(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047554
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】散乱放射線量の推定
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
A61N5/10 P
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023134303
(22)【出願日】2023-08-22
(31)【優先権主張番号】10 2022 210 139.1
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】516308401
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】アロイス レーゲンスブルガー
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC01
4C082AN02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】散乱放射線量を推定する方法を提供する。
【解決手段】散乱放射線量を推定するために、放射線源(4)の予め規定された使用時に放射線源(4)の周辺に予測される散乱放射線の空間分布を示す散乱放射線モデルを備える。モバイル電子機器(6)により、放射線源(4)に対するモバイル電子機器(6)の位置が決定される。モバイル電子機器(6)により、散乱放射線モデルに依存してかつ決定された位置に依存して、放射線源(4)の使用時に予測される散乱放射線の少なくとも1つの線量値が決定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源(4)の予め規定された使用中に、前記放射線源(4)の周辺に予測される散乱放射線の空間分布を示す散乱放射線モデルを備える散乱放射線量の推定方法において、
- ユーザ(12)のモバイル電子機器(6)により前記放射線源(4)に対する前記モバイル電子機器(6)の位置を決定し、
- 前記モバイル電子機器(6)により、前記散乱放射線モデルに依存してかつ前記決定された位置に依存して、前記放射線源(4)の使用によって予測される前記散乱放射線の少なくとも1つの線量値を決定する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの線量値を決定するために、前記モバイル電子装置上に専ら保存される前記ユーザに関する情報も考慮に入れられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの線量値が
- 前記放射線源(4)の使用時に実際に予測される線量率および/または予め規定された将来の時点で予測される線量率を含むか、または
- 現在予測される線量率および/または予め規定された将来時点で予測される線量率に依存して決定される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの線量値が
- 前記放射線源(4)の使用時に予測される以前の線量および/または前記放射線源(4)の使用時に予測される将来の線量を含むか、または
- 前記以前の線量および/または前記将来の線量に依存して決定される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
- 前記放射線源(4)に対する前記モバイル電子機器(6)の位置を前記モバイル電子機器(6)を用いて複数の時点において決定し、
- 前記複数の時点のそれぞれについて、前記モバイル電子機器(6)により、その都度規定された前記位置に依存してかつ前記散乱放射線モデル(4)に依存して、対応する時点における前記放射線源の使用に依存して予測される線量率を決定し、
- 前記複数の時点について決定された前記線量率に依存して、前記以前の線量および/または前記将来の線量が決定される、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
- 前記モバイル電子機器(6)の受信ユニット(9b)により、前記周辺に分布された複数の送信ユニット(11a,11b,11c)のそれぞれの無線信号を受信し、
- 前記モバイル電子機器(6)の位置を前記受信した無線信号に依存して決定する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
- 前記モバイル電子機器(6)を使用して、周辺にある1つ以上の参照対象物(10a、10b、10c)をマッピングする画像データを生成し、
- 前記モバイル電子機器(6)の位置を前記画像データに依存して決定する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
- 前記モバイル電子機器(6)の少なくとも1つの傾斜センサおよび/または加速センサによってセンサデータを生成し、
- 前記モバイル電子機器(6)の位置を前記センサデータに依存して決定する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
- 前記モバイル電子機器(6)の位置に依存して前記モバイル電子機器(6)の位置とは異なる前記ユーザ(12)の位置を決定し、
- 前記ユーザ(12)の位置に対して予測される少なくとも1つの線量値を決定する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
- 前記モバイル電子機器(6)の位置に依存して三次元空間領域を決定し、
- 前記モバイル電子機器(6)を用いて、前記三次元空間領域の複数の点ごとに局所線量率および/または局所線量を決定し、
- 前記モバイル電子機器(6)を用いて、前記局所線量率および/または前記局所線量を加算し、前記少なくとも1つの予測される線量値を決定する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記モバイル電子機器(6)を用いて、前記少なくとも1つの線量値に依存してかつ前記散乱放射線モデルに依存して、前記ユーザ(12)により前記放射線源(4)の使用時に吸収される散乱放射線量が減ぜられる前記放射線源(4)の周辺のさらなる位置または領域を決定する、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
- 前記モバイル電子機器(6)を使用して、前記ユーザ(12)をマッピングするさらなる画像データを生成し、
- 前記モバイル電子機器(6)を使用して、前記さらなる画像データに基づいてユーザモデルを作成するかまたは調整し、
- 予測される少なくとも1つの線量値を前記ユーザモデルに依存して決定する、
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
放射線源(4)の所定の使用時に放射線源の周辺に予測される散乱放射線の空間分布を示す散乱放射線モデルを記憶する記憶媒体(8)を有する散乱放射線線量の推定システムにおいて、
- 前記システムが前記放射線源(4)に対するその位置を規定するように構成されたモバイル電子機器(6)を備え、
- 前記モバイル電子機器(6)が、前記散乱放射線モデルに依存してかつ前記モバイル電子機器(6)の前記規定された位置に依存して、前記放射線源(4)の使用時に予測される散乱放射線の少なくとも1つの線量値を決定するように構成されている、
ことを特徴とする散乱放射線線量の推定システム。
【請求項14】
前記モバイル電子機器(6)が、前記モバイル電子機器上に専ら記憶されている前記ユーザに関する情報に依存して、前記少なくとも1つの線量値を決定するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記モバイル電子機器(6)が、
