨張デバイス38によって作り出された低圧予冷流体は、熱交換器(一方では、回路2の予冷熱交換器5、6、および、他方では、冷凍機回路9の熱交換器15、16)のうちのいくつかまたはすべてと熱的に交換した状態に置かれることが可能である。比較的に冷温の冷却流体のこのフローまたはこれらのフローは、冷却されることとなるガス2とサイクルガスとを冷却するために、関係する交換器にキログラムカロリーをそれぞれ生み出す。このように加熱された冷却流体は、予冷デバイス8の同じ圧縮機28の入力に送られ、新しいサイクルが始まることが可能である。
【0045】
ガスが冷却されるための回路2の予冷のために、および、(それぞれの分離された予冷フローによる)作業ガスのための回路19の予冷のために、分離された交換器をそれぞれ備えたこの構成は、先行技術のものより相対的に小さいサイズを有するコールドボックス3交換器において使用することを可能にする。加えて、ガスが冷却されるための回路2の予冷のための、および、冷凍機9のサイクル流体のための、デバイス8のコールドパワーのこの別個の分配は、設備の全体的な効率を増加させる。
【0046】
冷凍機9のサイクルガスの予冷のためにサーモサイフォン48を使用することは、冷凍機9のサイクルガスをより低い温度に予冷することを可能にする。これは、コールドボックス4において回路2の冷却されることとなるガスの液化のためのエネルギー消費を減少させることを可能にする。液体予冷流体の温度がサーモサイフォン48の中の圧力によって制御されるので、温度は低下されることが可能である。加えて、熱的な交換は、専用の交換器6、16において、より大きくなっていることが可能である。
【0047】
図示されているように、ガスが冷却されるための回路2の予冷のために構成されている熱交換器5、6、第1のサイクル熱交換器15、16、および、予冷デバイス8の少なくとも一部38、48(コールドエレメント:タービン、サーモサイフォン、コールドダクト、コールドバルブなど)は、単一の第1の予冷コールドボックス3の中に位置決めされている。
【0048】
この第1のコールドボックス3は、好ましくは、真空の下で熱的に絶縁されているか、または、パーライト(もしくは、別の絶縁体)によって熱的に絶縁されており、たとえばガス(たとえば、窒素など)によって掃気される。
【0049】
ガスが冷却されるための回路2のガスを液化するために提供される第2のサイクル熱交換器7は、好ましくは、第1のコールドボックス3(真空の下でまたは別の手段によって熱的に絶縁されている)とは区別される第2のコールドボックス4の中に位置している。また、この第2のコールドボックス4は、好ましくは、関連の極低温コンポーネント(タービン、バルブなど)を含有している。
【0050】
図示されているように、最終的な第2のサイクル熱交換器7は、膨張ユニット39(タービン39)の中への通過の前のサイクルガスを搬送するデバイス9の作業回路19の第1の部分と、前記膨張ユニット39の中への通過の後のサイクルガスを搬送するデバイス9の作業回路19の第2の部分と熱的に交換していることが可能である。換言すれば、サイクル交換器7は、冷凍機9の作業回路19の複数の通路を備えることが可能である。
【0051】
2つのサーモサイフォン48を並列に配置することは、異なる圧力においてこれらの2つのサーモサイフォンを動作させることを可能にすることができ、予冷サイクルにおける負荷の損失(圧縮機28の入力に関する限り)が、(ガスが冷却されるための回路2と熱的に交換5、6している予冷回路の側において、および、第1のサイクル交換器の液化サイクルとの熱交換15、16の側において)回路の両方の分岐において同一になるようになっている。
【0052】
加えて、この配置によれば、冷凍機の第1のサイクル交換器15、16と熱的に交換しているサーモサイフォン48の側における圧力を減少させることが可能である。これは、比較的にわずかに多くサイクルガスを予冷することを可能にする。これは、設備の性能および全体的な制御を改善することを可能にする。
【0053】
予冷流体回路18は、好ましくは、2つのサーモサイフォン48の動作圧力を並列に制御することを可能にする1セットのバルブを備える。たとえば、2つのバルブ58は、サーモサイフォン48の中への流体の入力をそれぞれ制御する(たとえば、ジュールトムソンタイプのバルブ)。
【0054】
変形例として、または、組み合わせて、1つのバルブ/複数のバルブが、圧縮デバイスの入力における圧力を調整するために(回路の2つのループのフローが共通の圧縮機28の入力において同じ圧力に戻ることを保証するために)、圧縮機28から上流において予冷流体回路18の中に提供されることが可能である。
【0055】
変形例として、または、組み合わせて、第2のサーモサイフォン48(冷凍機9の第1の交換器15に関連付けられる)は、亜大気圧圧縮機(sub-atmospheric compressor)に接続されることが可能であり、亜大気圧圧縮機は、その中の圧力をさらに減少させるように構成されている。
【0056】
図2]は、第2のサーモサイフォン48を圧縮器官(compression organ)28の入口部にリンク接続する導管の上に亜大気圧圧縮機68を備えたこの変形例を開示している。
【0057】
破線で図示されているように、圧縮機28は、タービン38(ターボ圧縮機)に連結されることが可能である。
【0058】
変形例として、または、組み合わせて(図示されていない)、第2のサーモサイフォン48(サイクル16の熱交換器に関連付けられる)に給送するフローは、第1のサーモサイフォン48(予冷熱交換器に関連付けられる)によって予冷されることが可能である。すなわち、第2のサーモサイフォン48に給送する導管は、少なくとも1つの予冷熱交換器と熱交換する前にある。この構成では、2つのサイクルの間の冷温の分配は、変化されることが可能である。第1のサーモサイフォン48(予冷にリンクされる)は、たとえば、より多くの流体フローと利用可能なより多くの予冷パワーとを処理することとなる。
図1
図2
【外国語明細書】