- 前記周辺に分布されている複数の送信ユニット(11a、11b、11c)からのその時の無線信号を受信するための受信ユニット(9b)を有し、受信した無線信号に依存して前記モバイル電子機器(6)の位置を決定するように構成され、および/または
- 前記周辺にある1つ以上の基準対象物(10a、10b、10c)をマッピングする画像データを生成するように構成されたカメラ(9a)を有し、前記画像データに依存して前記モバイル電子機器(6)の位置を決定するように構成されている、
請求項13または14に記載のシステム。
【請求項16】
- 前記モバイル電子機器(6)は、センサデータを生成するように構成された少なくとも1つの傾斜センサおよび/または加速センサを有し、
- 前記モバイル電子機器(6)は、前記センサデータに依存して前記モバイル電子機器(6)の位置を決定するように構成されている、
請求項13から15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
請求項13から16のいずれか1項に記載のシステムで実行する際に、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法を実行する指令を備えたコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散乱放射線量を推定する方法に関し、ここでは散乱放射線モデルを備えるが、これは放射線源の予め規定された使用中に放射線源の周辺に予測される散乱放射線の空間分布を示すものである。さらに本発明は、散乱放射線量を推定するための対応システムおよびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばX線源などの放射線源、あるいは例えばアルファ線、ベータ線、ガンマ線、イオン線、陽子線または中性子線を使用するまたは画像形成または放射線治療のための他のモダリティは、通常は放射線を検査または治療すべき領域だけでなく、放射線源の周辺にも特に散乱放射線として放出される。これは、医療スタッフのような放射線源の周辺にいる人に健康被害をもたらす可能性がある。したがって、放射線源の周辺にいる人に、散乱放射線への被ばくに関する情報を提供することが望ましい。例えばこのようにすれば人が高い被ばく領域を避けることが可能となり、医療スタッフの線量認識を高めることが可能となる。
【0003】
いわゆる個人用線量計を備えることが知られており、これは放射線源の周辺にいる人が携帯することができ、個人用線量計の位置に実際に到達する線量を測定することができる。この線量計は散乱放射線の直接測定に基づいているため、放射線源の特性や使用する放射線の種類、放射線のエネルギースペクトルなどの放射線源の動作パラメータを考慮することは容易ではない。このためユーザに関連情報を直ちに提供することが困難になる。さらに測定値は、将来予測される線量値を推定する可能性や、場合によっては使用期間全体を通じて予測される総線量を推定する可能性をもたらさない。
【0004】
さらに放射線源の所定の使用中に放射線源の周辺に予測される散乱放射線の空間的および/または時間的分布、特に散乱放射線の対応する線量率を提供する、線量モデルとも呼ばれる散乱放射線モデルを作成することが知られている。非特許文献1および2には、X線装置の周辺に対する包括的な放射線リスクマップを提供するために、無線線量計からのデータと放射線伝播のシミュレーションを組み合わせたアプローチを提案している。このために、室内の3D点群再構成を得るためにマルチカメラシステムが用いられている。次に患者テーブル、X線装置および治療医の位置を用いて、実際の周辺における放射線の伝播をシミュレートし、得られた3Dリスクマップを拡大現実様式でシナリオ上に重ね合わせる。無線線量計によりシミュレーションを校正するか、その精度を有効化する。
【0005】
この場合の欠点は、リスク分布を人に可視化することはできるが、この方法では現時点あるいは将来に実際に予測される放射線被ばく量の推定ができないことである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】N.L.Rodas et al: “3D global estimation and augmented realty visualization of intra-operative X-ray dose.”, Medical image computing and computer-assisted intervention, 17(Pt 1):415-22(2014)
【非特許文献2】N.L.Rodas et al: “Seeing is believing: increasing intraoperative awareness to scattered radiation in interventional procedures by combining augmented reality, Monte Carlo simulations and wireless dosimeters.”, International Journal of Computer Assisted Radiology and Surgery volume 10, 1181-1191 (2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、散乱放射線の物理的パラメータの特定の測定に頼らない放射線源からの散乱放射線量を推定するための可能性を開示すること、およびユーザに予測される線量値を位置に関連して提示することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、独立請求項の各内容によって解決される。有利な発展および実施形態は、従属請求項の対象である。
【0009】
本発明は、ユーザのモバイル電子機器を利用して、モバイル電子機器の位置を自己特定し、それによって決定されるモバイル電子機器の位置と所定の散乱放射線モデルに基づいて、モバイル電子機器によって予測される散乱放射線の少なくとも1つの線量値を決定する、という考えに基づいている。
【0010】
本発明の一態様によれば、散乱放射線の線量を推定する方法が開示される。この方法では、散乱放射線モデルを備え、これは放射線源の所定の使用時に放射線源の周辺で予測される散乱放射線の空間分布を示す、換言すれば記述するようにする。ユーザのモバイル電子機器、特に専らモバイル電子機器により、放射線源に対するモバイル電子機器の位置が決定される。モバイル電子機器、特にモバイル電子機器のみにより、散乱放射線モデルに依存してかつモバイル電子機器の決定された位置に依存して、放射線源の使用時に予測される、特に、現在および/または将来に予測される、散乱放射線の少なくとも1つの線量値が決定される。
【0011】
モバイル電子機器がユーザに属する電子機器であるので、モバイル電子機器の位置が、ユーザの位置を少なくとも近似的に推察できると解釈することができる。すなわちモバイル電子機器は、特にユーザによって携行されるものである。これは、ユーザの位置が変化すると、一般に、モバイル電子機器の位置も変化すると解釈される。モバイル電子機器の位置とユーザの位置との関係は、例えば適切なモデル仮定から導き出すことができる。特にモバイル電子機器の位置とユーザの位置を同等とすること、またはモバイル電子機器の位置とユーザの位置との間に一定の固定変位を取ることも可能である。
【0012】
モバイル電子機器とは、特に携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、いわゆるスマートウォッチ、または他のいわゆるウェアラブル装置のような、無線データ通信のための電子端末とすることができる。
【0013】
散乱放射線モデルは、散乱放射線の物理量、特に散乱放射線の線量率または放射線エネルギーまたは線量エネルギーを示すような方法で、放射線源の周辺における散乱放射線の分布を示し、またオプションとして時間にも依存して、放射線源の予め規定された使用に従って位置または時間に関連して示すように、放射線源の周辺の散乱放射線の分布を示す。
【0014】
ここで線量という用語は、放射線量という用語に相当するものとして用いられる。線量率などそれから導かれる用語についても同様である。実施形態または散乱放射線モデルの具体的な設定状況に依存して、線量はグレイまたはシーベルトでの等価線量に相応し得る。
【0015】
散乱放射線という用語は、放射線源によって生成される放射線成分を意味するものと理解することができ、それらは検査または治療を受ける対象物、例えば患者の領域に放出されないかまたはこれに限定されない成分を意味する。
【0016】
散乱放射線モデルは、周知のように(冒頭に提示した文献参照)、放射線源の放射線の種類、放射線源によって生成される放射線のエネルギースペクトル、室内の放射線源の位置の変化を時間などの関数として考慮に入れて作成することができる。散乱放射線モデルを作成する際には、被験対象物または処置すべき対象物の放射線源に対する位置および/または方向、対象物の空間的面積および/または材料特性も同様に考慮される。
【0017】
従って散乱放射線モデルは、放射線源の周辺の予め定められた領域内の各個所に対して、ここではまた以下では放射線源の周辺と称すべき箇所で論ずべきまたは連続的に呈示すべきまたは限定すべき箇所に対して、放射線源の使用時に予測される散乱放射線の物理的特性を場合によっては時間に関連して提示する。
【0018】
散乱放射線モデルが、放射線源の使用時の散乱放射線の分布を示すことができるということは、特に、使用される放射線のエネルギースペクトル、放射線源の移動軌道、その使用期間またはその個々のセクション、検査プロトコルのその他の詳細、X線加速電圧、記録形態、設定患者線量など、放射線源の使用の1つ以上のパラメータが、放射線モデルによって考慮されることを意味するものとすることができる。
【0019】
放射線源は種々に形成することができる。放射線源は好適にはX線源である。しかしながら放射線源が他の種類の電離放射線、例えばアルファ放射線、ベータ放射線、ガンマ放射線、イオン放射線、陽子放射線または中性子放射線を放出するように構成することも可能である。
【0020】
放射線源は特に、放射線に基づく画像化、例えば医療用の画像化、特にX線に基づく画像化、および/または放射線治療、特にX線治療のための画像化システムの構成要素である。
【0021】
散乱放射線モデルは特に、記憶媒体上のコンピュータ可読形式で提供される。記憶媒体はモバイル電子機器の一部とすることができる。さらに記憶媒体は、例えばサーバ計算ユニット上または別のバックエンド設備上にモバイル電子機器とは独立して設けられる。後者の場合モバイル電子端末は、特に無線データ通信によって、散乱放射線モデルの全体または一部を記憶媒体からローディングまたは読み取ることができる。
【0022】
少なくとも1つの線量値が放射線源の使用時に予測される線量値であることは、特に次のように、すなわち散乱放射線モデルが周辺の散乱放射線の分布を正確に再現するとの仮定のもとに、少なくとも1つの線量値が放射線源の使用から生じるものとして解釈することができる。したがって特に少なくとも1つの線量値の評価が問題となる。予測される少なくとも1つの線量値は、現在の時点に対するモバイル電子機器の位置を考慮して、すなわちモバイル電子機器の位置が決定される時点、および/または先々の時点を考慮に入れて決定することができる。
【0023】
少なくとも1つの線量値は、例えば少なくとも1つの線量率および/または線量エネルギーを含むことができる。場合によっては多くの実施形態において少なくとも1つの線量値を決定されるためにユーザの他の情報、たとえば身体寸法またはモバイル電子機器の典型的な所持位置などの情報を特にユーザモデルの形で考慮に入れることもできる。ユーザモデルは専らモバイル機器に保存すると有利である。特に例えば身体の寸法、性別、年齢等のような個人情報は、専らモバイル電子機器に保存することができる。これにより個人的なユーザデータの集中記憶が回避される。これによりユーザの個人データの保護が達成できる。
【0024】
少なくとも1つの線量値、特に線量率および/または線量は、単一の位置、すなわちモバイル電子機器の一定の位置またはそれから導出される位置について決定されるか、例えばユーザの身体内または身体上の複数の位置を考慮するように、モバイル電子機器の決定された位置に依存して導出される複数の位置について決定することができる。
【0025】
モバイル電子装置の位置は、モバイル電子装置自体によって、特にそれだけによって決定される。このためには自己位置決定用のそれ自体公知の方法、例えば周辺に置かれた視覚マーカまたは無線送信器を使用して、特に室内領域または室内空間における自己位置決定のための公知の方法を使用することができる。言い換えれば、モバイル電子機器は、モバイル電子機器自体の外部にある位置を決定するための情報を考慮することも勿論できるが、位置の決定、すなわちこれに必要な全ての計算ステップの実施は、もっぱらモバイル電子機器によって行われる。
【0026】
これにより特に、モバイル電子機器の一定の位置、およびそれに対応する実施形態においては例えばユーザに関しそこから由来する全てのさらなる位置を、専らモバイル電子機器に予め保持するか記憶させ、このモバイル電子機器から別の個所、特に他の外部計算ユニット、例えばサーバまたは別の中央計算ユニットに転送または伝送する必要がなくなることになる。同じことは少なくとも1つの所定の線量値にも同様に適用される。この値は、モバイル電子機器によって、特に専らこの機器によって決定されるので、対応する情報がモバイル電子機器の外部で利用される可能性を回避または排除することができる。
【0027】
これは、データセキュリティに関して、従ってユーザの個人データの保護に関して、有意義な利点をもたらす。本発明によるアプローチの1つの考えられる代替法は、例えば室内に配置されたカメラを使用してユーザの位置を決定し、その結果に基づいて例えば中央計算ユニットによって少なくとも1つの線量値を計算することであろう。しかしこれは、ユーザの位置を外部ユニットによっておそらくは長い期間にわたって監視し、場合によっては保存するという極めて重大な欠点を有するであろう。また少なくとも1つの線量値をモニタリングしたり、中央で監視または保管することも考えられる。しかしこれは、ユーザの個人データが誤用されるリスクを増加させるであろう。最終的にはこれは、ユーザによる線量推定方法の受け入れ努力にも反することにもなろう。
【0028】
これに対し本発明によれば、分散位置決定および線量値の計算は、これらの目的のためにモバイル電子機器を使用することによって達成される。特に本発明による方法は、ユーザの位置を直接決定するのではなく、その代わりにモバイル電子機器の位置を決定し、それに基づいて少なくとも1つの線量値を決定するものである。上述のようにモバイル電子機器の位置は、ユーザの位置を近似的に再現することができ、またはユーザの1つまたは複数の特徴的な位置をそれに基づいて計算または推定することができる。
【0029】
散乱放射線モデルを用いて少なくとも1つの線量値を計算することにより、線量値および/またはそれから得られた情報をユーザに直接提供することが可能となり、ユーザが放射線被ばくによるそれらの特定のリスクを推定することが可能となる。さらに、位置決定の現在の時点での散乱放射線を特徴づける線量値だけでなく、将来予測される散乱放射線に関する線量値を決定することも可能となる。
【0030】
特にモバイル電子機器は少なくとも1つの計算ユニットを含む。それぞれモバイル電子機器によってその位置を決定し、モバイル電子機器によって各症例における少なくとも1つの線量値を決定するために必要な全ての計算工程は、少なくとも1つの計算ユニットによって実行することができる。
【0031】
実施形態によっては、特に使用される自己位置決定の態様によっては、モバイル電子機器の種々のセンサ、例えば1つ以上のカメラ、傾斜センサおよび/または加速度センサ等を使用して、モバイル電子機器の位置を決定することができるように、対応するセンサデータを少なくとも1つの計算ユニットに提供することができる。
【0032】
線量推定のための方法の少なくとも1つの実施形態によると、予測される少なくとも1つの線量値に関する情報は、モバイル電子機器の視覚表示ユニット、例えば1つまたは複数のLEDまたはディスプレイによって表示することができる。表示される情報は、例えばそれから予測されるかまたは導出される少なくとも1つの線量値に対応することができる。この情報には、散乱放射線への個人被ばくの低減につながる可能性のあるユーザへの勧告も追加または代替として含めることができる。
【0033】
少なくとも1つの実施形態によると、少なくとも1つの線量値は、放射線源の使用時に実際に予測される線量率および/または予め規定された将来の時点で予測される線量率を含む。
【0034】
この場合実際に予測される線量率とは、モバイル電子機器の位置の決定時点での線量率として理解され、これに対し予め規定された将来の時点とは、モバイル電子機器の位置を決定した後のものある。将来の時点は、モバイル電子機器の位置の判定に対して絶対的または相対的に定義される。言い換えれば、将来の時点で予測される少なくとも1つの線量率は、少なくとも1つの予測線量率に相当する。
【0035】
予測される少なくとも1つの線量率は、予め定義された複数の将来の時点に対して適当に予測される線量率も含むことができる。
【0036】
実際に予測される線量率とそれに基づいて生成され場合によっては発行される情報に基づいて、ユーザは放射線への被ばくによる現在のリスクの程度を推定することができ、また場合によってはこのリスクを軽減するために体位を変えることができる。将来の線量率または予測線量率についても同様である。これに基づいてユーザは、後に予測される放射線への被ばくの増加に積極的に反応し、例えば体位を変えることができる。
【0037】
少なくとも1つの実施形態によると、少なくとも1つの線量値は、予め規定された将来の時点で予測される線量率および/または予測される線量率に依存して決定される。
【0038】
少なくとも1つの実施形態によると、少なくとも1つの線量値は、放射線源の使用時に予測される以前の線量および/または放射線源の使用時に予測される将来の線量を含む。あるいは少なくとも1つの線量値は、以前の線量および/または将来の線量に依存して決定される。
【0039】
ここで線量は、特に時間の経過に伴って積分または加算された線量率に相当する。
【0040】
これまでの線量を決定することにより、ユーザは、現在または将来の位置が放射線への特に高い被ばくと関連しているかどうかだけでなく、放射線源の周辺における以前の位置が全体的に、すなわち絶対的に見て、高い放射線被ばくをもたらしたかどうかを評価することができる。将来の線量は、例えば放射線源の総予測線量に対応し得るものであり、これはモバイル電子機器の位置の経過と、モバイル電子機器の現在の位置に基づく予測と、場合によっては進行中の医療処置のワークフロー中に予測される撮像ステップに基づいて推定することができる。
【0041】
少なくとも1つの実施形態によれば、放射線源に対するモバイル電子機器の位置は複数の時点で、すなわち異なる時点で何回もモバイル電子機器によって決定される。複数の時点の各時点に対してモバイル電子機器によりその時の位置に依存しておよび散乱放射線モデルに依存して、対応する時点における放射線源の使用時に予測される線量率が決定される。過去の線量および/または将来の線量は、複数の時点について決定された線量率に依存して決定される。
【0042】
複数の時点は、現在の時点、1つまたは複数の過去の時点および/または1つまたは複数の将来の時点を含むことができる。現在または過去の時点に対しては、モバイル電子機器の位置は上述したように自己位置確認によって決定されることができる。将来の時点については、例えばモバイル電子機器の位置が維持されることが仮定されるか、またはモバイル電子機器の過去の位置経過から例えば外挿法によってモバイル電子機器の軌道履歴から評価され、これに関係して将来の時点におけるモバイル電子機器の位置が決定される。
【0043】
少なくとも1つの実施形態によれば、モバイル電子機器の受信ユニットにより周辺に分配された複数の送信ユニットから無線信号が受信される。モバイル電子機器の位置は、受信した無線信号に依存して特に少なくとも1つの計算ユニットによって決定される。
【0044】
したがって受信ユニットは特に無線受信機であり、例えば無線信号を受信するための1つ以上のアンテナを含む。受信ユニットは、例えばWLAN受信ユニット、Bluetooth(登録商標)受信ユニット、または別のタイプの無線ネットワークのために設計された受信ユニットとすることができる。送信ユニットについても同様である。
【0045】
そのような無線信号を分散送信機ユニットから受信し、受信した機器の自己位置確認のために利用することが知られている。このために無線信号により伝達される種々の情報、および/または例えば信号強度等の無線信号の他のパラメータを評価し、例えば個々の送信ユニットを識別または位置確認することができるようにすることができる。このようにして少なくとも1つの計算ユニットは、1つ以上の送信ユニットに対するモバイル電子機器の相対位置を決定することができる。送信ユニットに対する放射線源の位置も既知であり、また場合によっては時間の関数として指定される。したがって少なくとも1つの計算ユニットは、送信ユニットに対するモバイル電子機器の相対位置と、送信ユニットに対する放射線源の相対位置とに基づいて、放射線源に対するモバイル電子機器の位置を決定することもできる。
【0046】
特に送信ユニットの少なくとも1つを放射線源に配置し、送信ユニットに対するモバイル電子機器の位置が放射線源に対するモバイル電子装置の相対位置に対応するようにすることができる。
【0047】
モバイル電子機器の位置をより正確に決定するために、無線信号に関して記載されたアプローチを含む、自己位置確認のための様々なアプローチを互いに組み合わせることができることを指摘して置く。
【0048】
少なくとも1つの実施形態によれば、モバイル電子機器により、特にモバイル電子機器のカメラによって、周辺にある一つまたは多数の参照対象物および/または放射線源を撮像する画像データが使用される。モバイル電子機器の位置は、画像データに依存して特に少なくとも1つの計算ユニットによって決定される。
【0049】
参照対象物は、特に視覚的に検出可能な物体または機器であり、それらの位置は放射線源の周辺にあることが知られている。これらは、例えば放射線源または画像診断システムの他の部分、例えば患者テーブル、固定または可動ロボットスタンドなどであり得る。これらはまた特にこの目的のために放射線源の周辺に配置される建築インフラストラクチャの部品または視覚マーカであり得る。
【0050】
例えば、少なくとも1つの計算ユニットは画像処理アルゴリズムまたは機械的に読み取るためのアルゴリズムを使用することができ、1つ以上のカメラ画像を含む画像データ内の視覚マーカを同定し、モバイル電子機器に関するそれらの位置および/または方向を決定することができる。例えば特定の二次元パターンをそれぞれの参照物体特にマーカ上に設け、それぞれの参照物体、特にマーカの位置および/または方向性を決定することができる。視覚マーカの一例は、いわゆるArUcoマーカである。代替的にまたは追加的に、空間におけるそれらの位置および/または方向に関する情報をカメラによって検出できるように、参照物体特に視覚マーカ上にテキスト形式または他の方法で示すことができるようにすることも可能である。
【0051】
従って、無線信号に対する送信ユニットに関する説明と同様に、少なくとも1つの計算ユニットは画像データに基づいてモバイル電子機器に対する参照対象物のその時の相対位置を決定することができる。さらに参照対象物に対する放射線源の相対位置もまた公知であり、それに基づいて計算ユニットが最終的に放射線源に対するモバイル電子装置の位置を決定することができる。
【0052】
1つ以上の視覚マーカを放射線源に配置することができる。代替的または追加的に、放射線源は参照対象物として画像データから直接認識され、局在化することもできる。
【0053】
少なくとも1つの実施形態によれば、モバイル電子装置の少なくとも1つの傾斜センサおよび/または加速度センサを用いてセンサデータが生成される。モバイル電子機器の位置は少なくとも1つの計算ユニットによりセンサデータに依存して決定される。
【0054】
例えば時間の関数としてのモバイル電子機器の傾斜および/または加速度に関連するまたはこれらを含むまたはこれらを導き出すことができるセンサデータに基づき、少なくとも1つの計算ユニットが、モバイル電子機器の初期位置に対するモバイル電子機器の位置の変化についての推測をする、またはこれらの相対移動を決定するまたは推定することができる。特にロボットナビゲーションの分野では、このようなセンサデータに基づいて自己位置確認を可能にする種々のオドメトリック方法が知られている。モバイル電子機器の初期位置は、例えばユーザによって提供されるか、または他の状況から推定することができるユーザまたはモバイル電子機器の最初の位置に対応することができる。例えば放射線源が位置する部屋の入り口の位置を知ることができる。また開始位置は、例えば上述のように画像データおよび/または無線信号に基づいて決定することも可能である。
【0055】
少なくとも1つの実施形態によると、モバイル電子機器の位置に関連して、特に放射線源に対するモバイル電子機器の位置と異なるユーザの位置が、特に例えば少なくとも1つの計算ユニットのようなモバイル電子機器によって決定される。ユーザの位置に対しては、予測される少なくとも1つの線量値が決定される。
【0056】
したがって言い換えれば、少なくとも1つの線量値のできるだけ適切な推定を可能にするために、ユーザの位置に関するモバイル電子機器の特定の相対位置が想定される。ユーザに関するまたはユーザの位置に関するモバイル電子機器の相対位置は、様々な方法で決定することができる。例えばユーザは、モバイル電子機器が例えばユーザの身体の左側または右側、ズボンのポケットなどにあるかどうかなどの対応する情報を事前に入手することができる。代替的にまたは追加的に、カメラまたはモバイル電子機器の別のカメラ画像、すなわち画像データまたは別のカメラからの更なる画像データを生成し、ユーザの位置に関するモバイル電子機器の相対位置を決定するために使用することもできる。
【0057】
少なくとも1つの実施形態によれば、特に電子機器により、たとえば少なくとも1つの計算ユニットにより、モバイル電子機器の位置に依存して三次元空間領域が決定される。モバイル電子機器により三次元空間領域内の複数の点の各々について、放射線源の使用に依存して局所線量率および/または局所線量が決定される。モバイル電子機器によって、特に少なくとも1つの計算ユニットによって、予測される少なくとも1つの線量値を決定するために、特に複数の点のすべての点について局所線量率および/または局所線量が加算される。
【0058】
特に放射線源に対して規定することができる空間領域は連続的な空間領域として決定ることができ、これにより複数の点は空間領域の走査に対応する。しかし、それとは別に複数の点のそれぞれの位置を直接決定することもでき、それから空間領域が複数の点によって規定することもできる。
【0059】
空間領域の形状は、例えば特にユーザモデルに基づいて規定される。このためには例えば予めユーザの身体寸法を規定することが可能である。上述したように有利にはユーザモデルは専らモバイル電子機器に記憶させることができる。特に例えば身体の寸法、性別、年齢等の個人情報はモバイル電子機器にのみ保存することができる。これによりユーザの個人データの集中管理が回避される。これによりユーザの個人データを保護できる。ユーザの位置について上述したように、モバイル電子機器の位置に関する空間領域の位置および/または方向も予め規定され、カメラまたはモバイル電子装置のさらなるカメラによっても特定および/または規定することができる。したがって少なくとも1つの計算ユニットは、放射線源に対するモバイル電子機器の決定された位置とモバイル電子機器の位置に対する三次元領域の対応する指定されたまたは決定された相対位置から、放射線源に関する空間領域の相対的な位置および/または方向を決定することができ、次いで散乱放射線モデルに従ってその時の局所線量率または線量を決定することができる。
【0060】
局所線量率および/または局所線量の加算は、特に三次元領域の個々の点に対して決定された線量率または線量の重み付けを含むことができる。この重み付けはこの場合例えばユーザモデルの一部として特定される。これにより例えば材料特性またはユーザの身体の組織領域の生物学的危険度を考慮することにより、有益なまたはより重要な線量値を生成することができる。
【0061】
少なくとも1つの実施形態によれば、モバイル電子機器、特に少なくとも1つの計算ユニットにより、少なくとも1つの線量値に依存してかつ散乱放射線モデルに依存して、放射線源の使用時にユーザに吸収される散乱放射線量が低減されるような放射線源の周辺におけるさらなる位置または領域が決定される。
【0062】
ここで吸収線量の減少は、特にユーザが現在の位置から別の位置または領域に移動するという仮定の下での予測吸収線量との差異である。特に吸収線量が減少していることは、散乱放射線が減少しやすいという散乱放射線モデルによって期待されることを意味していると理解できる。
【0063】
対応する実施形態におけるモバイル電子機器の視覚的表示ユニットによって出力することができる情報は、吸収散乱放射線量を低減するためにユーザがさらに別の位置または周辺の領域に移動すべきであるという勧告も含むことができる。
【0064】
少なくとも1つの実施形態によれば、モバイル電子機器、特にカメラおよび/またはモバイル電子機器のさらなるカメラによりユーザをマッピングする、または部分的にマッピングするさらなる画像データが使用される。モバイル電子機器、特に少なくとも1つの計算ユニットにより、さらなる画像データに基づいてユーザモデルが作成または調整させられる。予測される少なくとも一つの線量値は、ユーザモデルに依存して決定される。
【0065】
さらなる画像データに基づいて、例えば上述のようにユーザの位置に関するモバイル電子機器の相対位置を決定することが可能であり、さらにまたは代替的に、対応する実施形態で上述したように、それぞれの局所線量率および/または線量が決定される空間領域を決定することが可能である。代替的または追加的に、さらなる画像データに基づいてユーザが防護服をつけていたかどうかを確認し、例えば防護服による線量率および/または線量の減少を考慮することによって、防護服を考慮した上で予測される少なくとも1つの線量値を決定することも可能である。
【0066】
本発明のさらに別の態様によれば、散乱放射線量を推定するためのシステムが、特に散乱放射線量を推定するための本発明方法によるシステムが開示される。このシステムは、放射線源に対するその位置を決定する、すなわち放射線源に対するモバイル電子機器の位置を決定するように構成されたモバイル電子機器を含む。例えばモバイル電子機器のようなシステムは、散乱放射線モデルを記憶する記憶媒体を有する。散乱放射線モデルは、放射線源の事前定義された使用中に放射線源の周辺で予測される散乱放射線の空間分布を呈示する。モバイル電子機器は、散乱放射線モデルに依存してかつモバイル電子機器の決定された位置に依存して、放射線源の使用時に予測される散乱放射線の少なくとも1つの線量値を決定するように構成される。
【0067】
特にモバイル電子機器は、放射線源に対するその位置を決定し、予測される少なくとも1つの線量値を決定するように構成された少なくとも1つの計算ユニットを有する。
【0068】
計算ユニットとは、特に処理回路を含むデータ処理装置とすることができる。したがって計算ユニットは、特に計算操作を実行するためにデータを処理することができる。これはまた、データ構造例えば変換テーブルLUT(英語“look-up table”)へのインデックス付きアクセスを実行するための動作を含み得る。
【0069】
計算ユニットは、特に1つまたは複数のコンピュータ、1つまたは複数のマイクロコントローラおよび/または1つまたは複数の集積回路、例えば1つまたは複数の応用特異的集積回路、ASIC(英語“application-specific integrated circuit”)、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイFPGA、および/またはチップ上の1つまたは複数のシステムSoC(英語“system on a chip)を含むことができる。計算ユニットはまた1つ以上のプロセッサ、例えば1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上の中央処理ユニットCPU(英語“central processing unit”)、1つ以上のグラフィックプロセシングユニットGPU(英語“graphics processing unit”)、および/または1つ以上のシグナルプロセッサ、特に1つ以上のデジタルシグナルプロセッサDSPを含むことができる。計算ユニットはまた、コンピュータまたは前記ユニットの他の物理的または仮想的な合成体を含むこともできる。
【0070】
種々の実施例では、計算ユニットは1つ以上のハードウェアおよび/またはソフトウェアインターフェース、および/または1つ以上のメモリユニットを含む。
【0071】
メモリユニットは、揮発性メモリ、例えばダイナミックランダムアクセスメモリDRAM(英語“dynamic random access memory”)、またはスタティックランダムアクセスメモリSRAM(英語“static random access memory”)、あるいは例えば読み出し専用メモリROM(英語“read-only memory”)、プログラマブル読み出し専用メモリPROM(英語“programmable read-only memory”)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリEPROM(英語 “erasable programmable read-only memory”)、電気的消去可能読み出し専用メモリEEPROM (英語“electrically erasable programmable read-only memory”)、フラッシュメモリまたはフラッシュEEPROM、強誘電体ランダムアクセスメモリFRAM(登録商標)(英語“ferroelectric random access memory”)、磁気記憶ランダムアクセスメモリMRAM(英語 “magnetoresistive random access memory”)、または相変化ランダムアクセスメモリPCRAM(英語“phase-change random access memory”)として、具現化することができる。
【0072】
本システムの少なくとも一実施形態によれば、電子機器は、周辺に分散された複数の送信ユニットからそれぞれの無線信号を受信する受信ユニットを含む。モバイル電子機器、特に少なくとも1つの計算ユニットは、受信した無線信号に依存してモバイル電子機器の位置を決定するように構成される。
【0073】
したがってモバイル電子装置、特に受信ユニットは無線信号を受信するように構成される。
【0074】
様々な実施形態では、システムは複数の送信ユニットを含む。
【0075】
少なくとも1つの実施形態によれば、モバイル電子機器は周辺において1つ以上の参照対象物、特に視覚マーカをマッピングする画像データを生成するように構成されたカメラを有する。モバイル電子機器、特に少なくとも1つの計算ユニットは、画像データに依存してモバイル電子機器の位置を決定するように構成される。
【0076】
様々な実施形態では、参照対象物、特に視覚マーカはシステムの一部でもある。
【0077】
少なくとも1つの実施形態によれば、モバイル電子機器はセンサデータを生成するように構成された少なくとも1つの傾斜センサおよび/または加速度センサを有する。モバイル電子機器、特に少なくとも1つの計算ユニットは、センサデータに依存してモバイル電子機器の位置を決定するように構成される。
【0078】
本発明によるシステムのさらなる実施形態は本発明による方法の様々な実施形態に直接従うものであり、逆も同様である。特に本発明による方法の様々な実施形態に関する個々の特徴および対応する説明と利点は、本発明によるシステムの対応する実施形態に類似して転用することができる。特に本発明によるシステムは、本発明による方法を実行するように具体化またはプログラム化されている。特に本発明によるシステムは、本発明による方法を実施するものである。
【0079】
本発明の別の態様によれば、指令を有するコンピュータプログラムが開示されているが、それは、指令が本発明に従うシステムによって、特にモバイル電子機器の少なくとも1つの計算ユニットによって実行されるとき、システムに散乱放射線量を推定するための本発明に従う方法を実行させるものである。
【0080】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明によるコンピュータプログラムを保存するコンピュータ可読記憶媒体が開示される。
【0081】
本発明によるコンピュータプログラム、または本発明によるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、指令を有するそれぞれのコンピュータプログラム製品と呼ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
本発明を以下に具体的な実施例および関連する概略図を参照してより詳細に説明する。図中同一または機能的に同一である部材には、同一の符号が与えられる。同一または機能的に同一である部材の説明は種々の図に関して必ずしも繰り返されないことがある。
【0083】
【
図1】散乱放射線量を推定するための本発明によるシステムの例示的な実施形態の概略図。
【
図2】散乱放射線量を推定するための本発明による方法の例示的な実施形態のフローチャート。
【
図3】散乱放射線量を推定するための本発明によるシステムの別の例示的な実施形態の概略図。
【
図4】散乱放射線量を推定するための本発明によるシステムの別の例示的な実施形態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1は、散乱放射線量を推定するための本発明によるシステム13の例示的な実施形態の概略図である。システム13は、記憶媒体8と、例えばスマートフォン等のモバイル電子機器6を有し、ここで記憶媒体8は種々の実施形態において、モバイル電子機器6の一部とすることができる。他の実施形態では、記憶媒体8をモバイル電子機器6の外部に設けることができ、モバイル電子機器6は、例えば無線データ通信に基づいて記憶媒体8を読み取ることができる。
【0085】
さらに
図1は、放射線ベースの画像形成および/または放射線治療のためのモダリティ1を示す。モダリティ1は、電離放射線を発生および照発射するように構成された放射線源4を有する。例えばこれはX線照射であるが、別種のモダリティも可能である。純粋に一例を挙げると、
図1ではモダリティ1は、スタンド3と患者ベッド2を備えたCアームX線システムとして示されており、ここで放射線源4とX線検出器5とは、Cアームの対向する両端に配置されている。しかしこれは本発明思想を制限するものではなく、むしろ任意の電離放射線およびこれに対応する放射線源4に適用可能である。
【0086】
記憶媒体8は、放射線源4の所定の使用中に放射線源4の周辺で予測される散乱放射線の空間分布を示す散乱放射線モデルを記憶する。モバイル電子機器6は、放射線源4に対するその位置を決定されるように構成されている。
【0087】
モバイル電子機器6は、さらに散乱放射線モデルに依存して、かつモバイル電子機器6の決定された位置に依存して、放射線源4の使用時に予測される散乱放射線の少なくとも1つの線量値を決定されるように構成される。
【0088】
モバイル電子機器6の自己位置決めは、システム13の実施形態に依存して様々な方法で行うことができる。特にモバイル電子機器6は、位置決め手段9を含み、これは特に1つまたは複数のセンサ、例えば傾斜センサおよび/または加速センサ、無線信号を受信するための1つまたは複数の受信ユニットおよび/または1つまたは複数のカメラを含む。さらに、電子機器6は計算ユニット7を含み、これはモバイル電子機器6の1つまたは複数の計算ユニットを代用することができる。計算ユニット7は、位置決め手段9等によって検出された信号またはセンサの計測値に基づいて、放射線源4に対するモバイル電子機器6の位置を決定することができる。
【0089】
モバイル電子機器6は、例えば、ユーザ12によって携帯される機器とすることができる。したがってモバイル電子機器6の位置により、ユーザ12の放射線源4に対する位置を直接的または間接的に推測することができる。
【0090】
図2は、例えば
図1に記載されたシステム13によって行うことができるような、散乱放射線量を推定するための本発明による方法の例示的な実施形態の概略フローチャートを示す。このチャートのステップS1において散乱放射線モデルを備え、ステップS2においてモバイル電子機器により放射線源4に対するモバイル電子機器6の位置が決定される。ステップS3では、モバイル電子機器6により散乱放射線モデルに依存してかつ決定された位置に依存して予測される少なくとも1つの線量値が決定される。
【0091】
場合によってはステップS2およびS3を繰り返すこともでき、例えば周期的に繰り返すことにより、モバイル電子機器6の位置もしくは少なくとも1つの予測すべき線量値を繰り返し特に周期的に決定し、モバイル電子機器の位置変化を考慮することができるようにされる。
【0092】
この方法の任意のステップS4では、ステップS3で1回または複数回決定された少なくとも1つの予測すべき線量値がさらに処理される。例えばステップS3で現在の線量率が決定されれば、これまでに加算された全線量をステップS4で計算できるようにされる。
【0093】
同様に任意のステップS5は、ステップS3の直後またはS2およびS3の周期的実施後またはステップS4が行われればその後に行うことができるが、このステップではユーザ情報を、ステップS3および/またはS4の結果に依存してモバイル電子機器6上で、例えばディスプレイ14上でユーザに表示することができる。
【0094】
図3は、本発明によるシステム13のさらなる例示的な実施形態の概略図である。
図3のシステム13の実施形態は、
図1のものに基づく。ここでモバイル電子機器6は、特に位置決め手段9としてカメラ9aを有しており、その位置および例えば放射線源4に対する方向が既知である複数の視覚マーカ10a,10b,10c、例えばArUcoマーカが放射線源4の周辺に配置されている。
【0095】
カメラ9aを用いて、マーカ10a、10b、10cをマッピングする画像データを生成することができ、計算ユニット7は画像データに依存してモバイル電子機器6の位置を決定することができる。このために計算ユニット7は、画像データに基づいて、マーカ10a、10b、10cの1つまたは複数に関して、特にモバイル電子機器6の相対的な位置および/または方向を決定することができ、マーカ10a、10b、10cに関して放射線源4の指定された相対的な位置に基づいて、放射線源4に対するモバイル電子機器6の相対的な位置を計算することができる。
【0096】
図4は、同様に
図1の実施形態に基づく本発明によるシステム13のさらなる例示的な実施形態の概略図である。
図3の実施形態の視覚マーカ10a、10b、10cの代わりに、
図4の実施形態では複数の送信ユニット11a、11b、11cが設けられており、これらは放射線源4の既知の位置に配置され、電波信号を発信することができる。したがって、モバイル電子機器6は、特に位置決め手段9は、送信ユニット11a,11b,11cが発する電波信号を受信可能な受信ユニット9bを備えている。無線信号に基づいて計算ユニット7は、送信ユニット11a、11b、11cの1つ以上に対して、そして最終的には放射線源4に対して、モバイル電子機器6の位置を決定することができる。
【0097】
図示しない別の実施形態においては、マーカ10a、10b、10cおよび送信ユニット11a、11b、11c並びにカメラ9aおよび受信ユニット9bを使用して、放射線源4に対するモバイル電子機器6の位置を決定することができる。代替的にまたは追加的に、モバイル電子機器6の前述の傾斜センサおよび/または加速度センサ(図示せず)を使用して、放射線源4の周辺におけるモバイル電子機器6の動きを追跡し、傾斜センサおよび/または加速度センサからのセンサデータに基づいて、放射線源4に対するモバイル電子機器6の位置を決定することもできる。
【0098】
特に各図により示したように、本発明は散乱放射線の物理的パラメータの特定の測定に頼らない放射線源からの散乱放射線量を推定する可能性を提供し、ユーザに位置依存的に予測される線量値を提供することを可能にする。
【0099】
散乱放射線は、例えばX線検査、血管造影またはコンピュータ断層撮影用の検査室、またはハイブリッド手術室の医療スタッフまたは訪問者に健康被害をもたらす可能性がある。そのため医療スタッフの線量意識を高めることが望まれる。本発明によって提供され得るような対応する放射線源の周辺の様々な場所での散乱放射線への予測される被曝に関するアクセス可能で簡単な情報は、放射線への高被曝を有する領域を識別しその回避を容易にすることができる。これは訓練を受けていないスタッフや訪問者にとって特に有益である。
【0100】
本発明の対応する実施形態によれば、少なくとも1つの線量値に基づいて、例えば予定されているかまたは継続中の放射線に基づく検査または患者の治療中に散乱された放射線への現在予測される被曝に関する情報、または別のタイプの検査対象を、ユーザのモバイル電子装置上に表示することができる。
【0101】
使用される散乱放射線モデルは、既知の方法によって作成し提供することができる。この場合任意で検査対象用モデルを使用することも可能であり、これは患者モデルとも呼ばれることがある。これは、例えば検査対象の以前の画像データセットに基づいて作成するか、または統計上の患者モデルとすることができる。
【0102】
オプションとして、例えばユーザモデルを生成または調整させるために、ユーザの右手または左手に装置が保持されているか、または身体の左手または右手に携帯されているか、どのような高さで携帯されているかなど、モバイル電子機器のユーザに関する身長、体重および/またはモバイル電子機器を装着するための典型的な位置などの既知のデータを使用することが可能である。これにより散乱放射線の強度またはユーザの全身に関する少なくとも1つの線量値を計算することが可能となる。このために特にモバイル電子機器に対するユーザの身体の一定の位置を仮定することが可能であり、および/または例えばユーザが床上で直立していると仮定することが可能である。
【0103】
またオプションとしてユーザモデルを作成するために、セルフィーカメラとも呼ばれるカメラ、例えばフロントカメラなどのモバイル電子装置のセンサを使用することも可能である。この場合あらゆる放射線防護服を同定し、ユーザの身体寸法を推定し、および/またはユーザに関するモバイル電子装置の相対的位置を同定することが可能である。
【0104】
オプションとして例えば放射線源を含むシステムへのインターフェースを介して、モバイル電子機器からの継続的な、またはその時の撮影ジオメトリおよび/または線量設定に関連する既知のパラメータを得ることが可能である。散乱放射線モデルは、特にこれらのパラメータに基づいて統計的に予測されるか、および/または実際のデータに基づいてパラメータ化またはシミュレートされ得る。
【0105】
様々な実施形態において、モバイル電子装置は予測される散乱放射線を低減するためにユーザが移動すべき位置に関する勧告を表示することができる。
【0106】
様々な実施形態において計算された散乱放射線、特に線量率は、放射線源の使用期間にわたって加算または積分され、したがって将来または以前の総線量が計算され、ユーザに表示され得る。
【0107】
様々な実施形態において、システムまたは放射線源の放射線防護エプロン、放射線防護板または障壁の位置を検出し、考慮することも可能である。
【0108】
ユーザの位置を追跡する室内の監視カメラによるカメラベースのアプローチと比較して、本発明はユーザの動きがモバイル電子機器の外側で追跡されず、また対応するデータが記録または保存されないため、データ保護および受容に関しての利点を提供することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 モダリティ
2 患者ベッド
3 架台
4 放射線源
5 X線検出器
6 モバイル電子機器
7 計算ユニット
8 記憶媒体
9 位置決め手段
10 視覚マーカ
11 送信ユニット
12 ユーザ
13 システム
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源(4)の予め規定された使用中に、前記放射線源(4)の周辺に予測される散乱放射線の空間分布を示す散乱放射線モデルを備える散乱放射線量の推定方法において、
- ユーザ(12)のモバイル電子機器(6)により前記放射線源(4)に対する前記モバイル電子機器(6)の位置を決定し、
- 前記モバイル電子機器(6)により、前記散乱放射線モデルに依存してかつ前記決定された位置に依存して、前記放射線源(4)の使用によって予測される前記散乱放射線の少なくとも1つの線量値を決定する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの線量値を決定するために、前記モバイル電子機器上に専ら保存される前記ユーザに関する情報も考慮に入れられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの線量値が
- 前記放射線源(4)の使用時に実際に予測される線量率および/または予め規定された将来の時点で予測される線量率を含むか、または
- 現在予測される線量率および/または予め規定された将来時点で予測される線量率に依存して決定される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの線量値が
- 前記放射線源(4)の使用時に予測される以前の線量および/または前記放射線源(4)の使用時に予測される将来の線量を含むか、または
- 前記以前の線量および/または前記将来の線量に依存して決定される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
- 前記放射線源(4)に対する前記モバイル電子機器(6)の位置を前記モバイル電子機器(6)を用いて複数の時点において決定し、
- 前記複数の時点のそれぞれについて、前記モバイル電子機器(6)により、その都度規定された前記位置に依存してかつ前記散乱放射線モデル(4)に依存して、対応する時点における前記放射線源の使用に依存して予測される線量率を決定し、
- 前記複数の時点について決定された前記線量率に依存して、前記以前の線量および/または前記将来の線量が決定される、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
- 前記モバイル電子機器(6)の受信ユニット(9b)により、前記周辺に分布された複数の送信ユニット(11a,11b,11c)のそれぞれの無線信号を受信し、
- 前記モバイル電子機器(6)の位置を前記受信した無線信号に依存して決定する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
- 前記モバイル電子機器(6)を使用して、周辺にある1つ以上の参照対象物(10a、10b、10c)をマッピングする画像データを生成し、
- 前記モバイル電子機器(6)の位置を前記画像データに依存して決定する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
- 前記モバイル電子機器(6)の少なくとも1つの傾斜センサおよび/または加速センサによってセンサデータを生成し、
- 前記モバイル電子機器(6)の位置を前記センサデータに依存して決定する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
- 前記モバイル電子機器(6)の位置に依存して前記モバイル電子機器(6)の位置とは異なる前記ユーザ(12)の位置を決定し、
- 前記ユーザ(12)の位置に対して予測される少なくとも1つの線量値を決定する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
- 前記モバイル電子機器(6)の位置に依存して三次元空間領域を決定し、
- 前記モバイル電子機器(6)を用いて、前記三次元空間領域の複数の点ごとに局所線量率および/または局所線量を決定し、
- 前記モバイル電子機器(6)を用いて、前記局所線量率および/または前記局所線量を加算し、前記少なくとも1つの予測される線量値を決定する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記モバイル電子機器(6)を用いて、前記少なくとも1つの線量値に依存してかつ前記散乱放射線モデルに依存して、前記ユーザ(12)により前記放射線源(4)の使用時に吸収される散乱放射線量が減ぜられる前記放射線源(4)の周辺のさらなる位置または領域を決定する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
- 前記モバイル電子機器(6)を使用して、前記ユーザ(12)をマッピングするさらなる画像データを生成し、
- 前記モバイル電子機器(6)を使用して、前記さらなる画像データに基づいてユーザモデルを作成するかまたは調整し、
- 予測される少なくとも1つの線量値を前記ユーザモデルに依存して決定する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
放射線源(4)の所定の使用時に放射線源の周辺に予測される散乱放射線の空間分布を示す散乱放射線モデルを記憶する記憶媒体(8)を有する散乱放射線線量の推定システムにおいて、
- 前記システムが前記放射線源(4)に対するその位置を規定するように構成されたモバイル電子機器(6)を備え、
- 前記モバイル電子機器(6)が、前記散乱放射線モデルに依存してかつ前記モバイル電子機器(6)の前記規定された位置に依存して、前記放射線源(4)の使用時に予測される散乱放射線の少なくとも1つの線量値を決定するように構成されている、
ことを特徴とする散乱放射線線量の推定システム。
【請求項14】
前記モバイル電子機器(6)が、前記モバイル電子機器上に専ら記憶されているユーザに関する情報に依存して、前記少なくとも1つの線量値を決定するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記モバイル電子機器(6)が、
- 前記周辺に分布されている複数の送信ユニット(11a、11b、11c)からのその時の無線信号を受信するための受信ユニット(9b)を有し、受信した無線信号に依存して前記モバイル電子機器(6)の位置を決定するように構成され、および/または
- 前記周辺にある1つ以上の基準対象物(10a、10b、10c)をマッピングする画像データを生成するように構成されたカメラ(9a)を有し、前記画像データに依存して前記モバイル電子機器(6)の位置を決定するように構成されている、
請求項13または14に記載のシステム。
【請求項16】
- 前記モバイル電子機器(6)は、センサデータを生成するように構成された少なくとも1つの傾斜センサおよび/または加速センサを有し、
- 前記モバイル電子機器(6)は、前記センサデータに依存して前記モバイル電子機器(6)の位置を決定するように構成されている、
請求項13または14に記載のシステム。
【請求項17】
請求項13または14に記載のシステムで実行する際に、請求項1または2に記載の方法を実行する指令を備えたコンピュータプログラム製品。
【外国語明細書】